...

第1回実践報告会プログラム

by user

on
Category: Documents
21

views

Report

Comments

Transcript

第1回実践報告会プログラム
一人ひとりのいのち輝いて―
平成17年度天橋の郷ユニットケア実践報告書
社会福祉法人
北 星 会
特別養護老人ホーム 天橋の郷
<天橋の郷ユニットケア>
一歩一歩、確実な足取りで歩いていきましょう
特別養護老人ホーム 天橋の郷
施 設 長 北 條 千 恵 子
昨年の5月1日、曇りがちな空模様と連休の道路の込み具合を気にかけなが
ら、天橋園から50人の大規模引越しを敢行して始まった天橋の郷のユニット
ケア・・・・・従来型ケアに慣れ親しんでいる方々が完全個室のユニットスタ
イルにどんな反応を示されるか、不安と期待の入り混じった気持ちで、玄関に
お迎えに立ったことが今は懐かしい思い出となりました。想いの外、目だった
トラブルもなくスムーズな出発に安堵の胸を降ろしたものでしたが、
「一人ひと
りのいのちが輝く暮らしを築く」ことを目標に、生き生きと楽しい生活環境、
楽しい人間関係が築けるように全職員が一丸となってユニットケアを実践する
ことは、そう容易いことではありませんでした。今までしたくてもできなかっ
た外出や日常の買い物の希望をかなえようとするユニット、元気に生活しても
らいたいとユニット内の生活環境に工夫を凝らすユニット、まず排泄の問題に
取り組んでQOLの向上をめざすユニット等、それぞれ取り組む想いや内容に
違いはありましたが、各ユニット入所者の状況やスタッフの構成に合わせて、
日夜その実践に試行錯誤、大格闘する毎日であったように感じます。
もちろん初年度ですので、目標がすぐに達成できるわけではありません。い
ろいろな試みや活動に取り組む中でその目標が変わっていくこともありました
が、小グループ化することにより個々に深く丁寧な関わりが持て、理解・信頼
しあえる関係を築くことができるということを実感できたのではないでしょう
か。
今、私たちはまだ最初の一歩を踏み出したばかりですが、21世紀の「介護
新時代」の長い道のりを「志」を高く抱いて、一歩一歩確かな足取りで歩み続
ける証としてその足跡を記していきたいと思っています。
《天橋の郷ユニット名の由来》
天橋とは白砂青松の名勝・天の橋立―天と地を神と人が自由に行き交ったと
いう「天の架け橋」の故事にちなんでいます。天橋の郷は、神代の時代のよう
にゆったりとおおらかな雰囲気に包まれ、共に寄り添いながら一人ひとりが生
き活きと自分らしい生活が営まれ、また地域の方々とのふれあいや交流を育む
ことができるコミュニティーを目指しています。
天橋の郷の各ユニットの名前はこの神話の世界の宇宙観、すなわち天・地・
人をイメージし、理想郷・神仙境のスピリッツが息づくような和語で名づけま
した。
天
地
人
にじ
虹
天と地を結ぶ七色の架け橋
すばる
昴
枕草子より“星は昴。・・・・”
あかつき
暁
美しい光に満ちている天空
みどり
翠
澄み切った青緑色の山地水明
いずみ
泉
清らかな水が湧き出る天然自然
あずさ
梓
強い弓を作った霊木が育つ大地
くれない
紅
熱い心が触れ合う人間関係
なごみ
和
穏やかでなごやかな交流
あかね
茜
茜色に映える明るい人間社会
暁
ニット ユ
ニットケア実践報告
暁ユ
ユニット
ユニットケア実践報告
∼
跡 ∼
∼ 軌
軌跡
∼
暁
ユニット構造改革
暁ユニット構造改革
S
TAFF
STAFF
リーダー
竹中菜穂子
介護員 品川 稔
〃
小西健裕
〃
一井なみ子
〃
馬場栄美
活動内容
①ユニット目標
入居者のそばに寄り添い痛みを共にし、喜怒哀楽を自然に出せる
気持ちにも生活にもゆとりを持てる場
②特徴的な活動
しあわせパンツを活用した随時排泄への取り組み
別紙①
③職員の業務について
5 人皆が「ユニットリーダー」の心意気で!!
④活動の過程で工夫した点や取り入れたこと(事例)
別紙②∼③
⑤ユニットケアに対する思い、感想、今後の展開について
別紙④
別紙①
随時排泄をユニット目標に設定して
1. 随時排泄2つの疑問
① 随時排泄とは何か?
まずはここからスタート 随時排泄って何?
書籍・参考書に明言されていない。(随時排泄とは○○である・漠然として
いる)
しいて言えば定時でないこと・頻尿の人は???
② なぜ定時交換がいけないのか・・・?
定時といっても、一定の経験とスタッフが練りに練ったものでは・・・。
自分のパターンをみるとほぼ定時 → でも不快あるいは苦痛ではない。
しかし、それは健康で排泄をコントロールできる人に限った話である。
2. 難しいポイント
データを掴めるか?
① 誰の
尿意があり、意思表示できる人
不
要(トイレ誘導・排泄直後の交換可能・したいときにできる)
尿意はあるが意思表示できない人、あるいは尿意のない人
必
要
② どんな
尿量・時間
しかし、毎回の尿量計測・短時間(頻回)のオムツ点検はお互いにとって
負担でしかない。
よい方法はないか?
既存のデータを活用する
日常の記録より排尿量(多・普・少)・交換時間(リアルタイムでない)
問題点・・・尿量が不明瞭(記録者によって個人差がある)・交換∼交換
までの排泄回数が特定できない・リアルタイムな排泄時間が不明など。
結果として、できたとしても確率・統計学的予測にとどまる。
また、生理学者でもない限り、膨大なデータの収集・分析には限界がある。
※参 考
排泄量・排泄時間を左右する要因
(ア)
直接的要因
食事・水分摂取量(摂取時間)、前回の排尿時間と量、発汗量
(イ)
間接的要因
入浴、運動量、気候(気温・湿度・気温差)、健康状態・精神状態・睡眠
(ウ)
環境的要因
生活リズム(起床、入眠、外出、娯楽)、条件反射
(エ)
その他の要因
摂取する水分に含まれるもの(アルコール、カフェイン、塩分)
・心理的
要因
すでにほとんどの利用者の排泄パターンが、季節・天候などにより常に
変化している。日々変化するもので、天気予報より難しい。
よって生理学的データを把握・活用するには限界がある。
また、日常の生活リズムがほぼ同じ(ズレはあるが概ね同じ)で、朝・午
前・午後 夕方・寝る前など結果的に「細かい定時」、「定時に近い随時」
になる。
3. なにをすればよいか・・・
真盛園(見学先)での教訓
排泄のサインを読み取る<利用者に関心をもって関わる>
方法としてのしあわせパンツの導入
誰でも利用可能ではない。結果的にオムツに戻した人も・・・。
また、あくまで排泄用具の選択肢=直接的に随時排泄にはつながらない。
(トイレ・Pトイレ・採尿器・布オムツ・紙オムツ)
利点・オムツより快適(圧迫感・オムツかぶれの減少)
期待すること・・・オムツではないことで自律心が芽生える。
※「排泄のサインに気付く」=その人の健康状態、生活を観察(関心を持っ
て付き合う)することが大切。それに取り組むことで職員の意識が変わる。
別紙
②
<事例>
Yさん
H17年5月13日入所
バルーン使用(シャーリング使用)、排便はPトイレ使用。
入浴は、特浴。
類天疱瘡による痒みの訴えあり。
H17年9月13日
バルーン抜去。シャーリング+パット使用で対応。
その後、しあわせパンツ+パットにて対応。
排泄は、トイレ又は、Pトイレ使用。
離床、臥床時の車椅子への移乗、Pトイレへの移乗など、
ほぼ自立。(コールもされる)
PTにより、9月29日より中間浴へ移行する。
↓
依存心の強い方で、日々コール多く、訴えも続く。
自分から行動されることが少なくなり、ほとんど半介助、
全介助に近い状態になる。
夜間もコール・訴え多く、ほとんど不眠が続く。
眠剤(レンドルミン)使用するも、幻覚・幻聴・身体の痛み強く、使用中止。
昼夜逆転傾向強い。
食事、入浴以外はほとんど眠られたり、訴え続く。
ケアプランとしては、『ADL低下予防の為、声かけ、見
守りを重視し、残存機能の活用に努める』を掲げ取り組ん
でいる。
『食事』に関しては、離床を拒否される傾向あり、ベッド
上での食事にこだわられること多い。食欲はあり、ほぼ残
さず食べられ、食事中は訴えなく、黙々と食べられる。
しかし、食事後、「休まして欲しい」と訴えられること多
く、臥床願望強い。
『排泄』では、基本的にPトイレ介助であるが、尿意、便
意の自覚症状の差が激しく、失禁多い。
自覚症状がある場合は、コールや職員を呼び止められ、P
トイレ又は、オムツ交換をして欲しい、と自ら訴えられる。
だが、失禁多いため、Pトイレ介助へは、拒否強く、離床
自体拒否されることから、行かれないこと多い。
だが、Pトイレへの習慣づけの必要さ、大切さなどを説明し(ADLの低下
予防、残存機能活用に繋がる)、一日に数回座って頂こうと努めると、「ほん
なら座ってみようか」など、前向きな返答も聞かれることあり。Pトイレで
の排泄を随時行うことで、オムツ内での失禁を減らそうと努めている。
『生活習慣』としては、一日ほぼ居室で過ごされ、離床は食事、排泄(Pト
イレ介助)、入浴のみで、訴え多いため、離床時間少なく、離床強化(寝たき
り防止)までは到達できていない。
ADLよりもQOLの低下が激しいと感じ、身体的ケアを行いながらも、メ
ンタルケアも両立していくことで、様々な動作が向上していくと考えられる。
メンタルケアでは、受容、傾聴、共感をしっかり行いながら、不安除去に努
め、寄り添いケアが大事と考えられる。
関わりを持ち、寄り添っていく中で、残存機能を活用し、ADLの低下予防
に繋がっていくと考えられ、
「出来ること」を妨げないで、Rバーを持って立
位をとられたり、
立位保持、車椅子自走など全介助を少なくし、声かけ誘導、促しを一つひと
つ丁寧に実施することを今後の課題と感じた。
今年に入ってから、精神的に落ち着かれ始め、訴え少なくなり、夜間も以前
と比べ、よく休まれるようになる。
特に、排泄面では、コールを押され、
「トイレに行きたい」など知らせて下さ
るようになる。コミュニケーションでも、笑顔でお話してくださる機会も増
え、活気が出てきたと感じている。
別紙
③
事例2
Oさんのケース
5月に入所されたときは、リクライニング使用・寝たきり・特浴・認知症と
いった状態でありました。半年ほどそのまま様子を見ながら、褥創予防に気を
つけると共にある程の時間と回数の離床・声かけをしてきました。
その後、徐々にショートさんと一緒に特浴をすることが困難になってきた事
がきっかけの一つとなり、座位が取れることを確認し、根本PTに相談した後、
11月24日より入浴方法を中間浴(リフト浴)に変更し、車椅子もリクライ
ニングを使わないようになりました。また、歩行訓練をしていただき一日一回
は居室よりホールまで手引き歩行(後に歩行器使用)を実践し、椅子に座って
食事を食べていただくようになりました。長時間の座位は頚部後屈が見られる
為無理があるものの、ソファーに座ることもでき以前よりも、表情も明るく豊
かになり、発語も多くなりご家族にも喜んで頂いております。
別紙④
暁ユニット
ユニットケアに対する思い・感想
約 10 ヶ月ユニットケアを実践して、より良いケアを実施するうえで、施設・
設備といったハード面以上に、ソフト面(スタッフの意識とその向上)が重要
であると感じます。
また、ユニットケアとは個別ケアに近づくための通過点であり、ユニットケ
アの完成が最終目的ではないとも思っています。今後、様々な形・スタイルの
ユニットケアに多面的に取り組むことで、より多様なケアのあり方を発見・確
立することができると思います。その多様性にこそ、ユニットケアそして個別
ケアの可能性が詰まっていると思います。
17 年度目標
人生最後の住まい、一人ひとり自分に合った
ときの流れがゆっくりと流れ
くつろいで頂けるユニット
特別養護老人ホーム 天橋の郷 泉ユニット
STUFF:尾関惠美子 千原隆之 長谷川あゆみ
藤田恵子 小池衣美
17 年度の目標「人生最後の住まい、一人ひとり自分に合った時の流れ
がゆっくりと流れくつろいで頂けるユニット」を掲げスタートしましたが、目
標通りにはなかなか出来ておりません。
また、
「それぞれのユニットの色を出して下さい」と言われましたが「何をどう
すれば良いのか?」手探りのスタートでした。とりあえず環境も変わり、不安
もある中で利用者の体調管理に気を配り、事故の無いように気を付けました。
「ご馳走は入浴」
泉ユニットには現在、自立の方は 4 人、介助が必要な方は 6 人おられます。
皆さんには快適な、心地よい生活をして頂ける様に努めてきました。
自立の 3 人の方には 5 月∼10 月迄毎日入浴をして頂きました。内一人の方は
「リフトの使用は不安」と言われる為シャワー浴とし、シャワーキャリーを購
入して頂きました。加えて週に一度は安全に、ゆったりと入浴して頂く為、デ
イサービスに設置されているカトレアを使用させて頂いています。これらの取
り組みはご本人の希望にて始まりましたが、11 月から現在では週 3 回入浴して
頂いております。「お風呂は何よりもご馳走だ」と喜んで頂けています。
また、自立の方二人には、ユニット内外の沢山ある洗濯物を畳んで頂いていま
す。外出等もご本人の申し出やこちらの誘いにて、時間の許す限り買い物など
に出掛けお花の好きな方と一緒に鉢植えのお花の世話もしています。
残念な点は、ある自立の方に配膳や洗い物をお願いしましたが「この年にな
ってしたくない!」と言われました。一度車椅子の方に洗い物をして頂きまし
