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リンク - CANPAN

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リンク - CANPAN
日本で日常的な問題を抱えるフィリピン人たちを支えるセンター
フィリピン人移住者センター(FMC)
「何かできることがあるのなら
助け合い、シェアしていこう。」
日本にいる外国人が困難なく暮らす こと。フィ リピン人移住者セン
ター(以下FMC )は、“移住者たち と地域がひとつのコミュニティと
して力を 合わせ、多文化共生社会を築くこと ”を目指し活動してい
る。代表の石原バージさん(写真右)が仲間とともに10年間にわたっ
て、労働や家族、 女性の権利など、在日フィリピ ン人の抱えている
問題の解決に取り組ん できたことが、名古屋市におけるフィ リピン
人自助組織の形成につながったのだ。
今年9月19日に中区役所でFMC設
立10周年記念イベント「地域の社
会統合に果たす移民の貢献:次の1
0年に向けて」が開催された。当日
は、約100人の参加があり、そのほ
とんどがフィリピン人だった。休
憩時間には参加者の生の声を聞く
こともでき、在日フィリピン人の
現状を知ることができた。後日、F
MCのこれまでの活動や今後の課題
などについて詳しく聞くため、名
古屋市内にあるFMCの事務所で、石
原バージさんにインタビューをさ
せていただいた。
2 たぶんか便り
これまでの貢献
グローバリーゼーションの時代
において、多くのフィリピン人た
ちが、日本人の配偶者や研修生な
ど、さまざまな立場で日本にやっ
てきて、ここ東海地域でも仕事を
見つけ暮らしている。しかしそこ
でトラブルが発生したとしても、
彼らはどこに助けを求めてよいの
かわからない。このことが、彼ら
の日本での生活をより厳しいもの
にしている。
バージさんは、2000年6月、名古
屋の中心地である栄(さかえ)の小
さな事務所で、フィリピン人コミュ
ニティ支援のための新たなセンター
を立ち上げた。これまで在留資格
や労働問題、離婚、ドメスティッ
クバイオレンス(DV)など幅広い
相談に応じており、場合によって
は、市役所や病院、警察などに同
行するなどして、問題解決への手
助けをしてきた。
また、名古屋周辺のほかのフィリ
ピン人団体と連携し、行政や法律
の専門家の協力も得て、児童手当
や生活保護などの行政サービス、D
V等について学ぶセミナーを開催し
たり、名古屋市や犬山市などの行
政機関との意見交換会を実施した
りした。このような機会をつくる
ことにより、フィリピン人住民は
生活に役立つ情報を得ることがで
き、行政は外国人が抱えている問
題を把握することができるとFMCは
考えている。バージさんは「ネッ
トワークはFMCの命。アイディアを
共有し、議論を重ねていくことで
協働事業が実施できる。」と言う。
FMCでは地域のフィリピン人団体や
外国人支援団体、女性団体、国内
外に拠点をおく移住者団体や女性
団体とも連携を図っているそうだ。
努力と継続によって
成されること
この10年間、FMCはフィリピン
人同胞の支援に日々を費やし、さ
まざまな試練と闘いを経験してき
た。その結果、国や自治体、NGO
/NPO、マスメディアなどの間で
フィリピン人の生活をリアルに語
るグループとして少しずつ認知さ
れ、信頼を得ていった。
「完璧ではないが、少しずつ着実
に良い方向に進んでいる。みんな
で力をあわせて努力し、団結すれ
ば必ず成果を上げることができる
と思う。」とバージさんは笑顔で
話す。次の10年は、こうした経験
からの学びをさらに深め、さらに
多くの人たちのニーズに応えてい
くよう努力しなければならない。
これまでの団結力が、あらゆる問
題に立ち向かうための大きな武器
となるのだ。「問題をすべて解決
することは簡単ではない。でも、
今はネットワークなどを通じて相
談する場やさまざまな人たちとの
連携がある。」とバージさんは言
う。「すべてはみなさんがいるお
かげです。」と嬉しそうに語った。
伝えたい思い
なかったことがわかるようになっ
た。みんながいるから解決できる。
