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サイゴン証券 2016年3月28日
本レポートは、キャピタル・パートナーズ証券の提携先であるベトナム大手証券会社とキャピタル・パートナーズ証券子会社のキャピタル・パートナーズ・ベトナム・ コンサルティングが共同で作成・翻訳したものです。 サイゴン証券(SSI) 作成日 M-PF +1.8% 18 March 2011 2016 年 3 月 28 日 2015 2016F 2017F -14.7% 13.4% 13.3% EPS 伸び率 -3.3% -45.4% 8.9% 売上総利益率 76.3% 38.7% 40.4% 時価 VND21,600 売上高伸び率 目標価格 VND20,900 52 週間の高値・安値 VND28,700/17,364 目標株価までの上昇率 配当利回り 株式投資収益率 新規調査開始 SSI 純利益率 63.9% 33.1% 34.2% -3.2% EPS(VND) 2,048 1,119 1,219 5.0% 配当(VND) 0 1,000 1,000 20% 10% 0% -10%2/15 18.2x -20% -30% PER +1.8% ※F は当社予測 10.8x 19.8x 5/15 中期傾向/上値抵抗線 業種 証券 VNIndex 8/15 11/15 2/16 上昇/VND23,500 SSI 同業他社 VN 指数 時価総額 $469 mn PER(実績) 10.8x 18.8x 11.8 SSI は過去 5 年間、常に2大証券の一角を占め、その業務 外国人保有比率上限までの残り $227 mn PBR(予測) 1.6x 1.8x 1.7 は委託売買、自己売買、資産運用及び投資銀行と多岐にわ 30 日間平均日次売買代金 $2.96 mn 純負債/資本比率 1.0x 0.6x 1.2x たる。SSI は 1999 年に設立され、2015 年末時点でベトナム 0.0% ROE 13.8% 9.4% 14.2% 発行済み株式数(百万株) 480.1 mn ROA 7.6% 5.9% 2.5% 完全希薄化後株式数(百万株) 480.1 mn 政府の保有率 の 5 都市に事務所があり従業員数は 616 名である。 評価バリュエーションは金利差モデリング次第 当社は SSI に対して「マーケットパフォーム(M-PF)」の推奨で調査を開始するが、その理由は以下 の通り。 委託売買業務での展開は信用取引を中心に動いている。SSI は 個人投資家向け委託売買に注力し ているが、周辺業務には規模は大きいが資金コストを考慮した場合、疑問の余地がある業務もある。 本レポートでは SSI の財務諸表に表れている事象とは異なる分析をする。委託売買業務は個人投資 家向けのサービスが中心であるため、コスト高であると当社では見ている。この委託売買業務におい てコストをカバーするには、2014 年のように極めて高い株式売買高が必要となる。しかしながら、委 託売買業務で SSI は利益成長の原動力となる信用取引を展開している。SSI の成長モデルの作成で は、基本的に信用取引残及び、信用取引と資金コストとの間のスプレッドを分析することになる。もう 一つの注意点は、SSI の信用取引の増加余地はまだ大きいが、自己資本に対する信用取引残のレ バレッジ比率が規則で制限されているため、銀行と同様なレバレッジが不可能なことである。 自己売買事業が資本集約的であることは評価価値の妨げになる。当社のレポートも SSI の財務諸 表も、自己売買が株主資本に頼っていることを示している。利益は貸倒引当金繰入の影響を受けた ものの、同社は大幅な変動を避けられた模様である(その証としてホアン・アイン・ザライ国際農業 (HNG)の問題が解決されたことがある)。一方、大幅な変動を回避する事と資本コストを上回る利益を 挙げる事とは別な話で、SSI は過去 6 年間でこれに失敗していたため、当社は同事業が今後も基準 以下である事を前提とした。 資産運用事業と投資銀行事業(IB)が飛躍的に伸びるという同社の発表には懐疑的。これらの事業 は現在、規模の利益や先行者利益はなく、業界トップの個人向け販売網を活用した実績もない。SSI は今年、1.5 億米ドルの UCITS(譲渡可能証券の集団投資事業)ファンドをローンチする事を目指して いる。当社の見方では、ベトナム国に焦点を当てるファンドの資金調達活動は過去 12 ヶ月不活発な 状態であったため、これらの事業が成功するとは考え難く、今後の動きを慎重に見極めたい。 市場シェアの予測は意図的に回避。当社は、予測の期間における SSI の委託売買事業の市場シェ アを 2015 年末の水準と同レベルで考え、平均の委託販売手数料率は 1bp 下落すると予測する。 株式資本市場の改革は市場の流動性を高めるのに役立つ。外国人保有比率上限の緩和、株式化 の加速、政府保有株率の引下げ、指数デリバティブ取引、株式デリバティブの導入あるいは空売りの 認可等の様々な対策は、個人投資家中心から機関投資家の存在感が増す市場への転換を促すた め、自然と市場の下落速度を抑制する効果が期待できる。 1/33 目次 HOLD ベトナム資本市場の良好な見通し ................................................................................................................3 資本市場は初期段階にある ....................................................................................................................3 レバレッジ比率の規則は証券会社の財務的な柔軟性を妨げる .................................................................3 外国人保有比率の上限(FOL)、民営化及び他のベトナム株式資本市場発展の障害 ................................3 業界の統合による潜在的な成長力 ..........................................................................................................4 ベトナム株式市場の今後の行方を占う .........................................................................................................5 自由取引株式の市場価値の拡大 ............................................................................................................5 企業概要 .....................................................................................................................................................8 ビジネスモデル .......................................................................................................................................9 証券会社の証券業界での先行者利益 ...................................................................................................9 売上高構成は多様なビジネスモデルを示す ...........................................................................................9 戦略的な支店網と最大顧客基盤 .........................................................................................................10 ビジネス戦略:発表された戦略と実際の戦略との関連 ..........................................................................10 委託売買事業:個人顧客業務の詳細 ..................................................................................................11 信用取引– SSI の新たな売り上げの牽引役 .........................................................................................12 自己売買業務:経営コンサルタントのアドバイスに従って長期縮小傾向 ................................................13 資産運用(SSI AM):2016 年の資金調達目標は“高し”、これまでの達成度は“低し” ...........................16 インベストメントバンキング (IB):SSI の本来の強みは法人顧客に特化した株式資本市場部門(ECM)の役 に立たず.............................................................................................................................................16 トレジャリー業務:非中核との見方 .......................................................................................................16 