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企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律 にもとづく基本計画 ∼上伊那テクノバレー地域∼ 基本計画 1 産業集積の形成又は産業集積の活性化に関する目標 (1)地域の特色と目指す産業集積の概要について 上伊那地域(以下、「本地域」という)は、長野県の南部、東の南アルプス、西の中央アルプ スに抱かれた伊那盆地の北半に位置している。本地域は、その地理的特性から旧来より広域的な 活動圏を形成している。昭和 45 年に「広域市町村圏」として指定され、昭和 46 年には「上伊那 地域広域行政事務組合」が発足し、以来、広域圏において各種取組を行ってきており、平成 11 年には「上伊那広域連合」へと移行した。また、長野県においても総合現地機関として「上伊那 地方事務所」を設置している。このように、本地域は広域圏として行政事務・各種事業に取り組 んできた経緯から、本計画を実施するうえでの自然的社会的条件からみた一体性を確保してい る。したがって、産業集積の形成及び産業集積の活性化を目指す地域を、「上伊那地域(8市町 村) 」とする。 ①本地域の地理的条件等 1)アクセス 本地域は、企業立地・操業に際し、優れた地理的条件を有している。交通条件として、中央自 動車道が圏域の中央を南北に貫き、伊北、伊那、駒ヶ根の3つのICを有し、地域中心部から中 京圏を 150km(約2時間) 、東京圏を 200km(約3時間)で結んでいる。幹線道路では、中央 自動車道と平行するように国道 153 号、その東側を国道 152 号が、それぞれ南北を走り、国道 361 号が本地域から西へ伸び国道 19 号と接続するなど、本地域と諏訪・岡谷地域、下伊那地域、木 曽地域などの他地域と結ばれている。特に、地域高規格道路伊那木曽連絡道路(国道 361 号)の 権兵衛トンネルが平成 18 年2月に供用開始となり、木曽地域と短時間で結ばれ、通勤や買い物、 観光など生活圏の変化がみられるうえ、貨物車両などによる物流もより潤滑に行われるようにな りつつある。 鉄道では、JR飯田線が南北に走り、南は飯田市から愛知県豊橋市を結び、北では辰野駅で中 央本線と接続し、松本市、東京圏とそれぞれ結ばれている。 このように本地域は、関東圏と中京圏とを結ぶ交通の要衝にある。 2)自然的経済的社会的条件からみた一体性 伊那盆地の北半に位置する本地域は、従来から「上伊那地域」として広域的に一体的な取組を 行ってきた。現在は、広域連合としてさまざまな活動を行っている。「上伊那広域連合」は、上 伊那の市町村の特性を活かし、地方の時代に対応した地域づくりを目指して平成 11 年7月に発 - 1 - 足した。昭和 46 年に前身の「上伊那地域広域行政事務組合」が設立され、上伊那情報センター の設置・運営、精神障害者社会復帰共同作業所の運営、病院群輪番制病院運営事業、在宅当番医 制運営事業等を行ってきた。旧事務組合時代から引き継いだ業務に加え、ごみ処理の広域化や介 護認定審査会の設置および運営等を行い、また、地域の抱える課題について調査・研究を実施し、 市町村の枠を越えた地域の一体的な発展に向けて取り組んでいる。また、長野県においても総合 現地機関として「上伊那地方事務所」を設置(伊那市)している。さらに、こうした諸活動を支 える交通条件は、中央自動車道、国道 152 号、同 153 号、同 361 号、JR飯田線が東西南北に結 んでおり、本地域の産業経済活動の有機的連携を図るための一体的取組に際し、優位な条件を有 している。 ②本地域の産業集積の状況について 本地域の工業の原点は、明治時代の製糸業(紡織業)で、当時の我が国産業のけん引役となっ ており、大正、昭和中頃までは工業の中核として主要な位置を占めてきた。これにより、現在の 製造業の中核となる機械関連技術の基礎が培われた。これについで、製材・木製品が戦後復興の 最先端として活発化し、食料品工業の創業も相次いだ。その後の社会経済環境の変化にともなっ て製糸業は衰退したものの、戦時中に疎開し留まった電気機械器具、精密機械器具、一般機械器 具など主に部品加工製造業が地元に定着し、これらを核として周辺に関連工場や協力工場が生ま れた。あるいはそれらが引き揚げても疎開工場の残した技術が地元に根づいたことから、地元で 起業し新たな挑戦を始めた経営者群が数多く現れた。このように本地域の産業集積は、大手メー カーを支える周辺部品加工企業群と、新たに起業し、時代の要求に応じた産業分野を開拓し続け る比較的若い企業群が互いに切磋琢磨し、この地で培われた技術・人材を活かしながら、新しい 取組に果敢に挑戦し続けることで、地域全体の産業発展・集積をみている。 本地域の産業集積の特徴は、まず、各種機械・製品の技術的に精度の高い加工を得意とした中 小企業が数多く存在していることがあげられる。その背景には、上述のように機械系産業の集積 があることに加え、 「テクノネット駒ヶ根」 、 「駒ヶ根雇用対策協議会」、 「ニューフロンティア in 伊那」、 「伊那異業種交流研究会」、 「GENKI21」、 「世界一を目指し行動する上伊那地域企業の会」 、 「元気印の会」 、 「箕輪ニュービジネス研究会」 、 「箕輪ブライトプロジェクト」など、異業種、異 分野の交流、企業間連携が盛んであり、創業や経営意欲をかきたてる支援が活発に行われている ことがあげられる。また、近年は、中京圏と関東圏のほぼ中間に位置する関係から、関東市場を にらんだ立地、中京圏からの移転による立地が数多くみられる。 二つめは本地域では、水稲を中心に果樹・花卉などを含めた複合的農業経営が多く営まれてお り、天竜川水系の豊富な水や昼夜の温度差が大きく冷涼な内陸性気候、山河の豊かな自然に恵ま れるなど特異な自然が、豊かな農作物と食文化を発達させてきたことがあげられる。特に最近は 「健康長寿県長野県」 (平均寿命男性1位、女性3位、沖縄県は男性 26 位、女性1位)として注 目を浴びている。こうした自然環境、農業資源を活かした食文化から食品加工産業の集積があげ られる。なかでも、こうや豆腐、寒天などは地域の特産であり、薬用酒でも有名である。食の安 - 2 - 全・安心、健康志向の高まりのなかで、こだわりの食品加工を目指している企業が多く存在して いる。最近では、信州大学農学部と共同し、保健食品、機能性食品開発を行う企業も現れている。 また、中京圏・関東圏の市場をにらんだ加工食品企業の立地もみられる。さらに、医薬・試薬の 研究・開発、医薬品・食品等開発品の安全性、薬効・薬理試験を行う企業も立地しており、今後、 農工連携、農医連携、医工連携を図り、農・工・医が結びつくことで新たな産業振興に向けた環 境も整っている。 本地域における産業振興の取組をみると、昭和 59 年に長野県が「テクノハイランド構想」を 提唱し、また、テクノポリス法と相まって、これにもとづき産学官が一体となって、21 世紀に向 けて地域産業構造の高度化や地域技術力の向上という課題を克服するため、先端技術開発や技術 伝播の拠点を形成し、ハイテク企業の立地を基本に工業技術力の強化を図る計画のなかに、「伊 那テクノバレー圏域」として設定され、地域経済の活性化と自立化に向けた取組がなされてきた。 