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報告書(PDF:1092KB)
平成23年12月
ロシア水域における適正操業に関する検討チームに関する報告書
目的
本報告書は、平成23年1月に設置された「ロシア水域における適正操業に
関する検討チーム 」(以下「検討チーム」という 。)における議論の結果等を取
りまとめたものであり、ロシア水域(日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦
政府との間の両国の地先沖合における漁業の分野の相互の関係に関する協定第
1条に規定するロシア連邦の北西太平洋の沿岸に接続する200海里水域。以
下同じ 。)に入漁する我が国漁業の操業の適正化に資することを目的とする。
第1章 検討チームの設置について
1.検討チームの設置の目的
平成22年12月の報道を契機に明るみに出た遠洋底びき網漁船( 北転船)
の過剰漁獲問題を踏まえ 、ロシア水域に入漁する他の我が国漁船についても 、
違法漁獲が生じていないか調査するとともに、今後このような問題が生じな
いような有効な対策を検討することにより、同水域における我が国漁業の操
業の適正化を図る。
( 別紙1:ロシア水域における適正操業に関する検討チームの設置について)
2.検討チームの構成
検討チームは、水産庁次長をヘッドに、資源管理部長、関係各課長、関係
漁業調整事務所長及び北海道水産局長に、学識経験者からなる外部アドバイ
ザーを加えた者で構成する。
(別紙2:検討チームの構成員リスト)
3.検討チームの開催実績
第1回 平成23年1月28日
第2回 平成23年3月4日
(東日本大震災発生により一時中断)
第3回 平成23年7月5日
第4回 平成23年12月26日
1
第2章 ロシア水域操業の現状
1.漁業種類・隻数
平成23年にロシアの許可を得た漁業種類及び隻数は、6漁業種類、延べ
302隻であり 、その内訳は次のとおりである( 平成23年10月末日時点 )
(1)さけ・ます流し網漁業27隻
・中型9隻(総トン数30トン以上)
・小型18隻(総トン数5トン以上30トン未満)
(2)さんま棒受け網漁業177隻
(3)底はえ縄漁業20隻
(4)いか釣り漁業47隻
(5)沖合底びき網漁業27隻
(6)遠洋底びき網漁業(北転船)4隻
2.割当量、対象魚種等
各漁業種類の割当量、対象魚種等は以下のとおり。なお、割当量について
は、平成23年漁期のもの。
(1)さけ・ます流し網漁業
対象魚種は、ベニザケ、シロザケ、カラフトマス、ギンザケ及びマスノ
スケの5魚種となっている。
毎年5月から7月にかけて、中型はカムチャッカ半島から千島列島の沖
合海域(1~3区)において、小型は千島列島の沖合海域(2~3区)に
おいて操業する。操業水域はロシア水域のみであり、ロシア水域に入漁す
る漁船では日本水域及び公海での操業を行わない。
1隻当たりの割当量は、中型船が292トン、小型船のうち19トン型
が154トン、29トン型が167トンとなっている。
(2)さんま棒受け網漁業
対象魚種は、サンマ、イカ、カタクチイワシ及びサバの4魚種となって
いる(イカ、カタクチイワシ及びサバは混獲枠 。)。
大臣許可漁業(10トン以上)は、毎年8月から9月にかけてロシア水
域での操業を行い(Ⅱ区:千島太平洋側南 )、その後、さんまの漁場が徐
々に南下することから、それに伴い、日本水域(三陸、常磐・銚子沖等)
での操業を12月下旬まで行う 。また 、知事許可漁業( 10トン未満 )は 、
毎年7月から9月にかけて、大臣許可漁業と同様、ロシア水域での操業を
行い、その後、道東沖での操業を11月下旬まで行う。なお、漁の具合に
よっては一度の航海においてロシア水域と我が国水域で操業(跨ぎ操業)
を行う場合がある。
大臣許可漁業は10トン以上200トン未満で5つの階層に分かれ、1
隻当たりの割当量が、約100トンから360トン、知事許可漁業は1隻
当たりの割当量が、約50トンから約60トンとなっている(なお、平成
2
23年漁期は混獲枠としてサバが追加された 。)。
(3)底はえ縄漁業
対象魚種は、マダラ、スケトウダラ、カレイ、カジカ、カスベなどの8
魚種となっている。
毎年1月から3月 、11月から12月にかけて 、千島太平洋側( Ⅱ-1、
Ⅱ-1-1、Ⅱ-2)で操業する。操業水域はロシア水域のみで、日本水
域及び公海での操業は行わない。
1隻当たりの割当量は、30トン未満の小型船で94トン、30トン以
上の中型船で210トンとなっている。
(4)いか釣り漁業
対象魚種は、イカのみとなっている。
毎年8月中旬から10月にかけて、ロシア水域での操業を行い(主にⅤ
区:日本海を中心に操業。一部の大型船(185トン以上)がⅡ -2区:千
島太平洋側南で操業 。)、その後、翌年2月まで日本海を中心に操業が継続
されるが、一部北海道沖及び八戸沖でも操業を行う。なお、漁の具合によ
っては跨ぎ操業を行う場合がある。
1隻当たりの割当量は、20トンから525トンとなっている。
(5)沖合底びき網漁業
底びき網により12魚種(※)を対象に千島列島の太平洋側南(Ⅱ-2
区)で操業している。沖合底びき網漁業の漁獲枠は、全量がロシアからの
有償枠となっている。
※スケトウダラ 、カレイ、メヌケ、キチジ 、マダラ 、ホッケ・アイナメ類 、
カジカ類、カスベ、コマイ、イカ、タコ、エビ
①
北海道釧路船籍
スケトウダラを主対象として操業し、カレイ等を混獲する。
毎年1月から3月にかけて、11月から12月にかけて、Ⅱ-2区で
操業する 。全体の割当量は3 ,601 .4トン、1隻当たりの割当量は、
約170トンとなっている。その他の期間は前浜で操業を行うが、Ⅱ-
2区で操業する期間中においても漁の具合によっては跨ぎ操業や、Ⅱ-
2区への往復途中にも跨ぎ操業を行う場合がある。なお、前浜の休漁期
間は6月1日から8月31日まで、ロシア水域の休漁期間は5月17日
から7月31日までとなっている。
②
青森県八戸船籍
カレイ 、マダラ 、ホッケ・アイナメ類等を主対象として操業している 。
毎年1月から5月中旬及び8月にⅡ-2区で操業し、船によっては11
月から12月にもロシア水域で操業するものもある。全体の割当量は
3
