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1 - 消費者庁

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1 - 消費者庁
資料4
基準認証等の規制改革・民間開放
に係る官民の役割分担について
1 基準認証等の概要と事件・事故事例等の関係
物資・施設・設備等
(法令上の検査・検定制度)
法令に基づく基準等なし
法令に基づく強制基準等
法令に基づく任意基準等
・ プールその他
・ 日本農林規格(JAS)
検査等があるもの
検査等がないもの
・ 日本工業規格(JIS)
検査主体
国等・独立行
政法人に限ら
れるもの
・ 原子炉施設
の使用前検査
・ 厚生労働大
臣の指定する医
薬品の検定
民間検査機関も
活用できるもの
自己確認・
自主保安
・ エレベーター
・ シュレッダー
・ ガス瞬間湯沸かし器
・ 電気用品の
基準適合義務
等
・ 耐震偽装
・ 水道の水質検査
・ 高圧ガスの充てんの
ための容器の検査
・ 航空機の製
造・修理の確認
※1 ゴシック体で記されているものは事件・事故事例を表す。
※2 「許認可等の統一的把握の結果について」総務庁行政監察局(平成12年3月)に基づく検査検定制度は、平成14年8月現在で126制度ある。(「検査検
定制度に関する政策評価」(総務省、平成16年4月))。
※3 「航空機の製造・修理の確認」は航空機製造事業法に基づくものである。
(アスベスト(石綿)については、石綿及び石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物は、製造・輸入・譲渡・提供・使用が禁止されている。)
1
(参考)身近な安全・安心にかかわる事故等の概要
事故の発生時期
エレベータ
平成 18 年 6 月
事故の概要
男子高校生がシンドラーエレベータ(株)製のエ
レベータから降りようとしたところ、ドアが開い
たままの状態でエレベータが上昇し、エレベータ
の床と乗り場扉の三方枠の上面との間に挟まれ、
死亡。
ガ ス 瞬 間 湯 沸 か 昭和 60 年∼平成 17 年
パロマ工業(株)が製造したガス瞬間湯沸かし器
し器
につき、安全装置の不正改造等を原因とする一酸
化炭素中毒事故が発生。昭和 60 年∼平成 17 年ま
での期間に 28 件の事故が発生、21 人が死亡。
シュレッダー
昭和 58 年∼平成 18 年
家庭における紙用シュレッダー(アイリスオーヤ
マ(株)製、カール事務器(株)製、ナカバヤシ
(株)製、富士ゼロックス(株)製)による幼児
の指切断事故が、計 5 件発生。
耐震偽装
平成 9 年頃∼
一部の建築士による構造計算書の偽装について、
元請け建築士事務所やその設計を建築確認した指
定確認検査機関等における審査・検査でも偽装で
あることが見過ごされた結果、建築基準法の定め
る耐震基準に適合しないマンション・ホテル等が
建設。
※
調査の結果、偽装が確認された物件は全国で
132 件(平成 18 年 9 月 19 日現在)。
プール
平成 18 年 7 月
埼玉県ふじみ野市の市営大井プールで、児童が流
水プールでふたの外れた吸水口に吸い込まれ、死
亡。
アスベスト
−
クボタ旧神崎工場(兵庫県尼崎市)の従業員等が、
アスベストを原因とする「中皮腫」等で死亡。
(各省プレスリリース等より内閣府作成)
第53回国民生活審議会総会(平成18年10月20日)資料
2
2−1 基準認証等分野の規制改革・民間開放の方向性(1)
企業活動や消費活動に対して大きな影響
基準認証等(基準・規格
及び検査・検定)
経済活動のグローバル化
・コストの上昇
・選択範囲の限定 等
基準認証等の見直しに当たっては、
(1) 個々の制度について真に国が関与した仕組みとして維持する必要があるかにつき抜本的見直し
(2) 国が関与した制度を維持する必要がある場合においても、行政の関与を必要最小限とする方向で以下の規制
改革を推進
① 国が関与する基準認証等の範囲の見直し
② 自己確認・自主保安を基本とした制度への移行
政府自らが行う検査は、危険の大きさ、発生の蓋然性等を踏まえ、国民意識の上からも政府自らが対応すべきも
のに限定。
ア 事業者の自己確認・自主保安: 現在、政府が行っている検査・検定業務を事業者自身が行うか検討する。
イ 第三者認証: 国際ルールを踏まえ、公正・中立な第三者による検査等を義務付ける仕組みとするか検
討する。
ウ インセンティブ制度の導入: 優良な実績を有する事業者に対して選択的に自己確認・自主保安や第三
者認証を認める等の制度導入を検討する。