また、構造改革特区では、 「ものづくり研究開発促進特区」 (申請者:長野県、長野市)が長野 県内の広域的(本地域では、伊那市、駒ヶ根市、南箕輪村)な取組として導入され、超精密加工 技術産業の集積及び産学官連携による研究開発ポテンシャルを活かした産学連携共同研究等に 係る特例によって、知的クラスター創成事業における特許出願件数は 233 件と大きな成果をあげ ている。このように「ナノテク」分野を中心とした新しい研究開発、研究成果の産業化を促進し、 県内の「スマートデバイス・クラスター」形成を目指して取組がなされている。さらに、広域関 東圏をクラスター対象とする、地域産業活性化プロジェクトのひとつに「中央自動車道沿線ネッ トワーク支援活動」があり、本地域が含まれる中央自動車道沿線で、精密加工技術産業が集積す る地域を中心に、産学官が連携して新産業の創出を目指すプロジェクトが展開されている。 また、長野県では平成 19 年3月に「長野県産業振興戦略プラン」を策定し、県内に新たな素 材・デバイス・モジュールなど高度なものづくり産業の集積(信州スーパークラスター)の形成 を目指すとともに、新たな地域ブランド商品、機能性食品等地域資源活用型産業の創造を目指す こととしている。さらに、平成 19 年6月には、当該戦略プランのプロジェクトの一環として、 長野県全域を対象にナノテクノロジー・素材に関する高度な技術開発を行う知的クラスター創生 事業(第Ⅱ期)が文部科学省から採択され、7月から事業を開始している。 一方、本地域における製造業の集積状況をみると、事業所では平成 12 年以降減少傾向にある ものの、製造品出荷額等では、平成 15 年以降ほぼ横ばい傾向、従業員数では平成 14 年以降微増 傾向にある。粗付加価値額では、平成 12 年までは増加傾向にあり、4,412 億円となった後、平成 14 年には 2,984 億円へ減少した。平成 17 年には 4,511 億円と回復し、平成 12 年の 1.5 倍となっ た。総合してみると、事業所数は減少傾向にあるものの、製造品出荷額ではほぼ横ばい、従業者 数では微増、粗付加価値額では順調に増加を示しており、本地域の産業集積の足腰の強さともよ みとれる。 業種別には、事業所数で一般機械器具(17.4%)、金属製品(11.4%)、電子・デバイス(11.3%) 、 食料品及び飲料等(8.8%)、精密機械器具(8.8%)、電気機械器具(7.3%)が多く、同様に従 業員数でみると、電子・デバイス(18.8%) 、一般機械器具(13.9%) 、電気機械器具(10.3%)、 - 3 - 情報通信機械器具(9.2%) 、輸送用機械器具(9.2%)、精密機械器具(9.1%) 、食料品及び飲料 等(8.6%)などが多くなっている。 従業員 (人) 上伊那地域工業の推移(H18) 事業所数 (所) 1,100 35,000 28,592 28,292 26,520 27,060 26,833 27,418 従業者数 957 950 800 893 製造品出荷額等 (億円) 10,250 28,868 839 804 事業所数 773 8,882 9,528 800 9,590 9,367 7,141 650 25,000 20,000 738 9,473 30,000 15,000 10,000 5,000 0 500 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 さらに、本地域の工場立地をみると、平成9年から 18 年の 10 年間に 67 件(敷地面積 89.8ha) の立地がみられ、平成 18 年の立地件数では長野県内シェアの 28.8%を占めている。 上記にみられるように、本地域の産業の特徴は、機械・金属を中心とした加工型業種が事業所 で 66.6%、従業者数で 78.7%と際だった集積をみせていることであり、この集積が本地域の強 みとして着目されるものである。加えて、地域資源を活用し、農工連携、農医連携を目指す食品 加工分野(食料品及び飲料)にも着目し、基盤強化を図っていくものとする。 ③本地域の産業集積にかかる各種支援機関、研究機関等の存在 1)信州大学 信州大学は南箕輪村に農学部を有し、民間企業との共同研究などにより機能性食品等商品開発 に協力している。このほか圏域外の松本市に人文学部、経済学部、理学部、医学部を、長野市に 教育学部、工学部、上田市に繊維学部を有しており、工学部と繊維学部では圏域内の機械、精密、 電機、電子等の分野の民間企業との共同研究や、国のプロジェクトを共同で実施して企業の研究 開発向上支援に取り組んでいる。また、医学部では医のニーズと産業界の技術力とを連携する医 工連携に取り組み、地域産業の新分野進出を支援している。 2)県機関 a 長野県伊那技術専門校 新規学卒者や求職者を対象として、機械製造業等で必要とされる基本的技術・技能の訓練を行 い、就職を支援するとともに、在職者に対するスキルアップ研修も行っている。また、企業の新 規採用者を対象とした機械系の訓練も行っている。 b 長野県看護大学 - 4 - 人材育成とともに、臨床現場の看護職者や地域住民との交流、産学官連携を行っている。 c 長野県工業技術総合センター 製造業に対する公設試験研究機関として、依頼試験、機器貸付、技術相談、人材育成等を行っ ている。県下4ヵ所に技術分野別に材料技術部門(長野市) 、食品技術部門(長野市) 、情報技術 部門(松本市)、精密・電子技術部門(岡谷市)の4部門が設置され、各分野に特化した試験研 究設備が整備されている。機器を利用した依頼試験や機器貸付のほか、職員による技術相談や共 同研究、受託研究、人材育成等により、企業の先端的技術開発、製品評価、品質対策等の要求に 応えている。もともと4部門が独立した公設試であったものをセンター化し、複合的な技術課題 への柔軟な対応など、効率的な支援に努めている。上伊那地域からの利用は、部門の設置されて いる長野、松本、諏訪地域に次ぐ件数となっている(上伊那地域の平成 18 年度利用実績:依頼 試験 2,879 件、施設使用 1,353 件、技術相談 1,504 件) 。 3) (財)長野県テクノ財団 伊那テクノバレー地域センター 本センターを中心とした産学官交流や技術開発、人材育成を進め、新産業の創出、新規創業を 促進するとともに、地域の特性を生かした産業間の連携による高付加価値化を推進している。 4) (財)上伊那産業振興会 伊那技術形成センター 伊那インター工業団地内にあり、地域の企業に対する研修やセミナーを実施するとともに、 「世 界一を目指し行動する上伊那地域企業の会」等の事務局としての活動を行っている。 5)AREC(浅間リサーチエクステンションセンター)伊那分室 企業経営、人材に関する支援を行っている。中小企業の人材不足の一因となっている中小企業 に対する一般(就職予備軍)の情報不足を埋めるための啓発活動を実施している。 6)伊那市創業支援センター 新規創業者向けの貸事務所・貸工場の提供を行っている。 7)各商工会議所・商工会 各地域事業者に対する各種支援、情報提供をはじめ、経営指導員による相談業務等を実施して いる。 また、本地域の圏域外で密接な連携を有するものは以下の機関があげられる。 8) (財)長野県中小企業振興センター 経営支援・経営革新、人材育成、情報提供等中小企業振興に係る諸事業をワンストップで行っ ている。 9)諏訪東京理科大学 受託研究をはじめ、学内に企業との共同研究スペースを有するなど産学連携を推進している。 ④道路等の施設の整備状況等 1)道路 本地域はこれまでも地域内のアクセス向上に努めてきており、今後も産業活動の安定等を目指 し、以下のような道路等整備を行っていくことにしている。 - 5 - 道路整備 ・三遠南信自動車道の早期開通要望 機関等 圏域全体 ・伊那インターと国道 153 号を結ぶアクセス道路主要地方道伊那イン 伊那市 ター線の整備(環状北線) (平成 20 年供用開始) ・中心市街地から中央自動車道へのアクセス向上を図るため、 小黒川PAへのスマートICの設置調査、検討 ・箕輪町から伊那市までの国道 153 号伊那バイパスの整備 (箕輪町・南箕輪村間ほぼ整備済み。天竜川の橋梁と伊那市内の建 設計画推進) ・伊那市ナイスロードの国道 153 号から広域農道へ至る環状南線の整 備促進 ・国道 153 号伊南バイパス駒ヶ根工区の整備(平成 19 年 12 月供用開 駒ヶ根市 始) ・南田市場土地区画整理事業による都市計画街路整備(平成 22 年供 用開始予定) ・中央自動車道駒ヶ岳SAへのスマートICの設置検討 ・幹線道路の拡幅やバイパスの整備促進 辰野町 ・国道 153 号伊南バイパス飯島工区工事着工(平成 19 年度より) 飯島町 ・主要地方道伊那生田飯田線改良工事及び国道 153 号伊南バイパスへ の接続道路の整備促進 ・国道 153 号伊那バイパス促進期成同盟会 (伊那バイパスⅡ期工事として早期実現に向け要望中) 宮田村 上記に加え、地域内の東西幹線が国道 361 号に依存しているため、東西を結ぶ幹線道路整備に ついても今後、検討していく。また、鉄道路線も乗り継ぎ、本数等時間的な移動向上について、 JRに要望するなど、積極的に働きかけを行っていく。 2)産業用地、産業施設等 工業用地については、現在、各市町村内において以下のような状況となっている。また、工業 団地以外の工場跡地等も存在している。企業の新規投資については、まずこうした既存用地への 導入を図っていくこととしている。 - 6 - 表 上伊那地域における主要工業団地一覧 市町村 名称 全体面積(㎡) 伊那インター工業団地 上ノ原工業団地 伊那市 東原工業団地 六道原工業団地 鳥居沢工業団地 上の原工業団地 駒ヶ根市 大田原工業団地 北の原工業団地 下平工業団地(検討中) 辰野町 北沢工業団地 新町工業団地 帯無工業団地 箕輪町 松島工業団地 南原工業団地 中田切工業団地 飯島町 陣馬工業団地 針が平工業団地 久根平工業団地 北殿工業団地 南箕輪村 田畑工業団地 北原工業団地 丸山工業団地 中越 宮田村 つつじが丘工業団地 松の原工業団地 479,881 162,981 225,859 189,002 29,727 70,942 121,285 26,500 73,695 258,071 102,700 167,678 268,406 185,000 130,639 71,943 37,658 80,247 103,500 34,000 82,000 35,652 3,000 38,990 95,182 主要立地企業名 幸信製罐㈱、㈱長野ケンウッド、㈱ティービーエムほか 日本電産サンキョー㈱、長野日本電気㈱、NECライティング㈱ほか ㈱キッツほか ㈱ニイタカ、ロジテック㈱、㈱南信化成ほか ㈱小松総合印刷 ㈱ハヤシ、㈱アイオー・テクノ、ハチ食品㈱ほか トーハツ㈱、トヨセット㈱、塚田理研工業㈱ トヨセット㈱ オリンパス㈱、ハヤシプレシジョン㈱、扶桑化学㈱ほか ㈱IHI回転機械、㈱日本点眼薬研究所、㈱日本メカトロニクスほか リズム時計工業㈱ほか セイコーエプソン㈱ほか NTN㈱ほか 日本電産㈱、ひかり味噌㈱ほか ㈱マルヤス長野ほか ㈱飯島セラミック 内堀醸造㈱ほか 信英蓄電器箔㈱、㈱日本ピスコ、㈱ハーモ ㈱アイゼット、㈱テムソン、㈱アクトジャパン ルビコン㈱、小松工業㈱、日本電産ロジスティック㈱ 東洋エクステリア㈱中央研究所、㈱北川製菓 ㈱ミヤタ、㈱信濃工業ほか オリンパス㈱、日本発条(株)産機事業本部ほか タカノ㈱南平工場、横河エレクトロニクス・マニュファクチャリング 南平工業団地 158,376 ㈱駒ヶ根工場ほか 合計 3,232,914 資料)上伊那地域産業活性化協議会(2007)『企業立地促進計画策定に向けた市町村アンケート調査』 今後、多様化する立地企業ニーズに対応できるよう工業団地及び用地の提供を行っていく。産 業用地については、計画的な整備を行っていくことにしており、特に産業用地が不足している町 村において計画的な産業用地供給を図っていくため、工業団地整備に向けた検討を行う。 産業施設については、「伊那市創業支援センター」が、新規操業希望者向けの賃貸事務所・工 場を用意し、将来の独立を支援するため、平成 19 年4月にオープンした。また、駒ヶ根市にお いても既存の工業団地内に賃貸工場の建設を検討している。 その他、既存の「伊那技術形成センター」についての機能強化を図っていくことを検討する。 また、本地域外ではあるものの「長野県工業技術総合センター」とも本地域の企業は密接な関係 性を有していることから、長野県においても機械設備の更新を含め機能拡充を図ることを検討す る。 ⑤本地域が目指す産業集積の概要 近年の世界的な経済拡大にともなう日本製品の旺盛な需要下において、我が国製造業が活況を 呈しているなかで、本地域の製造企業についても、その特色を活かした生産活動を行っている。 我が国全体でみた場合、金属、化成品、高機能繊維等の素材・部材供給型産業、あるいは輸送用 機械、電気機械、産業用機械等の加工組立型産業が非常に好調な状況にある。本地域の製造業は、 こうした産業群に対して、技術力をもって加工した部品・部材を供給する産業群の集積に特化し ていることが特徴となっている。このような企業群においては、大企業といわれる企業は少なく、 - 7 - 事業所の平均従業員数は 34 人と、中小企業がその中心的役割を担っている。こうした中小企業 群は個々の企業において技術志向が強いことが特徴としてあげられる。同様なことは、本地域を 含む他の長野県圏域、特に圏域を接する諏訪・岡谷地域、下伊那地域にもいえることであるが、 特に本地域におけるもうひとつの特徴としてあげることができるのが、 「1(1)②」にあげた 技術の高度化や人材育成等を目的とした積極的な企業間ネットワークの存在である。世界的な競 争環境下において、我が国製造業、特に地域中小企業が生き残っていくためには、日本ならでは の製品開発や技術力の向上に向けた行動を怠ることなく、常にブラッシュアップしていくことが 求められている。 一方、本地域の操業環境をみた場合、本地域企業群の市場でもある中京圏、関東圏へのアクセ スの良さのなかで、本地域を含む広域なものづくり圏域を形成し、圏域間での切磋琢磨が行われ ている。伊那盆地という地理的条件下にあっては、工場用地をはじめとする用地供給や各種基盤 整備の向上とともに、さらなる製品開発力及び技術力の向上、人材供給に対する支援などといっ た経営基盤を産学官一体となって強化することが求められている。 また、水稲栽培に大きく依存してきた本地域の農業であるが、平成 19 年度より導入された品 目横断的経営安定対策により、本地域にも地域農業の担い手として多くの集落営農組織が設立さ れ、農用地の集積と有効利用、経営体の安定のため、水稲栽培から新たな営農形態へ積極的に踏 みだそうとしている意欲が非常に高い地域である。さらに、農産物輸出国が輸入国に姿を変え、 国内では安全・安心志向への加速化による輸入農産物への不信が増すなど、農産物を中心とする 「食」に対する環境変化がある。