1,496.6トン、1隻当たりの割当量は249.4トンとなってい
る。その他の期間は前浜で操業を行う。ロシア水域ではオッターボード
を使用した操業であるが、前浜はオッターボード禁止区域であるため、
漁具の積み替えが必要であることから、跨ぎ操業は行われていない。な
お、前浜の休漁期間は7月1日から8月31日まで、ロシア水域の休漁
期間は5月17日から7月31日までとなっている。
(6)遠洋底びき網漁業(北転船)
底びき網によりスケトウダラを主対象として操業し、カレイ等を混獲す
る。
毎年1月から3月にかけて、抱卵期のスケトウダラ(生鮮)等を対象と
し、千島列島の太平洋側北(Ⅱ-1区、Ⅱ-1-1区)で操業する。全体
の割当量は5,099トン、1隻当たりの割当量は、1,274.75ト
ンとなっている。
追加枠がある場合には、10月から12月にかけて、西ベーリング海で
スケトウダラ(冷凍ドレス加工)を対象として操業する。追加枠の量及び
操業隻数は、第三国(韓国、中国等)とロシアとの交渉結果に影響される
ため、毎年操業できるとは限らず着業隻数も年により異なる。近年の追加
割当量は 、1隻当たり818トンから1 ,680トンの範囲であり 、また 、
着業隻数は1隻の場合もある。
その他の時期(ロシア水域で追加枠の操業をしない場合を含む 。)には、
太平洋の公海域(天皇海山海域)で操業することが一般的なパターンとなっ
ている。
(別紙3:ロシア水域における漁業種類別漁獲割当量の推移)
(別紙4:操業水域図)
4
第3章 検討チームの下で行われた調査について
1.調査の概要
(1)調査実施主体
水産庁及び北海道が実施した。
(2)調査対象
① 平成22年にロシア水域で操業する許可を受けたさけ・ます流し網漁
業者を主に、以下の漁業種類及び隻数を対象とした。
調査対象隻数/操業隻数
さけ・ます流し網
36/ 36
うち中型
20/ 20
小型
16/ 16
さんま棒受け網
34/196
底はえ縄
9/ 20
いか釣り
1/ 44
沖合底びき網
13/ 13
計(延べ)
93/309
②
ロシア水域に入漁している漁船の漁獲物を水揚げする主要港である根
室(花咲)の3市場及び釧路の2市場を対象とした。
(3)調査の時期
平成23年2月10日から3月10日に根室、厚岸、釧路、札幌、八
戸、東京等で実施した。
(4)調査の方法
① ロシア水域に入漁している漁船
 ロシア水域の操業実態、漁獲実態に関する基礎データを得るため、予
め基礎データ記入表を送付し、漁業者に過去5年間(平成18年から2
2年)の漁獲量等記入を依頼
 水産庁及び北海道の調査員が経営体の代表者及び責任者(一部代理人
を含む 。)から、漁獲割当量の超過、金品の提供の有無等について聞き
取りを実施
 聞き取りの際に、船ごとの漁獲枠とのチェックの観点から、漁業者か
ら操業日誌(毎日の漁獲量等を船内で記載 。)及び仕切書(市場が販売
量等を記載 。)のコピーを受領
 水産庁及び北海道において、聞き取りの状況、操業日誌及び仕切書を
確認
②
市場
水産庁の調査員により、仕切書の作成状況、漁獲物の水揚げ・計量の
実態等について市場業務の責任者から聞き取りを実施
5
2.調査の結果
(1)ロシア水域に出漁している漁船
調査対象の5漁業種類延べ93隻、85人から聞き取りを行った結果、
中型さけ・ます流し網漁業について、過去に行政処分済みの4隻の漁獲量
の超過(平成14年及び16年に水揚げ検査の結果判明 。)についての言
及があったが、いずれの漁業種類においても、漁獲量の超過やロシア人に
対する金品の提供を認めた者はいなかった。
また 、過去の漁獲量について 、操業日誌及び仕切書の記録を確認したが 、
ロシアの船別割当量を超過した漁船は認められなかった。ただし、操業日
誌については、漁期終了後の保存及び提出の義務がないこと等により、水
揚げ検査時又は漁期終了後に操業日誌を回収しているさけ・ます流し網漁
業を除いて提出率が低かった(12%程度 )。また、さんま棒受け網漁業、
いか釣り漁業及び沖合底びき網漁業では同一航海でロシア許可に基づく操
業と日本水域での操業を行うことがあるため、仕切書のみではロシアの漁
獲割当量に対する漁獲量を区別し、確認することができなかった。
漁業種類別の調査結果の概要については、別添を参照。
(別紙5:調査結果の漁業種類別まとめ)
(2)市場
いずれの漁業についても、漁獲物の販売は全て市場を通して行われてい
ること 、販売数量・金額の算出のために漁獲物を魚種別 、製品( 内蔵抜き、
塩蔵等)別に検量することから、行政がこの検量作業に立ち会うことで、
漁獲量を確認することができる。
市場は、魚種・規格 /製品別の販売数量、金額等を記載した仕切書を複数
作成し、そのうちの一つを3日以内に漁業者に発行するとともに、各市場
で3年以上保存している。各市場とも漁業者からの要請により記載内容を
操作したことはないとの回答であった。
このように、仕切書は、漁業者以外の第三者が作成する書類であり、販
売数量が記載されること、漁獲物は全て市場を通ること等から、漁獲量の
確認に有効であることが示された。
ただし、ロシア水域と日本水域の漁獲物を区分した検量は行われず、仕
切書に漁業水域ごとの記載はされないことから、跨ぎ操業の場合には、仕
切書のチェックや検量の立会いのみによりロシア水域の漁獲量を確認する
ことは困難である。
調査結果の詳細については、別添を参照。
(別紙6:市場に対する調査の概要)
3.水揚げ検査
1.及び2.の調査とは別に平成23年に沖合底びき網漁業、さんま棒受け
網漁業、さけ・ます流し網漁業及び底はえ縄漁業に対して水揚げ検査を実
6
施した。
(1)沖合底びき網漁業については、8月末に青森県八戸市において3隻の水
揚げ検査を実施し、操業日誌、魚倉、GPS(全世界的衛星測位システム
:Global Positioning System)等の確認並びに操業日誌及び仕切書の照合
を行った。なお、青森県の沖合底びき網漁船については、市場では検量で
はなく箱数による水揚げ量の管理が行われている。
(2)さんま棒受け網漁業については、9月に北海道根室市(花咲港)におい
て、さんま棒受け網漁船3隻の検査を実施(検査当日は時化のため3隻の
みが水揚げを行い、うち1隻が跨ぎ操業であった 。)。操業日誌の記載事項
