...

ソーラーカーポート普及促進モデル事業 報 告 書

by user

on
Category: Documents
220

views

Report

Comments

Transcript

ソーラーカーポート普及促進モデル事業 報 告 書
ソーラーカーポート普及促進モデル事業
報 告 書
平成 28 年 6 月
公益財団法人東京都環境公社
目
次
1
はじめに
2
目的
3
モデル事業概要
4
施工体制
5
施設概要
6
メンテナンス管理体制
7
設計から施工完了までに必要な手続き及び要した期間
8
設計から施工完了までに生じるソーラーカーポートの課題や改善策
9
ソーラーカーポート普及に向けての提案
10
ソーラーカーポートの一般的な手続きについて
11
その他事例
12
参考資料(法令の解説)
1
はじめに
東京都は、都内外における再生可能エネルギーの導入拡大と、省エネルギー等によ
る電力需要抑制に取り組み、2030 年までに都内の消費電力に占める再生可能エネル
ギーの利用割合を 30%程度まで高める目標を掲げている。
特に再生可能エネルギー設備の中でも主要な太陽光発電システムに関して、これま
で東京都は平成 21 年度から平成 24 年度にかけて、都民向け住宅用太陽光発電シス
テム(太陽熱を含む)の補助制度を創設し、約 5 万世帯以上の導入に貢献してきた。
さらに平成 25 年度からは太陽光発電設備の導入拡大施策として、補助金制度以外
にソフト面の充実を図るため、「やねぢからソーラープロジェクト」を立ち上げて、
都民向け「太陽光発電セミナー」や「屋根貸マッチングセミナー」など各種セミナー
を開催、さらに日本初公開となる「ソーラー屋根台帳」の開発・公開と「太陽エネル
ギーポータルサイト」を整備し、太陽光発電に関する相談窓口の開設・運営などを行
ってきた。
こうした背景もあり、都内の太陽光発電設備の導入量は年々増加してきている。
太陽光発電のさらなる導入拡大には、高額な地価や設置スペース確保の困難性とい
った東京特有の課題を克服する必要がある 。
そこで、公益財団法人東京都環境公社(以下「公社」という。)は、平成 27 年度
から、都内における太陽光発電設備の普及促進を図るため、都内の屋外駐車場にソー
ラーカーポートを導入する「ソーラーカーポート普及促進モデル事業(以下「モデル
事業」という。)
」を都と連携して実施している。
ソーラーカーポートは、既存の駐車スペースを有効活用しながら、屋根上部にて発
電を行うことができ、かつ、カーポート構造により車を紫外線・熱等から保護するた
め、駐車している車の車内温度の上昇を抑制するなどのメリットもある。
ソーラーカーポートを拡大していくためには、市場がまだ発展段階にあり、受注生
産に頼っているため、コスト削減が難しいことや、日照条件などの立地条件及び建築
物扱いとなるため、建築基準法などの法的規制を適用されるなど、多くの課題を抱え
ている。
本モデル事業では、平成 27 年度中に公社が施設を建設し、維持管理を行うととも
に、各種課題の解決に向けた検証及び今後の普及拡大施策を検討していく予定である。
今回報告するのは、平成 27 年度の工事記録と施工上の課題及び改善策などの検証
結果である。
2
目
的
駐車場の上部空間を利用した太陽光発電の普及拡大を図るため、都施設の駐車場に
都と公社が連携してソーラーカーポートを導入するモデル事業を行い、実証結果から
設置に伴う問題等を把握することにより、今後の施策展開に向けての基礎資料とする。
3
モデル事業概要
■事業実施主体
公益財団法人東京都環境公社
■事業実施場所
ソーラーカーポートの建設場所を選定するに当たり、地域性(区部と多摩地域)、利
用形態、施設規模、日照条件、近隣対策の容易性など多角的に検討を加え、以下の 2
施設が選定された。
① 若洲ゴルリンクス(江東区若洲 3-1-2)
② 東京都水道局八王子給水事務所(八王子市元本郷町 4-19-1)
■事業スキ-ム
施設所管局、環境局、公社の 3 者で 5 年間の協定書を締結する。
(平成 27 年度から平成 31 年度末まで)
協定締結
電力供給
事務費補助
公
施設所管局
土地の提供
調査協力
社
環境局
調査報告
ソーラーカーポート
所有者
■工事業者選定方式
総合評価競争方式
企画提案の募集に当たっては、次の 3 点を各施設の設計に取り入れるよう求めた。
・周辺施設と協調した意匠性
・施設、エリアの状況に応じた設計・工法を採用
・複雑なシステム構成は排除し、普及促進を意識してシンプルで分かり易い構成
■工事日程
事業者募集開始
事業者企画提案提出
事業者選定委員会
事業者決定
工事契約
工事着手
工事完了
施設維持管理
平成 27 年 5 月 18 日
平成 27 年 6 月 19 日
平成 27 年 7 月 6 日
平成 27 年7月 9 日
平成 27 年 8 月 3 日
平成 27 年 8 月 6 日
平成 28 年 3 月 31 日
平成 28 年 4 月 1 日 ~
平成 32 年 3 月 31 日
4
施工体制
東京都環境局及び公社によるモデル事業の全体調整の下、委託先の東京ソーラーカ
ーポート連合(国光施設工業㈱、㈱中村勉総合計画事務所、㈱アイ・グリッド・ソリ
ューションズ)による設計及び施工を実施した。
【モデル事業実施体制】
モデル事業統括
東京都環境局
連
発注者
公社
携
契約
受託者
東京ソーラーカーポート連合
総括責任者
国光施設工業株式会社
・電気システム設計、施工
・建設施工
・電気工事上の申請業務
・建築工事上の申請業務
株式会社中村勉総合計画事務所
・建築設計
・建築確認申請等の業務
株式会社アイ・グリッド・ソリュ-ションズ
・事業推進
【施工スケジュール】
(若洲ゴルフリンクス)
主な手続き・施工等について
① 平成 27 年 8 月~平成 28 年 2 月
契約締結から現場工事着工までの事前手続き
・委託契約締結 (8/3)
・実施設計(設計変更含む) (8 月中旬~12 月末)
・港湾局占用許可書申請(地質調査) (8/17 占用許可受)
・地質調査(ボーリング式) (8/25)
・港湾局・ゴルフ場への設計図説明 (11/25)
・建築確認申請 (11/4 申請書提出・12/25 建築確認)
・東京電力系統事前協議依頼書 (12/24 提出)
・東京電力系統連系申込書 (2/8 提出)
・土地利用の履歴等調査届出書 (1/29 提出)
・港湾局占用許可書申請(本工事) (2/5 占用許可受)
② 平成 28 年 2 月
・現場着工 現場事務所設営 (2/9)
・アスファルトカッター、根切 (2/9)
・地中障害物撤去 (2/12)
・砕石、捨コン (2/13)
・墨出し→アンカーセット→基礎配筋→基礎型枠
・基礎コンクリート打設(早強) (2/19)
・江東区建築中間検査 (2/19)
・型枠解体 (2/22)
・鉄骨建方 (2/23~25)
・屋根工事 (2/26~27)
・電気室停電改造工事 (2/23)
・既存建屋側配管,配線工事 (2/24~27)
③ 平成 28 年 3 月
・太陽電池モジュール取付 (3/9~3/11)
・パワコン取付 (3/11)
・パワコン配管、配線 (3/10~3/12)
・LED 表示盤取付 (3/11)
・舗装、縁石等復旧 (3/9~3/14)
・芝生復旧 (3/17~3/18)
・完了検査 (3/24)
・東京電力連系日 (3/25)
・現場事務所撤去 (3/30)
(2/15~2/18)
(八王子給水事務所)
主な手続き・施工等について
① 平成 27 年 8 月~平成 28 年 2 月
契約締結から現場工事着工までの事前手続き
・委託契約締結 (8/3)
・実施設計(設計変更含む) (8 月中旬~12 月末)
・八王子給水事務所への設計図説明 (11/16)
・水道局本庁への設計図説明 (11/17)
・地質調査(スウェーデン式) (9/8)
・建築確認申請 (1/28 申請書提出・2/23 建築確認)
・東京電力系統連系申込書(1/6 提出)
・土地利用の履歴等調査(2/4 提出)
② 平成 28 年 2 月
・現場着工 現場事務所設営
・墨出し (2/29)
(2/29)
③ 平成 28 年 3 月
・アスファルトカッター、根切 (3/1)
・砕石、捨コン (3/1~3/2)
・墨出し→アンカーセット→基礎配筋→基礎型枠 (3/3~3/7)
・電線管管路舗装カッター→掘削→埋設配管→埋戻し
(3/3~3/11、3/22~3/23)
・基礎コンクリート打設 (3/8)
・型枠解体、埋戻し (3/10~3/11)
・鉄骨建方 (3/14~3/16)
・屋根工事 (3/21, 3/26~28)