たが、流し台が車椅子用に対応していない為、服の袖口が濡れてしまうことが
有り、車椅子の方に使って頂ける設備ではないように感じました。歩行される
方だけを基準にした設備なのでしょうか?利用者の方の折角の厚意が無駄にな
ってしまったように思います。
「歩かれる方だけが自立の方ではない」という事
をご理解頂きたく思います。
介助が必要な方の対応では、良く関われる方とあまり関われない方に分かれ
てしまったように思われ、反省点に挙げられます。呼ばれれば傍に行って話を
聴き、出来るだけ側に寄り添うように努めてきましたが、思った程には寄り添
えてないと感じています。いつもリビングのテーブルまで出て来ておられるM
さんとIさんには言葉掛け出来ていますが、ベッドに居られるNさんには関わ
りが少なくなってしまったと反省しています。
事例報告
次に、この一年間で ADL に改善が見られた方の事例を報告致します。
事例 1:S さんの場合=入居前はオムツ・車椅子使用で何に対しても意欲無く、
投げ遣りな方でしたが、入居後は周囲の環境・利用者の状況を見られ、職員の
手を煩わせる事が無い様に自力で頑張られ、歩けるようにと歩行器も購入され
ました。更衣や点眼なども自分でされ、トイレも失敗無く使われています。ま
た、晩酌を毎日の楽しみにされています。
このように ADL の向上が見られましたが、話し相手として曖昧な事やいい加
減の返事は出来ませんので、会話の難しさを感じています。
「自立の方だから対
応し易いのではなく、自立の方だから対応が難しい」と改めて感じました。
事例 2:K さんの場合=右半身麻痺で失語症、全介助ですが耳は聞こえます。話
し掛けると時々ですが「うん」「そうか」「ほんま」など、短いですが発語され
ます。ボランティアの方の体操レクに参加された時、皆さんと一緒に歌を唄っ
ておられ、私たちでもう一度同じ歌を唄うと声に出して唄われ、本当に驚き、
嬉しさから涙が出て来ました。「K さん、歌唄えましたね。上手でしたよ」と声
を掛けると顔一杯の笑顔を見せられました。娘さんや息子さん達が面会に来ら
れた時、その事を話して唄って頂くと、ご家族の方も「信じられん!」とビッ
クリされ、涙を流して喜ばれ、何度も一緒に唄っておられました。
食事も全介助に近い状態でしたが、今では左手にスプーンを持たれ、上手に
は掬えませんが口に運ばれるまでになられました。現在少々心配な事は、長く
椅子に座っておられると(下剤を服用されている関係もあり)急激な血圧低下
になられ、意識が遠のく事で見守りが欠かせ無い事です。
事例 3:H さんの場合=以前おられた施設で骨折された後、歩行される事は無く
車椅子使用で流動食、という状態でした。しかし体の動きから「まだ歩かれる
のではないか?」と PT に相談し、ご家族もリハビリを希望され、徐々に歩行練
習をして頂きました。最初は食事の席まで、次にリビング一周、図書コーナー
まで…と歩行距離を伸ばしていきました。現在では殆ど車椅子は使用されず、
歩行器にてリビングへ出ておられます。
排泄では常時オムツ使用でしたが、排尿間隔が長い為、日中はしあわせパン
ツとパットに変更。随時トイレ誘導にて排泄を促し、トイレでの排尿も増えて
います。夜間と下剤使用時はオムツ使用ですが、やはりトイレへ誘導し清潔保
持に努めています。
また、H さんは病院や施設での生活が長い為か笑顔が見られず、無表情な方で
す。
「少しは笑顔が出るのではないか?」と若い頃にされていた大正琴を弾いて
頂いたり、他の利用者の中にいて頂こうとしましたが「帰らしてぇなぁ」と再
三言われて落ち着かず、長く座って頂けない方です。居室へ戻られてからも「何
時え∼?」と何度も声に出されます。しかし、ご家族が面会に来られると、普
段は見られない笑顔でしっかり会話もされ、特にお孫さんが来られた時は名前
を呼ばれて嬉しそうな顔をされました。
「ご家族の面会に勝るものは無い!」と
つくづく感じます。
ユニット行事
次に、行事や他のユニットとの交流について報告します。
利用者の誕生日では花束とケーキ、本人希望の食事でお祝いをしました。7 月に
は七夕で、笹に短冊を飾りつけし、8 月には紅・翠・泉の 3 ユニット合同で夏祭
りを催しました。ショートステイ利用の方や他のユニットの方も多数参加頂き、
景品付きのゲームや宮津節を踊り楽しんで頂きました。9 月の敬老祝賀式では、
米寿の方と 102 歳の方をお祝いしました。
外出では、大江町のコスモス畑までドライブに出かけ、魚っ知館(水族館)
へも行って来ました。喫茶店にて一休みし、アイスクリームを「おいしい」と
喜んで頂けました。
年の瀬の、紅ユニットとの合同餅つき大会では皆さんで御餅を丸めて頂きまし
た。形は歪でも、善哉や黄粉などで美味しく頂きました。
そしてお正月には、やはり 3 ユニット合同で文殊堂へ初詣に行き、露店でたい
焼きを買って「めでたい」、さらに昼食の御節に御屠蘇、そして皆で皮を剥いた
干し柿で新年を祝いました。紅・翠ユニットとは、一緒におやつを食べたり習
字をしたり、常時交流を持っています。
最後に、今後の方針として現在力を入れている事は、利用者の皆さんに気持
ち良く過ごして頂く為に、排泄後の陰部洗浄を行っています。
また「泉は利用者の側に寄り添えていない、暗い」等と言われていますので、
一人ひとりが気を付けて利用者の側に寄り添い、笑顔を忘れず、利用者の皆さ
んに安心して生活して頂ける様に、より信頼を深め、事故など無いように目配
り気配りし、スタッフ一丸となって頑張って参ります。そして ADL の低い方へ
の対応と、自立の方への対応∼自立の方だから易しいのではなく、自立の方だ
からこそ難しいのですが∼このバランスを良くする事をこれからの課題として
います。
18 年度の目標
「命ある限り、自分らしく生きて頂けるよう、皆で支え合い、安心して暮らす
事の出来るユニットへ」…この目標に向かって一年間頑張ります。
ユニットケア実践報告
紅ユニット
2006/03/08
ユニット職員
ユニットリーダー
介護員
井上礼子
安田千秋
大浦俊輔
澤田弥生
石谷はつ野
《花も嵐も乗り越えて》
① 実施状況
* ユニット目標とそれに向かうプロセス
*
5月から紅ユニットの目標として
『心と心のつながりを大切にし、思いやりの気持ちを持ち
笑顔で一日一日の生活を一緒に楽しむ』
を基盤にユニットケアが始まりました。
全てにおいて新しい生活が始まる方や、今までにも施設での生活経
験がある方でも、環境が変わり生活も変われば少なからず精神的に不
安定になり、気持ちも落ち着かない状態になられる方もおられます。
又、職員も業務に慣れ利用者の方々とのコミュニケーションを図り、
信頼関係を築かなければなりません。
そこでまず最初に取り組んだ事は、紅ユニットの方は歌がお好き
な方が多いという事で、余暇の過ごし方として、ユニット内での時
間を有意義に過ごしていただく為に歌集本の中から入所者の方々が
お好きな歌や四季の歌をなどをいろいろと選び紅ユニットオリジナ
ルの歌集を何冊か作りました。
午前、午後に関わらず皆さんがリビングに集まれば歌本を開き、
歌を歌うという事が一日の日課になってきました。
利用者の方の中から「この歌が唄いたいので教えて欲しい」との
声もあがり、どんどんレパートリーも増えました。職員も一緒に輪
の中に入り、歌えるときは楽器も使い一緒に参加するようにしまし
た。しかし、中には歌が嫌いなのか、すぐに輪の中から出られる方
もおられ、その方の対応などでなかなか参加できない事もありまし
た。
その他のレクレーションとして千切り絵、塗り絵、習字などは指
先の運動、リハビリとして取り組み色鉛筆やクレヨン、折り紙など
一人一人好きな色を選んで頂き、自分の感性でその時期や季節感の
あるものを 個人として、また皆さんで協力して頂き、ユニットの
作品としてそれを展示したりしました。
これについては、お好きな方が多く今後も続けて行きたい活動の
ひとつです。それ以外の活動としては、オセロがお好きな方はオセ
ロをしたり、テレビがお好きな方はテレビで好きな番組を見て頂い
たり、時には興味があるビデオを皆さんで見て頂いたり、眠たい方
は布団に入り休んで頂いたり…と、その方の体調に合わせ好きな事、
出来る事を自由にその時々で強制せず過して頂きました。
また、外出については、個別でのドライブや数人での買い物、水
族館などに行きましたが、ユニット職員の入れ替えが激しく落ち着
かない状態だった事や、天候の影響などもあり一年を通してはあま
り実施できておらず、利用者の方々に迷惑をおかけした事がすごく
残念です。
18年度から、暖かくなれば外出が出来る様、日勤帯の職員を増
やし、落ち着いた状態で少しでも多くの利用者さんに参加して頂け
る様、計画して行きたいです。
* 特徴的な活動として
夏には、夏祭りを3ユニット(紅・泉・翠)合同で行いました。
3ユニットで行いましたが、その他のユニットの方や SS の方々も参
加して頂き、ゲームや宮津踊りなどをして和やかな雰囲気で夏を感
じて頂けたのではないか?と思います。
その他にも年末には餅つき、元日には泉・翠と合同で初詣に文殊
まで行き、その時の様子を嬉しそうに話されるのを聞かせて頂いた
りしました。
今後も季節にあった行事を提供し、また他のユニットと協力して
いく事が出来たらいいと思います。
* ここで事例として2人の利用者さんの大まかな1年の歩みを報告しま
す
・ 始めに O さんについて
O さんは、ご主人への依存と空腹の訴えがとても強く、入所時は常
に興奮状態で施設内を歩き回られたり、他の利用者さん、また職員
に対して乱暴な言葉を言われたり腕をつねる、爪で引っ掻く、など
の行為を繰り返される毎日を送られていました。それによって他の
利用者さんとの関係が上手くいかなかったり、私たちが関わろうと
する事で、さらに興奮が強まる、という事も多々ありました。始め
の何ヶ月かはユニット職員みんなが“どうしてあげることが O さん
にとって一番いいんだろうか…”と悩み、考え、そして出した答え
をその都度、その都度試しでも成果や結果はなかなか付いて来ず、
また考え直しての毎日が過ぎて行きました。なかなかすぐに結果が
出る事でもなく、今もユニット職員みんなが試行錯誤しながら、日々
O さんと関わり、改善点を見出し、それを取り入れているところです。
その中でも少しずつではあるが O さんが変わられた点は『どれ
だけユニットから出て行かれても最終的にはユニットに戻ってこら
れる。』『他のユニットに行かれると、どんなに興奮しておられても
大声を出される事なく、余所行きの顔をされる』と言うことが多く
・
なり、大声で叫ばれるときはユニット内で…と言う風になってきま
した。まだはっきりした事ではありませんが、これは O さんの中で
少しずつ紅ユニットが自分の居場所として頭に入っており、大きな
声を出されるのも1年一緒に居て心許せる、気を許せる、そんな風
に感じて頂けるような関係が築けてきているのではないか…?と考
えています。
続いて K さんについて
K さんは気分にムラがあり、入所してすぐは常にカバンや袋に荷
物を つめて外へ、外へと行こうとされる等、外出願望が非常に強
く、一度“出る!”となると手が付けれない状態になり、その為に
何度か危険な状況になってしまいそうな事がありました。そのよう
な状況が起こる前も、起こった後もユニット職員全員で目配り、気
配りを徹底し、注意に注意を払ってやってきましたが、やはり限界
がありユニット外の職員にも協力を依頼し、気が付けば報告、連絡
して頂いたり、玄関の自動ドアやテラスに続く扉に関しても開閉動
作の改善として、ドアにロックを 装着してもらい施設から出て行
かれる危険を少しでも減らすと共に、ユニット内少しで長く過ごし
て頂けるよう努め、コタツの活用、レクへの参加、お風呂が好きな
方なので入浴を活かして…などでコミュニケーションを図り、徐々
にではあるがユニット内で過ごされる時間が長くなったように思
います。
しかし、それでも“外に出る!”と言う思いがなくなる訳ではな
いので、時折思い出したように外へ行こうとされ、興奮も強まり、
手が付けられなくなることはあります。
K さんに関しても常に最善の対処法についてユニット職員で考え、
検討し、興奮が強く納得されないときにはドライブに行くようにす
る等、思いつく限り、出来る限りの事を行ってきました。現在 K さ
んに対しても未だ手探り状態で、最善の解決方法について考え、悩
み、捜しています。でも、この一年で K さんは発言や聞き取りがは
っきりし、会話もある程度の事であれば理解されるようになってこ
られる等、良い方向に向かわれている点もあります。これはユニッ
トケアになり少人数のケアで一人一人に関わる時間が増え、自然と
声掛けも増えた為ではないかと思います。
結果としてこの一年で O さん、K さん共に、少しずつではあるが、
ユニット職員との信頼関係が築けて来れたのではないか、と思うの
で引き続きコミュニケーションを図り、ユニットでの居場所を見付
けて頂き、居心地よく過ごして頂けるように、ユニット職員全員で
努めて行きたいと思います。
・最後の事例として O・K さんです
O・K さんは依存心が大変強く、病気を理由に自分の殻に閉じ込も
られ、自分の部屋でしか食事もされない状態で、ユニットの方々と
のとの関わりを拒否されていました。
