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戦争1940

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戦争1940
第6学年4組
1.単元名
2.主
社会科学習プラン
戦争は,人々のくらしをどう変えたの
張
子どもはおとなを縮小した「小人」ではないし,大人になるための単なる通過点や準備期間で
もない。子どもも今を精一杯生きているし,自己実現を求めているはずである。しかし,現状は
「コミュニケーション能力・想像力・表現力」等をうまく使えず,他者とのつながりを構築しに
くいという傾向が強い。そこで,社会科の学習の中で「みんなで考える」価値が感じられる授業を展
開することでこれらの力を養って行きたい。その授業とは,以下のように考える。
・ひとりで考えているのではない,みんなで考えている。
・ひとりで考えても分からなければ,友達に聞けばいい。
・自分の考えは友達に影響を与えている。
・友達によって自分が高められていく。
・みんなで考えると新しいものが見えてくる。
このような授業の実践のためには,問題解決のために必要な情報を収集し,その情報から必要なこ
とを読み取り活用する力を育成する必要がある。
学習指導要領には,社会科の第6学年の目標として,社会的事象を具体的に調査すると
ともに,地図や地球儀,年表などの各種の基礎的資料を効果的に活用し,社会事象の意味
をより広い視野から考える力,調べたことや考えたことを表現する力を育てるようにすると
ある。
そこで本授業では「3枚の駅弁の包装紙」を資料として,
①資料に見られる事実(見えること)を読み取るようにする。
②読み取った事実を,比べたり,関連づけたり,生活経験と関連づけたりして,「わかる
こと」が見えるようにし,表現できるようにする。
③わかったことを総合して,その資料のテーマやキーワードを考える。
という流れで読み取りを進める。そして,どのような資料でも,このように読み取って
資料の意味を分析できるようにしていきたい。本授業の資料は教科書や資料集の資料とは
異なるものであるが,駅弁の包装紙にも歴史性があることや歴史というものを幅広く考え,
自分の考えを表現しあうことができるようになればと思う。
3
単元について
(1)
教材観
本単元に関わる指導内容として,学習指導要領に示されている事項は次の通りである。
(1)
我が国の歴史上の主な事象について,人物の働きや代表的な文化遺産を中心に遺跡や
文化財,資料などを活用して調べ,歴史を学ぶ意味を考えるようにするとともに,自分
たちの生活の歴史的背景,我が国の歴史や先人の働きについて理解と関心を深めるよう
にする。
- 社会 1 -
ケ
日華事変,我が国にかかわる第二次世界大戦,日本国憲法の制定,オリンピックの開
催などについて調べ,戦後我が国は民主的な国家として出発し,国民生活が向上し国際社
会の中で重要な役割を果たしてきたことが分かること。
第一次世界大戦後,普通選挙運動が高まり,民主的な政治への動きも見られるようになった。
一方,不景気が長引き,政党政治に対する不満も増えていった。そこへ軍部が政治に乗り出し,
戦争への道をたどるようになった。たびたびの戦争によって中国へ進出し,さらに第二次世界大
戦へと拡大した。国民は戦争の拡大による生活物資の欠乏で苦しい生活を送るようになり,つい
に敗戦に至った。
小学校の歴史学習は,通史的な歴史事象や知識中心の学習をするのではなく,歴史に対する興
味や関心を高めること,歴史嫌いの子どもにしないという強い願いがある。むしろ子どもたちが
未知の歴史的世界の扉を叩こうとするにふさわしい,具体的な手がかりとなる人物や文化遺産を
中心にして,わが国の歴史や伝統を大切に思う心を養わなければならない。社会科のねらいは,
社会認識を深める上で必要な諸能力,思考力・判断力・表現力を身につけ,伸ばすことである。
確かな能力をもつ人間こそが,これからの進展する社会の中で主体的に生き,貢献していけるの
であろう。社会科の指導を通して,「自分のねらいを持ち,自分の意思と発想によって,自分で
考え,解き,学びとるものである。」という学習観をもてるような子になってほしいと考え,本
単元を設定した。
(2)
指導観
歴史に興味を持っている子は,日常の様々な場面で歴史に関わる情報を自ら進んで得ようとし
ているが,その知識は物知り的なものになりがちで,歴史事象を関係的に捉えたり,時代の流れ
の中で捉えようとする姿勢は弱い。また,普通・嫌いと答えた子は,歴史は嫌いではないが覚え