・太陽電池モジュール取付、パワコン取付 (3/17~3/19)
・パワコン配管、配線 (3/17~3/23)
・LED 表示盤取付 (3/17)
・電気室停電改造工事 (3/23)
・舗装補修、ライン引き (3/21~3/25)
・建築確認検査 (3/29)
・東京電力連系日 (3/29)
・現場事務所撤去 (3/31)
5
施設概要
【若洲ゴルフリンクス】
■建築物概要
建築場所:東京都江東区若洲 3-1-2
主要用途:自動車車庫
工事種別:新築
延べ面積:114.07 ㎡
棟数:1 棟
建築物の構造:鉄骨造
建築物の階数:1 階
■電機設備の概要
発電設備総合出力: 18.0kW (太陽電池最大出力)
太陽電池モジュール: 250W×72 枚 = 18.0kW
国内設計、PID試験クリア、防眩加工済み、多結晶系
シリコン太陽電池、保証体制製品 10 年、出力保証 25 年
パワーコンディショナ: 10.0kW(単相)×2 台 =20.0kW 屋外型壁掛式
その他: 交流集電箱
遠隔監視装置(防水仕様、モバイルルーター内蔵、固定配線不要)
LED 表示盤(発電量、CO2削減量等表示、普及啓発用文章)
日射計・気温計
OVGR 導入(省略不可のためキュービクル盤改造を実施)
■設計上のコンセプト
① デザインと強度面からトラス構造を採用
ソーラーカーポートを建設する予定の駐車場は、乗用車だけでなく送迎用大型バ
スの駐車場としても利用しているため、縦列駐車ができるよう、間口に柱のない事
が設計上の重要なコンセプトの一つとなったことからトラス構造を採用する事と
した。
トラス構造を採用した主な理由として、地耐力や高さ、地震、強風の条件を踏ま
えたうえで、既に橋やタワ-など幅広く採用されており、4 本の柱で建物全体を支
えることのできる高い強度を誇る構造であること、当施設がクラブハウス玄関正面
に位置し、完成後は若洲ゴルフリンクスの顔となることを意識して、ゴルフ場特有
の大空間での開放性及び建物のデザイン性を考慮したこと、が挙げられる。なお梁
間方向(長手方向)の柱~柱の距離は 23m、頂上部の高さは 7.2m として設計し
ている。
工法は一般的な構造のH形鋼、アングル材の構成とし、コストの削減に努めた。
下記に計画時のパース図及び完成後の写真を示す。
(計画時 パース図)
7.2m
23.0m
(完成後 写真)
(LED表示盤)
※LED表示盤については、八王子給水事務所も同様の内容で表示している。
1
2
3
4
ソーラーカーポートとは
事業の目的
電光表示盤(現在の発電電力、本日の発電電力量、本日のCO2 削減量)
お問い合わせ先
② 海岸に近いため塩害対策を実施
若洲ゴルフリンクス駐車場は海岸から約 150m に位置しているため、建物の鉄
骨、発電機器類ともに塩害対策を施した。
・鉄骨
溶融亜鉛メッキ
・ソーラーパネル
塩水噴霧試験をクリアした製品
(ネクストエナジー社製品)
・パワーコンディショナ
塩害地域対応機種
(安川電機製品)
③ 埋立地への対応
今回のカーポートは 4 か所の基礎で建物を支える構造となっているが、若洲ゴル
フリンクスの敷地全体が埋立地のため 4 か所の基礎が均一に地盤沈下しなかった
場合を考慮し、基礎と鉄骨をつなぐボルト(アンカーボルト)を長くし、沈下した
場合でもジャッキアップにより対応出来る作りとした。下記に概略図と写真を示す。
(施工写真)
④ 工期短縮のための早強コンクリートの採用
工事工程上では、1 月上旬に建築確認済証が降り次第速やかに工事着手という計
画で進められていたが、建築確認申請以外にも建設予定地がヘリポ-トの進入面に
当たるため事前協議を必要としたこと、さらに 3,000 ㎡以上の土地の改変に伴う
土地利用の履歴等調査に時間を要したことにより、工事着工が当初の 1 月中旬から
2 月上旬までずれ込むこととなった。
また、現場ではゴルフ場来場者用の車寄せと駐車場との道路の間隔が狭くなって
おり、鉄骨建て方工事は、大型クレ-ンを使用し鉄骨を吊り上げる工法を行う必要
があったことから、ゴルフ場来場者の車寄せまで工事エリアとして使用しなければ
建てられないことが判明した。そのため、通常営業日の作業では、ゴルフ場の営業
の妨げとならないよう、ゴルフ場の休業日が連続する 2 月 23 日からの 3 日間に
限定して工事日程を組まざるを得なかった。このことから、工期が短縮され、それ
に間にあわせるためには基礎コンクリ-トの強度を出すための養生期間を短縮す
るしか方策はなく、コンクリート強度を短時間に所定の強さにする必要があった。
その対策方法として早強コンクリートを採用し、予定通りに鉄骨建方に間に合わ
せる事ができた。
[鉄骨建方現場工事]
大型の 50t ラフタ-クレ-ンを使用し、日毎に場所を変えながら組立を行った。
現場の地盤沈下を防止するため、クレ-ン下部には鉄板養生を行っている。
早強コンクリ-トとは、普通のコンクリ-トの欠点である、硬化するまでに 1 週間
以上も要する養生期間を短縮することを目的に改良したもので、緊急補修工事などに
良く使用されている。
今回は、2 月 19 日にコンクリ-トを打設し、5 日後の 24 日に現地で鉄骨を建て
たが、建て方に支障のない強度となっている事が試験結果からも証明されている。
(圧縮強度平均 38.9N/mm2)
【八王子給水事務所】
■建築物概要
建築場所:東京都八王子市元本郷町 4-19-1
主要用途:自動車車庫
工事種別:増築
延べ面積:117.32 ㎡
棟数:1 棟
建築物の構造:鉄骨造建築物の階数:1階
■電機設備の概要
発電設備総合出力: 15.0kW (太陽電池最大出力)
太陽電池モジュール: 250W×60 枚 =15.0kW
国内設計、PID試験クリア、防眩加工済み、多結晶系
シリコン太陽電池、保証体制製品 10 年、出力保証 25 年、
パワーコンディショナー:9.9kW(三相 3 線)×1 台 =9.9kW 屋外型壁掛式
その他: 遠隔監視装置(防水仕様、モバイルルーター内蔵、固定配線不要)
LED 表示盤(発電量、CO2 削減量等表示、普及啓発用文章)
日射計・気温計
■設計上のコンセプト
八王子給水事務所では、立地を含め一般的な駐車場であり設計条件などに特段の
制約等がないため、雨や日差しを避けられ、かつ周辺建物から逸脱しないデザイン
で、広く普及展開しやすいようなオ-ソドックスな設計を行いコストの低減化を図
った。
屋根勾配(傾き)とソーラーパネル勾配(傾き)についてソーラーパネルを主体
に考えると、必然的に南向きとなりそれに合わせる形で屋根の傾きも南向きに下が
った形となり、車両の通路帯へ雨水が落ちる形となる。しかし、今回は、雨水を後
方へ流すことで駐車場利用者の利便性を向上させるため、ソーラーパネルは南向き
に下がり、屋根は北向きに下がる作りとした。
下記に計画時のパース図と完成後の写真を示す。
(計画時 パース図)
(完成後 写真)
4.7m
5.6m
20.95m
(集中管理棟屋上側から)
6
メンテナンス管理体制
若洲ゴルフリンクス及び八王子給水事務所共に「運用マニュアル」と、「設備取扱
説明資料」を作成しこれに基づき維持管理をしていく。
運用マニュアルには、月次点検、年次定期点検、保安点検時の計画停電、故障時、
非常時の対応、緊急連絡先が記載されており、施設の円滑な維持管理につなげている。
また施設の保守点検については、基本的事項を協定書に盛り込み、責任分界点を定
めて、役割分担を担う形をとっている。
なお、協定書に盛り込んでいる点検項目と内容は次のとおりである。
太陽電池モジュ-ル
2 月に 1 回巡視点検
外観点検:
架台等の腐食、さび、パネルの状態(よごれ・破損)の確認
2 年に 1 度定期点検
外観点検:
架台の変形、傷、さび、端子台のゆるみの確認
2 年に 1 度の測定
絶縁抵抗測定、端子箱における開放電圧測定
接続箱・集電箱・パワ-コンディショナー・表示装置
2 月に 1 回巡視点検
外観点検:
計器類表示、異音、異臭、表示灯の状態、汚損、変形、損傷、雨漏り、
浸水、結露、さび、腐食、収納機器類、扉の状態確認
2 年に 1 度定期点検
内部点検:
接続部のゆるみ、接地状態、ケ-ブル関係、ボルト・ナットのゆるみ、
取付器具の損傷、過熱変色、端子台の状態、その他
2 年に 1 度の測定
絶縁抵抗測定、系統解列機能の確認
(参考:測定項目について)
(1)絶縁抵抗測定とは
電気回路は大地および線間相互間を絶縁して使用している。もし、絶縁が悪ければ、漏電
によって感電や火災の危険が発生し、電力損失が増大する。電気設備を管理するには、回路
の絶縁が良好な状態が維持されることが必要でありその状態を確認するための測定試験であ
る。
(2)開放電圧測定とは