職員も少しでも皆さんとの関わりを持ち、自分の部屋だけの生活
だけではない生活の楽しさを知って頂きたい、と思い声掛けしコミ
ュニケーションを図ってきました。
最初の内は「目が見えない」とか「パーキンソンやで手足が痛い、
腰が痛いで無理」などと訴えられていましたが、声掛けし、関わる
事で馴染みの関係ができたのか、少しずつ心を開いてこられたのか、
居室の扉も締め切っておられたのが今では「全開にして
おいて欲しい」と言われるようにまでなり食事も、朝食、昼食は、
リビングに出て来られ皆さんと一緒に食べられる様にまでなられ
ました。
今後も無理せず本人さんの体調に合わせ、ここでの生活を自分ら
しく楽しんでいただきたいと思っています。
* ユニットケアに対する思い、感想、今後の展開について
紅ユニットは、色々と難しく一つにまとまるまでには時間がかか
ると 思いますし又、皆さんが全員一緒になって何かをするという
ことは難しいかもしれませんが、あせらずその人がその人らしく生
活できる様、一緒に楽しんでいけたらいいなと思っています。
18年度の紅ユニットの目標は「ゆったりと寄り添い語り合いな
がら 笑顔がいっぱい出る様に関わり、その人らしい生きがいを見
つけて頂き、安心して生活を楽しむ」を掲げました。
今後も山あり谷あり、先はどうなるか分かりませんが少しでも光
が見える様、目標に向かってユニット職員が一丸となってどんな事
があっても笑顔を忘れず頑張って行きたいと思います。
天橋の郷 翠ユニット
木崎 裕子
田上 育代
梅本 雅樹
藤原 綾香
1.タイトル
“座 っ て 排 便 し よ う”
2.ユニット目標
☆入居者と同じ目線で暮らし、
皆で大きな歌声を響かせ夜は良く眠れるユニット
3.特徴的な活動について
☆トイレでの排泄
4.取り上げた理由
☆あたりまえの生活をおくってもらう
☆日々の生活を楽しくしてもらう
5.取り組んだ内容
1) 職 員 の 対 応
2) デ ー タ 面
3) 食 事 面
4) そ の 他
*別紙内容
6.取り組んでわかった点・気づいた点
1) P ト イ レ よ り ト イ レ が い い よ
「便座が暖かいし・お湯が出るし・座り心地もいいよ」
2) 便 器 の 中 を 覗 き こ ま れ て 自 分 の 便 を 見 ら れ る
「どんな便が出てる?」オムツでは考えられない
3) 便 座 に 座 り お 腹 を さ す っ た り 、 た と え 出 な く て も 会 話 が は ず む
4) 重 力 が か か れ ば 出 や す い
使えるものは何でも使おう
5) 上 手 に 安 全 柵 を 掴 ま れ る し 、 コ ー ル も 押 さ れ る
6) 「 あ り が と ・ あ り が と 」 『 こ ち ら こ そ ア リ ガ ト ・ ア リ ガ ト 』
お尻が清潔・アッというまにきれいになったよ
7) 水 分 補 給 を 試 み て 嗜 好 品 が わ か っ た
「コーヒーが飲みたいな」「少し甘くして!!」
8) 排 便 サ イ ク ル が わ か っ た ( 排 泄 管 理 表 作 っ て 良 か っ た )
随時から個人個人の定時へ(1人1人のサイクルってあるよね)
9) 座 っ て 直 ぐ に 出 る よ ( も う 終 わ っ た の ? )
10) 「 あ り が と う ど う も す い ま せ ん 」 感 謝 の 言 葉 に
疲れも、腰の痛みも和らぎます
No.1
7.成果及び効果
1) 排 便 の 回 数 が 増 加 し た
2) 離 床 時 間 が 長 く な り 利 用 者 自 身 落 ち 着 き が 出 て き た
3) よ く 笑 わ れ る よ う に な っ た
4) 1日 の 生 活 に リ ズ ム 感 が で て き た
5) 利 用 者 と の 信 頼 関 係 が 強 く な っ た
6) 利 用 者 の 表 情 が 明 る く な っ た
7) 排 便 の 訴 え に 対 す る 実 排 便 が 増 え た ( 便 意 と 実 際 の 排 便 回 数 )
8) 食 事 を 自 ら 進 ん で 食 べ ら れ る よ う に な っ た
9) 食 事 量 が 増 加 し た
10) 水 分 摂 取 量 が 増 加 し た
11) す ぐ に 居 室 に 帰 り た が っ て い た 利 用 者 が お 手 伝 い を
してくれるようになった
12) ホ ー ル ( 食 堂 ) に 出 ら れ る こ と を 嫌 が ら れ な く な っ た
13) 夜 間 の 独 語 の 声 が 小 さ く な っ た
14) オ ム ツ 内 が 清 潔 に 保 た れ る よ う に な っ た
15) 必 要 以 上 に 「 ト イ レ に 行 き た い 」 と 言 わ れ る 回 数 が 減 少 し た
16) 自 分 で 出 来 る こ と は 自 分 で 出 来 る よ う に な っ た ( 声 掛 に て )
(歯磨き・着衣脱衣等)
17) 自 ら 身 体 を 動 か し ベ ッ ド に 端 座 位 で お ら れ る こ と が 多 く な っ た
18)ベッドからの転落が著しく減少した(自立歩行が出来ると思われての)
19) 排 尿 感 覚 が 戻 っ て き た よ う だ
20) 排 尿 ・ 排 便 の 間 隔 が 掴 め る よ う に な っ た
21) ト イ レ 誘 導 す る こ と を 怖 が ら れ る ( 嫌 が ら れ る ) こ と が な く な っ た
22) 日 常 の 会 話 が 増 え た ( 利 用 者 対 利 用 者 ・ 利 用 者 対 職 員 )
8.問題点
1) ま だ ま だ 下 剤 が 無 い と 排 便 が 無 い
2) 排 便 間 隔 が 長 い ( 排 便 か ら 排 便 の 日 数 )
3) 水 分 補 給 の 絶 対 量 が 少 な い
4) 便 ・ 尿 意 は あ る が 見 当 識 障 害 が 著 し く 、 感 情 の 起 伏 が 激 し く 、
丸抱えに近い介助を要する利用者(1名)があり、職員の大きな
負担になっている
5) 運 動 不 足
9.反省点
1) 排 泄 表 の 活 用 が し き れ て い な い
2) 排 便 の 訴 え に 対 し 速 や か に 対 応 で き て い な い
3) 訴 え が 出 来 な い 利 用 者 の 排 泄 表 が な い
4) 自 立 度 の 高 い 利 用 者 の 排 泄 の 実 体 が わ か ら な い
5) 立 位 不 可 能 な 利 用 者 を 職 員 2 人 体 制 の 時 間 に 集 中 し て 排 泄 介 助
↓
実際は1人体制の時間帯にも訴えあり
No.2
10.今後の展開
1) 今 ま で ト イ レ に 行 け て い た 利 用 者 が 最 近 尿 失 禁 に な る の は
尿意の問題か、身体が動かず行く時間に問題があるのか調べる
2)排泄のことばかり考えてしまう利用者に対し興味の持てるものの提供
3) 表 を つ け て い て 、 職 員 1 人 の 時 間 帯 に 立 位 不 可 能 な 利 用 者 に 排 便 ・
排尿があることがわかり、現在排泄介助しているが職員の身体をか?
優先するか利用者の排泄を優先するか(職員が常時2人体制でない)
5.取り組んだ内容
1) 職 員 の 対 応
トイレに座る意識付けを徹底した
利用者に応じた介助方法を考えた
目標を持つ
立位不可能な利用
者に対して職員が
1人で介助できる
方法
利用者を絞り重点的に行う
オムツを使用しての介助
一旦ベッドに上がりズボン
を下ろし、それからトイレ
に座る
職員間で介助方法につい
て話し合う時間をもった
訴えに対し速やかに対応
朝・昼食後の促しを徹底
座位の姿勢で腹部マッサージ
利用者に負担を感じさせない
(いつでも笑顔で)
最優先で取り組む
1日1回座位をとっ
てもらう
(日中は2人介助)
声をかけながらする
ことで、一緒になっ
てやろうとする気持
ちを伝える
精神的負担を感じ
させないよう言葉
掛けを多くする
訴えがしやすい雰囲気作り
朝食後8:30頃
毎日排便がある
スキンシップをとるこ
とでコミュニケーション
がとれる
笑顔で対応する
話題作りを大切にする
(季節・天気・ニュース等)
No.4
2)データ面
排泄表を作る
利用者を絞り重点的に対応
個別の表を作る
表に基づいて時間を調べる
個別対応する
水分を多く摂取してもらう
目標を立てる(1000cc/1日)
こまめに飲んでもらう
水分補給の回数を増やす
定期的(毎食・間食)以外に
食前・食後・夜間に水分補給
こまめに離床する
利用者の嗜好品を調べる
コーヒー・ココア等
(飽きさせない工夫)
朝の水分補給(朝食前)
夏場ー冷たいお茶
冬場ー温かいお茶
排泄の時間を調べる
便量・尿量を調べる
排便のリズム(周期)を調べる
3)食事面
牛乳寒天ゼリーを食べてもらう
食べやすさの工夫
缶詰利用したシェイク
寒天+ジュースで手作りゼリー
飲み物に興味を持つ
胃腸の働きを促す
デザート感覚
ところてん
No.5
4)その他
運動をする
楽しみながら
リハビリをする
目標を持ってもらう
生活リハビリをする
無理のないように
毎日少しづつ
1日当り水分摂取量の推移
800
600
400
200
0
Aさん
B さん
Cさん
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
553.2
450.0
441.5
520.2
463.2
429.8
586.8
529.8
521.9
616.7
539.5
537.2
533.1
607.6
647.7
664.8
631.8
658.0
669.4
626.3
689.2
691.9
655.8
714.0
Bさん
単位cc
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
合計
6月
330.0
350.0
280.0
430.0
450.0
330.0
630.0
430.0
430.0
430.0
430.0
750.0
400.0
465.0
365.0
515.0
350.0
500.0
650.0
530.0
600.0
415.0
465.0
300.0
495.0
350.0
415.0
450.0
450.0
515.0
0.0
13500.0
7月
565.0
615.0
350.0
465.0
565.0
365.0
465.0
300.0
665.0
490.0
415.0
465.0
465.0
415.0
480.0
300.0
465.0
515.0
530.0
515.0
465.0
530.0
480.0
250.0
480.0
600.0
350.0
515.0
465.0
465.0
350.0
14360.0
平均
450.0
463.2
8月
9月
10月
11月
12月
1月
615.0
615.0
565.0
515.0
645.0
700.0
650.0
565.0
565.0
415.0
665.0
600.0
515.0
615.0
415.0
965.0
715.0
515.0
565.0
565.0
530.0
615.0
315.0
665.0
665.0
465.0
500.0
715.0
715.0
515.0
515.0
565.0
615.0
580.0
665.0
600.0
500.0
665.0
765.0
550.0
595.0
515.0
515.0
665.0
815.0
465.0
600.0
815.0
615.0
500.0
515.0
465.0
665.0
500.0
515.0
615.0
780.0
565.0
515.0
615.0
415.0
565.0
415.0
500.0
615.0
600.0
415.0
565.0
465.0
615.0
465.0
815.0
465.0
415.0
715.0
565.0
765.0
715.0
715.0
515.0
865.0
615.0
550.0
465.0
565.0
350.0
615.0
715.0
615.0
550.0
665.0
350.0
615.0
915.0
515.0
365.0
350.0
515.0
665.0
715.0
1015.0
1165.0
615.0
530.0
515.0
580.0
665.0
815.0
350.0
465.0
450.0
565.0
665.0
765.0
465.0
415.0
665.0
500.0
600.0
665.0
465.0
450.0
615.0
765.0
815.0
70.0
565.0
615.0
815.0
580.0
615.0
715.0
415.0
580.0
515.0
865.0
650.0
565.0
645.0
665.0
700.0
650.0
965.0
665.0
265.0
665.0
565.0
715.0
465.0
665.0
550.0
465.0
515.0
715.0
515.0
615.0
450.0
615.0
600.0
570.0
615.0
565.0
750.0
515.0
865.0
730.0
515.0
915.0
465.0
565.0
565.0
665.0
565.0
650.0
665.0
530.0
500.0
