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NOWPAP 地域 油流出緊急時計画 - RISTEX 社会技術研究開発センター

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NOWPAP 地域 油流出緊急時計画 - RISTEX 社会技術研究開発センター
NOWPAP
MERRAC
海洋環境緊急準備・対応地域活動センター
P.O.BOX 23, Yuseong, Daejeon, 305-600, Republic of Korea
Tel: (+82-42)868-7281, Fax: (+82-42)868-7738
E-mail: [email protected]
Website:http://merrac.nowpap.org
北西太平洋地域の海洋環境での
油流出への準備と対応の地域協力に関する
覚書(MOU)
及び
NOWPAP 地域
油流出緊急時計画
MERRAC
当計画と MOU は、第8回 NOWPAP 政府間会合にて承認を受けたものである
(UNEP/IMONOWPAP/MERRAC IG.8/6/1)。
翻訳:中村
里恵子
監修:沢野
伸浩
1
改定記録
改定番号
改定日
改定ページ
2
改定承認責任者署名
北西太平洋海洋地域の海洋環境における油流出への準備と対応に関する
地域協力についての覚書(MOU)
3
北西太平洋海洋地域の海洋環境における油流出への準備と対応に関する
地域協力についての覚書(MOU)
中華人民共和国、日本、大韓民国、およびロシア連邦を、これ以降NOWPAPメンバー国と
称し、この4カ国は:
船舶、海洋基地、海港、および油取り扱い施設が関わる油汚染事故が、海洋環境に重大な
脅威を与えることを認識し、
油汚染事故、事故から生じる被害を最小限に留めるため、迅速かつ効果的な対応が重要で
あることに留意し、
国家緊急時計画、重要な事件や関連する研究開発についてのレポートなどの情報交換をす
るなど、相互支援、国際協力の重要性についても認識し、
1990年の油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約(OPRC Convention)
の関連条項は汚染事故への準備と対応ための二国間または、多国間協定についてのもので
あることを心に留め、
OPRC条約に反映されている一般的原則である「汚染者支払い」原則を考慮し、
油汚染被害への法的責任と補償について、国際的処置の重要性についても考慮し、
特に海洋の油汚染の準備と対応における地域協力の維持・促進することに同意が得られた
第1回政府間会合(1994 年9月 14 日ソウル)にて承認された「北西太平洋地域における
海岸及び沿岸環境の保全、管理、開発のための行動計画(NOWPAP)」を、さらに考慮し、
地域協力を促進し海洋油汚染事故に対する準備と対応のため、既存の国家・地域能力を高
める必要性について注意をし、
4
緊急時における協力に関して、あらかじめ作業手順や管理的、財政的な条件を明確にした
地域油汚染緊急時計画が、地域レベルで油汚染に迅速かつ効率的な応答するために必要で
あることをさらに認識し、
NOWPAP地域における油汚染事故への準備と対応についての地域協力を促進するにあた
り、「海洋環境緊急準備対応地域活動センター」(MERRAC)の積極的な役割、及び国際海
事機関(IMO)と国連環境計画(UNEP)の支援を認識し、
以下の事項への同意に至る
第1項
NOWPAPメンバー国は、OPRC条約に従い、各々の国の法と共に、それぞれの能力と資力
の有用性の下において、NOWPAP地域油流出緊急時計画(以降「計画」と称し、このMOUに
添付)を、大きな海洋油汚染緊急時における地域協力とその実行促進のためのガイドライン
として使用する。
5
第2項
(1)
計画に則り、重大な油汚染事故の場合NOWPAPメンバーは、個別に、もしくは共
同で、必要な対応策を行うために協力することを決定する。
(2)
油汚染事故に対処するため支援を必要とするいかなるNOWPAPメンバー国も、他
のメンバー国へ支援を求めることがある。要請がなされたNOWPAPメンバー国は、第1項
に従い、支援提供へ最善を尽くさなくてはならない。
(3)
この覚書は、地域外からの支援要請が必要と判断される場合、その要請を禁止す
るものではない。
(4)
各NOWPAPメンバー国は、油流出に対応する人員・機材・その他手段の、メンバ
ー国間の迅速な移動を促進する最適な方法を検討しなければならない。
第3項
(1)
計 画 に 従 い 、 NOWPAP メ ン バ ー 国 は 計 画 が 指 示 す る 情 報 を 直 接 、 ま た は
MERRAC を介して交換をしなければならない。
(2)
各 NOWPAP メンバー国は、MERRAC に対し、この計画の目的に関連する最新
情報を提供し、MERRAC はそれに応じて定期的に各メンバー国に連絡をしなければなら
ない。
6
第4項
(1)
この覚書は、いかなる国際文書の権利や義務を棄損するものではない。
(2)
この覚書は、署名がなされた日付をもって各メンバー国にて発効となる。
(3)
この覚書は、全 NOWPAP メンバー国の署名を受ける状態である。
(4)
この覚書の改正はいかなる場合も、覚書に署名のある NOWPAP メンバー国の要
請に基づき互いの同意の下で行われなければならない。
(5)
いかなるNOWPAPメンバー国も、直接またはMERRACを介して、他国に4カ月前
の文書による通知をもって、覚書からの離脱ができる。NOWPAPメンバー国は、重要問題
への対応方法決定には、専門化との協議をしなければならない。
第5項
この覚書の解釈及び適用に関するいかなる論争も、NOWPAPメンバー国間での協議をもっ
て解決されなければならない。
上記は、NOWPAP メンバー国間で同意が得られた事項である。
この覚書及び計画は、NOWPAP メンバー国に対していかなる法的拘束を生み出すもので
はない。
7
覚書は、
(日
付)
に、
(場
所)
次の NOWPAP メンバー国の体表者によって署名がなされた。
中華人民共和国
氏名及び役職
8
において
覚書は、
(日
付)
に、
(場
所)
において
次の NOWPAP メンバー国の体表者によって署名がなされた。
日本国
氏名及び役職
9
覚書は、
(日
付)
に、
(場
所)
において
次の NOWPAP メンバー国の体表者によって署名がなされた。
大韓民国
氏名及び役職
10
覚書は、
(日
付)
に、
(場
所)
において
次の NOWPAP メンバー国の体表者によって署名がなされた。
ロシア連邦
氏名及び役職
11
NOWPAP 地域油流出緊急時計画
北西太平洋地域における NOWPAP 油流出緊急時計画
採択国
● 中華人民共和国
●
日本国
●
大韓民国
●
ロシア連邦
12
目
次
1.
はじめに
1.1
背
景
1.2
目
的
1.3
対象とする地理的範囲
l.4
NOWPAP 地域の油流出事故のリスク
l.5
油流出への脆弱性
1.6
定義、頭文字語、略語
2.
方針と責務
2.1
計画の根拠
2.2
国内の担当局と連絡窓口の決定
2.3
情報報交換
2.4
計画実行に責任を有する国内の担当局会議
2.5
計画改定
2.6
共同研修及び演習
2.7
地域活動センター
3
対応要素と立案
3.1
主導的役割
3.2
国内現場調整官(NOSC):第一現場調整官(LOSC)
3.3
緊急時共同対応センター
3.4
サポートチーム
3.5
活動体制
3.6
通信協定
3.7
対応計画立案
3.8
対応戦略
4.
対応作業
4.1
段階的対応
13
4.2
流出の観測と予測
4.3
計画の枠組み内における支援要請
4.4
共同対応作業
4.5
分散剤の使用とその他の非機械的対応方法
4.6
地域外への支援要請
4.7
共同対応作業及び計画の終了
5.
報告と通信
5.1
通信システム
5.2
初期警告システム
5.3
汚染報告書(POLREPS)
5.4
事故後報告
6
管理、ロジスティックス、資金
6.1
ロジスティック
6.2
資金的手続き
6.3
税関及び入国手続き
6.4
上空通過と航行の手続き
6.5
衛生と安全
6.6
医療保険と医療支援
6.7
対応作業とその費用の必要書類
7
広報活動
7.1
広報担当官(PRO)
7.2
プレス・リリース
7.3
記者発表
14
別紙 1
各国の国内担当局、国内作業連絡窓口、支援決定局住所録
別紙 2
通信計画
別紙 3
参加メンバー国の国家緊急時計画
別紙 4
NOWPAP 汚染報告書(NOWPAP POLREPS)
別紙 5
油流出報告のガイドライン 上空観測について
別紙 6
クレーム請求マニュアル
別紙 7
事故後報告
別紙 8
地域活動センター‐付託事項
15
1 はじめに
1.1 背 景
1.1.1
国連環境計画(UNEP)の地域海計画は、地域的要素を介して実行される世界プ
ログラムとして 1974 年に開始された。この計画は海洋と沿岸資源の管理と海洋汚染を規
制する地域的なアプローチとして、UNEP 統治委員会によって何度も承認されているもの
である。現在、地域海プログラムは世界的には 14 の地域を抱えており、140 を超える沿
岸国・領域が参加している。沿岸・海洋エリアの総合的管理策をもって、環境問題につい
てその結果だけではなく、原因についても検討する行動指向型プログラムである。
1.1.2
1989 年、半閉鎖的な北西太平洋地域を囲むメンバー国のイニシアチブにより、
UNEP は地域海プログラムで網羅されていなかった海洋、中でも特に北西太平にむけた新
しい行動計画の準備を承認した。当地域における一連の専門家会議、フォーカルポイント
会議の後、中国、日本、韓国、ロシアが参加した第1回政府間会合(1994 年9月 14 日ソ
ウル)にて「北西太平洋地域における海岸及び沿岸環境の保全・管理・開発のための行動
計画(NOWPAP)」と3つの決議が採択された。
1.1.3
第1回政府間会合で採択された決議のうち1つは行動計画実行の優先項目5分野
を決定している。その1つが「NOWPAP/4:海洋汚染に対する準備と対応における地
域協力の効果的手段の策定」である。国際的レベルでは 1990 年 11 月、国際海事機関(IMO)
の枠組みで「油による汚染に関わる準備、対応及び協力に関する国際条約(OPRC 条約)」
が採択され、その後 1995 年に発効されたことが認識されている。北西太平洋地域では
OPRC は 1990 年に批准され、中国、日本、韓国に承認されている。
16
1.1.4
UNEP と IMO が海洋汚染への準備と対応のため、NOWPAP メンバー国の地域協
力への必要性に取り組む活動を始めた。この活動には、1994 年4月の UNEP/IMO 専門
家団の地域視察、また「海洋汚染緊急時における準備と対応について国家能力強化のため
の準地域協力に関する政府任命 UNEP/IMO OPRC 専門家会議(1995 年 11 月バンコク)」
が開催されている。この専門家会議では、海洋汚染への準備と対応に関する意見交換のた
め、NOWPAP の枠組み下で、フォーラムを創設することが求められた。上記の活動に続
き、「北西太平洋における海洋汚染防止のための非公式専門家会議(1996 年7月日本 新
潟)」が開催され、フォーラムの目標と目的を以下のように決定した。
(i)海洋汚染への準備と対応についての意見交換
(ii)地域環境脆弱性マップの作成など、地域緊急時計画の策定
(iii)NOWPAP メンバー間で、海洋汚染への準備と対応に関連する入国手続き
や通関業務などの一般的事柄について決定した覚書(MOU)の策定
1.1.5
第 1 回 NOWPAP 政府間会合で決定した優先的項目に基づいて、詳細なプログラ
ム文書が準備され、1996 年 11 月、東京で開催された第2回 NOWPAP 政府間会合で承認
された。NOWPAP/4では、フォーラムの目標と目的の達成に向けて4つの会議の開催
が提案された。さらに NOWPAP メンバー間で、最低年2回、持ち回りでフォーラム会議
を開催することに同意が得られた。
1.1.6
第1回 NOWPAP/4フォーラム会議では、IMO が「海洋汚染への準備と対応に
ついての地域協力」を支援し、さらに地域油流失緊急時計画の準備に協力することが注目
された。この計画については、NOWPAP 地域油流出緊急時計画の専門家諮問委員会会議
にて承認された計画草案文書、及び覚書(2001 年 11 月5-9日、日本 東京)に基づき、
第5回 NOWPAP MERRAC フォーカルポイント会議(2002 年 5 月 20-24 日、MERRAC)
にて策定された。最終的に第8回 NOWPAP 政府間会合にて採択された(2003 年 11 月5
-7日
中国 三谷市)。
17
1.2 目 的
1.2.1
この計画の目的は、NOWPAP メンバー国が油流出事故対応の作業レベルにおい
て、協力しあう枠組みとなることである。
1.2.2
計画の全体的な目的は、NOWPAP メンバー国が、NAOPWP メンバー1 カ国以上
の活動地域に影響を与える、もしくはその可能性がある、または NOWPAP メンバー国の
対応能力、利用できる資力を超える油流出事故に対し、それぞれの対応策を調整、統一す
る相互協力の運営メカニズムを決定することである。
1.2.3
計画の具体的な目的は以下の通りである。
a)NOWPAP メンバー国間における当計画実行のための協力方法の決定
b)提供される支援の種類とそれが提供される条件の特定化
c)運営責務の特定とあるメンバー国から別のメンバー国への責務の移転の規定
d)調整と通信連絡の原則の決定、対応体制の決定
e)事故処理の協力的活動のための検討事項の特定化
18
1.2.4
目的達成のため、計画実行には以下のような行動がとられる。
a)NOWPAP メンバー国の活動地域に影響を与える、もしくは与えうる汚染事
故を検知し報告するための適切な準備策と効果的なシステムの策定
b)地域の油流出緊急時への計画・予防・管理、及び除去作業の促進と実行
c)油流出によってもたらされる脅威を抑制するため、各国が公表している対応
能力の確立
d)油流出の予防・対策に携わる NOWPAP メンバー国スタッフ対象の研修及び
実習プログラムの策定と実行
e)地域協力強化方法の策定
1.3 対象とする地理的範囲
1.3.1
この計画は覚書に署名をした NOWPAP メンバー国における協力体制を定めるも
のである。
1.3.2
この計画は、いかなるメンバー国の統治権に対する差別なく、北緯 33°から約
52°、西経約 121°から 143°に位置する海域に適応されるものである。
1.3.3
NOWPAPA メンバー国1カ国以上が影響を受ける、もしくはその可能性がある場
合、また油流出の規模が NOWPAP メンバー国 1 カ国以上の支援を必要とする場合に適応
される。
19
レベル(Tier)別対応
1.3.4 この計画は、各 NOWPAP メンバー国独自の能力を超えうる Tier3流出への対応能
力を強化する方策を示すものである。OPRC1990 年法は、全 NOWPAP メンバー国に、港
や油処理施設、沖合いの油取り扱い処理施設に対し、その場の資力などで対応が可能な港
などでの小規模流出(Tier1流出)への対応力を備えさせることを求めている。NOWPAP
メンバー国はまた、国の備蓄資力、もしくは他のメンバー国の資力調達が必要となるよう
なより大きな流出(Tier2流出)に対応できる施設を、地域的なものとしても確保してお
かなければならない。NOWPAP メンバー国の油流出対応能力は、MERRAC の情報シス
テムにて掲載する。
1. 4 NOWPAP 地域の油流出事故のリスク
1.4.1 この計画書の実行が必要となるような大規模な油流出は、船舶、沿岸域での石油生
産及び探査作業、石油取り扱い施設から発生する。大きな流出事故を引き起こしやすい船
舶事故としては、衝突や座礁がある。このようなリスクは船舶の航行が密なところでは最
大級となりやすく、また特に大きな石油基地港に近づくにつれ航行上の危険性は高まる。
MERRAC は当地域における主要運航ルートとそのルートを使うタンカー・非タンカー船
の航行量、沿岸域の石油関連施設、主要な港、石油基地港、航行上の大きな危険性に関す
るの情報を管理し、NOWPAP メンバー国に定期的に情報を提供する。
1. 5 油流出への脆弱性
1.5.1
最も効果的な油流出への対応策や対応策に取り組む優先事項を決定するために、
海岸線の油に対する脆弱性について、信頼できる最新の情報を保持していることが必須で
ある。詳細な情報は、MERRAC が管理し、NOWPAP メンバー国に定期的に提供する。
1.5.2 以下に油流出への脆弱性の観点から重要な分野を挙げる:海洋牧場、養殖場、魚場、
野生生物、野鳥、レジャー資源、観光業、産業、塩性湿地帯、葦床、など。
20
1. 6 各定義、頭文字語、略語
1.6.1
当計画においては以下のように定義する。
活動エリア:NOWPAP メンバー国の沿岸域、内陸水域、領海、及び該当する NOWPAP
メンバー国の排他的経済水域を意味する。各国は自国の活動エリアで発生した事故による
油汚染へ準備、対応しなければならない。活動エリアの定義は他のいかなる目的を持った
合意を示唆するものではない。
支援決定担当部:国を代表して支援要請を行ったり、要請された支援の提供を決定したり
する権限の任命をうけた部署
国内担当部:油流出への準備と対応の責任の命を受けた部署
緊急時共同対応センター(JERC):計画が発動された後、計画の目的のために適切な通信機
器を整備した 24 時間常駐の LOSC の作業室となる事務所。リード国が開設する。
共同対応作業(JROs):リード国自身の資材の他、他の NOWPAP メンバー国から支援とし
て提供されたストライク・チームや機材、その他資材(航空機、船舶)なども含め、NOWPAP
メンバー国が二カ国以上関わる対汚染作業。
第一現場調整官(LOSC):リード国から任命を受け、この計画の枠組み内で行われるあらゆ
る共同対応作業の総合的作業調整を行う者。
リード国:その活動エリア内で海上惨事が発生し、この計画を発動、計画の枠組み内にお
いて支援の要請を行う NOWPAP メンバー国、もしくは主導的役割が譲渡された NOWPAP
メンバー国。リード国は、共同対応作業の作業調整を行う第一現場調整官(LSOC)を任命す
