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1 正負の数・式の計算

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1 正負の数・式の計算
必修新演習 夏期テキスト 中3数学 指導のポイント
1
正負の数・式の計算
【指導のねらい】
★正負の数の計算ができるようにする。
★ 1 次式の計算ができるようにする。
★多項式の計算の仕方を理解する。
◆指導ページ P.2 ~ 7 ◆ はじめに
〈導入〉
この課では,1,2 年で学習した正
負の数の計算を扱う。このあたりでつ
まずいてしまう生徒は 3 年の範囲に
入ったときに苦しくなるので,1,2
年の対応する課に戻って念入りに復習
する必要がある。
特に例題 1 については,基礎中の基
礎になるので,できない生徒がいない
ように徹底して指導したい。
生徒の習熟度によっては,単なる計
算の復習なので,難なくこなしてしま
うことが予想されるので,その場合は,
演習問題に重点をおいて学習するとよ
い。
〈要点〉
例題 1
・乗除の計算結果の符号
負の数が偶数個→「+」
負の数が奇数個→「-」
・四則混合計算の順序
累乗→かっこの中→乗除→加減
学習内容・補足事項
例題 1 正負の数の計算 2
1
2
▷ (- 3) × 2 累乗から先に計算
= 9 × 4
= 36
▷ 8 + 42 ÷(- 7)× 2 わり算を先に計算
= 8 +(- 6)× 2 かけ算を先に計算
= 8 +(- 12)
=- 4
ここでは,減法から加法に,除法から乗法になおして計算することや,累乗の計算,四則
混合計算の順序を確認する。
例題 2 1次式の計算 2
▷ 3b - 8 -(2b + 1) ひく数の符号を変えてかっこをはずす
= 3b − 8 − 2b − 1
文字の部分が同じ項どうし,数の項どうしの和を求める
= 3b − 2b − 8 − 1
= b − 9
▷ - 4x × 3
=- 4 × x × 3
=- 4 × 3 × x
積の交換法則
=- 12x
数どうし計算する
例題 2
・1次式の加法
かっこをはずし,文字の部分が同じ
項どうし,数の項どうしの和を求め
る。
・1次式の減法
ひく式の各項の符号を変えて,加法
になおし,計算する。
・1次式と数の除法
a
a ÷ b =
b
c
b
a ÷ = a × (b ≠ 0,c ≠ 0)
b
c
例題 3
・分配法則
m
(a + b)
= ma + mb
(a + b)
× m = am + bm
・加法の交換法則
a + b = b + a
・乗法の交換法則
ab = ba
例題 4, 例題 5
・同類項は分配法則を使って,1 つの
項にまとめる。
ma + na =
(m + n)a
・多項式と数の乗法・除法は分配法則
を使う。
m
(a + b)
= ma + mb
例題 6
・単項式の乗法
係数の積に文字の積をかける。
・単項式の除法
乗法の形になおして計算するか,分
数の形にして約分する。
例題 3 いろいろな1次式の計算 理解 ▷ 3(2x + 4)= 3 × 2x + 3 × 4
3
分配法則 m(a + b)= ma + mb を用いる
= 6x + 12 ▷ 3(4x - 1)- 6(x - 1)
= 3 × 4x + 3 ×(- 1)+(- 6)× x +(- 6)×(- 1) = 12x - 3 - 6x + 6
かっこをはずして,文字の
部分が同じ項をまとめる
= 12x - 6x - 3 + 6
= 6x + 3
例題 4 多項式の計算 理解 4
▷ 6a - 3b + 4a + b
= 6a + 4a - 3b + b 加法の交換法則
=(6a + 4a)+(- 3b + b)
=(6 + 4)a +(- 3 + 1)b = 10a - 2b
同じ文字の項どうし計算
例題 5 いろいろな多項式の計算 理解 ▷ 2(x + y)+ 3(2x - y) 5
かっこをはずし,項を並べかえて,同類項をまとめる
= 2x + 2y + 6x - 3y
= 8x - y
例題 6 単項式の乗法・除法 理解 6
▷ 3x ×(- 2y) = 3 ×(- 2)× x × y
=- 6xy
係数の積に文字の積をかける
▷ 9xy ÷ 3x
9xy
3x
= 3y
=
分数の形にして約分する
必修新演習 夏期テキスト 中3数学 指導のポイント
2
1 次方程式
【指導のねらい】
★1次方程式を正確に解くことができる。
★比例式の取り扱いができるようにする。
★文章題を1次方程式を利用することにより解決できるようにする。
◆指導ページ P.8 ~ 13 ◆ はじめに
〈導入〉
この課では,方程式の基本である1
次方程式を取り扱う。等式の性質を利
用して x =●の形にするのだが,等式
の性質①,②が
“移項”という手法と同
じ操作であることを理解し,自在に式
変形できるように指導したい。
〈要点〉
例題 1
・1次方程式の解き方
x をふくむ項を左辺に,定数項を右
辺に移項して,ax = b の形に整理
する。
・等式の性質
A = B ならば
① A + C = B + C
② A - C = B - C
③ AC = BC
A B
④ = (C ≠ 0)
C C
③ B = A
学習内容・補足事項
例題 1 1次方程式の解き方 ▷ x + 8 = 3
x + 8 - 8 = 3 - 8
x =- 5
▷ x - 4 = 10
x = 10 + 4
x = 14
1
等式の性質②
左辺の- 4 を右辺に移項する
例題 2 かっこをふくむ1次方程式 理解 2
▷ 2(x - 1)= 5
分配法則
2x - 2 = 5
左辺の- 2 を右辺に移項する
2x = 5 + 2
7
x =
2
例題 3 係数に分数や小数をふくむ1次方程式 3
▷ 0.5x - 1 = 0.2x - 1.6
両辺に 10 をかける
(0.5x - 1)× 10 =(0.2x - 1.6)× 10
分配法則
5x - 10 = 2x - 16
x をふくむ項を左辺に,定数項を右辺に移項する
5x - 2x =- 16 + 10
3x =- 6
x =- 2
例題 2
・かっこをはずして,例題 1 のように, 例題 4 比例式 理解 4
▷ x:6 = 3:2
ax = b の形に整理する。
比例式の性質
2x = 18
例題 3
x = 9
・係数を整数になおしてから解く。