普通の生活が一番だと感じた」と
も言ってくれた。
最後にバージさんはこう締めく
くった。「自分には関係ないと思っ
てほしくない。だれかが困ってい
たらお互いに助け合ってほしい。
わたしたちみんな、人間なのだか
ら。」(文責:水谷香奈美)
日本にも「移民の時代」が到来
しつつあり、日本と移民が互いに
協力しながら、いかにしてよりよ
い地域社会をつくるのかが大きな
課題となっている。今の社会につ
いて尋ねると、「活躍できるだろ
う若い子たちにも、もっと今の社
会を知ってほしいし、なにかでき
ることがあったら協力し合う平等
な社会にもなってほしい。」
またバージさんは「日本に来た
とき、最初は日本社会のことがわ
からなかった。でもFMCができてみ
なさんで相談し合ううちに、知ら
インタビューを終えて
わたしがFMCのイベントに参加し
て思ったことは、日本人にはま
だまだ知らないことが多いとい
うことです。日本人と外国人が、
お互いに壁をつくることなく、
温かく接していくことの心遣い
があるだけでもきっと、日本に
住んでいる外国人が差別を受け
ることなく、協調していけるだ
ろうと思います。そしてそれが、
日本の多文化共生につながると
考えます。今回のインタビュー
を通して、わたしは新たなこと
に挑戦する一歩を踏み出す勇気
をもらいました。
フィリピン人移住者センター(F MC)
住所:名古屋市中区4-10-11東京ビル405
Tel:052-242-8360
活動日 毎週水曜日 19:00∼21:00
台湾人留学生から見た
稲永東公園の断食明け祭り
ラマダーンは、夜空に新月が現れたことが確認され
てから、次の新月までの約一か月の期間、日の出前の
食事「サハール(Suhur)」から日没後の食事「イフ
タール(Iftar)」までの間、飲食を一切禁じるもの
である。そして、ラマダーンの最終日は「断食明け祭
り」を行うことによって、終止符を打つ。
今年、名古屋のムスリム(=イスラム教徒)たちは、
9月10日に港区の稲永(いなえ)東公園で断食明け祭
りを行った。公園の奥に入ると、礼拝に使う広場はす
でにブルーシートが敷かれ、前方には靴を脱いで単色
の民族衣装を着た男性たちが集まっていた。その後ろ
には女性と子どもたちが座っている。眩しいほど鮮や
かな服装の人もいれば、厳かな雰囲気を感じさせる黒
色のブルカ(burka) 注1 を着ている人もいる。あたり
を見回していると、前方からマイクを通して簡単な日
本語の挨拶があり、礼拝が始まった。20分ほどの間、
大人が静かに礼拝を行っている後ろで、子どもたちは
元気に走り回っていた。
礼拝が終わると男性が後ろに来て、妻を探したり、
子どもを見つけて抱きかかえたりした。また、男性
同士は握手をして、女性同士は互いに頬を軽く触れ
合わせて挨拶し、一つ一つの塊になった。会場は、
振舞われたバナナとジュースを手に持ちながら、座っ
て雑談したり写真を撮ったりと、賑やかな光景に一
転した。こうした国籍を超えた宗教の繋がりが、異
国の日本にいる辛さや寂しさを解消してくれている
のだろうとも感じた。(文責:張雅婷)
注1.目の部分だけをあけて頭からすっぽり全身をおおう外衣
3 たぶんか便り
アメリカ 人のグ リア夫妻 、夫ジ ェイさ ん(写真 左)と 、妻
ケイトリ ンさん (写真右 )は、 アメリ カの大学 で神学 を専
攻し、卒 業後すぐ の2009年、 「日本で 教会を 設立する 」と
いう大き な夢を 持ち、夫 婦揃っ て来日 した。愛 知県岡 崎市
内の語学 学校で日 本語を 勉強し、 昨年の 12月 に念願の 「マ
スタード シード クリスチ ャン教 会」を 名古屋市 中区に 設立
した。毎週日曜日には様々な国籍の人が礼拝に集っている。
ケイトリンさんは、昨年 5月、異 国の地で初めて の出産を体
験。そ の時 に生 まれ たの が、 現在 1歳8 カ月 のロ ーエ ン君
(写真中央)。それから 家族3人 での暮らしを楽 しんでいる
ところだ が、ケ イトリン さんは 現在妊 娠中で、 この春 には
二人目の赤ちゃんを出産予定とのことだ。
「日本が 大好き です!」 と声を 揃えて 語るジェ イさん とケ
イトリン さん。 彼らの目 に日本 という 国はどの ように 映っ
日本大好き!