る。
21
連絡担当官:リード国に支援として提供された国家資材について必要な情報の提供や、
各々の NOSC との通信を進めることを目的として LOSC の調整業務に関わるなどで、共
同対応作業に参画する NOWPAP メンバー国の者。
海上惨事:船舶の衝突、航行中の座礁や事故、船上、船外で発生した物質的損害や、もし
くは船舶、船荷への物質的損害の切迫した危機をもたらす結果となる事故。
国家現場調整官(NOSC):あらゆる国家的な汚染への対応資力について、要請があった際、
共同対応作業に参画する場合も含めその作業管理の任命を受けた者。
国家作業連絡窓口:油汚染の報告について、その送受信の責任の命を受けた作業連絡窓口。
NOWPAP POLREP:NOWPAP メンバー国が承認した POLREP 書式(別紙4)
NOWPAP エリア:前述の「地理的範囲」で定義されたエリア
NOWPAP メンバー国:中華人民共和国、日本国、大韓民国、ロシア連邦
油:重油、燃料油、スラッジ、残油、石油精製品などあらゆる形態の石油製品。
作業管理:対応作業に関わる人員、資力、ユニットなどの直接管理。対応作業を実行する
に必要となる方向付けや情報の提供などもこれに含まれる。支援国については国家現場調
整官(NSOC)が、要請国については LOSC が行う。
22
作業調整:JRO の全体的な調整業務。第一現場調整官(LOSC)が行う。
海上作業:汚染事故に対応し、拡散を制限、汚染除去を推進、事故の影響を軽減するなど
のため、汚染源への介入、流出観測、汚染封じ込め、汚染物質回収、船舶・航空機からの
薬剤投入など、公海(沖合い)で講じるるあらゆる手段。
海岸線での作業(海岸線除去作業):汚染を回収、除去、撲滅し、その損害や影響を抑制す
るため、海岸やそれに直近の海域で行われる作業。
汚染事故:船舶や沖合い施設で発生した事故、もしくは発生源を同じとする一連の出来事
で、その結果、油が排出され、海洋環境や海岸線、関連箇所への脅威をもたらす、または
もたらしうる結果となるもの。
PORLEP:汚染事故についての情報を知らせるために活用される汚染事故報告。
広報担当官:事故の過程についての広報を担当し、LOSC に対し公的対応について助言を
行う者。
地域活動センター:北西太平洋地域における海岸及び沿岸環境の保全、管理、開発のため
の行動計画(NOWPAP)の枠組み内において設立された海洋環境緊急準備対応活動センタ
ー(MERRAC)。
ストライク・チーム:対応作業に独立部隊として参加している人員グループ。船舶、航空
機や独立タイプの機材ユニットの乗務員や海岸線除去作業を支援する人員なども含む場合
がある。
戦術指令:作業現場におけるチームや部隊による特別任務の実行の指示、監督。チームの
リーダや部隊指揮官が行う。
計画:NOWPAP 地域油流出緊急時計画
23
この文書にて用いられる略語は以下の通りである。
IMO
国際海事機関
IOPC FUND
国際油濁補償基金
JERC
共同緊急時対応センター
JROs
共同対応作業
LOSC
第一現場調整官
MERRAC
海洋環境緊急準備対応活動センター
NCP
国家緊急時計画
NOSC
国内現場調整官
NOWPAP
北西太平洋行動計画
OPRC
1990 年の油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約
POLREP
汚染報告(書)
UNEP
国連環境計画
EEZ
排他的経済水域
24
2.方針と責務
2.1 計画の根拠
2.1.1
北西太平洋地域に向けた油流出対応計画の枠組みの基本とは、各 NOWPAP メン
バー国がそれぞれ独自に「国家緊急時計画(NCP)」や資力を整備し、自国の海域での油
流出事故に対応することである。その一方でこの地域計画は、自国の海域が油流出の脅威
を受けている NOWPAP メンバー国の資力が不十分、不適切な場合、他のメンバー国の支
援を求め、共同対応活動を開始できるよう整備するものである。
2.1.2
NOWPAP メンバー国の活動エリアで発生した汚染事故への対応は、第一現場調
整官(LOSC)が行うリード国の包括的活動調整の下で、その国の NPCの規定に準じて行
わなければならない。NOWPAP メンバー国の活動エリアでの対応活動は、その国の法律
や規則に従って行われなければならない。NOWPAP メンバーの NCP を順守するための
指示は全て、そのメンバー国の法律と規定を守るということを示唆するものとして受け取
るべきものである。
2.2 国内の担当局と連絡窓口の決定
2.2.1
a)
NOWPAP メンバー各国は以下について決定しなければならない。
油流出時の準備と対応について責任を有する国内の適切な担当局(複数可)
b)油汚染に関する報告の受信・配信の責任を有する作業連絡窓口
c)メンバー国を代表して支援の申請、または申請された支援の提供を決定する支援決
定部
25
2.3 情報交換
2.3.1
NOWPAP メンバー国は、この計画の目的に関する情報を、直接または MERRAC
を介して、互いに共有しなければならない。
2.3.2
NOWPAP メンバー国は、JRO 遂行に関連すると思われる情報を、直接または
MERRAC を介して、互いに交換しあわなければならない。
a) 前述の、任命を受けた国内の担当局、国内作業連絡窓口、支援決定部(別紙1)
b) 油流出源として可能性のあるものと脆弱な資源
c)
JRO での利用が可能な、各国の汚染対応機材、製品、その他の資材(船舶、航
空機など)の一覧表
d)
各国で JRO 参加への任命を受けた専門家、被研修人員、ストライク・チーム
の一覧表
e) 油処理剤散布に関する規定
f)
メンバー国内で利用可能なロジスティック支援
g)
NOWPAP メンバー国の NCP(別紙3)
h) 当地域における主要環境脆弱エリアを示した地図
2.3.3 この情報は MERRAC が管理し、各メンバー国に定期的に配信する。メンバー国は、
いかなる変更についても、地域活動センター(MERRAC、2.7 参照)に早急に連絡しなけ
ればならない。
26
2.4 計画実行に責任を有する国内の担当局会議
2.4.1
NOWPAP メンバー各国の国内担当局は、計画実行に関する問題点、実際の事故対
応、研修コースや演習などを話し合うため、少なくとも年に 1 回、定期的に会合を開催し
なければならない。この会合は MERRAC のフォーカルポイント会議と併せて開催される
のが望ましい。
2.4.2 事務的作業(事務局)は、地域活動センター(MERRAC)が行う。
2.5 計画改定
2.5.1 計画の変更は、NOWPAP メンバー国のフォーカルポイント会議にて、全メンバー
国の満場一致の採決によって行われなければならない。
2.5.2 満場一致の承認が得られない重要事項に関する計画の変更は、政府間会合に提出す
るものとする。
2.5.3
別紙に記載されている国内情報の詳細の変更は、計画更新の責任を有する
MERRAC に必ず通知をしなければならない。
2.5.4
MERRAC は MERRAC フォーカルポイントに計画の変更部分を通知しなければ
ならない。
2.6 共同研修及び演習
2.6.1
NOWPAP メンバー国は、共同で研修、実習を適宜に行わなければならない。選択
した海域によって、共同研修・演習には必ずしも全メンバーが参加しなければならないも
のではない。
27
2.6.2
NOWPAP メンバー各国は、必要に応じて、共同研修コース・演習を主催しなけれ
ばならない。主催国は研修・実習を実行し、必要なロジスティック支援も行うこと。しか
し参加者にかかる費用や、研修・演習に必要な機材は、別に取り決めがない限り、それぞ
れの NOWPAP メンバー各国が手配すること。当計画を検証する目的で行う共同研修・演
習プログラムについては、国内担当局の定期会合にて話し合うこと。
2.7 地域活動センター
2.7.1
NOWPAP の地域活動センターである MERRAC は、NOWPAP メンバー国の協力
とともに、当計画の管理と調整の責務を有する。その付託事項については別紙8に記す。
2.7.2
MERRAC は、油流出対応活動の運営について役割はないが、事故の際、リード国
の重要な情報源となる。
2.7.3 当計画の管理責務を有することから、MERRAC は、NOWPAP メンバー国から提
出された変更の受信、配信し、計画が常に最新なものであることに留意する。
28
3 対応要素と立案
3.1 主導的役割
3.1.1 主導導的役割
当計画実行の主導的的役割は、通常、汚染事故でその活動エリアが影響を受ける、もしく
は受けると思われる NOWPAP メンバー国に有るものとする。
3.1.2 この計画を発動するかどうか、また計画の枠組み内で支援を申請するかどうかの決
定は、主導的役割を担うメンバー国(リード国)が行う。
3.1.3 リード国は共同作業の際、作業調整を行う第一現場調整官(LOSC)を任命しなけ
ればならない。
3.1.4
NOWPAP メンバー国の活動エリアで発生した汚染事故が、他の NOWPAP メンバ
ー国の利益に多大なる脅威を与えうる場合、NOWPAP メンバー国は、それぞれ国内の担
当局と協議をした上で、脅威を受けているメンバー国が主導的役割を担うことを認めるも
のとする。
3.1.5
リード国は明白な同意がない限り他の NOWPAP メンバーの活動エリアで作業を
してはならず、また同意なく該当メンバー国の NCP に反する対応活動を許可してはなら
ない。
3.1.6 あるメンバー国から別の国への主導的役割の移譲は、関係するメンバー国間の同意
でのみ行われる。このような状況は、主要汚染部分が、事故当初に影響を受けこの計画を
発動した NOWPAP メンバー国の活動エリアから、別の NOWPAP メンバー国に移動した
場合、もしくは主要対応活動が別のメンバー国に移動した場合などである。この移譲に続
いて、新リード国は、前リード国の支援要請の確認、修正、キャンセルなどを行う。
3.1.7 もし1カ国以上のメンバー国が汚染の影響を受けている場合、国家間の対応活動の
29
調整は各々の国内担当局との協議により行う。
3.1.8 リード国が有する責務は以下の通りである。
a)
流出対応の着手
b)
計画の発動と他の NOWPAP メンバー国の国内作業連絡窓口を介して、計画
の発動と LOSC 任命の通知
c) 汚染監視と NOWPAP メンバー国への結果報告
d)
状況のアセスメントと NOWPAP メンバー国へのアセスメント結果報告
e) 流出油の移動予測と NOWPAP メンバー国への予想結果の報告
f)
JRO 中の作業調整の実行
3.2 国内現場調整官(NOSC):第一現場調整官(LOSC)
3.2.1 当計画の発動及び共同対応作業開始の際、リード国は第一的現場調整官(LOSC)
を任命しなければならない。LOSC は JRO の作業調整を行い、汚染対応、影響の軽減に
努める。
3.2.2 計画が発動された、支援する側の NOWPAP メンバーは、人員(ストライク・チー
ム)、機材、自立タイプのユニット(船舶、飛行機)の管理など、その国の対応活動全般の作
業管理を行う国内現場調整官(NOSC)をそれぞれ任命する。
3.2.3 支援メンバー国の NOSC は、LOSC の総合的作業調整の下で活動しなければなら
ないが、NOSC による対応作業実行の指示など、自国の人員・機材・自立タイプユニット
の作業管理(3.5.2 参照)については、NOSC が保持するもととする。
30
3.2.4 国内資力の作業管理について、LOSC の責務の一部を軽減するため、リード国は計
画発動時に、リード国の NOSC として JRO に参加・活動する、国内資力作業管理の直接
担当官を別に任命することもある。
3.2.5
LOSC はその職務を遂行する際に、サポートチームの支援を受ける(3.4 参照)
3.3 緊急時共同対応センター
3.3.1 計画発動時、リード国は緊急時共同対応センター(JERC)を設立する。JERC は、
LOSC の基地となり、計画実行に関わる全ての通信を管理する主要通信センターとしての
機能を有する。センターにはスタッフが 24 時間常駐、適切な通信体制が整い、JRO の作
業調整に必要な設備が配備されている。
3.3.2 計画発動時、リード国から支援を求められたメンバー国は、24 時間連絡が可能な、
作業連絡窓口を適切に任命しなければならない。
3.4 サポートチーム
3.4.1
NOWPAP メンバー各国は、サポートチームの立ち上げを手配しなければならない。
このサポートチームとは、関連の組織代表者からなるものである。
3.4.2 計画の目的遂行においてサポートチームの役割とは、諮問的なものや、作業支援を
提供することである。計画が発動された後、LOSC はリード国のサポートチームから意見
を求めることもある。支援国もしくはメンバー国のサポートチームからの支援は、LOSC
の要求に応じて利用できるようにしなければならない。
3.4.3 サポートチームの職務とは以下の通りである。
a)
LOSC に対する諮問的役割。特に油汚染への方法と技術、航海・海難救助の安
全、海洋生物と漁業、(無線)通信、情報公開と油汚染被害の補償などについて
31
b)
JRO に参加する公的組織・機関・産業の活動の支援と調整。特に人員、機材、
ロジスティック支援、その他資力の提供、入国・通関手続きについて
c)
提出される報告書の管理と状況アセスメント
d) LOSC/NOSC に対し、汚染事故状況についての全報告書の調整
3.4.4 対応活動終了後、サポートチームは各々の NSOC とともに以下の事柄を行う。
a) 汚染事故対応の取り扱いについて、LOSC/NOSC の事故後報告書の検討。分析
を行い当計画と各々の NCPへの提案と改善目的のため。
b) メンバー各国に、LOSC/NOSC の事故後報告書、サポートチームの終了報告書、
計画修正案、別紙の修正案など、関連する報告書や提案の提出。
3.5 活動体制
3.5.1
JRO の活動体制を図1に示す。
32
図1
活動体制
作業調整
支援国作業担当部
支援国作業担当部
リード国の作業担当部
LOSC
作業管理
作業管理
作業管理
NOSC2
NOSC1*
NOSC3
支援国
リード国
支援国
戦術指令
戦術指令
戦術指令
チームリーダー/指揮官
チームリーダー/指揮官
チームリーダー/指揮官
ストライ
船舶
ク・チーム
航空機
船舶
ストライ
ク・チーム
航空機
ストライ
ク・チーム
3.2.4 を参照のこと
*
33
船舶
航空機
3.5.2 当計画では、以下の言葉を次のように使用する。
a) 作業調整:JRO の全体的な調整と管理を指す。具体的には、関連する NCP に準
じて、対応戦略を調整し、また様々な部隊の任務を特定することである。計画発動
後、JRO の作業調整は LOSC が行う。
b)
作業管理:対応作業を実行する特殊部隊への指示など、LOSC が決定した戦略
や任務に準じて、対応作業に参加する部隊の管理。支援国の資力に対する作業管理
は、その支援国の NOSC が行う。リード国の資力に対する作業管理は、LOSC もし
くはリード国の NOSC が行う(3.2.3 参照)
c) 戦術指令:現場で部隊が行う特殊任務実行への指示、監督。戦術指令は各ユニッ
トの指揮官が行う。
3.5.3 リード国と支援国の連絡は、周囲の状況、提供された支援の種類と重要性に準じて、
以下のいずれかの方法でもって維持すること。
a) LOSC と支援国 NOSC の間の直接連絡(テレックス、ファックス、eメール、
電話、無線通信など)
b)
LOSC の調整活動に携わっている、支援国連絡担当官による連絡。連絡担当
官の責務は、支援として提供された資力に関して必要な情報の提供、NOSC、スト
ライク・チーム、対応活動に使用される自立タイプユニットとの通信を助けること
である。
c) 流出現場で JRO に携わる支援国上級官によるもの
34
3.6 通信協定
3.6.1
計画実行に必要な通信は、5.1 及び別紙2に準じて、NOWPAP メンバー国間で行
うこと。
3.6.2
計画実行に関する重要な通信に用いる言語は、あらゆる文書類(3.6.3 参照)を含
め、原本は英語で行うこと、もしくは該当国の言語に英語訳を添付すること。
3.6.3 口頭による通信で重要なものは、例えば、ファックス、テレファックス、e メール
などの文書でもって確認をすること。これには当計画の発動、支援要請、支援提供、支援
物資の見積もり費用、支援要請の受諾、支援物資の移動と配置に関する指示、各部隊に与
えられた任務内容、活動終了などが該当する。図2に一連の通信ラインを示す。
3.7 対応計画立案
3.7.1
NOWPAP メンバー国の活動エリアでの汚染事故対応は、そのメンバー国の国家緊
急時計画の規定にそって行われなければならない。
3.8 対応戦略
3.8.1 汚染事故への対応戦略、及び特殊作業立案の決定は、リード国の NCP に従いそのリ
ード国の責任とする。このような決定を行うにあたって、リード国は以下を参照しなけれ
ばならない。
a) 事故の重大性のアセスメント
b) NCP 発動と他の NOWPAP メンバーへの通知
c) 適切な対応方法の選択
35
図2
通信ライン
沿岸ラジオステーション/MRCC
海上でのラジオ通信域
テレックス‐電話‐ファックス‐Eメール
連絡
JREC
支援国の作業担当部
連絡窓口
ERC
支援国の作業担当部
リード国の作業担当部、
連絡窓口
ERC
LOSC
支援国の NOSC2
リード国の NOSC1
チームリーダー/指揮官
チームリーダー/指揮官
ストライ
ク・チーム
船舶
航空機
船舶
ストライ
ク・チーム
航空機
支援国の NOSC3
チームリーダー/指揮官
ストライ
ク・チーム
36
船舶
航空機
d) 対応活動に利用可能であり、必要とされる資力の検討
e)当計画の始動と支援要請
f)選択された対応方法の実行、国内及び支援メンバー国からの資力の活用
g)更なる状況アセスメントと、対応活動に必要な修正
h)対応作業の終了
i)当計画の終了
j) 他の NOWPAP メンバー国から支援として提供された人員、機材、その他の帰
還、返却
37
4 対応作業
4.1 段階的対応
4.1.1 計画の目的遂行のために、汚染対応作業における協力を、以下のように4つのフェ
ーズ(段階)に明白に分割した。
第1フェーズ
-
通知
第2フェーズ
-
状況評価と計画発動
第3フェーズ
-
海上での共同対応作業