まとめ ...................................................................................................................................................16 SSI の財務の解明と同社の会計上の慣習からスタートする .........................................................................17 借入金は 2015 年まで依然十分に活用されていない ..............................................................................17 信用取引の資金調達と社債発行の活用 ................................................................................................17 委託売買業務の単独利益(信用取引を除く)を確立する .........................................................................18 SSI のトレジャリーサービスに対する業務別直接費用は資金調達構造を考えると膨らんで見える .........18 自己売買業務 .......................................................................................................................................22 過去 6 年間の評価では自己売買業務は自己資本コストを還元できていない ........................................22 バリュエーション評価 ..................................................................................................................................25 自己売買業務 .......................................................................................................................................25 信用取引業務 .......................................................................................................................................25 信用取引を除いた委託売買業務 ...........................................................................................................25 投資銀行業務 .......................................................................................................................................25 資産管理業務 .......................................................................................................................................25 トレジャリー業務 ....................................................................................................................................25 同業他社との比較 .................................................................................................................................26 テクニカル分析 ..........................................................................................................................................28 年次財務諸表 ............................................................................................................................................29 四半期別業績 ............................................................................................................................................30 損益計算書の予測 .....................................................................................................................................31 2/33 ベトナム資本市場の良好な見通し HOLD 資本市場は初期段階にある ベトナム株式市場は 2007 年より急速な発展と停滞の両方を経験した。ホーチミン取引所(HSX)とハノイ取引 所(HNX)に上場した企業数は 2006 年の 193 社から 2015 年には 684 社まで著しく増加し、15%の年間平均増 加率(CAGR)を見せた。時価総額も同時期に 26%の CAGR で大幅に増加した。 GDP に対する株式時価総額の比率は 23%で、アジア最低の水準に留まっている。 図 1:GDP に対する時価総額 151% 160% 157% 140% 120% 105% 106% 100% 85% 80% 55% 60% 40% 44% 62% 69% 45% 23% 20% 0% 出所:ブルームバーグ レバレッジ比率の規則は証券会社の財務的な柔軟性を妨げる 証券会社上位 5 社の 2015 年のレバレッジ比率は 1.3 倍で、証券仲介専業のチャールズ・シュワブ (Charles Schwab)の 12.7 倍やジェフリーズ(Jeffries)の 6 倍、ゴールドマン(Goldman)投資銀行子会社の 44.9 倍と比べ て、ベトナム証券業界のレバレッジ比率は現在かなり低水準にある。これは証券会社の貸借対照表での過度 なレバレッジ ポジシ ョン を防止する のを目的とする厳しい規則 のた めである。その根拠となる法律は第 637/QD-UBCK 号決定で、自己資本と負債自己資本比率に対する レバレッジ比率上限をそれぞれ 2 倍と 6 倍 と定めているがベトナムの証券会社のビジネスモデルでは、前者は後者よりも早く抵触することになる。レバレ ッジ比率が制限される問題は、事業部門別経費と SSI のビジネスモデルにおける真の収益の柱を明らかにし た後、本レポートの大きなテーマとなる。 外国人保有比率の上限(FOL)、民営化及び他のベトナム株式資本市場発展の障害 ベトナム政府は 2015 年 6 月、第 60/2015/NĐ-CP 号法令(以下は「法令 60 号」を公布したが、同法令で公開 企業(銀行及び条件付き業種を除く)に関して FOL の上限を 49%から 100%まで緩和し公開企業と非公開企業 の法的枠組みを調整するとしている。住宅法第 65 号/2014(以下「住宅法」)での外国人の不動産所有権の修 正・補充と同様に、この緩和は市場参加者には驚きであった。一方、実際に適用する際この 2 つの重要な法令 の相違点は、住宅法は実施要綱にさほど依存していないが、一方で議定 60 号は進捗を確実にするために、 実施要綱に大きく依存している点である。重要な意味を持つ実施要綱の一例は条件付き業種を明確にしたこと である。証券企業のケースは容易である;法令 60 号において、証券会社が 2015 年 9 月 1 日より上限を 100% まで緩和できることを明確に認可し、SSI は同日に FOL を 100%に引き上げ初めて上限を撤廃した会社となった。 しかしながら、証券、銀行及びその他条件付き業種以外の企業に関する状況はまだ不明確である。多くの投資 家グループは動きが取れず、ベトナム計画投資省の発表待ちであるが、未だ公表されていない。事情通の一 3/33 部の弁護士は、個々の企業が各々の FOL 上限を関連当局に自由に提案して承認を得ることが可能である旨 HOLD を指摘したが、その第一号がベトナムエバーピア株式会社(コード:EVE)1で 2016 年 1 月の最終週に FOL 上 限を 100%に引き上げる承認を得た。FOL 緩和の作業は、VNM がその定款から 7 事業を削除する旨の提案に 対して株主から承認を得る動きから多大な影響を受けたが、当社のコンシューマーチームは VNM が今年の 4、 5 月頃に FOL 上限を 100%に引き上げると予測している。従って FOL 緩和の状況は、広範囲な規制上の余地、 規制当局の動きの鈍さ、FOL の状況打破を目論む上場企業による積極的な動きへの依存、などにまとめられ るだろう。 投資環境を整える民営化の実績は、FOL の緩和作業と比べても残念な状況である。民営化プロセスの改革は 規定を通じて実施すべきか、或いは大規模な国営企業による民営化をきちんと行い手本となる先例を作るべき かについては、議論の余地がある。