アメリカ人牧師夫妻が見た日本
ているのだろうか?
だれもが入りやすく、親しみやすい、
多文化共生の場としての教会
「日本人は本当に礼儀正しいから大
好き!」と、優しい笑顔で教会を訪
れたわたしたちを迎えてくれたグリ
ア夫妻。中区鶴舞にあるダンススタ
ジオの一角からは、軽やかなドラム
の音や重みのあるベース音が聴こえ
てくる。その建物には十字架もなけ
れば、ステンドグラスもない。
「日本人は、教会をイメージする時、
何か堅苦しいものだと考えていませ
んか?あの厳かな雰囲気の建物は、
何となく入りづらくありませんか?
教会には難しい讃美歌が流れていて、
静寂な空気に包まれていると考える
でしょう。それから、『キリスト教』
ということばを聞くと、よその国の
宗教だと思いますよね。また宗教と
聞くと、一般的に日本人のみなさん
は、怖いもの、危険なもの、怪しい
ものと考えているようです」と、ジェ
イさん。「だからこそ、日本に設立
する教会は老若男女関係なく、だれ
にとっても入りやすい建物であり身
近な存在になれるようにしなくては
ならないと、考えに考えた結果があ
の教会です。そして、だれもが親
4 たぶんか便り
しめる楽しい音楽も忘れてはいけま
せん」と、ケイトリンさんが続ける。
なるほど、わたしたち日本人の持つ
宗教に対するイメージを分析した結
果として、だれにとってもオープン
でカジュアルなこの教会が設立され
たのだ。
夫妻にとっての次の大きな願いは、
マスタードシード教会が名古屋地域
の「多文化共生」の場所としても機
能することである。「いつも、礼拝
の後には、コーヒーとドーナッツを
準備して、礼拝に来てくださったみ
なさんたちがお話できる場所を提供
するのです。ここでいろいろな方と
友達となり、やがてはそれが多文化
共生に繋がってくれることを願うば
かりです。国籍の違う人たちが仲良
く語り合う姿を見ると、大変嬉しく
思います」と、ジェイさんは目を細
め語ってくれた。
毎週日曜日午前11:00
名古屋市中区千代田3丁目28-49
地下鉄鶴舞駅6番口より徒歩2分
www.mustardseednagoya.com
日・英の通訳サービスあり
私たちの考える
「日本」「日本人」
「食事も健康的で、人々はみんな
礼儀正しく、歴史も深く、四季の
移り変わりも美しい。そんな日本
が大好きです。日本の文学作品や
芸術作品を鑑賞すると、日本人は
“deep thinker”(深いところま
で考えることのできる人)で、繊
細な民族であることが伝わってき
ます。」と、ジェイさん。一方で、
「日本人は『外国人=外の人、よ
その者』と考えているせいか、外
国人との間に一定の距離を置いて
いるような気がします。」とも語
る。「街を歩いていて日本人と目
線があっても多くの人がすぐ反ら
してしまいます。わたしの母国ア
メリカでは、見知らぬ者同士でも
視線が合うとニッコリとほほ笑む
ことが結構あるのですが。日本人
は恥ずかしがり屋さんが多いので
すかね。笑顔で気分を害す人はい
ないのにね。」と話してくれたと
きは少し寂しそうに見えた。また、
妻のケイトリンさんは「日本に来
てすごく驚いたことがあります。
日本の店のサービスは世界一素晴
らしいものだと思います。どんな
職業でも、みなさん誠意をもって
仕事をされている姿を尊敬せずに
はいられません。こんなにサービ
スやお店の人の対応が素晴らしい
国は、きっと世界中探しても日本
以外に見つからないのでは?」と、
日本のサービスのあり方を高く評
価していた。
外国人パパ・ママの子育て
奮闘記 in JAPAN
出身国を離れて出産や子育てを
することは決してたやすいことで
はない。言語も文化も違うところ
での子育ては、苦労の連続である。
二人が日本で一人息子のローエン
君を育てる中で、感じたことを伺っ
た。
「先月、ようやく初めての『子
ども手当て』を頂きました。」と
ジェイさんが苦笑い。「書類が難
しくて、日本人の友達に何度も質