第4フェーズ
-
海岸線での共同対応作業
4.1.2 上記の4つのフェーズは同時期に行われることもある。
第1フェーズ‐通知
4.1.3
汚染事故に関する情報の通知及び検証は、各メンバー国の NCP の規定に準じて行
なわれなければならない。
4.1.4 甚大1な事故を確認した NOWPAP メンバー国は、当計画発動の必要性の有無に関
わらず、その検証後、直ちに、各国の作業連絡窓口を介して、他の NOWPAP メンバー国
に事故を通知しなければならない。事故が生じて汚染を引き起こす可能性があるが、まだ
その状況ではないという場合は、近隣の NOWPAP メンバー国に対して、汚染がその国の
活動エリアに脅威を与えうることを通知しなければならない。
4.1.5
初期通知と経過報告は、NOWPAP POLREP の書式でもって行うこと(別紙4)。
NOWPAP メンバー国への警告のため、事故当初の報告にはできる限りの情報を記載する
こと。しかし詳細な情報にこだわりすぎて、報告が遅れることのないように注意すること。
詳細な情報は経過報告にて追加可能である。
1
「甚大」とは対汚染資力を必要とする流出事故をさす。
38
4.1.6 最初に汚染事故を確認する NOWPAP メンバー国は、その活動エリアにて事故が発
生したメンバー国になることが多い。しかし必ずというわけではないので、自国の活動エ
リア以外での汚染事故を確認したメンバー国は、その活動エリアで事故が発生しているメ
ンバー国、及び事故の影響を受ける可能性のあるメンバー国に通知しなければならない。
自国の活動エリアで汚染事故が発生したメンバー国は、別段取り決めがない場合、主導的
役割を担うことを確認しなければならない。
4.1.7
各国の作業連絡窓口はその責務として、NCP に従い、メンバー国にさらに通知し
なければならない。
第2フェーズ‐状況評価と計画発動
4.1.8 油流出の影響を受ける、もしくはその可能性があるメンバー国は、汚染のアセスメ
ントを行い、必要とされる対応活動の種類と程度を判断し、自国の NCP および当計画の
発動が必要かどうかについての決定などを行う。
4.1.9 リード国は、自国の NCP や対応活動をまず発動することなく、当計画を発動して
はならない。
4.1.10
計画発動始動後、直ちに、リード国は以下の事柄を行う。
a)
LOSC を任命し、他の NOWPAP メンバー各国の作業連絡窓口を介して、計画
の発動と、LOSC 任命された者を連絡する。
b) JERC の任命
c)
LOSC を介して、事故処理の戦略を策定し、他の NOWPAP メンバー国からの
支援の必要性の評価を行う。
d)
LOSC の要請及び助言を基に、各国の支援決定部を通しての他のメンバー国へ
39
支援を要請する。
e)
LOSC は対応活動を適切に開始しなければならない。
4.2 流出の観測と予測
4.2.1 流出の移動・動向観測は、利用できる技術のうち最も効果的な手段をもって行わな
ければならない。
4.2.2 当計画の発動の前に行う流出油とその動向の観測、他の NOWPAP メンバー国への
報告書の配信などは、リード国にその責任があるとする。計画発動に続いて、LOSC は流
出油の移動・動向の定期的な観測を確実に行うために必要な手段を講じ、最も適切なアセ
スメントを行わなければならない。このため、LOSC は他の NOWPAP メンバー国からの
支援を要請する場合もある。
4.2.3
必要とされる場合、当計画の枠組み内にて、リード国の特別要請に基づき、
NOWPAP メンバー各国は自国の活動エリアにおける、他の NOWPAP メンバー国の航空
機や船舶による流出油観測を許可しなければならない。そのような作業は、そのメンバー
国の国内法に従って行われなければならない。6.4 の上空通過及び航海手続きを参照のこ
と。
4.2.4 観測結果の報告手続きは、当計画の目的遂行のために観測機の乗員が行うものであ
り、その内容は油流出報告のガイドラインに明記されている‐上空観測(別紙5)。
油の動向予測
4.2.5 リード国は、風、波、潮についての情報を遅れることなく収集し、油の動向予測に
活用すること。この作業は、観測作業からデータが得られるたび、漸次、精緻化し、また
油の種類に関するデータは、油が流出以降どの様に動くかを予測するために活用する(風化
40
作用、蒸発、分散、乳化、粘度増加など)。油の動向予測には、必ずしも絶対ではないが、
適切なコンピュータプログラムを活用して行うのが望ましく、また現場での定期的な流出
モニタリングで補完しなければならない。この動向予測は、NOWPAP POLREPs に含ま
れるものである。
4.3 計画の枠組み内における支援要請
4.3.1 計画の発動に続いて、発動を行った NOWPAP メンバー国は、他のメンバー国に対
し、汚染の予防、軽減のための支援要請ができる。支援要請は支援決定部を介して行う。
4.3.2 支援としては以下のようなものがある。
a) 船舶や飛行機など、汚染対策ユニット
b)訓練を受けた人員、特にストライク・チーム
c)特殊汚染対策機材
d)処理汚染製品
4.3.3
支 援 要 請 は 、 計 画 を 参 照 し 、 明 白 か つ 正 確 に 行 い 、 参 考 と し て NOWPAP
POLREP(別紙4)の標準フォームを利用してもよい。どの様な支援が必要なのか、支援の
人員、機材、製品、その他が、どこで、どのような目的のために活用されるのか、詳しい
説明を記載すること。また支援にかかる費用や、人員・機材の現地までの移動手段につい
ての情報も必要である。
4.3.4 支援要請を受けた NOWPAP メンバー国は、直ちに受信の応答を行うこと。
4.3.5 要請を受けた NOWPAP メンバー国は、資力の可能性や利用性に関する国内法に準
じて、求められている支援の提供に同意し、支援提供の可否の返答を支援決定部を介して
41
できる限り早急に返答しなければならない。
4.3.6 支援国は、支援の全てまたは一部について、必要があると判断した場合、撤収して
もよい。この場合、要請国に対してできる限りの通知をすること。要請国は撤収決定の資
力についてできる限り早急に返却すること。
4.3.7 支援要請国は支援の一部または全部について、必要があると判断された場合、撤収
の要請が可能である。この場合、支援国に対してできる限り通知を行うこと。
4.4 共同対応作業
概 要
4.4.1
NOWPAP メンバー国からの支援決定が確認されたら、LOSC は該当する NOSC
に対し、支援ユニットをどこへ移動するか、どのような命令系統となるかなどについての
連絡を行う。また LOSC は、支援国が行う支援ユニットのためのロジスティック手配につ
いても NOSC にアドバイスを行う。
第3フェーズ‐海上での共同対応作業
4.4.2 海上の作業とは、汚染事故に対応し流出の拡大を抑え、汚染撤去を進めるため、汚
染源への介入、流出観測、汚染封じ込め、汚染物質回収、船舶・航空機からの処理剤散布
など、海(外洋)や上空で行われるあらゆる手段のことをいう。
4.4.3 海上での共同対応作業(JROs)は、活動エリアが影響を受ける NOWPAP メンバ
ー国(通常リード国)の NCP に記載されている手順に従って行うこと。また、まず国内
の資力を活用し、必要があればリード国からの要請による他のメンバー国からの支援で追
加補充を行う。支援国の支援ユニットは、LOSC の行う包括的な調整の下、また各々の
NOSC の作業管理・戦術命令、ユニット指揮官、チームリーダーなどの直接傘下で作業を
42
行う。
第4フェーズ‐海岸線での共同対応作業
4.4.4
海岸線での作業(海岸線クリーンアップ作業)とは、汚染の回収、汚染の撤去、処理
し、汚染が引き起こす損害の軽減のために、海岸線や海岸線に直近の海上で行われる環境
的に脆弱なエリアやその他貴重な資源を保護するいかなる活動をも意味する。
4.4.5 このフェーズでは、回収された汚染物質や汚染を受けた海浜堆積物の処理と最終処
分についても扱う。
4.4.6 第3フェーズの方針(4.4.3 参照)は、第4フェーズにも適応される。
4.4.7 海岸線での JRO をより効果的に行うために、リード国の判断で JERC を、作業現
場により近い代替地に移動することもある。このような場合、リード国は支援国に連絡を
しなくてはならない。
4.5 分散剤の使用とその他の非機械的対応方法
分散剤の使用
4.5.1
NOWPAP メンバー各国は、汚染対策における分散剤使用についてその方針を決定
し、各々の NCP に記載しておかなければならない。NOWPAP メンバー国は、IMO 発行
の「環境的影響を考慮した油流出への散剤適用ガイドライン」
(IMO 1995 年)を参照のこ
と。
4.5.2
NOWPAP メンバー各国は、MERRAC を介して他のメンバー国に、分散剤使用に
ついての方針を伝えなければならない。NOWPAP メンバー国は各々の活動エリアで使用
可能な分散剤を明確にしておくこと。
43
4.5.3 メンバー各国それぞれの活動エリアにおいては、常に該当メンバー国の NCP の規
定に従って分散剤を使用すること。JRO では、NOWPAP メンバー国は、分散剤が使用さ
れる場所の権利を有するメンバー国から、使用についての事前許可を受けなければならな
い。あるメンバー国の活動エリアで分散剤の使用が禁止されている場合、JRO に参加して
いる他のメンバー国はその決定に従わなければならない。
4.5.4
メンバー国の活動エリア内での現場燃焼やバイオレメディエーション(生物による
環境修復)のような他の対応策についても、以上と同様の原則(4.5.2、4.5.3 参照)が適用
される。
4.6 地域外への支援要請
4.6.1 この計画は、NOWPAP 地域外もしくは民間部門への支援要請を禁止するものでは
ない。
4.7 共同対応作業及び計画の終了
4.7.1 リード国は LOSC の勧告により、以下のような場合 LOSC に対し JRO を終了させ
る権限を与える。
a) リード国が、汚染対応策を続けてもそのメリットを費用と比較して正当性のあ
るものとは言えないという程度にまで終了、完了したと判断したとき
b) リード国の対応能力と資力で終了するに十分足る場合
しかし次のような条件を設ける
c) 他の NOWPAP メンバー国が、汚染がこれ以上自国の利益を侵害しないと認め
ていること、及びどのメンバー国もリード国と同様に活動を継続する意思を持っ
ていないこと。
44
4.7.2
JRO 終了の決定がなされたら、LOSCは直ちに他の NOWPAP メンバー国の NOSC
にその旨を、また計画終了の手続きについて通知しなければならない。またリード国は、
他のメンバー国の支援決定部にも通知をしなければならない。
4.7.3
計画終了の後、支援要請国は、別に取り決めがない限り、JRO で活用した人員・
機材・船舶・航空機・未使用の物資などすべて、支援提供国に返却しなければならない。
別段の取り決めとは、例えば、関係メンバー国が、未使用の処理用製品を、それぞれの国
内規制に準じて支援要請国に残すことを決定することもある。
4.7.4 メンバー国が使用した機材は全て所有者に、きれいな状態で、できれば正常な機能
の状態で返却されることが望ましい。返却機材の確認、在庫リスト作成、その状態確認を
するのは、機材を所有するメンバー国の責任である。確認作業は、要請国の領域を出る前
に、できれば要請国と支援国とともに、両者の同意の下で行われなければならない。結果
的に発見された欠陥や不足については、その後の金銭的解決のため直ちに要請国に通告を
すること。
4.7.5 要請国は、その領域、活動エリア、空域から、支援として提供された物資を送り出
すため、いかなる可能な策を講じなければならない。特に支援国の人員帰還準備の責任は
支援国にあるが、要請国は支援国の人員の本国帰還を早急に進めるための手立てをとるこ
と。
4.7.6 支援各国は、JRO にて行った活動について報告をしなければならない。要請国は、
各国の報告書をまとめて、さらに人員・機材・物資、その他支援されたものすべてのつい
てその有効性も含め、活動全体についての報告書を準備すること(後述 5.3 参照)。これら
の報告書は NOWPAP メンバー各国に送付すること。
45
5 報告と通信
5.1 通信システム
5.1.1
NOWPAP メンバー国間の通信システムについては、別紙2を参照。
5.2 初期警告システム
5.2.1 他のメンバー国に脅威を与えうる汚染事故についてはいかなるものも、遅れること
なくそのメンバー国の作業連絡窓口に報告がなされなくてはならない。この初期通告がな
された後、できるだけ早急に NOWPAP POLREP での報告を行う。
5.3 汚染報告(PORREPS)
5.3.1 汚染事故に関する情報交換は、国際汚染報告システム(PORREPS)NOWPAP 版
を活用して行うこと。PORREPS については別紙4に説明がなされている。
5.3.2
事故処理期間中、LOSC は、適切な間隔で、LOSC の調整下にある全部隊に、ま
た 直 接 関 与 し て い な い メ ン バ ー 国 に は そ の 国 の 作 業 連 絡 窓 口 を 介 し て 、 NOWPAP
PORREPS を配布しなくてはならない。
5.3.3 各国内にて、関心がある団体に報告書が配布されているかどうかについての責任は
各メンバー国にある。
5.3.4
事故の影響を受けているメンバー国が、計画終了後も汚染対応作業を続ける場合、
そのメンバー国は、事故により影響、脅威を受けている別のメンバー国に、その国内作業
連絡窓口を介して、汚染対応全作業が終了するまで状況報告をしなければならない。
46
5.4 事故後報告
5.4.1 汚染対応作業終了後、リード国は、別紙7にある形式を利用して、最終報告書を作
成しなければならない。
5.4.2 その報告書や関与した他の NOWPAP メンバー国の経験にも基づいて、計画、及び
できれば各々の NCP について、修正事項や改善点の提言がなされるのが望ましい(2.5 参
照)。
5.4.3
JRO と当計画について、NOWPAP メンバー国の定期会合で見直しを行うこと。
47
6 管理、ロジスティックス、資金
6.1 ロジスティック
6.1.1 リード国は JRO を行うにあたり、その領域内でできうる限りの必要なロジスティ
ック支援を行わなければならない。
6.1.2 特にリード国はできる限り以下のような支援を行わなければならない。
a)
支援国から派遣された支援人員全員のリード国内における宿泊施設と移動手段
b)
支援国から機材が到着し、供給品目が受け取られたら、以下の手配を行う。
•
クレーン、フォークリフト、車両など、荷降ろしや取り扱いの設備
•
機器、機材、車両、保管物などには、適切で安全な保管場所、荷造りの場所
•
燃料、潤滑油、基本的な修理・メンテナンス・クリーニング器材
c) 空港や港にて支援人員を補佐し、またリード国内にあるときは、船舶、航空機機、
その他関連機材のセキュリティサービスの確保
6.1.3 保管中や領域内移動中の機材の安全確保は、それらを所有する支援国の取り扱いで
ない場合、リード国の責任とする。
48
6.2 資金的手続き
6.2.1
支援の要請、提供の際、NOWPAP メンバー国は、相互支援の資金問題について、
1990 年の OPRC 条約の添付書類に基づき、以下のような勧告と原則に従わなければなら
ない。
6.2.2 基本原則として、要請国は支援国に対し、要請国からの明確な要請により行われた
活動の費用を返済しなければならない。
6.2.3
NOWPAP メンバー国は、支援として提供される人員の賃金、機材、車両、船舶、
航空機のレンタル料金、その他処理製品の費用について、事前に互いに連絡しあわなけれ
ばならない。この料金についての情報は、各メンバー国からの情報に基づき MERRAC が
定期的に更新し、また各メンバー国に入手可能とする。料金には支援国が実際支払うこと
になる機材や人員の保険費率も含めること。
6.2.4
NOWPAP メンバー国は、当計画の年次会合(2.4 参照)にて、利率なども含め関
連する問題について話し合うこと。
6.2.5 支援国は支援要請を受け取ったら直ちに、支援にかかる費用の見積もりを要請国に
提出すること。明白な要請に基づいて支援国が行う活動にかかる費用は、別に取り決めが
なければ、関連する法律や支援国の現行の実務に基づいて、公正に見積もること。
6.2.6 支援が提供されたら、活動終了後、支援国は要請国に対し早急にその費用の請求書
を提出すること。請求書は、遂行された任務に明らかに関係のあるものをそれぞれ明記し、
個別に記載したものでなければならない。
49
6.2.7 請求書には以下を明記すること。
a)
JRO に携わった人員の賃金。通知済みの価格ベースと LOSC もしくはリード国
の責任者が認めた作業日報によって計算する。
b)
機材レンタル費用。通知済みの価格ベースと LOSC もしくはリード国の責任者
が認めた作業日報によって計算する。
c)
JRO で使用した処理製品やその他消耗品の費用。通知済みの価格ベースと、
LOSC もしくはリード国の責任者が認めた作業日報によって計算する。
d)
ダメージを受けた機材、紛失した機材の修理や交換費用。保険で補償されないも
のについて。
e) 後述の 6.2.15 にて記載されている費用で、要請国が補償しないものについて。
6.2.8 財務記録と請求書を、IOPC 基金が「クレームマニュアル」として準備しているガ
イドライン、及びこの計画の別紙6に従って準備すること。
6.2.9 要請国は、提供された支援にかかる費用で同意を得られた全額を請求書に従って支
援国に支払わなければならない。ただしあるメンバー国独自のイニシアチブで行われた活
動については、メンバー国間にて他に取り決めがない限り、その活動を行った国が費用を
支払うこと。
6.2.10
主導的な役割を譲渡した場合、譲渡の時点から、次のリード国が他のメンバー国
が提供した支援にかかる全費用を支払わなければならない。どのような費用がどの日付に
発生しているかを明確にするためには財務記録が重要である。譲渡の時点にて、新しいリ
ード国は前リード国が行った支援要請について、確認、訂正、キャンセルなどを行う。前
述 3.1.6 参照。
50
6.2.11
もし要請国が、いかなる理由において要請を取り下げた場合、支援国に対し、要