この状況は、農業を基幹産業とする地域にとっては、かつてな い好機であると捉えることができる。この時期に新たな農産物資源の確保・定着とともに、農・ 工・医等の連携によって食への応用、医への応用へと範囲を拡大していくことで、営農経営基盤 強化のみならず、新たな地域ブランドの創出、事業展開をも生み出すことが求められている。し たがって、本地域で目指す産業集積の姿は、本地域の強みである業種(高度加工技術産業、健康 長寿関連産業)の一層の集積・強化を図ることを主眼とする。そこで形成された各種経営資源が、 事業高度化、異業種や他業種との連携を促し、もって本地域の産業全体の経営基盤強化につなが ることを目指すものである。そのことがさらに新たな企業の立地や起業・産業を誘発するという 好循環へとつながっていくことが期待できる。 本地域は、以下の具体的な業種について、次の2分野のさらなる集積強化を図ることとする。 1)高度加工技術産業 産業中分類業種:繊維工業(1112 化学繊維製造業 に限る)、印刷・同関連業、化学工業、プ ラスチック製品製造業、鉄鋼業、非鉄金属製造業、金属製品製造業、はん用 機械器具製造業、生産用機械器具製造業、業務用機械器具製造業、電子部品・ デバイス・電子回路製造業、電気機械器具製造業、情報通信機械器具製造業、 輸送用機械器具製造業、その他の製造業 - 8 - <業種選定の考え方> ・ 一般機械、電気機械(情報通信機器等含む) 、輸送用機械、精密機械等の加工組立分野に おける樹脂・プラスチック、化学素材、非鉄及び金属素材の各種部品・部材の製造加工 分野で国内でも有数の企業が存在している。 ・ 技術力の向上や事業高度化を支援し、また企業間連携強化を図るとともに、補完関係に ある協力企業の立地を促進することにより、厚みのある産業集積の形成を図る。 2)健康長寿関連産業 産業中分類業種:食料品製造業、飲料・たばこ・飼料製造業、繊維工業(1112 化学繊維製造業 に 限る) 、化学工業、学術・開発研究機関 <業種選定の考え方> ・ 食料品関連産業(飲料含む)は、事業所数で金属機械系産業に次ぐ集積となっている。 こうした企業群には、農業資源、自然環境を活かし、食の安全・安心を前提とした加工 食品(寒天、こうや豆腐、薬用酒等)企業が多く、その中には、機能性食品等の開発を 目指す企業もみられる。 ・ 信州大学農学部とともに、医薬等の研究開発を行う学術・開発研究機関が立地しており、 信州大学医学部との連携も進められている。 ・ 健康長寿長野県を支えるため、食品加工産業を中心に農工連携、農医連携、医工連携等 他産業との積極的な連携を図っていくこととする。 なお、長野県上田広域、諏訪、上伊那、松本市、塩尻市・筑南地域と山梨県全域の各協議会構 成員等との情報交換や広域的な連携事業を進め、当地域の集積活性化を一層促進する。 (2)具体的な成果目標 a.現状 (平成 18 年速報値) 集積区域における集積業 種全体の粗付加価値額 4,200 億円 b.計画終了後 4,500 億円 増加率 ((b-a)/a×100) 7.1% (3)目標達成に向けたスケジュール 取組事項 平成 (取組を行う者) 19 年度 空き工場建屋、遊休地等の情報 収集及び活用(県、各市町村等) 貸事業所の整備検討(各市町村 等) 長野県工業技術総合センター の試験機器の整備(県) 平成 20 年度 - 9 - 平成 21 年度 平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度 産業人材育成支援センター& ネットワーク事業による人材 育成(県、各市町村、関連機関 等) 県産業界・地域企業等のニーズ を反映した人材育成事業の推 進(県、伊那技術専門校、各市 町村・教育機関等) Iターン等による人材確保の 支援(県、各市町村、関係機関 等) 工科系教育機関の誘致検討 (県、各市町村) 「伊那技術形成センター」の機 能拡充・強化の検討((財)上 伊那産業振興会、各市町村) 長野県工業技術総合センター による成長産業分野への進出 支援(県) 優遇制度拡充の検討(県、各市 町村) 「上伊那テクノバレーマップ」 (仮称)の作成検討((財)上 伊那産業振興会、各市町村、商 工会議所・商工会等) 地域アドバイザー等の連携推 進((財)長野県テクノ財団、 (財)長野県中小企業振興セン ター、商工会議所・商工会等) 長野県、上伊那地方事務所及び 各市町村との連携(県、各市町 村、関係機関) 「上伊那地域産業活性化協議 会」の充実・強化(構成員及び 関連機関) ワンストップサービス体制の 構築(構成員及び関連機関) 広域連携推進事業(長野県上田 広域、諏訪、上伊那、松本市、 塩尻市・筑南地域と山梨県全域 の各協議会構成員等) - 10 - 2 集積区域として設定する区域 (1)集積区域の可住地面積 本計画において、集積区域は「上伊那地域8市町村」とする。 集積区域の可住地面積は、以下のとおり 32,911ha となっている。 表 上伊那地域における可住地面積 可住地 面積 20209 伊那市 20210 駒ヶ根市 20382 辰野町 20383 箕輪町 20384 飯島町 20385 南箕輪村 20386 中川村 20388 宮田村 上伊那地域計 14,452 4,670 2,556 3,130 2,947 1,738 1,935 1,483 32,911 行政区画面 積 66,781 16,592 16,902 8,612 8,694 4,090 7,705 5,452 134,828 (単位:ha) 可住地面積 林野面積 割合(%) (参考) 52,329 11,922 14,346 5,482 5,747 2,352 5,770 3,969 101,917 21.6 28.1 15.1 36.3 33.9 42.5 25.1 27.2 24.4 注1)平成19年10月1日現在市町村による合算集計 注2)可住地面積=行政区画面積−林野面積(森林原野・牧草地)−湖沼面積であるが、当該地域には湖沼は存在しない。 注3)駒ヶ根市と宮田村に境界未定地域が存在するため、当該地域については『平成18年全国市町村要覧』に掲載されている値を採用した。 資料)国土地理院(2007)『全国都道府県市区町村別面積調』(平成19年4月1日現在行政区画面積) 市町村自治研究会(2007)『平成18年 全国市町村要覧』(平成18年10月1日現在境界未定地域を含む行政区画面積) 農林水産省『2005年農林業センサス』(平成17年2月1日現在林野面積) (2)各市町村が集積区域に指定されている理由 本地域は、「1(1)①」にみたように、伊那盆地の北半に位置し、過去より一体となった各 種行政事務を行ってきたことに加え、歴史・文化も同一性を有している。このため、十分に自然 的経済的社会的条件からみた一体性を確保している。したがって、本計画において、企業立地の 促進等による地域における産業集積の形成及び活性化を図る区域(以下、「集積区域」という) を、本地域8市町村で構成される 134,828ha(行政区域面積)の区域を対象とする。 なお、自然公園法に規定する自然公園地域、長野県自然環境保全条例に規定する県自然環境保 全地域及び郷土環境保全地域、自然環境保全法に規定する原生自然環境保全地域及び自然環境保 全地域、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律に規定する鳥獣保護区及び鳥獣保護区特別保 護地区並びに絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律に規定する生息地等保護 区域、環境省指定の特定植物群落の環境保全上重要な地域については集積区域の設定を行わない ものとする。 - 11 - (3)地域図 長野県 上伊那地域構成市町村 - 12 - 上伊那地域集積区域図 注)平成 19 年 11 月現在 ※企業立地の促進に適さない、自然公園法に規定する自然公園地域、長野県立自然公園条例に規定す る公園地域、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律に規定する鳥獣保護区、環境省指定の特定植 物群落の環境保全上重要な地域などについては、集積区域の設定を行わないものとする。 - 13 - 3 集積区域の区域内においてとくに重点的に企業立地を図るべき区域 (区域) 伊那インター工業団地 (住所) 伊那市西箕輪 2148-52、2148-53、2148-127、2148-173、2148-174、2148-175、2148-178、2148-186、 2148-187、2148-188、2148-197、2148-198、2148-199、2148-760、2148-778、2148-802、2148-803、 2148-805、2148-806、2148-808、2148-809、2415、2415-6、2415-7、2415-8、2433-3、2433-4、 2433-5、2445、2445-4、2445-5、2445-8、2640、2640-6、2640-10、2676-1、2676-5、2700、 2700-2、2700-10、2700-11、2700-12、2701-3、2701-5、2701-6 (合計面積:47.9ha) 注)平成 19 年 11 月 1 日現在 4 工場立地法の特例措置を実施しようとする場合にあっては、その旨及び当該特例措置の 実施により期待される産業集積の形成又は産業集積の活性化の効果 本計画では、現時点では工場立地法の特例措置を実施することは予定していない。 今後、企業ニーズや立地環境等のみならず、これらの実情を踏まえつつ検討するものとする。 5 集積業種として指定する業種(以下「指定集積業種」という。 ) (1) 業種名 本地域においては、以下の2業種(産業)について指定集積業種とする。なお、指定集積業種 については、計画進捗の成果を適正に評価するためのツールとしての観点、ならびに本地域にお けるシェア等からみる一定のまとまり、裾野業種の広さ等を鑑み、また、地域内製造企業による 経済活動を活発化することにつながる可能性の高い分野・領域等であることに着目し、産業中分 類をベースとして設定した。 ①高度加工技術産業 ②健康長寿関連産業 ○日本標準産業分類上の業種名 それぞれの分野と、その該当する標準産業分類中分類業種名称、ならびにそれに属する本地域 の代表的製品については以下のとおりである。 ①高度加工技術産業 産業中分類名称 繊維工業(1112 化学繊維製造業 に限る) 印刷・同関連業 業種 コード 本地域の代表的製品例 11 合成繊維 15 印刷業、印刷物加工業 - 14 - 化学工業 16 重合トナー等 プラスチック製品製造業 18 自動車ダッシュボード、成形品、金型、日用雑貨等 鉄鋼業 22 鋳物、鋳鉄、鍛工品、各種鋼材等 非鉄金属製造業 23 合金鋳物、非鉄金属鋳物、ダイカスト、鍛造品等 金属製品製造業 24 板金・プレス製品、塗装、めっき・表面処理等 はん用機械器具製造業 25 弁、ベアリング、空気圧シリンダ、各種機械部品等 生産用機械器具製造業 26 工作・加工機械及び同部品、特殊産業用機械部品、 各種機械部品等 業務用機械器具製造業 27 分析機器、精密測定器、医療用器械、光学機器等 電子部品・デバイス・電子 28 抵抗器、コンデンサ、小型モータ、コネクタ、セン 回路製造業 サ、プリント回路、水晶デバイス等 電気機械器具製造業 29 内燃機関電装品、検査・計測器等 情報通信機械器具製造業 30 測定装置、制御装置等 輸送用機械器具製造業 31 自動車部分品、航空機付属品部品、船舶部品等 その他の製造業 32 標識・看板、ゴルフシャフト、ぼたん等 ②健康長寿関連産業 産業中分類名称 食料品製造業 業種 コード 本地域の代表的製品例 09 寒天、こうや豆腐、農産保存食品、調味料、冷凍食 品、機能性食品等 飲料・たばこ・飼料製造業 10 清酒、薬用酒等 繊維工業(1112 11 合成繊維 化学工業 16 医薬品、化粧品等 学術・開発研究機関 71 医薬・薬効・食品試験研究、医薬品開発 化学繊維製造業 に限る) 総括表 製造業中分類業種のうち指定集積業種に該当する業種 指定集積業種 製造業中分類業種名 高度加工技術産業 健康長寿関連産業 09 食料品製造業 ○ 10 飲料・たばこ・飼料製造業 ○ 11 繊維工業(1112 ○ 化学繊維製造業 に限る) 15 印刷・同関連業 ○ 16 化学工業 ○ 18 プラスチック製品製造業 ○ 22 鉄鋼業 ○ - 15 - ○ ○ 23 非鉄金属製造業 ○ 24 金属製品製造業 ○ 25 はん用機械器具製造業 ○ 26 生産用機械器具製造業 ○ 27 業務用機械器具製造業 ○ 28 電子部品・デバイス・電子回路製造業 ○ 29 電気機械器具製造業 ○ 30 情報通信機械器具製造業 ○ 31 輸送用機械器具製造業 ○ 32 その他の製造業 ○ (2) (1)の業種を指定した理由 ①高度加工技術産業 本地域の機械工業の出発点は、戦時中の精密、光学系を中心とした疎開工場が立地し、こうし た企業の部品加工を行う協力工場が地元に生まれ、集積したことによる。そのため、国内でも珍 しく軽薄短小型の産業構造からスタートしているともいえる。その後は、我が国産業発展の過程 とともに、本地域のものづくり産業も、電気機械、電子部品、その他機械関連部品など、その内 容も複合化、重層化しつつ変遷を重ねてきた。近年は、我が国ものづくりを代表する自動車をは じめとする輸送用機械や情報家電、各種産業用機械等の産業が活況を呈するなかで、中央自動車 道という関東圏と中京圏とを結ぶ我が国屈指の国土幹線のほぼ中央に位置するという恵まれた 立地条件によって、主要企業の立地とともに取引拡大や市場分野の拡がりにともない、地域製造 業もそれぞれの業容を拡大しつつある。また、個々の企業においても得意技術の向上、深化を図 ることによって、多角的な部品加工へと求められる技術範囲が拡がっている。 近年、本地域の企業群に対しては、各種部品のユニット化やモジュール化への移行とともに、 個々の企業に求められる品質の向上を高めつつ、短納期、コスト削減の要求を実現することが喫 緊の課題となっている。こうした課題に対して、単一技術の向上とともに多品種少量に対応した 生産体制、また、複合的な技術を併せもつことが必要な状況となっている。さらに、部品加工の 素材も化成品、樹脂、金属、非鉄金属など多様化しており、それぞれに対応した加工技術を獲得 していくことも一方で求められている。 立地環境の向上から本地域にも、航空機関連部品を生産する新たな分野への可能性をもたらす 企業も立地している。こうした集積状況を裏付けるように、各種統計指標をみても、金属、機械 系業種の比率が高くなっている。