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平成 22 年度 教師海外研修(派遣国:ブラジル)実践報告書

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平成 22 年度 教師海外研修(派遣国:ブラジル)実践報告書
平成 22 年度
1.タイトル
教師海外研修(派遣国:ブラジル)実践報告書
ブラジルをきっかけに世界との繋がりを考える
2.氏名:野村佳史
学校名:昭和薬科大学附属中学校
3.実践教科:中3公民
4.対象学年:中学 3 年生
担当教科:社会
時間数
対象人数:45 人×2クラス
5.カリキュラム
(1)実践の目的
外国と日本の比較をし、自己と他者とを相対的に捉える視点を持てるようにな
る。また他者を見ることで自分の生活の足元を見直す機会を持つ。
(2)授業の構成
時限・テーマ・狙い
1限目
方法・内容
使用教材
(1)八十五祝いのときの写真を班毎に順を追って ・ブラジルで収集した写真
テ ー マ : 外 国 に あ る 沖 配り、「いつ、どこの写真か」 「誰が写っているの ※資料1
縄
か」を考えさせた。このとき、ブラジルの要素が色濃 ・世界地図
狙い:ブラジルにも沖縄 く感じられる写真ほど、後から配った。
文化が継承されているこ (2)ブラジル・カンポグランデという街での写真であ
とを知る。
ることを説明。沖縄そばがメジャーな食べ物になっ
ていることなどを補足。
2限目
(1)「ブラジル沖縄日本移民 100 周年祭」におい ・DVD※資料2
テ ー マ : 外 国 に あ る 沖 て発行された DVD や、前回の授業で写真を見 ・ブラジルで収集した動画
縄 (続編)
せた八十五祝いの様子の動画を見せた。抜粋
狙い:ブラジルにも沖縄 した映像に説明を加えていった。
文化が継承されているこ
とを知る。
3限目
(1)ブラジルの写真を班毎に配り(配る写真は ・ブラジルで収集した写真
テーマ:ブラジル観察 班によって異なる)、そこから読み取れることを ※資料3
狙い:ブラジルの様子 まとめ、クラス全体に発表させる。
を観察し、自分たちの
生活との比較をする。
6.授業実践の詳細
1限目
① まずは沖縄らしい雰囲気が伝わる写真を見せた。この段階では「結婚式」「何かの
お祝い」などという意見が出たものの、どの土地で取られた写真かということには
あまり発言が広がっていなかった。
② 徐々に「外国人風」の顔立ちの人が写っている写真を見せていった。このあたりか
ら「アメリカンスクールの行事」「基地の中のイベント」という声が出始め、生徒
たちは場所に関する想像をしてくれている様子だった。
③ 外見が典型的な日本人とはかなり異なる人たちが多数出席していることや、エイサ
ーや踊りにも参加している写真を見せた。ここまで見せると勘の良い生徒は「ハワ
イ」「アメリカ」「チリ」「ブラジル」など、明らかに移民を意識した答えを発して
いた。
④ ある程度生徒が発表した後に、ブラジル・カンポグランデという街で撮った写真で
あると種明かしをした。沖縄そばが良く知られた食べ物であることには皆驚いてい
た。見た目や味にも興味を持ったようだ。しかし味については上手く伝え切れなか
った。また、カンポグランデは県系人の割合が高いことを説明すると、沖縄の文化
が継承されていることに納得したようだった。生徒の中には少し遠い親戚に南米へ
の移民がいる生徒もいた。
2限目
DVD や動画で、どのような映像を見せたのかを挙げておく。
① 『沖縄県人移民 100 周年記念祝賀祭典』から、エイサーなどの演舞に現地のブラジ
ル人も参加していること、式典にはサンバの踊りもあることなどを見せ、沖縄とブ
ラジルの融合が起きていることを見せた。
② 『沖縄県人移民 100 周年記念祝賀祭典』から、初期の移民の生活とそこからの歴史、
移民として渡った 1 世と日本に残る家族・親戚との交流を演じる劇を見せた。
③ カンポグランデでの八十五祝いの動画から、流暢な日本語で日本の歌謡曲を熱唱す
るカラオケ大会の様子を見せた。またその際に、現地に暮らす日系人は 1 世を除い
て基本はポルトガル語を話すこと、1 世の話すうちなーぐちを聞いて育った人はう
ちなーぐちを使えることを補足説明。この点は生徒にとって非常に興味深かったよ
うだ。映像を見せることで現地の雰囲気を感じたことで、私の「沖縄にいる以上に
沖縄らしい空気だった」という言葉に共感してくれていた。
3限目
① 班毎に違う写真を配り、自分の生活との共通点・相違点を挙げさせた。できるだけ
ブラジル社会の特徴が伝わるもの、日本との繋がりがうかがえるものを選んで見せ
た。
② 生徒の関心としては、治安についてやバイオエタノールについて強い興味を持った
ようだった。日本の街のきれいさや安全さを再認識すると同時に、ブラジルの環境
対策技術には意外な感じがした様子だった。
7.まとめ
今回の一連の授業では、ブラジルという国を通して、自分の生活環境とは異なる場所を
理解するときの臨み方を少しでも身につけてもらえたのではないかと思う。「珍しい」や
「知らなかった」という新鮮な出会いから、客観的に対象を捉え、さらには自分や周囲と
の比較から、自分の足元を見つめ直す機会となるように授業を進めるように留意した。
「外
国だからといって、意外と普通だな」という思いも持ってもらえればと考え、そういった
補足もするようにした。
ブラジルを題材とした 3 回の授業に続いて、世界 6 カ国のフォトランゲージ、ガーナ
のカカオ生産農家に関する映像を見て国際援助のあり方を考え、さらには援助の際に何を
優先して取り組むべきか、ランキングの手法を用いて考える授業を行った。これらは、た
だ観察するだけではなく、自分なりの意見をまとめなければならない課題であったため、
どうしてもまだ自己本位というか、自分の目線からだけ考えてしまっている意見も散見さ
れた。しかし、単に可愛そうだからといった短絡的な発想にはとどまらず、相手の状況を
よく見極めようとする姿勢を持った生徒も多くいた。
反省点・改善策としては、今回は何か行動に結びつけるようなところまで授業では到達
できていないので、インプットして自分の中で消化するだけではなく、自分から何か発揮
するような機会を持てるようにしていきたい。
資料1(授業で使用したものから抜粋)
資料2:DVD『沖縄県人移民 100 周年記念祝賀祭典』
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