請取り下げの時点までにかかった全費用、または人員・機材を適切に出身国まで帰還・返
却するまでの全費用を支払わなければならない。
6.2.12
NOWPAP メンバー国は JRO 終了後、財務的問題点を全て解決すること。問題発
生の場合に適応される法律や慣例は支援国のものとすること。つまり、別に取り決めがな
い限り、費用を被る国である。
6.2.13
国際支援の費用など汚染対応に関する費用の、全額返済請求を行うのはリード国
とし、汚染事故の責任者、保険会社、国際システムに、汚染被害の補償の請求を提出しな
ければならない。提供された支援の支払いは、第3者(汚染者はその保険代理者)からの補
償の請求の結果如何に関わらないものとする。しかし、支援国は要請国はかかった費用の
書証を準備し補償請求を一つにまとめるなど、協力しなければなければならない。
6.2.14
ここでの条項は、NOWPAP メンバー国が国内・国際法の下で対汚染活動にかか
った費用を第三者から回収する権利を損害するように解釈されてはならない。
6.2.15
JRO の場合、要請国は、直接もしくは支援国からの請求書提出後に、支援人員・
機材・その他(船舶、航空機など)が要請国の領域に滞在するその費用を支払わなければな
らない。
a) 要請国から提供されない場合において、船舶などの乗員以外の作業人員への適
切な食事と宿泊施設、日当。
b) メンバー国と JRO 現場間の人員・機材・物資の移動費
c) 支援として提供される船舶の港湾使用料
d) 支援として提供される航空機の空港使用料
51
e) 機材や人員の入国時や撤去時に、要請国に支払われた税金・関税など
f) 特に JRO に参加した車両・船舶・航空機に当然必要となる燃料。JRO 地点に到
着するまでの自力での移動分を含める。
g) 支援国人員のケガや病気に対する医療サービス
h) JRO 過程における、人員の死亡・負傷・病気に対する補償にかかる費用
i) JRO で使用した機材・船舶・航空機のいかなる部品のメンテナンス、及びクリ
ーニングにかかった費用。返却後にかかったメンテナンス、修理の費用も含める。
j) 要請国の領域内で JRO 中、JRO のため損害を受けた機材・船舶・飛行機の修理
費。支援国に返還される前に修理が必要な場合。
k) 要請国の領域内で支援国が負担した JRO 関連の通信費用。
6.2.16
支援国の負担は以下の通りである。
a) 支援国の領域内における人員・機材・製品、その他対応手段の動員
b) 支援国の領域から発信する JRO 関連の通信費用
c) JRO 過程での人員の負傷、病気などに対する帰還後の医療サービスの提供
52
6.3 税関及び入国手続き
6.3.1
人員・機材の移動を容易にするため、要請国は、機材・製品・人員の到着以前に、
それらの迅速な入国のための手配を整えておかなければならない。
6.3.2 各メンバー国は緊急事態において、適切に最大限配慮することに尽力しなければな
らない。特に次のような配慮が望まれる。
a) 支援人員に入国ビザや就労許可を早急に与えるための条項
b) 通関手続きの容易化
6.3.3 各国における上記のような特別配慮に関する情報は、MERRAC を介して提供され
る。支援国は要請国に、人員・機材の早急な受け入れに必要とされる情報を提供しなけれ
ばならない。
6.3.4 要請国に支援を送る前に、支援国は、機材・製品その他が要請国に入国する際に必
要な入国許可を得られるよう適切な手続きを行わなければならない。
6.3.5
要請に応えて支援を提供する際、支援国は以下のものを準備しなければならない。
a) 支援人員全員の名前、誕生日、国籍、パスポート番号のリスト
b) 発送される全機材リスト(関係する通関上の情報は、機材とともに到着すること)
c) 移動手段の詳しい説明(船の名称、フライト番号、出発地、出発予定時間、到着
場所、到着予定時間)
d) 荷下ろし、移動、保管に必要な設備の要請
53
e) 機材を稼動させるために必要とされる供給者や設備の要請
支援の終了
6.3.6 要請国は、機材を遅れることなく返却するため、通関手続きを最大限に容易化しな
ければならない。
6.4 上空通過と航行の手続き
6.4.1 船舶、航空機の支援要請を行った場合、要請国はできうる限りにおいて、またでき
るだけ早急に、要請国の活動エリアやその上空で作業をするために必要とされる許可が必
ず得られるように手配しなければならない。船舶も航空機も対応作業中に、国際海事法や
航空法を犯してはならない。どちらも要請国の明白な要請と許可でもって、その国の活動
エリア内でのみ作業が許される。この計画は、国際法で与えられおり、また関連する国際
文書が示唆している全メンバー国の航行権やその自由の行使に影響を与えるものではない。
上空通過の手続き
6.4.2 当計画の枠組内でリード国の要請に基づき、他のメンバー国の航空機は以下のよう
な目的の遂行のため、リード国が特定した空域にのみ進入し作業が許される。
a) 流出観測
b) 対応人員・機材・製品の移動
c) 分散剤その他処理剤の散布
d) その他汚染対応作業に必要なフライト
6.4.3 支援要請において、リード国は支援国が行う任務とフライトの計画について、正確
54
にその目的を決定しなければならない。
6.4.4 各 NOWPAP メンバー国は、自国の上空での対応作業に参加が求められる他のメン
バー国の民間機(固定翼機やヘリコプター)に、速やかに許可を与え、通関を行えるよう最
大限配慮することに尽力しなければならない。同様に、他のメンバー国のそのような航空
機の空港設備の使用についても最大限の考慮が求められる。
6.4.5 前述の目的遂行のため、あるメンバー国の領域や活動エリアを、他の NOWPAP メ
ンバー国の軍用機が上空通過することについては、関与する国同士で個別に決定すること。
航行手続き
6.4.6 当計画の枠組内でリード国の要請に基づき、他のメンバー国の船舶は以下のような
目的の遂行のため、リード国が特定した活動エリアにのみ進入し作業が許される。
a) 流出観測
b) 海難救助作業
c) 汚染物質や流出製品の回収、分散剤やその他処理剤の散布、回収された汚染物
質の保管と移動
d) 対応人員・機材・製品の移動
e) その他汚染対応作業に必要な航海
6.4.7 各 NOWPAP メンバー国は、自国の活動エリアにて対応作業に参加を求められた他
のンバー国の民間船(船、ボート、特殊汚染対応船)に、速やかに許可を与え、通関を行え
るよう最大限配慮することに尽力しなければならない。同様に、他のメンバー国の港湾設
備の使用についても最大限の配慮が求められる。NOWPAP メンバー各国は、各々のメン
55
バー国の活動エリア内における船舶航行を手配するのに必要な情報を、MERRAC を介し
て提供すること。
6.4.8 前述の目的遂行のための、あるメンバー国の活動エリアを、他のメンバー国の海軍
艦艇が航行することについては、関与する国同士で個別に決定すること。
6.5 衛生と安全
6.5.1
NCP は、作業員に対し、衛生及び安全性に関する国の規則・規制について言及し
たものであり、また、海上・海岸線での作業の責任者には、衛生・安全性についての規則
に精通していることを求めているものでなければならない。一つの部隊について、一人の
管理者が、作業員の衛生と安全の確保について適切に配慮し、また全作業員も使用する機
材に関するリスクについて説明を受け、安全対策を理解し、安全整備や保護服が提供され
なければならない。
6.5.2 支援国は、作業が行われる国の安全と衛生に関する規則について説明を受け、守る
べき規則は遵守しなければならない。要請国が支援国に対して、重要な規則や安全事項へ
の注意を促すのが望ましい。
6.6 医療保険と医療支援
6.6.1
NOWPAP メンバー各国は、JRO に参加した自国の人員の死亡・病気・負傷に対す
る保証のために適切と思われる措置はいかなるものでも行っておくこと。
6.6.2 リード国は、JRO 参加中、負傷・病気となった他のメンバー国からの支援人員に、
できうる限りの初期治療を提供しなければならない。
6.6.3
リード国は、JRO 期間中に負傷・病気となった支援人員の帰還を速やかに行うこ
と。
56
6.6.4 支援国の人員に提供されたリード国内での入院費や医療費は、リード国にその支払
い責任がある。リード国はこのような費用への補償を、汚染事故の責任を有するメンバー
国、その保険代理人、汚染被害補償国際システムなどに対し、適宜、請求することを決定
することもある。
6.7 対応作業とその費用の必要書類
6.7.1
LOSC は、汚染事故に対応するため計画の枠組み内で行われた、あらゆる活動の詳
細な記録を正確に保持するのに必要な措置を講じなければならない。このため LOSC はサ
ポートチーム内に記録保持担当官や会計監査役を任命することもある。
6.7.2 少なくとも以下のような内容を定期的に記録に残さなければならない。
a) 状況説明、決定事項、実際に行われて対応策
b) 毎日の作業日報、特に以下の点について
•
進行中の活動(場所、時間、目的)
•
使用されている機材やその他方法(場所、時間、目的)
•
作業人員(人数と作業時間)
•
作業用物資(燃料、分散剤、吸着剤)とその使用について(量、目的)
c) 汚染対応作業にかかった費用全額
6.7.3 対応作業終了後、以上の記録は補償請求の提出に責任を有する担当局に利用可能な
状態にしておかなければならない。
57
7 広報活動
7.1 広報担当官(PRO)
7.1.1 計画の発動時に、リード国は LOSC のサポートチームを補佐すべき広報担当官を
任命しなければならない。
7.1.2
PRO の責務は以下の通りである。
a) プレスの窓口
b) LOSC を代表してプレス・リリースの手配と発行
c) プレスの情報発表後、誤解を明確にするなどのフォロー活動
7.2 プレス・リリース
7.2.1 プレス・リリースは計画の発動から終了までの期間中、各プレスに対し毎日1回発
行されるのが望ましい。
7.2.2 プレス・リリースは、正確な事実に基づいて PRO が作成すること。内容な以下の
ような事柄である。
a) 汚染事故と状況の展開について
b) 作業人員の負傷と船舶・機材へのダメージ
c) 関わる船舶の技術的データ、汚染物質の特性
d) 対策方法
58
e) 他の NOWPAP メンバー国からの支援内容
f) 対応策の進展
g) 汚染の範囲とその影響
7.2.3 プレス・リリースはプレスに配信される前に、LOSC が全てチェックし、その承認
を得なければならない。できれば、他のメンバー国について触れる場合は、その国の NOSC、
または JERC の連絡官に承認を得るのが望ましい。
7.3 記者発表
7.3.1 計画発動後、リード国はメディアへの説明として、1 回以上の記者発表を行う。
59
別紙1
各国の国内担当局、国内作業連絡窓口、支援決定局
住所録
60
別紙1
各国の国内担当局、国内作業連絡窓口、支援決定局
住所録
中華人民共和国
i) 油汚染への準備と対応に責任を有する担当局:
中国の海の安全管理
NO.11 Jianguomennei Avenue Beijing City, 100736
(〒100736 北京市建国門内大街 11 号)
Tel: +86-10-65292588
Tel: +86-10-65292218 (24 時間)
Fax: +86-10-65292245
ii) 4条に記載のある油汚染に関する報告の送配信に責任を有する国内作業連絡窓口:
山東省の海の安全管理
No.21 Wuxia Road
Qingdao City, Shandong Province, 266002
Tel: +86-532-2654437
Fax: +86-532-2654497
遼寧省の海の安全管理
No.1 Gangwan Street
Dalian City, Liaoning Province, 116001
Tel: +86-411-2622342
Fax: +86-411-2806614
河北省の海の安全管理
NO.75 Haibin Road
Qinhuangdao City, Hebei Province, 066002
Tel: +86-335-3093164
Fax: +86-335-3093608
天津市の海の安全管理
NO.3 Building, NO.1 Courtyard, Wenanli, Guizhou Road, Guangzhou Dao, Tanggu
District
Tianjin City, 300451
Tel: +86-22-25793790
Fax: +86-22-25793429
61
江蘇省の海の安全管理
No.263, Jianning Street
Nanjing City, Jiangsu Province, 210015
Tel: +86-25-8804783
Fax: +86-25-8771276
上海市の海の安全管理
No.190, Siping Street
Shanghai City, 200086
Tel: +86-21-53931419
Fax: +86-21-53931549
浙江省の海の安全管理
No.108, Zhonghebei Street
Hangzhou City, Zhejiang Province, 310014
Tel: +86-571-5454372
Fax: +86-571-5454407
福建省の海の安全管理
No.84, Hualin Street
Fuzhou City, Fujian Province, 350003
Tel: +86-591-7540943
Fax: +86-591-7095013
広東省の海の安全管理
No.520, Binjiangdong Road
Guangzhou City, Guangdong Province, 510230
Tel: +86-20-84102131
Fax: +86-20-84401277
深圳の海の安全管理
No.229, Binhe Road
Shenzhen City, Guangdong Province, 518032
Tel: +86-755-3797011
Fax: +86-755-3797077
広西壮族自治区の海の安全管理
No.67, Xinmin Road
Nanning City, Guangxi Province, 530012
Tel: +86-771-2827883
Fax: +86-771-2817410
62
海南省の海の安全管理
No.137, Binhai Road
Haikou City, Hainan Province, 570311
Tel: +86-898-8653899
Fax: +86-898-8666526
iii) 国を代表して支援要請及び支援提供を行う支援決定局:
外務省
NO.2 Chaoyangmen, Nanda Street, Chaoyang District
Beijing City, 100701
Tel: +86-10-65961114
日本国
i) 油汚染への準備と対応に責任を有する担当局:
環境防災課
警備救難部
海上保安庁(JCG)
〒100-8918 東京都千代田区霞ヶ関 2-1-3
Tel: +81-3-3591-9819
Fax: +81-3-3591-5085
内閣官房副長官補
内閣官房
〒100-8986 東京都千代田区永田町 1-6-1
Tel: +81-3-3581-3315
Fax: +81-3-3593-2516
参事官(災害応急対策担当)
政策総括官(防災担当)
内閣府
〒100-8914 東京都千代田区永田町 1-6-1
Tel: +81-3-3501-5695
Fax: +81-3-3501-5199
生活安全局
警察庁(NPA)
〒100-8974 東京都千代田区霞ヶ関 2-1-2
Tel: +81-3-3581-0141
Fax: +81-3-3580-3014
63
長官官房
防衛庁(JDA)
〒162-8801 東京都新宿区市谷本村町 5-1
Tel: +81-3-3268-3111
Fax: +81-3-5261-2327
大臣官房
総務省
東京都千代田区霞ヶ関 2-1-2
Tel: +81-3-5253-5089
Fax: +81-3-5253-5093
特殊災害室
総務省消防庁
〒100-8927 東京都千代田区霞ヶ関 2-1-2
Tel: +81-3-5253-7528
Fax: +81-3-5253-7538
入国管理局
法務省
〒100-8977
東京都千代田区霞ヶ関 1-1-1
Tel: +81-3-3592-7107
Fax: +81-3-3592-7092
専門機関管理課? ←専門機関課はあるが専門機関管理課は無い。名称変更か?
国際社会協力部
外務省
〒100-8919 東京都千代田区霞ヶ関 2-2-1
Tel: +81-3-5501-8233
Fax: +81-3-5501-8234
文教施設部
文部科学省
〒100-8959
東京都千代田区丸の内 2-5-1
Tel: +81-3-6734-2290
Fax: +81-3-6734-3690
労働基準局
厚生労働省
〒100-8916
東京都千代田区霞ヶ関 1-2-2
Tel: +81-3-3502-6753
64
Fax: +81-3-3502-1598
資源管理部
水産庁
〒100-8907 東京都千代田区霞ヶ関 1-2-1
Tel: +81-3-3501-5098
Fax: +81-3-3502-1682
資源エネルギー庁
〒100-8901 東京都千代田区霞ヶ関 1-3-1
資源・燃料部
Tel: +81-3-3501-1993
Fax: +81-3-3580-8467
原子力安全・保安院
Tel: +81-3-3501-1870
Fax: +81-3-3501-6565
国土交通省
〒100-8918 東京都千代田区霞ヶ関 2-1-2
総合政策局
Tel: +81-3-5253-8267
Fax: +81-3-5253-1549
河川局
Tel: +81-3-5253-8111
Fax: +81-3-5253-1549
港湾局
Tel: +81-3-5253-8684
Fax: +81-3-5253-1653
地球環境局
環境庁
〒100-8975
東京都千代田区霞ヶ関 1-2-2
Tel: +81-3-5521-8246
Fax: +81-3-3581-3348
ii) 4条に記載のある油汚染に関する報告の送配信に責任を有する国内作業連絡窓口:
運転所←操作局?
管理部?