係数が分数の場合,分母の最小公倍 例題 5 1次方程式と解 理解 5
数を両辺にかける。
▷ 方程式 4x + a = 11 + 2x の解が 3 であるとき,a の値を求めよ。
係数が小数の場合,10,100,…を
を両辺にかける。
. 例題 4
・比例式の性質
内項の積と外項の積は等しい。
a:b = c:d ならば ad = bc
例題 5
・方程式の解が p であるとき,その方
程式の x に p を代入したとき,成り
立つ。
例題 6
・数量の関係から未知数量に関する等
式をつくる。
方程式
この方程式を解き,方程式の解が問
題にあっているかどうかを調べて答
えを書く。
方程式を整理すると,a = 11 - 2x
これに x = 3 を代入して,
a = 11 - 2 × 3 a = 5
例題 6 1次方程式の利用① 理解 6
▷ 1000 円で,ノート 3 冊と 250 円のしおりを 1 枚買うと,おつりが 405 円だった。
ノート 1 冊の値段はいくらか求めよ。
ノート 1 冊の値段を x 円とすると,
1000 -(3x + 250)= 405 ←おつり
支払った 買った
お金 代金
1000 - 3x - 250 = 405 - 3x =- 345 x = 115
ノート 1 冊の値段を 115 円とすると,1000 -(115 × 3 + 250)= 405(円)だから,x = 115
は問題に適している。よって,115 円
例題 7 1次方程式の利用② 理解 7
▷ 弟は家を出発して学校に向かった。その 5 分後に,姉は家を出発して同じ道を歩いて弟を
追いかけた。弟の歩く速さを毎分 50m,姉の歩く速さを毎分 75m とすると,姉は家を出発
してから何分後に弟に追いつくか求めよ。
例題 7
姉が家を出発してから x 分後に弟に追いつくとすると,弟の進んだ道のりは,50
(5 + x)
(m)
姉の進んだ道のりは,75x(m)
・数量の関係からここでは道のりに関
する等式をつくる。
方程式
したがって,75x = 50(5 + x)が成り立つ。これを解くと,
75x = 250 + 50x 25x = 250 x = 10
この解は問題に適している。よって,10 分後
必修新演習 夏期テキスト 中3数学 指導のポイント
3
連立方程式
【指導のねらい】
◆指導ページ P.14 ~ 19 ◆ ★代入法・加減法のどちらで解けばより計算が楽であるかを判断し,着実に解くことができるようにする。
★文章題から,未知数量を x,y とおき,2 つの等しい数量関係を立式できるようにする。
はじめに
〈導入〉
この課では,2 年に学習した連立方
程式の復習をする。代入法・加減法の,
どちらの解き方で解けばより簡単であ
るかを見極め,ミスのないように解け
るように確実に指導したい。
〈要点〉
例題 1
一方の式をもう一方の式に代入する
学習内容・補足事項
例題 1 代入法による連立方程式の解き方 ▷ y =- 3x - 1 ……① 連立方程式
を代入法で解け。
4x + 3y = 7 ……②
①を②に代入して,4x + 3(- 3x - 1)= 7 y を消去
4x - 9x - 3 = 7 - 5x = 10 x =- 2 ……③
③を②に代入して,y =- 3 ×(- 2)- 1 = 6 - 1 = 5 よって,x =- 2,y = 5
例題 2 加減法による連立方程式の解き方 2
▷ x + 2y = 9 ……① 連立方程式
を加減法で解け。
3x - y =- 1 ……②
ことにより,文字を消去する。代入
① x + 2y =
するときにはかっこを忘れないよう
②× 2
+ 6x - 2y =- 2
に注意する。
1
7x
=
9
7
…③
x
= 1
例題 2
③を②に代入して,3 - y =- 1 - y =- 4 y = 4 よって,x = 1,y = 4
1 つの文字の係数の絶対値をそろえ, ①× 3 -②でも求められる。
2 つの式の両辺をたしたり,ひいた
例題 3 かっこをふくむ連立方程式 理解 3
りして 1 つの文字を消去することに
▷ 2(x - 5)+ 3(y + 2)= 1 ……① よって解く。
連立方程式
x - 2y =- 8 ……② を解け。
ax + by = c の形
①を整理して,2x
- 10 + 3y + 6 = 1 2x + 3y = 5 ……①' 例題 3
②より,x = 2y - 8 ……②'
・ax + by = c の形に整理してから連
②' を①' に代入して, 2(2y - 8)+ 3y = 5 4y - 16 + 3y = 5 y = 3 ……③
立方程式を解く。
③を②' に代入して,x = 6 - 8 =- 2 よって,x =- 2,y = 3
例題 4
例題 4 係数に分数や小数をふくむ連立方程式 理解 4
係数がすべて整数になるような数を
▷ 0.5x + 0.4y = 0.6 ……① 両辺にかけてから連立方程式を解く。 連立方程式 0.1x - 0.3y = 0.5 ……② を解け。
①×
10 5x + 4y = 6 ……①'
②× 10 x - 3y = 5 ……②'
例題 5 A = B = C の形の連立方程式
①' -②' × 5 19y =- 19 y =- 1 ……③
A=B A=B A=C
, , ' に代入して,x + 3 = 5 x = 2 よって,x = 2,y =- 1
③を②
A=C B=C B=C
のいずれかの組み合わせで解く。
例題 6
x = p,y = q が連立方程式の解で
あ る と き,x = p,y = q を そ の 連
立方程式に代入すると,成り立って
いることを用いる。
例題 7
等しい数量の関係を 2 つみつけ,立
式し,その連立方程式を解く。
例題 5 A = B = C の形の連立方程式 理解 5
▷ 連立方程式 5x + 2y = 8x + 4y = 4 を解け。
5x + 2y = 4 ……①
8x + 4y = 4 ……②
① -② ÷ 2 x = 2 ……③
③を① に代入して,10 + 2y = 4 y =- 3 よって,x = 2,y =- 3
例題 6 連立方程式と解 理解 6
▷ ax + by = 9 ……① 連立方程式 ax - by = 3 ……② の解が x = 3,y = 1 であるとき,a,b の値を求めよ。
①,②に
x = 3,y = 1 を代入すると,
3a + b = 9 ……①'
3a - b = 3 ……② '