良い先例と言える最近の民営化はペトロベトナム・カマウ肥料(DCM)の民 営化であるが、同社は 2014 年 12 月に新規株式公開(IPO)を行い 2015 年 3 月にホーチミン取引所(HSX)に 上場した。残念ながら、その後のベトナム航空(Vietnam Airlines)、ベトナム国営繊維企業グループ(VINATEX) やベトナム空港会社(Airports Corporation of Vietnam)による大型民営化案件は、IPO と上場時期の間に長い 間隔を開けるという悪しき習慣に後戻りしてしまった。大規模な国営企業の民営化は歓迎すべきで事ではある が、現時点で民営化の領域は証券企業の売上高にそれほど貢献していないようだ。 もう一つのベトナム株式市場の問題は、ビナミルクという優良コンシューマー銘柄が多額の外国ファンド資金を 引き付けていることである。同銘柄が投資家に高収益率をもたらしているため、この「考えるまでもない」投資対 象から離れるリスクをとることへの無力感が、ベトナム投資を考える外国機関ファンドの間に漂っている。意欲 的に他のセクターも調査することは、FOL や民営化を促進することと同様にベトナム株式市場の発展に寄与す るものである。 業界の統合による潜在的な成長力 証券業界での統合の形態としては、M&A よりも弱小業者の金融面での疲弊がきっかけになることが多い。証 券会社上位 10 社以外の M&A による統合はほとんど無関係であり、一方で上位 10 社以内の統合も 100%銀 行所有の証券会社の数と最近 10 年前例がないことを考慮した場合、可能性はほとんどないと言えよう。国際 的な見地からも証券会社あるいは投資銀行の統合は難易度が非常に高いと思われる。そのため、証券会社 の成長の原動力になるような統合に関して、当社は注視すべき事ではなく非常に緩慢な部類に属する事項で あると考えている。 1 EVE の後にビンホアン水産が続いた。 4/33 ベトナム株式市場の今後の行方を占う 自由取引株式の市場価値の拡大 HOLD 株式市場の発展にとって時価総額は重要であるものの、証券会社の利益を増加する上でもう一つ重要な要 素は自由に取引されている株式の時価を増やすことである。ここで「浮動株式」という概念を使わない理由は、 株主割当増資の例を挙げれば、それは浮動株式数を変化させないが流通株式数を増やし株式の流動性を 改善することに繋がるからである。株主割当増資に関して、この資金調達の方法は事前に予測するのは困 難である;それはこの手法が常に経済的に困難な状況下で多額の資金調達をする必要性があるため行われ るのに対し、当社は上場の予想、際立つ増資や株式売却等に注目しているからである。なお、図2は2016年 と2017年の予測はパイプラインが明確であるため精度が高いが、一方でそれ以降の数値は単に推定に基づ いている。 図 2:市場の浮動株比率に対する上場・新規株式発行・売却による貢献度の予測 ペトロベトナムガス(GAS)及びベトナム投 VNM が 2016 年第 4 四半期、ベトナ 資開発銀行(BID)が 2017 年第 4 四半 ム国家資本投資経営総公社(SCIC) 期、政府に売却されることを前提。 に売却されることを前提。 出所:当社予測 浮動株比率だけで取引可能株式の価値の増加を代替することにはならないが、この比率の上昇傾向は予測し やすいため、当社はこれを予測モデルに入れ、図3に示されているように新規上場株式の価値で補足する。 5/33 図3:追加上場と浮動株比率の変化を適用し取引可能株式の価値を予測(兆VND) HOLD 900 29% 800 28% 700 27% 600 26% 500 25% 400 24% 300 23% 200 22% Value of tradable shares (LHS) 取引可能株式の価値(左目盛り) Additional listings (LHS) 追加上場(左目盛り) Mkt free-float (RHS) 浮動株比率(右目盛り) 出所:当社予測 市場の売買代金の予測値を求める最終的な段階は市場の速度予測を考え出すことである。 図 4:ベトナム株式市場の予測された動きを元に市場の自然な減速傾向を修正 210% 12% 200% 10% 190% 8% 180% 6% 170% 4% 日中先物取引が 2018 年第 3 四半期に中止となり品借り 160% に置き換えられる前提 150% 2% 0% Undisturbed market velocity (LHS) 当初の市場速度(左目盛り) Modified market velocity (LHS) 修正済みの市場速度(左目盛り) Intraday short effect (RHS) 日中先物取引の効果(右目盛り) Index futures effect (RHS) 指数先物 の効果(右目盛り) Stock borrow effect (RHS) 品借りの効果(右目盛り) 出所:当社予測 図4のように、赤い線は過度に個人投資家偏重のベトナム市場において自然に発生する状況を示す。同市場 において、売買中心の個人投資家は徐々に長期保有を前提とする機関投資家に道を譲ることになる。しかし ながら、この下落傾向は、日中先物取引、指数先物や品借りの許可等の重要な市場革新策が導入される結 果、3年後までには歯止めがかかると見込まれている。取引可能市場速度の予測を取引可能の時価総額に 適用した結果は以下通りである。 6/33 図 5:取引可能株式の時価総額と市場速度の予測に基づく売買代金(兆 VND) HOLD 平均市場速度:185% 四半期別累計売買 代金総額 浮動時価総額 出所:当社予測 2020年の年間売買代金総額は1529兆ドン(684億米ドル)と、2015年の622兆ドン(278億米ドル)と比べて146% 増加すると当社は予測している。 7/33 企業概要 HOLD 近年、SSI は常にベトナムにおける業界一位のブローカーであり、また外部ファンドの資産運用業務ではトップ 5~トップ 10 にランクインし、投資銀行業務でもトップ 5 の一角を占めている。1999 年、SSI は現在も会長を務 めるグエン・ズイ・フン氏により設立された。SSI は、先ず委託売買業務に乗り出し、その後 2011 年からは資産 運用(外部および内部ファンド2)及びと投資銀行業務にも進出した。一時的な一攫千金を狙うことなく、またタイ ミング良く信用取引を効果的に活用することにより、SSI は過去 7 年間で 3 度(2011 年、2014 年及び 2015 年) 委託売買事業の市場シェアでトップの座をつかんでいる。 自己売買事業は直近 5 年間の平均で、売上高全体の 36.6%を占めて、次に同 30.9%のトレジャリー事業及び同 26.3%の委託売買事業がある。外部ファンドの資産運用と投資銀行事業は比較的小さい比率となっている。 図 6:売上高構成(企業発表値) 図 7:税引き前利益の構成 16% 80% 31% 100% Investment 投資銀行 banking 100% 80% 19% 48% 40% 40% 32% 226% 20% 28% 43% 0% Principal 自己売買 investment 17% 23% 60% 66% 資産運用 Asset mgmt -2% 1% Treasury トレジャリー 29% -44% 26% FY11 FY12 FY13 FY14 FY15 -20% 33% 14% 64% 40% Treasury トレジャリー 35% 20% 58% 投資銀行 Investment banking 37% 60% 50% 60% 9% 33% Asset mgmt 資産運用 37% 15% Brokerage 委託売買 -40% 0% Principal 自己売買 investment -94% Brokerage 委託売買 FY11 FY12 FY13 FY14 FY15 出所:SSI の財務諸表 株主構成に関しては、2008 年 6 月大和証券が株式の 9.96%を保有する SSI の戦略的投資家となり、現在その 保有率を 15%まで引き上げる手続き中である。図 8 にあるように、会長とその家族は現在、NDH ベトナム有限 会社とサイゴン・ダンリン・不動産会社経由で SSI の約 18%を保有している。SSI は直接子会社 2 社と間接子会 社 1 社を有している。 表 1:SSI の取締役会とその他役職 名前 Mr. Nguyen Duy Hung 役職 会長兼 CEO Mr. Ngo Van Diem Mr. Nguyen Hong Nam その他役職 パン・パシフィック会長 NDH ベトナムインベステメント会長兼 CEO SSI アセットマネジメント会長 取締役 取締役兼副 CEO サイゴン・ダンリン・不動産会長 (Mr Nguyen Duy Hung の兄弟) Mr. Hironori Oka 取締役 大和キャピタル会長兼 CEO Mr. Bui Quang Nghiem 取締役 グエム・アン・ドチン法律事務所パートナー Mr. Nguyen Duy Khanh 取締役 出所:Cafef.vn 2 SSI の内部資金による投資には戦略的な意味合いがあるため、ここでは「自己売買」という用語は使用しない(一般的には、日 和見的な取引に同用語は使われる)。 8/33 図 8:株主構成 HOLD 図 9:会社組織 NDHVietnam ベトナムインベ NDH Limited ステメント 11% 10% 5% 5% 68% サイゴン証券 Daiwa Securities 大和証券グループ Group Inc. SSIアセット・マネ ジメント会社 (SSIAM)-100% サイゴン・ダンリ Saigon Dan Linh ン・不動産 Real Estate Co., Ltd SSIインベステメン ト・メンバー・ファン ド(SSIIMF)-80% Deutsche Bank ドイツ銀行ロンドン AG London チュバンク SSIビジョン・ファン ド-80% 出所:SSI の財務諸表と当社 ビジネスモデル 証券会社の証券業界での先行者利益 SSI は委託売買市場シェア上位 5 社の中で最初に設立された会社であるため、常に社員数と規模において先 行者利益がある。 売上高構成は多様なビジネスモデルを示す SSI の売上高構成を同業他社(他の上場証券会社 3 社)に比べた場合、SSI では過去 2 年間の売上高に占め る委託売買事業の割合は平均 21%で同事業の比重は比較的低い。