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土山 玄 [PDF 169KB]

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土山 玄 [PDF 169KB]
同志社大学「次世代研究者」プロファイル
2015年12月現在
基本情報
氏名
氏名(カナ)
学歴
土山
玄
ツチヤマ
ゲン
氏名(英字)
TSUCHIYAMA
gen
gtsuchiy(a)mail.doshisha.ac.jp
メールアドレス
2006年4月 同志社大学文化情報学部文化情報学科 入学
2010年3月 同志社大学文化情報学部文化情報学科 卒業
2010年4月 同志社大学大学院文化情報学研究科文化情報学専攻博士課程(前期課程) 入学
2012年3月 同志社大学大学院文化情報学研究科文化情報学専攻博士課程(前期課程) 修了
2012年4月 同志社大学大学院文化情報学研究科文化情報学専攻博士課程(後期課程) 入学
2015年3月 同志社大学大学院文化情報学研究科文化情報学専攻博士課程(後期課程) 修了
職歴
2012年11月-2013年3月 同志社大学特別研究員(DC)
2013年4月-2015年3月 日本学術振興会特別研究員(DC2)
2015年4月-現在 同志社大学研究開発推進機構特別任用助教
指導教員
村上 征勝 教授
博士学位論文題目
計量文献学による『源氏物語』の成立に関する研究
取得学位
博士(文化情報学)
専修外国語・読解可能な外国語
英語
研究活動
研究分野
文章の計量分析
科研費分類による研究分野
情報学 情報学フロンティア 図書館情報学・人文社会情報学
研究テーマ
平安時代の文学作品の作者及び成立過程についての計量的な研究
研究概要
『源氏物語』は日本を代表する古典文学作品であり、およそ千年前に成立し広く読み継がれて
おり、研究の歴史も長い。しかし、作者が紫式部のみであるのかということ、また現行の巻序と
成立巻序は同じであるのかという疑問が従来から提起されている。このようなトピックスには人
文学の研究に加え、計量的にアプローチすることで新たな知見が得られると考えられる。
そこで本研究では、『源氏物語』と同時期に成立した物語文学である『宇津保物語』を分析対象
とし、両作品に用いられている語の出現率、各品詞の比率などを分析項目として採り上げ、統
計手法を用い分析を行った。その結果、古典文の作者の識別が統計手法によって可能である
ことを示した。次いで、後世に執筆された『源氏物語』の擬作である『山路の露』『雲隠六帖』『手
枕』を分析対象とし、作者の識別を試みた。なお、これらの擬作は『源氏物語』と世界観を共有
し、『源氏物語』の文体を模倣し執筆された作品である。計量分析の結果、『源氏物語』と擬作と
の間においても作者の識別は可能であり、古典文における作者の識別に計量分析が十分に有
効であることを明らかにした。またこれらの分析を通じ、助詞の語の出現頻度などの作者が異
なるときに出現傾向に相違がする文体的特徴を指摘した。
これらの分析結果を踏まえ、まず『源氏物語』において論じられる複数作者説に検討を加えた。
『源氏物語』の最終10巻は宇治十帖と称され、この10巻が他作者によって書かれたとする説は
古くからあり、一条兼良(1402-1481)によって著された『花鳥余情』(1472)において既に指摘さ
れていることは特に有名である。また、宇治十帖に先行する匂宮三帖と称される3巻も宇治十
帖と同様に他作者説が提起されている。本研究ではこれらの13巻について、他の諸巻と作者
が同一であるのか検討した。結果、匂宮三帖および宇治十帖の作者が他の諸巻と異なること
を支持する積極的な根拠は認められなかった。
次いで、一般に匂宮三帖と宇治十帖の13巻は『源氏物語』の第三部と称され、成立過程の研
究では第三部が採り上げられることは少ない。宇治十帖に おけるヒロインの1人である浮舟が
「宿木」から登場することから、宇治十帖はストーリー上前半4巻と後半6巻に分けられる。ある
いは「橋姫」「宿木」「手習」の3巻は共通して「そのころ」という発語によって開始されることから、
構造上3つに分類されると指摘されるなど、諸説がある。第三部について多変量解析を行った
ところ、匂宮三帖と宇治十帖との間に量的傾向の相違が認められた。この分析結果は国文学
の成果と合致すると言える。しかし本研究の分析結果から、 従来の指摘とは異なり、宇治十帖
の前半5巻と後半5巻との間に顕著な量的傾向の相違があることが明らかになった。これによっ
て、『源氏物語』第三部成立の背景には匂宮三帖・宇治十帖前半5巻・宇治十帖後半5巻という
成立事情を異にするグループが存在している可能性を計量的な分析を通じ、新たに指摘した。
同志社大学「次世代研究者」プロファイル
研究業績
所属学会
1. 著書
Quantitative Research into Narrative: Statistical Analysis of “the Tale of Genji” which is the most
famous work of classical Japanese literature, Gen Tsuchiyama, "Computational and Cognitive
Approaches to Narratology"(Ogata, Takashi and Akimoto, Taisuke (Eds.)), IGI Global, USA, 査読有, 2016
年出版予定.