に関し、魚倉の確認を行い、また、操業位置をGPSの航跡記録で確認し
た。更に、操業日誌の記載事項と仕切り書の数量を確認したところ、整合
性が確認された。
(3)さけ・ます流し網漁業については、5月から7月にかけて、北海道根室
市(花咲港 )、厚岸町(厚岸港 )、釧路市(釧路港)において、延べ 151 隻
の水揚げ検査を実施した。検査においてロシア水域の割当量を超過した漁
船は無かったものの、1隻の漁船について操業日誌の記載不備(数量と水
揚げ数量が合わず 。)が確認された。
(4)底はえ縄漁業については12月に北海道根室市(花咲港)において、2
隻の水揚げ検査を実施した。荷揚げ状況の確認と操業日誌と仕切書の照合
を行ったところ、整合性が確認された。
7
第4章 適正操業を確保するための措置について
1.ロシア側の管理措置
ロシア水域の水産資源の保存及び管理については、いわゆる日ソ地先沖合
漁業協定及びさけ・ますについてはいわゆる日ソ漁業協力協定(以下まとめ
て「協定」という 。)に基づき、ロシアが主権的権利を有しており、漁獲量
の管理を含むロシア水域)における操業の取締りに係る責任は、一義的にロ
シア政府が有している(日本の官憲がロシア水域で監視・取締りを行うこと
はロシア側の同意なしにはできない 。)。
ロシア水域で操業する漁船に対し、ロシア政府は、日ロ政府間で合意され
た手続に従って、①入出域通報、操業日誌の作成、漁獲日報及びVMS(船
舶位置測定システム:Vessel Monitoring System)による位置通報の義務付
け 、②チェックポイント等における取締船による操業日誌 、漁獲量等の検査 、
③日本漁船等への乗船監視などを行っている。
(別紙7:ロシア側による漁獲量のチェック)
なお、漁獲量については、洋上で魚倉内の漁獲物全量を正確に計量するこ
とは困難であることから、漁業種類ごとに、我が国漁業者とロシア取締機関
により合意された方法(魚倉容積から算出する、サンプルの重量から算出す
る等)により計量が行われることにより、操業の支障とならない範囲で、操
業の実態に即した合理的な漁獲量の管理がロシア政府により行われている。
2.日本の漁業種類別規制
ロシア水域における取締りの権限は、一義的には協定上当該水域の主権的
権利を有するロシア政府にあるが、協定に基づき、我が国政府においても、
ロシア水域で操業する我が国の漁船が、協定に基づきロシア側から日本側に
通報されたロシア政府の法令に定める生物資源の保存措置その他の条件に従
うことを確保するために必要な措置を採ることとされている。このため、水
産庁及び北海道では、ロシア水域で操業する我が国漁船に対し、協定に基づ
き定められた規則を遵守するよう省令及び規則で定めたり、許可の制限又は
条件を付している。
日本側の管理措置としては、全ての漁業種類において①漁獲成績報告書の
提出が義務付けられているほか、一部漁業種類に対し、②操業日誌の船内備
え付け及び記載の義務付け(遠洋底びき網漁業、さけ・ます流し網漁業、底
はえ縄漁業、さんま棒受け網漁業(大臣許可及び知事許可 。))、③VMSに
よる位置報告(遠洋底びき網漁業 )、④水揚げ検査(遠洋底びき網漁業、さ
け・ます流し網漁業、さんま棒受け網漁業)及び⑤陸揚げ港の指定(沖合底
びき網漁業、さけ・ます流し網漁業、さんま棒受け網漁業(知事許可)、底は
え縄漁業)が行われている。
なお、遠洋底びき網漁業(北転船)については、平成22年漁期に全船水
揚げ検査を実施し、その際に操業日誌(写し)を提出している。ただし、平成
23年漁期(1~3月)は操業していない。
8
(別紙8:漁業種類別規制一覧)
3.違反防止策の検討
これまでの検討チームの会合においては、調査の結果並びに日本側及びロシ
ア側の既存の管理措置を踏まえ、適正操業を確保するための措置について議論
が行われた。主な議論のポイント及び外部アドバイザーからの指摘・助言は以
下のとおり。
(1)仕切書
・ 第三者である市場が発行し 、市場と漁業者双方が所持する書類であり 、
漁獲量の把握等に有効である。
・ しかしながら、一度の航海において跨ぎ操業を行う漁船については、
市場の仕切書のみでは水域別に漁獲量を把握することは困難である。
・ このため、操業位置の情報を把握するとともに、その他の情報と照ら
し合わせて当該航海の状況を判断する必要がある。
(2)操業日誌
・ 洋上において操業ごとに位置や漁獲量が記載されるものであり、操業
日誌の記載から水域ごとの漁獲量を把握し、水揚げ量と突合・検証する
ことが可能となるが、記載及び保持が義務付けられていない漁業種類が
ある。
・ また、現在、いずれの漁業においても操業日誌等の保存が義務付けら
れておらず、調査の際に関係書類を手に入れることが困難であったこと
から、後日の検証を可能とするために、今後、ロシア水域で操業する場
合には操業日誌等の一定期間の保存を義務化する必要がある。
(3)水揚げ検査
・ 市場での検量に立ち会うことで 、航海ごとの正確な水揚げ量を把握し 、
操業日誌等の漁獲量と突合・検証することが可能となる。
・ 一方で、人員とコストがかかるものであり、費用対効果を考える必要
がある。例えば、いか釣り漁業については、ロシアの漁獲割当量の2割
程度しか漁獲しておらず量的違反をする動機がなく、水揚げ検査の必要
性は薄く、また、さんま棒受け網漁業では、水揚げ回数が漁期当たり
2,000回、底はえ縄漁業においても320回にも及ぶことから、全
てを検査することは非現実的である。
・ また、実施に当たり、行政、漁業者等にどのような負担が生じるのか
を考慮すべきである。
・ このため、それぞれの漁業の状況に応じて、検査体制を考えるべきで
ある。
9
(4)ロシアとの協力
・ ロシア水域での操業については、一義的にはロシア側が漁獲量管理を
すべきである。
・ その上で、既にロシア側がチェックポイント、各船に乗船するオブザ
ーバー及び監督官船等、跨ぎ操業であっても漁獲量をチェックする仕組
みを有しており、これらにより得られる情報について、日本側としても
ロシア側と情報を交換する等、お互いに協力することが重要である。
10
第5章 平成24年以降の漁期の取組
調査の結果、外部委員の助言及び漁業種類ごとの操業実態を踏まえ、平成2
4年以降の漁期の取組を次のとおりとりまとめた。