一方で同業の 3 社では平均 35%となって いる。全ての証券会社が信用取引による収益を委託売買事業セグメント内で報告するとは限らないため、当社 はここでは信用取引を取り除くことにする。SSI の従来からの報告方法によると、委託売買事業は長い間、同社 の収益の柱として成長戦略の一つとなり、ここ 2 年間の売上高と利益への貢献度はそれぞれ 38%と 28%であり、 一方で最大割合を占める自己売買事業はそれぞれ 41%と 61%となっている。 委託売買事業の成功は大規模に信用取引を展開したことに拠るところが大きい。2015 年、SSI の委託売買の 市場シェアは 2014 年比 10.95%増の 12.31%で 1 位を堅持し、2 位を 162bps 引き離した。 図 10:上場証券会社別 2014 年と 2015 年3の調整済 図 11:2015 年の委託売買の市場シェア み平均売上高構成 (HSX と HNX) 100% 投資銀行 Investment banking 80% 12% 34% SSI 資産運用 Asset mgmt 60% 40% 20% 42% 2% 40% 43% 1% 41% 21% Treasury トレジャリ 13% Principal 自己売買 investment ー 40% 21% 24% SSI SHS VCSC 8% 57% Brokerage 委託売買 0% HSC VND HSC 11% 出所:SSI の財務諸表と HSX/HNX ウェブサイト 3 当社は、証券会社間の比較を容易にするため委託売買事業から信用取引を取り除いた。 9/33 VNDS SHS 6% 6% その他 Others 戦略的な支店網と最大顧客基盤 図 12:SSI の 2016 年 2 月時点の支店網 HOLD 図 13:2016 年 2 月時点の委託売買支店・営業所数 10 8 6 4 9 6 6 2 4 0 SSI HCM VND SHS 支店・営業所数 Number of branches :SSI の支店 図 14:新規口座数 95% 11,000 10,000 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 100% 80% 38% 40% 17% 11% 60% 20% 0% -20% -58% -40% -60% 2010 2011 2012 Retail (LHS) 個人(左目盛り) 2013 2014 Corporate (LHS) 法人(左目盛り) 2015 Growth (RHS) 伸び率(右目盛り) 出所:当社及び SSI の財務諸表 ビジネス戦略:発表された戦略と実際の戦略との関連 SSI は次に挙げるような各事業間の相乗効果を模索することをビジネス戦略とすると公表した。①資産運用事 業は委託売買事業の豊富な顧客基盤を活用し、資産の源とし、新規商品を開発すること、②投資銀行(IB)事 業は強力な販売網を活用し、新規引受案件のマンデートを獲得する。しかし、長年にわたり強力な個人顧客基 盤と強力な販売網を保有してきたにも拘らず、こうした戦略はこれまでのところ業績のけん引力になった証拠は ない。図 17 に現れている委託売買の口座総数と資産運用事業の運用資産総額との相互関係を見ると、良好 な相関を示しているが、16 頁で議論するようにその構成をより深く探っていくと、あまり楽観的にはならないシ グナルが現れてくる。同様に、図 18 のように、投資銀行の売上高は委託売買の口座総数とあまり関係がな いだろう。 直接的なライバルとして当社は 2015 年に、SSI の委託売買事業ではその営業姿勢や人員配置も法人顧客か ら個人顧客に焦点を当てるようシフトしたと見ている。投資銀行等の他の事業は法人顧客に注力しているもの の、全体的には 個人顧客セグメントがやはり主要な役割を果たしている。 10/33 委託売買事業:個人顧客業務の詳細 HOLD 顧客口座とその関連預り金の増加は殆ど個人顧客によってもたらされてきた。年間の新規開設口座数は2014 年と2015年(2014年比38%増)に、飛躍的に伸び、8万口以上に達した。SSIのマーケティング資料には、個人と 機関投資家の新規口座数がグラフ形式でしか載せていないが、グラフを子細に見ると機関投資家の口座数は 顧客口座総数の2%が妥当なところだと見ている。 図 15:年次新規口座数 図 16:雇用外務員数 10,417 11,000 10,000 95% 120% 300 100% 250 9,000 6,000 4,000 40% 60% 40% 38% 3,862 3,298 3,000 FY12 17% FY13 FY14 50% 200 7,000 5,000 60% 48% 208 80% 7,559 8,000 70% 66% 30% 20% 20% 100 0% 50 FY15 新規口座数 Number of new accounts 141 150 85 10% 0% FY12 FY13 FY14 Number of new accounts 新規口座数 伸び率 Growth 図 17:口座数に対する運用資産総額(10 億 VND) 伸び率 Growth 図 18:口座数に対する投資銀行(IB)の売上高(10 億 VND) 90,000 6,000 80,000 95,000 85,000 5,000 70,000 4,000 60,000 65,000 50,000 55,000 40,000 45,000 30,000 35,000 20,000 25,000 10,000 15,000 3,000 2,000 1,000 FY13 External 外部資産asset FY14 75,000 59,432 38,353 32,026 5,000 FY12 92,373 FY12 FY15 Number 口座数 of accounts IB IB revenue の売上高 FY13 FY14 FY15 Number 口座数 of accounts 出所:SSI の財務諸表及び当社 同業界の手数料率は最低15bpsという証券取引所の規定で下限側において低水準に維持されているが、上限 値も近年、競合が激しいため低下している。SSIの委託手数料の設定方法を公平に評価すると、魅力的な料率 を使って新規顧客勧誘したり既存顧客をとどめたりしようとする手法に頼ってはいないということである。手数 料率を分析すると一定の料率はあるが、同時に何年にもわたり着実に低下傾向が認められる。但し、手数料 率の見方は当社の予測に於いてさほど重要ではない。 11/33 信用取引– SSI の新たな売り上げの牽引役 HOLD SSI の会計上の慣習によると、同社の信用取引収益は委託売買業務収益の一部で、総売上に占める比重は 増えている(2014 年 39%に対し 2015 年 51%)。同社は 2016 年 2 月から信用取引の金利4を年率 14.0%にした。 金利はこの時点で同業他社の平均を 36bps 上回り、平均的な信用力の顧客向け金融機関基準貸出金利より 3%~5%程度高い。 同社は信用取引に用いる主な資金は株主資本を通じて調達しているという。信用貸し政策は保守的であり、信 用取引の掛け目は諸規則の 50%に対し、40%である。現在の資本構成については、2015 年末の 3 兆 2560 億ドン(1.46 億ドル)の貸付残高に対して 3 兆 5000 億ドン(1.57 億ドル)の十分な担保がある。 このセクションの大半は総じて委託売買業務について述べているが、主要な収入が信用貸しから得られるとい う観点から、17 ページの次のセクションでは受託手数料収入と信用貸付収入を詳細に分析していく。 図 19:信用取引収入の伸び(10 億 VND) 298 300 215% 250 図 20:委託売買収入における受入手数料の割合 250% 100% 200% 80% 207 200 150% 150 100% 38% 44% 33% 32% 39% 51% 60% 53 -29% -30% 24% 66 44% 40% 0% 20% 62% 56% 67% 68% 61% 49% 受託手数料 -50% 成長率 FY15 FY10 信用取引収益 FY14 0% FY11 FY12 FY13 FY14 FY15 FY13 - 50% FY12 50 76 FY11 100 投資家への 貸出金と信 用取引サー ビス 出所:SSI の財務諸表及び当社 表 2:2015 年第 4 四半期の SSI と同業他社の信用取引貸出残高(10 億ドン) 信用取引残高 信用取引残高/ 株主資本 SSI 3,256 HCM 2,516 VND 1,691 SHS 1,257 49% 110% 87% 122% 出所:SSI の財務諸表及び当社予測 4 当社は 0.0389%/一日の日次複利を組み込まない。 12/33 図 21:同業他社と比較した信用取引の割合(2016 年 3 月) 15% HOLD 14.4% 14.0% 14.0% 14.0% 14.0% 13.7% 13.5% 13.0% 13% 12.6% 11% SSI HSC ACBS VCSC VND VCBS SHBS FPTS MBKE 出所:SSI の財務諸表及び当社 自己売買業務:経営コンサルタントのアドバイスに従って長期縮小傾向 SSI はどのように自社の投資ポートフォリオのやりくりをしているのかは「SSI の財務の解明」というタイトルの次 のセクションに譲る。自己売買は歴史的に見て上場未上場に関わらず、債券よりも株式に偏っていた(図表 23)。 自己売買業務は 2011 年~2015 年の総収入の 38%を占めた。利益の寄与度は市場動向に伴って推移し、 2011 年に 1190 億ドン(500 万米ドル)の損失に陥ったが、その後 2012 年から徐々に回復し、2015 年に過去 5 年の最高値を付けた。引当金又は引当金の戻入はこの業務にとって最大の変動要因といえるだろう(図表 31 を参照)。 