問しました。」とケイトリンさん。
さら に夫婦の 共通の課 題として
“ことばの壁”を挙げた。せめて
子どもの情報だけでもしっかり入
手しようと思っても、そこには常
に日本語の壁が立ちはだかる。パ
パ・ママ友達を作ろうとしても、
コミュニケーションが上手く取れ
ず、孤独感を感じることがあるそ
うだ。「日本で暮らす以上、日本
語を理解しなければい
けないことはわかって
いますが、日本語はと
ても難しく、子どもを病院に連れ
ていったり、子どものための何か
書類を揃えたりするのにも、苦労
が絶えないですし、不安で仕方な
いです。」と言う二人。国籍や日
本語能力に関係なく、だれもが安
心して子育てを行うためには、特
に言語面でのサポートが必要とさ
れていることを感じた。
「子どもには日本人の友達もたく
さん作ってほしいし、日本語も話
せるようになってほしいです。」
とジェイさん。「息子は、『どう
も!』と言ってお辞儀をするし、
『いないいないばぁ』って日本語
で言います。まるで日本人みたい
です。将来が楽しみです。」とケ
イトリンさん。二人の顔はすっか
りパパ・ママになっていた。親が
子どもを思う気持ちに変わりはな
い!と確信した瞬間だった。
日本人が多文化共生に必要なもの
ー勇気を持って声をかけてー
最後に、日本人が「多文化共生社会」を実現していくために何が必要かを伺った。
「とにかく声をかけて!街を歩いていると、わたしたちに興味や関心を持って
くれる人がいるようですが、ことばも通じないだろうし、外国人だから怖そうだ
しと、声かけをためらう人がたくさんいます。心配ご無用!いつでも気軽に声を
かけてください!英語でも日本語でもanytime welcome!!(いつでもどうぞ)」
と二人は微笑みながら答えてくれた。
「勇気を持っての一言」、これが多文化共生社会へのパスポートなのかもしれ
ない。(文責:永井真衣香)
5 たぶんか便り
愛知県
委託事業
スタート!
1
多文化共生実践活動支援事業
昨年度、当団体は愛知県から「多文化共生実践モデル支援事業」を受託し、
県内3地域(犬山市、刈谷市、豊橋市)において、外国人と日本人の相互理
解と外国人の社会参画促進を目的としたアンケート調査を実施しました
注2。
この調査結果に基づき、今年6月、対象地域を5地域に拡大し、日本人と
外国人の相互理解や外国人の社会参加の促進に向けた取り組みを実施する
田
フの水
ッ
タ
ス
と
本 事業 当スタ ッフ
し
担
より、 状況を 紹介
み
取 り組
ます!
「多文化共生実践活動支援事業」が愛知県より提案されました。本事業を昨
年度に引き続き当団体が受託し、市・自治会・地元NPO等の協力を得ながら、
多文化共生社会づくりに向けた新たな取り組みに挑戦しています。
注2.事業報告書は下記URLよりご覧いただけます。
http://www.pref.aichi.jp/0000027287.html (愛知県HPより)
担当スタッフ紹介
10月1日、本事業を担当するスタッフ9人が新た
に加わりました。日本人5名、ペルー人1名、ブラジ
ル人1名、パラグアイ人1名、マレーシア人1名の5
カ国で、中国留学や途上国での青年海外協力隊員の
サポート、海外での日本語 教育地域の語学や通訳・
翻訳等、こちらも様々な経験を持ったメンバーです。
わたしたちは、それぞれの語学力と経験を十分に発
揮できる機会が与えられたことを光栄に思っていま
す。今回の事業は、日本人住民も外国人住民も楽し
く暮らせる多文化共生社会の促進を目的としていま
すが、これはわたしたちスタッフ自身の身近な問題
でもあり、国内外での実体験を活かして日々の業務
に取り組んでいます。
取り組み状況
昨年度の調査結果をふまえて、対象5地域での現状と活動をご紹介します。
地域住民が感じる課題(A住宅の場合)
日本人
犬山市
外国人
第1位
ゴミ捨てのルール
を守らないこと
仕事に就けないこと
第2位
駐車違反
ゴミ捨てのルールを
守らないこと
第3位