①' ,② ' を連 立 方 程 式 と し て 解 く と ,a = 2,b = 3 よって,a = 2,b = 3
例題 7 連立方程式の利用 理解 7
▷ 1 個 80 円のみかんと,1 個 150 円のりんごを合わせて 10 個買い,1080 円支払った。
みかんとりんごをそれぞれ何個買ったか求めよ。
個数についての式と,代金についての式をつくり,それらを連立方程式として解く。
みかんを x 個,りんごを y 個買ったとすると,
個数の関係から, x + y = 10 ……①
代金の関係から, 80x + 150y = 1080 ……②
①,②を連立方程式として解くと,x = 6,y = 4 よって,みかん 6 個,りんご 4 個
必修新演習 夏期テキスト 中3数学 指導のポイント
4
1 次関数
【指導のねらい】
★比例,反比例,1 次関数の式が扱えるようにする。
★直線のグラフが扱えるようにする。
★ 2 直線の交点の座標の求め方を理解する。
◆指導ページ P.20 ~ 25 ◆ はじめに
〈導入〉
この課では,1 次関数を取り扱う。
ただし,反比例は 2 年で学習した 1 次
関数とは式もグラフの形も違うため,
忘れていることが多いので,注意して
指導する必要がある。
グラフについては,今後学習する 2
学習内容・補足事項
例題 1 比例と反比例 1
▷ y は x に比例し,x = 2 のとき,y =- 6 である。y を x の式で表せ。
y = ax に x = 2,y =- 6 を代入して,2a =- 6 a =- 3 よって,y =- 3x
▷ y は x に反比例し,x =- 3 のとき,y = 4 である。y を x の式で表せ。
a
a
12
y = に x =- 3, y = 4 を代入して,4 =
a =- 12 よって,y =-
x
-3
x
a
反比例で比例定数 a を求める場合は,反比例の式 y = を変形した a = xy を用いてもよい。
x
次関数では放物線を扱うことになるの
で,直線のグラフを学習するのは最後
になる。どうすればグラフがかけるの
か,x 軸や y 軸,2 直線の交点の座標
はどのように求めるかなど,徹底して
指導したい。
例題 2 1次関数の変化の割合 理解 2
▷ 1 次関数 y = 2x + 5 で,x の値が 0 から 3 まで増加したときの変化の割合を求めよ。
x = 0 のとき,y = 5,x = 3 のとき,y = 11
x の増加量は,3 - 0 = 3,y の増加量は,11 - 5 = 6
6
したがって,変化の割合= = 2
3
〈要点〉
例題 1
例題 3 1次関数のグラフ ・比例の式… y = ax
・反比例の式… y =
a
x
このとき a を比例定数という。
3
y
3
▷ 1 次関数 y = x + 4 グラフの傾きと切片をいえ。また,
2
右の図のア~エのうちのどの直線か,記号で答えよ。
グラフの傾きが
例題 2
3
,切片が 4 であることから,グラフはウ。
2
ウ
エ
5
ア
イ
-5
・x の増加量に対する y の増加量の割
O
5
x
-5
合を変化の割合という。
(y の増加量)
(変化の割合)
=
(x の増加量)
・1 次 関 数 y = ax + b で は, 変 化 の
割合は一定で,傾き ax に等しい。
例題 4 1次関数の式 理解 4
▷ 傾きが 2 で,点(3,7)を通る直線の式を求めよ。
傾きが 2 なので,求める直線の式は y = 2x + b とおける。x = 3,y = 7 を代入して,
例題 3
7 = 2 × 3 + b b = 1 よって,求める直線の式は,y = 2x + 1
・y = ax + b のグラフ
傾きは a,切片は b
例題 4
・1 次関数の式… y = ax + b
このときの a を傾き,b を切片とい
う。
「平行」という言葉が出てきたら,「その 2 直線の傾きは等しい」ということである。ま
た,「y 軸との交点の y 座標」という言葉が出てきたら,これは切片のことを指すので,
あわせて注意しておきたい。
例題 5 方程式とグラフ 5
y
▷ 方程式 2x - y - 2 = 0 を y について解き,
そのグラフをかけ。
・
(傾き)
=
(変化の割合)
この方程式を y について解くと,
(y の増加量)
=
(x の増加量)
直線は以下の①,②を踏まえてかく。
例題 5
・方程式のグラフのかき方…以下の 2
つのかき方がある。
5
2x - y - 2 = 0 - y =- 2x + 2 y = 2x - 2
①切片が- 2 なので,点(0, - 2)を通る。
②傾きが 2 =
O
-5
2
なので,x が 1 増加すると,y は 2 増加する。
1
x
5
-5
①傾きと切片を求めてからかく。
②通る 2 点を求めてかく。
例題 6
・2 直線の交点と連立方程式の解
2 直線の交点の座標は,その 2 直線
を表す 2 つの式を連立方程式とみて
解いた解と一致する。
例題 6 2直線の交点 理解 6
▷ 右の図で,2 直線ℓ,m の交点 P の座標を求めよ。
-2
直線ℓは,傾き =- 2,切片 4 であるから,
1
y =- 2x + 4 ……①
1
直線 m は,傾き = 1,切片- 1 であるから,
1
y = x - 1 ……②
5
2
①,②を連立方程式として解くと,x = ,y =
3
3
( 53 , 23 )
よって,P
ℓ y
m
5
-5
O
-5
P
5
x
必修新演習 夏期テキスト 中3数学 指導のポイント
5
平面図形・空間図形
【指導のねらい】
◆指導ページ P.26 ~ 31 ◆ ★基本の作図の性質を理解し,作図できるようにする。
★おうぎ形の弧の長さと面積を求められる。
★角柱
(錐)
・円柱(錐)・球の表面積と体積の公式を用いて求められる。回転体のの表面積と体積を求められる。
はじめに
〈導入〉
この課では作図や平面図形,空間図
形についての
(表)面積や体積など,1,
2 年で学習してきた図形を広く取り扱
う。
作図については,入試に出る場合が
多いので,基本的な作図は必ずおさえ
ておく必要がある。
おうぎの弧の長さと面積,角柱(錐),
円柱
(錐)
,球,回転体の表面積と体積
は,入試問題で頻出であるので,その
基本をおさえておく必要がある。
図形問題は,苦手とする生徒が多い
ので,丁寧に指導したい。
〈要点〉
学習内容・補足事項
例題 1 基本の作図 1
▷ 右の図で,P を通り,直線ℓに垂直な直線を作図せよ。