図 22:自己売買業務の売上高 (10 億 VND) 800 784 713 500 400 300 200% 100% 150% 80% 152% 700 600 図 23:自己売買業務の構成 57% 383 -19% -66% 311 243 100% 長期株式 投資 60% 448 未上場株 50% 40% -43% 0% 20% -50% 200 100 上場株 0% -100% FY10 FY11 FY12 FY13 FY14 FY15 売上高 成長率 図 24:自己資本投資事業の純利益 (10 億 VND) 750 650 550 450 350 250 150 50 -50 -150 344% 683 536 300% 467 292 335 15% 400% 200% 60% 27% 100% 0% -126% FY10 FY11 -100% FY12 FY13 -119 純利益 出所: SSI の財務諸表 13/33 成長率 FY14 FY15 -200% 自己売買業務の主な目的は自社のチームを経営陣に送り込み、事業改善を主導するための投資資金を稼ぐ HOLD ことである。同社の選好するセクターは消費関連及び薬品と並んで農業と水産養殖である。SSI の「集中投資」 アプローチ法には以下の特徴がある。 保有銘柄数は最大 40、現在のポートフォリオは 30 前後 現在、11~12 銘柄に大きなポジションを保有 ポートフォリオの 25%はパッシブ運用で、保有期間は 6 ヶ月~1 年間 ポートフォリオの 75%はアクティブ運用で、保有期間は 3~5 年間 2014 年は連結会社の資本回収に集中した年と考えられたが 2015 年も 2014 年よりペースが落ちたとはいえ、 資本回収が続いた。2016 年は資本回収がいくらかあるそうだが、総じて、資本回収より投資に軸足を置いて いる。 マッキンゼー・アンド・カンパニー社から自己売買業務を縮小せよとのアドバイスを真剣に受け止めた結果、同 業務は長期的に縮小傾向にあり、より多くの資産を SSI アセットマネジメント(SSI AM)に注ぎ込んでいるよう である。 14/33 表 3:2015 年第 4 四半期 SSI の自己売買業務(百万 VND、定期預り金を除く) HOLD セクター コスト 簿価 保有率 DBC 消費 184,957 182,892 9.6% VAF 肥料 67,767 49,532 9.0% KDC 消費 768 716 0.0% GAS 石油&ガス 320 181 0.0% 388,309 388,309 642,121 621,631 取引証券 上場株式 不明 未上場株式 Ba Hien Viglacera 建築資材 254 - N/A プラスチック 4,183 1,422 N/A Pythis インベストメント 4,285 780 N/A Eden インベストメント 4,650 1,198 N/A Dai Nam Real Estates 不動産 7,050 - N/A AGF Delta Inv.&Const. インベストメント 2,000 - N/A Descon Ind. Const. 建設 6,132 3,247 N/A Vien Dong Pharmaceutical 製薬 118 - N/A 28,671 6,648 Sam Phu Plastics JSC 債券 取引証券合計 0.1 0.1 670,792 628,279 売却可能な証券 上場株式 DPR ゴム 22,126 19,026 1.1% HPG 材料 274,835 233,602 0.7% HTI 建設 8,359 7,227 2.7% 石油&ガスサービス 91,890 40,309 0.4% 衣服 81,968 81,944 19.2% PET サービス 45,056 40,419 0.6% ELC 技術 101,934 89,334 10.0% 478,980 478,980 1,105,148 990,840 PVS GIL 不明 未上場株式 Viglacera Dap Cau Glass VMG Media Viet Tin Descon Ind. Const. 建築資材 15,200 625 N/A メディア 44,488 36,248 N/A インベストメント 6,655 2,520 N/A 建設 11,325 5,723 N/A 7,500 7,500 85,167 52,615 不明 債券 売却可能合計 215,572 215,572 1,405,887 1,259,027 長期投資 - Sunway インベストメント 長期投資合計 15,000 15,000 15,000 15,000 N/A 連結会社への投資 Pan-pacific Corporation 多産業 428,152 428,152 19.9% Vietnam Fumigation 燻蒸 142,257 142,257 20.0% Dong Nai Port 物流 67,008 67,008 20.0% 637,417 637,417 連結会社への投資合計 出所:SSI の財務諸表 15/33 資産運用(SSI AM):2016 年の資金調達目標は“高し”、これまでの達成度は“低し” HOLD 資産運用の寄与度はまだ相対的に低く、過去 2 年間の売上高と純利益に対してそれぞれ 0.6%と-2.5%にすぎな い。2015 年末時点で、SSI AM の運用資金は 2.8 億米ドル(外部 1.8 億米ドル、内部 1 億米ドル)だった。当社 の理解では、外部資金の内、約 1 億米ドルは大和証券又は関連会社、3200 万米ドルは未公開株ファンド、 1800 万米ドルはルクセンブルグ籍の特定投資ファンド(SIF)から調達したものだ。SSI AM は 2016 年に 1.5 億 ドルを目標に UCITS ファンド(EU(欧州連合)の法律に従って設立・運用されている投資ファンド)を設定する計 画がある。 SSI は自社の資産運用業務を強化したいと公言しているが、内部ファンド及び大和証券関連の資金を取り除く と、青色の棒で表すの運用資産総額(AUM)は急減する。実際、SSI AM はベトナムを本拠地とする外資系ファ ンド共々、資金集めが進まないことに苦労しており、SSI AM が資金調達目標を達成できる確証が得られない。 インベストメントバンキング (IB):SSI の本来の強みは法人顧客に特化した株式資本市場部門(ECM)の役に立 たず インベストメントバンキングの寄与度もまだ相対的に低く、過去 2 年間の売上高と純利益に対してそれぞれ 3% と 1.7%にすぎない。現在注力しているのは最大の収益源の追及を優先することで、株式化の「ペーパーワーク」 (事務作業)を減らし、国際的な要素を伴う取引、特にベトナム企業の株式を購入する外国人となれば、取引の 助言や執行に一層取り組む必要がある。SSI はこの業務において規模と先駆者利益を欠いており、同社の個 人顧客向け業務はこの種の法人顧客向け株式資本市場業務とこれまでのところほとんど相乗効果がない。 トレジャリー業務:非中核との見方 トレジャリー業務の寄与度は相対的に高く、過去 2 年間の売上高と純利益に対してそれぞれ 17.6%と 11.7%寄 与している。同業務の主な責務は会社の流動性を確保することで、中核業務と見なされていない。事実、トレジ ャリー資産が信用取引と自己売買業務の資金供給に流用されているため、銀行融資へのトレジャリー業務の 依存度は増えていると同社は主張している。信用取引や銀行融資を債券の買付に使うという主張は問題ととら え、次のセクションで更に議論を進める。SSI は 2016 年の同業務売上高の縮小傾向は続くとしている。 まとめ このセクション(図 10 を除く)では SSI の会計上の慣習を見てきた。次のセクションでは、経費の配分を異なる 見方で分析し、委託売買業務に異なる光を当てる。 16/33 SSI の財務の解明と同社の会計上の慣習からスタートする 借入金は 2015 年まで依然十分に活用されていない HOLD 当社の見方では、SSIがどうやって自社の主要な業務に資金を調達するかを理解できたら、同社のビジネス ダイナミクス(事業の原動力)の半分が理解できると見ており、それが評価の指針になる。トレジャリー業務の 利益を稼ぎ出す定期預り金から始めるが、預り金は借入に依存していないが、2012年度は一時的に外部か らの資本注入により補完した。 図 25:定期預り金と債務及び外部資金との関係(10 億 VND) 定期預り金残高は 2015 年度は借 財務力の高さを強 入金を事業資 調する 金に充てる実 際の準備を行 った(定期預 り金用ではな く) 多額の引当金を 多額の投資損 失引当金を計 上した 2 年目 積んだ 2 年後、 外部資金が財務 を補完し、定期 預り金が大きく 伸びたことは偶 然ではない はない 短期・長期借入金(左) 外部投資家からの資金(左) 定期預り金(左) 現金(左) 自己売買業務直接費用(右) 出所: SSI の財務諸表及び当社 予測 図25から以下のことが分かる: 1. 2. 3. 4. 定期預り金はSSIの貸借対照表に繰り返し登場するが、短期・長期借入金は2011年度と2013年度の 間、急激に縮小した。 投資ポートフォリオに関連した多額の引当金を積んだ2年後に外部資金からの一時的な注入が定期 預り金残高の急増に偶然重なった。 2015年度の定期預り金残高は健全な財務状況を示す。 2015年上半期の監査済み決算書の脚注6によると定期預り金は短期借入金の担保になっている。 信用取引の資金調達と社債発行の活用 SSIの短期借入金の推移は信用取引残高にうまく重なり、信用取引の主な資金源であるといえる。 17/33 図 26:信用取引と短期借入金の比較(10 億 VND) HOLD 短期借入金は SSI の貸 借対照表に定位置を占 め、信用取引残高の伸 びに足並みをそろえ る。 長期借入金は最近の項目で信 用取引以外の資金手当ての可 能性が高い 短期債務 株主資本 債券 他の債券 信用取引残高と前払い 出所:SSI の財務諸表及び当社予測 図26から以下のことが分かる: 1. 2013年末と2014年第3四半期の間、短期借入金は信用取引残高の半分程度しか調達されていない が、後の数四半期に増加し、2015年第3、第4四半期までにSSIの信用取引残高を超えた。 2. 2014年第3四半期と2015年第4四半期に信用取引残高が急増し、短期借入金も急増した。 2015年第1四半期に5000億ドン(2200万ドル)の社債発行の内、3000億ドン(1300万ドル)が信用取引の資金 に使われたと当社は推測するが、あくまでもこれは推測に過ぎない。