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納税猶予税額の計算> ステップ1から順次ステップ4まで計算をしていき

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納税猶予税額の計算> ステップ1から順次ステップ4まで計算をしていき
<納税猶予税額の計算>
ステップ1から順次ステップ4まで計算をしていきます(下図参照)(租税特別措置法第70の7の2②五、同施行令
40の8の2⑫~⑲)。なお、相続税法における一般的な相続税の計算方法の説明は省略しています。
<事例1>は、全員もしくは経営承継相続人が相続する内の自社株割合が少ない例です。結果として、経営承継
相続人の納税猶予税額割合は、本来納付すべき税額のほぼ半分です。
<事例2>は、自社株割合が多い例です。こちらの場合、経営承継相続人の納税猶予割合は、本来納付すべき税
額のほぼ70%です。
<事例3>は、経営承継相続人に債務がある場合です。このケースでは経営承継相続人は債務をすべて引き継い
でいます。この場合、経営承継相続人の納税猶予税額割合は、本来納付すべき税額と比べても3%強にすぎません。
そこで、もし相続人間の相続割合を変更して、相続人Bがその他財産を3億円、債務を2億円相続し、経営承継相続
人が自社株式を3億円、その他財産を6億円相続するようにしたらどうなるでしょうか。紙数の関係で細かい計算
は省略しますが、納税猶予額が6825万円となり、経営承継相続人の納税猶予税額割合も20%になります。
以上のように、事例によって、相続税の納税猶予制度を利用した場合の効果が異なるということは、ご理解して
頂けたと思います。それだけに、この制度を利用するには詳細に渡っての検討と覚悟が必要です。
なお、過去に「特定受贈同族会社株式等」又は「特定同族株式等」の贈与を受けている場合、平成22年3月3
1日までに所轄税務署に一定の届出書を提出する等をして要件を満たす場合には、この納税猶予制度の特例を選択
することが出来ますので、至急検討をされることをお勧めします。
【納税が猶予される相続税などの計算方法】
正味の遺産額に基づき後継者の相続税を計算します。
後継者以外の相続
人等が取得した財
産の価額の合計額
後継者が取得した
すべての財産の価
額の合計額
①
相続税の計算
後継者の相続税
後継者が取得した財産が特例の適用を受ける非上場株式等のみであると
仮定して後継者の相続税を計算します。
後継者以外の相続
人等が取得した財
産の価額の合計額
A
特例の適用を
受ける非上場
株式等の額
相続税の計算
②
Aに対する後継
者の相続税
後継者の取得した財産が特例の適用を受ける非上場株式等の20%のみ
であると仮定して後継者の相続税を計算します。
後継者以外の相続
人等が取得した財
産の価額の合計額
B
A×20%
相続税の計算
③
「②の金額」から「③の金額」を控除した残額が
「納税が猶予される相続税(④の金額)」となります。
④
猶予税額
◆
⑤
納付税額
特例の対象となる非上場株式等の数(先月号参照)
「a」・・・後継者(相続人等)が相続等により取得した非上場株式等の数
「b」・・・後継者が相続開始前から保有する非上場株式等の数
「c」・・・相続開始直前の発行済株式等の総数
イ
ロ
区分
a+b<c×
の場合
a+b≧c×
の場合
(国税庁ホームページ資料より抜粋)
特例の対象となる非上場株式等の限度数
後継者が相続等により取得した非上場株式等の数(a)
発行済株式等の総数の3分の2から後継者が相続開始前から保有する
非上場株式等の数を控除した数 (c× -b)
〈事例1の計算〉
(1)前提条件:配偶者はいないものとする・子2人のみ
自社株式
1億円
相続人A
⇒
その他の財産
2億円
経営承継相続人B
合計
3億円
その他の財産
自社株式
その他の財産
1 億 5,000 万円
1 億円
5,000 万円
(2)各人の相続税額
3 億円-基礎控除(5,000 万円+1,000 万円×2)=2億 3,000 万円
2 億 3,000 万円×法定相続分 1/2=1 億 1,500 万円
1 億 1,500 万円×40%-1,700 万円=2,900 万円
2,900 万円×2 人=5,800 万円
A 5,800 万円×1 億 5,000 万円/3 億円=2,900 万円
B 5,800 万円×1 億 5,000 万円/3 億円=2,900 万円
(3)納税猶予額
①Bが対象株式のみで相続したとした場合
②Bが対象株式の 20%のみで相続したとした場合
(1 億 5,000 万円+1 億円×20%)-7,000 万円
(1 億 5,000 万円+1 億円)-7,000 万円
A
B =1 億円
A
B =1 億 8,000 万円
1 億円×1/2=5,000 万円
1 億 8,000 万円×1/2=9,000 万円
5,000 万円×20%-200 万円=800 万円
9,000 万円×30%-700 万円=2,000 万円
