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水稲育苗ハウスを活用した園芸作物の栽培
水稲育苗ハウスを活用した園芸作物の栽培 ◎ 水稲育苗ハウスに園芸作物を作付けするためのポイントについて紹介します。 1.雑草及び土壌病害虫対策 園芸作物の生産で重要なことは、雑草対策をいかに行うかです。一般的な雑草対策としては黒 色ポリフィルムをうねに被覆する方法がありますが、土壌病害虫と雑草の種子を同時に防除でき るダゾメット微粒剤による土壌消毒をおすすめします。 ダゾメット微粒剤の使用方法の概要は、①ハウス内の土壌を耕起 ②ダゾメット微粒剤を規定 量、散布し耕起(土壌混和)③ガス(土壌水分でガス化)が揮散しないようにビニールシートで 7∼14日間被覆 ④ビニールシートをはぐり、トラクターで土壌を耕起しガス抜きの後で定植 といった作業工程となります。 2.土壌のE C (イーシー)及びpH(ペーハー)の測定結果に基づく施肥 育苗ハウスの被覆資材が周年的に被覆された状態で、園芸作物を作りつづけると、肥料分が残 り(塩類集積)すぎて、作物を栽培できなくなる場合があります。 塩類集積を回避するために、基肥散布前には、必ずE C (イーシー 電気伝導度)を測定し、 その測定結果に基づき施用量を加減するようにしてください。また、石灰分も蓄積するので pH (ペーハー)を測定し、石灰資材の種類及び施用量を加減するようにしてください。 ◎ 次に、水稲育苗ハウスを活用した園芸作物を紹介します。 ○ ほうれんそう 作型 1月 2月 春まき 3月 4月 ○ 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 ○ 夏まき ○ 凡例 ○ は種 △ 定植 収穫 ○ ○ 夏まき (雨よけ) 秋まき 12月 ○ ○ ○ ○○ 晩秋まき ○ (寒締め) 栽培のポイント ・長日条件で花芽分化・抽苔が促進されるので夏まきでは品種選定が必要 ・高温時には立枯病が発生するので、寒冷紗被覆や土つくりなど耕種的対策が重要 ・生育日数は春・秋まきでは40∼60日、夏まきでは30∼40日 ・収穫労力を考え計画的に播種する ○ こまつな・しろな 作型 春まき 夏まき 1月 2月 3月 ○ 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 ○ ○ ○ ○ 秋まき 栽培のポイント ・発芽適温は15∼35℃、生育適温は20∼25℃。夏期や冬期でも比較的作りやすい品目 ・生育期間は夏期で25日前後、冬期は50∼70日程度で収穫労力を考慮し段まきする ・害虫が浸入しないように、ハウスサイドに防虫ネットを張る - 36 -- ○ 12月 3.有機物の施用による土づくり 土壌を畑地状態で利用すると、土壌中の腐植が減耗し、土が単粒構造となり、水はけ・通気性 が悪くなり、作物が栽培しにくくなります。その対策として、もみがら牛糞堆肥等の施用をおす すめします。ただし、もみがら牛糞堆肥等は塩類を含んでいるので、土壌のECによって施用量を 加減するとともに、定植直前の有機物施用は根腐れなどの原因になることがあるので、時間的に 余裕をもって施用するようにしてください。 4.排水対策 園芸作物は、一般的に土壌の過湿条件を嫌います。ハウス内に雨水等が入り込まないように、 ハウス周囲の額縁排水路の設置や、屋根から流れ落ちる雨水がハウス内に浸入しないように工夫 してください。 5.水稲育苗の注意点 遮根シートを育苗箱の下に敷くようにしてください。また、水稲育苗ハウスを利用して野菜な どを栽培する場合は、残留農薬の関係から、水稲苗をハウス外に搬出してから育苗箱施薬剤を処 理してください。播種同時処理や育苗ハウス内での散布処理は行わないでください。 ○ 白ねぎ 作型 1月 2月 3月 4月 ハウスねぎ(冬どり) 5月 ○ 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 ○ △ △ 栽培のポイント ・ハウスねぎ栽培は遮光フイルムにより葉鞘を軟白化させるため、大量の土が不要で 栽植密度を高めることが可能で、高収量が期待できる ・収穫期が12月以降の積雪期となるため、耐雪型ハウスが必要です ○ きゅうり 作型 1月 2月 3月 4月 雨よけ栽培 5月 6月 ○ △ 7月 8月 9月 10月 11月 12月 8月 9月 10月 11月 12月 ・ウイルス病にかかりやすいので、アブラムシの防除を徹底する ○ トマト・ミディトマト・ミニトマト 作型 雨よけ栽培 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 △ ・高温期の栽培となるので、ホルモン処理により着果を安定させる これらの品目の栽培に関心のある方は、園芸振興班(Tel 0766-26-8476)までご連絡ください。 - 47 --