より確かなことは同社が既発債の内 1130億ドン(500万ドル)の社債を買い戻した2015年第3四半期に、社債発行による信用取引の資金調達があ りえなさそうな程に短期借入金を増やしたことである。 委託売買業務の単独利益(信用取引を除く)を確立する SSI のトレジャリーサービスに対する業務別直接費用は資金調達構造を考えると膨らんで見える SSIの定期預り金は借入金ではなく株主資本で賄われていると議論した結果、同社のトレジャリーサービスに 対して公表された直接費用は膨らんでいるように見えるという話を進めていく。 18/33 図 27:定期預金と比較したトレジャリー業務の直接経費(10 億ドン) HOLD OMO 金利 マージン 3 ヶ月未満定期預金(左目盛) 3 ヶ月超定期預金(左目盛) 12 ヶ月超定期預金(左目盛) 直接収入(右目盛) 直接経費(右目盛) 減価償却・その他(右目盛) 出所:SSI の財務諸表、ブルームバーグ 図28にある直接経費の棒グラフは相対的に横ばいで、トレジャリー業務の直接収入や定期預金残高との相 関関係はほとんど見られない。ではトレジャリー業務に対する直接経費分類の正確性に疑問を呈していく。 図 29:トレジャリー業務直接経費の委託売買業務への再割り当て(10 億ドン) 預金:直接収入 預金:直接経費 預金:減価償却・その他 委託売買:直接収入 委託売買:直接経費 委託売買:減価償却・その他 預金:直接経費(調整後) 出所:SSI の財務諸表、当社予測 19/33 このセクションで分析を進めた結果、トレジャリー業務の直接経費膨張の原因は、 1. HOLD 図26にはSSIの借入金が信用取引に融資するために使用されている証拠がある。これにより、トレジ ャリー業務の資金構造を考えると、直接トレジャリー経費が膨張しているように思われる。 2. のトレジャリー収入と委託売買収入の変動幅の大きさにもかかわらず、トレジャリー及び委託売買業 務関連経費は相対的に横ばいであり、ある種の「ロード・バランシング」(負荷分散)が働いていること を示唆している。 当社は、VNダイレクトの比率を見ることで、この判断の正当性を検証するための別のベンチマークを模索した。 2014年トレジャリー業務から信用貸し収入を除くと、トレジャリー業務の直接経費は約15%になる。そのため、 当社はトレジャリー業務の収入に対する直接経費比率を20%(にある黒いボックスが示す水準)に調整し直し、 余った部分を委託売買業務の直接経費に移した(に示すように)。 図 30:委託実績を信用取引と受入手数料収入に分割する(10 億ドン) 会社発表の委託 信用取引 受入手数料収入と 付随費用 2014 年のような活気のある 市場の売上高だけで委託売 買費用を十分に賄うことがで (預金費用の一部 きる を移転する前)委 託売買収入の変 短期債務の割に 2014 年度 動 と比べる と、発 の支払利息は低く見える。 表した委託売買経 2015 年度に、債券支払利息 費が相対的に横 を信用貸付に割り当てる と ばい 納得がいく トレジャリー経費を再 信用取引収入 支払利息 受入手数料収入 (ハイライト)債券支 払利息 減価償却 直接経費 出所:SSI の財務諸表、当社予測 20/33 分類した直接経費 の会社発表の委託実績を見ると、2011年から2013年はコストを賄うのに苦戦したが、2014年と2015年は好業 績だった。しかし、実績を信用取引と受入手数料の貢献度に分けると、本当に利益を産んでいるのは前者で HOLD あって、後者は大きな費用を引きずり、2014年のような変動の大きな取引年にしか損益分岐点に近付けてい ない。 信用取引収入と比べて支払利息(にある黄色い棒)の低さが不安の種である。資本コストの脚注の「支払利 息」の表示箇所とその他経費を見れば明らかである。 表 4:SSI 資本コスト脚注の内訳(10 億ドン) 資本コスト 2012 123 2013 136 2014 111 2015 161 ・貸付金・借入金の支払利息 N/A 4 17 75 ・債券の支払利息 N/A ・投資家の預り金の支払利息 ・その他経費 N/A N/A 12 120 13 82 50 5 30 出所:SSI の財務諸表、当社予測 にある「貸付金・借入金の支払利息」はの黄色い棒で表示している。の最大の項目は「その他経費」で、業務 別分類ではトレジャリー業務の直接経費にグループ化されると考えている。2013年からこの項目は着実に減 少しているが、2015年でも依然として大きな位置を占める。トレジャリー経費の一部を受入手数料グループに 移すことにより、理論上、受入手数料経費を過大に膨らませている。この一部を信用取引の経費に移す必要 があるが、財務諸表から得られる限られた情報では、金額を決められない。しかし、概念的には、「貸付金・ 借入金の支払利息」に含めるべきものを全て捉えているわけではないと考える理由はある。 現在の支店構造()及び外務員数()から考えて、手数料収入だけでは委託売買業務は特には儲からない。 信用取引ビジネスは明らかに儲かるビジネスであるが、関連費用を計算すると支払金利費用を発表された数 値以上に膨らませる必要がある。 21/33 自己売買業務 HOLD 過去 6 年間の評価では自己売買業務は自己資本コストを還元できていない 自己売買業務を理解するためには、証券会社に適用される会計基準にある程度精通する必要があり、最も 関連性の高いのは通達第228/2009号である。 上場株式の計上:引当金を計算するために、時価を適用する 未上場株式の計上:簿価を適用する 長期的な投資の計上:上場株式の計上では時価の代わりに簿価を適用することができる では、当社が貸借対照表の個々の項目をSSIの部門別に分析した中から総資産数を再構成してみる。オレン ジの棒は当社の予測値とSSIの発表値との差異を表す。前述した項目の引当金のために「売却可能」、「長期 的な投資」と「取引」という色付き棒と赤い棒に注目してほしい。 図 31:自己売買資産に関する当社の試算(部門別資産)と SSI の発表値との比較(10 億ドン) 当社の予測値 SSI の発表値 (純資産) HNG が HAG から独立 する前の年 売却可能 長期的な投資 取引 関連会社 不動産 引当金 発表値との差異 直接分類された資産 出所:SSI の財務諸表、当社予測 図32の結論は次の通りである。 1. 「売却可能」、「長期的な投資」と「取引」の合計は変動しやすいが、「取引」項目の変動率の高さは極 めて著しい。 2. 引当金の計上はこの業務に大きな役割を果たしており、特に「取引」と「長期的な投資」に対する変 動幅が大きい。 22/33 長期投資への引当金の計上が目を引くが、通達第228/2009号の条件を考えると積極的に計上される見込み が低いからだろう。しかし、2015年度以前の数年間にHNGへの投資(以前はHAG)が続いていたと仮定し、 HOLD SSIが保有銘柄の株価参照先として「Dau Tu Chung Khoan」(株式投資)という投資雑誌を選んだのを見ると、 この種の前倒し的な引当金の計上もやむを得ない。投資業務内で引当金の計上が重要な役割を果たすこと が分かった今、図31で同業務の収入と費用を見ていく。 図 33:内部資金の投資から得られる収入と費用の再配置(10 億ドン) 引当金が直接収入と一緒 にグループすることは引当 金戻入を示唆する 直接収入 引当金繰入 引当金に関連しない費用 減価償却 損益 出所:SSI の財務諸表、当社予測 図34の引当金の繰入・戻入を示す黄色い棒は一般的には損益棒の大きな変動要因で、特に2010、2011、 2014年度と2015年度に顕著な効果が見える。2015年度の引当金の戻入が完全に長期的な投資に関連する ものから来ているとすれば、特に興味深い。これはSSIがHNGへの投資を「その他長期資産」と「その他短期 資産」という従来の自己売買以外の項目に移すことに100%関係することを示す非常に説得力がある根拠に なる。 23/33 図 35:長期的な投資と「その他長期資産」・「その他短期資産」との推移(10 億ドン) HOLD HNG : 上 場 期 日 2015 年 7 月 20 長期的な投資 日、参考値 28000 と引当金との差 ドン 異 HNG:2015 年第 3 四半期の終値が 28400 ドン HNG:2015 年第 4 四半期の終値が 28800 ドン 5390 億ドン の一部がそ の他長期 資産に移 転された 2015 年第 2 四半 期に、引当金戻入 が 2980 億ドン 引当金 長期的な投資(預金を除く) その他長期・短期資産 出所:SSI の財務諸表、当社予測 2015年上半期の監査報告には「その他長期資産」と「その他短期資産」の最大の項目はHNG株を手放す顧 客との割賦支払協定の記述があるが、完済まで株式自体は担保として保有される(6)。残高は四半期毎に約 560億ドン(300万米ドル)減少しており、この協定の営利性については疑問がない。従って、当社は2015年度 引当金の戻入を変更しない。 表 5:自己売買で獲得した 6 年間の平均利益の計算(10 億ドン) 6 年間累計利益 平均年間利益 2,194 366 部門の平均年間資産(グロス) 3,666 平均利益率 10.0% 出所:SSI の財務諸表、当社予測 (6) 正確な表現としては「これは、ホアン・アイン・ザ・ライ国際農業株式会社(以前はホアン・アイン・ザ・ライゴム株式会社)の株式売却に係 る SSI と同社の顧客との契約に関連する投資の短期費用を表す。この契約に従い、顧客は契約書に明記された支払いスケジュールの通 りに同社に支払いを行う。株の所有権は支払いスケジュールに沿って買い手に移る。所有権移転後の株式は売買停止となり、契約の担 保資産として活用される。」 24/33 バリュエーション評価 HOLD 当社のバリュエーション評価のテーマとして信用取引業務を借入により 100%賄われる独立した1業務として取 りあげる。その他の業務は全て株主資本によって賄われるとみなす。 自己売買業務 ページ 24 にあるは自己売買の過去 6 年間の低調な業績を表している。2015 年がエキサイティングな HNG 株 に費やされたのであれば、将来のポートフォリオ利益率の予想において過度に楽観的になる理由はない。予測 期間のポートフォリオ利益率を 10%とし、ポートフォリオの規模を 2015 年末のレベルとする。