太陽電池アレイの各ストリングの開放電圧を測定し、開放電圧のばらつきにより動作不良
のストリングや太陽電池モジュールの検出および直列接続線の欠落事故などを検出するため
に行う。
(3)系統解列機能の確認とは
電力系統に連系して運転している太陽光発電システムにおいて、系統側やインバータ側に
異常が発生した時は、これを検知して、速やかにインバータを停止して系統側の安全を確保
しなければならない。そのため系統連系保護装置の設置が義務づけられている。これらの保
護装置が長時間にわたって本来の機能を十分に発揮するためには、日常および定期的な保
守・点検が重要となる。
7 設計から施工完了までに必要な手続き及び要した期間
工事を実施する際に必要な事前手続きとそれに要する時間をここに示している。
各施設ごとに違いがあるため、それぞれのケ-スを紹介する。
7-1 若洲ゴルフリンクス
設置に要した主な手続きは以下のとおり。
①~⑧までは現場工事着工までの事前手続きである。
手続名
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
建築確認申請
東京電力系統事前協議依頼書
東京電力系統連系申込書
土地利用の履歴等調査届出書
消防との協議(電気設備設置変更届)
建築中間検査
完了検査
根拠法令等
建築基準法第 6 条第 1 項
発電設備系統連系サ-ビス要綱
発電設備系統連系サ-ビス要綱
環境確保条例第 117 条
火災予防条例第57条第1項
行政側の判断に基づき実施
建築基準法第 7 条第 1 項(*2)
要した期間
52日間
44日間
47日間
18 日間
166 日間
1日間
2 日間
以下、主な手続きの概要を示す。
① 建築確認申請
(平成 27 年 11 月 4 日建築確認申請書提出~平成 27 年 12 月 25 日 確認済証交
付 52日間)
建築基準法第 6 条第 1 項の規定による計画通知書と必要図面一式を提出した。
【建築確認を申請しなければならない根拠】
・平成 23 年 3 月 25 日国土交通省住宅局建築指導課長より「太陽光発電設備等に係
る建築基準法上の取扱いについて」の通知が出され、土地に自立して設置する太陽光
発電については、太陽光発電設備自体のメンテナンスを除いて、架台下の空間に人が
立ち入らないものであって、かつ、架台下の空間を居住、執務、作業、集会、娯楽、
物品の保管又は格納その他屋内的用途に供しないものについては法第2条第1号に
規定する建築物に該当しないとされている。
・しかし、今回のソーラーカーポートのように車庫などとして、架台下の空間を屋内
的用途に供する場合は、これまでの解釈どおり法第2条第1号に規定する建築物であ
るため、建築確認申請が必要となる。
【消防との協議
(計画通知(建築確認)申請時)】
・消防法に定める設備と同等の設備が計画されていることを確認するため、建築確認
申請において「消防同意」が必要になる。
・ソーラーカーポートの消防法上の扱いは防火対象物の「自動車車庫 ((13)項イ
(*4))」に該当する。
・消防法施行令第 10 条第 2 号(*4)により 150 ㎡以上の場合には消火器を設置しな
ければならないが、本計画は若洲:114.07 ㎡、八王子:117.32 ㎡であったため、消
火器の設置をしていない。
・ただし、上記に関しては、所轄消防署によって指導が異なる可能性があるため、事
前に協議が必要である。
・以上、建築確認においては消防署からの指導は特になかったため、5 日程度で「消
防同意」を得た。なお、消防同意の期間は計画通知に要した期間に含まれる。
② 東京電力系統連系事前協議依頼書
(平成 27年12月 24日 事前協議依頼書提出~平成 28 年2月5日 審査等期間
44日間)
発電設備系統連系サ-ビス要綱に基づき東電に事前相談の上提出する。
【事前協議依頼書提出の根拠】
発電設備を設置し、発電された電気の全部または一部を自ら使用し、もしくはこ
れに準ずる場合、または電気事業法第27条の 31 の規定に基づく特定供給を行う
場合でその発電設備を東京電力パワ-グリッド株式会社(平成28年4月1日東京
電力株式会社より分社化により送配電部門事業を継承発足した会社)が維持及び運
用する高圧電線路または特別高圧電線路に電気的に接続することを希望する場合、
発電設備系統連系サ-ビス要綱により連系の申込みを行うことになっている。
系統連系申込みをする場合、一般的には3~4か月前までに提出する必要がある
が、電力会社支社により扱いが少し異なるので窓口で確認をする必要がる。若洲ゴ
ルフリンクスの場合、管轄が江東支社であり、事前に系統協議依頼票の提出が求め
られた。これは系統連系申込みの事前チェックとして必要とのことで、3月末に系
統連系するには12月中に提出しなければならず、その指示に従い12月24日に
提出を行った。
③ 東京電力系統連系申込書
(平成 28年2月8日 系統連系申込書提出~平成 28 年3月25日 連系立会まで
処理期間 47 日間)
事前協議依頼票の内容に問題が無ければ、一定期間経過後に系統連系申込書提出
の可否が通知されるため回答待ちとなったが、申込書を2月8日に提出している。
④ 土地利用の履歴等調査届出書
(平成 28 年 1 月 12 日~平成 28 年 1 月 29 日 18日間)
「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」
(環境確保条例)第 117 条(*3)
により、3,000 ㎡以上の敷地内において土地の改変を行う場合に必要な手続き。
調査・対策の対象となる土地について、過去に有害物質の取扱事業場が存在してい
たか否か、廃棄物を埋め立て処分した履歴はないか、などについて調査・報告を行っ
た。
⑤ 消防との協議(電気設備設置変更届)
(平成 27 年 10 月 29 日消防署相談~平成 28 年 4 月 11 日 検査結果通知書交付
166日間)
・既存のキュービクルがキュービクル式非常電源専用受電設備に認定されており、そ
のキュービクルに保護継電器(OVGR)の増設及びブレーカーを交換する工事が発生
したことによる変更の申請を行った。今回の改造工事は、単純に OVGR を設置す
るのみであったため、改造内容が認定の基準を外れない旨の資料を提出し、消防署
より承認を得た上で、工事を行った。
改造後、消防検査を受け検査結果通知書を受理した。
⑥ 建築中間検査
・建築基準法上この建物については中間検査を必要としていないが、行政庁の独自の
求めにより実施されることがあり、今回、江東区建築課の判断で配筋検査が実施さ
れた。
⑦ 完了検査
(平成 28 年 3 月 22 日 建築確認完了検査申請書提出~平成 28 年 3 月 24 日 検
査済証交付 3日間)
建築基準法第 7 条第 1 項(*2)の規定による完了検査申請書を提出した。
キュ-ビクルの太陽光発電設備用ブレ-カ-と保護継電器(OVGR)増設
太陽光発電設備用
ブレ-カ-
OVGR
【契約から完成までのスケジュール及び諸手続き(若洲ゴルフリンクス)】
2015/8月
年・月・日
項目
1
10
20
委託契約
○ 8/3契約締結
9月
31 1
10
10月
20 30 1
10
11月
20 31 1
10
20 30
8/10港湾局占用許可申請
地質調査占用
○
○ 8/17占用許可
○ 8/25地質調査
10/29非常電源既存キュービクル消防相談
非常用電源既存
キュービクル
○
11/4建築確認計画通知提出
建築確認
○
都建築安全条例
第10条
11/4都建築安全条例第10条関係申請書提出
関係先図説
11/25港湾局、ゴルフ場への設計図説明
○
○
系統連系
東京ヘリポート
調整
土地利用の履歴
等調査
工事占用
建設期間
2015/12月
年・月・日
項目
1
10
20
2016/1月
31 1
10
2月
20 31 1
10
3月
20 29 1
10
20 31
委託契約
地質調査占用
3/25消防検査、(4/11検査結果交付)
非常用電源既存
キュービクル
○
○
2/18(変更届書)提出受理
建築確認
都建築安全条例
第10条
12/25建築確認許可
2/19江東区中間検査
○
3/24建築確認検査
○
3/24済証交付 ○
12/25都建築安全条例第10条関係認定通知書交付
○
関係先図説
系統連系
東京ヘリポート
調整
土地利用の履歴
等調査
12/24系統連系協議依頼表提出
2/8系統連系申込書提出
○
○
3/25系統連系
○ 2/26回答書受領
1/4~1/28ヘリ進入平面に関するクレン作業事前打合調整期間
○
○
1/12土地利用の履歴等調査開始
1/29環境局への調査報告書受理