ℓ上の 2 点 A,B を,PA = PB となるようにとると,△ PAB は
ℓ
二等辺三角形。さらに,CA = CB となる点をとると,△ CAB は二
等三角形。線分 PC と AB は直交する。
P
①点 P を中心としてℓに交わる円をかき,ℓとの交点を A,B とす
る。
② A,B を中心として等しい半径の円をかき,その交点を C とする。
③
ℓ
例題 2 おうぎ形 ①
A
B
C
③直線 PC をひく。
暗記 する。
弧の長さは,2π× 10 ×
②
2
▷ 右の図のおうぎ形の弧の長さと面積を求めよ。ただし,円周率はπと
面積は,π× 102 ×
例題 1
P
10 cm
54
= 3π
(cm)
360
54°
54
= 15π
(cm3)
360
・垂線・角の二等分線の描き方を理解
例題 3 角柱・円柱の表面積と体積 する。
暗記 3
▷ 右の図の円柱の表面積と体積を求めよ。
4 cm
2
例題 2
表面積は,(π× 4 )× 2 +(2 ×π× 4 × 10)
・おうぎ形の弧の長さと面積
底面積 側面積
半径が r,中心角が a°のおうぎ形
= 32π+ 80π
の弧の長さをℓ,面積を S とする
= 112π
(cm2)
と,
体積は,π× 42 × 10 = 160π
(cm3)
a
a
ℓ= 2πr × S =πr 2 × 360
360
例題 4 角錐・円錐の表面積と体積 例題 3
・角柱・円柱の表面積と体積
(表面積)
=
(側面積)+(底面積)× 2
(体積)
=
(底面積)×(高さ)
暗記 10 cm
4
▷ 右の図の正四角錐の体積を求めよ。
3 cm
1
×(5 × 5)× 3 = 25
(cm3)
3
底面積 高さ
体積は,
5 cm
5 cm
例題 4
・角錐・円錐の表面積と体積
例題 5 球の表面積と体積 理解 (表面積)
=
(側面積)+(底面積)
▷ 右の球の表面積と体積を求めよ。
1
(体積)
= ×
(底面積)×(高さ)
3
例題 5
2
5
6 cm
2
表面積は,4π× 6 = 144π
(cm )
4
体積は, π× 63 = 288π
(cm3)
3
・球の表面積と体積
球の半径を r,表面積を S,体積を
V とすると,
4
S = 4πr V = πr 3
3
2
例題 6 回転体 理解 6
▷ 右の図で,長方形 ABCD を,直線ℓを軸として 1 回転させてできる
立体の表面積と体積を求めよ。
1 回転してできる立体は,右の図のような円柱で
ある。
表面積は,2π× 3 × 4 +π× 32 × 2
= 24π+ 18π
= 42π
(cm2)
体積は,π× 32 × 4 = 36π
(cm3)
3 cm
A
D
ℓ
A
D
4 cm
4 cm
B
C
B
3 cm
C
必修新演習 夏期テキスト 中3数学 指導のポイント
6
三角形と四角形
【指導のねらい】
★平行線や多角形の角の計算の仕方を理解する。
★三角形の合同の証明の仕方を理解する。
★二等辺三角形や平行四辺形の性質や証明の仕方を理解する。
◆指導ページ P.32 ~ 37 ◆ はじめに
〈導入〉
角の計算については,平行線に関す
る問題は比較的簡単なものが多いが,
多角形の内角の和や外角の和を忘れて
いる生徒が多いので,注意して指導し
たい。
二等辺三角形や平行四辺形になるた
めの条件をおさえ,さらに,それらの
図形の性質を理解する。
三角形や平行四辺形を用いた証明で
は,証明の流れを徹底して指導する。
問題量が不足しがちなので,その場合
は 2 年の対応する課に戻って復習する
とよい。
学習内容・補足事項
例題 1 平行線と角 1
▷ 右の図で,∠ x の大きさを求めよ。
ただし,ℓ// m とする。
平行線の同位角は等しいので,
ℓ
65°
同位角
65°+∠ a = 180°
∠ a = 115°
m
よって,∠ x = 115°
例題 2 三角形の角,多角形の角 65°
ℓ
a
x
m
x
2
▷ 右の図で,∠ x のの大きさを求めよ。
x
n 角形の内角の和は,180°×(n - 2)であるから,四角形の内角
130°
の和は,180°×(4 - 2)= 360°
70°
したがって,130°+ 70°+ 67°+∠ x = 360°
67°
よって,∠ x = 93°
〈要点〉
例題 1
例題 3 三角形の合同 理解 ・平行線の同位角は等しい。
▷ 右の図で,OA = OB,OC = OD であるとき,合同な三角形を
・平行線の錯角は等しい。
3
A
記号≡を使って表せ。また,そのときに使った合同条件をいえ。
C
△ AOD と△ BOC において,
例題 2
OA = OB(仮定より) ……①
・三角形の 1 つの外角は,それととな
OD = OC(仮定より) ……②
B
D
O
り合わない 2 つの内角の和に等しい。 ∠ AOD =∠ BOC(共通) ……③
・n 角形の内角の和… 180°×(n - 2)
①,②,③より,2 組の辺とその間の角がそれぞれ等しいから,
・n 角形の外角の和… 360°
△ AOD ≡△ BOC
2 組の辺とその間の角がそれぞれ等しい。
例題 3
・三角形の合同条件
① 3 組の辺がそれぞれ等しい。
② 2 組の辺とその間の角がそれぞれ
等しい。
③ 1 組の辺とその両端の角がそれぞ
れ等しい。
例題 4
・二等辺三角形の性質
①二等辺三角形の底角は等しい。
②二等辺三角形の頂角の二等分線は,
底辺を垂直に 2 等分する。
例題 5
・平行四辺形の定義… 2 組の対辺がそ
れぞれ平行な四角形
・平行四辺形の性質
① 2 組の対辺はそれぞれ等しい。
② 2 組の対角はそれぞれ等しい。
③対角線はそれぞれの中点で交わる。
例題 4 二等辺三角形 理解 4
A
右の図で,AB = AC であるとき,∠ x の大きさを求めよ。
64°
▷ 二等辺三角形の底角は等しいから,
∠ ACB =∠ x
x
B
64°+ 2 ∠ x = 180°
よって,∠ x = 58°
C
C
▷ ∠ ABC = 180°- 110°= 70°
二等辺三角形の底角は等しいから,
∠ x + 70°× 2 = 180°
110°
x
B
A
よって,∠ x = 40°
例題 5 平行四辺形 理解 5
A
右の平行四辺形 ABCD で,x,y の値を求めよ。
70°
110°
D
▷ 平行四辺形では,2 組の対角はそれぞれ等しいので,
∠ B =∠ D より,∠ x = 70°
∠ C =∠ A より,∠ y = 110°
y°
x°
B
C