1.操業日誌の記載及び保持の義務
これまで義務付けられていなかった漁業種類も含め、ロシア水域に入域す
る全漁業種類に対する義務付けを行う。
(これまで義務付けられていなかった沖合底びき網漁業及びいか釣り漁業
では義務付けが行われるまでの間、自主規制措置として実施するように漁業
者を指導済み。その他の漁業種類では導入済み 。)
2.操業日誌の保存義務
ロシア水域に入域する全漁業種類に対して漁期終了後3年程度保存するこ
とを義務付ける。
(さけ・ます流し網漁業では、水揚げ検査の際に操業日誌(写し)を提出。
さんま棒受け網漁業、いか釣り漁業、底はえ縄漁業及び沖合底びき網漁業に
ついては、義務付けが行われるまでの間、自主規制措置として保存するよう
漁業者を指導済み 。)
3.操業位置の確認
跨ぎ操業を行う漁業に対し、ロシア水域への入域状況を把握しつつ、水揚
げ検査を効果的に実施するため、VMSによる位置報告又はGPSの航跡記
録の次の出港までの保持を義務付ける。
(義務付けが行われるまでの間、自主規制措置として航跡記録を保持する
よう漁業者を指導済み 。)
4.水揚げ検査
港における水揚げの際、市場の検量に立会い、又は市場が発行する仕切書
から操業日誌等の漁獲量と水揚げ量の突合・検証を行う。
なお、検査には多数の人員が必要となることから、操業する期間、1隻の
漁船が水揚げに要する時間 、水揚げ回数 、漁獲枠の消化率 、跨ぎ操業の有無 、
漁獲物の品質管理 、流通の実態( 沖合底びき網漁業における箱数での管理等 )
等を考慮し、限られた予算及び人員の範囲内で効率的な実施を図る必要があ
る。
また、割当量の消化率が低いいか釣り漁業での水揚げ検査の必要性は低い
と考えられる。
(本年の水揚げ検査については、従来から実施しているさけ・ます流し網
漁業に加え、沖合底びき網漁業、さんま棒受け網漁業、底はえ縄漁業で試験
的に実施した 。)
(別紙9:漁業種類別割当量及び消化率の推移)
11
5.仕切書による確認
各市場とも仕切書を3年以上保管していることから、必要に応じ同仕切書
と操業日誌等を照合することにより漁獲量の確認を行う。
6.ロシア側との協力
ロシア側は洋上、チェックポイント、各船に乗船するオブザーバー及び監
督官船等により漁獲量をチェックしている。このため、日本漁船に対するロ
シア側の検査結果について、取締りに関する専門家会議、日ロ漁業委員会等
の協議の場においてロシア側から情報の提供を受けているところである。今
後ともロシア水域における適正操業の確保に必要な協力について日ロ間で協
議していくことが重要である。
12
(別紙1)
ロシア水域における適正操業に関する検討チームの設置について
平成23年1月28日
第1
目 的
平成22年12月の報道を契機に明るみに出た遠洋底びき網
漁船(北転船)の過剰漁獲問題を踏まえ、ロシア水域に入漁す
る他の我が国漁船についても、違法漁獲が生じていないか調査
するとともに、今後このような問題が生じないよう有効な対策
を検討することで、同水域における我が国漁業の操業の適正化
を図る。
第2
検討チームの構成
検討チームは、水産庁次長をヘッドに、資源管理部長、関係
各課長、関係漁業調整事務所長及び北海道水産局長に、学識経
験者からなる外部アドバイザーを加えた者で構成する。
第3
1
2
座長等
検討チームの会合には、座長及び座長代理を置く。
座長は、水産庁次長がつとめるものとし、座長代理は、資源
管理部長がつとめるものとする。
座長は、検討チームの会合を統括する。
座長代理は、座長を補佐するとともに、座長に事故あるとき
は、その職務を代理する。
3
4
第4
1
2
その他
検討チームの会合は、原則、公開とする。ただし、会合で議
論される資料等が漁業者個人に関するものなど公開が適当で
ないものを含む場合は、チームに諮った上で非公開とするこ
とができる。
検討チームの庶務は、水産庁資源管理部で行う。
13
(別紙2)
検討チームの構成員
水
資
産
源
管
漁
庁
管
次
理
理
業
調
部
課
整
課
長
宮原
正典
長
髙 島
泉
長
丹 羽
行
長
長 谷 成 人
国
際
課
長
漆原
勝彦
企
画
課
長
橋本
次郎
北海道漁業調整事務所長
佐藤
愁一
仙台漁業調整事務所長
佐々木
北 海 道 水 産 局 長
小野寺 勝広
亨
【外部アドバイザー】
北海道大学名誉教授
廣吉
元
省
飯 野 建 郎
察
中 村 正 義
元
外
長
崎
務
県
警
14
勝治
15
対象魚種
36,150
56,453
591
(275)
さんま、いか、かたく
ちいわし、さば
計
*実際の許可隻数は平成23年10月末日時点のもの。
さんま棒受網 千島太平洋側(Ⅱ)
313
(177)
いか
いか釣り
8,090
207
(47)
千島太平洋側(Ⅱ-2)
日本海(Ⅴ)
2,016
底はえ縄
21
(20)
まだら、すけとうだら
等
千島太平洋側
(Ⅱ-1,Ⅱ-1-1,Ⅱ-2)
5,098
5,099
5
(4)
45
(27)
合計
許可隻数枠
(実際の許可隻数)
すけとうだら、かれ
い、まだら等
千島太平洋側(Ⅱ-1,Ⅱ-1-1) すけとうだら等
操業水域
沖合底びき網 千島太平洋側(Ⅱ-2(有償))
北転船
漁業種類
2011年の日本漁船の漁業種類別操業条件
51,355
36,150
8,090
2,016
5,099
相互
漁獲割当量
5,098
5,098
有償
(単位:トン)
(別紙3)
日ロ地先沖合協定による2011年の操業水域図
相互入漁水域
Ⅰ- 1区
底はえ縄
Ⅰ- 2区
底はえ縄
Ⅱ- 1- 1区 中層トロール、底はえ縄
Ⅱ- 1区
着底トロール
さんま棒受け網
Ⅱ- 2区
底はえ縄、いか釣り
Ⅴ区
いか釣り
有償入漁水域
Ⅱ- 2区
着底トロール、中層トロール
16
(別紙4)
2011年のさけ・ます操業水域図等
(別紙4)
(1)2011年 ロシア系さけ・ますの漁獲割当て
2011年ロシア200海里内における漁船及び水域ごとの漁種別漁獲割当量(単位:t)
漁獲割当量
隻数
水域
操業期間
カラフト
マスノ
ベニザケ シロザケ
ギンザケ
マス
スケ
1区
1,018.8 1,066.5
22.5
0.9
18.0
5/10~
2区、2.1区