○
○
1/28港湾局占用許可申請
工事占用
建設期間
○
○2/5占用許可
カーポート建設期間
○
7-2
東京都水道局八王子給水事務所
設置に要した主な手続きは以下のとおり。
①~⑪までは現場工事着工までの事前手続きである。
手続名
東京都建築安全条例 第 4 条第 3 項
(*5)、第 10 条第 4 号(*6)、第 10
①
条の2ただし書き(*7)についての認
定
② 都市計画法第 53 条(*8)許可申請
根拠法令等
要した期間
東京都建築安全条例 第 4 条第
3 項(*5)、第 10 条第 4 号(*6)、
18日間
第 10 条の2(*7)ただし書き
都市計画法第 53 条(*8)
「東京における自然の保護と回
自然の保護と回復に関する条例(自
③
復に関する条例」第 14 条(*9)
然保護条例)緑化計画書の届出等
及び第 47 条(*10)
都民の健康と安全を確保する環
④ 指定作業場変更届
境に関する条例第 90 条(*11)
⑤ 真北測定
建築基準法第 56 条の 2(*12)
建築基準法第 42 条第 2 項(*13)道 建 築 基 準 法 第 42 条 第 2 項
⑥
路に関する調査書
(*13)
みなし道路の保全及び整備に関する 建築基準法のみなし道路の保全
⑦
事前協議
及び整備に関する条例
⑧ 建築確認申請
建築基準法第 6 条第 1 項
都民の健康と安全を確保する環
⑨ 土地利用の履歴等調査届出書
境に関する条例第 117 条
⑩ 東京電力系統連系申込書
発電設備系統連系サ-ビス要綱
⑪ 完了検査
建築基準法第 7 条第 1 項(*2)
13日間
9日間
21日間
1 日間
5日間
1日間
27日間
24日間
84 日間
3日間
以下、主な手続きの概要を示す。
① 東京都建築安全条例 第 4 条第 3 項(*5)、第 10 条第 4 号(*6)、第 10 条の2た
だし書き(*7)についての認定
(平成 27 年 12 月 28 日 認定申請書提出~平成 28 年 1 月 14 日 認定通知書交付
18 日間)
東京都建築安全条例第 4 条により、敷地は 10m 以上の長さで道路と接していなけ
ればならないが、現状は 9.675m となっており、基準を満たしていない。
また、第 10 条により、ソーラーカーポート(自動車車庫)は路地状部分のみによ
って道路に接する敷地に建築してはならない、とあるが、基準を満たしていない。
さらに、第 10 条の 2 により、ソーラーカーポート(自動車車庫)の敷地は幅員 6
m以上の道路に接していなければならない、とあるが、現状は幅員 4mの道路にのみ
接しており、基準を満たしていない。
敷地は上記 3 つの条例の基準を満たしていないため、それぞれ、建築安全条例につ
いて知事が安全上支障がないと認めるための認定を申請した。
② 都市計画法第 53 条(*8)許可申請
(平成 28 年 1 月 14 日 許可申請書提出~平成 28 年 1 月 26 日 許可書交付 13
日間)
敷地は都市計画公園の範囲にあるため、基準によると本来 3 階建・鉄筋コンクリー
ト造の事務所棟は建てられない。しかし、八王子給水事務所では八王子市と協議の結
果、許可を得て既存の事務所棟を建てている。今回、増築によって延床面積等が変更
となったため、改めて許可を得るために申請した。
③ 自然の保護と回復に関する条例(自然保護条例)について
(平成 27 年 11 月 10 日 必要書類提出~平成 27 年 11 月 18 日 審査結果通知 9
日間)
「東京における自然の保護と回復に関する条例」第 14 条(*9)及び第 47 条(*10)に
より、緑化計画書の届出等が必要となるが、届出が必要な変更はないため、手続き不
要の結果を受領した。
④ 指定作業場変更届
(平成 28 年 1 月 26 日 届出書提出~平成 28 年 2 月 15 日 副本受取 21 日間)
「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」第 90 条(*11)による届出。ソー
ラーカーポート設置に伴い、既存植栽部分を新たに駐車場としたため、駐車台数が変
更となった。また、前回届出を行った平成 21 年以降に新たに駐車場が増えているた
め、その変更内容も併せて変更届を提出した。
⑤ 真北測定(平成 28 年 1 月 22 日実施)
敷地は建築基準法第 56 条の 2(*12)により、建築物によって生じる日影の状況に
より高さが制限されている。方位磁石が示す北(磁北)と太陽が正午の時に示す北(真
北)は地域によって異なる。日影の検討には真北を使うため、その真北の測定を行っ
た。
(真北測定)
⑥ 建築基準法第 42 条第 2 項(*13)道路に関する調査書
(平成 28 年 1 月 22 日現地鋲打ち、平成 28 年 1 月 26日書類提出 5日間)
建築基準法施行時に幅員 4m未満の道で、特定行政庁が指定した道は、中心線から
2mの線を道路の境界線とみなされる。八王子給水事務所の敷地の一部をセットバッ
クして道路とすることの届出。道路の位置を調査及び確認し、鋲を 2 ヶ所に設置した。
⑦ みなし道路の保全及び整備に関する事前協議
(平成 28 年 1 月 26 日 事前協議申請書提出、受付完了)
八王子市の「建築基準法のみなし道路の保全及び整備に関する条例」による協議。
建築基準法第 42 条第 2 項道路のためにセットバックした部分を提供することの事前
協議を行う必要がある。ただし、土地の所有者が地方公共団体である場合には「適用
除外」となる。確認申請の手続き上、適用除外となったことを示す書類が必要である
ため、事前協議申請書を提出した。
⑧ 建築確認申請
(平成 28 年 1 月 28 日 確認申請書提出~平成 28 年 2 月 23 日 確認済証交付 27
日間)
建築基準法第 6 条第 1 項の規定による確認申請書と必要図面一式を提出した。
⑨ 東京電力系統連系申込書
(平成 28 年 1 月 6 日~平成 28 年 3 月 29 日 84 日間)
発電設備系統連系サ-ビス要綱に基づき東電に事前相談の上提出する。
【系統連系申込書提出の根拠】
・発電設備を設置し、発電された電気の全部または一部を自ら使用し、もしくはこ
れに準ずる場合、または電気事業法第27条の 31 の規定に基づく特定供給を行う
場合でその発電設備を東京電力パワ-グリッド株式会社(平成28年4月1日東京
電力株式会社より分社化により送配電部門事業を継承発足した会社)が維持及び運
用する高圧電線路または特別高圧電線路に電気的に接続することを希望する場合、
発電設備系統連系サ-ビス要綱により連系の申し込みを行うことになっている。
系統連系申込みをする場合、一般的には3~4か月前までに提出する必要があるが、
電力会社支社により扱いが少し異なるので電話で確認をした。八王子給水事務所の
場合、管轄が現多摩総支社(旧八王子支社)にあり、事前に協議の上系統協議依頼
票の提出を不要とすることができた。このことにより、系統連系申込書を1月6日
に提出した。
⑩ 環境確保条例第 117 条による土地利用の履歴等調査届出書
(平成 28 年 1 月 12 日~平成 28 年 2 月 4 日 24 日間)
「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)」第 117 条によ
り、3,000 ㎡以上の敷地内において土地の改変を行う場合に必要な手続き。
調査・対策の対象となる土地について、過去に有害物質の取扱事業場が存在してい
たか否か、廃棄物を埋め立て処分した履歴はないか、などについて調査・報告を行っ
た。
⑪ 完了検査
(平成 28 年 3 月 28 日 完了検査申請書提出~平成 28 年 3 月 30 日 検査済証交
付 3 日間)
建築基準法第 7 条第 1 項(前出*2)の規定による完了検査申請書を提出した。
⑫
近隣住民への配慮
(平成 28 年 2 月 18 日
配布)
工事着工の 2 週間前に、水道局事務所と協議の上配布対象地域を特定し、近隣住民
へ工事開始のビラ配布を実施した。工事上、重機等の使用にて、どうしても騒音が発
生してしまう工程がある。近隣の方とのトラブルを防止し、工事に対するご理解を頂
くためにも、配布を行うことが望まれる。施工時の騒音・振動の対策としては、発生
しやすい作業は早朝や夕方には行わないなど、気を配りながら作業する必要がある。
(添付資料:近隣住民配布用ビラ(八王子)参照)
【契約から完成までのスケジュール及び諸手続き(東京都水道局八王子給水事務所)】
2015/8月
年・月・日
項目
1
委託契約
○ 8/3契約締結
