...

4組の経年空中写真による九州大学粕屋演習林の 森林環境の変化の測定

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4組の経年空中写真による九州大学粕屋演習林の 森林環境の変化の測定
九大農学芸誌 (
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第4
4巻 第 3号
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4組の経年空中写真による九州大学粕屋演習林の
森林環境の変化の測定
長
正道・桑原
清*
九州大学農学部演習林
(
1
9
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9年 9月2
7日 受 理 )
TheMeasurementResultsofChangei
nEnvironmental Conditionof
KyushuUniversityForestsi
nKasuyaDistrictBasedon
FourSetsofContinuousAerial Photographs
MASAMICHI CHYO and KIYOSHI KuwAHARA
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1,Fukuoka8
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北東部およそ 1
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k
mに位置し, 1
6団地・ 2
2
f
固林班よりな
緒 百
り,標高は 30m~550m の範囲にわたっている.樹種構
森林は生長が緩慢であり,またその変化も少ない.
成は,針広混交の自然林 20%余のほかは,大部分がス
しかしその森林も数年単位でみるとそれなりに変化し
ギ (Cryρtomeria japonica) お よ び ヒ ノ キ
ており,また推移も認められる.その変化の度合や推
(Chamaec
y
:
少a
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b
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u
s
a
) を主とする人工林(人工林率
移の状態を簡単に測定する方法のーっとして,経年空
66%) となっている.同演習林は試験研究および林学
中写真上で定点観測つまり主要判読因子の判読測定を
科・林産学科の学生実習林をその主目的としているが,
行ない,これにもとづいて森林環境の変化や推移の状
森林の性格としては経済林に位置づけられる.また本
態を測定するテストを九州大学粕屋演習林を対象に試
演習林は多々良川の源流にあたるため水源林としての
みた.
F
i
g
.
1参照).
機能もあわせ有している (
2
. 経年空中写真に対する判読測定点の設定
なお,ここでいう森林環境とは,山地に樹(林)木
1)経年空中写真の内訳
が存在するか否か,また存在する場合はどのような状
9
6
3年
, 1
9
6
9
測定対象地における経年空中写真は, 1
態で存在し,それはどのように変化し推移しているか
をさす.つまり森林が有する山地崩壊や土砂流出防止
年
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2年
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4年
, 1
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1年
, 1
9
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3年,および 1
9
8
6年
等の山地保全,下流域に対する水資源の確保,気象緩
の 7組(し当ずれも広角写真)を手許に有する. このう
和,自然の生態と環境の保持,等々の公益的機能は,
ち
, 1
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4年
, 1
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1年
, 1
9
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6年の 3組はカラー写真であ
そこに樹(林)木が存在することによってこれが機能
る.この中から経年間隔,撮影時期および写真の種類
されるという視点にもとづく.したがってここでは公
9
6
3
年
, 1
9
7
4年
, 1
9
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1年
, 1
9
8
6年の 4組
を考慮して, 1
益的機能の素因をなす樹(林)木の存否とその変化(推
を経年空中写真として測定の対象とした.これにより
移)の状態を測定することをその主対象としたもので
2
2個の全林班をこの 4組の 2
.
0倍伸ばし空中写真上に
区画し移し込んだ.なお各空中写真の撮影諸元および
ある.
標高
材料および方法
(
h
M) と写真縮尺
(
5
)の回帰式は T
a
b
l
e1に示す
とおりである.また F
i
g
.2はこれをグラフに示したも
1
. 測定対象地の概要
のである.
森林環境の測定は九州大学粕屋演習林,面積 4
8
6
.
1
9
2)判読測定点の設定
h
aを対象として行なった.本演習林は福岡市都市圏の
経済林としての森林は,植栽・除問伐その他の撫育・
伐採等の施業は,その大半が小班または林班単位に行
車福岡県飯塚農林事務所
なわれるのが常である.したがって森林環境としての
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正道・桑原
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O0.75 1日
225km
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3 CKU.8H
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皿血
変化や推移も小班または林班単位であらわれることに
なる.これにもとづき,定点観測,点つまり経年空中写
真上の判読測定点も小班または林班単位に設定するこ
ととした.
く測定点の数 3
1
6点1.
「フ干
d=. ニ x1
0
0
vn
(
4
8
否1
9
子 x100=1
2
4
.
