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講義スライド - 東京大学 大学院理学系研究科・理学部

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講義スライド - 東京大学 大学院理学系研究科・理学部
放射線を測る
東京大学
工学系研究科
高橋浩之
1898 Ernest Rutherford
Types of radiation
neutron
Paper
Aluminum
Lead
Water
シリコン中での粒子の飛程(μm)
α線の飛跡
飛程
• 放射線の飛程は重要
– 検出器に届くかどうか
– 検出器中にエネルギーを落とすかどうか。
– 放射線の種類による応答の差が利用できる
• 阻止能(stopping power: dE/dx)
– 比電離を通して求められることが多い
• 比電離:単位走行距離あたりの電荷生成数
• これに一個あたりに必要なエネルギー(W値)を乗ずること
により阻止能が求まる.
Betheの式
阻止能 -dE/dx
-dE/dx:吸収物質内を通過する際に単位走行距離
あたりに失う平均エネルギー損失
-dE/dx=4πz2e4NZ/mv2
×[ln(2mv2/I) - ln(1-β2) -β2]
Z,N,I:吸収物質の原子番号,原子数密度,平均電離ポテンシャル
(10-20eV)
ze,E,m,v:入射粒子の電荷,エネルギー,質量,速度,β=v/c
β線の飛跡
電子線の飛程
• 吸収体の厚さを面密度で表示→物質によらない.
g/cm2
電子との衝突が主過程→単位体積あたりの電子数が重要
比重:ρ吸収体の厚さ:x とすると
面密度は, ρx
電子の通過に際して単位面積あたりの電子数は
NA/A・ρx・Z
Z/Aは軽い水素などを除いてほぼ一定なので,電子数は
面密度にほぼ比例
ガンマ線と物質の相互作用
レーリー散乱
光電効果
コンプトン散乱
電子対生成
光核反応
コンプトン効果
• γ線の散乱角θと反跳電子の角度φの関係
α: hν/m0c2
cotφ=(1+ α)tanθ/2
• クライン・仁科の式
線減弱係数
• X線,γ線が吸収物質中で単位走行距離あた
りに相互作用を行う確率を線減弱係数と呼ぶ.
• 全線減弱係数μ=μτ+μσ+μκ
– μτ 光電効果によるもの
– μσ コンプトン効果によるもの
– μκ 電子対生成によるもの
線減弱係数(Cont.)
• 強度I0のγ線が線減弱係数μの物質中をxcm
進んだ場合の強度Iは,
I =I0 exp(-μx)
I
半価層(強度が半分になる
ような吸収体の厚さ)
0
X
質量減弱係数
• 走行距離を面密度の単位で表現した場合
– μ→μ/ρ
(ρ: 密度)
線源
放射能
– 壊変の割合
• Bq=1dps(一秒間あたりの壊変数)
• Ci = 3.7 x 1010 dps
放射性物質の量が多ければ、放射能は大きくなる。
Radioactivity
Initial amount
Radioactivity
Half life
Half life
Nuclide
Half life
吸収エネルギー
ABSORBED ENERGY
場 FIELD
線源
SOURCE
生物への効果
BIOLOGICAL
EFFECT
Gy
グレイ
生物影響
を考慮
Bq
ベクレル
C/kg,R
Sv
シーベルト
放射線の人体への影響
確定的影響
脱毛や白内障、潰瘍、造血器官の異常、
胎児への影響など
確率的影響
発がん、遺伝的影響など
リスク
線量(Sv)
Radiation protection
3 Shielding
遮蔽体厚さの
指数関数で減衰
2 Distance
距離の2乗に反比例
距離ゼロで無限大になる
わけではない
1 Time
作業時間に比例
放射線の測定
放射線を測る
• 物質の電離→生じた電荷量を計測
• 物質の励起→発光を計測
気体中での電離
電離された分子
励起された分子
+
+
+
+
荷電粒子
電離に必要なエネルギーの平均値
(W値)
Average energy required to form one electron-ion pair
気体
アルゴン
ヘリウム
窒素
空気
酸素
メタン
W値 (eV)
電子
α線
27.0
25.9
32.5
31.7
35.8
36.0
35.0
35.2
32.2
32.2
30.2
29.0
30,000 e-ion pairs for 1 MeV energy deposition
気体を用いた電離箱
陽極
電子・陰イオン
+
-
陽イオン
気体
陰極
電圧
気体中での電子増倍の原理
電子
電場
気体分子
2次電子
電子
GM計数管の領域
電離箱
の領域
電圧
シンチレーション検出器
• 放射線が物質内部で生ずる発光現象を利用
した検出器
– 放射線入射によりシンチレータ内で励起・電離過
程が起こる.