10
20
9月
31 1
10
10月
20 30 1
10
11月
20 31 1
10
20 30
9/8地質調査
地質調査
○
11/10自然保護条例書類提出11/18審査結果受領
都民の健康と安全を 確保
する 環境に関する 条例
○
関係先図説
○
11/16八王子給水事務所への設計図説明
○
11/17水道局への設計図説明
○
都建築安全条例
第10条
系統連系
都市計画法
第53条
建築基準法
第42条
真北測定
特定作業場
みなし道路
建築確認
防火対象物使用開始届
建設期間
2015/12月
年・月・日
項目
1
10
20
2016/1月
31 1
10
2月
20 31 1
10
3月
20 29 1
10
20 31
委託契約
地質調査
都民の健康と安全を 確保
する 環境に関する 条例
関係先図説
都建築安全条例
第10条
12/2810条3項の認定申請書提出
○
○ 1/14認定通知書交付
1/6系統連系申込書提出
系統連系
3/28系統連系回答書受領
○
○
3/29系統連系
土地利用の履歴
等調査
都市計画法
第53条
建築基準法
第42条
真北測定
特定作業場
みなし道路
1/12土地利用の履歴等調査開始
○
○
1/14許可申請書提出 1/26副本受領
○
○
1/22第2項の道路調査鋲打1/26調査書提出
○○
○ 1/22真北測定
1/26指定作業場変更届提出
○
○ 2/15副本受領
○ 1/26みなし道路事前協議書提出受理
1/28建築確認提出
建築確認
○
2/4多摩環境事務所 調査報告書受理
2/23建築確認許可
○
3/29建築確認検査
○
○
3/30済証交付
3/23使用開始届提出受理 ○
防火対象物使用開始届
建設期間
2/18近隣住民ビ ラ 配布
○
8
設計から施工完了までに生じるソーラーカーポートの課題や改善策
(1) 建築設計の課題
① 各種法的手続きの多さ
ソーラーカーポートは建築基準法上の建築物となるため、建築基準法や建築基準
施行令を遵守する必要があるが東京都においては独自のルールとして「東京都建築
安全条例」が存在する。
この条例の中には、建築基準法に示されていない地域の特性に合わせた条文があ
る。例えば条例第三十一条には、「駐車場の床は耐水材料」で施工することと書か
れているが、これは都条例独自のルールである。
若洲ゴルフリンクス駐車場においては、既にアスファルト(耐水材料)で舗装が行
われていたため、新たに耐水材料で舗装することは行わなかったが、青空駐車場の
上にカーポートを設置しようとする場合、その舗装面が砕石だけであると舗装を必
要とする場合が発生する。この場合は建設コストが予想より上る可能性もある。
これは一つの例であるが、地域や地区によっては、さらに区市条例もある場合が
あり、建築基準法上の「建築物」として扱われることで様々な規制がかかってしま
う。
② 一敷地一申請
八王子給水事務所では平成 27 年度東京都水道局事業として燃料保管庫の増築を計
画していた。平成 27 年 3 月に計画通知申請が行われ、5 月に確認済証が交付されて
おり、工事は 12 月に終わる計画だった。
建築基準法上、1 つの敷地には 1 つの確認申請だけで、同時に2つの確認申請を行
うことは認められないため、燃料保管庫の完了検査が終了してから、確認申請を行わ
ざるを得ない状況であった。最終的に、ソーラーカーポートの確認申請を行い確認済
証の交付を受けるのは平成 28 年 2 月 23 日となり、ソーラーカーポートは平成 27
年度内に工事を終わらせる必要があったため、工期が非常に短いものとなってしまっ
た。
ソーラーカーポートを設置する場合には、野立てに設置する太陽光発電設備と異な
り、同敷地内の他の工事の予定を考慮しながら、計画を立てる必要がある。
(2)建築設計の改善策
ソーラーカーポートは、建築基準法上の「建築物」となるため、建築確認申請手続
きが必要となる。円滑な設計を行うためには、早い段階から各行政機関との相談・協
議を行う必要がある。
また、架台の下部に自動車を置く「自動車車庫」であるため、建築基準法第2条第
2項により「特殊建築物」となる。
各自治体により異なるが、折衝・ヒアリングをする関係を一覧にする。但し、各自
治体によって異なるため以下の一覧以外にも折衝が必要な場合があるので、各自治体
の担当者に漏れが無いよう丁寧に確認する必要がある。
【区市町村の例】
担当窓口
建築課
折衝内容
意匠・構造・設備の計画が
関係法令に適合している
か。
関係法令
建築基準法
建築基準法施行令
東京都建築安全条例
都市計画課
道路管理課
消防本部予防課
環境課
警察署
申請地における条例等の確
認
申請地における接道の状況
について
防火・消火・避難設備等の
計画が関係法令に適合して
いるか
計画申請地及び計画規模に
よって定められる届出等の
要、不要について
自動車車庫の出入口の構造
について
都市計画法
自治体が定める各種条例
建築基準法第 42 条
消防法
消防法施行令
土壌汚染対策法
東京都建築安全条例第 27 条
(3)電気設備設計の課題
① 事前の情報提供及び工事スケジュールの調整
ソーラーカーポートを自己所有の敷地に設置する場合には、自己の電気設備の状
況に合った形で電気設備設計を行い、その敷地の都合の良いタイミングで停電工事
等を行うことができる。
しかし、今回は、他者所有の敷地に設置したため、各施設とも施設管理者との調
整に非常に多くの時間を要してしまった。
以下、若洲ゴルフリンクスでの調整の流れを示す。
・ 若洲ゴルフリンクスでは、自家消費型太陽光発電システムの容量を決める際、
発電設備容量が 10kW を超える場合、または発電設備の出力容量が自家消費す
る商用系統の契約電力の 5%程度以上の場合、
「みなし低圧連系」とは認められ
ず『高圧連系』の規定に則り OVGR(*14)を設置する必要がある。
・ 電力会社への相談・協議をした結果、既存キュービクル内に OVGR の設置(改
造工事)をする必要があるとの回答があったため、改造設置工事を行った。
・ さらに、今回改造するキュービクルが、消防認定キュービクルであったため、
OVGR の設置工事を行うためには、消防署へ電気設備設置変更届出申請が必要
となりこれを実施した。
・ また、キュ-ビクル改造により、施設電源の停電が発生するため、停電によ
る施設への影響を最小限に抑えるため、若洲ゴルフリンクスで別途行う電気工
事に伴う停電作業の日程に合わせる必要があった。
・ そのため事前に施設側の電気主任技術者及び電気工事店と綿密な打合せを行
い、協力しながら停電時の計画を策定し、停電作業を行った。停電作業の対応
は、限られた時間内に電力を復旧させなければならず、作業日の直前までに関
係者と十分な打合せを実施し、施設管理者に迷惑が及ばぬよう慎重に対応した。
・ 若洲ゴルフリンクスは、電気工事による計画停電作業日が年 1 回と限られて
おり、単独停電作業をすることが困難な状況にあったことからも、工事日程を
早期に計画し施設管理者側に通知する必要があったが日程調整に手間取り計
画策定が円滑に進まなかった。
② 太陽光パネル等電気設備点検の方法
ソーラーカーポートに設置してある太陽光パネルは、八王子給水事務所に設置し
たものでも地上から約 4 メートル以上あり、パネルの状態を確認するためには、は
しご又は足場を組む等する必要があることから、他の太陽光発電設備(野立て、屋
上設置)と比較して、電気設備点検に労力と費用がかかる。
(4)電気設備設計の改善策
① 事前の綿密な調査及び情報収集の徹底
他者所有の敷地にソーラーカーポートを設置する場合、既存電気設備に悪影響を
及ぼさないように、既存設備についての基礎的な図面(単線系統図、施設平面図、電
気室配置図等)の入手だけでなく、事前に綿密な調査及び情報収集が必要である。
② 維持管理業務を考慮した設計の実施
建築設計時から、建築設計担当者と電気設備設計担当者が綿密に打合せを行い、
電気設備点検も考慮した設計を考える必要がある。
例えば、太陽電池モジュールの配置に余裕を持たせ、屋根部分にメンテナンス通
路を確保するなどが考えられる。
(5) 施工期間中の留意点及び施設への影響
・若洲ゴルフリンクスでの留意点はゴルフ場来場者の車寄せに近いため、第三者災
害の防止また大型の搬出入車両の使用に時間的制約を受けた。また、鉄筋を裁断し
たり、コンクリ-トを砕く等の大きな音の出る作業については、夜間作業対応が必
要であった。
また、独立した駐車帯であったことと、大きな代替の駐車場があったことから、
施設利用者及び若洲ゴルフリンクス従業員への駐車場利用に対する影響は最小限
に抑えられた。