0
4(m)
二
V31
対象地の粕屋演習林における実際の施業は,その殆
その結果,設定間隔 d=124.04mとなった.経年空
どが小班単位に行なわれている.したがってここでは
中写真上での実際の設定は 120mにより行なうことと
小班を最小単位として取り扱うこととした.対象地全
した.
域の小f!I数は 3
1
6伺(小班面積 O
.04~8. 77ha,平均1.5
4
次に, 1
6団地よりなる測定対象地は,地域や標高,
h
a
l となっている.したがって判読測定点は平均的に
林班の集合性等を考虚し全域を A,B,C,D,および
l小班あたり 1点という考え方から 3
1
6点を計画した.
Eの 5ブロックに分けた.そして各ブロック毎に標高
1
6点を測定対象地全域に対し一定間隔に設定す
この 3
の最低値と最高値から平均標高を求め,これを基準に
ることとし,設定間隔 dを下記の式により求めた(た
して 4組の空中写真毎に対応させて一定間隔に判読測
8
6
.1
9
h
a, n
:小班数にもこづ
だし A:対象地全面積 4
定点を設定した.なお,実際は境界線(演習林界や林
1
0
3
4組の経年空中写真による九州大学粕屋演習林の森林環境の変化の測定
6
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0
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a
@
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的。
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r
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lphotographs
班界等)からはみ出したり空中写真間の対応がつかな
の他が不明確な測定点については現地チェックを実施
かったりしたため,最終的には 3
0
8点を判読測定点とし
し,これにもとづいて再度判読測定を行なうようにし
Table2参照).
て確定した (
た.実際の判読測定では樹冠疎密度は立木密度て表わ
3
. 主要判読要因の判読測定
空中写真上における林木の判読測定要因としては,
S
p
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c
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s
)・樹冠疎密度 (Crownd
e
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) (本数に
樹種 (
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l
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l により,樹冠
し樹冠疎密度板 (Crownd
c
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) また
直径は樹冠直径測定板 (Crowndiameters
c
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l
e
) を,樹高は視差測定稗 (
P
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は模尺板 (Wedge s
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m
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l (胸高直径に対
対応)・樹冠直径 (Crownd
r
a
l
l
a
xwedge) を用いて行なった.林齢は樹冠疎密度,
Treeh
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g
h
t
)およびそれらの総合的要因と
応)・樹高 (
樹冠直径,樹高の各測定結果をもとにして総合的に判
しての林齢 (
A
g
e
s
)等がある.しかしこれらのすべて
読することとした.
0
8点 x4
を 正 確 に 判 読 測 定 す る に は 測 定 点 の 数 が3
0
8点×経年空中写
以上により行なった,判読測定点 3
組二 1
2
3
2点と非常に多いため,ここでは各判読要因に
2
3
2点の定点観測点に対する主要判読要因
真 4組,計 1
ついて Table3に示すような基準を設け,これにもと
の判読測定結果は Table4に示すとおりである.
づ¥>て判読測定を行なうこととした.
なお,対象地域内の測定点で非森林とみなされるケ
ースとしては,植栽直後で樹種その他が判読測定不能
京
吉
1
. 写真判読面積と実面積の対応度に対する t-検定
地,伐採跡地,および原里子等の要因が考えられる. し
1)樹種および齢階別面積の計算
たがってこの場合はそれぞれ A
0
1
'A
0
2
' および A
0
3と
4組の経年空中写真上に設定した定点観測点 (308x
して表示することとした.また判読測定に際し樹種そ
4=1
2
3
2点)の妥当性,および主要判読要肉に対する
1
0
4
正道・桑原
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青
T
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Medium
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判読測定結果の信憲性つまり現地林分との対応性の良
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50~80%
50%below
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5.0mbelow
5~15m
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11~30 y
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above3
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s
にして造林台帳および森林調査簿から当該林分を集計
否はこのあとの森林環境の分析結果に大きく影響する
1
9
6
3
し,これをもって実面積とした.なお,写真一 1(
ことになる. したがって空中写真の判読測定結果に対
年撮影)については造林台帳・森林調査簿ともに対比
する信透性をチェックする方法のーっとして,樹種お
させる資料がないためチェックの対象から除外した.