警備救難部
海上保安庁
〒100-8918 東京都千代田区霞ヶ関 2-1-3
Tel: +81-3-3591-6365
+81-3-3591-900(24 時間)
Fax: +81-3-3591-8701(24 時間)
65
Telex: 722 2853 JAMCC
日本のテレックスは 2004 年の終わりまで利用可能である場合があります。
E-mail: [email protected]
事故の報告は、第一連絡先である最寄りの海上救難調整本部(MRCC)が行う。
第一管区海上保安本部
小樽
Tel: +81-134-27-6172
Telex: 8592 27 JMSAOT J
第二管区海上保安本部
塩釜
Tel: +81-223-65-6957
Telex: 8592 27 JMSASI J
第三管区海上保安本部
横浜
Tel: +81-45-211-0773
Telex: 3822 586 JMSAYO J
第四管区海上保安本部
名古屋
Tel: +81-52-611-1611/2
Telex: 4934 961 JMSANA J
第五管区海上保安本部
神戸
Tel: +81-78-391-6551/2
Telex: 5663 797 JMSAKOJ
第六管区海上保安本部
広島
Tel: +81-82-251-5115/6
Telex: 652 905 JMSAHI J
第七管区海上保安本部
北九州
Tel: +81-93-321-2933
Telex: 652 905 JMSAKI J
66
第八管区海上保安本部
舞鶴
Tel: +81-773-76-4100/1
Telex: 5734 455 JMSAMA J
第九管区海上保安本部
新潟
Tel: +81-25-244-4151
Telex: 3122 472 JMSANI J
第十管区海上保安本部
鹿児島
Tel: +81-992-50-9801/2
Telex: 7822 66 JMSAKA J
第十一管区海上保安本部
那覇
Tel: +81-98-867-0118
Telex: 7952 11 JMSANH J
また、地方の会場警備のラジオ局は、156.8 から 156.6 MHz の周波数を利用可能とする。
海上の浮遊掘削リグやその他海上基地が、探査・開拓作業中、または海底鉱水資源に関わる作業を
行っている時に事故が発生した場合、上記の連絡先に加えて次の機関を作業連絡窓口とする。
経済産業省
原子力安全・保安院
鉱山保安課
〒100-8986 東京都千代田区霞ヶ関 1-3-1
Tel: +81-3-3501-1807
Fax: +81-3-3501-6565
E-mail: [email protected]
北海道鉱山保安監督部
札幌
Tel: +81-988-660088
Telex: 795211 JMSANH J
関東東北鉱山保安監督部
仙台
Tel: +81-22-263-111
67
+81-22-221-4840
Fax: +81-22-263-0590
関東東北鉱山保安監督部
関東支部
東京
Tel: +81-3-3216-5641
+81-3-3213-7907
Fax: +81-3-3211-2770
中部近畿鉱山保安監督部
名古屋
Tel: +81-52-951-2661
+81-52-861-0558
Fax: +81-52-961-8578
中部近畿鉱山保安監督部近畿支部
大阪
Tel: +81-878-31-3141
+81-878-31-8736
Fax: +81-878-36-2604
中国四国鉱山保安監督部
広島
Tel: +81-82-224-5753
+81-82-228-8588
Fax: +81-82-228-8588
九州鉱山保安監督部
福岡
Tel: +81-92-481-1801
+81-92-431-7767
Fax: +81-92-471-7436
那覇鉱山保安監督部
那覇
Tel: +81-988-88-8465
Fax: +81-988-88-6478
iii)
国を代表して支援要請及び支援提供を行う支援決定局
地球環境課
68
国際文化協力部
外務省
〒100-8919 東京都千代田区霞ヶ関 2-2-1
Tel: +81-3-5501-8245
Fax: +81-3-5501-8244
E-mail: [email protected]
大韓民国
i)
油汚染への準備と対応に責任を有する担当局
海洋汚染応答課
海洋警察庁
105, 1-ga Bukseong-dong, Jung-gu, Incheon 400-707, Republic of Korea
Tel: +82-32-883-1846,
+82-32-883-0461(24 時間)
Fax: +82-32-881-7531,
+82-32-883-9595(24 時間)
ii)
4条に記載のある油汚染に関する報告の送配信に責任を有する国内作業連絡窓口
その他、最寄りの海上警察でも流出の報告を受け取る:
仁川海洋警察署
Tel: +82-32-882-5050,
Fax: +82-32-881-7531,
+82-32-888-0112(24 時間)
+82-32-883-9595(24 時間)
泰安海洋警察署
Tel: +82-32-882-5050,
Fax: +82-41-672-1695,
+82-32-888-0112(24 時間)
+82-41-675-7525(24 時間)
群山海洋警察署
Tel: +82-41-674-5050,
Fax: +82-63-467-9374,
+82-41-675-0112(24 時間)
+82-63-467-5472(24 時間)
木浦海洋警察署
Tel: +82-61-244-5050,
Fax: +82-61-243-5051,
+82-61-242-01112(24 時間)
+82-61-243-9595(24 時間)
莞島海洋警察署
Tel: +82-60-555-5050,
Fax: +82-61-555-5051,
+82-61-554-0112(24 時間)
+82-61-555-5060(24 時間)
麗水海洋警察署
Tel: +82-61-651-5050,
+82-61-651-0112(24 時間)
69
Fax: +82-61-651-6591,
統営海洋警察署
Tel: +82-55-645-5050,
Fax: +82-55-644-7667,
+82-55-641-4112(24 時間)
+82-55-648-6112(24 時間)
釜山海洋警察署
Tel: +82-51-412-5050,
Fax: +82-55-644-7667,
+82-51-404-6112(24 時間)
+82-55-648-6112(24 時間)
蔚山海洋警察署
Tel: +82-52-261-5050,
Fax: +82-52-265-3812,
+82-52-260-0112(24 時間)
+82-52-257-4192(24 時間)
浦項海洋警察署
Tel: +82-54-247-5050,
Fax: +82-54-247-5049,
+82-54-242-0112(24 時間)
+82-54-243-4997(24 時間)
東海海洋警察署
Tel: +82-33-533-5050,
Fax: +82-33-531-5150,
+82-33-532-7072(24 時間)
+82-33-531-9595(24 時間)
束草海洋警察署
Tel: +82-33-633-5050,
Fax: +82-33-636-1125,
+82-33-635-0112(24 時間)
+82-33-635-0112(24 時間)
済州海洋警察署
Tel: +82-64-757-5050,
Fax: +82-64-758-0611,
+82-64-751-0112(24 時間)
+82-64-756-9595(24 時間)
iii)
+82-61-651-6380(24 時間)
国を代表して支援要請、及び支援提供を行う支援決定局
Environment Cooperation Division
外交通商部 ←韓国語では외교통상부
95-1, Doryem-dong, Chung-ku, Seoul, 110-051, Republic of Korea
Tel: +82-2-2100-7743
Fax: +82-2-2100-7991
E-mail: [email protected]
ロシア連邦
i)
油汚染への準備と対応に責任を有する担当局
70
州立海上汚染管理局、及びロシア連邦海難救助管理局(SMPCSRA)
1, build. 1, Rozhdestvenka, Moscow, 109012 Russia.
Tel: +7-095-953-9929
+7-095-959-4693
+7-095-926-1052 (SMRCC)-勤務時間後
Fax: +7-095-959-4694
+7-095-926-9038(24 時間)
Telex: 411 197 MMF RU
ii)
4条に記載のある油汚染に関する報告の送配信に責任を有する国内作業連絡窓口
state maritime rescue co-ordination center (SMRCC), モスコー
Tel: +7-095-926-1052(24 時間)
Fax: +7-095-926-7476(24 時間)
Telex: 411 197 MMF RU
Maritime Rescue Co-ordination Center (MRCC) ウラジオストク
Tel: +7-4232-49-5522
+7-4232-22-7782
Fax: +7-4232-49-5522
Miritime Rescue Sub-Centre (MRSC), ペトロパブロフスク・カムチャツキー
Tel: +7-4152-11-2880
Fax: +7-4152-11-2397
Maritime Rescue Sub-Center (MRSC), ユジノサハリンスク
Tel: +7-4242-78-5704
Fax: +7-4242-78-5767
iii)
国を代表して支援要請及び支援提供を行う支援決定局
(今後提出)
71
別紙 2
通信計画
72
別紙 2
通信計画
NOWPAP 地域油流出緊急時計画(計画)のセクション 3.6 は、この別紙を参照することを前提
に通信手配について取り扱っている。この別紙では以下の場合について、NOWPAP メンバー
間における通信の方法について明記する。
a)
緊急時以外の日常的な情報交換
b)
計画の発動が必要、または必要となりうる事故発生時のメンバー間の情報交換
c)
共同対応作業(JROs)中の作業通信。これは以下についてのものである
- 作業調整
- 作業管理
- 戦術指令
1.
日常的な情報交換
NOWPAP メンバー国の作業担当部間の通信のため、また準備と対応のための地域シ
ステム維持に関する情報共有のため、メンバー国は電話やインターネットベースのネット
ワークなどを活用しなければならない。電話の使用は必要に応じて活用すればよいが、テ
レファックス、e メールの使用が優先的である。
2.
計画の発動が必要、または必要となりうる事故発生時のメンバー間の情報交換
他のメンバー国への警鐘、計画の発動を通知し、支援要請を行い、そして今後の
連絡維持のため、メンバー国は別紙1にリストアップされている番号へ通常の電話やイン
ターネットベースのネットワークを使用して連絡すること。 警鐘及び POLREP メッセージ
はテレファックスや e メールによる文書でもって送らなければならない。受信者は直ちに
このメッセージに応答すること。
3. 共同対応活動中の作業通信
73
3.1
作業調整
通常、作業の調整は緊急時共同対応センター(JERC)の第一現場調整官(LOSC)が行
う。 作業調整の伝達のため、LOSC は以下を活用しなければならない。
a) 電話、インターネットベースのネットワーク。JERC や他の NOWPAP メンバー
国の現場調整官(NOSCs)との海岸‐海岸の通信。
b) VHF ラジオ。対応活動に参加している部隊との海岸-海の通信。使用可能な
VHF チャンネルはリストを参照(リストは今後完成予定)。
c) MF 周波の沿岸ラジオステーション。船舶が VHF の範囲以外にいるときに使用。
使用可能の MF 周波数はリストを参照(リストは今後完成予定)
d) 活動に関与している船舶の中には、衛星通信システムを搭載しているものも
ありうる。その様な船の船長や責任者は、そのシステムを共同作業中に使用
すべきであると JERC に勧告しなければならない。衛星通信機材が整っている
国の作業センター‐ 緊急時対応センターになりうる-については、リスト参
照(リストは今後完成予定)。衛星通信システムを備えた船舶には、電話やイ
ンターネットベースのネットワークでも連絡が可能である。
e) 携帯電話システムは、 受信地域にあるならば、海岸-海岸、海岸-海の通信
に便利である。
通信計画:
事故の初期段階にて、LOSC は JERC との連絡に用いる方法や周波数などが記載さ
れている通信計画を発表しなければならない。
3.2 作業管理
対応作業中、関連する各国の現場調整官(NOSC)とその指揮下にある活動部隊・ス
トライク・チームとの連絡方法は以下の通りである:
a) 電話、インターネットベースのネットワーク。ERC や他の NOWPAP メンバー国
の NOSC との海岸-海岸通信。
b) VHF ラジオ。対応活動に参加している部隊内、部隊間における海岸-海、海
-海の通信。利用可能であれば、ここでは携帯用 VHF セットが便利である。
使用できる VHF チャンネルはリストを参照(リストは今後完成予定)。
c) MF 周波の沿岸ラジオステーション。船舶が VHF の範囲以外にいるときに使
用。 使用可能の MF 周波数はリストを参照(リストは今後完成予定)。
74
d) 携帯電話システムは、受信地域にあるならば、海岸-海岸、または海岸-海
の通信に便利である。
e) 携帯用の衛星通信システムを使用する場合もある。これは商業機関などが考
えられる。
通信計画:
事故の初期段階にて、NSOC はその指揮下にある活動部隊との連絡に用いる方法や
周波数などが記載されている通信計画を発表しなければならない。
3.3 戦術指令
対応作業が行われている現場での通信については、関わるチームや部隊の対応活
動の方向性や管理、またそのチーム・部隊間の情報交換を考慮して、以下を用いて行われ
る。
a) VHF ラジオ。対応作業中の部隊内、部隊間における海岸-海岸、海岸-海、海
-海の通信。携帯用 VHF セットがあればより便利である。航空機との通信に
ついては後述する。使用できる VHF チャンネルはリストを参照(リストは今後
完成予定)。
b) 携帯電話システムは、受信地域にあるならば、海岸-海岸、海岸-海との通
信に便利である。
3 .4. 航空機との通信
油流出モニタリングや分散剤散布を行っている飛行機には、海軍用 VHF 機器、も
しくは携帯機器が使用できることが望ましい。これらの機器はリストアップされているチ
ャンネルで使用可能でなければならない(リストは今後完成予定)。
飛行機に VHF 機器など適切に装備されていなければ、船舶や海岸基地は飛行機と
の通信ができない状態となる。もしくは空港や機材の揃ったセンターを経由してのメッセ
ージ通信となる。
携帯電話は飛行機内で使用してはならない。
***
75
別紙3
参加メンバー国の国家緊急時
76
別紙3.
(1)
中華人民共和国
(提出予定)
77
別紙 3.
(2) 日本
油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画
2001 修正版
第1章 序
説
第1節 – 計画の目的
1.1.1 四面を海に囲まれた我が国は、海洋をとりまく多様な自然環境に恵まれるとともに、
そこに存在する豊かな漁場等から多くの恩恵を受けるなど、海洋環境との密接な関係の中
で国民生活が営まれている。このようなことから、我が国周辺海域において、万一、油汚
染事件が発生した際には、その初期の段階から迅速かつ効果的な措置を取ることが、海洋
環境の保全並びに国民の生命、身体及び財産の保護の観点から必要不可欠である。また、
我が国が世界有数のタンカー保有国であり、かつ、石油輸入国であることを考慮すると、
我が国がこのような準備及び対応の体制を整備しておくことは極めて重要である。この場
合、国、地方公共団体をはじめ、石油業界、海運業界、鉱山業界、漁業関係者その他の官
民の関係者が一体となって取り組むことが重要である。
1.1.2 このような考え方を踏まえ、この計画は、1996 年 1 月 17 日に我が国において効力
を生じた「1990 年の油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約」第 6 条
に規定する「準備及び対応のための国家的な緊急時計画」として、油による汚染に係る準
備及び対応に関する我が国の体制を体系的に取りまとめたものであって、国際約束の的確
な実施を確保するとともに、海洋環境の保全並びに国民の生命、身体及び財産の保護のた
め油汚染事件に我が国が迅速かつ効果的に対応することを目的として策定するものである。
第 2 節 – 他の計画との関係性
1.2.1 この計画は、災害対策基本法(1961 年法律第 223 号)に基づく防災基本計画、環
境基本法(1993 年法律第 91 号)に基づく環境基本計画、海洋汚染及び海上災害の防止に
関する法律(1970 年法律第 136 号)に基づく排出油防除計画、並びに石油コンビナート
等災害防止法(1975 年法律第 84 号)に基づく石油コンビナート等防災計画と調和を保っ
たものであり、これらと相まって油汚染事件に迅速かつ的確に対応できるよう策定するも
のである。
第2章 油汚染事件に対する準備に関する基本的事項
第1節
油汚染事件に関する情報の総合的な整備
2.1.1 中央政府省庁は油汚染事故に包括的かつ有効に対処できるよう、国内外から油汚染
に関する情報を収集し、更新を行う。また政府省庁による油汚染への準備と対応について
78
の会議(以下「関係省庁連絡会議」と称する)にても情報の交換を行う。
2.1.2
海上保安庁は、それぞれの関係行政機関が把握している国内の各種分野の専門家
及び排出油防除資機材に関する情報を、関係行政機関等の協力を得て一元化するとともに、
油汚染事件への準備及び対応に関する活動に活用しようとする関係行政機関、地方公共団
体等の要請に応じて提供し得る体制の確立に努める。
2.1.3
また、関係行政機関は、油汚染事件による環境への影響を迅速に把握・評価し、
また、油汚染事件に対応する措置を的確に講じ、被害の発生を最小限とするために参考と
すべき、各海域ごとの自然的・社会的・経済的諸情報(水質、底質、漁場、養殖場、工業用
水等の取水口、海水浴場、さんご礁、藻場、干潟、鳥類の渡来・繁殖地、史跡等に関する
情報)を収集・整理し、適宜最新のものとして維持する。さらに、収集・整理した情報は、
それぞれの行政に反映できるよう共有化するとともに、情報図として整備する等その内容
を充実し、関係行政機関、地方公共団体等において有効に活用できる体制の確立に努める。
2.1.4
さらに、地方公共団体が地域の実情に応じて行う油汚染事件への準備及び対応に
関する活動の促進を図るため、関係行政機関は、地方公共団体の要請に応じて適切に関係
情報を提供するよう努める。
第2節
対応体制の整備
2.2.1
関係行政機関、地方公共団体等は、油汚染事件への対応について必要な対策を適
切に実施するため、それぞれの機関の対応体制及び機関相互の協力体制の整備を図る。こ
の場合、関係行政機関は、関係省庁連絡会議の場等を通じ、油汚染事件に対する協力体制
について必要な調整を行う。
2.2.2
海上保安庁は、油汚染事件への対応を迅速かつ的確に実施するため、排出油防除
計画を作成するとともに、海上における特殊な災害に対応する特殊救難隊及び機動防除隊
の育成強化を図り、船艇・航空機による 24 時間の出動体制を確保する。また、海上災害
防止センターにおける防除措置の実施に関する対応能力の一層の確保に努める。
2.2.3
また、海防法に基づき、管区海上保安本部長、タンカーの船舶所有者等は、官民
合同の組織として排出油の防除に関する訓練の実施、重要事項の協議等を行う排出油の防
除に関する協議会を関係地方行政機関、地方公共団体等と連携し、必要に応じて組織し(以
下「協議会」と証する)、対象海域の広域化、それぞれの機関の防除の実施に関する役割分
担の明確化等に努める。
2.2.4
水産庁及び環境庁等は、油汚染事件発生時における環境影響調査、野生生物の
保護、漁場等の保全等の対応措置が迅速かつ的確に行われるよう、各行政分野における体
79
制の整備に努めるとともに、地方公共団体、関係団体等との連携協力体制の一層の確保に
努める。
第3節 – 通報・連絡体制の整備
2.3.1