我が国産業構造及び国際競争力の強化という観点からみた場 合、各種機械産業の部品・部材加工の技術の拡がりを有していることは、本地域の“強み”とする ことができる。高度加工技術の向上は切削、研磨、プレス、表面処理等といったものづくりの要 素技術、設計、あるいはオリジナリティといった企業の発展に必要な要素をも同時に向上させる ことにつながる。こうしたことから、当該企業群を中心とする関連業種が果たす役割は、本地域 - 16 - のみならず長野県にとっても重要であり、かつ、産業振興及び波及効果においても大いに期待さ れるところである。 このように本地域において、これら業種への支援を行うことで、当該分野における高度加工、 幅広い技術の付加価値化を育成しつつ、他分野への展開及び異分野との連携可能性を高めるだけ ではなく、新たな産業誘発の可能性をももたらすことになる。 以上により、本計画においては、これら産業群を「高度加工技術産業」として本計画における 指定集積業種とした。 ②健康長寿関連産業 本地域は盆地という特性から稲作以外に果樹、野菜、穀類等の畑作を中心とした農業が盛んな 地域でもある。そのなかから、寒暖差等の自然条件を活かし、農産物資源を加工・保存する技術 が培われてきた。そのような代表例として寒天、こうや豆腐、酒類などがあげられ、多様な食文 化が生まれてきた。また、本地域が進めている誘致活動によって立地した企業の選定理由には、 水や自然環境に加え農業分野に関係する要因が大きく、特に食品関連企業においては、消費者の 農産物に対する安全・安心志向の高まりによって、先の要因がかなりのウェイトを占めているこ とが明らかとなっている。特に豊かで良質な中央アルプスの伏流水は、本地域における様々な産 業を支える源となっている。これらの水源は、極めて高品質な米、果樹、薬草等を育み、これら を活用して本地域において生産される清酒、薬用酒、醸造酢などの多くは、全国的にも知られる ブランドとして各方面から高い評価を獲得している。 こうしたことからも、本地域では企業側からの要望に応じた作物の供給体制を整える等、企業 の求める条件を農業分野が提供することで、農業者・工業者双方にメリットをもたらすシステム の構築が必要となっている。このようなシステム構築のプロセスにおいて、農業者・工業者が双 方の人材を結びつけることで、地域間競争に打ち勝つための産業基盤整備が進み、地域産業の活 性化が促進することとなる。また、この連携に商業者が付随することで、本地域内に6次産業が 形成され、地域ブランドの創出も可能となるため農工商の連携も重要となっている。 こうした背景にあって、食の安全・安心とともに健康長寿県としての関心が高まることによっ て、食物素材の機能性に着目した食品開発に取り組む企業も現れるなど、地域資源に密着した食 料品関連企業群の存在が本地域の“強み”となっている。さらに、本地域には、信州大学農学部、 医薬・試薬の開発、食品検査、薬効検査を業務とする民間研究機関が立地している。また、本地 域外であるものの、信州大学医学部を加えた連携も始まっている。こうした環境をさらに醸成し、 機能性食品、健康志向食品の研究・開発を促すことで、食料品加工産業の発展をもたらすことに つながる一方、信州大学、民間試験研究機関、食品関連企業、加工企業群が連携することで、農 工連携、農医連携、さらに、医工連携による健康長寿長野県を本地域からアピールする可能性を 有するとともに、新たな地域ブランドとしての付加価値を創出することになる。 農業資源の活用が食品関連や医薬関連産業の集積を促進し、工・医、さらには商といった各産 業と連携することで、相互の情報やノウハウを活用しながらスムーズ、かつ、時機を逃さない事 - 17 - 業展開を図っていくことが可能となる。 このように本地域では伝統的な食品加工に加え、新たな食品分野、医薬等への展開可能性を積 極的に進め、高度加工技術産業とも連携することによって、農業への活性化につながるとともに、 新たな産業創造が期待でき、本地域における産業及び経済基盤の強化、波及効果が大いに期待さ れるところである。もって、こうした企業群を「健康長寿関連産業」として本計画における指定 集積業種とした。 6 指定集積業種に属する事業者の企業立地及び事業高度化の目標 それぞれの指定集積業種の目標値ならびに具体的課題、事業環境整備等の戦略・方向性につい ては以下のとおりである。 (1)目標値 指定集積業種 目標数値 工場立地件数(新増設) 50 件 (用地取得を伴わない事業高度化を含む) 工場立地(敷地)面積 45 ha (新規土地取得分) 製造品出荷額等の増加額 700 億円 製造業従業者の増加数 1,000 人 (2)課題と取組の方向性 ①高度加工技術産業 具体的課題 ・ 要求される短納期、低コスト、品質維持を実現するには、技 術の維持、機械設備の導入・更新とともに、人材の育成・確 保が必要となっている。しかし、機械設備導入・更新には多 大な費用を要する。また、本地域でも必要な人材の確保が困 難になりつつある。 ・ 安定的な経営基盤を確立するためには、他にない技術、多様 な技術を複合化することが求められており、さまざまな技術 を導入する必要に迫られている。 ・ また、受発注の拡大を図ることも経営基盤強化に必要なこと である。しかし、個々の企業努力だけでは限界があり、受発 注機会・企業PRの機会を増やすことが必要である。 - 18 - 事業環境整備の 戦略・方向性 ・ 機械等の設備更新にあたっての制度・紹介等に積極的に努め る。また、設備投資に対する支援制度の拡充を検討する。 ・ 人材確保にあたっては、工業高校等の実践教育とともに、年 少時代からのものづくりの楽しさ・面白さを体験するような 学習を導入することを検討する。 ・ 地域だけでの人材供給には限界があることから、U・I・J ターンによる人材の確保に積極的に努め、地域の生活環境向 上による定住人口の増加を図る。 ・ 技術向上支援のため、大学、県工業技術総合センター等との 連携を一層深め、また、技術指導をはじめ、技術支援機関の 機能拡充・強化についても検討を行う。 ・ 企業紹介、地域内外との連携、協業化に資するため、本地域 における企業の技術マップの作成の検討を行う。 ・ 展示会等各種機会を通じて、企業PR、受発注機会の増加に 努める。 ・ 短期的な事業、あるいは新規用地取得が困難な事業拡大を望 む事業者に向けた、賃事業所的な施設整備の検討を行う。 ②健康長寿関連産業 具体的課題 ・ 本地域の農業は稲作と遜色のない収益性をもつ土地利用型 作物の模索や、経営の根幹となる新作物の導入や普及に取り 組むなど新たな農業経営の領域に踏みださざるを得ない状 況にある。 ・ 現在の農産物市場を背景とした農業から、これまでとは角度 を変えた考え方や取組方による農産物を活かした振興策の 模索が必要となっている。 ・ 小規模事業者が多いことから、高付加価値化、新たな製品・ 商品、特産品等開発への取組面で自己開発が困難な状況にあ る。 ・ 食の安全や素材の機能性といった分析・確認等が難しい。 ・ 農・工・医・商が各々の役割分担と一体化することで、農産 物というひとつの基幹資源を起点に連携し、それぞれの担当 エリアで機能を発揮し、新たな資源の創出、産業化へとつな げていく必要がある。 事業環境整備の 戦略・方向性 ・ 企業の求める条件を農業分野が提供することで、農業者・工 業者双方にメリットをもたらすシステムを構築する。 - 19 - ・ 地域資源の新たな発見に努め、産学官、あるいは農工連携、 農医連携、医工連携等による産業化の可能性を探る。 ・ 機能性食品、保健食品等高機能化を促すため産学官連携を支 援する。 ・ 健康長寿県とともに産業面でのPR促進に努める。 ・ 研究開発を支援するため、賃貸ラボを賃貸工場とともに共用 施設整備の検討を行う。 ・ 栽培・加工・商品化技術など知的財産として管理、保有、使 用されることにより、新たな地域ブランドとしての付加価値 を創出する。 7 工場又は事業場、工場用地又は業務用地、研究開発のための施設又は研修施設その他の 事業のための施設の整備(既存の施設の活用を含む。 )、高度な知識又は技術を有する人材の 育成その他の円滑な企業立地及び事業高度化のための事業環境の整備の事業を実施する者及 び当該事業の内容 (1)産業用共用施設の整備等に関する事項 企業は、必ずしも工場用地に立地するとは限らず、工場跡地、あるいは工場建屋等を利用した 操業もみられる。このため、本地域では既存の工業団地等に限らず、企業が望む操業環境に対応 することで企業立地の実現可能性を高めることとする。 ①空き工場建屋、遊休地等の情報収集及び活用 本地域内市町村、不動産事業者が連携して空き建屋、遊休地に関する情報収集を行い、一元化、 データ化することにより、工場等の建設を検討する企業に対して情報提供を行う。 ②貸事業所(貸工場・貸事務所等)の整備検討 本地域内の企業規模はほとんどが中小企業であり、設備投資を行う場合の負担が大きい。その ため、技術支援や用地取得をともなわずに操業が行える賃事業所の整備について検討を行う。そ の際には、製造だけではなく、試験、あるいは研究開発的な事業でも可能な仕様とする。 ③長野県工業技術総合センターの試験機器の整備 長野県においては、集積指定業種のニーズにもとづき、製造業の技術支援機関である「長野県 工業技術総合センター」に先端的な試験機器を整備し、依頼試験や機器の貸付を通じ研究開発支 援の充実を図っていく。 (2)人材の育成・確保に関する事項 ①産業人材育成支援センター&ネットワーク事業による人材育成支援 長野県では、企業の人材育成に対する支援として、県内の産業人材育成に関係する教育機関、 - 20 - 経済団体、行政機関等でネットワークを構成し、新たに設置する産業人材育成支援センターがコ ーディネート役となって、効果的・効率的に企業の人材育成に対する支援を推進していく。また、 本地域における取組として、企業ニーズに対応した支援機関等での講座の開設のほか、企業に対 する支援プログラムを検討する。 ②県産業界・地域企業等のニーズを反映した人材育成事業の推進 産業界が必要とする人材の育成・供給を行うため、長野県工科短期大学校・技術専門校の訓練 コース等について、地域の産業集積、就業構造や技能・技術の動向等にもとづき必要な見直しを 随時行い、地域企業等のニーズを反映した人材育成機能を充実する。また、県産業大学講座や信 州ものづくりスキルアップ事業の技能向上研修の実施により、企業在職者の人材育成と技能継承 を積極的に支援する。上伊那地域においては、伊那技術専門校を地域の加工組立型製造業の人材 ニーズに応える拠点校として、機械・制御系統の訓練コースの充実を図る。 さらに、地域内の工業高校等での実践的なものづくり学習や、年少時代からのものづくりに親 しむ体験学習の導入などにより、ものづくりに対する面白さを伝えることを検討する。 ③Iターン等による人材確保の支援 首都圏等県外に就職している技術者等で、長野県を愛し長野県でその技術・知識を活かしたい と考えている潜在的な就職希望者に対し、県内企業等の求人情報を提供し、積極的な相談を実施 することにより、Iターン希望者のニーズを満たすとともに、不足する技術労働者等の確保を図 る。また、これまで同様、Uターン等による人材確保についても努めるとともに、企業OBの活 用についてもハローワーク、シルバー人材センター、各商工会議所・商工会とも連携して進めて いく。 ④工科系高等教育機関の誘致検討 本地域には、多様な技術を有する中小企業群が多数存在しているにもかかわらず、高度な技術 人材を育成する高等教育機関は存在していないことが、高等学校の卒業者等の人材の域外流出の 要因のひとつとなっている。そこで、地域での高度技術人材の育成に努めるため、また、産学共 同開発及び研究等にも資することになるため、工科系高等教育機関の誘致について検討を行う。 (3)技術支援等に関する事項 ①「伊那技術形成センター」の機能拡充・強化の検討 本地域内には、技術支援を本格的に行う施設がないため、こうした公設試を利用するには時間 をかけて他地域へ出かける必要があり、人員・時間的なロスが生じ、中小企業にとっては大きな 負担となっている状況が生じている。このため、本地域内における技術支援について既存の「伊 那技術形成センター」の機能充実・拡充を検討する。 - 21 - ②長野県工業技術総合センターによる成長産業分野への進出支援 「長野県工業技術総合センター」では、企業からの依頼試験、施設利用、先導的研究開発等を 行っており、最先端の分析評価機器(電子顕微鏡、食品分析機器、ノイズ対策試験機、応力測定 装置等)を導入することで、新製品の開発、新たな加工方法の採用、不良品の低減、品質規格へ の対応等、企業への技術支援を行い、技術力の高度化・国際競争力の強化・成長産業分野への進 出を支援していく。 (4)その他の円滑な企業立地及び事業高度化のための事業環境の整備に関する事項 ①優遇制度拡充の検討 新規立地企業だけではなく、既存企業の増設など設備投資に対する支援制度の拡充を検討す る。その際には、市町村のみならず地域金融機関等関係機関を含めた役割、効果的な優遇措置の 内容を検討する。また、公的支援については、内容が多岐にわたり、複雑でわかりにくい状況に あるため、さまざまな機会を通じて紹介・PRに努め、企業が利用しやすい環境を整えておく必 要がある。 ②「上伊那テクノバレーマップ」(仮称)の作成検討 地域の技術資源を整理・情報発信を行うことで、企業PRによる受発注機会の拡大、企業間連 携に資することとなるため、現在、各市町村で作成している企業紹介を地域全体としてまとめた 「上伊那テクノバレーマップ」 (仮称)の作成を検討する。 ③地域アドバイザー等の連携推進 県の産業立地推進役やアドバイザー等、 (財)長野県テクノ財団、 (財)長野県中小企業振興セ ンター等のアドバイザー、コーディネータ、各商工会議所・商工会の経営指導員等が連携を深め、 地域企業の課題を把握し、関係機関で課題解決に努めることとする。 ④広域連携推進事業((財)長野県テクノ財団伊那テクノバレー地域センター) (財)長野県テクノ財団伊那テクノバレー地域センターは、地域企業の支援のため、クラ スターマネージャー、専門家等の派遣・プロジェクトメイキング等を通じ、長野県上田広域、 諏訪、松本市、塩尻市・筑南地域、山梨県全域の各協議会構成員等との広域的な連携事業へ の参画や協働により、地域企業のネットワーク構築等を図る。 8 産業集積の形成等に密接な関係を有する者と市町村及び都道府県との連携に関する事項 企業立地、地域内産業振興に向け、市町村ならびに県、経済団体(商工会議所、商工会等)、 産業支援機関、試験研究機関等による効率的な連携を図るために、以下の取組を実施する。 - 22 - (1)長野県及び各市町村との連携 長野県では、企業誘致の初期情報を収集し、県内への進出を支援するため、東京、名古屋、大 阪の県外事務所に誘致担当者を配置するなど、情報収集体制を整備しており、県外企業の立地情 報の収集に努めている。