Comments
Description
Transcript
対モルディブ共和国 国別援助方針(案)
対モルディブ共和国 国別援助方針(案) 2016 年2月 1. 援助の意義 モルディブは伝統的な親日国であり,我が国は同国と国際場裏における協力などを 通じて友好・協力関係を維持している。また,同国はシーレーン上の要衝に位置し地 政学的な重要性を有する。 GDPの約 4 割を占める観光業は,モルディブの産業の柱として着実に成長を遂げ る一方,外的要因による影響を受けやすいことから,他産業の育成が急務となってい る。 また,モルディブは大小 1,190 の環礁島から構成される小島嶼国であり,気候変動 による海面上昇等,自然災害に対し脆弱である。気候変動は,生活環境への直接的影 響のみならず,主要産業である観光や漁業を含め,国全体へも悪影響を及ぼす可能性 がある。 我が国がモルディブを支援することは,同国が脆弱性にともなう問題に対応しつつ, 着実な経済成長を遂げ,社会開発を実施することに貢献するものである。更に,我が 国の支援を通じたモルディブの持続的発展と安定は,南アジア地域全体の民主主義の 定着と安定に大きく寄与するとともに,海上輸送路の安定にも貢献するという観点か らも有意義である。 2. 援助の基本方針(大目標):脆弱性への対応と持続可能な経済成長への支援 モルディブが,ODAの効果的・効率的な活用を通じて,小島嶼国である同国の有 する開発上の課題を克服しながら,持続的に経済を成長させ,更なる社会経済発展を 実現できるよう支援する。モルディブの一人当たり国民所得は比較的高い水準にある が,小島嶼国であることから生ずる脆弱性を有していることや我が国との関係や地政 学的な重要性に鑑み,中長期的な視野に立った支援を行う。 3. 重点分野(中目標) (1) 地場産業の育成 モルディブは観光業に大きく依存しており,観光業は外的要因(世界経済の動向等) に大きく左右される脆弱な面を有することから,漁業をはじめとする開発ポテンシャ ルの高い他産業の育成を中心とした支援を行い,外的要因の影響を受けにくい強靱な 経済構造を築き,国際収支の改善及び逼迫する財政の再建に寄与する。 (2) 環境・気候変動対策・防災 多くの小環礁島から構成されるモルディブは,気候変動による海面上昇や津波等の 自然災害に対し極めて脆弱である。また,環境の悪化による生活環境や主要産業への 悪影響等も想定される。したがって気候変動への対応,再生可能エネルギー利用の促 進などの環境・気候変動対策及び防災分野への支援を重点的に行っていく。 4. 留意事項 (1)案件形成に当たっては,官民連携,NGO・国際機関との連携などの可能性を考 慮し,あらゆる支援スキームの活用を視野に入れる。 (2)モルディブが社会・経済的な脆弱性を克服する上で重要なインフラ整備の支援 も検討していく。その際,モルディブ政府の運用・維持管理体制及び人材育成の観点 にも留意する。 (3)青少年育成・教育をはじめとする人材育成分野へのボランティア事業による支 援も継続していく。 (了) 別紙: 事業展開計画 国別援助方針 別紙 対モルディブ共和国 事業展開計画(案) 2016年2月現在 基本方針 (大目標) 重点分野1 (中目標) 脆弱性への対応と持続可能な経済成長への支援 地場産業の育成 【現状と課題】 モルディブ経済は観光を基盤としており国民総生産(GDP)の約4割を占める。これまで世界金融経済危機やユーロ 安等により観光業の外貨収入が低下し、国際資本市場からの資金調達が困難になったことを受け、外貨準備が激減し た結果、国際通貨基金(IMF)からの支援を受けてきた。 【開発課題への対応方針】 モルディブ経済は観光業に大きく依存しており、外的要因に大きく左右される脆弱な構造 を有している。このため、基幹産業である漁業をはじめとする開発ポテンシャルの高い産業 の育成を支援する。 実施期間 協力プログラム名 開発課題1-1 (小目標) 協力プログラム概要 案件名 主要産業である漁業への支援を通じモ ルディブの実体経済の強化を図る。観 持続的漁業のための水産セクタープラン策定プロジェクト 光業及び農業に対する支援については ニーズを踏まえ対応していく。 