船舶の船長、施設(陸地にあるものを含む。) の管理者等は、当該船舶又は施設か
ら海洋への大量の油の排出があった場合及び排出のおそれのある場合には、海防法に基づ
き、電話、電信その他のなるべく早く到達するような手段により、直ちに最寄りの海上保
安部署等に通報する。また、海面に大量の油が広がっていることを発見した者においても
同様である。
2.3.2
また、石油コンビナートの事業を統括管理する者は、当該石油コンビナート等に
おける石油等の漏洩その他の異常な現象が発生した場合には、石災法に基づき直ちに消防
署等に通報する。
2.3.3
さらに、鉱業権者は、自らが管理する鉱山施設等において大量の油の海洋への流
出があった場合及びそのおそれがある場合には、鉱山保安法(1949 年法律第 70 号)に基づ
き直ちに鉱山保安監督部等に通報する。
2.3.4 海上保安部署等、消防署、警察署等においては、24 時間の情報収集体制を確保す
る。
2.3.5
関係行政機関、地方公共団体等は、内部の若しくは相互の連絡体制が確保されるよ
う、又は関係団体等との連携協力の下に必要な対策が適切に実施されるよう、それぞれの
機関内部及び機関相互間における夜間、休日の場合等を含めた連絡体制の整備を図るとと
もに、防災行政無線の活用等により通信手段の確保を図るよう努める。
第 4 節‐関係資機材の整備
2.4.1 船舶所有者等は、海防法に基づき、排出油の防除措置を実施するため必要な資機材
を船舶内等に備え付けるとともに、当該資機材を適切に使用することができるよう、その
備え付け場所、管理、設備等に関し、必要な措置を講じておくものとする。
また、海上災害防止センターは、海上保安庁長官の指示若しくは船舶所有者等の委託に
より防除措置を実施するため、又は船舶所有者等の利用に供するために必要な資機材を保
有する。
2.4.2 また、鉱業権者は、鉱山保安法に基づき、排出油の防除措置を実施するために必要
な資機材を備え置く。
2.4.3
さらに、港湾管理者は、港湾法(1950 年法律第 218 号)に基づき、港湾区域内に流
80
出した油の防除に必要な資機材を備える。
2.4.4
海上保安庁は、油汚染事件への対応を迅速かつ的確に実施するため、船艇、航空
機、情報通信施設、排出油防除資機材等の整備を推進する。
2.4.5
計算産業省は、関係者の利用に供するため、石油事業者団体が行う排出油防除資
機材の整備事業及び当該事業の普及・啓蒙を推進する。
2.4.6
水産庁は、油汚染事件による漁場等の汚染の防止又は軽減を図るための資機材の
整備を推進する。
2.4.7
環境庁は、野生生物の保護を行うにあたって必要な資機材が適切に整備されるよ
う措置する。
2.4.8
関係行政機関は、各行政分野において、油汚染事件への対応のため必要な資機材
の整備に努める。
2.4.9
地方公共団体は、必要に応じ、油汚染事件への対応のため必要な排出油防除資機
材等の整備に努める。
2.4.10
また、必要な排出油防除資機材が、現場に迅速に配置され、活用できるよう日頃
から官民の連携の確保に努める。
第5節 – 訓練など
2.5.1
関係行政機関、地方公共団体等は、油汚染事件への対応を迅速かつ的確に実施す
るため、事件の形態・規模、気象・海象、油の性状等様々な条件設定の下でのシミュレー
ション訓練手法を導入するなど工夫した関係機関相互の有機的連携に重点を置いた総合的
かつ実践的な訓練を行う。訓練後には、当該評価を行い、課題等を明らかにし、必要に応
じ、対応体制等の改善を行う。
2.5.2
関係行政機関、地方公共団体等は、海上災害防止センターの訓練事業を活用する
などして、人材の育成に努める。
2.5.3
環境庁は、野生生物の保護等を実施する上で必要な知識及び技術の修得に関する
地方公共団体、関係団体等に対する研修等を行う。
2.5.4
また海上災害防止センターは海防法に基づき、より的確な防除技術を普及するた
め、海上防災のための措置に関する訓練事業を行うとともに、自らの防災措置に関する技
81
術の向上に努める。
2.5.5
これらの訓練等の実施にあたっては、海洋環境の保全並びに国民の生命、身体及
び財産の保護の観点から適切に実施されるよう配慮するものとする。
2.5.6
関係行政機関は、関係者に対し講習会、訪船指導等を通じ、油汚染事件発生の防
止及び当該事件発生の際の対応に関する指導を行い、これを通じて海洋環境の保全に係る
思想及び技術の普及・啓蒙を図る。
2.5.7
民間事業者は、油汚染事件発生の際に迅速かつ的確に対応できるよう、積極的に
訓練等を行うとともに人材の育成に努める。
第6節 – 近隣諸国等との協力体制
2.6.1
外務省は、国土交通省及び海上保安庁と協力しつつ、近隣諸国等との油汚染事件
発生時の連絡体制の強化や要請に応じた資機材の提供等、海洋汚染に関する協力体制の一
層の強化に努める。
第3章
油汚染事件の対応に関する基本的事項
第 1 節‐保護対象についての基本的な考え方
3.1.1 油汚染事件に対しては、海洋環境の保全の観点、並びに国民の生命、身体及び財産
の保護の観点の両面に配慮して適切な対応方策を講ずるものとする。この場合、第 2 章第
1 節の各海域ごとの情報等も踏まえて、被害の発生が最小限となるように措置を講ずるも
のとする。
第2節 – 対応体制の確立
3.2.1 油汚染事件が発生した場合、関係行政機関、地方公共団体等は、油汚染事件への対
応について必要な対策を適切に実施するため、それぞれの機関の対応体制及び機関相互の
協力体制の確立に努める。
3.2.2
海上保安庁長官、管区海上保安本部長又は都道府県知事は、自衛隊の派遣要請の
必要性を油汚染事件の規模及び被害状況から判断し、必要な場合には、自衛隊法(1954 年
法律第 165 号)の災害派遣の規定に基づき、直ちに要請するものとする。また、事態の推
移に応じ、要請しないと決定した場合は、直ちにその旨を連絡するものとする。
3.2.2
自衛隊は、当該要請を受けたときは、部隊等の派遣の必要の有無を判断し、部隊
等を派遣する等適切な措置を行う。
82
3.2.3
関係行政機関は、大規模な油汚染事件が発生した場合には、事件及び被害の第 1
次情報についての確認及び共有化、応急対策の調整等を行うため、必要に応じて、関係省
庁連絡会議を開催する。
3.2.4
国は、事件の規模、被害の広域性等から、応急対策の調整等を強力に推進するた
めに特に必要があるときは、内閣総理大臣に報告の上、海上保安庁長官を本部長とする警
戒本部を設置する。この場合、警戒本部及びその事務局の設置場所は、原則、海上保安庁
内とする。また、警戒本部が設置された場合は、現地の状況を把握し、応急対策の迅速か
つ的確な実施に資するため、現地に管区海上保安本部長を本部長とする連絡調整本部を設
置する。この場合、連絡調整本部及びその事務局の設置場所は、原則、管区海上保安本部
内とする
3.2.5
国は、大規模な被害が発生していると認められたときは、直ちに原則、国土交通
省大臣(石油コンビナート等特別防災区域からの油汚染事件については総務省大臣)を本部
長とする、災対法に基づく非常災害対策本部を設置する。非常災害対策本部の設置方針が
決定されたときは、内閣府は速やかに所要の手続きを行い、非常災害対策本部の設置等を
行う。この場合、非常災害対策本部及びその事務局の設置場所は、原則、国土交通省内(石
油コンビナート等特別防災区域からの油汚染事件については消防庁内)とする。また、非常
災害対策本部は、関係地方行政機関、関係地方公共団体等のそれぞれの機関が実施する応
急対策の総合調整に関する事務のうち、現地において機動的かつ迅速に処理する必要があ
るときは、原則、国土交通省政務次官(石油コンビナート等特別防災区域からの油汚染事
件については総務省政務次官)を本部長とする非常災害現地対策本部を設置する。
3.2.6 関係行政機関又は非常災害対策本部は、現地の状況を把握し、迅速かつ的確な対応
の実施等に資するよう、必要に応じ、調査団を現地に派遣する。
3.2.7
地方公共団体は、必要に応じ、災対法に基づく災害対策本部等を、又は石災法に
基づく石油コンビナート等防災本部の現地防災本部を設置する。
3.2.8
関係行政機関、地方公共団体等は、これら本部が設置された場合には、職員を派
遣するなどして、これら本部との間における情報の交換を促進し、油汚染事件への的確な
対応体制を確保する。
3.2.9
国と地方公共団体等との情報の交換には、連絡調整本部又は非常災害現地対策本
部を活用する。
第3節 – 油汚染事件に関する情報の連絡
3.3.1
油汚染事件の発生又は発生するおそれについて連絡を受けた海上保安庁その他
83
の関係行政機関、地方公共団体等は、必要に応じ、予め定められた連絡網に従い、官邸、
他の関係行政機関、地方公共団体等に、入手した情報、対応に必要な情報を提供する。
3.3.2
関係行政機関、地方公共団体等は、被害情報、対策実施情報等を、連絡調整本部
又は非常災害対策本部に連絡し、当該連絡を受けた連絡調整本部又は非常災害対策本部は、
必要に応じ、内閣総理大臣に報告するとともに、関係機関に連絡する。
3.3.3
関係行政機関、地方公共団体等は、当該油汚染事件に対し迅速かつ適切に対応す
る観点から、事件の終息に至るまでの当該油汚染事件に関し、必要に応じ、相互に緊密な
情報の交換を行う。
第4節 – 油汚染事件の評価
3.4.1
海上保安庁は、油汚染事件発生の情報を入手したときは、更に詳細な情報を得る
ように努め、巡視船艇、航空機を油汚染事件発生場所に急行させるほか、必要に応じ、派
遣された自衛隊機等の協力を得て、当該事件の調査を行う。事件の調査結果に基づき、そ
の規模及び態様を分析し、第2章第 1 節の情報を踏まえ、気象・海象の状況、船舶交通の
状況等を考慮して、当該事件の影響を評価し、対策の実施に資するよう、これを官邸、関
係行政機関、地方公共団体等に提供する。
3.4.2 また水産庁及び環境省は、海上保安庁その他の関係行政機関、地方公共団体等から
の情報に基づき、当該油汚染事件が野生生物及び漁業資源に及ぼす影響の評価を行い、こ
れを、野生生物の保護、漁場等の保全等の対策の決定に反映させるとともに、その他の対
策の実施に資するよう、速やかに官邸、関係行政機関、地方公共団体等に提供する。
第5節 – 油防除対策の実施
3.5.1
油汚染事件が発生した場合、海防法に基づき応急措置を講ずべき船長等、及び防
除措置を講ずべき船舶所有者等の関係者による措置が実施されることになるが、海上保安
庁はこれらの措置義務者の措置の実施状況等を総合的に把握し、措置義務者に対する指導、
援助・協力者に対する指導を行う。防除措置義務者が措置を講じていないと認められる場
合は、海上保安庁はこれらの者に対し、防除措置を命ずる。緊急に防除措置を講ずる必要
がある場合、海上保安庁は、自ら防除措置を実施し、又は海上災害防止センターに対して
防除措置を講ずべきことを指示する。
3.5.2
油汚染事件が発生した場合の排出油の防除には、例えば、次のような措置がある
が、排出油の種類及び性状、排出油の拡散状況、気象・海象の状況、その他、種々の条件
によってその手法が異なるので、防除作業を行うにあたっては、まず、排出油の拡散及び
性状の変化の状況について確実な把握に努め、第 4 節の評価の結果を踏まえて、状況に応
じた適切な防除方針を速やかに決定するとともに、関係行政機関、地方公共団体等が協力
84
して、初動段階において有効な防除勢力の先制集中を図り、もって迅速かつ効果的に排出
油の拡散の防止、回収及び処理を実施する。この場合において、海上保安庁その他の関係
行政機関等は、他の関係行政機関、地方公共団体等に対し、防除措置の実施に必要な資機
材の確保・運搬及び防除措置の実施について協力要請できるものとし、当該要請を受けた
関係行政機関、地方公共団体等は、当該協力の必要の有無等を判断し、必要な協力を行う。
自衛隊は、防除措置の実施に必要な資機材の輸送について、関係行政機関又は地方公共
団体から依頼があった場合、輸送の必要の有無等を判断し、航空機、艦船等の輸送手段を
使用して必要な支援を行う。
対策例
(1)
排出防除措置
引き続く油の出を防止するためにガス抜きパイプの閉鎖、船体の傾斜調整等によ
る措置を行うほか、破損タンク内の油を他船または他の施設へ移送するいわゆる
瀬取りを行う。
(2) 拡散防止措置
排出した油は、風や潮流の影響を受けて、通常急速に拡散し、海洋汚染の範囲が
拡大するため、油汚染事件が発生した場合には、直ちに排出源付近の海域にオイルフェン
スを展張して排出油を包囲し、拡散を局限する。
(3) 回収措置
排出した油の回収方法としては、油回収船、油回収装置等を使用して回収する機
械的回収、油吸着材若しくは油ゲル化材等の資機材を使用して回収する物理的回
収、その他ひしゃく、バケツ等を使用して回収する応急的・補助的な回収があり、
状況に応じてこれらの回収方法のうち最も効果的な方法を用いるものとする。
(4) 化学的処理
油の分解を促す油処理剤を使用した化学的処理がある。これは、回収措置の実施、
気象・海象、周囲の自然環境、漁場又は養殖場の分布等の状況を勘案して、(3)に掲げる
回収方法のみによることが困難な場合において実施するものとする
3.5.3
防除措置を実施するにあたっては、第 2 章第 1 節の情報図などを参考にし、それ
ぞれの手法の特質と海洋環境への影響を総合的に考慮して実施すること、できる限り海上
での回収に努めること、また、海岸等に漂着させざるを得ない場合においてもその後の回
収作業が行い易く、影響を受けた環境の修復が比較的容易と想定される場所に誘導するこ
と等に注意を払う必要がある。
85
3.5.4
油が海岸等に漂着した場合、船舶所有者等の関係者により漂着した油の除去のた
めの措置が実施されることになるが、関係行政機関、地方公共団体等は、当該除去のため
の措置の実施状況等を把握するとともに、迅速かつ効果的な防除作業が実施されるよう、
関係機関の出動可能勢力、当該防除作業への支援体制等の情報を収集・整理し、船舶所有
者等の関係者に対し提供等を行うよう努める。
関係行政機関、地方公共団体並びに港湾、漁港、河川及び海岸の管理者等は、必要に応
じ、協力して、漂着した油の除去のための措置を実施する。この場合において、必要な措
置を、地元住民、ボランティア等の協力を得て実施する機関等は、第 7 節の健康安全管理
のための体制整備のほか、円滑な防除作業が実施されるよう必要な支援体制の整備に努め
る。
3.5.5
回収した油等は、船舶所有者等の関係者による処理が実施されることになるが、
関係行政機関、地方公共団体等は、当該回収した油等の量、処理作業の状況等を把握する
とともに、適正かつ円滑な処理が実施されるよう、回収した油等の貯留・搬送に従事可能
な貨物船・タンカー等、回収した油等の処理施設・当該受入れ可能量等の情報を収集・整
理し、船舶所有者等の関係者に対し提供等を行うなど、必要な支援体制の整備に努める。
関係行政機関、地方公共団体等は、必要に応じ、回収した油等の処理を実施する。
第6節 – 資機材等に関する情報の提供等
3.6.1 海上保安庁は、第 2 章第 1 節の分野別専門家及び排出油防除資機材に関する情報
を、関係行政機関、地方公共団体等の要請に応じて提供し得る体制を確保する。
3.6.2 経済産業省は、第 2 章第 4 節の石油事業者団体が行う整備事業において、船舶所
有者等の関係者等からの要請に応じて排出油防除資機材に関する情報の提供及び資機材の
貸出しを行い得る体制を確保する。
3.6.3
総務省は、通信機器を、関係業界団体の協力を得る等により、必要に応じて又は
関係行政機関、地方公共団体等の要請に応じて供給し得る体制を確保する。
第7節 – 防除作業実施者の健康安全管理
3.7.1
厚生労働省及び環境省は、防除作業が実施される場合には、油の成分、漂着状況
等を踏まえ、防除作業における健康上の配慮事項について検討し、防除作業を実施する関
係行政機関、地方公共団体等に対し適切に情報を提供する。
3.7.2
防除作業を実施する関係行政機関、地方公共団体等は、防除作業を実施する者の
健康上の配慮事項について作業現場への周知を図るなど、健康安全管理のための体制整備
に努める。
86
第8節 – 野生生物の救護の実施
3.8.1
環境庁は、油汚染事件により野生生物に被害が発生した場合には、油が付着した
野生生物の洗浄、油付着に伴う疾病の予防、回復までの飼育等野生生物の救護が、獣医師、
関係団体等の協力を得て円滑かつ適切に実施されるよう措置する。
第9節 – 漁場保全対策等の実施
3.9.1
水産庁は、油汚染事件により漁場等に汚染が生ずるおそれがある場合、又は生じ
た場合には、必要に応じて廃油ボール等の油の回収等の保全、修復対策が円滑かつ適切に
実施されるよう措置する。
第 10 節 – 海上交通安全の確保及び危険防止措置
3.10.1
油汚染事件の発生により航路筋が閉そくされる等により、現場周辺の海域におい
て船舶交通が混雑し、新たな海難が発生する危険が生じ、あるいは防除作業の円滑な実施
の妨げとなる場合には、海上保安庁は、必要に応じ、海防法等に基づき、船舶の退去、航
行制限等の措置を講じる。
3.10.2
また、危険物である油が排出された場合、その防除作業を実施するにあたっては、
火災、爆発及びガス中毒等の二次災害を防止するため、ガス検知器具による危険範囲の確
認、火気の使用制限等の危険防止措置を講ずる。
第 11 節 – 広報等
3.11.1
船舶交通の安全の確保、付近住民の安全確保、防除作業の円滑な実施等を図るた
め、関係行政機関、地方公共団体等は、それぞれ必要に応じ、他の関係行政機関、地方公
共団体等と連絡調整を図り、迅速かつ的確な広報を行うものとする。
3.11.2
油汚染事件が発生した場合には、同様の事件の発生の防止及び一般的な油汚染事
件発生時の対応に関する知識の充実に資するため、関係行政機関、地方公共団体等は、当
該事件の原因、汚染の状況、講じた対策等についての状況を記録する。
第 12 節 – 事後の監視等の実施
3.12.1
関係行政機関、地方公共団体等は、前節までに定める措置が終了した後において
も、必要に応じ、相互の連携の下、環境影響調査、財産の被害の調査等を実施する。
特に、油汚染事件による沿岸域の生態系等環境への影響は、回復に長期間を要すること
があることから、水質、底質、野生生物等への影響の調査を段階的・断続的に実施し、講
じた措置の効果を検証する。また、関係行政機関、地方公共団体等は、この結果を踏まえ、
必要に応じて補完的な対策を実施する。
第4章
関係行政機関等の相互の連携等
87
第1節 – 国家的な連携
4.1.1
関係行政機関は、所掌事務及び関係法令に基づき、油汚染事件への準備及び対応
のため必要な施策の総合的な企画及び推進、関係法令の整備、調査研究の推進等を積極的
に実施する。この場合において、関係行政機関は、関係省庁連絡会議等を活用し、相互に
密接な連携を確保するよう努める。
4.1.2
また、石油業界、海運業界、鉱山業界その他の関係業界団体は、その能力を活用
し、油汚染事件への準備及び対応に関し、積極的に取り組むことが期待され、国は、これ
ら関係者を積極的に支援するとともに、これら関係者との連携の確保に努める。
さらに、必要に応じ、専門的な知見に基づく助言等を活用するため、油防除の実施、海
洋環境の保全等に関する専門家との連携を図る。
第2節 – 地域的な連携
4.2.1
関係地方行政機関等は、所掌事務及び関係法令に基づき、第 1 節の国家的な連携
の下に推進される施策と密接な連携の下に、地域の実情に応じた具体的な準備及び対応の
施策を推進する。
4.2.2
また、地方公共団体等、民間事業者その他の関係者は、関係法令に基づく責務に
応じ、又は自発的に、その能力を活用し、地域の実情に応じた具体的な準備及び対応の施
策を積極的に推進することが期待される。
4.2.3
この場合において、関係者は、排出油の防除に関する協議会等を活用し、相互に
密接な連携を確保するよう努める。また、必要に応じ、専門的な知見に基づく助言等を活
用するため、油防除の実施、海洋環境の保全等に関する専門家との連携を図る。
第5章
その他の事項
第1節 – 調査研究、技術開発の推進
5.1.1
関係行政機関は、油汚染事件の防止並びに当該事件による排出油の防除及び海洋
環境への影響の防止に関する調査研究、技術開発を、必要に応じ、民間との連携を図りな
がら推進する。
第2項 – 計画の見直し
5.2.1
国は、この計画の見直しについて随時検討し、必要があると認めるときは、見直
しを行うものとする。
注:HQ = 本部
88
別紙3
(3)韓国
海洋汚染への準備と対応についての
国家緊急時計画
大韓民国
OPRC 条約第6項目の要請に従い、韓国海洋警察庁(KNMPA)が策定した油汚染への準
備と対応についての国家緊急時計画が、2000 年 1 月 11 日に閣僚会議にて制定された。
一般規定
1.1
1.1.