・八王子給水事務所の施設への影響については、施工期間中は、職員専用の車両を
15台、約 1 か月に渡って移動させる必要があったが、施設内に代替可能な駐車ス
ペースがあり、事務所職員の協力の結果、業務への影響は最小限に抑えられた。
(6)東京ヘリポートとの協議
・若洲ゴルリンクスでは、ソーラーカーポートの設置箇所が、近隣のヘリポートの
進入表面の範囲に入っている可能性がある為、設置構造物(ソーラーカーポート)及
び施工時のクレーンの高さと制限表面の位置関係の図面提出を求められた。
そのため、位置関係図面の提出及び進入表面には影響のないことの説明を行い、
承認を得た。また、クレーン作業日の作業開始時及び作業終了時に、東京ヘリポー
ト管理事務所へ連絡を入れるといった対応を行った。
9
ソーラーカーポート普及に向けての提案
・ソーラーカーポートは、他の太陽光発電システムの設置工法と比較してコストが
高いことが普及を妨げている一つの要因となっている。コストを高めている要因と
しては、架台が受注生産で、製品が規格化されていないことが原因であると考えら
れる。
そのため、行政がソーラーカーポートをより普及させるよう、ソーラーカーポー
トという工法があることの周知やインセンティブを与える等の施策を行うことで、
導入事例を増やし、市場を活性化させ、メーカー等が規格化された架台やシステム
を製品化するように促していくことが求められる。
・建築基準法 53 条に定める建ぺい率の考え方によって、建築可能な面積は敷地の
大きさや形態によって限られる。未利用地の少ない東京都においては、青空駐車場
にソーラーカーポートを設置しようとした場合、この建ぺい率を超えてしまうこと
も考えられる。太陽光発電設備を搭載したカーポートの認定基準を作成し、合格し
たものは建ぺい率算定のための面積から控除するなどの特例があると、オフィスビ
ルの駐車場など、建蔽率制限によって空地となっている部分にソーラーカーポート
を設置することが可能になる場合があると考えられる。
・その他に屋外型防災拠点として、蓄電池や電気自動車充電器設備等を併設したソ
ーラーカーポートなど、複合的な機能を持たせたものを区市町村に対して整備して
いくことを公社としても提案していく。
10 ソーラーカーポートの一般的な手続きについて
本報告書においては、これまで本事業を実施する上で生じた手続きについて記載してきた
が、設置した 2 か所とも都有施設であり、比較的敷地面積が大きい等の特徴を持つ。
そのため、以下に一般的な土地にソーラーカーポートを設置する際の手続きを掲載する。
土地の立地や面積によって各種法令等が適用される場合があるが、基本的には大きく分けて
2 種類の手続きがあるため、初めてソーラーカーポートを設置しようと考えている事業者や
自治体等は参考にされたい。
① 建築確認申請手続(要する期間:1 か月半から 2 か月程度)
建築主事へ建築確認申請
↓
建築確認済証交付後に着工
↓
建築主事による完了検査
② 系統連系申請手続(要する期間:4 か月程度程度)
発電設備容量が10kWを超える場合、OVGR(*14)の設置検討
↓
電力会社へ系統連系協議申込み
↓
電力会社へ系統連系申込み
※ ①及び②は同時並行での手続となる。
11
その他事例
・近年、建設されているソーラーカーポートの事例を次に紹介する。
・設計では、軽量H形鋼を使用し、太陽光パネルを屋根として利用する屋根一体型
のモデルである。
発電所名:APPLE ONE
発電容量:1,782KW
年間発電量:170 万KWh
(一般家庭 470 世帯分)
敷地面積:2.6 ヘクタ-ル
駐車台数:1100 台
施工業者:国光施設工業株式会社
発電電力は全量売電
12
参考資料
(法令の解説)
建築基準法
第二条
この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一
建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造の
ものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物
内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運
転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)
をいい、建築設備を含むものとする。
二
特殊建築物 学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観
覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、
下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類す
る用途に供する建築物をいう。
(*1)
(国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物に対する確認、検査又は是正措置に関する手続の
特例)
第十八条
国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物及び建築物の敷地については、第六条から
第七条の六まで、第九条から第十条まで及び第九十条の二の規定は、適用しない。この場合において
は、次項から第二十五項までの規定に定めるところによる。
2
第六条第一項の規定によつて建築し、又は大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする建
築物の建築主が国、都道府県又は建築主事を置く市町村である場合においては、当該国の機関の長等
は、当該工事に着手する前に、その計画を建築主事に通知しなければならない。
(*2)
(建築物に関する完了検査)
第七条
建築主は、第六条第一項の規定による工事を完了したときは、国土交通省令で定めるところに
より、建築主事の検査を申請しなければならない。
(*3)
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例
(土 地 の 改 変 時 に お け る 改 変 者 の 義 務 )
第 百 十 七 条 規 則 で 定 め る 面 積 以 上 の 土 地 に お い て 行 う 土 地 の 切 り 盛 り 、掘 削 等 規 則
で 定 め る 行 為 ( 以 下 「 土 地 の 改 変 」 と い う 。 )を 行 う 者 ( 以 下 「 土 地 改 変 者 」 と い う 。 )
は 、土 壌 汚 染 対 策 指 針 に 基 づ き 、当 該 土 地 の 改 変 を 行 う 土 地 に お け る 過 去 の 有 害 物 質
の 取 扱 事 業 場 の 設 置 状 況 等 規 則 で 定 め る 事 項 に つ い て 調 査 し 、そ の 結 果 を 知 事 に 届 け
出なければならない。
2 知事は、前項の調査の結果、当該土地の土壌が汚染され、又は汚染されているおそ
れ が あ る と 認 め る と き は 、土 地 の 改 変 者 に 対 し 、土 壌 汚 染 対 策 指 針 に 基 づ き 、規 則 で
定 め る と こ ろ に よ り 当 該 土 壌 の 汚 染 状 況 を 調 査 し 、そ の 結 果 を 報 告 す る よ う 求 め る こ
とができる。
3 土地改変者は、前項の調査の結果、当該土地の土壌の有害物質の濃度が汚染土壌処
理 基 準 を 超 え て い る こ と が 判 明 し た と き は 、土 地 の 改 変 に 伴 う 汚 染 の 拡 散 等 を 防 止 す
る た め 、土 壌 汚 染 対 策 指 針 に 基 づ き 、規 則 で 定 め る と こ ろ に よ り 、汚 染 拡 散 防 止 計 画
書を作成し、知事に提出しなければならない。
4 前項により汚染拡散防止計画書の提出をした土地改変者は、前項の汚染拡散防止計
画 書 の 内 容 を 誠 実 に 実 施 し 、汚 染 の 拡 散 の 防 止 の 措 置 が 完 了 し た と き は 、そ の 旨 を 知
事に届け出なければならない。
(*4)
消防法施行令
第十条 消火器又は簡易消火用具(以下「消火器具」という。
)は、次に掲げる防火対象物又はその部
分に設置するものとする。
二 別表第一(一)項ロ、(三)項から(五)項まで、
(六)項イ、ハ及びニ、
(九)項並びに(十二)
項から(十四)項までに掲げる防火対象物で、延べ面積が百五十平方メートル以上のもの
別表第一 (第一条の二―第三条、第三条の三、第四条、第四条の二の二―第四条の三、第六条、第