エ 国の代行機関: 見直し・検討を行い、自己確認・自主保安や第三者認証への移行を検討する。
国の代行機関による検査を存続させる場合は、原則として、機関選定の基準は国による裁量の余地を極
力少なくするとともに、検査機関相互の競争を促進するという観点から、複数の機関の参入を可能とする。
③基準の国際的整合化・性能規定化、重複検査の排除等
(「規制改革・民間開放推進3か年計画」(平成16年3月19日閣議決定)より作成)
3
2−2 基準認証等分野の規制改革・民間開放の方向性(2)
国から公益法人が委託等を受けて行っている検査・検定等の事務事業の改革
① 公益法人が国の代行機関として行う検査・検定等の事務・事業については、
・ 国の関与を最小限とし、事業者の自己確認・自主保安に移行することを基本原則とする。
・ 直ちに事業者の自己確認・自主保安のみに委ねることが国際ルールや消費者保護等の観点から適当でな
いときは、法令等に明示された一定の要件を備え、かつ、行政の裁量の余地のない形で国により登録された
公正・中立な第三者機関(登録機関)により検査・検定を実施する。
② 国民の生命、財産の保護、国際的責務の履行等の観点から、①により難い事務・事業については、国又
は独立行政法人において実施することを原則とする。
(「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」(平成14年3月29日閣議決定)より作成)
指定
申請
※「指定の基準に適合していると
認めるときでなければ指定しては
ならない」と法令上規定されてい
ることが一般的。
指定検査
機
関
国
指
定
事業者
検
査
等
指定検査機関の流れ
登録
申請
※法令等に明示された一定の要
件を備え、かつ、行政の裁量の余
地のない形で国により登録された
公正・中立な第三者機関。
登録検査
機
関
国
登
録
事業者
検
査
等
登録検査機関の流れ
4
3−1 検査・検定制度の類型
①事業者によるもの(自己確認・自主保安)
国
基準適合(維持)義務
事業者
自己確認・
自主保安
②第三者認証によるもの
国
事業者
第三者機関
認証
③国の代行機関(指定検査機関等)によるもの
国 の 代 行 機 関
(指定検査機関等)
認証
事業者
④国・独立行政法人によるもの
国・独立行政
法人
認証
事業者
基準適合
(維持)義務
(「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」(平成14年3月29日閣議決定)及び
「規制改革・民間開放推進3か年計画」(平成16年3月19日閣議決定)を参考に作成)
5
3−2 各類型の検査・検定制度の例
検査・検定の類型
事業者の自己確認・
自己保安によるもの
第三者認証によるも
の
または
国等の代行機関(指
定検査機関等)による
もの
国・独立行政法人に
よるもの
該当する検査・検定の例
・ 特定電気用品以外の電気用品(電気こたつなど338品目)の基準適合義務等(電気用品安全法)
・ 航空機の製造、修理の確認(航空機製造事業法)
・ 熱供給事業の用に供する導管の使用前検査(熱供給事業法)
・ 水道の水質検査(水道法)
・ 特別特定製品(浴槽用温水循環器など)の適合性検査(消費生活用製品安全法)
・ 特定電気用品(電気温水器など112品目)の適合性検査(電気用品安全法)
・ 特定ガス用品(半密閉式ガス瞬間湯沸かし器など)の適合性検査(ガス事業法)
・ 特定液化石油ガス器具(液化石油ガスlこんろなど)の適合性検査(液化石油ガスの保安の確保及
び取引の適正化に関する法律)
・ 特定機械等(ボイラーなど)の検査証の有効期間の更新検査(労働安全衛生法)
・ 高圧ガスを充てんするための容器の検査(高圧ガス保安法)
・ 検定対象機械器具等(消火器など)についての試験及び個別検定(消防法)
・ タール色素の検査(食品衛生法) ※タール色素は、合成着色料の一種で、食品添加物等に用いられる。
・ 建築物の確認・検査(建築基準法)
・
・
・
・
・
原子炉施設の使用前検査(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律)
核燃料物質運搬の安全確認(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律)
厚生労働大臣の指定する医薬品の検定(薬事法)
指定検疫物(牛、鶏肉等)の輸入検査(家畜伝染病予防法)
植物の輸入検査(植物防疫法)
6
4−1 建築確認・検査制度の概要
わが国の現行の建築制度では、原則として3段階で確認・検査を実施。
1.