目
的
この計画は、油汚染に対する準備と対応について国家緊急時計画の策定を決定し
た「油よる汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約年条約(OPRC 条約 1990 年)」
の第6項目(1)(b)の要請に従い策定されたものである。
1.2
国家緊急時計画の目的は、海洋油汚染事故(以降「汚染事故」と称す)について、
早急かつ効果的に準備し対応するために、関連する諸機関の協力体制を確保する全国的な
対応システムを構築することである。また汚染への準備、対応活動、被害アセスメント、
復興など、関連するあらゆる作業や取り組みをシステム化することで、汚染事故の被害を
最小限に食い止め、国民の健康と財産を保護することも目的としている。
1.2
1.2.1
適応範囲
この計画は、領海と隣接地帯に関する法、及び排他的経済水域に関する法律に従
い、それぞれ、韓国の領海と内水、そして排他的経済水域(EEZ)にて発生した油流出事
故を対象とする。
1.2.2
もし油流出事故が韓国の海洋環境の保全に明らかなる影響を与えているとき、ま
たその可能性があるとき、この計画は上記に定義された場所以外で発生した事故にも適応
ができる。
1.3
1.3.1
他の計画との関係
汚染事故に早急かつ効果的に対応するため、計画は「国民防衛法」の枠組みに基
づく「国民防衛計画」や、「災害管理法」に基づく「国家災害管理計画」、また国際条約に
基づく「国際緊急時計画」など、他の国内法と調和のとれたものでなければならない。
89
1.3.2
大規模な汚染事故が発生した際、この計画に説明がされていないことについては、
災害管理法による国家災害管理計画を適用する。
2.油汚染対応システム
2.1
2.1.1
国内対応システム
海洋汚染防止法に基づき、油流出事故の緊急事態への対応に、以下のような組織
を立ち上げる。
a)海洋汚染対応策委員会(海洋水産部内に設置)
b)地域海洋汚染対応策委員会(KNMPA の各海洋警察署の指揮官の下に設置)
c)汚染対応策本部(KEMPA 長官の下に設置)
2.1.2 大規模な事故が発生した場合、KEMPA 長官は汚染対応策本部の責任者となり、対
応チームを召集し、指揮、管理を行う。
2.1.3 汚染事故が人命や財産へ深刻な被害を与え、広範囲に悪影響を及ぼすため政府とし
ての対策が必要な場合、海洋水産部大臣は災害管理法第 45 条に基づき、
「汚染対応策中央
本部」を設立し、中央政府からの対策や支援を要請する。
2.2
汚染対応策本部
2.2.1 汚染対応策本部の設立
a)KNMPA 長官が汚染対応策本部の責任者となる。
b)KNMPA 職員及び他の関連組織から、その責任者が派遣した職員が汚染対応策本部
のスタッフとなる。
2.2.2 汚染対応策本部の責任者の責務は以下の通りである。
a)汚染対策計画の立案と実行
b)油汚染事故への対応に動員された人員・機材への指揮、管理
c)油汚染対応方法の決定
d)その他、油汚染対応に関連する事柄
90
2.3
海洋汚染対応策委員会
2.3.1 海洋汚染対応策委員会のメンバー
a)海洋汚染対策委員会(これ以降「対応策委員会」と称する)の委員長には
海洋水産部
副大臣が、副委員長には KNMPA 長官がそれぞれ就任する。
b)対応策委員会には、委員長、副委員長を含め、財政経済部、外交通商部、国防部、
行政自治部、産業資源部、環境部、科学技術部、海洋水産部、国務調整課などの政府
職員、または各政府大臣が任命したレベル3以上の職員、海洋水産部が任命した対応
専門家などで、15 人以下の構成とする。
2.3.2 対応策委員会の審議事項は以下の通りである。
a)海洋汚染対応活動における組織的システムの改善
b)汚染事故における人員・予算・ロジスティック・機材・処理設備など、支援省庁間
での対応活動の立案と調整
c)関連事項について地域海洋汚染対応策委員会への協力
d)海洋汚染の準備として緊急時対応策の立案
e)回収が困難と思われる事故船舶を回収するかどうかの決定
f)その他、海洋汚染対応の問題について海洋水産部大臣や委員会会長から要請された事
柄
2.4
海洋汚染対応策地域協議会
2.4.1 協議会メンバー
a) 海洋汚染エリアの管轄地にある KNMPA 海洋警察署署長が、海洋汚染対応策地域協
議会(以降「地域協議会」と称する)の責任者となる。
b) 委員会メンバーには、地方の環境局、地方海洋水産局、海洋警察署、陸軍の各部門本
部、その他、地方行政局の各首長が任命した職員を少なくとも1名、さらに協議会の
代表者が汚染事故に関わる地方の漁業共同組合、船舶や施設の所有者、石油精製業者、
住民代表など民間部門から任命した人員を配置する。
2.4.2 地域協議会の審議事項は以下の通りである。
a)海洋油流出事故への準備としての汚染対策計画
b)関連する地域行政機関の作業協力:海洋汚染事故が発生した場合、必要となる人員・
ロジスティック・機材・処理設備などの手配
91
c)海洋汚染予防の技術的アドバイス
d)その他海洋汚染対応の問題について、KNMPA、及び地域協議会の責任者から要請さ
れた事柄
2.5
汚染事故対応策中央本部
2.5.1 中央本部メンバー
海洋水産部大臣が汚染事故対応策中央本部の長となり、本部メンバーは、財政経
済部、外交通商部、法務部、国防部、行政自治部、情報通信部、保健福祉部、環境部、労
働部、建設交通部、企画予算処の各副大臣がなる。
2.5.2 中央本部長の権限
a) 汚染対応業務に関連して、効果的な問題解決にむけて各省庁が取り扱う事業全体の管
理
b) 政府組織に対し、行政的・資金的活動、その他必要とされる事柄についての協力要請
2.5.3 中央本部の検討事項は以下の通りである
a)被害を受けた施設などの回復と補償
b)被害額の計算基準
c)災害管理と復興費用の支払い
d)同類の災害予防策
e)その他、災害管理と復興について協議会代表者により審議要請があった事柄
2.6
関連行政機関の参加と協力
2.6.1 政府組織間の相互協力
関連の法律や各組織の内部ガイドラインに従って、関わる政府省庁の大臣は油汚
染被害を軽減するための総合的な対策の準備及び実行、協議会への参加など、相互協力体
制の維持に努めなければならない。
2.6.2 関連する地方行政機関との相互協力
地方の状況を鑑みて、地方行政機関、地方自治体の長は、油汚染被害を軽減する
ための総合的な対策の準備及び実行、地域協議会への参加など、相互協力体制の維持に努
めなければならない。
2.6.3 関連する行政機関の協力
92
KNMPA 長官が関連する行政機関の長に対し、以下の項目についての支援を要請
した場合、要請された組織は、特別な理由がない限り、協力しなければならない。
a)行政自治部:警察署、消防署、国民防衛隊などからの人員の動員
b)国防部:軍装備品や兵士の提供
c)情報通信部:業界の関連企業などから、対応作業に必要な通信技術、無線/有線の通
信
機材の支援
d)森林庁:汚染対応に必要な航空機の提供
3
油流出事故への準備
3.1
地域緊急時計画の構築と実行
3.1.1 地域の状況を鑑みて、KNMPA 長官は油汚染への準備と対応として、地域緊急時計
画を構築、実行しなければならない。
3.1.2 地域緊急時計画では以下の内容を取り扱わなければならない。
a)地域管轄内で発生した油流出の、最悪の状況の予測
b)最悪な状況の油流出時に、利用可能な船舶・機材の手配と配置
c)前述の状況下で、関連機関、地方政府、船舶及び設備所有者、その他関係者間に
おける通信と情報交換
d)前述の状況下で、除去作業と作業の結果により発生する被害の防止
e)その地、地域緊急時計画の実行に必要とされる事柄
3.1.3 流出油が海岸に漂着した場合、その海岸を管轄する地方政府は、海洋汚染防止法の
第(50)項(流出油が2つ以上の行政区域にまたがって広がった場合、その管轄にあたる市長
や知事も含む)に則って、除去作業策を計画、実行しなければならない。しかし流出油の拡
散が港湾施設(給水施設は除く)のみの場合は、港湾管理法の第2項(6)に則り、その施設を
管轄する機関の長が必要策を立案、実行しなければならない。
3.1.4 海洋汚染防止法の第(10)項に従い、ある重量を越える船を所有するいかなる者も、
油流出時に取るべき行動が説明されている油汚染緊急時計画を船内に備えておかなければ
ならない。
3.1.5 海洋汚染防止法の第(36)項に従い、沖合い施設の所有者、管理者は、油流出時に取
るべき行動が説明されている油汚染緊急時計画を備えておかなければならない。
3.1.6 地方政府が、海岸や港湾設備に漂着した油を取り去るために策定した除去計画、船
93
舶や沖合い施設の油汚染緊急時計画は、地域緊急時計画と矛盾なく策定されていなければ
ならない。
3.2
関連情報の共有
3.2.1
KNMPA 長官は、油対応の専門家や関連の行政機関が所有する機材について、常に
新しい情報を収集し、諸機関の長から要請があった場合は同じものを提供しなければなら
ない。
3.2.2 関連行政機関の長は、油汚染対応に関する情報を共有するために尽力しなければな
らない。
3.2.3 油汚染対応に関する情報には、漁場、養殖、海水浴場、潮汐湿地、水鳥・海洋性哺
乳類の生息地、遺跡場所などについて扱わなければならない。
3.3
3.3.1
環境脆弱性指標(ESI)マップの作成
KNMPA 長官は、対応情報を包括する ESI マップを準備しておき、脆弱性要因を
特定する際にこのマップを活用し、油汚染による被害の軽減に尽力し、対応方法と保護優
先順位などを決定しなければならない。
3.3.2 関連行政諸機関、地方政府、研究機関、地域社会の長は、ESI マップ作成の際、油
対応関連情報の収集に協力しなければならない。
3.4
汚染対応機材の確保と動員体制の維持
3.4.1 油汚染へ迅速かつ効果的に対応するため、KNMPA 長官は、油回収船、油回収機材、
その他物資を確保しておかなければならない。
3.4.2 関わる地方海洋水産部、市・郡・区の長は、海洋汚染防止法第 50 項に従い、管轄
下にある海岸線に漂着した油を除去する機材・物資を確保しておかなければならない。
3.4.3 韓国海洋汚染対応協力(KMPRC)の長官と除去請負業者は、KNMPA 長官もしくは
船舶、沖合い施設の所有者からの指示に従い、油汚染対策に適切な油回収船その他の機材
を確保し、操作しなければならない。
3.4.4 船舶、沖合い施設の所有者は、海洋汚染防止法の第 49 項、及び第 49 項(2)に従い、
除去作業に必要な機材・物資を供給しなければならない。
94
3.4.5 関連部署・組織・及び除去作業請負業者にて各機材・物資は、いつでも利用可能な
状態で維持されていなければならない。
a)KNMPA 長官は、KNMPA、関連部署、組織、請負業者が所有する全ての機材につ
いて、その動員体制を維持する。
b)対応機材の所有者は、いかなる場合も機材を使用可能な状態であるよう、修理・維
持に努めなければならない。
3.5
汚染対応の研修・演習
3.5.1 油汚染に迅速かつ効果的に対応するには、KNMPA 長官は、油汚染事故の形態と規
模、海洋の気候、油の特性など、その状況を決定し、関連部署やその他団体との協力体制
の組織化を焦点とした共同対応演習を定期的に遂行しなければならない。演習終了時に、
KNMPA 長官はその内容を評価し、対応システムの改善に努め、いかなる問題も解決しな
ければならない。
3.5.2 地方政府の長と KMPRC 長官は、KNMPA が行う演習への参加に尽力しなければ
ならない。
3.5.3
KNMPA 長官は、職員対象の汚染対応研修を行い、また海洋環境保護への社会的
意識を向上させるため尽力し、さらに研修を通して、船舶や沖合い施設の職員に対応技術
を習得させなければならない。
3.5.4
KNMPA 長官は、油汚染対応の研修・演習を行うことで、対応専門家の養成に努め
なければならない。
3.5.5 船舶、沖合い施設の所有者、除去作業請負業者は、汚染事故に迅速かつ効果的に対
応できるよう、各々の職員に研修・演習を行わなければならない。
3.6
国際協力体制の構築
3.6.1 国際的な協力が必要となる重大な汚染事故への準備として、外交通商部は、海洋水
産部、KNMPA 長官と協力して、国際協力体制の構築が円滑に効果的に進むよう取り計ら
わなければならない。
3.6.2 大きな汚染事故へ早急に対応するために、法務部、保健福祉部、通関事務局は互い
に協力して、海外から派遣される人員や対応機材の入国、検疫、通関業務が迅速に進むよ
うに取り計らわなければならない。
95
3.6.3 建設交通部、海洋水産部は、海外から支援のために提供された船舶や航空機に対し
航海・飛行手続きを簡素化し、港や空港の使用を提供しなければならない。
3.7
通信体制
KNMPA 長官は、汚染対応策本部、作業現場、航空機、船舶その他が使用する現
場の通信方法も含め、効果的な通信体制を構築しなければならない。
3.8
事故の報告・通告
3.8.1 油が流出した場合、以下の者は利用可能ないかなる通信方法をもって遅れることな
く KNMPA 長官に連絡をしなければならない。
a)海洋に油を流出してしまった、もしくはその可能性のある状態を引き起こしてしま
った船舶や沖合い施設の責任者もしくは監督者
b)船舶もしくは沖合い施設の職員以外で、海上に油を流出してしまった、または海上
で油流出を発見したいかなる者。
3.8.2 油汚染報告受信システムの維持
a)KNMPA 長官は 24 時間体制の油汚染報告受信センターを設立しなければならない。
b)KNMPA 長官は汚染事故の緊急通告用に緊急時通信システムを構築・維持しなけれ
ばならない。
3.9
通告
3.9.1 油流出事故の報告が受信されたら、KNMPA 長官は、必要であれば、関わる情報を
各機関、地方政府の長に通告をしなければならない。
3.9.2 関連機関署が油流出事故の連絡を受けた場合、早急に KNMPA 長官に同情報を伝
えなければならない。
4
4.1
対応活動の実行
保護対象物
汚染事故が発生したら、対応活動に参加する関連機関、地方政府の長は、以下の
項目について優先順位を決め、事故現場の地理的要因、気象・海洋の状況、季節的要因を
96
考慮した上で、被害の軽減化に効果的な方法を決定しなければならない。
a)
人命の安全
b)
事故の重大化の予防
c)
市民の財産と環境の保護
4.2
汚染事故の現場状況に関する調査
4.2.1 汚染事故の報告を受けた後、KNMPA 長官は早急に現場状況を特定し、事故現場や、
船舶・航空機の配置について詳細なデータを収集しなければならない。
4.2.2
KNMPA 長官は、事故の規模、流出の状況とその拡散の具合、天候・海洋の状況、
船舶運行状況などを考慮して、汚染事故の影響のアセスメントをしなければならない。こ
のアセスメントは、適切な対応策を決定するときの検討材料となる。
4.2.3 海洋水産部大臣と地方政府の長は、油汚染が水産資源に与える影響についてアセス
メントを行い、その結果は魚場保護のための計画に反映されなければならない。環境部大
臣と地方政府の長は、油汚染が野生生物に与える影響のアセスメントを行い、その結果は
野生生物保護のための計画に反映されなければならない。
4.3
4.3.1
対応策の決定
KNMPA 長官は、油流出予防、流出量の抑制、流出油の拡散予防、流出油の観測、
回収、分散財の適用や焼却処理の際の脆弱地保護など様々な活動の中で、入手した全情報
及び現場の事情も考慮し、最も適切と思われる対応策を決定しなければならない。海洋汚
染対応策地域協議会や科学支援部隊(SSU)とも協議し、最も適切な対策の選択に助言を得
ることもできる。
4.3.2 対策決定の際に検討すべき事項は以下の通りである。
a)汚染源からの油流出の防止・減少のために、バルブや換気口を閉じる。できれば船
舶構造体の傾きを制御し、損傷した油タンクからの油を移動させること
b)汚染源近くでオイルフェンスを用いて油流出の拡散を防止すること
c)油回収船やスキマーなどによる機械的な油回収や、油吸着剤、ゲル化材の適用、油分
散剤処理のような手作業の回収など様々な戦略を検討し、最も効果的な方法を選択す
ること
d)油分散剤を使用する際、漁場、養殖場などの海の特徴を検討すること
e)海岸線の資源が流出油の脅威にさらされている場合、オイルフェンスの配置によって
脆弱地を保護すること
97
f)流出油の動向の継続的観測し、海岸線の資源が流出油の脅威にさらされていない、も
しくはその可能性もない場合、流出油の進行を変えること
g)悪天候のため海上での油回収や海岸線の保護が困難である場合や海岸線の資源がす
でに汚染されている場合の海岸線上の油除去作業