九条―第十四条、第十九条、第二十一条―第二十九条の三、第三十一条、第三十四条、第三十四条の
二、第三十四条の四―第三十六条関係)
(十三) イ 自動車車庫又は駐車場
(*5)
東京都建築安全条例
第 四 条 延 べ 面 積 ( 同 一 敷 地 内 に 二 以 上 の 建 築 物 が あ る 東京都建築安全条例
場 合 は 、 そ の 延 べ 面 積 の 合 計 と す る 。 )が 千 平 方 メ ー ト ル を 超 え る 建 築 物 の 敷 地 は 、
その延べ面積に応じて、次の表に掲げる長さ以上道路に接しなければならない。
延べ面積
長さ
千平方メートルを超え、二千平方メートル以下のもの
六メートル
二千平方メートルを超え、三千平方メートル以下のもの 八メートル
三千平方メートルを超えるもの
十メートル
2
延べ面積が三千平方メートルを超え、かつ、建築物の高さが十五メートルを超え
る建築物の敷地に対する前項の規定の適用については、同項中「道路」とあるの
は、「幅員六メートル以上の道路」とする。
3
前二項の規定は、建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知
事が安全上支障がないと認める場合においては、適用しない。
(*6)
(路 地 状 敷 地 の 制 限 )
第 十 条 特 殊 建 築 物 は 、路 地 状 部 分 の み に よ つ て 道 路 に 接 す る 敷 地 に 建 築 し て は な ら
ない。ただし、次に掲げる建築物については、この限りでない。
一 路 地 状 部 分 の 幅 員 が 十 メ ー ト ル 以 上 で 、か つ 、敷 地 面 積 が 千 平 方 メ ー ト ル 未 満 で あ
る建築物
二 階 数 が 三 以 下 で あ つ て 、延 べ 面 積 が 二 百 平 方 メ ー ト ル 以 下 で 、か つ 、住 戸 又 は 住 室
の 数 が 十 二 を 超 え な い 共 同 住 宅 で 、路 地 状 部 分 の 長 さ が 二 十 メ ー ト ル 以 下 で あ る も の
三 前 条 第 六 号 又 は 第 十 三 号 に 掲 げ る 用 途 に 供 す る 建 築 物 で 、そ の 敷 地 の 路 地 状 部 分 の
幅員が四メートル以上で、かつ、路地状部分の長さが二十メートル以下であるもの
四
前 三 号 に 掲 げ る も の の ほ か 、建 築 物 の 周 囲 の 空 地 の 状 況 そ の 他 土 地 及 び 周 囲 の 状 況
により知事が安全上支障がないと認める建築物
(*7)
(前 面 道 路 の 幅 員 )
第 十 条 の 二 次 の 表 に 掲 げ る 用 途 に 供 す る 特 殊 建 築 物 の 敷 地 は 、用 途 に 応 じ て 、 同 表
に 掲 げ る 幅 員 以 上 の 道 路 に 接 し 、か つ 、当 該 道 路 に 面 し て 当 該 敷 地 の 自 動 車 の 出 入 口
を 設 け な け れ ば な ら な い 。た だ し 、 建 築 物 の 周 囲 の 空 地 の 状 況 そ の 他 土 地 及 び 周 囲 の
状況により知事が安全上支障がないと認める場合は、この限りでない。
用途
(い ) 一 博 物 館 又 は 美 術 館 (床 面 積 が 二 百 平 方 メ ー ト ル を 超 え
るものに限る。)
二 自 動 車 車 庫 、自 動 車 駐 車 場 、自 動 車 修 理 工 場 (床 面 積 が
五 十 平 方 メ ー ト ル を 超 え る も の に 限 る 。 )、 自 動 車 洗 車 場
又は自動車教習所
幅員
六メートル
三 タ ク シ ー 又 は ハ イ ヤ ー の 営 業 所 (タ ク シ ー 又 は ハ イ ヤ
ーの駐車の用に供する部分の床面積の合計が五百平方メ
ートル未満のものに限る。)
四 展示場
五 倉庫又は荷貨物集配所
六 体 育 館 (学 校 に 附 属 す る も の を 除 く 。 )
七 ガ ソ リ ン ス タ ン ド (石 油 類 の 貯 蔵 能 力 が 五 万 リ ッ ト ル
以下のものに限る。)
八 液 化 石 油 ガ ス ス タ ン ド (液 化 石 油 ガ ス の 貯 蔵 能 力 が 三
十五トン以下のものに限る。)
九 危険物の貯蔵場又は処理場
一 自動車ターミナル
十二メートル
二 タ ク シ ー 、 ハ イ ヤ ー 等 の 営 業 所 ((い )項 第 三 号 に 掲 げ る
ものを除く。)
三 卸売市場
四 レディミクストコンクリート製造場又はアスファルト
コンクリート製造場
五 ボーリング場
六 ガ ソ リ ン ス タ ン ド (( い ) 項 第 七 号 に 掲 げ る も の を 除 く 。)
七 液 化 石 油 ガ ス ス タ ン ド ((い )項 第 八 号 に 掲 げ る も の を 除
く。)
(*8)
都市計画法第53条
(建築の許可)
第五十三条
都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとす
る者は、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事等の許可を受けなければならない。ただ
し、次に掲げる行為については、この限りでない。
一
政令で定める軽易な行為
二
非常災害のため必要な応急措置として行う行為
三
都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為
四
第十一条第三項後段の規定により離隔距離の最小限度及び載荷重の最大限度が定められている都市
計画施設の区域内において行う行為であつて、当該離隔距離の最小限度及び載荷重の最大限度に適合
するもの
五
第十二条の十一に規定する道路(都市計画施設であるものに限る。)の区域のうち建築物等の敷地
として併せて利用すべき区域内において行う行為であつて、当該道路を整備する上で著しい支障を及
ぼすおそれがないものとして政令で定めるもの
2
第五十二条の二第二項の規定は、前項の規定による許可について準用する。
3
第一項の規定は、第六十五条第一項に規定する告示があつた後は、当該告示に係る土地の区域内に
おいては、適用しない。
(*9)
東京における自然の保護と回復に関する条例
(緑 化 計 画 書 の 届 出 等 )
第 十 四 条 千 平 方 メ ー ト ル 以 上 の 敷 地 (国 及 び 地 方 公 共 団 体 が 有 す る 敷 地 に あ っ て は 、
二 百 五 十 平 方 メ ー ト ル 以 上 と す る 。) に お い て 建 築 物 ( 建 築 基 準 法 ( 昭 和 二 十 五 年 法 律 第
二 百 一 号 )第 二 条 第 一 号 に 規 定 す る 建 築 物 を い う 。 以 下 同 じ 。 )の 新 築 、 改 築 、 増 築 そ
の 他 の 規 則 に 定 め る 行 為 を 行 お う と す る 者 は 、あ ら か じ め 、規 則 に 定 め る 基 準 に 基 づ
き 、 緑 化 計 画 書 (地 上 部 及 び 建 築 物 上 の 緑 化 に つ い て の 計 画 書 )を 作 成 し 、 知 事 に 届 け
出 な け れ ば な ら な い 。た だ し 、第 四 十 七 条 第 一 項 及 び 第 五 項 、第 四 十 八 条 第 一 項 並 び
に第四十九条第一項に定める行為については、この限りでない。
2
前項の届出を要する行為を行った者は、当該建築物及びその敷地における緑化が完
了 し た と き は 、 遅 滞 な く 、 知 事 に 緑 化 の 完 了 を 報 告 す る た め の 書 類 (以 下 「 緑 化 完 了
書 」 と い う 。 )を 提 出 し な け れ ば な ら な い 。
3 第一項の届出を要する行為を行った者は、その緑地の適切な維持管理に努めなけれ
ばならない。
(*10)
東京における自然の保護と回復に関する条例
(開 発 の 許 可 )
第 四 十 七 条 樹 林 地 、草 地 、農 地 、池 沼 等 の 自 然 地 を 含 む 千 平 方 メ ー ト ル 以 上 の 規 則
で定める土地において、第一号から第七号までの用に供するため、又は第八号若
しくは第九号の行為により、土地の形質を変更する行為を行おうとする者は、あ
らかじめ知事の許可を受けなければならない。ただし、都市計画法第七条第一項
の規定により定められた市街化調整区域、保全地域等の地域を除く規則で定める
地域にあっては、三千平方メートル以上とする。
一 建 築 物 そ の 他 の 工 作 物 を 新 築 し 、 改 築 し 、 又 は 増 築 す る こ と (次 号 か ら 第 七 号 ま