なければならない人物や出来事が多く,頭の中が混乱してしまうという内容があった。確かに小
学校の歴史学習は通史的に展開し知識を羅列的に覚えさせるのではなく,我が国の歴史に対する
興味や関心や愛情を育てることが求められている。しかしながら,そういう活動の中においても
大まかな流れや代表的な出来事や人物をつかむことは必要である。
わからないことに出会ったときには,学校のみならず各家庭のパソコンの普及率が高いことと
比例して,インターネットで解決すると答えた子が多かった。しかし,身近にあって便利なイン
ターネットを子どもたちが使いこなしているかといえば,そうともいえない。膨大な情報の中か
ら,自分が必要とするものを探し出すのは子どもたちにとってかなり困難な作業であるし,その
情報が正しいとも言い切れないからである。
「戦争」については,国語科の「川とノリオ」,アニメ「はだしのゲン」の視聴,5年生の統合
学習「カンボジアについて」等の学習で,おぼろげながらその恐ろしさに目を向けることはでき
ている。しかしながら,自分の身近にいる戦争経験者からの生きた情報(人とのかかわり合い)を
得ることができている子は少ない。また,できたとしても,その内容は断片的である。
子どもたちに歴史の授業の一場面で「戦争についてどう思うか。」と問いかけてみると,当然
のことながら否定的な見方をする。ところが歴史の真実は,そうした今日的な「常識」とは裏腹
に戦争の繰り返しである。その意味で,「平和」とは,過去および現在においても絶え間なく繰
り広げられている戦争への反省に立って,今日もなお求め続けなければならない至上の価値であ
る。戦争を知らない世代の自分たちが,さらに戦争を知らない子どもたちに教えることの難しさ
がある。それに加え,戦争経験者が年々減ってきているという現実もある。6年生の子どもたち
の祖父母は戦争の頃は幼かったり,戦後生まれだったりする家庭が多くなってきている。しかし,
- 社会 2 -
戦争経験者の減少とともに戦争の記憶を風化させてはならない。平和の大切さを教えるためには,
戦争とはどんなものであるかを学ばせる必要がある。
日中戦争や第二次世界大戦については,聞き取り調査をしたり博物館や遺跡等を見学したりす
ることが可能である。資料を読み取っていく学習だけでなく,五感を総動員していく学習活動が,
単に客観的に戦争を追及するのではなく,その時代に生きた人々の姿を肌で感じることになる。
そうすることによって,戦争の実態を具体的にとらえることができる。本単元でも,戦争経験者
の方とのかかわりを持つことで,戦争について考えさせていきたい。
本単元のポイントは,「戦争とはどういうものなのか」を子どもたちが理解しやすいように具
体的に捉えさせることにある。「なぜ戦争をすることになったか」という因果関係も大事である
が,6年生にとっては難しいことである。そこで,子どもたちに問題を持たせる段階から,「戦
争になるとこういうことになる。」という認識につながるような導入を図っていきたい。
先ず,3枚の駅弁の包装紙(1937・日中戦争,1940・日独伊三国軍事同盟,1944・
本土空襲)を提示して,年代を探る活動から入る。いつごろの駅弁の包装紙なのかを探る中で,拡
大していった戦争の様子を調べ,戦争中の国民生活へとつなげて行きたい。つまり,学習課題を
見つける段階で子どもたちの興味・関心を揺さぶり,単元全体に対する課題意識を持たせるとい
うことである。駅弁の包装紙に関係あることなど,教科書や資料集などの資料に出ているはずな
どないと子どもたちは考えるであろうが,時代相を表す内容は資料にしっかりと出ていることを
認識させ,身近にある基礎的資料(教科書・資料集・地図帳・辞書)にはインターネットにはな
いよさ,自分が探している答えがわかりやすく集約されて掲載されていること等を経験させたい。
4.単元のねらい
【社会的事象への関心・意欲・態度】
○戦争の広がりや戦争中の国民生活に関心を
【社会的事象についての知識・理解】
○わが国は,国を挙げて戦争へと進み,それに
持ち,意欲的に追究することができる。
より,国民やアジアの人々の生活は大きな被
害を受けたことがわかる。
中国との戦争やわが国に関わる第二次世界大戦について,各種資料を活
用したり,聞き取りをしたりして調べ,わが国は中国からアジア・太平洋
地域に戦場を拡大して敗れ,国民やアジアの人々が大きな被害を受けたこ
とがわかる。
【観察・資料活用の技能・表現】
【社会的な思考・判断】
○中国との戦争や太平洋戦争について,各種