車やバイクの騒音、
夜間の大騒ぎ
日本人と意思疎通が
できないこと
6 たぶんか便り
外国人住民が集住する県営住宅では、日本人
住民からは騒音やごみの分別、外国人住民か
らは、情報の多言語化や住民間のコミュニケー
ション不足の解消といった課題・ニーズがあ
りました。(左表参照)そこでわたしたちは、
住民のみなさんに、こうした課題解決のきっ
かけとして、日本人住民と外国人住民が一緒
に何かに取り組む機会をつくることを提案し
ました。双方が日常生活の中で時間と場を共
有することで良い関係を築き、住みよい環境
づくりにつなげていきたいと思います。
対象5地域での現状と活動内容
犬 山市
外国人住民が集住する県営住宅では、
日本人住民からは騒音やごみの分別、
豊 川市
豊川市では2010年3月に発行され
た「豊川市多文化共生推進プラ
外国人住民からは、情報の多言語化や住民間のコミュニ
ン」に基づき、外国人が多く暮らす県営住宅にお
ケーション不足の解消といった課題・ニーズがありまし
いて市や自治会との協働により「外国人市民の意
た。そこでわたしたちは、住民のみなさんに、こうした
見を直接聴くことができる機会の創出」と「日本
課題解決のきっかけとして、日本人住民と外国人住民が
人市民と外国人市民の交流会の実施」に取り組む
一緒に何かに取り組む機会をつくることを提案しました。
ことになりました。実施に際して、まず自治会役
双方が日常生活の中で時間と場を共有することで良い関
員や外国人住民にヒアリングを行った結果、だれ
係を築き、住みよい環境づくりにつなげていきたいと思
もが気軽に参加できる交流会や外国人住民が講師
います。
となって行うポルトガル語学講座の開催など、さ
まざまなアイデアが出されました。これらの実現
大 府市
今年度「多文化共生推進プラ
に向けて、これから一歩ずつ前進していきます。
ン」の発行を予定している大
府市では、すべての外国人登録者を対象とし
たアンケート調査(一部インタビュー調査も)
を実施します。この調査では、情報の多言語
化と情報提供のあり方を中心に、外国人住民
がどんな情報を必要としているのか、現在発
信している情報が十分に伝わっているのか、
どうすればより多くの人により正確に伝える
ことができるのか等を探ります。この結果を
市内関係者にお伝えし、今後のプラン作成お
よび施策の実施に反映させていただきたいと
思います。
豊 橋市
外国人口が4.5%を占める豊
橋市では、集住地区の一つ
にある市営住宅において、自治会の協力のも
と、日本語がわからない人でも参加しやすい
交流会を企画し、12月19日に実施しました。
開催前には多言語でチラシを作成・掲示した
り、前日は日本人住民と外国人住民が集会所
に集まって日本料理と外国料理を一緒に作っ
たりしました。そして当日は日本語のできる
外国人住民が通訳となってゲームの説明等を
行いました。その甲斐あってか、100人を超
刈谷市は自動車関連のメーカーや工場が多い
える参加者のうち、日本人と外国人の割合は
“ものづくり”のまちです。国籍はもちろん、
ほぼ半々となりました。これをきっかけに、
永住者や定住者、研修生、実習生、留学生等、異なる背景を持っ
今後住民の相互理解が深まっていくことを期
た外国人市民が、一部の地域や団地に集住することなく市内全
待しています。
刈 谷市
域に暮らしている(=散在地域)のが特徴です。現在、刈谷市
では「多文化共生推進プラン」の作成に取り組んでいます(平
成23年度発行予定)。その一環として、今後の多文化共生事業
の担い手となる人材の育成を目的に、全8回の市民講座を開催
することになりました。当団体はそのうちの3回を担当し、行
政や学校、企業の現場で活躍されている地元の方々を講師に招
いて、現状と今後のあり方を考えていきます。
7 たぶんか便り
愛知県
委託事業
スタート!
井
フの永
ッ
タ
ス
と
本事業 当スタッフ
し
担
より、 状況を紹介
取り組み
ます!