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
7/31
太平洋中型(9隻)
3a区、3a.1区
76.5
370.8
25.2
18.0
10.8
小計
1,095.3 1,437.3
47.7
18.9
28.8
2区、2.1区
105.7
531.7
18.0
18.0
12.6
5/5~
2a区
1.1
57.6
30.1
0.7
1.1
7/24
太平洋小型(18隻)
3a区、3a.1区
529.4 1,560.2
34.7
18.0
9.0
小計
636.3 2,149.5
82.8
36.7
22.7
合計
1,731.6 3,586.8
130.5
55.6
51.5
(2)2011年 北洋さけ・ます流し網操業水域図
1区
2A
3A.1区
3A区
2.1
2区
17
計
2,126.7
0.0
501.3
2,628.0
686.1
90.6
2,151.4
2,928.0
5,556.0
(別紙5)
検討チームの下で行われた調査の概要
1
目的
日ソ地先沖合漁業協定(1984年発効)に基づくロシア連邦の200海里水域
(以下「ロシア水域」という。)で操業していた北転船において、過去数ヵ年にわ
たりロシア政府から認められた漁獲枠を超えて漁獲していたことが明らかになっ
たことから、ロシア水域における操業の適正化を図る観点から、ロシア水域に入漁
している他の漁業についても、漁獲枠の遵守状況を中心として、その操業実態を把
握するために調査を実施。
2
調査実施主体
水産庁及び北海道
3
調査対象
平成22年にロシア水域で操業する許可を受けたさけ・ます流し網漁業及び当該
漁業の兼業先漁業並びに沖合底びき網漁業の一部
(単位:隻数)
H22 ロシア水域
調査対象隻数 (操業した船) [操業許可を取得した船]
さけ・ます流し網漁業
36
( 36)
[ 36]
うち中型
20
( 20)
[ 20]
小型
16
( 16)
[ 16]
さんま棒受け網漁業
34
(196)
[197]
底はえ縄漁業
9
( 20)
[ 20]
いか釣り漁業
1
( 44)
[ 45]
沖合底びき網漁業
13
( 13)
[ 28]
計(延べ)
93
(309)
[326]
4
調査の時期
5
調査の場所
6
平成23年2月10日から同年3月10日
北海道:根室、厚岸、釧路、大樹、広尾、浦河、札幌
青森:八戸、千葉県:銚子、東京都:東京
調査の方法
① ロシア水域の操業実態、漁獲実態に関する基礎データを得るため予め基礎デ
ータ記入票(過去の漁獲量等を記載するもの)を送付し、漁業者に記入を依頼
② 水産庁及び北海道の調査員が経営体の代表者及び責任者(一部代理人を含
む。)から、漁獲割当量の超過、金品の提供の有無等につき聞き取りを実施
③ 聞き取りの際に、船ごとの漁獲枠とのチェックの観点から、漁業者から操業
日誌(毎日の漁獲量等を船内で記載)及び仕切書(市場が販売量等を記載)のコ
ピーを受領
(注)操業日誌の記載については、さけ・ます流し網漁業、さんま棒受け網漁
業(大臣許可のみ)、底はえ縄漁業について、水産庁及び北海道が義務づけ。
中型さけ・ます流し網漁船については、毎年の漁期終了後、操業日誌を水産
庁に任意で提出、小型さけ・ます流し網漁船については、操業日誌写しの北
海道への提出を義務付け。)
④ 水産庁及び北海道において、聞き取りの状況及び操業日誌、仕切書を確認
18
調査結果のまとめ
【中型さけ・ます流し網漁業】
(20隻19人)
【ロシア側による漁獲量のチェック】
・入出域通報、漁獲日報及びVMSによる位置通報を義務付け。
・日本側が用意した監督官船1隻にロシア人が3名程度乗船し、ロシア水域
での漁獲量等、操業規則の遵守を確認。
・チェックポイント等において、ロシア取締船により漁獲量を確認。
1 ヒアリング結果
漁獲量の超過を認めた者:4隻
(平成14年及び平成16年に2の水揚げ検査の結果判明した違反。行政処
分済み。
)
ロシア人に対する金品の提供を認めた者:なし。
(ただし、コメントを拒否した者が1名。
)
2 漁獲量のチェック
平成14年以降、超過漁獲防止をより徹底する観点から毎年、水揚げ検査を
実施。検査は全船対象であるが、1隻につき、平均3航海のうち2航海程度に
ついて実施。
なお、検査を実施できなかった場合についても、水揚げ終了後、速やかに、
その航海中の操業日誌(写し)、市場の発行する仕切書(写し)及び検量報告
書(写し)の提出を求め、数量を審査・把握。
この結果、調査対象船のうち上記1の4隻以外の漁船についてはロシアの船
別割当量を超過した船は認められず。
3 操業日誌
毎年の漁期終了後、水産庁に対して任意で毎日の漁獲量を記録した操業日誌
を提出。平成14年以降、操業日誌に記載された漁獲量がロシアの船別割当量
を超過した船は認められず。
4 仕切書
中型さけ・ます流し網漁船は、指定された1つの陸揚港に水揚げしている。
水揚げされた市場での販売量が記載された仕切書により、航海毎の水揚げを集
計したところ、ロシアが定めた船別割当量を超過した船は認められず。
(参考)データ提出状況
基礎データ記入票
5年分提出
6隻
4年分提出
3隻
3年分提出
6隻
仕切書
0隻
0隻
10隻
19
操業日誌
漁期終了後に
全船提出済み
2年分提出
1年分提出
提出なし
3隻
0隻
2隻
7隻
0隻
3隻
(注)休漁した年についても、提出がなかったものとしてカウント。
5 調査担当者コメント
漁業者のコメントのほか、水揚げ検査、操業日誌、仕切書等のいずれも超過
漁獲を伺わせるような証拠は認められなかった。ただし、基礎データ記入票の
の提出がなかったものが2隻、仕切書の提出がなかったものが3隻あった。
20
【小型さけ・ます流し網漁業】
(16隻14人)
【ロシア側による漁獲量のチェック】
・入出域通報、漁獲日報及びVMSによる位置通報を義務付け。
・日本側が用意した監督官船1隻にロシア人が3名程度乗船し、ロシア水域
での漁獲量等、操業規則の遵守を確認。
・チェックポイント等において、ロシア取締船により漁獲量を確認。
1 ヒアリング結果
漁獲量の超過を認めた者:なし
ロシア人に対する金品の提供を認めた者:なし
2 漁獲量のチェック
小型さけ・ます流し網漁業については、平成14年以降、超過漁獲防止をよ