565.0
565.0
700.0
500.0
0.0
530.0
0.0
565.0
615.0
16425.0 16185.0 18835.0 18955.0 19415.0 19700.0
529.8
539.5
607.6
631.8
626.3
635.5
2月
排便があった日(複数回)
排便
回数
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
30
34
33
26
17
20
22
49
2月
1ヶ月の排便回数の推移グラフ
60
50
40
30
20
10
0
Aさん
Bさん
Cさん
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
10
30
8
9
34
17
10
33
14
7
26
7
9
17
15
11
20
22
9
22
15
8
49
14
ユニットケア実践報告(梓)
「最初の一歩」
スタッフ氏名
・和田 知子 ・坂根
・藤原 有希 ・齊藤
麻紀子
洋平
・大浦
理嘉
活動内容
開園から今までのプロセス
「明るく、楽しく、居心地良く、共に安心できる生活空間」をユニット目標
に、男性 1 名、女性 9 名でスタートする。しかし、男性 1 名は入院のまま入室
されることなく亡くなられた為にすぐに女性のみ 10 名のユニットとなり、以来
ずっと女性だけのユニットとなる。
排泄介助や食事介助に時間がとられるなど、利用者の方の介護度が高く、職
員の不慣れということもあって、業務に追われて利用者の方と共に過ごす時間
をあまり取ることができなかった。梓の皆さんにとって、決して居心地が良い
というものではなかったと思われる。それでも何とか時間を見つけ、ユニット
外に散歩に出かけたり、利用者さんのそばで話をしたり、歌を歌ったりするな
ど、関わりを持つよう心がけたりするが、どうしても目の離せない方、不安定
な方が中心になり、不十分なものとなる。テレビを見て頂いていることが多く、
そのような中で、何かレクレーションをといつも考えていた。
それでも夏になるころには、職員の気持ち的にもゆとりができてきて、それ
まで思うようにできなかったレクレーションに梓なりに力を入れて取り組んで
いく。その月のレクレーションの担当を決め、日々の生活や環境に変化をつけ、
かつ、利用者さんにも楽しんでいただこうと考えていく。ユニット内では、玉
入れやペットボトルボーリングなどの簡単なゲームをしたり、外出では、マリ
ンピアや魚っ知館へ行く。又、ミップルへの買い物も実施することができた。
自分達でお菓子を作り、おやつとして頂くなども試みた。
外出や買い物には一度に 2,3 名しか行くことができなかったが、ユニット内
では見られないような笑顔が見られたり、普段は食事に時間のかかる方が、喫
茶店でホットケーキをペロリと食べてしまわれたり、利用者さんにも良い刺激
になったようである。
そのような中で何か全員参加できるものをと、花火大会を計画した。残念な
がら寝たきりの方 1 名が参加できなかったが、他のユニットの方も参加して下
さり、大変にぎやかに行うことができた。買い物においては利用者の性格把握
が不十分だった為、せっかちな方とのんびりな方が一緒に行くことになってし
まい、ゆっくりと回れなかったり、少人数でも雨の日の外出は移動に手間がか
かり大変なのでやめたほうがいいなどの反省点にも気付く。
半年がたった頃、それまでも個々での見直しはしていたが、全体的な排泄介
助の見直しを行う。介助に入る時間、パットの種類、紙パンツから布製パンツ
への移行、オムツ対応からトイレ対応への移行などである。定時に近かった排
泄時間が、だんだんと個々に合わせた随時となる。オムツ対応からトイレ対応
になった方はPTとの関わりがこの方の自信となり、良い結果となる。
12 月には、職員の移動があったり、利用者さんの入れ換わりがあったりと、
ユニット内が少しバタバタとするが、お話好きの利用者さんが入られたことで、
すぐに部屋に戻ってしまわれる方がホールで過ごされる時間が増えたり、一緒
に歌を歌って下さるようになり、以前よりユニット内がにぎやかになった。又、
PTとの関わりを 1 名から 4 名に増やして頂き、移乗が大変な方のベットの高
さの見直し、Rバーの使用などで、職員の負担の軽減を図ったり、トイレで排
泄される方(現在 3 名)にシャワー洗浄を取り入れ、清潔を保ったり、より良い
ケアを模索していく。
外出は、時期的なものもあり、12 月を最後にできていないが、餅つきや節分
などの行事を通して、季節を感じて頂くことができた。餅つきはほとんどの方
が見学と食べるだけの参加ではあったが、笑い声がよく聞かれ、楽しんでおら
れるのがよくわかり、スタッフとしては嬉しく感じた。節分では和の利用者さ
んが鬼役をして下さり、元気良く豆をまくこともできた。
暖かくなれば外出などもしていきたいが、あまりレクレーションにこだわら
ず、利用者さんのそばに寄り添い過ごす時間を大切にしていき、訴えの多い方
に偏りがちな関わりを訴えのない方ともしっかり持ち、その方にあったより良
い援助をしていきたい。
食事に関しての取り組み
梓は経管栄養の方が 1 名、食事介助不要の方が 1 名、8 名の方に関しては半介
助または全介助である。12 月からは新しい方の入所により、介助を要する方は
7 名になるが、そのうち 3∼4 名の方には時間を要し、1 時間半から 2 時間かか
って摂取される。そんな中で、口を開けていただく事も難しかった全介助の方
にPTさんに関わりを持っていただき、職員もそれにならって対応を続け、現
在、時間は要するものの比較的スムーズに全量摂取していただけるようになっ
ている。それに伴い、この方に関しては開眼されている時間や言葉が増えてき
て、改善のみられた嬉しいケースである。
自力摂取を促す声かけや介助を心掛けての対応だが、調理場への下膳がいつ
も遅く、特に夜は調理の方へ迷惑をかけていたと思われる。そのような時間的
な問題を少しでも改善するため、刻み食を調理へ依頼して、配膳準備時間の短
縮をはかる。また、どなたにも目が届くようにテーブルの配置をかえ、朝食、
昼食は職員が介助で口に運ぶことをなるべく避けて対応する一方で、夕食では
その対応ばかりでは職員が 1 人になってからがうまくいかず、
“口に運ぶ”とい
った介助が増える。この点は今後の課題である。
その他、テーブルに植物の設置を試みて、テーブルに落ちた花の実を口に入
れる、植物を生けてあるままでカップの水を飲まれるなどの異食があったり、
絶対届かないだろうと設置したテーブルの中央に身体をテーブルに乗り上げる
ようにしてまで手にされる姿が見られたりと失敗もする。職員の考えるような
飾りつけや雰囲気作りはなかなかうまくいかない。しかし、今後も安全第一を
頭において、草花のある暮らしにも力を注ぎ、皆さんに安全に、おいしく、楽
しく食べていただける環境作りにも努力していきたいと考えている。
事例
・ 大きな変化があったAさんの例
Aさん 78 歳 女性 介護度 5 昨年 5/14 入所。右片麻痺・高血圧症・床
ずれ有り。入所当初は環境が変わったことや失語症があることから、伝えたい
事が言葉に出来ない・職員もなかなか聞き取れないなどのストレスからか、大
声を出されたり体動が激しくベットや車椅子からの転落・ずり落ちが頻繁にあ
った。不穏状態の時は危険な為、しばらく畳を用意して畳や安全マットとベッ
トマットを三重にしたものの上で過ごして頂いた事もある。排泄はバルーン装
着されてのスタートでオムツを使用されていたが、情緒不安定時にはバルーン
を外そうと引っ張られた。実際、バルーンを自分で抜去されたこともある。10
月末にバルーン抜去が行われると、日中は紙オムツ使用から紙パンツ使用に変
わる。トイレでの排泄介助を試みることで次第に便意・尿意が戻り自ら訴えら
れるようになり、スタッフもそのサインを読み取れるようになる。それに伴い
失禁が減ったことから、布製パンツとパット使用に切り替える。コールについ
ては、コールボタンを押して頂くように根気強く伝えることで自ら押されるよ
うになり、夜間の転落がほぼ無くなった。他にも PTによるリハビリを楽し
みにしておられ、いい表情で受けておられる。
食事は、流動食を全介助で摂取。介助を待つ様な感じで訴えておられたが、本
人の嚥下状態に合わせて食事内容の変更(おかゆ+極刻み食)、食べやすい食器
類(すべり止めの付いたスプーン、お皿)に変えながら自力摂取を促す介助を徹
底し、食べこぼしや手掴みでの摂取も多いが次第に自分で食べるようになられ
る。現在 食事をとても楽しみにしておられるので今後もっと食事に関して工
夫する事がないか考えていきたい。
当初から、毎日のように息子さんが面会にこられ、マッサージや言葉の練習な
どに関わりを持って頂き、現在も続いている。
昨年の夏 ご家族の協力を得て、2 度の帰宅が実現。その後数日間は、落ち着き
を取り戻されたが次第に不穏状態が続く事が多くなる。本人の帰宅願望に対し
て前向きに取り組み、今後の定期的な帰宅実現に向けて家族の理解と協力を得
られるよう努力して行きたい。
そして、Aさんの穏やかな表情をたくさん見られるようなケアが出来るよう努
めたい。
・ 状態の現状維持が出来ず、低下していったBさんの例
入園時のBさんの状態は、食事はおかゆと刻み食をホールで自力摂取。時々
手が止まると促しもしくは介助させて頂く。排泄はバルーン装着で紙オムツ使
用。移動は車椅子全介助、入浴は中間浴全介助。口数が少ない為、まずコミュ
ニケーションをしっかりとることを心掛ける。
5 月下旬に尿の濁りがみられ、続いて血尿もみられるようになる。この頃から
時々、熱発されるようになり、床ずれも発見。体位交換を実施するがBさんの
体動が激しく、良い結果はみられない。
7 月頃になると熱発が頻繁に起こるようになり、日中、体温が上昇し、夜間落ち
着かれるという日が続く。食事も居室にて全介助に変わり、誤嚥の危険が出て
きたため、流動食に変更する。生活もベット上で過ごされる時間が多くなり、
体調不良で入浴回数が減り、体力も目に見えて低下、床ずれも悪化、手足の硬
縮も見られるようになる。全介助になった食事も次第に摂取量が減り、より時
間を要することになる。
10 月頃になると、誤嚥や嘔吐が見られ、意識は朦朧としておられることが多く、
体温も 39 度まで上昇されるなど危険な状態になられる。そして 11 月 18 日に入
院され、11 月 30 日に与謝の海病院にて永眠される。
私たちスタッフがBさんのケースで一番反省すべき点は、入浴して頂く機会が
少なくなった時期にあまり清拭に入れていなかったということである。体調を
観察しながら、部分清拭や手浴、足浴などをもっと積極的に実施し、Bさんに
少しでも気持ち良くなっていただくお手伝いをするべきだったという点である。
経験不足ということもあるが、指示がないと動けないという現状があったと思
われる。このケースを反省し、自ら考え、動き、スタッフで相談しながら積極
的に仕事に取り組む姿勢を持って努めたい。
最後に
今回 反省材料として確認できたことをこれからのケアにいかす努力はもち
ろん、個々に合ったケアを進めていく上で御家族との連携も大切にし、今後は
あまり面会に来て頂けていない御家族との関わり方についても検討して行きた
いと考えている。
18 年度のユニット目標を
“安定した生活の援助と居心地の良い環境を提供する”
とし、梓を住まいとされる方にとって、梓が一番落ち着く場として受け入れて
頂けるように、まずは心地良い言葉を選んで接することの出来るスタッフであ
りたい。
和ユニット
「山あり谷あり和ユニット」
1、
2、
3、
4、
5、
レク・制作物
屋外活動
食事の工夫
排泄について
事故について
今後の対応・職員の心構え
スタッフ氏名
・大谷優子
・中西菜穂子
・奥田礼二郎
・河田教久
・大塚佳代子
和 レクリエーション・作成物
一緒に楽しんだり、何かを一緒に作ることで職員と入居者が家族のように仲良
くなれるように和ではレクリエーション・習字や絵等の作成を個人、またはみ
んなそろって行ってきました。職員の顔と名前が覚えてもらえるように似顔絵
を作りユニット内に貼りました。また利用者の誕生日にも似顔絵を作り色紙に
貼り、職員からお祝いの言葉を書きました。
午後の時間を入居者さんとのかかわりあいに使えるように入浴をなるべく午
前中にすませるようにしました。その時間に習字をかいたり、絵を描いたり、
ちぎり絵をしたりと入居者さんとの作品作りをしました。
そんな活動をしているうちに、カレンダーを作って飾ろうということになり
職員、入居者みんなで 1 つの作品を作り始めました。日付、曜日は習字の得意
な入居者さんに書いてもらい、今年 3 ヶ月分を作成しました。
レクリエーションについてはみんなで集まって行う機会はあまり無く、食後
の空いた時間やおやつ後など時間を見つけて、お手玉、風船バレー等を楽しん
でいただきました。ある入居者さんお二人はガムテープの芯の転がしあいが最
近のお気に入りです。
2 月 3 日の節分には年男の入居者さんに鬼役をしていただき豆まきをしました。
今後もカレンダー作りを中心に習字、絵などをみなさんと楽しく制作をしてい
きたいと思います。又レクリエーションについても現在大きいカルタを製作中
で、カルタを使ってのレクリエーションも考えていく予定です。