よって,x = 70,y = 110
A
▷ 平行四辺形の 2 つの対角線はそれぞれの中点で交わるので,
x + x = 10(cm)より,x = 5(cm)
平行四辺形では,2 組の対辺はそれぞれ等しいから,
AB = DC より,y = 7(cm)
よって,x = 5,y = 7
D
10 cm
7 cm
y cm
x cm
B
C
必修新演習 夏期テキスト 中3数学 指導のポイント
7
資料の活用・確率
【指導のねらい】
★度数分布表やヒストグラム,代表値など,資料を整理し,活用できるようにする。
★樹形図や表を利用して場合の数を数えられるようにする。
★確率の計算の仕方を理解する。
はじめに
〈導入〉
この課では資料の活用や確率を扱う。
年度の最後に学習しているので,問題
量をこなした経験が少なく,記憶に残
りにくい課である。
資料の整理については,扱う用語が
多いので,覚えづらい。用語の確認か
ら指導していくとよい。
確率については,基本的に樹形図や
表を利用して数え上げのみで計算して
いくので,樹形図や表のかき方,数え
学習内容・補足事項
例題 1 度数分布表 1
めたものである。次の問いに答えよ。
② 通学時間が 20 分以上 25 分未満
の階級の相対度数を求めよ。
O
の値
③最 頻 値
(モ ー ド)… 資 料 の 中 で
もっとも多く出てくる値。度数
分布表では,度数のもっとも多
い階級の階級値のこと。
ある日のテレビ視聴時間をまとめたも
のである。次の問いに答えよ。
階級(時間) 階級値(時間) 度数(人) 階級値×度数
以上 未満
値を求めよ。
0~1
1~2
2~3
3~4
4~5
計
0.5
1.5
2.5
3.5
4.5
1
13
7
2
2
25
・場合の数の数え方…樹形図や,表を
利用する。もれなく,重複なく数え
上げることが大切である。
例題 4
A の起こる場合の数
すべての場合の数
0.5
19.5
17.5
7
9
53.5
53.5
= 2.14(時間)
25
② 中央値はどの階級に入っているか。
25 人中の中央の値は 13 人目の値なので,中央値は 1 時間以上 2 時間未満の階級に入っ
ている。
③ 最頻値を求めよ。
度数のもっとも多い階級の階級値は 1.5 時間。
例題 3 場合の数 3
▷ 袋の中に,1 から 5 までの番号のついた玉が,それぞれ 1 個ずつ合計 5 個入っている。こ
の袋の中から同時に 2 個取り出すとき,次の問いに答えよ。
① 取り出し方は,全部で何通りあるか。
5 個の玉を,①,②,③,④,⑤として樹形図をかくと,
例題 3
・A の起こる確率=
5 10 15 20 25 30(分)
2
(階級値×度数)の総和
平均値=
より,
度数の合計
大きさの順に並べたときの中央
2
ムに表せ。
例題 2
②中央値
(メジアン)…資料の値を
2
4
8
5
1
20
4
① 右の表から,階級値を用いて平均
資料の値の総和
①平均値…
度数の合計
8
③ この度数分布表を,ヒストグラ
通学時間
6
その階級の度数
・相対度数…
度数の合計
つの値。以下の 3 つがある。
(人)
10
5
= 0.25
20
・階級の幅…分けられた区間の幅
・代表値…資料の傾向や特徴を表す 1
5 ~ 10
10 ~ 15
15 ~ 20
20 ~ 25
25 ~ 30
計
10 - 5 = 5(分)
▷ 右の度数分布表は,25 人の生徒の
・階級値…階級のまん中の値
以上 未満
① 階級の幅を求めよ。
例題 2 代表値 例題 1
階級(分) 度数(人)
▷ 右の度数分布表は,あるクラスの 20 名の通学時間をまと
方を重点的に指導したい。
〈要点〉
◆指導ページ P.38 ~ 43 ◆ ①
以下のように全部で 10 通り。
①
②
③
④
③
②
④
③
④
⑤
①
⑤
④
⑤
⑤
②
③
④
⑤
1
2
3
4
1
2
3
1
2
③
② 取り出した 2 個の玉の数の差が 2 となるときは何通りあるか。
右の表より,2 個の玉の数の差が 2 となるのは,3 通り。
②
④
1
⑤
重なりのないように数え上げる場合は,①―②,②―①などの重なりがないように,樹形
図をかくときに十分に注意する。
例題 4 確率 4
▷ A,B,C 3 種類の硬貨を同時に投げるとき,次の確率を求めよ。
① すべて表が出る確率 A
B
C
A
表を○,裏を×として樹形図をかく。樹形
1
図より,①のみ。よって,求める確率は,
8
② 2 枚以上裏が出る確率
○
○
×
○…①
×…②
○…③
×…④
B
○
×
×
C
○…⑤
×…⑥
○…⑦
×…⑧
2 枚が裏になるのは,④,⑥,⑦,3 枚が裏になるのは,⑧となるので,求める確率は,
4 1
=
8 2
必修新演習 夏期テキスト 中3数学 指導のポイント
8
多項式の計算
【指導のねらい】
★多項式の展開の仕方を理解する。
★乗法公式を覚えて使えるようにする。
★おきかえを利用した展開の仕方を理解する。
◆指導ページ P.44 ~ 49 ◆ はじめに
〈導入〉
この課では公式を使った展開を主に
取り扱う。分配法則の計算が基礎とな
るので,苦手な生徒は 2 年の数×多項
式の計算に戻って復習するとよい。
公式を使わない展開の計算は,公式
を使う計算でも公式を忘れてしまった
ときにとても役に立つので,徹底して
指導する。
乗法公式は,今後の展開の計算に役
学習内容・補足事項
例題 1 多項式と単項式の乗除,式の展開 ▷ 2a(2b - 3c) = 4ab - 6ac
分配法則
▷ (x + 3)
(y + 5) = xy + 5x + 3y + 15 例題 2 乗法公式① 1
x を y と 5 に,3 を y と 5 にかける
暗記 2
▷ (x - 2)
(x + 5) 乗法公式①
2
= x +(- 2 + 5)x +(- 2)× 5 に立ち,覚えて使えるのとそうでない
= x2 + 3x - 10
数分解する際には必須といえる。覚え
= a2 - 7a + 12
(a - 4) のとでは計算スピードが段違いなので, ▷ (a - 3)
乗法公式①
2
{
3)+(- 4)}a +(- 3)×(- 4) 必ず覚えさせる必要がある。また,因 = a +(-
る際には公式を書かせたり,声に出し
乗法公式①は,以下で学習する乗法公式②,③を使う式でも使うことができる。ただし,
計算するスピードが遅くなるので,②,③が使えない場合に限って使うとよい。
て読ませると良い。
おきかえを利用した展開は,主に扱
うのは高校に入ってからになるが,で