り徹底する観点から毎年、水揚げ検査を実施。検査は全船対象であるが、1隻
につき、平均7航海のうちほぼ全数について実施(カバー率約95%)
。
なお、検査を実施できなかった場合についても、水揚げ終了後、速やかに、
その航海中の操業日誌(写し)及び市場の発行する検量報告書(写し)の提出
を求め、数量を審査・把握。
この結果、いずれの漁船についてもロシアの船別割当量を超過した船は認め
られず。
3 操業日誌
水揚げの都度、毎日の漁獲量を記録した操業日誌(写し)を提出。平成14
年以降、操業日誌に記載された漁獲量がロシアの船別割当量を超過した船は認
められず。
4 仕切書
小型さけ・ます流し網漁船は、指定された1つの陸揚港に水揚げしている。
水揚げされた市場での販売量が記載された仕切書により、航海毎の水揚げを集
計したところ、ロシアが定めた船別割当量を超過した船は認められず。
(参考)データ提出状況
基礎データ記入表 仕切書 操業日誌
5年分提出
7隻
1隻
0隻
4年分提出
1隻
0隻
0隻
3年分提出
6隻
5隻
15隻
2年分提出
0隻
0隻
1隻
1年分提出
0隻
1隻
0隻
提出なし
2隻
9隻
0隻
(注)休漁した年についても、提出がなかったものとしてカウント。
21
5 調査担当者コメント
漁業者のコメントのほか、水揚げ検査、操業日誌、仕切書等のいずれも超過
漁獲を伺わせるような証拠は認められなかった。ただし、基礎データ記入票の
の提出がなかったものが2隻、仕切書の提出がなかったものが、9隻(16隻
の過半)あった。
22
【さんま棒受け網漁業】(34隻32人)
【ロシア側による漁獲量のチェック】
・入出域通報、漁獲日報及び VMS による位置通報を義務付け。
・日本側が用意した監督官船13隻にロシア人17名が乗船し、ロシア水
域での漁獲量等、操業規則の遵守を確認。
・チェックポイント等において、ロシア取締船により漁獲量を確認。
(注)同一の航海で、ロシア水域での操業と日本水域での操業が行われる
ことがある。
1
ヒアリング結果
漁獲量の超過を認めた者: なし
ロシア人に対する金品の提供を認めた者:なし
(ただし、コメントを拒否した者が1名)
2
操業日誌
操業日誌については、既に廃棄したとの理由で、ほとんど入手できなかった。
提出のあった3隻については、操業日誌に記載された漁獲量がロシアの船別割
当量を超過した船は認められなかった。
(注)操業日誌は、国内法令上、記載義務はあるが、漁期終了後の保管及び提
出義務はない。
3
仕切書
仕切書に記載の水揚数量と操業日誌の漁獲量とを突合わせた。この結果、両
者の数値に食い違いは無かった。
(注)同一航海で、ロシア許可に基づく操業と日本水域での操業が仕切り書で
は分かれていない。
(参考)データ提出状況
基礎データ記入票 仕切書 操業日誌
5年分提出
23隻
0隻
0隻
4年分提出
0隻
0隻
0隻
3年分提出
7隻
15隻
0隻
2年分提出
2隻
1隻
0隻
1年分提出
0隻
3隻
3隻
提出なし
2隻
15隻
31隻
4
調査担当者コメント
さんま棒受け網漁業については、操業日誌の提出率が低く、また、仕切書の
みではロシア許可に基づく操業と日本水域の操業を区別することができないが、
漁業者からの聞き取りのほか、3隻から提出された操業日誌から、超過漁獲を
伺わせるような証拠は認められなかった。
なお、さんま棒受け網漁業については、同一航海でロシア許可に基づく操業
と日本水域の操業が行われることがあることから、基本的にチェックポイント
におけるロシア側の検査が確実に行われることが不可欠。
23
【いか釣り漁業】(1隻1人)
【ロシア側による漁獲量のチェック】
・入出域通報、漁獲日報及び VMS による位置通報を義務付け。
・日本側が用意した監督官船1隻にロシア人が3名乗船、また、ロシア操
業船44隻のうち5隻にロシア人が乗船し、ロシア水域での漁獲量等、
操業規則の遵守を確認。
・チェックポイント等において、ロシア取締船により漁獲量を確認。
(注)同一の航海で、ロシア水域での操業と日本水域での操業が行われる
ことがある。
1
ヒアリング結果
漁獲量の超過を認めた者: なし
ロシア人に対する金品の提供を認めた者:なし
2
操業日誌
操業日誌については、既に廃棄したとの理由で入手できなかった。
(注)操業日誌は、国内法令上、記載義務、漁期終了後の保管及び提出義務が
ない。
3
仕切書
今回仕切書の提出はあったが、操業日誌の提出がなかったため、両者の突合
わせは出来なかった。
(注)同一航海で、ロシア許可に基づく操業と日本水域での操業が仕切り書で
は分かれていない。
(参考)データ提出状況
基礎データ記入票 仕切書 操業日誌
5年分提出
1隻
0隻
0隻
4年分提出
0隻
0隻
0隻
3年分提出
0隻
0隻
0隻
2年分提出
0隻
0隻
0隻
1年分提出
0隻
1隻
0隻
提出なし
0隻
0隻
1隻
4
調査担当者のコメント
漁業者のコメントでは、超過漁獲は無いとのことであった。
いか釣り漁業については、同一航海でロシア許可に基づく操業と日本水域の
い操業が行われることがあることから、基本的にチェックポイントにおけるロ
シア側の検査が確実に行われることが不可欠。
なお、いか釣り漁業では、これまでのところ、ロシア水域の依存度は、他の
漁業に比べて低く、ロシア水域の割当量に余裕がある。
24
【底はえ縄漁業】(9隻9人)
【ロシア側による漁獲量のチェック】
・入出域通報、漁獲日報及びVMSによる位置通報を義務付け。
・30トン以上船(6隻)については、各船にロシア人が1名乗船し、ロシ
ア水域での漁獲量等、操業規則の遵守を確認。
・30トン未満船(14隻)については日本側が用意した監督官船1隻にロ
シア人が2名乗船し、ロシア水域での漁獲量等、操業規則の遵守を確認。
・チェックポイント等において、ロシア取締船により漁獲量を確認。
1
ヒアリング結果
漁獲量の超過を認めた者: なし
ロシア人に対する金品の提供を認めた者:なし
2
操業日誌
操業日誌については、既に廃棄したとの理由で、ほとんど入手できなかった。
提出のあった4隻については、操業日誌に記載された漁獲量がロシアの船別漁
獲量を超過した船は認められなかった。
(注)操業日誌は、国内法令上、記載義務はあるが、漁期終了後の保管及び提
出義務はない。
3
仕切り書