2
多文化共生コミュニティ
状況実態調査事業
今年度、当団体は愛知県から「多文化共生コミュニティ状況等実態調査事
業」を受託しました。愛知県は東京に次いで全国で2番目に外国人登録者
数が多く、さまざまな「外国人コミュニティ」注3 があります。しかし、
日本人県民からは「外国人コミュニティ」の状況が見えにくく、そのこと
が相互理解を妨げている要因の一つにもなっていると考えられます。そこ
で本事業では、「外国人コミュニティ」の状況や課題を調査し、外国人県
民に対する支援や多文化共生を推進するための基礎資料とするとともに、
日本人県民に対して「外国人コミュニティ」への理解を深めてもらうため
の普及啓発資料の作成に取り組みます。
注3.「外国人県民が集まって住んでいる地域や集まって活動している場」
(愛知県委託要項より)
スタッフ紹介
「多文化共生実践活動支援事業」と同じ10月1日より、
本事業を担当する新規スタッフが加わりました。日本人
3名、ペルー人2名、ボリビア人1名、ブラジル人1名、
中国人1名の5カ国計8名です。カナダやブラジルへの
留学、企業での通訳・翻訳、外国人向け飲食店経営など、
若くて元気で、多様な経験をもつスタッフが集まりまし
た。一人ひとりがこれまでの経験を生かしつつ、地域の
未来づくりに向けて、一生懸命取り組んでいます!
取り組み状況
現在、スタッフが調査対象となる10地域(名古屋市中区・港区、小牧
市、瀬戸市、豊田市、碧南市、西尾市、豊橋市、豊川市、田原市)を
巡回して、飲食店や販売店、教育機関、自助組織、宗教施設といった
「外国人コミュニティ」にアンケートやインタビュー調査を行ってい
ます。調査では、事業内容をはじめ、活動・運営を続けるうえでのや
りがいや苦労話、地域の日本人住民との関係などを伺っています。
調査を進めていく中で、「こんなところに、そんな施設があったのか!」
と、新しい発見もしばしば…。本当に驚きの連続です。そして、見知
らぬわたしたちの調査に快くご協力くださる外国人の方々の優しさに
触れるたび、気持ちが温かくなります。そうした、今まで知ることの
なかった「外国人コミュニティ」の現状や課題をわかりやすくまとめ、
みなさんにお伝えしたいと思っています!この事業が、多文化共生社
会を実現するために必要な何かを生み出すことができたら嬉しいです。
事業を成功させるためにも、これからもスタッフ一丸となり頑張って
いきたいと思っています!!
8 たぶんか便り
9 たぶんか便り
【世界の多文化事情:台湾編】
もう一つの東南アジア
台湾・台中 「第一広場」
台湾では、1989年10月から政府の重大公
共事業をはじめ、続々と製造業や建設業、家
事・介護分野まで、外国人労働者の受入れが
本格的に進み、2010年8月現在、37万人を
超す。インドネシアの15万人がもっとも多
く、ベトナム、フィリピン、タイと続く。イ
ンドネシア人の多くは介護に従事する女性で、
タイ人では製造業や建設業で働く男性が多い
という特徴がある。写真左:第一広場の建物
の外観と改装後に壁に貼られたポスター。
外国人労働者の集まる場所
大勢の外国人労働者を受け入れた背景により、今では
わたしの出身地である「大雅(taya)」の市場や公園、繁
華街にある商店やレストランなど、どこでも外国人労働
者の姿をよく見かけるようになった。母から「近所のO
Oさんがインドネシア人の介護士を雇っているそうよ」
と聞いたこともある。彼らは、もともと個人または少人
数の存在で、マジョリティーである台湾人社会の中で暮
らしている。ところが6年前、久しぶりに台中の第一広
場を訪れたわたしは、あまりに多くの外国人の存在を目
にし、一瞬、自分がマイノリティであるかのように感じ
た。そのときの衝撃は今も鮮明に覚えている。
台中の第一広場は、台湾の中部地方における主要な鉄
道駅「台中車站」に近く、また市バスの合流点でもあり、
以前は若者たちの遊び場として知られていた。しかし、
いつの間にか台湾人の姿は減り、代わりに多くの東南ア
ジア出身とみられる外国人労働者が集まるようになって
いたのだ。
多文化空間としての試み
2010年9月、わたしは一時帰国のついでに、再び台中
第一広場を訪れた。前回訪れたときと比べて、全体的に
とても綺麗になっていたことに驚いた「第一広場」は
「東南亞購物美食廣場」(東南アジアのショッピング&
グルメセンター)として改装され、1階から3階には、
ベトナム料理店や携帯ショップ、服や靴、電話カードを
売る店、タイ・インドネシア・ベトナム・フィリピンの
雑貨や食料品を扱う店などがあった。4階から上には、