屋外活動
和では昨年秋に屋外活動「秋の探索」と題して天橋立への遠足を計画しました。
利用者間、利用者職員との交流と自然とのふれあいを目的にまずは安全を第一
に利用者全員が参加できる方向で考え、同行する職員、昼食おやつはどんなも
のにするか、必要なもの、車の手配、現地ではどんなことをするか、雨天時は
どうするかなど意見を出し合いながら準備を進めました。
当日はあいにくの雨となり、行き先を天橋立から栗田の魚っ知館に変更する
ことになりました。参加者は利用者10名全員と和職員そして医務室・支援室・
事務室・調理室からもそれぞれ来てもらい職員13名合わせて23名で出発し
ました。現地館内では魚や海洋生物を熱心に見られる方や笑顔でご覧になられ
る方もおられ、全体写真ではカメラに向って笑顔で手を振られたり、声を出し
て笑われるなど皆さん普段では見られないとても良い表情を見ることが出来ま
した。また同じように遠足に来ていた幼稚園児にやさしく声をかけられる1面
も見ることができました。昼食は持参した調理室お手製のサンドイッチや果物、
おやつをみんなで一緒に食べ、利用者の中には後日になっても「水族館へ行っ
てぶどう食べてきたなあ。」と楽しそうに思い出して話される方もいらっしゃい
ました。
あいにくの天候で行き先が急きょ変更となってしまいましたが、利用者全員
が参加できみんなが安心して楽しい時間を一緒に過ごせたことが一番良かった
と思います。
反省としては車の乗り降りなどに時間が少しかかってしまったり、職員が効
率良く行動できなかったところもあり、今後は職員間でしっかり役割を決め、
無駄な時間をなくしよりスムーズに効率良く行動し利用者の方に少しでも負担
をかけることなく楽しんでもらえるように取り組んでいきたいと思います
食事の工夫
入居者の皆さんの大きな楽しみである食事の時間を、より豊かなで満足の行く
ものにしたいと和では考えています。
春から秋にかけての気候の良い日のテラスでの昼食や、屋外で散歩をした後に
自然を満喫しながらのティータイムは、入居者さんにとても好評で賑やかな時
間になります。テラスでの昼食は、時には他のユニットの入居者さんと合同で
行うことで交流も図れ自然と箸がすすみます。また屋外を散歩しながら遠くに
眺められる海や、すぐそこにある山の紅葉を詩にした歌を、誰からともなく歌
われ大合唱のティータイムになり、皆さん写真を見ていただいている通り、本
当に良い表情をされます。
和ユニットには、昼食と夕食をほとんど摂取していただけない方でTさんがお
られます。食事が摂取していただけない時はエンシュアを提供していましたが、
食事を楽しむという点では豊かな生活とは言えませんでした。そこで、朝食は
ほぼ全量摂取されていた事などから、昼食と夕食に主食の捕食としてパンを付
けていただく事にしました。そのパンがあんぱんやクリームパンであった事な
どから、主食としてのパンは食べていただけるようになりました。しかし、入
所された時点では、自然排便があったにもかかわらず、その後下剤に頼った状
態になられた事もあり、再度食事を見直す必要があるのではと言う事で、Tさ
んの食事に注目しました。麺類は比較的自力摂取されていた事などから、主食
をうどんにして様子を見ることにしました。やはりうどんはTさんの嗜好とも
あっていたようで、現在は毎食ほぼ全量のうどんをフォークと手を使って一生
懸命食べていただいています。最近ではうどんの効果か自然排便もあります。
間食として提供するおやつも、時には手作りして入居者さんに喜んでいただい
ています。おやつ作りを入居者さんと一緒にすることで、おやつが出来上がる
過程を共に楽しむ事ができ、匂いや湯気の上がる様子に食欲をそそられるなど、
五感で感じられる豊かな時間を過ごす事が出来ていると思います。
排泄ケアと自立
和ユニットで最も目覚しく ADL が向上した方に K さんがおられます。5月に
他施設から入所されました。その当時はほとんど発語も無く食事以外の事に関
しては全介助を要する方でした。ご家族から「自分の名前が書けるようになっ
て欲しい」という希望があり、それを叶えられるような方向で支援していきま
した。かつて K さんの趣味であった俳句集を提供するとこで自然と活字に対す
る興味がわき、その後たくさんの本を読まれるようになりました。次の段階と
して音読していただき、発生する事に慣れていただきました。そういった中で
七夕の短冊に『七夕の願いは宇宙を駆け巡る』という句をつくられ介護者が驚
いた思い出があります。
排泄面では入所時からオムツを使っていましたがオムツの不快感からか不潔
行為がありそれを改善する為にオムツからパンツに変更し、不潔行為があれば
トイレ誘導するようになりました。トイレに行く頻度が多くなる事で職員もか
かわることが格段に増え一段と周りのことに興味が出てくるようになりました。
夜間は紙オムツをずらし失禁が多かったので布オムツを使っていましたが、夜
間もパンツのままでの対応にしました。 不潔行為は改善されていませんが昼
夜共に完全なパンツになられたことで更衣も自立され見守り程度になり夜間の
失禁も減りました。K さんの現在の生活の中では歌や読書、書道などのレクリエ
ーションや会話が積極的に行われるようになり、豊かな生活を送られるように
なられたと思います。
事故について∼職員の心構え
和ユニットの入居者と共に生活して 10 ヶ月になりましたが秋以降、転倒によ
る骨折、転落、誤嚥、戸外への徘徊等、事故が相次ぎました。そして、その対
応方法について意見を出し合い二度と同じ事故を起こさない様検討会を持ちま
した。
一つを例に挙げると、昼夜逆転の激しい M さんについては、レクリエーショ
ンに誘うなど、かかわりを更に増やし、少しでも日中を活発に過ごしていただ
けるよう心がけました。又、他部署の力も借り軽作業を手伝っていただき、仕
事をしたという充実感と程よい疲れを味わうという事で夜間の入眠を促してい
ます。しかし実際には一日一日様子は違い、試行錯誤している状態です。M さん
については施設長をはじめ、相談員さん、ケアマネさん等と相談の上、家族と
の連携を密に取っていただくことで更に M さんにとってよりよい対応をしてい
けるよう、施設全体で取り組んで頂いています。
また、スタッフ同士のコミュニケーション不足も痛感しており、お互いが指
摘しあえる関係をつくっていかなければならないと感じました。そして、その
関係をつくるにはスタッフ同士の信頼、思いやりを持つことが、基本にあると
考えています。事故は起こってはならないものですが、その事故を通して学ば
せて頂くことも多くありました。まず第一に命の尊さ、その命を私たちがお預
かりしているということの責任の重さを常に意識し業務にあたるということで
す。次に、事故へとつながるあらゆる可能性を見極め、それに対応する力を養
うこと等です。いずれも入居者との深い関わりが不可欠なもので、ただ何とな
く 1 日が過ぎていくという関わりでは入居者の本当に必要とする援助を見つけ
る事はできません。そういう時に自分の本当の家族、おじいちゃん、おばあち
ゃんであればどうしてあげたいか・・・といった自分の家族に置き換えて考え
てみると、自然と優しい関わりが持てるではないでしょうか。それを繰り返す
ことによって入居者を自分の大切な家族と思うことが出来るようになるのでは
ないかと思うのです。
来年度のユニット目標として、今まで起こった様々な出来事を教訓とし、
『和』
という字の通り、入居者 10 名とスタッフ 5 名、15 名で一人一人が役割を持ち、
なくてはならない存在であるよう一つの和となり共に暮らして行きたいと考え
ております。
「笑う門には、楽しくて健康な毎日来たる」
茜ユニット
<スタッフ氏名>
川村由佳 星野早苗
西原裕司
北風めぐみ
角尾貢介
目次
1. 大切に、心掛けている事
職員同士のコミュニケーション→情報の伝達、交換と情報の共有
会話の中からの気付きと観察力
気付きを築く
2. 事例 G・Iさん 90歳 男性
引越しでの環境の変化、特にトイレの違いに戸惑われ、排泄がうまくいかな
くなり、自信喪失され、職員と共に葛藤を続けてきた10ヶ月
3. 事例 O・Rさん 102歳 女性
百歳を過ぎても変わることが出来るすばらしさを教えてくれた
排泄に対する思い・・・
4. 楽しかったお出掛け・由良みかん狩り
5. 助け合う茜ユニット
それぞれの役割
6. 最後に・・・Fさんが残してくれたもの
1、 大切に、心掛けている事
5 月、引越しで環境の変化に戸惑っておられる利用者の方、そして、福祉の世
界に初めて来た職員に早く慣れていただくことに重点を置いた日々でした。
利用者の方の体調維持を一番に、お一人ひとりの状態を早く認識するように、
気付きの大切さも訴えてきました。観察力も大切ですが、会話の中からの気付
き、表情豊かに語りかける大切さも意識していただきました。そして、何より、
15 名、皆が仲良く過ごせるように職員同士のコミュニケーションを大切に、情
報の交換、情報の共有にも努めて個々に認識しあう関係作りをしてきました。
5 月 16 日に、
初めて茜として取り組んだ牡丹餅作りのきっかけとなったのも、
故O・Mさんが「牡丹餅とおはぎ」の違いを職員に問いかけてこられ、その話を
お仲間も巻き込んで食事を取りながらするうちに、
「食べたくなったね」となり
実現しました。
2 回目の牡丹餅つくりは、悲しいかな、この取り組みの発端となった故O・M
さんが、お元気に迎えるはずであった 78 歳の誕生日。茜のみんなで牡丹餅を作
り、食べて、思い出話をして偲ぶ会となりました。
これらの取り組みに限らず、弁慶寿司もみかん狩りも利用者の皆さんが、
「食
べたい」
「行きたい」と会話の中で話された言葉を大切に、その本音を引き出せ
るような会話を持つように努めて、利用者の思いを実現してきました。
ユニットとなり、適温の食事を提供でき、6 月にはパジャマに更衣して休んで
いただく事ができるようになりました。外出も些細なものでも買いに行きたい
という、言葉を大切にしています。当たり前のことが可能になる喜びを少しづ
つ感じています。
また、家族との関係を良好に保つために、面会にこられた折には、積極的に
話す機会を持つようにしています。
9月 17 日の敬老を祝う会では、沢山のご家族が集まって下さり、冷房をかけ
ても暑いほどでした。
2、
事例
G・Iさん
90歳
男性
園からの引っ越しによる環境の変化について行けず、以前はかろうじて出来
ていたトイレでの排泄が思うようにいか無くなった I.G さんは、もう自分はダ
メになったと自信を失われ、やる気を失い悪い方向へと進んでしまいます。
車椅子の動線を考え家具の配置を換えてみたりするのですが、上手く行かず、
失禁が増え、排尿の失敗でトイレは尿にまみれていました。6 月には尿瓶による
介助を始めてみたり 8 月には安心パンツより紙パンツの方が上げ下げがしやす
いと紙パンツを使用したりしますが、どれも上手く行きません。それでもオム
ツ対応はご本人のプライドを傷つけ一段と気力を失わせるのではないか?とい
う配慮から使用せず、毎日パンツとズボンの更衣を繰り返す日々でした。
この頃は夜も眠りが浅く、尿意の訴えは頻繁で、一晩中コールを鳴らされた
り”お∼い、お∼い”と大声で呼ばれたり、食欲も減退し、全てに意欲を無く
されて行くような状態でした。
そんな I.G さんを元気付けようと企画されたのが弁慶寿司の出張にぎり寿司
です。
当日は大盛況で、魚好きの I.G さんは大好物のしめ鯖を何度もお替りされ、
日頃、流動食を採られている方々も平気で握り寿司を召し上がっておられるの
には、職員も驚かされました。楽しいひと時を過ごし、少しでも元気を取り戻
して頂ければ・・と思っていましたが、その後も I.G さんの様子は悪化する一
方で、以前は嫌がられていたオムツを”この中にしても、ええんやな”と受け
入れられ、夜間は紙オムツを使用する事になってしまいました。
何も分からんようになってしもた、呆けとる、死にたい!の訴えは続き、10
月には与謝の海病院を受診、新たな薬が処方されます。この頃よりトイレに行
かれる回数は減り、と同時に何もせず寝るだけの生活へと陥ってしまいます。
日中、何とか起きていて頂こうと、話しかけたり、イベント事に誘導したり
しますが、食事が終わるとベットへベットへとまっしぐら!といった状態でし
た。1 月ドクターの指示により薬を中止する事となり、再び”お∼い、お∼い”
の声がこだまするようになります。夜間不眠の日があったり、興奮に近い多弁
であったりと不安定な状態が始まり、改めて対応を迫られる事になりました。
日中は出来るだけ車椅子を自走して散歩に出かけて頂くよう促したり、極力、
失禁を減らそうとトイレへの排泄誘導に努めました。そして 2 月に入り少しず
つ落ち着きを取り戻され・・最近は、良い状態が続いていると喜んでいたので
すが、今度はヘルニアが悪化、手術を受けられる事となり、現在は安静にとの
指示でベット上での生活となっています。せっかくトイレ介助も上手く行きつ
つあった時だけに残念です。
これからも、良くなったり悪くなったり、色々な事が繰り返されるのかもし
れません。が、一人の方にこんなにも関わっていけるというのは、ユニットケ
アだからこそ出来る事なのだと思います。
3、
事例
O・Rさん
102歳
女性