きるのとできないのとでは計算スピー
例題 3 乗法公式② 暗記 3
2
ドも計算量もかなり違ってくるので,
▷ (x + 5) 乗法公式②ⅰ
= x2 + 2 × x × 5 + 52 是非とも覚えさせたい。
= x2 + 10x + 25
〈要点〉
2
▷ (a - 3b)
乗法公式②ⅱ
2
2
= a - 2 × a × 3b +(3b)
例題 1
= a2 - 6ab + 9b2
・式を展開する…かっこをはずして単
項式の和の形に表すこと
乗法公式②は 2 つあるが,次のように,ⅱの式の b を符号までふくめて(- b)と考えると,
ⅰの計算になる。このように,符号まで含めて考えれば乗法公式②はⅰの式の 1 つだけに
なる。
(a + b)
(c + d)
= ac + ad + bc + bd
例題 2
・乗法公式①
(x + a)
(x + b)
= x2 +
(a + b)
x + ab
例題 3
・乗法公式②
2
ⅰ (a + b)
= a2 + 2ab + b2
2
ⅱ (a - b)
= a2 - 2ab + b2
例題 4
・乗法公式③
(a + b)
(a - b)
= a2 - b2
例題 5
・おきかえを利用した展開…多項式を
2
2
(a - b)
= {a +(- b)}2 = a2 + 2 × a ×(- b)+(- b)
= a2 - 2ab + b2
例題 4 乗法公式③ 暗記 4
▷ (x + 4)
(x - 4) 乗法公式③
2
= x - 42
= x2 - 16
▷ (2a + 3b)
(2a - 3b) 乗法公式③
2
2
=(2a) -(3b)
= 4a2 - 9b2
例題 5 おきかえを利用した展開 理解 5
2
▷ (a + b + 3) a + b = X とおく
2
=(X + 3)
= X2 + 6X + 9 X を a + b に戻す
2
=(a + b)
+ 6(a + b)+ 9 = a2 + 2ab + b2 + 6a + 6b + 9
1 つの文字におきかえて,乗法公式
にあてはめて展開する。その後,お
きかえた文字を多項式に戻す。
例題 6 加法・減法を組み合わせた式の展開 理解 2
▷ (x - 1) +(x + 2)
(x + 3)
=(x2 - 2x + 1)+(x2 + 5x + 6)
例題 6
= x2 - 2x + 1 + x2 + 5x + 6
・乗法公式①〜③を用いて,いろいろ
= 2x2 + 3x + 7
な式の展開ができるようにしておく。
6
乗法公式②と①を使って,式を展開する
必修新演習 夏期テキスト 中3数学 指導のポイント
9
因数分解
【指導のねらい】
★素因数分解の仕方を理解する。
★乗法公式を利用した因数分解の仕方を理解する。
★因数分解を利用した証明ができるようにする。
◆指導ページ P.50 ~ 55 ◆ はじめに
〈導入〉
この課では因数分解を扱う。因数分
解は,前の課で学習した展開の逆計算
であり,計算する上で乗法公式が密接
に関わってくるので,乗法公式を確実
に覚えさせてから本課の授業を進めて
いきたい。
因数分解を利用した証明では,全体
の証明の流れをつかむことが重要であ
る。証明の書き方に不安がある生徒は,
2 年の文字式の利用のところに戻って
証明の復習をするとよい。
学習内容・補足事項
例題 1 共通因数をくくり出す 1
▷ 24 を素因数分解し,累乗の指数を使って表せ。 2 24
小さい素数からわってい
24 = 2 × 2 × 2 × 3 = 23 × 3
2 12
き,わられる数が素数に
右のように計算するとよい。
2 6
なるまで続けると,もと
3
の数は左端といちばん下
▷ 次の式を因数分解せよ。
の数の積で表される。
① xy - yz
= y × x - y × z y が共通因数なので,y でくくる
= y(x - z)
② 2x2 - 4xy + 6x
= 2x × x - 2x × 2y + 2x × 3 2x が共通因数なので,2x でくくる
= 2x(x - 2y + 3)
例題 2 乗法公式を利用した因数分解① 〈要点〉
2
2
▷ x - 3x - 10 を因数分解せよ。
例題 1
・素数… 1 より大きい整数で,1 とそ
の数以外に約数をもたない数
・素因数…約数のうち素数である数
・素因数分解する…整数を素因数の積
の形に表すこと
・共通因数でくくり出す。
ma + mb = m(a + b)
例題 2, 例題 3, 例題 4
・乗法公式を利用した因数分解…乗法
公式を利用して,展開の逆操作を行
う。
①' x +
(a + b)
x + ab
2
x2 - 3x - 10 積が- 10,和が- 3 となるような 2 数は 2 と- 5
= x2 + {2 +(- 5)}x + 2 ×(- 5) ①'
=(x + 2)
(x - 5)
例題 3 乗法公式を利用した因数分解② 理解 ▷ x + 6x + 9 を因数分解せよ。
x2 + 6x + 9
= x2 + 2 × 3 × x + 32
2
=(x + 3)
例題 4 乗法公式を利用した因数分解③ 理解 x2 - 9
= x2 - 32
③'
例題 5 いろいろな式の因数分解 理解 5
③' a2 - b2 =(a + b)
(a - b)
▷ 次の式を因数分解せよ。
例題 5
① a(x + y)- 3(x + y) x + y = X とおく
= aX - 3X
・共通因数がある場合,初めにくくり
出してから,さらに因数分解ができ
れば因数分解す。
ma + mb = m(a + b)
・おきかえを利用した因数分解…多項
式を 1 つの文字におきかえて,乗法
公式にあてはめて因数分解をする。
その後,おきかえた文字を多項式に
戻す。
例題 6
・因数分解や展開を利用してくふうし
て式の計算ができないか考える。
4
▷ x2 - 9 を因数分解せよ。
=(x + a)
(x + b) =(x + 3)
(x - 3)
2
2
2
②' a + 2ab + b =(a + b)
2
a2 - 2ab + b2 =(a - b)
3
2
= X(a - 3) =(x + y)
(a - 3) X を x + y に戻す
② (a + b)2 + 6(a + b)+ 8 a + b = X とおく
= X2 + 6X + 8
=(X + 2)
(X + 4) X を a + b に戻す
=(a + b + 2)
(a + b + 4) 例題 6 式の計算の利用 理解 2