地場産業の育成 漁業分野の研修 地場産業育成プロ グラム スキーム 2014 年度 以前 2015 年度 2016 年度 2017 年度 支援額 2018 年度 2019 年度 備考 (億円) 3.71 開発計画 課題別研修他 IT農業イノベーションによる新産業の創出 医療分野等の無償資金協力 草の根技協 2.00 無償 農業分野の青年海外協力隊派遣 重点分野2 (中目標) 我が国中小企業製医 療機材等の調達 JOCV 環境・気候変動対策・防災 【現状と課題】 【開発課題への対応方針】 モルディブは大小1,190の環礁島から構成される小島嶼国であり、気候変動による海面上昇、自然災害に対し脆弱 気候変動対策、持続可能エネルギー利用の促進、廃棄物処理など環境・防災分野における である。気候変動は、生活環境への直接的影響のみならず、主要産業である観光や漁業へも悪影響を及ぼすことが想 協力を重点的に実施していく。 定され、国家全体として多大な影響を受ける可能性がある。 モルディブ政府は2020年までに「Carbon Neutral Country 」(国内における化石燃料の使用を削減し、温室効果 ガス排出を抑制し、温室効果ガスの排出と吸収によるネット排出量をゼロにする)となる旨の宣言を行うとともに、 同年までにモルディブ全島で生産する全電力のうち60%を再生可能エネルギーでまかなうという目標を掲げる等、地 球温暖化の問題に積極的に取り組む姿勢を打ち出している。 開発課題2-1 (小目標) 環境・気候変動対 策・防災 実施期間 協力プログラム名 協力プログラム概要 案件名 気候変動対策の一環として、太陽光発 電及び上下水道等環境対策等について 気候変動対策、環境・防災分野の 研修 環境・気候変動対 ニーズに基づき支援を検討する。 策・防災プログラ ム スキーム 2014 年度 以前 2015 年度 2016 年度 2017 年度 支援額 2018 年度 2019 年度 備考 (億円) 課題別研修他 防災分野の無償資金協力 無償 地上デジタルテレビ放送網整備計画準備調査 協準 5.00 気候変動対策に資す る防災機材の調達 その他 【現状と課題】 【開発課題への対応方針】 実施期間 協力プログラム名 協力プログラム概要 案件名 スキーム 2014 年度 以前 2015 年度 2016 年度 2017 年度 支援額 2018 年度 2019 年度 備考 (億円) その他 教育分野の青年海外協力隊派遣 JOCV 教育分野の草の根・人間の安全保障無償資金協力 草の根無償 社会基盤整備分野の研修 課題別研修 0.20 【凡例】 「協準」(=全ての協力準備調査)、「詳細設計」(=詳細設計)、「技プロ」(=技術協力プロジェクト)、「開発計画」(=開発計画調査型技術協力)、「個別専門家」、「個別機材」、「国別研修」、「課題別研修他」(=課題別研修及び青年研修)、「JOCV」(=青年海外協力隊)、 「SV」(=シニア海外ボランティア)、「第三国専門家」、「第三国研修」、「現地国内研修」、「科学技術」(=科学技術協力(技プロ型及び個別専門家型))、「草の根技協」(=草の根技術協力)、「○○省技協」(=外務省・JICA以外の省庁及び独立行政法人等が実施している技術協力)、「民 間提案型技協」(=開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業)、「無償」(=以下に特記するサブ・スキームを除く全ての無償資金協力)、「水産無償」(=水産無償資金協力)、「食糧援助」(=食糧援助)、「一般文化」(=一般文化無償資金協力)、「草の根文化」(=草の根文化無 償資金協力)、「緊急無償」(=緊急無償資金協力)、「日本NGO」(=日本NGO連携無償資金協力)、「草の根無償」(=草の根・人間の安全保障無償資金協力)、「有償」(=円借款、海外投融資)、「マルチ」(=国際機関等を通じた多国間協力スキーム)、「中小企業支援」(=中小企業海外展開 支援事業「基礎調査」、「案件化調査」及び「普及・実証事業」、並びに中小企業連携促進基礎調査)、実線「―――」(=実施期間)、破線「- - - -」(=実施予定期間)