800 万円×2=1,600 万円
2,000 万円×2=4,000 万円
1,600 万円×2,000 万円/1 億 7,000 万円
4,000 万円×1 億円/2 億 5,000 万円
=188 万 2,300 円
=1,600 万円
③猶予税額
1,600 万円-188 万 2,300 円=1,411 万 7,700 円
(4)各人の納付税額
A
2,900 万円
B
2,900 万円-1,411 万 7,700 円=1,488 万 2,300 円
〈事例2の計算〉
(1)前提条件:配偶者はいないものとする・子2人のみ
自社株式
7億円
相続人A
⇒ 経営承継相続人B
その他の財産
3億円
合計
10億円
その他の財産
自社株式
その他の財産
(2)各人の相続税額
10 億円-基礎控除(5,000 万円+1,000 万円×2)=9 億 3,000 万円
9 億 3,000 万円×法定相続分 1/2=4 億 6,500 万円
4 億 6,500 万円×50%-4,700 万円=1 億 8,550 万円
1 億 8,550 万円×2 人=3 億 7,100 万円
A 3 億 7,100 万円×2 億円/10 億円=7,420 万円
B 3 億 7,100 万円×8 億円/10 億円=2 億 9,680 万円
(3)納税猶予額
①Bが対象株式のみで相続したとした場合
②Bが対象株式の 20%のみで相続したとした場合
(2 億円+7 億円×20%)-7,000 万円
(2 億円+7 億円)-7,000 万円
A
B
=2 億 7,000 万円
A
B
=8 億 3,000 万円
2 億 7,000 万円×1/2=1 億 3,500 万円
8 億 3,000 万円×1/2=4 億 1,500 万円
1 億 3,500 万円×40%-1,700 万円
4 億 1,500 万円×50%-4,700 万円
=3,700 万円
=1 億 6,050 万円
3,700 万円×2=7,400 万円
1 億 6,050 万円×2=3 億 2,100 万円
7,400 万円×1 億 4,000 万円/3 億 4,000 万円
3 億 2,100 万円×7 億円/9 億円
=約 3,047 万円
=約 2 億 4,966 万円
③猶予税額
約 2 億 4,966 万円-約 3,047 万円=約 2 億 1,920 万円
(4)各人の納付税額
A 7,420万円
B
2億9,680万円-約2億1,920万円=約7,760万円
2 億円
7 億円
1 億円
〈事例3の計算〉
(1)前提条件:配偶者はいないものとする・子2人のみ
自 社 株 式
3億円
その他の財産
9億円
債
2億円
務
⇒
相続人B
その他の財産
1億円
経営承継相続人A
自 社 株 式
3億円
その他の財産
8億円
債
2億円
務
(2)各人の相続税額
11 億円-2 億円+1 億円-基礎控除(5,000 万円+1,000 万円×2)=9 億 3,000 万円
9 億 3,000 万円×法定相続分 1/2=4 億 6,500 万円
4 億 6,500 万円×50%-4,700 万円=1 億 8,550 万円
1 億 8,550 万円×2 人=3 億 7,100 万円
A
3 億 7,100 万円×9 億/10 億円=3 億 3,390 万円
B
3 億 7,100 万円×1 億円/10 億円=3,710 万円
(3)納税猶予額
①Bが取得した対象株式から債務を控除した ②Bが対象株式の 20%のみで相続したとした
残額(特定価額)を課税価格とみなした場合
(3 億円-2 億円+1 億円)-7,000 万円
A
B
場合
(1 億円+1 億円×20%)-7,000 万円
A
=1 億 3,000 万円
B
=5,000 万円
1 億 3,000 万円×1/2=6,500 万円
5,000 万円×1/2=2,500 万円
6,500 万円×30%-700 万円=1,250 万円
2,500 万円×15%-50 万円=325 万円
1,250 万円×2=2,500 万円
325 万円×2=650 万円
2,500 万円×1 億円/2 億万円
650 万円×1 億円×20%/1 億 2,000 万円
=1,250 万円
≒108 万円
③猶予税額
1,250 万円-108 万円=1,142 万円
(4)各人の納付税額
A
3億3,390万円-1,142万円=3億2,248万円
B
3,710万円
平成21年10月号(その5)でも述べさせていただいたように、経済産業大臣の確
認手続きを不要とする経過措置が本年3月31日までに開始した相続をもって終了となりますが、その旨が平成2
2年2月16日付けの経済産業省(中小企業庁)HPにアップされました。詳細は以下を参照して下さい。
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2010/100216SouzokuEnd.htm <禁:無断掲載(ネット上も含む)>
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