○様々な人の立場から,戦争のもたらしたもの
資料を活用したり,戦争体験者に聞き取り
や,平和の尊さについて考えることができる。
したりして調べ,わかりやすく表現できる。
5.単元全体のプラン(6時間扱い)
次 時
主なねらい
活動(○)と内容(・)
教師の配慮事項
評価の視点
・ 3 枚 の 駅 弁 の ○絵が何を表しているのか予 ・ 白 黒 の 包 装 紙 の 絵 ・駅弁の包装紙か
1
包装紙の年代
想する。
の後に色つきの絵
らその時代の様
を 探 る た め の ・五目飯と書いてある。
を提示して,手が
子を調べようと
本
手 が か り を , ・御辧当は何と読むの。
かりを見つけやす
する意欲が持て
時
一 人 調 べ し た ・平和のポスターかな。
いようにする。
る。
り 意 見 を 交 換 ○年代を探る手がかりを探す。
見 1
/
し あ い な が ら ・ハトの中に模様がある。
探 す こ と が で ・銃を持っている兵士がいる。
- 社会 3 -
・諸資料を使って
・年表と他の資料を
戦争の概要を意
組み合わせて調べ
欲的に知ろうと
6
きる。
い
○教科書,資料集,地図帳等
るようにする。
を使って関係資料を探す。
している。
(発言・資料)
・ 包 装 紙 の 年 代 ○一人調べの結果を話し合い,・ 作 ら れ た 年 を 特 定 ・15年にわたる
出 2
す
から戦争が長
作られた年を特定する。
するための手がか
戦争の概要をつ
期 化 し て 国 民 ・A→日中戦争・1937 年頃
りとなる資料と理
かみ,自分の言
生 活 が 戦 争 体 ・B→本土空襲・1944 年頃
由を発言の際に言
葉や文章でまと
制 に 組 み 込 ま ・C→日独伊三国軍事同盟・
わせる。
めることができ
1940 年頃 ・ 包 装 紙 の 大 き さ や
れていったこ
①
と を 理 解 し , ○駅弁の包装紙がなぜ戦争一
色等に目を付けて
これから学習
考えるようにする。
色になったかを考える。
す る 問 題 を つ ・絶対に戦争に勝つぞぉー。
かむことがで
○学習問題を作る。
きる。
る。
(発言・ノート)
・楽しみを与えるは
ずの絵にまで戦時
色がでてきたわけ
長く続いた戦争の間,人
を考える。
々はどんな生活をしてい
たのだろう。
・ 産 業 や 国 民 生 ○戦争中の国民生活の様子を ・ 戦 争 中 の く ら し に ・戦争体験者の方
3
調
活が戦時体制
調べ,戦争体験者の方に聞
焦点を当てて調べ
のお話を自分が
に移行してい
きたいことを出し合う。
る。
知りたいことと
っ た こ と を 資 ・学校や子どもたちの様子
べ
料を活用して
(衣食住)
調 べ , 戦 争 が ・当時の人々の気持ち
る
・教科書,資料集等
かかわらせて聞
を効果的に使える
こうとしている
ようにする。
(ノート・発言)
人 々 の 暮 ら し ・戦いの様子
に ど の よ う な ・空襲,疎開,配給,赤紙
②
影 響 を 及 ぼ し ・広島,長崎,沖縄,東京
ていったのか
を知ることが
できる。
・ 戦 争 を 体 験 し ○戦争体験者の方から戦争中 ・ 一 方 的 な 聞 き 取 り ・話し手を真剣に
深 4
め
る
③
た方から話を
の生活の様子を聞く。
にならないように,
見つめ集中して
聞 き , 生 き た ・戦争による被害の様子
質疑が十分行える
話を聞いている
情 報 を 得 る こ ・戦争中の生活の様子
よ う に 質 問 事 項 を ・進んで質問した
と で , 戦 争 と ・当時の子どもたちの様子
考えさせておく。
は な に か を 考 ○更に追究してみたい自分の
しようとしてい
えることがで
る。
課題を書き出す。
きる。
(発言・観察)
・ 今 ま で 学 習 し ○個々の課題について聞き取
5
ま
り,発言したり
・ 教 科 書 , 資 料 集 の ・自分の課題につ
た事柄をもと
り調査や図書資料等からの調
他にも聞き取り調
いて意欲的に調
に戦争がもた
べを進め,調べたことを新聞
査や図書資料等を
べ,感想も含め
らしたものを
にまとめる。
効果的に使い,自
た新聞にまとめ
歴 史 新 聞 に ま ・聞き取りしたことや図書資
分の思いや考えを
ている。
- 社会 4 -
と
とめることで
料などの諸資料から調べ,
入れた新聞作りを
気づくことが
新聞としてま とめる。
するよう助言する。
(新聞・観察)
できる。
め
・ 新 聞 を 読 み あ ○できた新聞を読みあう。
6
あ
げ
い 戦 争 に つ い ・外国の人々も苦しめた。
囲で「戦争」につ
活の様子につい