2.
3.
建築確認: 一定の用途、規模又は構造の建築物を建築しようとする場合等
において、その計画が、建築基準関係規定に適合しているかどうかを審査。
中間検査: 確認を受けた建築物の工事が、特定行政庁(都道府県知事又は
建築主事をおく市区町村長)の指定する特定工程を含む場合において、当該
特定工程に係る工事を終えたときに工事中の建築物及びその敷地が建築基
準関係規定に適合しているかどうかを検査。
完了検査: 確認を受けた建築物の工事が完了した場合において、当該工事
に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかを
検査。
確認・検査は、
•
建築主事(全ての都道府県と、市町村の一部及び特別区に置かれている)
•
指定確認検査機関(国土交通大臣又は都道府県知事が指定する機関)
のいずれも行うことができる。
7
4−2 従来の建築関係制度での指定確認検査機関に係る課題
従来制度(平成18年6月の建築基準法等の改正以前)の主要な課題
1.
2.
3.
4.
指定確認検査機関に対する監督の強化等
‒
指定確認検査機関に対する指定権者(国・都道府県)の立入検査は、審
査体制や公正・中立性等が法令に定める要件に適合しているかが中心
→ 個々の建築確認・検査内容の適法性の検査まではほとんど行われて
こなかった
‒
特定行政庁には、指定確認検査機関への立入検査権がない
→ 指定権者と特定行政庁が協力して指導監督を実施する必要がある
建築確認に携わる人材の能力向上
‒
建築技術の高度化、建築基準法令等の改正等に的確に対応できるよう審
査能力の維持向上が必要
→ 確認検査員等に対する継続的な研修等の実施が必要
指定確認検査機関の情報開示
‒
指定確認検査機関に対する情報開示の徹底が必要
→ 指定確認検査機関の業務実績、損害賠償能力等の情報開示が必要
指定確認検査機関の資力確保
‒
大規模な建築物について、審査の瑕疵があった場合に、損害賠償責任を
十分に果たせない可能性がある。
→ 指定確認検査機関が審査の瑕疵について損害賠償請求された際に
十分な賠償金を支払えるようにする必要がある
8
4−3 従来の建築関係制度での建築物使用開始までの流れ
※指定確認検査機関に確認・検査を申請する場合
建築主
施工発注
設計図書納付
設計発注
設計書類
等の提出
施工者
設計者
工事監理
確認済証
発行
確認申請書
提出
確認検査の
報告
特定行政庁
(地方公共団体)
工事
中間検査
指定確認検査機関
完了検査
違反があった
場合の確認の
失効通知等
指定
指定権者
(国又は知事)
使用開始
指導監督
9
4−4 「建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の
一部を改正する法律」(平成18年6月21日公布)の概要
1.
建築確認・検査の厳格化
・ 一定の高さ以上等の建築物※について、都道府県知事または指定構造計算適合判定機関
(新設、知事指定)による構造計算審査を義務付け
※木造:高さ13m超又は軒の高さ9m超
鉄筋コンクリート造:高さ20m超
など
・ 3階建て以上の共同住宅について中間検査を法律で義務付け
2.
指定確認検査機関の業務の適正化
・ 指定要件の強化(損害賠償能力として保有する財産の評価額(法人の場合は資本金、基本
金等)が国土交通省令で定める額以上であること 等)
・ 特定行政庁による立入検査権限の付与(法令違反等があった場合には、特定行政庁からの
報告に基づき、指定権者による業務停止命令等の実施)
3.