よび齢階に対する空中写真による判読(推定)面積と
Table5は以上により計上した樹種毎,および齢階
-検定によって試み
実面積の対応度の有意差検定を t
毎判読(推定)面積と実面積を各フ ロック毎に示した
ることとした.
ものである.
読測定点の設定間隔
空中写真による判読面積はやJ
w
2)判読面積と実面積の I検定
d 120mか ら 点 当 り 占 有 面 積 は 120mx120mニ
Table5から,樹種および齢階のいずれの場合も,造
1
.
4
4
h
aとなる. これにもとづき樹種別および齢階(林
林台帳・森林調査簿による実面積に対し写真判読にも
二
able4をもとにし
齢)別のそれぞれにおける面積を T
とづく推定面積は個々には若干の差異を示すが,全体
て推定した.この場合,樹種についてはマツ (
P
i
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u
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l
的にはほぼ対応しているといえる.いま,これらがど
と広葉樹 (
B
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d
l
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a
v
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d
lはこみにして取り扱った.齢
の程度の対応性を有するかについてをチェックするた
階については植栽直後の林分 (A01lは A1の中に入れ
め,樹種および齢階のそれぞれについてブロック単
た.伐採跡地 (A
A"l は実面積の計
02lおよび原野 (
位・写真別に,実面積を xとおき,対応する判読(推
上が不可能のため対象から除外した.
定)面積を y とおいて有意差の有無に対する検定のた
T
a
b
l
e31
をもと
一方,空中写真の判読測定の基準 (
-検定を下記のとおり試みた.
めの t
A 一仏33333333仏333223333仇仏仇222仏仏仏22仇2A山仇32n町仇ハ町三33223323323323323222
EA--
V
引一附一 H 一 一 3 2 3 3 2 2 2 2 一 2 2 2 2 1 2 2 2 2 一 一 一 1 2 2 一 一 一 2 1 一 2 一 一 2 1 一 一 一 一 一 2 2 1 1 2 2 2 2 2 2 2 2 2 3 3 2 3 2 2 2
t 一1一一三
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一
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、
一
一
︿
︿
山一
J
C 一一32333323一223313322一一一122一一一21-2↑一21一一二一33113322222223323222
4一
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b
oが 原 点 (0)を通るかどう
かを a=Oとおいて検定
lにより行なった.次に回
帰係数
b
)が4
5ーの傾斜に対してどの程度対応している
かどうかを β二 lとおいて検定
P 0.01 (99%) のときの tの値を t表により
二
求めた.因みにどグ =n-2= 2のときのん 0
5=4.303,
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2により行なった.
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この場合,自由度 df=刊
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わち樹種および齢階の両者に対する検定一 1,検定
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5,df=l
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1=3.012,df=
2のいずれの場合も有意差は認められなかった.これ
1
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5=2.
1
4
5,品川二 2
.
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7
7で、ある.
により 4組の経年空中写真を対象に平均的に 1小班当
二
たり 1点を設定した判読測定点(定点観測点)にもと
:t
)
= I~二.Qi二ー出旦二型L
検定← 1
、
7市 7 、午市7
検定
2
:t?= Jb~二立l
ただし
並立二且
2 -/
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X
2
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;
(
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づく推定面積は,造林台帳,森林調査簿による実面積
と樹種,齢階ともにほぼ対応しているという結果がえ
0
8x4=1
2
3
2点の定点観
られたといえる.したがって 3
測点、にもとづいて行なった主要判読要因に対する判読
測定の結果も→応の信葱性を有するという見解のもと
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1
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A3
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に以下の分析をすすめた.
析を以下のとおり行なった.
ちなみに,前項の t検定のときとは逆に写真判読に
まず,樹冠疎密度,樹冠直径,樹高,および林齢の
もとづく推定面積を x,対応する実面積を y とおいた
各主要測定要因があらわれる頻度つまり測定点にもと
ときの回帰係数
(
b
o
. b1) およびその相関係数
(
r
)は
づく判読要因の出現数を集計した.しかしこの出現数
Table7に示すとおりとなり,いずれについても高い
の集計値はこのままではブロックの面積がそれぞれに
相関係数がえられた.