102 歳という年齢を勲章のように思われ、自他共に”大将”と認める R さんは、
食欲も旺盛で、時々やんちゃな表情で冗談も飛ばす楽しい方です。
が、唯一の難点は自己摘便をされる事。自己摘便と言うと聞こえはいいです
が指で便を掻き出す不潔行為です。それは、毎日、日に何度でも、行きたいと
思われた時には待った無しで、面会者と話をしている真っ最中であろうがお構
いなしでポータブルトイレに座り便堀をされるのです。周りの皆も、今さら何
を言っても何年も続けてきた癖なので、こればっかりは仕方が無いと諦めてい
るほどでした。
ところが 12 月 8 日 R さんは突然高熱を出されます。原因は尿路感染、2∼3 日
続いた熱は無事下がり大事には至らなかったものの、自己摘便をやりたい放題
にしていた事を職員も反省し、これではいけない!せめて回数を減らさなけれ
ばと考え、訴えがあると”また熱が出るから、先生にも止められているから”
等々説得を続けました。いつもなら決して譲らない R さんでしたが、高熱の苦
しみが記憶に真新しい様で、少し躊躇されている様子が伺えました。それから
というもの日に何十回でも行きたいと訴えがある度に、何度も何度も説明し、
説得を続け、10 日にはポータブルトイレが側にあると座りたくなるだろうから
と、撤去し、トイレ介助に切り替えました。当初はヒステリックに訴えられる
事もしばしばありましたが、今では朝食後に 1 度だけと決め、ご本人も言われ
るように”我慢しとるんじゃ”という状況です。
それでもウォシュレットは、結構お気に入りでお湯をかけるとてると”お∼
あたっとる、あたっとる”と喜ばれています。この事例は、このお歳でも、百
も過ぎた方でさえ、変わる事が出来るのだ!という驚くべき事実です。本当に
凄い事だと思います!私たち自身、とても驚かされ感動させられる事でした。
また、他の入居者の方々については、入所当時は、オムツ対応であった O.E
さん S.T さん、M.K さんは、日中、夜間の使用をあれこれ変えながらも幸せパン
ツ+パットにて対応するようになりました。高齢にもかかわらず、I.K さん、O.T
さん、K.T さんは、トイレが近くにあるお陰で、夜間何度もトイレに起きられな
がらも、自立した排泄を続けておられ、それが自信に繋がっています。
この様に排泄は生活の中でも大きなウェイトを占めていると私達は考えていま
す。
人としての尊厳を大切にし、自信を持ち続けて頂く為にも、快適に過ごして
頂く為にも、その方に合った排泄介助をこれからも追求して行こうと思います。
○
102歳の誕生会
○
フルート演奏も来ていただき、とても盛大なお誕生会となりました。Rさん
も皆さんの前ではっきりとご挨拶されました。
○ 2月3日節分 ○
節分には鬼の役をすすんでしてくださり、楽しい豆まきとなりました
4、楽しかったお出掛け・由良みかん狩り
11月 7 日
茜ユニットでは由良出身の利用者の方がおられ、由良で生活されていた時の
思い出話をよくされていて「由良に行きたい」という訴えを聞いていました。
やはり施設で生活すると外出する機会は少なくなり、ただ毎日が過ぎているだ
けになりやすいと思います。そこで私たちは利用者の方の郷の訪問を兼ね、ユ
ニットで由良へみかん狩りに行くことにしました。皆さんとても楽しみにされ、
利用者の方同士でも「もうすぐみかん狩りやなぁ」
「楽しみやけど天気は大丈夫
かな?」と心待ちにされ、楽しそうに話されていました。
当日の天気は晴れで、体調を崩されている方もいなかったので無事に出発す
ることが出来ました。みかん園に向かう車内では「由良のみかんは昔から大好
きで今日はうれしいですわ」と会話も弾み笑顔でいっぱいでした。
到着してからは自由行動にし、のんびりと過ごす方や、家族へのお土産にと
沢山みかんを採られる方、もくもくとみかんを召し上がられるたりと思い思い
に過ごされました。介護度が高く普段表情の少ない方も笑顔がこぼれ、施設の
中とはまた違った表情を見せてくださいました。
由良に行きたいと言われていた利用者の方も帰る途中でご自宅に寄られ、久
しぶりの息子さんとの再会にとても喜ばれ、満足そうにされていました。
みかん狩りでは、利用者の方と一緒に職員も楽しく過ごすことができ、良い
思い出になりました。楽しい行事によってこんなにも表情が変わるという事を
改めて実感しました。利用者の方にとって良い思い出が作れるよう、良い表情
で生活していただけるように、これからも行事などを考えていきたいと思いま
す。
5、助け合う茜ユニット
それぞれの役割
職員が主に活用していたキッチンに、10月から入居者の方々が頻繁に立た
れています。
Mさんは、昼と夕食のご飯の為に、毎日時間をきにして責任を持って、お米
を研いでくださいます。水加減の最終チェックは職員がさせていただいていま
すが、「今日は○合です」と教えてくださいます。
Kさんは、食べられる方の量を考えながら、食事の盛り付けをして下さいま
す。最近では、昼食に味噌汁がある日は、味噌汁作りも取り組んでいます。
ご飯が炊ける匂いに加え、お味噌汁の、いいかおりがユニット中に広がってい
ます。
キッチンに立たれるお仲間の姿を見た、Oさんは、裁縫仕事が得意だからと、
喜んで繕い物をしてくださいます。他のユニットの分まで引き受けて「ようけ
仕事があって嬉しいわ」と楽しそうに作業されています。
洗濯物もリビングでテレビを見ながら。お仲間とお話しながら、気がつた方
が、たたんでくださいます。
リビングのしつらえを考えていた時、ソファの配置・衝立の場所・のれんの
向きにも気をもんで一緒に考えてくださったのはIさんでした。
助け合う・・・というと、軽作業的なものに目がいきがちですが、100 歳をすぎ
たRさんの訴えに敏感に、反応するのは職員だけではなくMさんです。薬袋を
封切し手渡したり、
「ぼけてしもんて・・・」と嘆く声に「そんなことあらへんで」
と、傾聴し、励まされたり、一緒に廊下の散歩に出かけたりして下さいます。
Rさんも、とても感謝されています。
私たちは、自らいろいろと取り組んでくださる皆さんに、日々感謝の気持ち
を言葉でお伝えし、より気持ちよく過ごしていただけるように心がけています。
これからも、生活の“ハリ”ともなる、みなさんの出来る可能性を維持し、
「一
緒に助け合って生活しているんだ」という、実感を大切にしていこうと思って
います
6、
最後に・・・Fさんが残してくれたもの
最後に昨年の12月26日に永眠されたFさんについてお話したいと思いま
す。茜ユニットと言えばFさんと言われるような、笑顔の素敵な看板的な存在
でした。Fさんは以前、転倒により大腿骨を骨折され、歩行不可能のはずが、
認知症の為か、不思議と歩く生活をしておられました。郷に来られる前は、転
倒を予防するために、少しでも歩いておられたら、ベッドへ誘導される生活だ
ったそうです。
しかし、郷に来られてからは職員の目配りのきく空間で、Fさんの行動の見
守りが出来る環境になりました。Fさんは自由に歩き回られ、自分のしたいこ
と…タンスの衣類の出し入れや、赤ん坊代わりの人形の世話、盛ってあるみか
んを食べたり、ご自分のペースで過ごしておられました。
郷に来られる前は不眠だったFさんも、日中は自分の思うように過ごしてい
ただけるようになり、郷に来られてからは、夜間にぐっすり休んでいただける
様になりました。見守りが出来る環境で、活発に生活していただけたと思って
おります。
亡くなられる5日前、餅つきの日、体調を崩され、熱発と嘔吐が見られまし
た。翌日、一日中、食事が入らなかった夜中に「おかゆさんなら食べれる」と言
われ、炊飯器にあったご飯で、おかゆを作りお出しすると、熱々をとても美味
しそうに食べられました。ユニットケアだからこそ、その方の状況に応じて臨
機応変に対応できたのだと思います。
Fさんは入院後まもなく天国に行かれてしまいましたが、茜ユニットの中で、
おだやかに・そして、最後までFさんらしく生きていただけたと思っておりま
す。
Fさんは、笑顔しか思い出せないほど、笑顔がとてもチャーミングな方でい
つも「ホホホ」と笑っていて、誰に話しかけても「はーい」と返してくれたり、
みんなの笑いを誘ってくれ、楽しい雰囲気にしてくださる存在でした。Fさん
には笑って過ごすことの大切さを、茜ユニットのみんなに、教えて下さいまし
た。
これかからも、入居者のみなさん10人と、職員 5 人が、笑って、楽しく過
ごせる、空間、造りをしていきたいと思います
○
平成 17 年度
5 月 16 日
7 月 13 日
7 月 28 日
8 月 15 日
9月5日
9 月 17 日
11 月 7 日
11 月 18 日
12 月 1 日
12 月 6 日
12 月 21 日
1月1日
1 月 13 日
1 月 24 日
2月3日
2 月 24 日
3月3日
楽しかった出来事
○
牡丹餅づくり
大きなスイカをみんなで食べる
故О・Mさん誕生日に牡丹餅をつくって偲ぶ
O・Rさん 102 歳誕生会 フルート演奏
にしがき弁慶寿司 出張サービスのにぎり寿司を茜で食べる
敬老を祝う会 (百歳超長寿 1 名、米寿 2 名)多数の家族と会食
由良へみかん狩り
Fさん 92 歳誕生会
M・Tさん 73 歳誕生会
Sさん 81 歳誕生会 娘さんの手作りケーキで祝う
3 ユニット合同餅つき
お正月、皆でおせち料理を味わう Gさん 90 歳誕生日
Iさん 98 歳・M・Kさん 81 歳誕生日/1 月生まれの方の誕生会
O・Eさん 89 歳誕生日
節分豆まき
O・Tさん 97 歳誕生会
ひな祭り ホットケーキをみんなで作って、苺やクリームで各自デ
コレーションする。
上記以外に 随時…
・5 月、6 月の天気のいい日は、テラスにテーブルを出し、屋外で昼食を食べた。
・夏の暑い日、1 階まで下り、風が良く通る日陰で、おやつを食べた。
・大雪が降った日、雪を持ち込み雪に触れた。
・たこ焼き器で一口カステラを作って食べた。
・季節の花を、食卓に飾るようにした。
個人別 外出回数
平成17年5月∼平成18年2月
M・T…10回(買い物)
Ⅰ・K…5回(買い物)
O・R…5回(自宅訪問・買い物)
O・T…5回(自宅へ荷物整理・買い物)
G・Ⅰ…3回(故郷ドライブ・買い物)
S・T…2回(故郷ドライブ・買い物)
K・T…1回(買い物)
O・E…1回(故郷ドライブ)
故F・H…1回(買い物)
故O・M…1回(買い物)
買い物は歯磨き粉1本、のりの佃煮1個ほしい…の希望が叶うようにしまし
た。自宅訪問は、体調不良で面会に来られない息子さんに会いに行きました。
故郷ドライブは、天気のいい日に買い物等の訴えの少ない方々が出掛けました。
自宅へ荷物整理は、在宅時独居だった方で空き家になった家を気にしての外出
です。
『
成長
やみくもだった私達…』
5月8日より昴での受け入れが始まりました。最初は受け入れの仕方も分か
らない初めて顔を見る方々を目の前にし、さぁ何を話そう?どう関わればいい
んだろう?一人ひとりの性格や名前さえままならない、これ食べても大丈夫や
ったかな?排泄は自立やったかなぁ?と動作一つを取ってもファイルを見なが
らの状態が続きました。
しかし、周りからはプロとしての対応を求められ、
「ショートステイを利用さ
れる目的」とか「ユニットケアの実践」など言われても正直、考える余裕など
全くなく、ただただ不安が募るばかりの毎日でした。
『そのころの不安』
ファイルの情報提供でしか利用者を理解できていない部分も多くて、ユニッ
トケアとは寄り添うケアと思い、ただやみくもに関わっていたというのが現状
です。
そんな中で、ショートステイを利用される方々の本当のニーズって何なんだ
ろう?もっと利用者を知りたい、知らなくては‥、と考えるようになり利用者
一人ひとりと向き合い、ゆっくり時間を過ごすにはどうしたらいいんだろう?
と会議を重ねて参りました。
『一日の流れ』
皆さんもご存じの通りショートステイは入所や退所があり、とっても忙しく
て利用者と関わる時間がなかなか取れないのが現状です。
『入所 と 退所』
入所は、受け入れ・引き継ぎ・一番時間の掛かる荷物チェック。
退所は、荷作り・掃除です。
掃除は個室料金を頂いているので隅々まで念入りに、トイレは自分が使えるぐ
らいまでキレイにしています。
詳しくはお手元の資料を見て下さい
見て分かって頂けると嬉しいのですが…、どれもこれも、あれもそれも全部
が後回しに出来ない事ばかりです!!
「入所・退所・受け入れ準備」と言葉にしまえば簡単な事のようですが時間に
すれば一日の大半を費やしています。実際には大半以上です。
パートさんは4日に一回ユニットに入って頂ける程度で、この中でどうやって
関わる時間を作ったらいいのか?常に試行錯誤を重ねてきました。
『対策実践例』
受け入れの時間削減、利用者の情報伝達をスムーズに行う、雑務は要領良く
するなど例えばここに上がっているネットを使用するという事一つをとっても、
最初は本当にこれで大丈夫なのか?紛失物が出たらどう対処するのか?と抵抗
もあり、色んな角度から思案しながら実践してきましたが、今の所トラブルも
なく、手間や時間を削減することが出来ました。
このように、時間を作るために、小さな事からコツコツと頑張ってきました。
こういった取り組みの中で、利用者との関わり方にも変化が出てきました。
『痴呆症の方』
例えば、痴呆症の方・・・
認知症の方に対して、皆さんのユニットではどのように対応されています
か?
