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臓器提供と私の願い 魚沼市立堀之内中学校三年 覚張 そよ みなさんは

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臓器提供と私の願い 魚沼市立堀之内中学校三年 覚張 そよ みなさんは
臓器提供と私の願い
魚沼市立堀之内中学校三年
覚張 そよ
みなさんは、臓器提供について考えたことがありますか。
日本の法律では、臓器提供をする場合に限り「脳死は人の死」とされています。脳死と
は脳全体の機能が失われ、二度と戻らない状態です。そして脳死となった人は、家族の承
諾があれば本人の意思が不明の場合でも、臓器の提供ができます。
二〇一〇年七月に、
「改正臓器移植法」が施行され、十五歳未満の子どもも、家族が承諾
すれば臓器提供が可能になりました。
しかし、臓器提供は身近なものではなく知らないことが多いのではないでしょうか。
二年前、私の母は臓器提供を行いました。くも膜下出血で倒れ、脳死判定となったので
す。生前から母は父とともに臓器提供意思表示カードを持っていて、移植のために臓器を
提供したいという思いがありました。父が病院側にその思いを伝え、提供することになり
ました。無事、角膜と腎臓の移植が成功しました。
後日、母の腎臓を移植された人から手紙が届きました。手紙には感謝の言葉とともに「人
工とうせきに通っていた時には感じることのできなかった、トイレの寒さを感じられるよ
うになった。
」と書いてありました。
私たちは冬のトイレは寒いから嫌だなと思うこともあります。しかしこの人は、冬のト
イレの寒さをうれしいと思ったのです。私たちにとって当たり前のことが当たり前でない
人がいる。それに気がついた時、
「提供してよかった」と本当に思いました。
「どこかで母が生きている」そう思えうれしくなり、
「母が誰かを助けた」をいうことが
とても誇らしく思えました。母は死んでしまいましたが、それで誰かが助かり幸せになれ
たならそれでいい、と心から思います。
今、私も臓器提供意思表示カードを持っています。父が私にカードをくれたのです。私
の意思は「提供する」です。私は今十四歳で、もし何かあった時、臓器の提供ができます。
改正臓器移植法が施行されたからです。私の家族は承諾するでしょう。でも、私は私の意
思を表したい。だから、カードに名前を書き「提供する」に丸をつけました。
しかし、子どもの臓器提供は大変難しいのです。改正臓器移植法が施行されてから一年
後の二〇一一年に臓器提供ができる施設を対象に、ある新聞社がアンケートを行いました。
脳死の可能性が高い状態になった子どもは、五十一人いましたが、実際に提供が行われた
のは一件のみでした。子どもの脳は回復力が強いなどの理由で、脳死の判定には大人より
厳しい基準が適用されています。
また、子どもの死を受け入れられない親の精神状態から提供は行われませんでした。
では、大人ならいいのでしょうか。
きっと、そうとは言えないでしょう。人は一度決めたことでも「本当に良かったのか」
と自問自答を繰り返し、迷います。実際に臓器提供したことを後悔している人もいます。
それは、臓器提供を良く知らなかったからではないでしょうか。
私も、臓器提供のことは良く分かりませんでした。しかし、母の意思があったのです。
その思いを尊重したいと思いました。
医療の進歩によって、臓器提供への関心は高まるでしょう。そこで私は、みなさんに自
分の臓器提供への意思を持ってほしいと思います。臓器提供によって未来に希望を持てる
人、生き続けることのできる人がいるのです。
「臓器提供したくない」それでもいいのです。
ただ、臓器提供について一度でいいのでじっくりと考え、調べてもらいたいのです。そし
て、自分の思いを何かに残してほしい。それが、私の願いです。
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