異なり,それにより測定点の数もそれぞれに違ってい
2
. 主要判読要因の頻度とその百分率の計算
ることから,各要因にあらわれる頻度の出現数もブロ
前項の t 検定の結果から,主要判読要因の判読測
ックにより変化するため,総体的な比較・チェック等
定結果に対する信濃性とともに 1
9
6
3年撮影の空中写真
を行なうには不便である.そこでこの頻度数を百分率
に対する判読測定値についても十分に現地林分との対
able8はブロック別および
であらわすようにした. T
応性を有すると判断した.これにもとづいて 1
9
6
3年
,
経年空中写真毎判読要因の頻度とその百分率を一覧表
1
9
7
4年
, 1
9
8
1年,および 1
9
8
6年の 4組の経年空中写真
として示したものである.また F
i
g
.
3は Table8にも
=
に対する定点観測点、 3
0
8x4 1
2
3
2点の主要判断要因
とづいてこれを主要判読要因毎・ブロック別にグラブ
の判断測定値をもとにして森林環境の変化に対する分
上に経年毎にプロッ卜したものである.
1
0
9
4組の経年空中写真による九州大学粕屋演習林の森林環境の変化の測定
Table8
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長
正道・桑原
考
密
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Table8および F
i
g
.
3から, D(樹冠疎密度), C(樹
清
対象林分がスギ,ヒノキを主とする経済林の場合は,
空中写真の有する特性を生かした測定方法も検討の余
地があると考える.たとえば空中写真の判読測定と現
冠直径), H(樹高),および A(林齢)のそれぞれにお
Double sam地調査の組み合わせによる二重拍出 (
いて,その動態つまり変化の状態に明らかな経年変化
T
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p
l
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a
m
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l
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),回帰
p
l
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n
g
),あるいは三重抽出 (
がみられる.その変化の状態は,たとえば経年により
推定 (
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m
a
t
e
)等により,より詳細な林
D,(樹冠疎密度:密)が減少すれば,それに伴って C,
分構造の解析と推定も可能となり,経営や施業その他
(樹冠直径:小), H,(樹高:低)も減少し, A,(林齢:
への情報の提供量はさらに大きく増えることになると
幼)も関連して減少する,といった傾向を呈している.
考える.
そしてこれらと対応して D2 (
中
)
, C2 (
中
)
, H2 (
中
)
,
A2 (中),あるいは D
3(
疎
)
, C3(
大
)
, H3 (
高
)
, A3
(壮)等が逆に増加していしといった推移の傾向がみ
られる.これらは各ブロックに共通した現象となって
要 約
生長が緩慢で、変化の少ない森林も,数年単位でみる
とそれなりに変化や推移が認められる.その度合や傾
いる.このことは, D,C,Hのそれぞれの聞には l要
向を測定する方法のーっとして経年空中写真上での定
因でも変化(推移)すれば,それに伴って他の要因も
点観測による判読測定を行ない,これにより森林環境
相互に関連して相対的に変化するという関連性を示し
の推移の状態を把握するテストを試みた.
ているといえる.そしてこれらの総合的要悶としての
A も必然的に変化することを意味する.
ig.3dの林齢における全体 (GeneraJ)に
ここで, F
0
2のみは A,に組み込ん
ついてみると, Ao(この中で A
でいるので, AOH A
0
3が対象となる)は経年とともに
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6
.
1
9
h
a
) を対象
測定は九州大学粕屋演習林(面積 4
9
6
3年
, 1
9
7
4年
, 1
9
8
1年
,
とした.また経年空中写真は 1
9
8
6年に撮影された 4組の空中写真を使用した
および 1
(
F
i
g
.
1,Table,
1 F
i
g
.
2参照).
まず,粕屋演習林全域を A,B,C,D,および Eの
3.04% (
19
6
3年)→ 4.05% (
1
9
7
4年)→ 6.82% (
1
9
8
1
5ブロックに分けた.また森林環境の変化の最小単位
年)→ 5.85% (
1
9
8
6年)と微増減している.そしてこ
は 小 班 に あ る と み な し 小 班 当 た り 1点、の定点観測
れに対応して A,
+ A2十 A3の比率も 96.96%→ 9
5
.
4
5
点を空中写真上に設定することとした.粕屋演習林の
% → 93.18%→ 94.15%と変化している. しかし全体
1
6個である.したがって 3
1
6点を全域
小班数は全体で 3
的傾向としては森林はほぼ一定の状態で保持されてい
に対し一定間隔に設定することとし,設定間隔 d=
るといえる.その中で A,および A2の比率が経年とと
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A
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五x100=;
4
扇B万1
6x100=1
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.