で に 該 当 す る も の を 除 く 。 )。
二 住宅を建築すること。
三 ゴルフ場、運動場その他これらに類する屋外運動競技施設を建設すること。
四 遊園地その他これに類する屋外娯楽施設を建設すること。
五 道 路 (道 路 交 通 法 (昭 和 三 十 五 年 法 律 第 百 五 号 )第 二 条 第 一 項 第 一 号 に 規 定 す る 道
路 を い う 。 )を 建 設 す る こ と 。
六 駐車場、資材置場又は作業場を建設すること。
七 墓 地 ( 墓 地 、埋 葬 等 に 関 す る 法 律 ( 昭 和 二 十 三 年 法 律 第 四 十 八 号 )第 二 条 第 五 号 に 規
定 す る 墓 地 を い う 。 )を 建 設 す る こ と 。
八 鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。
九 土 砂 等 (埋 立 て 又 は 盛 土 の 用 に 供 す る 物 で 、 廃 棄 物 の 処 理 及 び 清 掃 に 関 す る 法 律
(昭 和 四 十 五 年 法 律 第 百 三 十 七 号 ) 第 二 条 第 一 項 に 規 定 す る 廃 棄 物 以 外 の も の を い
う 。 )に よ る 埋 立 て 及 び 盛 土 (第 一 号 か ら 前 号 ま で に 該 当 す る も の を 除 く 。 )を す る
こと。
2 知事は、次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、前項の許可を行うもの
とする。
一 前 項 の 許 可 の 申 請 に 係 る 行 為 に お い て 、規 則 で 定 め る と こ ろ に よ り 、既 存 樹 木 等
の保護について検討されていること。
二 前 項 の 許 可 の 申 請 に 係 る 行 為 が 、規 則 で 定 め る 緑 地 等 の 基 準 に 適 合 し て い る こ と 。
三 前項の許可の申請の手続が、規則の規定に違反していないこと。
3 知事は、第一項の許可のうちその許可に係る土地の面積が三万平方メートル以上
であるものについて、その土地における行為に係る許可をしようとするときその
他知事が特に必要があると認めるときは、あらかじめ第十二条第一項の東京都自
然環境保全審議会の意見を聴かなければならない。
4 知事は、第一項の許可に当たっては、自然の保護と回復のために必要な限度にお
いて、条件を付することができる。
5 国 の 機 関 若 し く は 地 方 公 共 団 体 が 行 う 行 為 (第 一 項 の 土 地 の 形 質 を 変 更 す る 行 為
を い う 。以 下 こ の 項 に お い て 同 じ 。)又 は 都 市 計 画 法 に よ る 都 市 計 画 事 業 の 施 行 と
し て 行 う 行 為 若 し く は 土 地 区 画 整 理 法 (昭 和 二 十 九 年 法 律 第 百 十 九 号 )に よ る 土 地
区画整理事業の施行として行う行為は、同項の許可を受けることを要しない。こ
の場合において、その国の機関、地方公共団体又は都市計画法第五十九条第四項
に定める都市計画事業の施行をしようとする者若しくは土地区画整理法第四条若
しくは第十四条に定める土地区画整理事業の施行をしようとする者は、その行為
を行おうとするときは、あらかじめ知事に協議しなければならない。
(*11)
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例
(指 定 作 業 場 の 変 更 の 届 出 )
第九十条 既に設置している指定作業場に係る前条第三号から第五号までに掲げる
事 項 を 変 更 し よ う と す る 者 は 、あ ら か じ め 、規 則 で 定 め る と こ ろ に よ り 、そ の 旨 を 知
事に届け出なければならない。
(*12)
建築基準法
(日影による中高層の建築物の高さの制限)
第五十六条の二
別 表 第 四 (い )欄 の 各 項 に 掲 げ る 地 域 又 は 区 域 の 全 部 又 は 一 部 で 地
方公共団体の条例で指定する区域(以下この条において「対象区域」という。)
内 に あ る 同 表 (ろ )欄 の 当 該 各 項 ( 四 の 項 に あ っ て は 、 同 項 イ 又 は ロ の う ち か ら 地
方公共団体がその地方の気候及び風土、当該区域の土地利用の状況等を勘案して
条例で指定するもの)に掲げる建築物は、冬至日の真太陽時による午前八時から
午後四時まで(道の区域内にあっては、午前九時から午後三時まで)の間におい
て 、 そ れ ぞ れ 、 同 表 (は )欄 の 各 項 ( 四 の 項 に あ つ て は 、 同 項 イ 又 は ロ ) に 掲 げ る
平均地盤面からの高さ(二の項及び三の項にあっては、当該各項に掲げる平均地
盤面からの高さのうちから地方公共団体が当該区域の土地利用の状況等を勘案し
て条例で指定するもの)の水平面(対象区域外の部分、高層住居誘導地区内の部
分、都市再生特別地区内の部分及び当該建築物の敷地内の部分を除く。)に、敷
地 境 界 線 か ら の 水 平 距 離 が 五 メ ー ト ル を 超 え る 範 囲 に お い て 、 同 表 (に )欄 の (一 )、
(二 ) 又 は ( 三 ) の 号 ( 同 表 の 三 の 項 に あ っ て は 、 ( 一 ) 又 は ( 二 ) の 号 ) の う ち か ら 地 方
公共団体がその地方の気候及び風土、土地利用の状況等を勘案して条例で指定す
る号に掲げる時間以上日影となる部分を生じさせることのないものとしなければ
ならない。ただし、特定行政庁が土地の状況等により周囲の居住環境を害するお
それがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合においては、この限り
でない。
2
同一の敷地内に二以上の建築物がある場合においては、これらの建築物を一の
建築物とみなして、前項の規定を適用する。
3
建築物の敷地が道路、川又は海その他これらに類するものに接する場合、建築
物の敷地とこれに接する隣地との高低差が著しい場合その他これらに類する特別
の事情がある場合における第一項本文の規定の適用の緩和に関する措置は、政令
で定める。
4
対象区域外にある高さが十メートルを超える建築物で、冬至日において、対象
区域内の土地に日影を生じさせるものは、当該対象区域内にある建築物とみなし
て、第一項の規定を適用する。
5
建築物が第一項の規定による日影時間の制限の異なる区域の内外にわたる場合
又は建築物が、冬至日において、対象区域のうち当該建築物がある区域外の土地
に日影を生じさせる場合における同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で
定める。
(*13)
建築基準法
(道路の定義)
第四十二条 この章の規定において「道路」とは、次の各号の一に該当する幅員四メートル(特定行
政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況により必要と認めて都道府県都市計画
審議会の議を経て指定する区域内においては、六メートル。次項及び第三項において同じ。)以上の
もの(地下におけるものを除く。)をいう。
2 この章の規定が適用されるに至った際現に建築物が立ち並んでいる幅員四メートル未満の道 で、
特定行政庁の指定したものは、前項の規定にかかわらず、同項の道路とみなし、その中心線からの水
平距離二メートル(前項の規定により指定された区域内においては、三メートル(特定行政庁が周囲
の状況により避難及び通行の安全上支障がないと認める場合は、二メートル)。以下この項及び次項
において同じ。)の線をその道路の境界線とみなす 。ただし、当該道がその中心線からの水平距離二
メートル未満でがけ地、川、線路敷地その他これらに類するものに沿う場合においては、当該がけ地
等の道の側の境界線及びその境界線から道の側に水平距離四メートルの線をその道路の境界線とみ
なす。
(*14)
OVGR (地絡過電圧継電器)
OVGR は電流や電圧が急激な変化したときに電気回路を保護するための装置で、配電線の地絡事故
を検出する機器。地絡事故とは地面を通じて電気が流れていくことで、電線が切れて地面に設置した
場合などに起こる事故のこと。太陽光発電装置からの電力がキュービクルの変圧器を通じて逆昇圧さ
れ配電線に流出するのを防止するため諸条件の基、設置される。
Fly UP