6
2
▷ 19 - 11 を,くふうして計算せよ。
192 - 112
=(19 + 11)
( 19 - 11)
a2 - b2 =(a + b)
(a - b)を利用
= 30 × 8
= 240
▷ x = 8,y = 3 のとき,x2 - 2xy + y2 の値を求めよ。
x2 - 2xy + y2
2
=(x - y)
2
=(8 - 3)
= 52 = 25
必修新演習 夏期テキスト 中3数学 指導のポイント
10
平方根
【指導のねらい】
★平方根の言葉の意味を理解する。
★分母の有理化の仕方を理解する。
★平方根の計算の仕方を理解する。
◆指導ページ P.56 ~ 61 ◆ はじめに
〈導入〉
この課では平方根を学習する。平方
根は 2 乗の逆であるが,理解のしづら
いところなので,平方根の言葉の意味
を具体例でよく実感させて指導してい
きたい。
根号の変形については,平方根の
様々な計算をする上で必ず必要になっ
学習内容・補足事項
例題 1 平方根 1
▷ 次の数の平方根を求めよ。
5
① 4 ② 10 ③ 36
5
正の数の平方根は,正の数と負の数の 2 つある。よって,①± 2 ②± 10 ③±
6
▷ 次の数を根号を使わないで表せ。
2
① 25 ② 64 ③ ( 5 )
てくるので,根号の変形が確実にでき ①~③は全て根号の中が 0 より大きい数なので,① 5 ② 8 ③ 5
るように指導してから先に進むとよい。 2 つの問題を混同して, 25 =± 5 と間違えてしまう場合があるので注意する。
分母の有理化は,分母を無理数のな
い形に直す作業であるが,中学の範囲
例題 2 根号の変形 2
では根号を含む場合しか扱わないので,
▷ 12 を変形して, の中をできるだけ簡単な数にせよ。
分母に根号がない形を分母の有理化と
根号の中の数を素因数分解して変形する。
しても構わない。
2
平方根の計算については,今までの 12 = 4 × 3 = 2 × 3 = 2 3
四則演算と少しルールが違うように見
えることがあるので,じっくりと指導
する必要がある。
〈要点〉
例題 1
a > 0 のとき
・a の平方根… 2 乗すると a になる数
で, a,- a の 2 つある。
a,- a をまとめて,± a と表す。
・平方根の性質
2
( a ) = a a2 = a
例題 2
・根号のついた数の変形…根号の中の
数を素因数分解して,2 乗になる数
があれば,根号の外に出すことがで
きる。
2
2
a b = a b = a b(a>0,b>0)
例題 3
・平方根の大小
◦ a,b が正の数で,a < b ならば,
a < b
◦負の数は 0 より小さく,絶対値が
大きいほど小さい。
例題 4
a > 0,b > 0 のとき
a × b = ab
a
a ÷ b = b
例題 5
・分母の有理化…分母に根号がある場
合に分母に根号がない形に変形する
こと。分母と分子に同じ数をかける。
b
b × a
b a
= =
a a × a
a
例題 6
・平方根の計算
m a ± n a =(m ± n) a
根号の変形では,25 や 49 といった平方数をよく使うので,平方数を頭に入れておくと,
変形のスピードは速くなる。
例題 3 平方根の大小 3
▷ 2, 5 の数の大小を,不等号を使って表せ。
2 = 4 で,4 < 5 だから, 4 < 5 すなわち 2 < 5
例題 4 根号をふくむ式の乗法・除法 4
▷ 5 × 2 = 5 × 2 = 10
12 × 3 = 12 × 3 = 36 = 6
例題 5 分母の有理化 5
3 の分母を有理化せよ。
▷ 6
分母にある根号のついた数を分母と分子にかける。
3
3 × 6
3 6 6
= = = 6 6 × 6
6
2
例題 6 根号をふくむ式の加法・減法 理解 6
▷ 3 2 + 4 2
=(3 + 4) 2 = 7 2
▷ 12 - 27
素因数分解して,2 乗になる数を根号の外に出す
= 2 3 - 3 3
=- 3
例題 7 根号をふくむ式のいろいろな計算 理解 ▷ 3(2 + 3 )
分配法則
7
= 3 × 2 + 3 × 3 = 2 3 + 3
▷ ( 2 + 2)
( 5 − 3)
= 2 × 5 + 2 ×(− 3)+ 2 × 5 + 2 ×(− 3)
= 10 − 3 2 + 2 5 − 6
式を展開
必修新演習 夏期テキスト 中3数学 指導のポイント
11
2 次方程式⑴
【指導のねらい】
★平方根を利用した 2 次方程式の解き方を理解する。
★解の公式を覚える。
★因数分解を利用した 2 次方程式の解き方を理解する。
◆指導ページ P.62 ~ 67 ◆ はじめに
〈導入〉
この課では,2 次方程式を扱う。2
次方程式は 3 年になってから学習した
展開,因数分解,平方根のすべてを利
用して計算することになるので,計算
に不安のある生徒がいる場合は,該当
学習内容・補足事項
例題 1 平方根を利用した解き方 理解 1
2
▷ 3x = 24 2 b
x = の形にする
x2 = 8 a
b
x =± の形にする
a
x =± 8 ▷ x2 + 8x + 6 = 0
x =± 2 2
する課に戻って復習してからこの課に
進むとよい。
x2 + 8x =- 6 8 の半分であ
る 4 の 2 乗を
x2 + 8x + 42 =- 6 + 42 両辺に加える
(x + 4)2 = 10
x + 4 =± 10
x =- 4 ± 10
2
2 次方程式の解き方は式によってい
くつかパターンがあるので,どの形の
式のときにどういう解き方をするべき
かに注意して指導する必要がある。
解の公式については,高校に入って
からも多用することになるので,公式
を何回も書かせたり,問題量をこなす
などして,必ず身につけておきたい。
〈要点〉
例題 1
・ax2 = b の解き方
b
b
x2 = として,x =± a
a
2
・
(x + a)
= b の解き方
x + a =± b として,a を移項する。
x =- a ± b
▷ (x + 2) = 7 x + a =± b
の形にする
x + 2 =± 7 x =- 2 ± 7
2
x + px + q = 0 の解き方は慣れないうちは非常に難しいので,慣れるまでたくさんの問
題を演習させるとよい。
例題 2 解の公式 暗記 2
2
▷ 2x - 5x + 1 = 0 を解の公式を使って解け。
2x2 - 5x + 1 = 0 解の公式
2