結果として、簿価 は 39%減少し、当社の評価に 1 兆 8720 億ドン(8380 万米ドル)寄与する。 2016 年~2020 年の予測期間に利益率を徐々に 10%から 15%(自己資本コストが 15%)に上げた場合、他の条 件が同じならば、簿価は 10%減少し、ポートフォリオ評価は 2 兆 7630 億ドン(1 億 2360 万米ドル)となる。 信用取引業務 信用取引業務は予測売買代金に基づくものとし、予測期間を通じて SSI の市場シェアが 12.6%を維持するとい う前提。利益は借入コストで割り引かれる。 表 6:予測期間の信用取引利益率を割引く ディスカウンテッドキャッシュフ ロー FY18 FY19 FY20 8.1% 700,681 0.52% 3,644 8.0% 291 50% 8.1% 956,075 0.45% 4,302 7.7% 331 48% 8.5% 1,133,448 0.43% 4,874 7.4% 361 46% 8.5% 1,338,437 0.41% 5,488 7.1% 390 44% 9.0% 1,531,364 0.39% 5,972 6.8% 406 44% 税引き後利益 117 127 133 137 143 現在価値 111 113 111 107 104 総現在価値 546 借入コスト 売買代金(10 億ドン) 売買代金信用取引比率 信用取引(10 億ドン) 信用取引収益比率 信用取引収益(10 億ドン) 信用取引の委託保証金率 FY16 FY17 出所:SSI の財務諸表、当社予測 この期間の成長率を 3%、現在価値を 1 兆 7330 億ドン(7750 万米ドル)、信用取引の総評価額を 2 兆 2790 億 ドン(1 億 200 万米ドル)と予測する。当社の予測に対するモデルの感応度を見るために、予測期間中の売買 代金信用取引比率、信用取引収益比率と信用取引の委託保証金率を 2016 年のレベルで維持すると、信用取 引の評価額は 3 兆 8590 億ドン(1 億 7270 万米ドル)に上がり、1株当たり評価額も 23,948 ドンになる。 信用取引を除いた委託売買業務 委託売買業務は 2020 年までに何とか利益が出ると予想する。同業務の損失を生む性質を考えると、評価上 大したことはなく、全体の評価額から 1340 億ドン(600 万米ドル)を減じて計算する。 投資銀行業務 この業務の規模は小さく、上場している同業の TVS と同じ見通しで、株価収益率を 6 倍、評価額を 1750 億ド ン(780 万米ドル)とする。 資産管理業務 この業務の恒常的に損失を発生する体質と 16 ページで説明した理由から、大きな資金導入も予想されず、同 業務を当社の評価計算に含めない。 トレジャリー業務 SSI の預金業務の 2015 年利益率は 6.4%で、当社の予測経費率 20%を引いても 5.1%。これは定期預金の利益 率に近く、預金を簿価で評価すると評価額は 4 兆 9770 億ドン(2 億 2270 万米ドル)になる。 25/33 HOLD 表 7:業務部門毎評価額の合計によるバリュエーション 業務 自己売買業務 信用取引業務 委託売買業務(信用取引を除く) 投資銀行業務 トレジャリー業務 現金 合計 発行済み株式数(百万株) 1株当たり評価 10 億ドン 1,872 2,279 -134 175 4,977 746 百万米ドル 84 102 -6 8 223 33 1株当たり修正評価 9,915 480 20,657 出所:SSI の財務諸表、当社予測 表 8:目標株価の計算根拠 方法 DCF 法 PBR(倍) 目標株価 PER(通期) PER(予想) 適用株価 20,657 23,524 加重 90% 10% 貢献度 (ドン/株) 18,591 2,352 20,944 10.2 倍 18.7 倍 出所:SSI の財務諸表、当社予測 同業他社との比較 当社の目標 PBR は現在 1.8 倍のホーチミン市証券(ティッカー:HCM)の PBR に基づいている。しかし、SSI の PBR は常に HCM の PBR を下回るため、目標 PBR は 1.7 倍とする。VN ダイレクト証券とサイゴン・ハノイ証券 を目標 PBR の比較対象から除外するのは上位 3 社とその他では市場シェアに大きな隔たりがあり、HCMは 自己売買業務に取り組んでいるが前述した2社は重要な自己売買業務が欠けているからである。 26/33 表 9:国内同業他社 12 ヶ月 経常収益 前年比 % 12 ヶ月 税引後 純利益 前年比 % 負債 比率 HOLD 前期 (百万米ドル)社名 銘柄 時価 総額 ROE 12 ヶ月 PER ホーチミン市証券会社 HCM 179.4 26.4 -28.9% 9.5 -43.3% 0.6 9.4% 18.8 1.8 VN ダイレクト証券会社 VND 81.0 23.8 22.7% 8.1 15.5% 2.0 9.4% 10.0 0.9 サイゴン・ハノイ証券会 社 SHS 31.3 23.2 29.8% 5.3 -3.1% 2.3 11.5% 5.9 0.7 平均値 97.2 24.5 7.9% 7.6 -10.3% 1.6 10.1% 11.6 1.1 中央値 81.0 23.8 22.7% 8.1 -3.1% 2.0 9.4% 10.0 0.9 467.2 59.5 -14.8% 38.0 14.2% 1.0 12.8% 10.6 1.6 同社 SSI 出所:SSI の財務諸表、当社予測 図 36:SSI と同業他社の平均 12 ヶ月 PBR の推移 2.5 2 1.5 1 0.5 0 Mar 15 Jun 15 Sep 15 SSI HCM 出所:ブルームバーグ 27/33 Dec 15 VND SHS PBR テクニカル分析 HOLD 意見 株価チャートは 20 週移動平均線近辺で 100 週移動平均線を上回って推移している。 モメンタム指標は弱気転換シグナルを形成しておらず、中期リスクは低いことを示しているが、株価チャートは まだ積極的な変動期間に入っていないと当社は考えている。特に、キャッシュフロー指標は中期の強気トレンド にある。 当社のトレンド指標システムは 20,500 ドンを中期下値支持線に株価チャートの中期上昇トレンドを維持してい る。 推奨 中期的な投資家は 21,000~21,500 ドンの範囲で買い増しが可能と見られ、株価チャートが 20,500 ドンの中期 下値支持線を突き抜けた場合、損切りするのが妥当である。 2016 年 3 月 24 日 (ドン/株) 中期分析時間軸 3 ヶ月から 6 ヶ月 中期上値抵抗線 23,500 中期下値支持線 20,500 中期トレンド 上昇 出所:当社 28/33 年次財務諸表 損益計算書 (10 億ドン) 2015A 2016F 売上高 1,333 営業費用 (316) 売上総利益 一般管理費 HOLD 2017F 2017F 貸借対照表(10 億ドン) 2015A 2016F 1,513 1,714 現金及び現金同等物 1,990 1,631 1,542 (927) (1,022) 短期投資 5,019 5,062 5,501 1,017 586 692 売掛金・受取手形 3,693 3,744 4,443 (13) (14) (15) その他流動資産 242 23 15 1,004 572 677 流動資産総額 10,945 10,460 11,502 その他収益 5 - - 減価償却前固定資産総額 その他費用 - - - - 減価償却 その他の損益 5 55 - - 55 55 1,064 627 732 (214) (125) (146) 850 502 586 (2) - - 852 502 586 774 476 556 買掛金 支払金利前税引前利益 関連会社株式損益 税引き前利益 法人税 少数株主持分前税引き後利益 255 293 317 (123) (146) (171) 減価償却後固定資産総額 132 147 147 投資不動産 268 268 268 1,961 2,108 2,113 長期投資 その他長期資産 固定資産総額 資産合計 91 94 97 2,453 2,617 2,625 13,397 13,077 14,127 5 5 6 少数株主持分 少数株主持分後税引き後純利益 (会社発表) 少数株主持分後税引き後純利益 (調整済)(1) EBITDA 1,210 779 893 短期借入金 3,914 3,962 4,336 基本 EPS(会社発表値, VND) 2,048 1,119 1,219 その他流動負債 2,028 1,916 2,500 基本 EPS(1)(調整済、VND) 1,858 1,063 1,158 流動負債総額 5,947 5,707 6,666 完全希薄化後 EPS(2) (VND) 1,775 992 1,158 長期借入金 688 688 688 その他固定負債 負債合計 成長性 2015A 2016F 2017F 売上成長率% -14.8% 13.5% 13.3% 優先株式 支払金利前税引前利益成長率 % 25.9% -36.4% 14.9% 払込資本金・発行済み資本金 税引き前利益成長率% 14.2% -41.0% 16.7% 追加株式資本・資本剰余金 EPS 成長率%(調整済) -3.3% -45.4% 8.9% 収益性 36 39 43 6,670 6,434 7,397 - - - 4,801 4,801 4,801 29 29 29 利益剰余金 1,339 1,250 1,287 その他持分 613 478 563 少数株主持分 - - - 6,646 6,643 6,730 売上粗利益率 % 65.6% 57.8% 51.0% 自己資本合計 EBIT マージン % 89.2% 50.0% 50.7% 負債+資本の合計 13,316 13,077 14,127 EBITDA マージン % 少数株主持分控除後純利益率 (%、 調整済) 90.7% 51.5% 52.1% 58.1% 31.5% 32.4% キャッシュフロー(10 億ドン) 2015A 2016F 2017F ROE % 13.8% 7.5% 8.8% 現金の期首残高 1,953 1,990 1,631 ROA % 7.6% 3.8% 4.4% 1.税引き前利益総額 1,064 627 732 2.