て 広 い 視 野 で ・自分たちも苦しい生活だっ
いての自分なりの
て自分なりにと
考える。
考えをまとめ,自
らえられている
た。
・ 戦 争 経 験 者 の ○「戦争」についての自分の
る
④
・ 自 分 が と ら え た 範 ・戦争中の国民生
分 の 言 葉 で 表 現 で ・調べたことや聞
方にその思い
考えをまとめ,聞き取りで
きるようにする。
をメッセージ
お世話になった方にメッセ
とをもとに戦争
の形で伝え,
ージとして伝える。
についての自分
こ れ か ら の 自 ・戦争とは自由を侵害する行
の考えをメッセ
分の生き方に
ージの形で表現
為である。
つ い て 考 え る ・絶対に繰り返してはならな
ことができる。
6.本時の指導 (
(1)
き取りをしたこ
1/6
できる。
い。
(新聞・手紙)
)
本時のねらい
・「3枚の駅弁の包装紙」の年代を探るための資料を諸資料から見つけ出すことができる。
・調べたことやわからないこと等,互いに意見を交換することができる。( 観 察 ・ 資 料 活 用 の 技 能 ・ 表 現 )
(2)
時配
5
(個)
展
開
学習活動と内容・子どもの反応
支援及び留意点(・)
評価(☆)
資
料
1.「3枚の駅弁の包装紙」を見て,気がつい ・気がついたことをノートにメモしな 駅弁の
たことや疑問等をメモする。
がら資料が何なのかを予想させる。
包装紙
(色抜き)
15 2.気がついたことや疑問等を発表しあう。
(全)・A は銃を持った兵隊が立っている。
・子どもたちから出ない場合は「15
・遠くに建物が見える。
年も続いた」戦争中の駅弁の包装紙
・五目飯だから食べ物関係だろう。
であることを告げる。
・敵は我が本土を・・・。
・御辨當の文字は,明治の壮士辨論の 自由民権
・Bは鳥のようなものが飛んでいる。
図と結びつける。
壮士辨論
・鳥じゃなくて飛行機みたいだ。
の図
・どれもみんな30銭。値段のこと?
☆わからない言葉が出てきたときは,
・C はハトの絵の中に模様がある。
辞書等で調べ解決することができる
・はとは平和のマークだから,平和のポ
(発言・ノート)
スターかもしれない。
三つの駅弁が発売された年代を調べよう
10 3.年代を調べるための手がかり(資料) ・カラーの駅弁の包装紙を提示し,
(全)
を探す。
手がかりとして使う。
・駅弁の資料なんてのってない。
・同じ値段なのに大きさが違う。
包装紙
・年代がわからない場合は,発売され (カラー)
・C は飛行機で空襲の事かもしれない。
・国民精神総動員って書いてある。
駅弁の
た順番でもよいことを押さえる。
・年表や教科書,資料集などの諸資料
を積極的に活用させ,包装紙と歴史
- 社会 5 -
・国旗を調べてみたらいいかもしれない。
・本土って何だろう?
的事実を関連付けさせる。
・資料が見つからない子には分からな
・精神は心,総動員はみんなの気持ちを
一つにすること。
い言葉の意味調べを取り掛かりにさ
せる。
15 4.わかったことや疑問などを発表し合う。
(全)・A→遠くに見えるのは何だろう?
・無理に年代に結びつけず,多くの疑
・万里の長城だとしたら中国と関係して
いる?
問や意見を出させ,戦争への関心を
高めていく。
・日中戦争・満州事変のころ?
・国語科「川とノリオ」の内容と結び
・B→同じ値段なのに小さいし色もあま
つけて時代背景を考えさせる。
り使ってないから物がなくなってきた
頃だろう。
☆調べたことや疑問点など,互いに
・「 敵は 本 土を ね らっ て いる 」 日本 に敵
意見を交換することができる。
が攻めてきた頃だろう。
(発言・ノート等)
・飛行機はB29,戦争の終わりの頃。
・C→ハトの体の中にあるのは国旗みた
いだけどどこの国だろう。
現在の駅
・一つは日本の国旗だけど他は地図帳に
弁包装紙
出ていない。
・平和にするために協力しよう?
・三国同盟のポスターを提示し,次時 三国同盟
・みんなで協力して戦争に勝とう?
への意欲の持続を図る。
ポスター
・どれもみんな,戦争に関係している。
駅弁の絵から戦争の頃の様子がわかる
(A)日中戦争・1937年頃
前年,盧溝橋事件が勃発し,
駅弁にも戦時色が現れてくる
(B)本土空襲・1944年頃
(C)日独伊三国同盟・1940年頃
サイパン島が陥落し,本土
日独伊三国同盟調印。三国の
空襲が激化する。包装紙は小
国旗のデザインを取り入れる。
さく粗悪になる。
- 社会 6 -
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