2. 論文(査読有り)
『源氏物語』第三部の成立に関する計量的な考察,土山玄, 村上征勝,人文科学とコンピュータシンポジ
ウム2014論文集, Vol.2014, No.3, 査読有, pp.213-220, (2014).
複合的な語彙に関する情報による平安時代の文献の分類, 土山玄, 村上征勝, 人文科学とコンピュータ
シンポジウム2013論文集, Vol.2013, No.4, 査読有, pp.153-160, (2013).
Authorship Identification of Classical Japanese Literature Using Quantitative Analysis, Gen Tsuchiyama
and Masakatsu Murakami, Journal of Mathematics and System Science, Vol.3, No.12, 査読有, pp.631640, (2013).
語のbigramによる『源氏物語』の分類, 土山玄, 村上征勝, 人文科学とコンピュータシンポジウム2012論文
集, Vol.2012, No.7, 査読有, pp.49-54, (2012).
源氏物語と宇津保物語における語の使用傾向について, 土山玄, 村上征勝, 人文科学とコンピュータシン
ポジウム2011論文集, Vol.2011, No.8,査読有, pp.125-132, (2011).
3. 口頭発表(国際学会)
「『うつほ物語』の計量分析:「楼の上上」及び「楼の上下」における形容詞・形容動詞の量的特徴につい
て」, 土山玄(第39回国際日本文学研究集会(於国文学研究資料館)), (2015).
"Author Identification of Japanese Classical Literature by Quantitative",Gen Tsuchiyama and
Masakatsu Murakami, International Federation of Classification Society 2013(於 Tilburg University(オラ
ンダ)), (2013).
"Extracting Feature Words from Japanese Classical Literature using the Random Forest Technique",
Gen Tsuchiyama and Murakami Masakatsu, 2012 International Conference on Management Engineering
& Technology of Statistics(於 University of JINAN(中国)), (2012).
4. 口頭発表(国内学会)
「文学作品の計量分析:その方法と歴史」, 土山玄(第108回情報処理学会人文科学とコンピュータ研究
会(於奈良大学)), (2015)
「連携校学部シラバスの全容と同志社大学文化情報学部「データサイエンス科目」のアンケート調査」,
土山玄・谷岡健資・小野原彩香・大森崇(2013年度統計関連学会連合大会(於大阪大学)), (2013)
「『源氏物語』の「匂宮三帖」における他作者説の計量分析による検討」,土山玄・村上征勝(行動計量学
会第40回大会,(於新潟県立大学)), (2012)
5. 受賞歴
2012年情報処理学会人文科学とコンピュータ研究会奨励賞
情報処理学会
日本行動計量学会
キャリア関連
志望進路
教員(大学)
進路
自己PR
取得資格等
私は文学的な文章を統計的に分析し、作者の推定や成立過程などを検討して参りました。現
在は『源氏物語』などの古典文学を対象に研究しておりますが、今後は多様な文献を対象に計
量的な検討を加えたいと考えております。また、2015年度より、文化情報学部科目の「社会調
査演習」及び「文化情報学演習2」を担当しております。
学芸員
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