ショートでは、認知症の中でも初期段階の微妙な時期の利用者も多く、一見う
まく話が弾んでいるようでも実際はなかなか話がかみ合っていない、本人も自
分ではしっかりしているつもりなのに何かが違う・・と感じておられる、そんな
時はその場を見過ごすのではなくて、他の利用者にも配慮しながら、レク内容
を変えてみたり、ちょっとした世間話一つにしても職員が間に入る事で、みん
なが楽しめる空間にしようと考えるようになりました。
ただ、そのちょっとの関わり、あいだに入りたくてもなかなか入れないぐら
い、時間に追われているのが現状で、やはり時間を作る為には毎日毎日、関わ
ろうとゆう意識が一番大事なんです・・・
『帰宅願望の強い方』
また、帰宅願望の強い方も少なくありません、
利用にあたり本人と家族との想いが違い、納得せず入所された方は当然「帰り
たい」と落ち着かれず、またイライラされているのがよく分かります。
ショートを利用されている方には自宅での生活があり、買い物に行きたいと
きに行ける。散歩したい時には外に出て、納得いくまで歩ける。そんな生活か
らすれば、施設での生活は窮屈に思えて当然です。それを帰りたいのだから仕
方がないなぁ、と済ませるのではなく、その気持ちを受け入れてゆっくり話を
聞き、寄り添うことで納得して頂けることもありました。最初のうちは「ダメ」
と言っていた事でも、問題と捉えるのではなく、その人らしさとして捉え、受
け入れられる様になりました。
在宅での生活リズムも配慮しながら、ここでのリズムを見出して頂く。
『居室の配置』
この写真は転倒予防と不安を取り除く為自宅と同じように家具を配置したも
のです
常に顔が見えていないと不安と言われる
と言われる
ご夫婦の配置
自宅と同じようにして欲しい
ご夫婦の配置
こういった配慮を常に心がけています。
また、こんなこと出来んかなぁ?イヤがられるかなぁ?と考える前にまず誘っ
てみて、一緒にやってみよう。と、今までとはちょっと違った視点から関わり
を持てるようになってきました。
その中で利用者の反応が一番解りやすかったのが食事でした。男性は食べる
事だったり、女性だったら主に作ることに対し興味を示して頂く事が出来たの
で、最近では利用者と一緒に調理レクを企画し、月に2∼3回行っています。
このような取り組みや関わりを通して、利用者との距離が縮まりよりアット
ホームな雰囲気になってきました。利用者一人ひとりにも役割意識が見え始め、
何かを一方的に提供するのではなく、私たちも一緒に楽しむことで見える笑顔
が増えてきました。
『利用者の反応』
このような利用者の表情や自立した生活ができているけどここへ来るのを毎
回楽しみにして下さっている方や、私たちスタッフに本当の孫のように接して
下さる姿、「また会いに来たよ」という声、涙しながら退所される方
ご家族の「ここへ来るようになってよぅしゃべるようになってきんやで」
「他
の施設行くんはイヤがるんやげど、ここには喜んで来るんやで」という言葉を
頂けるようにもなりました。
今回、この発表に向けて話し合いを進める中で、スタッフそれぞれの想いや
今までの取り組みの成果などを振り返り再確認出来たことは、自信にも繋がり、
関わりの大切さを実感することが出来ました。
利用者の表情が変わってきたのと同じように、私たちも少しずつ成長して来
れたのかな?と感じられた事は、いつも「これでええんかなぁ?」と不安だっ
た私たちにとってはとてもよい機会でした。
『今後の課題として・・・・』
選択肢を用意し、自己決定を尊重できるようにしていきたい。
本当にこれでよいのだろうか?と常に自分に問いかけながら、現状に満足しな
いこと。
在宅に帰られることを常に考え、過介助にならない、自立支援であり続けるこ
と。
『来年度のユニット目標』
『個性を大切に、ゆったりまったり過ごせる環境づくり∼私たちはリビングパ
ートナー∼』と決めました。
ご新規さんが増える中、これからも良い緊張感を持って利用者と共に楽しい
時間を共有してゆきたいと考えております。
介護職員ではなく生活のパートナーでありたいとの思いを込め、
リビングパートナーと言う言葉を使わせて頂きました
虹ユニット発表
テーマ「虹のあゆみ」
サブテーマ「よちよち歩きでまず一歩」
スタッフ
・山田 浩士 ・馬谷 亮 ・松井 扶美子
・大松 洋子 ・小林 彩
ユニット目標は
「ご利用者の 1 日 1 日を楽しく大切にし、喜怒哀楽の感情を心から出せるユニ
ット ご利用者自身の生活の場、生活の一部と思っていただけるようなユニ
ット作りを目指す」
ショートの今までの現状
入退所、入浴に関するデータ。
データは、平成17年6月から平成18年2月までの、情報をグラフ化しまし
た。
入退所、1日平均
入所
入退所、利用率グラフ
退所
入退所
5
4
4
3
3
2
2
1
1
0
6月
7月
8月
9月
10月 11月 12月
1月
2月
退所 1.26
入所 1.33
1.19
1.19
1.35
1.25
1.52
1.6
1.58
1.68
1.97
1.86
1.75
1.81
1.63
1.7
1.52
1.65
0
6月
7月
8月
2.6
入退所
利用状況 77.7
2.4
90
2.6
91.8
9月 10月 11月 12月 1月
3
96
3.3
93.1
3.2
96.7
3.1
99.7
3.7
97.3
利用状況
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
2月
3.6
100
※グラフ1
※グラフ2
グラフ1は、入退所を月ごとに1日平均したものです。
6月7月8月は入退所ともに、1日2.6人前後の入退所と少なく、まだ入退
所に慣れておらず、フルに入退所が行われていない時期です。1月、2月では
1日1.8人前後と1日3.6人の入退所があり、徐々に入退所が増えてきて
います。
グラフ2は左の入退所合計と、利用状況をグラフにしました。利用状況では、
6月77.7%ですが、2 月では 100%と入所退所で出入りはあるが、常に居室
を使っている状態です。
退所比率
入所比率
100%
100%
5人
4人
3人
2人
1人
0人
80%
60%
40%
20%
0%
6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月
※グラフ3
5人
4人
3人
2人
1人
0人
80%
60%
40%
20%
0%
6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月
※グラフ4
次のグラフでは、入退所数を人数ごとに数え、割り合いを出したものです。
グラフ3は入所、グラフ4は退所です。6 月、入退所ともに 1 人の入退所が 40%
と多くありますが、徐々に入退所数も増え、2 月では 2 人、入退所の日が 50%
と多く見られ、月の半分は 2 人の入所、退所、合計して 1 日、4 人の入退所があ
ることになります。
グラフまとめ
始めのうちは、入退所が少ないものの、職員も何をしていいのかわからず、
入退所も時間がかかっていましたが、徐々に入退所数が増えるにともない、職
員も仕事に慣れてきました。ただ日々利用者に接する時間が減っていったよう
に思われます。
入退所が増える中、目標の「1 日 1 日を楽しく大切に」にたいして、行ってき
たことで、牛乳パックにてかみすきを行ったことを紹介します。
○目的として
・ レクに参加し、楽しみを味わって頂くことにより、また来たいと思って頂け
る。
・ 紙すきは季節に関係なく年中通して出来るのと、牛乳パック利用の為、手軽
に取り組める。
・ 紙を作り、その紙で手紙や、誕生カードを作り、利用者にプレゼントしたい。
・ 利用者間と職員、利用者間での人間関係が出来、信頼感も出来るのではない
か、そのきっかけとして紙すきを始めました。
○工程
1、 牛乳パックを広げ、牛乳パックにカッターナイフなどで切り込みを少し
入れる。
2、牛乳パックを水につけフィルムをはがす。
3、 フィルムを剥がした牛乳パックを細かく千切っていただく。
4、 千切った牛乳パックをミキサーにかけ、細かくこす。
5、こした紙を再度ミキサーに掛け、木枠にネットをはめた枠に流し、紙をす
く
その中で印象に残ったのが、フィルムを剥がした牛乳パックを細かくちぎっ
ていただく作業です。牛乳パックが硬いの、やわらかいのを、細かくちぎる方、
おおざっぱにちぎる方、利用者それぞれ性格がでたり、又、ちぎるという作業
が簡単な為か、帰宅願望の強い方、男の方には、集中して取り組む姿が見られ
ました。牛乳パックをいっぱいちぎって頂き、お礼を言うと、
「たいしたこと無
い」と笑顔も見られました。
○、行った結果
紙すきの計画をしっかり立てておらず、参加していただける利用者、できな
い利用者、内容によっては出来ない方、などあり、又、入退所の増加、関わり
のバリエーションが増え、行事などその月ごとの準備など利用者と一緒に行う
事が増え、紙すきをしないようになっていきました。けれども、誕生カード作
りはその月に利用された方に、作った紙を台紙にして写真を貼り、飾りつけな
ど利用者さんと一緒に作る事ができ、一緒に作った方も、カードをもらった方
も、とても良い笑顔を見せて頂け、喜んで頂いています。
来年度は、もっと計画的に行いたいと思います。
最後にずっと虹を利用されている利用者で、1 年間かかわりに悩みながらとも
に 1 歩づつあゆんできた、方を紹介させていただきます。
S・K さん 97歳
5月より月に1週間を2回利用、生活の半分をショートにて過ごされていま
す。
○利用者初期の身体状況
・ 高齢に伴う下肢筋力低下、手引誘導にて歩行は可能。目が悪く、室内の明暗
が分かる程度。目が見えないため、何に対しても不安があります。
問題
○ 利用当初は病院にてベッドを使用されており、ベッドを使用しました。
初めての利用で不安が多くあり、「帰りたい」、「寝られない」、目が不自
由な為、動作1つにおいても、ベッドより落ちないか、場所は合ってい
るかなど、頻繁にコールあり、常に不安を訴えられることが多くありま
した、家の方も自立を促され、ベッドからトイレへ行き方を説明される
などし、職員も自立に向け、声掛け、トイレの位置の説明など試みまし
たが、御本人に恐怖心が強くあり、トイレへはなかなか行けず、誘導に
て対応していました。
7月30日、御自身でトイレに行かれるなど、少し慣れられた頃、ベ
ッドからのずり落ちがありました。ベッドでは場所の把握、転倒の危険
があり、本人自身、大変恐怖心が強まりました。
対策
○
目が不自由な為、ベッドでは場所の把握も出来ず、ふたたび転落、転
倒の危険が有るため、家庭での状況を調べました。在宅では畳にて、手
すりを目印にして、トイレ、洗面など、行動されていることが改めてわ
かり、郷でも在宅と同じ環境にて生活していただいたほうが良いのでは
と考え、ベッドを止め、畳を使用することにしました。又、家では手す
りを目印にされているが、這って移動されており、安全の為、畳からト
イレへの道しるべとして、安全マットを使用しました。
※畳を使用した居室
結果
○
※畳みからトイレまで安全マット使用
畳対応当初は環境の変化もあり、場所がわからない、寝方は大丈夫、
トイレはどこ、など不安や訴えが何度もありました。又ベッドの時には
まぶしいとの訴えがなかったのですが、畳では床との差がなく、天気の
良い日には、外の光が反射し、まぶしい、暑いなど訴え多く見られ、日
差しの強い時期には、光の入りづらい居室にしたり、カーテンの隙間か
らの光を防ぐため、ダンボールなどでガードをしたり対応しました。
○
トイレの位置を把握していただくためには、まず、居室の配置の固定
を行い、毎回来られるときには、いつもと同じ部屋のセットを行い、声
掛けを密に行うため、少しでも動きがあれば訪室しました。
現在では居室を固定し、いつ利用されても同じ環境にする事により、
「トイレには這って行くんやで」との家族からの一言もあり、畳から布
団まで安全マットを敷き、トイレの位置を把握され、今ではトイレへの
コールもなく、這って行かれるようになりました。又、居室の配置を同
じにしているためか、最近では、トイレ後、御自身で洗面所に行かれる
姿も見られるようになりました。
※畳から洗面所まで
※カーテンの隙間からの光
○S・K さんを振り返って
・5月当初からの御利用で、職員も手探り状態又利用者も初めての場所とあっ
て、お互いに戸惑いなどもあり、始めは、コールをされた時に関わればいい、
と思っていたり一人で居られることを好まれているのはないかと、関わりを控
えたり、又居室の戸が閉まっていても一人の空間に侵入するようで訪室を遠慮
したりなど、どのように関わればよいかわからず、腫れ物に触るような思いで
関わりを行っていました。
又、転倒があったことにより、今がある本当は有ってはいけないことだが、転
倒が合ったことにより、職員が再度見直しをすることにより、その方に合った
ケアを考えることが出来ました。
○今後の展開
今現在、居室内はご自身で動かれるようになり、御利用当初に比べよく動け
るようになりましたが、
「寝とるんが一番いい」と言われ、1日3回の食事の時、
入浴時以外は居室に居られることが多くあります、まずは、おやつを皆と食べ
ていただけるように、声掛け、関わりを増やし、職員が他の利用者との架け橋
となり関わることが出来るようにしていきたいとかんがえています。
全体のまとめとして
御利用者をしっかり把握し、構えることなく自然体にて接し、又たくさんの御
利用者さんと関わることにより利用者を受け入れる気持ちの余裕が出てきまし
た。職員が関わることにより、御利用者と職員との間が縮まって行ったと思い
ます。でもまだまだ、未熟な私たちですので利用者に満足していただくケアが
出来ていないと思います。そこで次年度の目標として「御利用者が又来たい、
来て良かったと言って頂ける関わり」、を考えて行きたいと思います。
介護予防サービスに係る参加・継続推進事業
(通所カフェテリアプラン導入事業)
グループ活動報告書
―
新たなデイサービスのあり方を求めて
ー
天橋の郷通所介護事業所
☆
①
事 業 の 目 的 ☆
高齢者が楽しみ・やりがいを感じられるデイサービスの提供