仕切書に記載の水揚数量と操業日誌の漁獲量とを突合わせた。この結果、両
者の数値に食い違いは無かった。
(参考)データ提出状況
基礎データ記入表 仕切書 操業日誌
5年分提出
3隻
0隻
0隻
4年分提出
0隻
0隻
0隻
3年分提出
5隻
4隻
0隻
2年分提出
1隻
1隻
0隻
1年分提出
0隻
0隻
4隻
提出なし
0隻
4隻
5隻
4 調査担当者コメント
底はえ縄漁業については、操業日誌の提出率が低く留まったが、漁業者から
の聞き取りのほか、提出された操業日誌、仕切り書等のいずれも超過漁獲を伺
わせるような証拠は認められなかった。
25
【沖合底びき網漁業:釧路】(7隻6人)
【ロシア側による漁獲量のチェック】
・各船にロシア人が1名乗船し、ロシア水域での漁獲量等、操業規則の遵守
を確認。
・チェックポイント等において、ロシア取締船により漁獲量等を確認。
(注)同一航海で、ロシア許可に基づく操業と日本水域での操業が行われる
ことがある。
1
ヒアリング結果
漁獲量の超過を認めた者: なし
ロシア人への金品の提供を認めた者:
なし
2
操業日誌
操業日誌について、既に廃棄したとの理由で入手できず、漁獲量との突合が
できなかった。
(注)操業日誌は、国内法令上、記載義務がない。
3
仕切書
仕切書については、入手できず、漁獲量との突合ができなかった。
(注)同一航海で、ロシア許可に基づく操業と日本水域での操業が仕切り書で
は分かれていない。
(参考)データ提出状況
基礎データ記入票
5年分提出
0隻
4年分提出
0隻
3年分提出
3隻
2年分提出
2隻
1年分提出
1隻
提出なし
1隻
4
仕切書
0隻
0隻
0隻
0隻
0隻
7隻
操業日誌
0隻
0隻
0隻
0隻
0隻
7隻
調査担当者コメント
漁業者のコメントでは、超過漁獲はないとのことであった。
各船にロシア人が1名乗船している。また、同一航海で、ロシア許可に基づ
く操業と日本水域の操業が行われることから、基本的にロシア側の検査が確実
に行われることが不可欠。
26
【沖合底びき網漁業:青森】(6隻4人)
【ロシア側による漁獲量のチェック】
・入出域通報、漁獲日報及びVMSによる位置通報を義務付け。
・各船にロシア人が1名乗船し、ロシア水域での漁獲量等、操業規則の遵
守を確認。
・チェックポイント等において、ロシア取締船により漁獲量等を確認。
(注)同一航海で、ロシア許可に基づく操業と日本水域での操業の両方
を行うことはない。
(ロシア水域はオッター、日本水域はかけ廻し)
1
ヒアリング結果
漁獲量の超過を認めた者: なし
ロシア人への金品の提供を認めた者:
なし
2
操業日誌
操業日誌について、既に廃棄したとの理由で入手できず、漁獲量との突合は
できなかった。
(注)操業日誌は、国内法令上、記載義務がない。
3
仕切書
青森の沖合底びき網漁船は、漁獲物を全て八戸魚市場で販売している。当該
市場の仕切書により、航海毎の水揚げを集計したところ、ロシアの船別割当量
を超過した船は認められず。
(注)釧路で水揚げしたものは八戸へ陸送して販売。
(参考)データ提出状況
基礎データ記入票
5年分提出
0隻
4年分提出
0隻
3年分提出
4隻
2年分提出
2隻
1年分提出
0隻
提出なし
0隻
4
仕切書
0隻
0隻
4隻
2隻
0隻
0隻
操業日誌
0隻
0隻
0隻
0隻
0隻
6隻
調査担当者コメント
漁業者のコメントでは、超過漁獲はないとのことであった。また、仕切書に
おいても超過漁獲を伺わせる証拠は認められなかった。
各船にロシア人が1名乗船している。
27
(別紙6)
検討チームの下で行われた市場に対する調査の概要
1
目的
日ソ地先沖合漁業協定(1984年発効)に基づくロシア連邦の200海里
水域(以下「ロシア水域」という。)で操業していた北転船において、過去数
ヵ年にわたりロシア政府から認められた漁獲枠を超えて漁獲していたことが明
らかになったことから、ロシア水域における操業の適正化、特に漁獲量の適正
な把握を図る観点から、ロシア水域に入漁している漁船の漁獲物を水揚げする
主要港の市場に対して、仕切書の作成状況を中心に漁獲物の水揚げ・計量の実
態等について調査を実施
2
3
4
5
6
調査実施主体
調査対象
水産庁
ロシア水域出漁漁船の主な水揚港の市場
落石漁業協同組合、歯舞漁業協同組合
根室漁業協同組合、釧路市漁業協同組合
釧路魚市場株式会社
2月23日~3月10日
北海道:釧路、根室
調査の時期
調査の場所
調査の方法
水産庁の調査員が市場業務の責任者から聞き取りを実施
7 調査結果
(1)仕切書は、産地の荷受業者(市場)が作成し、荷受業者と漁業者の双方
が保有するものである。
(2)仕切書作成・発行の実態(参考に仕切書の見本を添付)
各市場とも、いずれの漁業についても漁獲物を販売後、販売数量及び金
額等を記した仕切書を複数作成し、そのうちの一部を3日以内には郵送又
は手渡しにより、漁業者に発行している。
仕切書は、販売された魚種、サイズ等の規格及び製品(内臓抜き、塩蔵
等)別に作成されるため、水揚げされる魚種が多く、サイズにばらつきが
ある場合等には、多数の仕切書が作成される。
仕切書は電子媒体及び紙媒体で発行・保存されており、5市場中最大の
市場でロシア水域で操業する漁業だけで年間2万枚を超える枚数が発行さ
れている。
(3)仕切書による漁獲量の把握
いずれの漁業についても、漁獲物の販売は全て市場を通して行われてい
た。
また、内臓抜き等の処理を行った漁獲物の場合、仕切書記載重量は原魚
重量を下回ることとなるが、定められた換算計数を用いて原魚重量に割り
戻すことが可能となっている。
28
(4)仕切書の保存期間
各市場とも3年以上、仕切書を保存している。
(5)市場における仕切書の操作の有無
各市場ともに、漁業者からの要請により仕切書を操作したことはないと
の回答であった。
(6)仕切書以外のデータ
仕切書とは別に、市場における販売代金を漁業者に送金する際、入金伝
票が作成されている。
(7)水揚港
漁業種類によっては航海毎に漁獲物を水揚げする港が異なる場合及び漁
獲物を水揚げする港が多数に及ぶ場合がある。
(8)産地の荷受業者(市場)における検量の方法
市場及び魚種により異なるが概ね以下のとおりであった。
北転船及び沖合底びき網漁船の漁獲物
スケトウダラ
トラック単位で計量