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20mを 求
もに減少しているのに対し ,A3の比率は逆に増加して
めた.空中写真上への実際の測定点の設点は 3
0
8点とな
おり,対象地全域としては幼・中齢林の壮齢林化が着
Table2参照l.この 3
0
8点の測定点を 4組の各
った (
実にすすんでいるとみることができる.つまり公益的
空中写真上にそれぞれ対応させて設定した.
機能の素因をなす森林環境は対象地全域でほプラスの
形で推移しているといえる.
なお,森林環境の測定は,その目的によってそれぞ
れに異なる.公益的機能の評価を対象とする場合は,
次に,各測定点に対する空中写真の判読測定の基準
S
),マツ (M),広
を,①樹種:ヒノキ(H),スギ (
)
,③
葉樹(L),②林齢:幼 (A,),中 (A2),壮 (A3
疎密度:密(0,),中 (D2),疎 (D3),④樹冠直径:小
その森林あるいは樹木が有する固有の機能やそれらの
(C),中 (C2),大 (C3),および⑤樹高:低(H,),中
結合による多面的,総合的な機能の分析・評価等が必
(H2),高(H,)とした (Table3参照). これにもとづ
要であることは論をまたない.ここでは森林環境の素
いて行なった 4組の経年空中写真に対する判読測定の
因をなす樹(林)木の存否およびその推移の状態に対
結果は Table4に示すとおりである.なお,空中写真
8
6
.
1
9
h
aの
する測定に限定し,その方法のーっとして 4
上で不明確な判読要因については現地チェックを行な
対象地を一応大面積森林と見立て,経年空中写真(4
った.
組)に対する定点観測により森林の動態把握を試みた
以上の判読測定の結果から,まず,測定点、 1点当た
dニ 120mから a 1
.
4
4
h
aと計上
ものである.そのため空中写真の判読測定も Table3
りの占有面積
に示したような判読基準を設けて行なった.対象面積
し,各要因別写真判読面積を推定した.また造林台帳・
が広くなり,また判読測定点、が多い場合,このような
森林調査簿から実面積を求めた(写真← 1は資料がな
方法は効率的であるといえよう.しかし本例のように
いため除外した).そして a 樹種,および
dを
二
b
.齢階別
1
1
7
4組の経年空中写真による九州大学粕屋演習林の森林環境の変化の測定
の面積を対応させ
いて t検定を行なった.その結果,写真判読面積と実
面積の聞にはすべて有意差はなかった
環境の推移の測定.森林航測
長
正道
(
T
a
b
l
e6参
照).すなわち写真判読の結果は実際の林分によく対応
していることが確められた.
C
),
次 に , 林 齢 (A),樹冠疎密度(D),樹冠直径 (
および樹高(H)の各測定要因があらわれる頻度つまり
測定点にもとづく判読測定要因の出現数を百分率で求
めた
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9 経年空中写真の濃度計測による森林
環境の変化の推定.森林文化研究 1
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9 近 代 的 森 林 調 査j
去の実務.日本林業
に各測定要因を経年毎にグラフ上にプロットし,その
調査会,東京.
木梨謙吉・長
れぞれの要因聞では A, B,C,D,および Eの各フ‘ロ
1
2
7
1
7
3
木梨謙吉・長 正 道 他 1
9
7
5 森林地域保全開発調査
ックとも若干の変動はみられるものの,全体的にはほ
告書.林野庁
報告書.林野庁
ぼ一定の森林率が保たれていることが確められた.と
くに対象地全域としては幼・中齢林の壮齢林化がすす
んでいるという結果がみられた.すなわち森林の公益
的機能の素因をなす森林環境はプラスの形で維持され
i
g
.
3はこれを
ているとみることができる. F
A,B,C,
D,および Eの各ブロックについて示したものである.
献
文
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7
4 空中写真濃度計測による森林蓄積の
長
正道
長
正道・木梨謙吉
4
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3
2
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2
1
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7
4 空中写真濃度計測による
推定に関する研究.九大演報
森林環境の変化の測定(I).日林九支研論
2
7
:1
1
1
2
長正道・桑原
清
正道
1
9
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4 森林地域保全開発調査報
推移の状態をグラフ上でチェックした.その結果はそ
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7 経年空中写真による森林
技術協会,東京.
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