...

エコラジオの製作

by user

on
Category: Documents
22

views

Report

Comments

Transcript

エコラジオの製作
エコラジオの製作
氏名
1. 研究概要
省エネで電池を使わずにどこでも聞けるよ
浮森
一樹
大森
悠斗
川本
浩輝
村田
晃啓
直した。アンテナには 5m程度のリード線を
使ったが,これでも聞くことができなかった。
うなラジオを製作するためにラジオの仕組み
このアンテナで受信した電波の力だけでは
を理解し,複数の種類のラジオを製作するこ
聞くことができないと思い,いろいろなアン
とで,自分たちのオリジナルのラジオを製作
テナで試してみることにした。アンテナの取
する。
り換えを簡単にするために,アルミのシャー
シを使い,部品をしっかり固定した。
2. 研究の具体的内容
アンテナを取り付ける部分にはアルミを L 字
(1) ゲルマニウムラジオ
に加工したものに端子を取り付けることで,
乾電池を使わずに AM 放送を聞くことがで
きるラジオである(図 1)。
ゲルマニウラジオで放送を聞くためにはア
簡単にアンテナを取り換えられるようにした
(写真 4)。
最初のアンテナとして,電灯線アンテナ(写
ンテナコイルとバリコンからなる「同調回路」
真 1)を作った。これは,コンセントプラグの
を目的の放送局の周波数に合わせて,受信し
中にコンデンサを取り付け,コンセントに挿
た電波をゲルマニウムダイオードで「検波」
して使うものである。このアンテナでは,実
し,音声信号を取り出す。この音声信号をク
習室では聞くことができなかったが,メンバ
リスタルイヤホンで聞く。
ーの自宅のコンセントで使った結果,十分な
一番の特徴は電波のエネルギーだけで聞く
音量で聞くことができた。
ことができることであるが,感度は非常に悪
い。
図1
ゲルマニウムラジオの回路図
写真 1
電灯線アンテナ
最初に製作したものは,ポリバリコンとア
ンテナコイル,ゲルマニウムダイオードだけ
次に,ループアンテナ(写真 2)を作った。こ
を使ったものを製作したが,放送を聞くこと
れは導線を環状のコイルにしたアンテナであ
ができなかった。そのため,この同調回路が,
る。このループアンテナは AM ラジオの波長
聞こえない原因ではないのかと考え,エアバ
(180m~560m)に比べ てサイズが小さいにも
リコンと空心コイルを使った同調回路に作り
関わらず,それなりの効率があるという特徴
がある。導線の巻き数や太さなど
などに気を付け
て作らなければならないのだが
て作らなければならないのだが,この点を間
違えていたらしく,このアンテナで放送
このアンテナで放送を聞
くことはできなかった。
写真4
製作 したゲルマニウムラジオ
【使用した部品】
写 真2
ループアンテナ
最後にロングワイヤーアンテナ
最後にロングワイヤーアンテナ(写真
3)を
空心コイル
×1
ゲルマニウムダイオード
×1
エアバリコン
×1
クリスタルイヤホン
×1
コンセントプラグ
×1
作った。これは文字通り長い導線を張ったア
文字通り長い導線を張ったア
ンテナである。一般的にアンテナは長ければ
一般的にアンテナは長ければ
長いほど良いので,実際に岡工の情報技術科
岡工の情報技術科
(2) 一石トランジスタラジオ
トランジスタを使用することで
トランジスタを使用することで,ゲルマニ
棟と化学工学科棟の 3 階間(約 20m程度)にア
20
ウムラジオより感度を高めたラジオである
ラジオより感度を高めたラジオである
ンテナを張ってみた。このアンテナが
張ってみた。このアンテナが,今ま
(図 2)。このラジオは,アンテナで受信した
アンテナで受信した電
でに作ったアンテナの中で一番快適に聞くこ
番快適に聞くこ
波を,同調回路で選曲し
同調回路で選曲し,トランジスタによ
とができた。
って検波・増幅し,クリスタルイヤホンを鳴ら
す構成のラジオである。
写真3
ロングワイヤーアンテナ
いろいろなアンテナを作ってきて分かった
ことは,ゲルマニウムラジオでは
ゲルマニウムラジオでは大きなアン
図2
一石トランジスタラジオ の 回路図
テナを必要とするため,実用的ではないとい
実用的ではないとい
製作には,バリコンとして
バリコンとしてポリバリコン,
うことである。また,アンテナが長ければ長
アンテナが長ければ長
トランジスタとして 2SC1815,アンテナとし
2SC1815
いほど感度が良くなることも実感することが
実感することが
てロッドアンテナを使い
使い,ラグ板に配線した。
できた。
また,増幅させるために電源が必要になるが,
増幅させるために電源が必要になるが
今回はエコラジオとして太陽電池を使用した。
ゲルマニウムダイオードで検波され
ゲルマニウムダイオードで検波され,低周波
ラジオ全体を加工のしやすいタッパーに
ラジオ全体を加工のしやすいタッパーに組込
信 号 (音 声 信 号 )と な る 。 こ の 低 周 波 信 号 を 再
んだ(写真5)。
度,トランジスタのベースへ入力され増幅さ
トランジスタのベースへ入力され増幅さ
このラジオでも実習室内では聞くことがで
では聞くことがで
きなかったが,情報技術科棟 3 階の廊下では
せ,クリスタルイヤホンを鳴らせる構成のラ
クリスタルイヤホンを鳴らせる構成のラ