映画館やゲームセンター、カラオケにビリヤード、ディ
スコまで見られた。
「第一広場」という空間は、ある意味で「多文化」が
体現されている場所だと思う。一つの建物の中に、4カ
国語(タイ語・英語・ベトナム語・インドネシア語)
10 たぶんか便り
看板やポスターが見られるし、料理や食料品、雑貨など
多国籍の店が共存している。ここはまるで、都市の片隅
にできた“小さな東南アジア”のようである。そして休
日になると、ここは外国人労働者の交流の場になる。
多国籍の店が共存している。ここはまるで、都市の片隅
にできた“小さな東南アジア”のようである。そして休
日になると、ここは外国人労働者の交流の場になる。
しかし、わたしたち台湾人には何が書いてあるのか理解
できないポスターが並んでいるのを見ていると、心の中
で不安が広がっていくのを感じる。これは、故郷におい
て自分がマイノリティになってしまうことに対する拒絶
反応のはじまりなのだろうか。(文責:張雅婷)
静けさ漂う平日の風景
タ イ、 ベト ナム 料 理の 店が ず
ら りと 並ん でい る 中で 、一 軒
だ けフ ィリ ピン 料 理店 を発 見
し た。 しか し、 シ ャッ ター は
下りていた。(写真右)
改装 した にもか かわ らず空
きテ ナン トもい くつ か見ら
れ、 新し い店が 入る 様子は
なさそうだ。(写真左)
店全 体の 照明 は明 るい が、
お客は一人もみあたらなかっ
た。 従業 員2 人の 女性 はベ
トナ ム語で談 笑して いた。
(写真右)
世界には人の「脚」に関する様々な
表現があります。あなたの国(地域)の
言葉では、何に例えて、何を意味し
ているのでしょうか?
鳥仔脚
ジャワ・カー(直訳:鳥の脚)
鳥の足のように細い足、特に女性の足を指す。
台湾では米作りが盛んで、農家ではよく雀を見
かける。雀の足に例えているのだろう。( ヤー
ティン:台湾)
Perna-de-pau
ぺルナ・ディ・パウ (直訳:木/棒の脚)
ベットガセロ―・モトゥ・パオ
(直訳:Cane Tree legs/籐のような脚)
バングラディシュでは、貧困でやせ細って
しまった人々をCan e(籐の木)に例えて、
C ane Tre e Persons という。そこから
「足がやせ細っている」ことをCane Tree
legs というようになった。(ハッサン:バン
グラディシュ)
サッカーが下手な人を指す。語源としては木
の義足を指している。この言葉はよく知られ
ており、その意味はポルトガル語の辞書にも
記載されている。(Kaoru:ブラジル)
Elepanteng Hita
エルパンティング・ヒタ(直訳:象のような脚)
象のように太った脚を指す。
(アルパノ・ジョアン:フィリピン)
ムダリ (直訳:だいこんみたいな脚)
すらりとしていなくて、太い脚の
こと。 (じゅうり:韓国)
Kaki ayam
Sich ins eigene βein schie βens
イッヒ・イン・エイゲン・ベイン・シッヒ・ベン
(直訳:自分で自分の脚を撃つ)
自分自身の行動で状況をかえって悪くしてしまうこと。
自業自得の意味。(クリスチャン:ドイツ)
カキ・アヤン(直訳: ニワトリの脚)
関節が目立つほど細い脚を指す。男女共
に使われる。(ジェーン:マレーシア)
飞毛腿
フィ・マゥ・トゥィ(直訳:足に羽が生えている)
Break a leg
ブレイク・ア・レッグ(直訳:脚を折る)
パフォーマンス(演技)の前にかける応援
の言葉。幸運を祈るの意味。(Amanda:
アメリカ)
語源は「汉」という言葉。郵便サービスがまだ未発
達だったときに、緊急の軍事書類には羽が貼り付け
られていた。この書類を素早く目的地に届ける人は
「飞毛腿」とよばれていた。現代では歩くのが早い
人を指している。(ショウエイ:中国)
Tener dos pies izquierdos
テネル・ ドス・ピエス・エスキエルドス(直訳:左足が2つある)
ダンスが上手に踊れない人を指す。左足は右足よりもうまく
動かすことができない人が多いことからこの言葉が生まれた。
(エベリン:ペルー)
11 たぶんか便り
インターン
シップ
活動報告
2010年6~9月、NPO法人アスクネットより「次世代社会起業家育成生態系(エコ
システム)」創出事業の一環で中京大学の学生3名のインターンシップを受け入れ
ました。インターンシップに参加した3名より感想をお届けします。
1.「愛知県青年のための寺子屋塾2010」(NPO法人アスクネット主催)
の企画・運営に協力しました!