-(- 5)± (- 5)
-4×2×1
x=
2×2
5 ± 25 - 8
x=
4
5 ± 17
x=
4
解の公式を使うと,2 次方程式ならば必ず解を求めることができる。しかし,解の公式は
他の 2 次方程式の解き方より時間がかかるので,解の公式でないと解けないもののみに使
用するとよい。
・x2 + px + q = 0 の解き方
x の係数の半分の 2 乗を両辺に加え
2
て,
(x + a) = b の形を導く。
例題 3 因数分解を利用した解き方① 理解 3
次の方程式を解け。
▷ x2 + 6x = 0 左辺を因数分解
x(x + 6)= 0 例題 2
・解の公式… ax2 + bx + c = 0 の解は, x = 0 または x + 6 = 0
x =
- b ± b2 - 4ac
2a
よって,x = 0,- 6
▷ (x + 2)
(x - 1)= 0
x + 2 = 0 または x - 1 = 0
例題 3, 例題 4
よって,x =- 2,1
・因数分解を利用した解き方は,
(AB = 0 ならば A = 0 または B =
0)
であることを利用する。
・分配法則や,①' ,②' ,③' を使って,
因数分解する。
例題 5
・必ず,ax2 + bx + c = 0 の形にして,
左辺が因数分解できないかを考える。
因数分解できなければ解の公式を用
いて解く。
例題 4 因数分解を利用した解き方② 理解 4
2
▷ x - 5x - 6 = 0 を解け。
x2 - 5x - 6 = 0
(x - 6)
(x + 1)= 0
左辺を因数分解
x - 6 = 0 または x + 1 = 0
よって,x = 6,- 1
例題 5 いろいろな 2 次方程式 理解 5
▷ x(x + 8)=- 7 を解け。
x(x + 8)=- 7
x2 + 8x + 7 = 0
(x + 1)
(x + 7)= 0
かっこをはずして,− 7 を移項
左辺を因数分解
x + 1 = 0 または x + 7 = 0
よって,x =- 1,- 7
必修新演習 夏期テキスト 中3数学 指導のポイント
12
2 次方程式⑵
◆指導ページ P.68 ~ 73 ◆ 【指導のねらい】
2
2
★ 2 次方程式 ax + bx + c = 0 の解の 1 つが p であるとは,ap + bp + c = 0 が成り立つことを知る。
★ 2 次方程式を利用してさまざまな文章題を解けるようにする。
はじめに
〈導入〉
前課に続いて,2 次方程式を学習す
る。ここでは,2 次方程式の解の 1 つ
を 2 次方程式に代入すると成り立つこ
とから,未定係数の値を求める問題と,
文章題から,2 次方程式を立式し,そ
の解を求める問題を扱う。2 次方程式
は入試で頻出であるので,さまざまな
問題をこなしておく必要がある。
〈要点〉
例題 1
・2 次方程式の解・もう 1 つの解
2 次方程式の 1 つの解を,その 2 次
学習内容・補足事項
例題 1 2次方程式と解 理解 1
2
▷ 2 次方程式 x + ax + 6 = 0 の解の 1 つが 3 であるとき,a の値を求めよ。また,もう 1
つの解を求めよ。
x2 + ax + 6 = 0 に x = 3 を代入して,
9 + 3a + 6 = 0
a =- 5
したがって,与えられた 2 次方程式は,
x2 - 5x + 6 = 0
(x - 2)
(x - 3)= 0 x = 2,3
よって,もう 1 つの解は 2
例題 2 数に関する問題 暗記 2
▷ 大小 2 つの整数があり,その差は 5 で,積は 14 である。2 つの整数を求めよ。
方程式に代入して,a の値を求める。 小さいほうの整数を x とすると,大きいほうの整数は x + 5 と表される。
次に,a の値を代入して,2 次方程 2 つの整数の積が 14 であるから,
式を解く。
例題 2, 例題 3, 例題 4
・2 次方程式の解の確認
2 次方程式を利用して問題を解くと
き,解が問題に適するか確認する。
たとえば,x が自然数のとき,負の
x(x + 5)= 14
x2 + 5x - 14 = 0
(x - 2)
(x + 7)= 0
x = 2,- 7
x = 2 のとき,大きいほうの数は,2 + 5 = 7
x =- 7 のとき,大きいほうの数は,- 7 + 5 =- 2
これらは問題に適している。
数や分数の解などはあてはまらない。
また,x のおき方は,何通りも考え
られるが,一番計算が楽になるよう
におくとよい。
例題 3 図形に関する問題 理解 3
▷ 正方形の厚紙の 4 隅から,1 辺が 3 cm の正方形を切り取り,残
りを折り曲げて,ふたのない直方体の容器を作ったら,容積が
3 cm
3 cm
108 cm3 になった。はじめの正方形の 1 辺の長さを求めよ。
はじめの正方形の厚紙の 1 辺の長さを x cm とすると,直方体
の底面の 1 辺の長さは,x - 6(cm)と表される。
2
3 ×(x - 6)
= 108
x2 - 12x = 0
(x-6)
cm
x(x - 12)= 0
3 cm
x = 0,12
(x-6)cm
x - 6 > 0 であるから,x > 6
よって,x = 0 は問題に適さず,x = 12 は適している。
例題 4 動点に関する問題 理解 4
▷ AB = 12 cm,BC = 24 cm の長方形 ABCD がある。
点 P は辺 AB 上を毎秒 1 cm の速さで A から B まで
動き,点 Q は辺 BC 上を毎秒 2 cm の速さで B から C
まで動く。P,Q が同時に出発するとき,△ PBQ の
面積が 32 cm2 になるのは,出発してから何秒後か求
めよ。
A
24 cm
D
P
B
12 cm
Q
x 秒後に△ PBQ の面積が 32 cm2 になるとすると,
BP = 12 - (
x cm),BQ = 2x cm だから,
1
× 2x ×(12 - x)= 32
2
x(12 - x)= 32 x2 - 12x + 32 = 0 (x - 4)
(x - 8)= 0
x - 4 = 0 または x - 8 = 0 よって,x = 4,8
ここで,0 ≦ x ≦ 12,0 ≦ 2x ≦ 24 であるから,0 ≦ x ≦ 12
したがって,x = 4,8 はともに問題に適している。よって,4 秒後と 8 秒後
C
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