ジオである。
よく聞くことができた。2階,
,1階と降りて
いくごとに聞こえにくくなり,屋根などの障
,屋根などの障
害物があるところでは聞こえにくいというこ
とが分かった。ゲルマニウムラジオより短い
ゲルマニウムラジオより短い
アンテナでも感度は良いが,室内で聞くこと
室内で聞くこと
ができないため,実用性はやや
やや低めのラジオ
である。また,電波が飛んでき
電波が飛んできている方向に
アンテナコイルの向きを合わせないと聞こえ
にくいことも分かった。
図 3 一石レフレックスラジオの
一石レフレックスラジオ の 回路図
このラジオにもポリバリコン
このラジオにもポリバリコン,2SC1815
の
トランジスタ,太陽電池を使用し
太陽電池を使用した。先の一
石トランジスタラジオでは,製作中
では,製作中にアンテ
ナコイルの取り付けが安定しておらず
が安定しておらず,タッ
パーの中で動き回って壊れかけ
パーの中で動き回って壊れかけたので,今回
はプリント基板を作成し
作成し,アンテナコイルを
プリント基板に固定できるようにした。
固定できるようにした。プリ
写真 5
製作 した一石トランジスタラジオ
【使用した部品】
トランジスタ(2SC1815GR)
抵抗
ント基板は,フリーの CAD ソフトを使い,回
路パターンを設計し,感光基板
感光基板を使い,エッ
×1
チング作業で製作した。
。実際には,プリント
(30kΩ)
×1
基板に多少のパターンミスがあったので
ミスがあったので,パ
(1MΩ)
×1
ターンカットなど,修正作業が必要だった
ターンカットなど,修正作業が必要だった。
積層セラミックコンデンサ(1000pF)
(1000pF)×1
アンテナコイル(330μH)
×1
ポリバリコン
×1
クリスタルイヤホン
×1
(3) 一石レフレックスラジオ
1 個のトランジスタで高周波(電波)増幅と
個のトランジスタで高周波
低周波(音声)増幅の 2 つの働きをさせる効率
つの働きを
の良いラジオである(図 3)。アンテナ
アンテナコイル
の 2 次側から高周波信号を取り出し,トラン
次側から高周波信号を取り出し
ジスタのベースへ入力して高周波増幅を行
高周波増幅を行う。
増幅された高周波信号は,トランジスタのコ
トランジスタのコ
レクタに出力され,コンデンサを通過した後,
コンデンサを通過した後
写真6
製作したプリント基板
今回もラジオ全体を加工しやすいタッパー
に組み込んだ(写真 7)。
。
10 ㎝程度のリード線をアンテナとし,アン
テナの取り付け状態と受信場所による受信結
3. 研究の結果
果を表 1 に示す。
アンテナ
アンテナ
あり
なし
室内
○
△
室外
◎
◎
この研究を通して 3 種類のラジオを作り,
ラジオの回路による感度の違いや場所により
電波の強度が違うことが理解できた。
先の 3 種類のラジオは乾電池を使わずに,
△:音量が小さいが,内容は了解できる。
電波のエネルギーや太陽電池を使うことで省
○:音量は普通で,内容も了解できる。
エネなラジオを作る目的が果たせた。しかし
◎:十分に了解できる。
これらのラジオでは室内で聞くと音声が小さ
表1 一石レフレックスラジオの受信結果
く,太陽電池を使っているので夜間に使うこ
とができないなど課題も残った。
これらの課題を克服するための方法として
この結果から,一石レフレックスラジオは,
これまでの 3 種類のラジオの中で一番感度の
以下のことが考えられる。
1. 今 回 製 作 し た ラ ジ オ は , そ れ ぞ れ 消 費
良いラジオであることがわかった。
電力が少ないので,静電容量が大きい
スーパーキャパシタを使うことで,昼
間に電力を蓄え,夜間でも使うことが
できるように改良する。
2. ス ピ ー カ ー で 聞 け る よ う に , 効 率 の 良
い回路を考える必要がある。
1 年間を通して,計画通りにものごとを進
めることの大変さや,ものづくりがどれほど
難しいかを知ることができた。
写真 7 製 作した 一石レフレックスラジオ
【使用した部品】
(1MΩ)
×1
(4.7kΩ)
×1
(10kΩ)
×1
※参考文献
コンデンサ(0.01μF)
×1
鉱石ラジオ ウィキペディア
(0.05μF)
×2
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%89%B1%E7%
(1000pF)
×1
9F%B3%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%82%A
電解コンデンサ(10μF)
×1
A
トランジスタ(2SC1815)
×1
一石トランジスタラジオ
インダクタ(4mH)
×1
http://homepage2.nifty.com/cesile/003_Reciever
ゲルマニウムダイオード
×2
/home_built_radio/1TR_radio.html
太陽電池
×1
一石レフレックスラジオ
クリスタルイヤホン
×1
http://www.zea.jp/audio/lef/lef_01.htm
バリコン
×1
ループアンテナを自作しよう
アンテナコイル(330μH)
×1
http://www.geocities.jp/wepon_bafu/loop_anten
抵抗
na.html
Fly UP