建築士等の罰則の強化等
・ 耐震基準など重大な実体規定違反:罰金50万円→懲役3年/罰金300万円
(法人の場合は罰金1億円)
・ 建築士による構造安全性の虚偽証明: なし→ 懲役1年/罰金100万円 等
4.
建築士・建築士事務所及び指定確認検査機関の情報開示
・ 処分を受けた建築士の氏名及び建築士事務所の名称等の公表
・ 指定確認検査機関の業務実績、財務状況、監督処分の状況等の情報開示の徹底
5.
住宅の売主等の瑕疵担保責任の履行に関する情報開示
・ 宅建業者に対し、契約締結前に保険加入の有無等について相手方への説明を義務付け 等
6.
図書保存の義務付け等
・ 特定行政庁に対して、図書の保存を義務付け
10
4−5
改正後の建築関係制度における建築物使用開始までの流れ
※指定確認検査機関に確認・検査を申請する場合
※下線部は新設された手続き
建築主
施工発注
※黒い矢印は新設された監督・命令系統
設計発注
設計図書納付
設計書類等
の提出
施工者
設計者
工事監理
確認済証
発行
確認申請書
提出
審査方法の指針に
基づき審査
確認検査の報告
(内容の充実)
工事
特定行政庁
中間検査
指定確認検査機関
完了検査
指定構造計算
適合性判定機
関(知事指定)
立入検査
違反があった場合の
確認の失効通知等
(地方公共団体)
違反事実報告
指定
指導監督
使用開始
報告を受け
業務停止命令等
指定権者
(国又は知事)
11
5 損害賠償請求での特定行政庁と指定確認検査機関の関係
最高裁平成17年6月24日第二小法廷決定における判旨の構成
(指定確認検査機関の建築確認について国家賠償法上の被告適格が地方公共団体にあることを認めた決定)
建築基準法の規定
①指定確認検査機関の確認を受
け、確認済証の交付を受けたとき
は、当該確認は建築主事の確認と、
当該確認済証は建築主事の確認
済証とみなす。
同法は、確認に関する事務を地
方公共団体の事務とする前提に
立った上で、指定確認検査機関
をして確認に関する事務を特定
行政庁の監督下において行わせ
ることとしたということができる。
②指定確認検査機関が確認済証
の交付をしたときはその旨を特定
行政庁に報告しなければならない。
③特定行政庁は、この報告を受け
た場合において、指定確認検査機
関の確認済証の交付を受けた建築
物の計画が建築基準関係規定に
適合しないと認めるときは、当該建
築物の建築主及び当該確認済証
を交付した指定確認検査機関にそ
の旨を通知しなければならず、この
場合において、当該確認済証はそ
の効力を失う。
特定行政庁に対し、指定
確認検査機関の確認を
是正する権限を付与して
いる。
指定確認検査機関による確認に
関する事務は、建築主事による
確認に関する事務の場合と同様
に、地方公共団体の事務である。
結論
行政事件訴訟法21条1項によ
る訴えの変更
(建築確認取り消しから自治体
への損害賠償請求へ)の場合、
指定確認検査機関の確認の事
務について、その建築物の確
認の権限を有する建築主事が
置かれた地方公共団体に対し
て損害賠償請求を行える。
※行政事件訴訟法21条1項
指定確認検査機関の確認に係
る建築物について確認をする権
限を有する建築主事が置かれた
地方公共団体は、指定確認検査
機関の当該確認につき行政事
件訴訟法21条1項所定の『当該
処分に係る事務の帰属する公共
団体』に当たる。
「裁判所は、取消訴訟の目的たる請
求を当該処分又は裁決に係る事務
の帰属する国又は公共団体に対す
る損害賠償その他の請求に変更す
ることが相当であると認めるときは、
請求の基礎に変更がない限り、口頭
弁論の終結に至るまで、原告の申立
てにより、決定をもつて、訴えの変更
を許すことができる。」
※国家賠償請求が認められるかどうかは個別の事情において司法判断されることになる。
ジュリスト「平成17年度重要判例解説」、『事務の帰属する公共団体と指定確認検査機関』より作成
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