– シンチレータ内で蛍光が生ずる.
– 生じた蛍光を光電子増倍管・フォトダイオード等
により発光量に比例した電気出力パルスとして取
り出す.
シンチレータ
光検出器
無機シンチレータ
有機シンチレータ
光電子増倍管
(Photomultiplier:PMT)
Properties of Common Inorganic Scintillators
Material
(nm)
NaI(Tl) (20°C)
pure NaI (–196°C)
BGO (20°C)
BGO (–100°C)
CsI(Na)
CsI(Tl)
CsI (pure)
CsF
BaF2 (slow)
BaF2 (fast)
LaBr3(Ce)
LaCl3(Ce)
Gd2SiO5(Ce)
Lu2SiO5 (Ce)
YAlO3(Ce)
max
(ns)
415
303
480
480
420
540
315
390
310
220
360
350
440
420
390
tf
g/cc
230
60
300
2000
630
800
16
2
630
0.8
35
20
60
40
31
r
Photons
per MeVat 662 keV
3.67
38,000
3.67
76,000
7.13
8,200
7.13
24,000
4.51
39,000
4.51
60,000
4.51
2,300
4.64
2,500
4.9
10,000
4.9
1,800
5.1
61,000
3.6
50,000
6.7
10,000
7.4
25,000
5.35
18,000
fwhm
5.5%
9.0%
5.5%
7.7%
2.5%
3.4%
8.5
8.0%
4.2%
Energy Resolution @ 662 keV (fwhm)
From P. Dorenbos, “Light output and energy resolution of Ce3+ doped scintillators,” Nucl Instr Meth, A486, pp. 208-213, 2002.
12%
BGO
10%
GSO
BaF2
8%
LSO
Lu Al O :Sc
3 5 12
YAlO :Ce
3
K LaCl :Ce
3
6%
CsI:Tl
YAlO3:Ce
4%
5
NaI:Tl
RbGd 2Br7:Ce
CaI 2:Eu
LaBr3:Ce
2%
LaCl :Ce
Theoretical Limit
(Counting Statistics)
3
0%
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
Luminosity (photoelectrons / 662 keV)
14,000
GM計数管
電離箱
シンチレーション検出器
低エネルギー
中エネルギー
光電効果
コンプトン効果
高エネルギー
電子対生成
光電効果の領域
電子対生成の領域
コンプトン効果の領域
検出効率
(ログスケール)
100keV
1MeV
光子エネルギー
半導体検出器
106
NaI
Counts
105
104
Ge
103
102
Decay of
108mAg
and
110mAg
Adapted from J. Philippot, IEEE Trans.
Nucl. Sci. 17, 446 (1970).
10
0
1
Energy (MeV)
2
半導体検出器
• 半導体の利用
– 固体の電離箱
– 固体を用いるため,高密度・阻止能が大
– 飛程の長い粒子に対しても全エネルギー吸収が
可能
– 気体電離箱と同様の動作
– エネルギー分解能が良好
半導体検出器
• 絶縁抵抗の高い結晶
– 高電圧を印加しても電流は流れないことが必要.
– 再結合や結晶中の欠陥に電荷がトラップされて
しまうことが問題
シリコン・ゲルマニウムの特性
原子番号
原子量
密度
ε値(eV)
バンドギャップ
固有比抵抗(300K)
固有比抵抗(77K)
電子移動度(77K)
正孔移動度(77K)
ファノ因子(77K)
シリコン
14
28.1
2.33
3.6
1.16
2.3x105Ωcm
107
2.1x104
1.1x104
cm2V-1s-1
0.08-0.16
ゲルマニウム
32
72.6
5.33
2.95
0.74
47
5x104
3.6x104
4.2x104
0.05-0.13
ε値
• 電子・正孔一対の生成に費やされる荷電粒
子の平均エネルギー
• 気体の場合のW値に相当する.
• 気体に比べて,半導体では,1/10程度の値を
示す.
• ε値が小さいほどキャリア数のばらつきも小さ
くなる.