大学生を対象にした、様々な生き方、職業に就く社会人による、ワークショップ。「異文化理解」
をテーマにした会の塾長を土井が務め、わたしは会場設営や進行補助等を担当しました。慣れない
ことに戸惑いを感じましたが、何かを任されることの責任の重みややりがいを初めて感じました。
事前にしっかり準備をし、最終的にやり遂げた時に得られる達成感と「ありがとう」という言葉を
もらった時の感動は忘れられません。(管原奈緒)
2.JICA中部・(特活)名古屋NGOセンター主催
「NGOを広めるプロジェクト」に参加しました!
地域NGOをPRするため、他のNGO・NPOとともに地下鉄広
告の掲載に取り組みました。作成した広告は2010年10
∼11月の2ヶ月間、地下鉄「鶴舞線」に掲載されました。
広告のキャッチフレーズを決める時に、自分の意見が
多く取り入れられ、インターン生として貢献できてい
ると実感しました。インターン活動では「楽しいこと」
だけでなく「大変なこと」があったからこそ、やり切っ
て満足している自分がいます。(雪嶋真衣)
3.ニュースレターの制作に携わりました!
わたしが一番印象に残っていることは、名
古屋モスクを訪問したことです。モスクが
愛知県にあることに驚きました。たくさん
のムスリムの人たちがこのモスクでお祈り
しています。そうしたことをまず「知るこ
と」、これが多文化共生に繋がる第一歩だ
と感じました。(杉本佳織)
第2 号完成!様々なことに出
会える楽しさと生みの苦しみ
、
両方を味わえるのがニュー
スレター制作の醍醐味です。
(編集長
河村槙子)
編集後
記
サポーター会員大募集!
山の人
で完成に至りました。沢
かげ
ご協力下さった方々のお
奈美)
謝したいです。(水谷香
に感
たちと出会えたこと
団体正会員
個人正会員
賛助会員
寄 付
年会費 20,000円
年会費 5,000円
年会費 3,000円
一口
1,000円
*ご支援頂ける方は下記までご連絡下さい。
ニュースレ
ター〝初参
戦!〟試
が、この ニ
行錯 誤の連
ュースレタ
続でした
ーが多文化
りますよ
共 生の架け
うに。(永井
真衣香)
橋に な
特定非営利活動法人
多文化共生リソースセンター東海
〒453-0021 愛知県名古屋市中村区
松原町1-24 COMBi本陣N203
やっぱり書き たい。もっと多くの人に伝えた い。
台湾のことや日本での見聞きしたことを。(張雅婷)
TEL.052-485-6150 FAX 052-485-6155
E-mail [email protected]
blog http://blog.canpan.info/mrc-t/
発行:特定非営利活動法人
多文化共生リソースセンター東海
今回もニ
ュース レ
ター作成に
ものになっ
参 加しま
たと思いま
した。 素
晴らしい
す。(近藤
淳宗)
12 たぶんか便り
発行責任者:土井佳彦
編集スタッフ:河村槙子・水谷香奈美
永井真衣香・張雅婷・近藤淳宗
発行日:2010年/平成22年 12月28日
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