スケトウダラ以外 箱(ケース)単位で計量
サケ・マス
リヤカー単位で計量
サンマ
トラック、タンク又は箱(ケース)単位
底はえ縄の漁獲物
箱(ケース)単位で計量
8 調査のまとめ
(1)仕切書による漁獲量の確認
仕切書は、漁業者以外の第三者が作成する書類であって、販売数量が記
載されていること、また、今回の調査対象漁業は、漁獲物の販売は全て市
場を通して行われていることから、漁獲量を把握するための有効な手段と
考えられ、市場に保存してある仕切書から漁獲量を確認する可能性がある
ことが示された。
ただし、仕切書にはロシア水域と日本水域で漁獲された水域の区分はな
いことから、両水域を跨って操業する場合には、仕切書のみでロシア水域
の漁獲量を確認することはできない。
また、一回の水揚げに対して多数の仕切書が発行される場合には、それ
らを過不足なく入手する必要がある。
なお、仕切書の信憑性については、入金伝票の販売代金から漁獲量を推
定することで確認することが可能と考えられる。
(2)水揚検査
いずれの漁業についても漁獲物の販売が全て市場を通して行われている
こと、販売数量・金額の算出のために水揚げごとに漁獲物を魚種別に検量
することから、行政がこの検量作業に立ち会うことで、漁獲量を確認する
ことができる。
ただし、ロシア水域と日本水域で漁獲された水域の区分がされて計量さ
29
れているわけではないことから、両水域を跨って操業した場合には、水揚
検査のみでロシア水域の漁獲量を確認することはできない。
なお、水揚港が多数に及ぶ場合には漁獲量を確認するための人員を複数
の港に多数配置する必要がある。更に、箱やリヤカー単位で計量される場
合、計量数が多く、加えて箱の中身を一つずつ確認する必要があることか
ら、水揚検査時の作業は非常に煩雑となる。
30
31
ロシア人公務員の派遣方法
共通事項
取締事項
漁業種類 沖合底びき網
中型
小型
各船にロシア人が1名乗船
日本側が用意し 同左
た監督官船1隻
にロシア人が3
名程度乗船
チェックポイント等において、ロシア取締船により漁獲量等を確認
入出域通報、VMSによる位置通報を義務付け
北転船
さけ・ます
日本側が用意し
た監督官船13
隻にロシア人1
7名が乗船
さんま
ロシア側による漁獲量のチェック(2010年(平成22年))
日本側が用意し
た監督官船1隻
にロシア人が3
名乗船、また、
ロシア操業船4
4隻のうち5隻
にロシア人が乗
船
いか釣り
・30トン未満船
(14隻)につい
ては日本側が
用意した監督官
船1隻にロシア
人が2名乗船
・30トン以上船
(6隻)について
は、各船にロシ
ア人が1名乗船
底はえ縄
(別紙7)
32
項目
沖合底びき網
航海毎の報告
毎月の報告書
書を当該航海
を翌月の10日
終了後50日以
までに提出
内に提出
北転船
小型
航海毎の報告
最終航海入港
書を当該航海
後30日以内に
終了後30日以
提出
内に提出
中型
さけ・ます
知事許可
いか釣り
底はえ縄
航海毎の報告
航海毎の報告
書を当該航海 操業終了後60 書を当該航海 操業終了後60
終了後30日以 日以内に提出 終了後30日以 日以内に提出
内に提出
内に提出
大臣許可
さんま
(別紙8)
水産庁又は
北海道への
提出義務
なし
入港の都度、日
誌の写しを提出
なし
ロシア水域の操
操業中毎日、操
業については、
操業中毎日、投 操業中毎日、投
操業中毎日、投
業年月日・投網
操業年月日、投
(ロシア水域の 網の場所・揚網 網の場所・揚網
縄の場所・揚縄
操業日誌を備え付 の場所及び時
網の場所及び (ロシア水域のみ記載(ロシア規
み記載(ロシア の年月日及び の年月日及び
の年月日及び
則))
け、記載
刻・揚網の時
時刻、揚網の時
規則))
反数・漁獲数量 反数・漁獲数量
縄数・漁獲数量
刻・漁獲数量を
刻、揚網ごとの
を記載
を記載
を記載
記載
漁獲数量を記
載
漁獲成績報告書
の提出
内容
漁業種別規制一覧(ロシア操業関連)
33
2007年
2008年
2009年
2010年
5,220
4,898
3,328
8,600
1,679
6,024
93.8%
96.5%
4,500
5,775
84.6% 36,145
84.9%
84.2%
71.5%
3,065
4,876
13,575
2,148
1,408
4,189
8,600
1,735
5,210
68.1%
84.4%
3,960
5,775
37.6% 36,145
25.0%
83.9%
69.5%
3,190
5,079
16,054
729
1,403
4,055
8,600
1,735
5,210
80.6%
87.9%
2,400
4,480
44.4% 36,145
8.5%
80.9%
77.8%
1,713
4,183
12,972
1,036
1,432
3,421
8,060
1,870
5,064
71.4%
93.4%
2,607
5,840
35.9% 36,327
12.0%
82.5%
65.7%
2,103
5,392
18,259
4,846
1,615
1,998
80.7%
92.3%
50.3%
60.1%
86.4%
39.5%
単位:トン
78.1%
91.0%
43.5%
26.2%
83.3%
61.2%
80.1%
90.3%
50.5%
37.8%
83.6%
65.4%
5年平均
消化率
注)北転船への割当量(追加枠含む)は、2006年9,498トン、2007年4,873トン、2008年7,153トン、2009年6,443トン、2010年8,960トン、漁獲実績は調査中のため除いている。
小型さけ・ます流し網漁業
中型さけ・ます流し網漁業
7,298
3,450
8,600
いか釣り漁業
1,557
30,561
1,849
底はえ縄漁業
4,600
36,145
6,433
さんま棒受け網漁業
2006年
割当量 漁獲実績 消化率 割当量 漁獲実績 消化率 割当量 漁獲実績 消化率 割当量 漁獲実績 消化率 割当量 漁獲実績 消化率 3年平均
(08~10年)
沖合底びき網漁業
漁業種類
年
ロシア水域における漁業種類別漁獲割当量の推移
(別紙9)
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