以下の項目による調整 流動性 固定資産の減価償却 流動比率(倍) 1.8 1.8 1.7 当座比率(倍) 1.8 1.8 1.7 未実現外国為替差損益 現金比率(倍) 0.3 0.3 0.2 投資活動による損益 総資産負債比率 % 負債比率 % 純負債/資本比率 % インタレスト・カバレッジ・レシオ 引当金 支払い利息 23 24 133 132 - - - (297) (327) (327) 125 129 137 616 585 698 74.8% 72.2% 83.0% 100.4% 96.9% 109.9% 70.4% 72.3% 87.0% 営業活動によるキャッシュフロー (1,265) (1,333) (1,414) 9.5 5.8 6.4 投資活動によるキャッシュフロー (1,950) (1,951) (1,951) 財務活動によるキャッシュフロー 3,247 2,925 3,277 32 (359) (89) 外国為替の影響 6 - - 現金の期末残高 1,990 1,631 1,542 3.運転資本増減前の営業利益 現金の増減額 (1) (2) 21 (297) ボーナスや福祉、慈善基金、前年の法人税の調整及び子会社および関連会社関連の調整を除いた利益である。 発行済株式の総数で割った(1)での調整済み利益 29/33 四半期別業績 第 1 四半期 第2四半期 第3四半期 第4四半期 HOLD 通年 2015 売上高(10 億ドン) 282 327 351 374 1,333 税引き後利益 (10 億ドン) 111 336 142 261 850 粗利益率 % 50.5% 117.9% 66.5% 68.6% 76.3% EBIT マージン % 61.9% 135.1% 61.9% 95.4% 89.2% 少数株主持分配分後税引き後利益マージン (%、調整済み) 39.6% 102.9% 40.6% 69.9% 63.9% 売上高(前年比成長率、%) -25.1% -33.7% -16.1% 34.5% -14.8% EBIT(前年比成長率、%) -24.7% 26.4% -8.6% 182.5% 25.9% 売上高(10 億ドン) 376 493 418 278 1565 税引き後利益 (10 億ドン) 175 281 188 100 745 粗利益率 % 74.3% 69.7% 53.2% 10.6% 55.9% EBIT マージン % 61.6% 70.9% 56.7% 45.4% 60.4% 少数株主持分配分後税引き後利益マージン (%、調整済み) 46.6% 57.0% 45.0% 36.3% 47.6% 125.4% 175.9% 135.9% 36.0% 115.2% 21.9% 215.7% 99.8% 40.2% 85.4% 売上高(10 億ドン) 167 179 177 204 727 税引き後利益 (10 億ドン) 160 96 94 67 417 61.4% 37.9% 51.3% 38.9% 46.8% 114.0% 62.0% 67.0% 44.0% 70.1% 96.3% 53.6% 53.2% 33.1% 57.5% 1.4% -22.6% -2.2% -25.1% -14.4% -7.4% 88.5% 96.5% -49.6% 1.3% 2014 売上高(前年比成長率、%) EBIT(前年比成長率、%) 2013 粗利益率 % EBIT マージン % 少数株主持分配分後税引き後利益マージン (%、調整済み) 売上高(前年比成長率、%) EBIT(前年比成長率、%) 30/33 損益計算書の予測 10 億ドン 売上高 2015A 1,333 2016F 増減率(%) 1,513 13% 説明 HOLD 市場シェアが 12.6%で維持され、受入手数料が 19bps を維持すること、売買代金が 2015 年より高いことを前 提に、委託売買事業の売上高は支えられる。 定期預り金の平均残高が増加するという前提に基づ き、トレジャリー事業の売上高は増加すると予測 営業費用 (316) (927) 194% 売上総利益 1,017 586 -42% (13) (14) 8% 1,004 572 -43% その他収益 5 - -100% その他費用 - - その他の損益 5 - -100% 55 55 0% 1,064 627 -41% (214) (125) -41% 850 501 -41% EBITDA 1,210 756 -38% 粗利益率 % 76.3% 38.7% -37.6ppt 1.0% 0.9% 0.1ppt EBIT マージン % 89.2% 50.0% -39.3ppt EBITDA マージン% 90.8% 50.0% -40.8ppt 税引き後利益率 (%、調整済 み) 63.8% 33.1% -30.7ppt 実効税率% 20.1% 20.0% -0.1ppt 一般管理費 純営業利益 関連会社株式損益 税引き前利益 法人税 税引き後利益 対売上高一般管理費比率 % 31/33 2015 年の長期投資ポートフォリオに関連する桁外れ の引当金の戻入は繰り返さないと予測している。 格付けと評価方法 絶対的で長期的な格付け:当社の推奨は、市場との相関評価ではなく、(目標株価-時価)/時価+配当利回りという計算式で定 義された株式のトータルリターンに基づいている。 格付け 買い アウトパフォーム(O-PF) マーケットパフォーム(M-PF) アンダーパフォーム(U -PF) 売り 格付け無し 格付け中断 HOLD 定義 今後 12 ヶ月間におけるトータルリターン(配当を含む)が+20%以上であると予想 する場合。 今後 12 ヶ月間におけるトータルリターン(配当を含む)が+10%から+20%の間で あると予想する場合。 今後 12 ヶ月間におけるトータルリターン(配当を含む)が-10%から+10%の間で あると予想する場合。 今後 12 ヶ月間におけるトータルリターン(配当を含む)が-10%から-20%の間で あると予想する場合。 今後 12 ヶ月間におけるトータルリターン(配当を含む)が-20%以下であると予想 する場合。 対象銘柄は調査部より分析される可能性があるが、自発的な理由、または当社 が企業に対し合併や戦略的取引の助言を行うなどの特定条件下で法令や社内規 定の遵守の観点から格付けや目標株価の設定を行わない場合。 格付けや目標株価の設定を行うための基本的な情報が不十分な場合。前回の格 付けと目標株価(ある場合)は同銘柄に対して無効になる。 別段の定めがない限り、株価変動のパラメーターは資本の増加を反映するものであり、有効期限は 12 ヶ月である。将来における株 価変動は一時的に時価と目標株価に、上方または下方に差異を引き起こす可能性もある。そのため、株価変動のパラメーターは柔 軟に解釈される必要がある。 目標株価:殆どの場合では、目標株価はアナリストの評価による当該株式の現在の適正価値に等しい。目標株価はアナリストの予想 した状況が現実となりカタリストが機能し、市場がそれを認識した時に取引される価格である。しかしながら、カタリストが欠けているた めに市場が期間内に評価をしないとアナリストが考えた場合、目標株価は適正株価と異なることがある。従って、殆どの場合では、当 社の推奨は現在の市場の株価と当社の現在の適正株価の差異の評価である。 評価方法論:目標株価を算出するために、アナリストは割引フリー・キャッシュフロー及び比較分析など様々な評価方法を駆使してい る(但し、これらの方法に限定することではない)。評価方法の選択は当該業界、当該企業、当該株式の特徴および他の条件に依存 する。企業の評価は下記の一つ、または複数の方法の組み合わせによって行われる。(1)倍数に基づくモデル(P/E, P/キャッシュフロ ー, EV/売上, EV/EBIT, EV/EBITA, EV/EBITDA)、類似企業との比較と歴史的な評価のアプローチ、(2)割引モデル(DCF, DVMA, DDM)、(3)価値の分割アプローチまたは資産に基づく評価方法、(4)経済利益アプローチ(残存収益、EVA)などである。評価モデルは GDP 成長、金利、為替レート、原料価格とその他の経済に対する仮定と当該企業の特定のリスクなどに依存している。また、市場の 心理も企業の評価に影響を与える可能性がある。株式の評価はまた期待感に基づいて、期待感は予告なく、素早く変化し、それぞれ の業界の特定の技術開発に依存している。 リスク:過去のパフォーマンスは必ずしも将来の結果を示すものではない。為替レートはこのレポートに記載された証券または関連の投資 商品のバリュー・価格または収入に悪影響を与える可能性がある。 本レポートは、キャピタル・パートナーズ証券の提携先であるベトナム大手証券会社とキャピタル・パ ートナーズ証券子会社のキャピタル・パートナーズ・ベトナム・コンサルティングが共同で作成・翻訳 したものです。本レポートは、信頼できると考えられる公開情報に基づき作成されたものですが、その 内容の正確性及び完全性を保証するものではありません。本レポートに記載された内容等は作成時点の ものであり、今後予告なく変更されることがあります。本レポートは投資の参考となる情報提供を目的 としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。本レポートに含まれる情報のご利用にあたっ ては、投資家ご自身の判断と責任でご利用下さい。 キャピタル・パートナーズ証券株式会社 調査部 [email protected] 32/33 商 号 等 キャピタル・パートナーズ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 62 号 加入協会 日本証券業協会 http://www.capital.co.jp/ [事業所] 本社・本店 〒101-0047 東京都千代田区内神田 1-13-7 四国ビルディング 電話番号:03-3518-9300(代表) 大阪支店 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎 2-5-10 梅田パシフィックビルディング 電話番号:06-6232-8370(代表) 名古屋支店 〒460-0003 愛知県名古屋市中区綿 2-19-19 広小路センタープレイス 電話番号:052-220-3690(代表) 福岡支店 〒810-0801 福岡県福岡市博多区中洲 5-5-13 KDC 福岡ビル 電話番号:092-272-0873(代表) 33/33 HOLD