・ 従来の一時的で受動的な楽しみを自ら追求していく楽しみにかえる。
・ 意欲を持って自主的・継続的に取り組み生活機能を向上させる。
・ ユニットケアと同様の個別ケアの観点も踏まえたものとする。
②
元気高齢者(ボランティア)に対する生きがいづくりのための受け皿の準
備
・ 元気な段階から、介護予防に関する基本的な認識を持ちつつ、ボランテ
ィアという社会活動を実践することにより、元気高齢者自身に介護予防
の効果をもたらす。
・ 小グループ活動を行う場合、必要となる人的労力について元気高齢者(ボ
ランティア)の支援により対応する。
☆
モデル事業(小グループ活動)の実施状況 ☆
・ 実施期間 : 平成 17 年 11 月 14 日∼平成 18 年 2 月 12 日
・ モデル事業参加者数 : 月∼金 計 69 人
・ グループの種類 : ① ゲーム (月∼金 参加 18 人) ② もの
づくり (月∼金 参加 23 人)
③ 園芸 (月
∼金 参加 28 人)
・ 担当職員 : 毎日各グループ 1∼2 名
・ 活動時間 : 月∼金 午前 10 時∼11 時 30 分
・ ボランティア参加人数(60 歳以上) : 12 人(担当グループを決め
週一回参加)
通所介護カフェテリアプラン導入事業について説明致します。
11 月から 2 月までの3ヶ月間、午前中の 10 時から 11 時 30 分の 1 時間半を活動
の時間としました。今までのデイサービスは集団レクを行って、職員側からの
提供がほとんどでした。天橋の郷デイサービスでは、集団レクをしない、個別
で対応し個人のニーズに合わせた活動を行っていくと言う方針で開所いたしま
した。そこでカフェテリアプランの目的、方針が私たちのめざすものと同じ考
えであったので取り入れることになりました。
利用者の方が楽しみや、やりがい、生きがいを感じ自立の意欲を高め、高齢
者、一人一人に対しきめこまやかな介護予防サービスを提供し、自主的に継続
した活動に取り組めることを方針として参りました。
事業の実施にあたりまして
1、
DSの利用者の方が自ら選択し、少グループに分れて頂き、利用者の方
の自主性を尊重し、少グループで多様な介護予防サービスを提供するという
事で、今回、天橋の郷DSでは、物作りグループ、園芸グループ、ゲーム機
器を使ったゲームグループの 3 つに分れて頂きました。
利用者の方には選択された各グループで固定をさせて頂き、毎回同じグルー
プで活動に参加して頂きました。また、企画の段階から利用者の方に入って
いただき、話し合いを重ね活動をして参りました。
2、
多様なグループ活動を行うためにボランティアの方に参加して頂き、共
に活動を楽しんで頂きました。ボランティアの方から多くの事を学ばせてい
ただきました。
それでは各グループの事例の発表をはじめます。
ゲーム活動
基本的にどの曜日もゲーム機器を使ったテレビゲーム(ボーリング)を午前中
に行っている。利用者の数によって活動できない時もあったが、どの曜日も平
均 4∼6 名程度の人数でグループが構成されていた。またゲーム活動に参加され
る利用者の中には認知症や片麻痺の利用者の方が多く含まれていた。
グループとしての目標は、利用者の方が「楽しみ」としてゲームに接しても
らえるよう取り組んできた。利用者にとって、ほとんどの方がテレビゲームは
長い人生の中でも初めての経験なので、簡単でわかりやすく楽しめるゲームを
提供するのが一番だと思い、テレビゲームにこだわって活動をしていった。ゲ
ーム活動は他の活動と違い、何かを作ったり何かを育てたりするといった、形
に残るものではなかったので、なかなか達成感という点で利用者に感じてもら
う事は難しい活動であった。その為、活動の方向性として、その日その活動を
楽しんでもらえるようにする事を心掛けてきた。
事例報告
氏名:U.Kさん
年齢:74 歳
性別:女性
既往歴:くも膜下出血、脳底動脈流、白内障、
Uさんに対しては、「集中力向上」「落ち着いて活動に参加する」というのを
目標に活動をしてきた。カフェテリアプラン導入以前のUさんの様子は、落ち
着きがなく幻覚、妄想があり、活動への参加が難しい方であった。また押し車
を使っての自立移動だがパーキンソンに似た症状があり、ふらつき転倒しやす
い状況で一人では歩くことが出来ず、目離しができない方だった。Uさんに対
しては職員が個別で対応をしていく状況で、グループ活動が本当に出来るか不
安だった。
実際活動をすると、活動に対して消極的であったり否定的であったりするこ
とはなく、職員の声掛けにすぐに返事をされ活動に参加をされる。活動中はそ
れまで見られていた急な立ち上がりや急な移動等、転倒につながる危険な行動
がなくなり、ゲームをしている間中じっと座って活動することが出来た。目が
見えないとおっしゃられていたが、テレビ画面をしっかり見て活動されていた。
また活動中は他の利用者の方や職員とのコミュニケーションも図られ、他者と
の交流、触れ合いというのも活動を通して感じていただくことが出来た。目標
にあげていた「集中力向上」という点でも、約 1 時間 30 分の活動時間を他の利
用者の方と同じように過ごされ、一つの活動に集中して落ち着いて参加できる
ようになられた。
ゲーム活動以外の時間では今でも対応が難しい状況が続いているが、午前中
の活動に関しては、Uさんにとって楽しみな時間として過ごしていただけたの
ではないかと思う。
氏名:H.Mさん
年齢:83 歳
性別:男性
既往歴:慢性関節リウマチ、痛風
Hさんの目標は「興味、関心見つけ」、「社交性向上」というのを設定してい
た。Hさんのそれまでの様子は、利用者同士の交流が少なくデイに来てもテレ
ビを見て過ごされる時間がほとんどで、活動に関心を持って参加されることは
あまり見られない方であった。Hさんに限らず、男性の利用者が参加される活
動というのがあまりなくテレビを見られたり、ベッドで横になられたりする方
が多い。またデイを利用している方の男女比も女性の方が多く、グループの輪
の中に入ることが出来ない方が出てしまう事もあった。
活動を始めた当初は、テレビゲームという経験のないものへの抵抗や、今ま
で活動に参加していなかった事で職員との関係も構築されておらず、活動の雰
囲気もぎこちない感じがあった。また H さんはリウマチの為手の動作範囲が狭
く、手指を使うゲームをするには非常に難しい印象であった。しかしゲームに
慣れてくると、体全体を使って上手にゲームをされるようになり、またゲーム
を楽しんでされ活動中笑顔が増え職員との会話も次第に多くなり活動を楽しみ
にしてくれるようになった。デイサービスに来られ活動の時間になると「今日
もしよか?」と職員に声をかけてくれるまでに変わられた。
園芸活動
この地方では、昔から畑仕事をやってこられた方が多く、今でも作物を作り
たいが身体的理由によって一人では行えない方がおられ、そのような方達がこ
こで再びグループで行うことや、スタッフの援助によって出来るようになるこ
とで、喜びや楽しみ、生活への減張を持ってもらえるようにと園芸を始めた。
事例報告
対象者 :Fさん
年齢
:92 歳
H15・1・1 脳梗塞
後遺症
手足のしびれ
物事を悪く考える傾向がある
仕事をやめた後から畑仕事を始められ、生きがいで畑仕事をし、植物を育て
ておられた。今となっては身体的な理由から自分ひとりでは出来なくなってき
ている。また、やる気もおこらない状態。
天橋の郷デイサービスにはリハビリ目的で利用される。来られた当初はじっ
と一人で椅子に座って、動かれるのはトイレに行く時、ベッドに休まれる時、
リハビリの時だけでした。机には一人で腰掛けて、人と話をされている姿を見
ることは少なかった。自分から人に話しかけたりする姿はなく、笑顔もなく、
一日中一人だった。
園芸では 6 月頃から畑作りをはじめ、トマト・茄子・とうもろこしなどの栽
培をはじめた。Fさんにも声掛けをとおして参加をうながしたが、初めの頃は
頑なに外に出てこられることを拒否しておられた。回数を重ねる声掛けの中か
ら、歩行器を使いながら外に出られることが多くなってきた。すると「このまま
じゃあかん。」などと指導をしてくださるようになってきた。Fさんに作り方を
教えてもらっているうちに、自ら、
「こうやって、このわき芽を取らないとあか
んのや。」と手を出されるようになってきた。そして、夏の暑い日には自らホー
スで水をやっておられた。しばらくすると、デイサービスに来られると一目散
に畑を見に行くために外に出られ、観察をされるようになってきた。
ある日、収穫したものをお昼にお出しすると、
「採ったものをすぐに食べられ
るなんて、昔を思い出す。」と涙を流して感動しておられた。
そのような中で、ある日の家族の方からの連絡帳に「外に出て、家の横に置
いてある植木鉢に一人で水やりをしています。」という返事が帰ってきた。
小グループ活動(6 人程度)が始まってからは、お誘いの声をかけなくても、
すぐにグループに来られ、活動に参加され、自主的に作業を見つけて行われる
ようになってきた。正月に向かっての門松作りを行い、その中でなたを使って
竹をどんどん割って行かれ、作業に対して「針金はここで結んでしまったほう
がいい。」などと提案をされるようになった。葉牡丹の植え替えにもずっと立ち
っぱなしで積極的に手を出して作業をされていた。
毎回同じ顔ぶれで活動をしていくようになってからは、メンバーにもなれら
れたのか、ボランティアさんとスタッフとメンバーで大声を出して笑ったり、
冗談を言ったりして打ち解けてくるのがわかった。表情も良くなり、活動が終
わってからも一緒に活動をしたメンバーと同じテーブルに腰を掛け、オセロを
されたり、身の上話をされたり、相手のお話に耳を傾けたりと、とても良い仲
間ができた。
今では、希望して週に2回の利用をされており、先日はパンジーの寄せ上を
し「こんな作業が出来るなんて、春が近いと言う事やな。早く外に出て畑仕事
がしたいな。」と気持ちも前向きになってきている。
これからは春になり、様々な植物を育てる楽しみができてきます。体調の管
理をしつつ、益々、活き活きとした姿が見られるように共に歩んで生きたいと
願っている。
ものつくり活動
カフェテリアが始まり一人一人の目標を設定し活動を行ってきた。小グルー
プに分かれるということで仲間意識も高まり一人ひとりの個性あふれた感受性
もち、一番身近な縫い物、編み物に重点を置き、得意な人、不得意な方はもち
ろんのことおられたが互いに尊重し助け合い、認め合いながら、利用者の方に
物を作ることへの喜びそれにより「生きがい、楽しみ」と感じて頂き身体的、
精神的変化も見いだせた。それでは、事例を発表します。
事例報告
対象者紹介:T.H さん
年齢:85歳
性別:女性
既往歴:右不全片麻痺
当所デイサービスにこられた時は、声かけにて活動に参加され、カレンダー
づくりや塗り絵はコレクションとして持ち帰られるという程度で感情表現もあ
まりなく他者との会話も自分から進んで会話をされなかった。自分の身体の不
自由なこともあり「自信」というものもなくされていた。また台風災害後とい
うことも本人様の心のケアも必要だった。
カフェテリア導入がきっかけで開始した時は、編み物をされる方の毛糸をほ
どいたりといったことを行い、一人でできる活動、指編みを提案した。最初は
左手だけ使い指編み機が動かないようにゴムで固定しベストな状態で活動をお
こなった。もともときき腕でない左手を使い慣れない事や感触がつかめずにい
らだって途中中断される姿もみられた。編み目が抜けたりまた穴があいたり満
足なものではなかったが、周りの方からの励ましがあり笑顔も少しずつでてき
た。クリスマスツリーに飾りを指編み機で編まれることになりクリスマスに向
けて熱心に編まれた。ツリーの飾りが完成し飾られたのを見て涙を流されてい
た。
「自分に自信がついた。これからどんどんといろんなものをつくりたい」と
言われた。
以後自分から積極的に活動に参加され自宅に指編み機を持ってかえり5本以
上マフラーを編まれたり孫にもプレゼントされ本人自身の在宅余暇に大いに着
用されている。いまでは活動内容もアップし工務店のボランティアの方にドー
ナツ型の編み機をプレゼントして頂き何個も色をかえ帽子にチャレンジされ麻
痺の手も使い活用されるようになってきている。お話をしながら編み他者と冗
談をいいながら活動に楽しまれている。また他の利用者の方にアドバイスや同
じ右半身麻痺の利用者の方がHさんの姿をみて「私もHさんみたいに頑張る」
と生きがいにされている。
名前:k.Oさん
年齢:78 歳
性別:女性
既往歴:足腰痛み、左坐骨神経痛
当初のデイサービスでの様子は何事にも内気でマイナス思考ばかりのOさん。
腰の悪いOさんはベッド上で過ごされるのはごく当たり前だった。カフェテリ
アが始まったころはOさんだけにできることはないかと考え皆で少しずつ折っ
た千羽鶴が、できないかと薦めてみても活動に無関心で「私は他の人みたいに
できない。体が悪いから。」と訴えられ活動に参加されることはほとんどなかっ
た。
しかし、活動が毎回おこなわれる中、ベッド上に座り他の利用者の方がされ
ている姿を御覧になられていた。次の機会に声かけしてみようと鶴を30羽糸
に通すことを薦めるとそれでも三回に一回は断られたが本人自身の大きいな一
歩だと感じた。活動に30分、40分、1時間、少しずつ時間が伸びてきた。
活動にしても他の利用者の方とお話をされたり利用者と友達になられたり表情
も明るくなり感情が豊かになってきたとかんじる。鶴が5本ぐらいできたころ
は、皆さんの前で「これはOさんが少しずつ時間をかけつなげました」と発表
されたとき笑顔がありとても喜んでおられた。
カフェテリア終了後も自ら活動に参加され利用者と共に楽しまれている。い
までは午後からも他の利用者の方の輪に入り色々なものに興味を持ち裁縫もさ
れている。今まで活動ができなかったOさんが活動に参加されることで本人自
身身体的機能も向上された。
「しんどいから」といっておられたOさんが積極的
に意欲的に活動され、他者との交流ということに力を入れてきたがその事で他
の方にも興味を持たれ意識されたことがおおきな成果がでた。これからもOさ
ん自身生きがいや楽しみを持っていただけるような活動をおこなっていきたい。
Fly UP