また、こうした情報をもとに上伊那地方事務所、各市町村及び関係各機 関と密接な連携をとることとしている。 (2) 「上伊那地域産業活性化協議会」の充実・強化 地域内の産業振興に係る課題等を整理し、取組の検討等を行い、また、実施した取組の成果を 検討し、さらに実効性のある取組を行っていくこと(PDCA)が求められており、こうした全体協 議機関として計画策定にとどまらず「上伊那地域産業活性化協議会」の構成員、機能を充実・強 化することで対応するものとする。 9 市町村及び都道府県における企業立地及び事業高度化に関する手続きの迅速な処理を図 るための体制の整備に関する事項 ○ワンストップサービス体制の構築 本地域は、8市町村で構成されていることからワンストップサービス体制の構築が特に必要で ある。長野県のワンストップサービス、及び各市町村、上伊那広域連合等の関係機関との連携を 図ることとする。工場立地等にともなう諸問題に対して、迅速に処理できるように、県において は県庁内においてワンストップで調整を行う関連部局間(農地転用等所管の農政部、都市計画法 所管の土木部、開発許可所管の住宅部など)の連絡会の設置を検討することとし、各市町村にお いては、産業振興及び立地担当である商工担当課が中心となり、関連する都市計画、土木(道路、 建設、下水等)、環境関係担当課等で構成するプロジェクトチームにおいて対応するワンストッ プ機能を構築する。その際の窓口機能は商工担当課が担当する。 10 環境の保全その他産業集積の形成又は産業集積の活性化に際して配慮すべき事項 (1)環境保全等に関する事項 上伊那地域は、中央アルプスと南アルプスの豊かな自然環境に抱かれ、清浄な空気及び良質な 水といった、いわば天然資源が現在の本地域を支える産業集積をもたらしてきた。今後の本地域 の持続的な発展を目指していくには、貴重な自然環境や天然資源とともに共生していくことが重 要、かつ、求められている。企業にとっても、地域社会が有する価値観と調和のとれた事業活動 によって、地域に根ざし、地域とともに発展していくことが重要な要素となっている。 これまでも、長野県ともに地球温暖化対策、公害防止、リサイクル等に努めてきている。さら に、自然環境との調和、環境負荷の軽減に対して、企業のみならず地域住民等地域一体となった 取り組みを積極的に推進していくこととする。具体的には各市町村関連条例の遵守とともに、 『ふ るさと市町村圏計画』にそった「自然を大切にする圏域づくり」 、 「快適な圏域づくり」とともに、 以下のような取り組みについても推進していく。 - 23 - ・ 地域内での下水道整備を逐次進めていく。 ・ 事業活動用地については、新規用地は周辺土地利用を鑑み、可能な限り自然環境に影響を与 えないよう配慮する。 ・ 企業立地にあたっては、環境関係法令の遵守や環境保全・環境負荷の低減に向けた十分な配 慮を企業・行政ともに行い、事業活動に伴い生じうる環境保全上の問題に配慮しつつ、地域 社会との調和を図っていくものとする。また、県や市町村の計画等との整合性を図り、企業 の立地、事業活動等が住民の理解を得られるよう、企業、行政が連携して住民説明会を実施 し、周辺住民の理解を求めていく。 ・ 廃棄物の軽減・リサイクルの積極的な推進や、自然エネルギーの利活用等の温暖化対策につ いて、必要な情報を提供するとともに事業活動の定着を推進する。 ・ 事業所への立ち入り検査などによる公害の未然防止の徹底と適正な管理や改善についての指 導に努める。 ・ 地域で進める『豊かな環境づくり上伊那地域会議』活動の「環境学習支援事業」、 「自然観察」、 「環境講演会」についても、企業の積極的、主体的な参加を促していく。 ・ 既存のリサイクルシステム研究会をはじめとする各種活動のなかで、企業・地域住民に対す る環境、リサイクル等に対する普及活動を継続して実施し、さらなる意識向上を図っていく。 ・ 廃棄物の不法投棄を許さない環境づくりのための広報啓発活動を推進し、地域における環境 等に対する規範意識の向上を目指す。 (2)犯罪及び事故の防止にならびに地域の安全と平穏の確保に関する事項 地域の安全と平穏の確保は、環境保全と同様、地域の発展にとって欠かすことのできない要素 である。この面においても、長野県とともに、『ふるさと市町村圏計画』にそった「快適な圏域 づくり」、 「安全な圏域づくり」を進めている。特に本地域は、盆地地形であることから、住民生 活とともに企業の事業活動の安定化のため、地すべり、治山対策、砂防等水害・土砂災害の予防 対策に力を入れている。また、犯罪及び事故防止のため、以下のような取り組みについても推進 していく。 ・企業の事業所付近、特に車両出入口、交差点等にミラーの設置、警備員の配置等を求めてい く。 ・交通事故防止等のため、ガードレール設置、街路灯の設置、歩道の確保など交通安全対策を 実施していく。 ・冬期間、山間部の道路凍結による事故を防ぐため、除雪、凍結防止に努める。 ・地域の安全活動を推進するため、警察、自治体、防犯協会等関係機関と連携し、地域住民等 が行う防犯ボランティア活動等に参加するほか、活動に必要な物品、場所等を提供するなど の支援・協力に努める。 ・事業者及び従業員が犯罪の被害に遭わないための防犯設備等の充実を求めていく。 ・工場等付近で地域住民が犯罪の被害に遭わないようにするために、死角のない街並み形成に - 24 - 努める。 ・道路、公園、工事等における植栽の適切な配置及び剪定並びに防犯灯の照明により、見通し を確保するほか、夜間において公共空間や空地が地域住民に迷惑を及ぼす行為に利用されな いよう管理を図る。 ・従業員に対して法令の遵守や被害の防止について指導を行うと共に、外国人従業員には日本 の法制度及び生活習慣等について指導するよう啓発を図っていく。 ・外国人居住者と地域住民の相互理解を促すよう生活相談等の窓口を設ける。 ・事業者が外国人従業員を雇用しようとする際には、通訳人を確保するとともに、旅券等によ り、当該外国人の就労資格の有無を確認するなど、必要な措置を講ずるよう、警察と関係自 治体が連携して取り組んでいく。 ・犯罪又は事故の発生時における警察への連絡体制を整備する。 11 法第5条第2項第3号に規定する区域における同項第7号の施設の整備が、農用地等 として利用されている土地において行われる場合にあっては、当該土地を農用地等以外の 用途に供するために行う土地の利用の調整に関する事項 該当無し 12 その他の産業集積の形成又は産業集積の活性化の促進に関する重要事項 長野県、各市町村及び関係機関等が密接に連携し、きめ細かな情報交換により、多方面からの幅 広い情報を収集・共有し、上伊那地域の立地環境等を迅速に企業へ紹介できるようにする。その ため、 ・ 既存企業に対して、訪問等により事業活動上の課題抽出に努め、解決に向けた検討を行う。 ・ 工業展等への積極的な共同出展、あるいは地元での工業展の開催についても検討する。 ・ 企業訪問や企業立地支援機関等との連携により情報収集を行う。 などの諸活動を積極的に行っていく。 13 計画期間 本計画の計画期間は、計画同意の日から平成 24 年度末日までとする。 - 25 - (参考) ○ 平成 20 年2月1日 基本計画 同意 ○ 平成 22 年3月25日 基本計画の変更 同意 ・広域連携事業の追加 ・日本標準産業分類改訂に伴う指定集積業種の読替え - 26 -