化合物半導体検出器
Material
Ge (77K)
HgI2
CdTe
CdZnTe
GaAs
AlSb
Atomic number
32
80, 53
48, 52
48, 30, 52
31, 33
13, 51
Band gap (eV)
0.74
2.13
1.50
1.57
1.43
1.6
e-h pair creation
energy (eV)
2.97
4.2
4.4
4.6
4.2
Fano factor
0.08
0.19
0.09
0.14
me
40,000
100
1100
1000
8000
1100
mh
40,000
4
100
10
400
700
e mobility
(cm2/Vs)
h mobility
(cm2/Vs)
e lifetime (s)
te
10-3
10-6
10-6
10-5
10-8
?
h lifetime (s)
th
10-3
10-5
10-6
10-6
10-7
?
CdZnTe:
mte ~ 5 X 10-3 cm2/V mth ~ 5 X 10-5 cm2/V
+-V
Qind
++-
t
Vw
Vw
x
x
A. E. Bolotnikov, et. al.
Phys. Stat. Sol. (c) 2, No.
5, 1495–1503 (2005)
2 cm3 CZT coplanar-grid detector
(15 mm X 15 mm X 10 mm)
Cs-137
P. N. Luke, M. Amman, J. S. Lee, C. Q. Vu,
IEEE Trans. Nucl. Sci., vol.52, p.2041 (2005)
深さ方向~3次元位置情報の取得
Cs-137で1%を切る高いエネルギー分解能
CdZnTe 20 x 20 x 15 mm3
エスケープピーク
• X線のエスケープピーク
– 光電吸収につづくゲルマニウム特性X線が検出器
外に逃げ去ることがある.
– この場合,特性KX線が逃げることにより,光電
ピークの11keV下にピークができる.
– 低エネルギーγ線で顕著に現れる
• 消滅γ線のエスケープピーク
– 電子・陽電子対は消滅の際に,511keVのγ線を放
出
– シングルエスケープまたはダブルエスケープ
28Al
• Konputon
コンプトンイメージング
エネルギー情報を用いて
飛来方向を同定
自然界の放射線
自然放射性同位体
• ウラン系列
–
238U(45億年)→鉛
•
質量数 4n+2
226Ra,222Rn
• トリウム系列
–
232Th(140
億年) →鉛
質量数4n
• アクチニウム系列
–
•
235U(7.04億年)
→鉛 質量数4n+3
40K(12.5億年)
– 天然カリウム中に0.01%含まれる
自然放射線
• 宇宙線によるもの
– 一次宇宙線(高エネルギープロトン・α)
→ 二次宇宙線(ミュオン,中性子,…)
→3H,14C
•
14Cは5万年程度までの生体組織の年代測定に用いら
れる
Radiation dose from natural radioactivity
Cosmic
Internal dose
Radon
External dose
Terrestial
Food
Natural dose in Japan
各県の平均値
Except for radon contribution
新潟
1.08mSv
mSv/year
• 自然放射線レベルは県平均では±20%程度
であるが、地域によって10倍程度まで大きく
変化する。
Radiation and daily life
天然温泉
• ラドン 1 Bq/m3 ごとに 31 μSv/年 の被曝
• 温泉旅館ではラドン濃度 100-500 Bq/m3
3mSv/年 ~15mSv/年
雷
• 雷の発生にしたがって、放射線が発生する。
食品の放射能基準 Bq/kg
飲料水・牛乳・乳製品
放射性ヨウ素
放射性セシウム
ウラン
プルトニウム
野菜
ウラン
プルトニウム
放射性セシウム
放射性ヨウ素
肉・卵・魚その他
放射性セシウム
ウラン
プルトニウム
乳幼児食品
ウラン
プルトニウム
自然に含まれている放射能 Bq/kg
300
200
20
1
牛乳中のK-40 50
ビール中のK-40 10
100
10
500
2000
ホウレンソウ中のK-40
干しシイタケ中のK-40
200
700
魚中のK-40
干し昆布中のK-40
ポテトチップ中のK-40
100
2000
400
500
100
10
20
1
同じBqでもCs-137の方が約2倍
線量が大きいが。。
Annual dose
mSv
World average
Japan average
Medical
Medical
Fallout
Natural
Fallout
Others
Natural
Others
世界の各国の空間線量率分布
世界のラドン濃度マップ
ヨーロッパの各国の年間実効線量の平均値
日本の年間実効線量
ドイツの家でのラドン濃度の分布
日本の平均
~1mSv/年
~3.6nSv/h (31uSv/y) for 1 Bq/m3
(indoor)
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