4.4
緊急活動と油流出への対抗策
4.4.1 油汚染事項が発生したら、活動の責任を有する者は海洋汚染防止法の第 48 項に従
い、更なる油流出の防止、流出油の拡散防止、流出油の除去などのような緊急活動など、
必要な行動を起こさなければならない。また汚染対応策本部への提言や汚染作業について
の意見提供など、関連機関と協力して行わなければならない。
4.4.2 もし汚染対応に責任のある者が適切な行動を起こさなかった場合、海洋汚染防止法
第 48 項に従い、KNMPA 長官が行動を起こすよう命令を下すことができる。それにもか
かわらず、責任者が行動を起こさない、または責任者だけの行動では不十分である、もし
くは緊急に対応が必要とされる場合、海洋汚染防止法第 50(1)に従い、KNMPA 長官は諸
機関と協力して必要な行動を起こさなければならない。
4.4.3 油汚染事故により対応資材の動員が求められる場合は、KNMPA 長官は対応資材に
係る情報を活用し、人員・機材・物資を動員しなければならない。
4.4.4 地方政府の長は、その管轄内で除去作業に携わるボランティア活動を支援しなけれ
ばならない。
4.4.5 回収油や廃棄物の処理
a)環境部は、回収油の保管、移動、最終処分について指示・監督をしなければならな
い。
b)KNMPA 長官は、油運搬船、荷船、海岸での保管タンクなどの受け入れ能力の情報、
または廃棄油処理施設の能力についての情報などを活用して、除去作業の促進に努め
なければならない。
c)地方政府の長は、回収油と廃棄物の一時的保管のために必要な場所を提供しなければ
ならない。
4.4.6 船舶所有者・責任者、沖合い施設の所有者・監督者は、船の座礁・衝突・沈没、も
しくは船内の火災などで油が流れ出す可能性がある場合、海洋汚染防止法の第 48 項(2)
に従い、油流出防止活動をしなければならない。
4.5
科学支援部隊(SSU)の汚染対応アドバイス
98
4.5.1
KNMPA 長官は汚染対応アドバイスのため、科学支援部隊(SSU)を結成、運営し
なければならない。関連機関の油対応専門家がそのメンバーとなり、汚染対応について調
査し技術的協議を行うものである。
4.5.2
SSU は KNMPA 長官から要請があった場合、油流出量の評価、事故に関わる船の
取り扱い方法、流出油の拡散の予測、汚染対抗策の決定についての協議や支援に最善を尽
くさなくてはならない。
4.5.3
SSU の現場作業を効果的に実行するため、KNMPA 長官は宿泊施設や食事を提供
し、協議にかかる費用を支払わなければならない。
4.6
除去作業員の衛生と安全
4.6.1 労働部は KNMPA 長官及び地方政府の長に、除去作業員の安全と衛生に関するデ
ータやガイドラインを提供し、現場での安全性を監督し、協力しなければならない。
4.6.2 汚染エリアを管轄する市長、知事、また群・区の長は、必要であれば現場における
医療サービスの提供や、負傷した作業員の撤退などについて協力をしなければならない。
4.7
海上での安全と危険性回避行動
4.7.1 海上での安全確保のため、海洋水産部大臣及び KNMPA 長官は、以下のような場
合において、船舶の移動、航海の禁止、漁業活動の禁止など適切な対応をしなければなら
ない。
a)汚染事故を原因とする被害が更に甚大なものとなる可能性がある場合
b)船舶航行や水産活動が除去作業の妨げとなる場合
4.7.2 海洋水産部大臣及び KNMPA 長官は、船舶の衝突や汚染に伴う火災の場合、海上
の安全性を確保するために必要な行動をとらなければならない。
4.8
漁場、養殖場の保護、野生生物の救済
4.8.1 漁場や養殖場が流出油によって汚染された、もしくはその可能性がある場合、海洋
水産部大臣、地方政府の長は、漁場・養殖場の保護と復興に必要な行動をとらなければな
らない。
4.8.2 野生生物が流出油による被害を受けている場合、環境部大臣、地方政府の長は以下
99
のような救済策を実行しなければならない。
a)油にまみれた生物の洗浄
b)油の付着によって引き起こされる病気の予防
c)回復までの飼育
4.9
除去作業の記録と文書保持
4.9.1 除去作業に携わった関連機関及び地方政府の長は、除去作業費用の請求準備のため、
作業に関連する以下の事柄について記録を保持しなければならない。
a)除去作業の位置、動員した人員・機材、消費した物資
b)サンプルの分析、保管、回収と、観測を行ってきた環境被害に関連するデータの保
持
c)犠牲となった野生生物に関する証拠、写真、現場レポートなど資料
d)その他、除去作業に関連する記録・文書の保持
4.9.2 除去作業に携わった関連機関、地方政府の長は、同類の事故の再発防止のため、そ
して油汚染事故が発生した場合その対応として一般的な知識を蓄えておくため、事故原因、
汚染状態、対応策などの報告書や記録を保持しなければならなない。
4.10
情報公開
4.10.1
汚染対応策本部が設立された後、その本部長は広報担当官(PIO)を任命し、プレス
対応のため個別の場所と通信システムを提供しなければならない。
4.10.2
PIO はプレスに対し、汚染事故の状況、進行中の対策、その他汚染対抗作業につ
いて定期的に情報を公開し、船舶航行や近隣住民の安全を確保し、除去作業の促進に努め
なければならない。
5
補足的項目
5.1
事故後の管理
5.1.1 除去作業終了後、必要であれば海洋水産部大臣は、体系的かつ継続的に、環境変化
の過程のモニタリング、事故が海洋エコシステム、漁場環境、水質その他に与えた影響と
被害の調査を行い、その結果に基づき適切な改善策を取らなくはならない。
5.1.2
除去作業終了後、必要であれば、環境部、地方政府の長は、体系的かつ継続的に、
環境変化の過程のモニタリング、事故が野生生物に与えた影響と被害の調査を行い、その
100
結果に基づき、保護と管理の基本的構想を策定しなければならない。
5.2
調査、研究、技術開発
海洋水産部大臣、KNMPA 委員長は、必要であれば、関連の研究機関や産業のス
タッフと協力して、汚染事故防止、油流出対応、及び海洋環境保護に関する調査、研究、
技術開発を促進しなければならない。
5.3
法制定の手続きと計画の修正
5.3.1 国家緊急時計画は、海洋汚染対応策委員会の検討・審議の後、閣僚会議によって承
認を受けて策定されているものである。この計画の修正は、同様に海洋汚染対応策委員会
の検討・審議の結果、行われるものである。
5.3.2 政府は、必要であれば、継続して計画の検討、修正を行わなければならない。
101
別紙3(4)ロシア連邦
ロシア連邦
海上における油流出への準備と対応緊急時計画
2003 年採択
ロシア連邦海上における油流出への準備と対応緊急時計画は、ロシア連邦交通省
の指示に基づき策定され、2003 年、交通省、自然資源省、市民防衛省により採択された。
1. 一般的規定
1.1
ロシア連邦海上における油流出への準備と対応緊急時計画は、「自然及技術的原因に
よる緊急事態から国民と領土への防衛に関する」連邦法に準じて策定され、ロシア連邦政
府は、1995 年 11 月5日付けで、第 1113 号「」を宣言した。
1.2 この計画は、海上重要地での油流出への対応における連邦最高執行部の行動手続きを
説明するものであり、2000 年8月 21 日第 613 号のロシア連邦政府の宣言をもって決定さ
れた。
1.3 計画は、海上での油流出の対応について、邦最高執行部の活動の調整、協力組織、特
に研修を受けた人員や他の方法、手段・資材、緊急事態発生における生物多様性の保護、
環境保護を目的としている。
1.4 海上での油流出対応活動の組織と実行は、交通省がロシア連邦海洋汚染管理、海難救
助・救済管理局(SMPCSRA)、及びその地域事務所を介して行う。
1.5 連邦、及び国境間近の海洋重要地における油流出による緊急事態の連邦最高執行部の
活動の調整は、ロシア連邦緊急事態の枠組み内において、ロシア Emercom が、緊急事態
への準備と対応、及び安全な消火活動に関する政府委員会を介して行われる。この基本定
款は、2003 年1月 14 日付けロシア連邦政府の第 11 号の宣言によって採択された。
102
海上の連邦国家内もしくは越境してくる油流出において、ロシア連邦政府の任命による緊
急事態への準備と対応及び消火活動の安全確保についての政府委員会(以降、
「委員会」と
称す)は、作業グループを- 油流出緊急事態期間中の活動管理連邦政府本部(FHOC)。召
集する。FHOC は、交通省の下、SMPCSRA の国家海上救難調整センター(SMRCC)
に設置する。
委員会メンバー及び連邦政府の責任機関からの代表者などが FHOC の構成メンバーとな
る。FHOC の会員やそその協力に関する条項については委員会の会議にて採択されなけれ
ばならない。
FHOC 海上における油の流失について推奨案についての作業を行い、それを採択した。委
員会はその案を採択しなければならない。
海上の油流出地域にて作業を実行するため、委員会には、FHOC メンバー及びロシア連邦
の各省庁専門家から作業チームを決定し現場に派遣する権利が与えられている。
1 .6. 海上での油流出緊急事態の対応活動中、連邦最高執行部は、支援のための資機材を動
員し、以下の責務を遂行する。
a) ロシア連邦の国内防衛省と緊急事態と自然災害対応省(ロシア Emercom):
-
海上での油流出緊急時における連邦最高執行部の活動調整及び計画を提出し承
認を受ける
-
独自に、または連邦政府の指示による、委員会招集の決定
-
海上油流出の緊急時の作業参加
-
油流出現場へ他流域や地域から OSR の資機材の配置のための移動(航空機で)
b)
ロシア連邦交通省(ロシア連邦運輸局)
-
流出対応作業計画の策定と 他の流域・地域からの資機材動因の必要性の決定;
-
他の流域・地域から流出現場へ OSR の資機材移動の提供(海上、河川、道路)
-
委員会で承認された初期対応活動の作業管理と作業計画の提供
-
流出油の移動の調査と予測への参画
SMPCSRA:
103
-
OSR 作業計画策定への参画;
-
OSR が必要とする船舶の提供;
-
流出現場への BASU 資機材移動の調整;
-
OSR の作業のについて直接的管理と実行
c) ロシア連邦自然資源省(ロシア MNR of Russia) :
-
OSR の作業計画策定の参画、海上の環境、自然資源への影響を最小限に留める。;
-
汚染者を発表し、必要書類を発行、汚染者に対し行政手段を執行する;
-
環境への被害の決定と補償請求
d)ロシア連邦国立水産委員会:
-
漁港、水産業組織の各管理局と、漁業関係機関との通信体制の構築と維持 ;
-
国立水産員海委員会の資機材の活動の動因と調和;
-
計画に準じて、他流域から人員・技術の移動についての提案作成;
-
OSR の方法と作業の選択への参画;
-
OSR の作業計画の策定への参画、環境と生物資源への影響の最小化のため;
-
油流出による生物資源への被害の特定;
-
事故原因の調査と発表への参画; 事故再発の可能性
- ロシア連邦気象環境観測局(Roshydromet)の予測に基づいて、生物資源への被
害の脅威の特定.
e) 連邦安全保障機関:
-
油の動向の調査と観測にむけて流出現場へ資機材の動因と移動の整備;
-
暫定海域、領海での航行地域で一時的な危機に対応するため定められた規則を管
理し、危険地域での警備の手配
-
排他的経済水域、もしくは利害関連(水産を含む)、海上事故について、汚染やそ
の脅威から国の沿岸を防衛するため、連邦政府の決定した方策の具体化
-
必要であれば、承認済みの方法に準じ、他国の救助チーム(部隊)に対し、ロシ
ア連邦との国境を超えての調査、救助の許可を与える;
-
1.7.
油流出による海上汚染の調査方法、環境、生物資源の被害からの回復への参画
油流出対応の間、海上での資機材を確保するため、次の各機関が動員を行う。
a) 連邦防衛省:
104
- OSR にむけたロシア連邦国防省の資機材の提供。及び油膜の調査は、ロシア連邦
大統領の決定によって行なわれる
-
油流出現場に防衛省の人員や資材を提供、派遣し復興作業を行う
-
適性の枠組み内において、ロシア連邦の領海に油対応を目的とした海外からの救
援部隊を受け入れる決定
b) 自然資源省:
-
事故原因と再発調査への参画;
-
油流出からの回復への手段選択への参加;
-
ロシア連邦気象環境観測局の予測を考慮した優先的保護地域への汚染の脅威の
評価
-
環境被害の見積もりへの参画及び被害からの復興への請求手続き
c) ロシア連邦衛生省国家非常時管理
-
流出油拡散エリアの調査
-
人の健康被害や生活環境に与える環境汚染の程度評価
d) ロシア連邦水文気象学・環境モニタリングサービス:
-
ロシア連邦気象環境観測局の各管轄部署の油流出地域における汚染状況の調査
への参画。沿岸地域を含める海洋環境からのサンプル採取と分析
-
油膜参画の予測
-
FHOC の短期及び長期予測。必要な水門気象学的情報、及び海上での油流出に
よる汚染状況に関するデータの準備
e) ロシア連邦鉱山・産業管理部(Gosgortechnadzor) :
-
各州の該当機関に指示、事故原因調査委員会メンバーを任命
-
事故の特殊な状況(事故の特性や派生が考えられる出来事)により、ロシア連邦鉱
山・産業管理部の委員会の基本的な決定を議長もしくは各州の委員会代表者に提
出する
- 事故原因について技術的調査の実行
1.8. 海上での油流出についての情報交換(通告)は、ロシア連邦政府 March 1997 年3月
24 日に制定された No.334「自然災害や産業災害の緊急状態からロシア連邦の国民及び領域
を防衛するための情報収集と共有の手続き」の法令、さらに 1994 年6月 14 日制定の No.598
105
「海洋環境汚染の報告手続きに関する指示書」に従って行われる(通信体制については、当
計画書の別紙7にその説明がある)。
1 .9. 政府機関の緊急事態、及び救助活動、部隊、さらに海上での油流出状況への対応に
ついての研修は、ロシア連邦政府1995年7月24日付けの第738号宣言で決定された「緊急事
態における国民防衛の分野における研修手順」にて行われる。
外国の捜索救助活動をも含め、年に一度は共同で応答活動を行うため、海上での油流出演
習、シミュレーション研修本部を設置するものとする。
このような研修は、ロシア連邦交通省(連邦運輸局)が準備、実行を行う。
1.10
油流出対応を目的とした、外国の資力と資材と協力した活動は、ロシア連邦が締約
した国際協定に基づいて行うものとする。
1.11. 海上における油流出への対応活動についてのロシア連邦締約した国際協定に続き、
作業遂行に関連する調整は、ロシア連邦交通省が行うものとする。
1.12. 組織重油流出、緊急事態への対応調整の資金は、油流出に対して責任を有する組織、
緊急事態にある地域の組織、連邦最高執行部、関連する予算、他に保険資金などから支払
われるものとする。
もし緊急事態に対応する資材に欠落や不足があった場合、ロシア連邦政府が定めた手続き
に従い政府準備金からの手配を行う。
2.
計画対象エリア
当計画書が対象とするエリアは、BASU や UASPTR など、以下の通りである。
2.1
バルト海 BASU
‐
フィンランド湾の海域
106
‐
2 .2
バルト海海域
ムルマンスク BASU
‐ バレンツ海海域、ホワイト海、カラ海、そして経度 1250E で東部から隔離さ
れたラプテヴス海の一部
2.3
極東 BASU
-
日本海海域、チュクチ海、西シベリア海、 そして経度 1250E で西部から隔
離されたラプテヴス海の一部
2.4
サハリン BASU
-
オホーツク海、ベーリング海、タタール海峡、ラペルザ海峡、太平洋、クリルス
キー島地域
2.5
北部- カスピ海 UASPTR
‐
2.6
カスピ海北部の海域
ノボロシスク Novorossiysk UASPTR
‐
黒海、アゾフ海の海域
BASU と UASPTR の作業エリアの境界線については、別紙1にその説明がある。
1.これらの地域はロシア連邦と探索や救援が適合する場所である*。その説明は法務省が
1995 年 7 月 28 日制定した No.917 の別紙 No.1「政府の各省庁、機関がロシア政府の海
上・領海で探索と救援を行う際の協力に関する手続き」にある。
* 注: バルト海、黒海、アゾフ海、カスピ海では、捜索の救援の地域は、ロシア連邦と関
係する EEC 国家とバルト海諸国との国境の画定が定められた後に決定する。
3.作業管理連邦本部
3.1.
FHOC 発動の決定は、GC ES の責任者が行う。
3.2.
FHOC 推奨委員
107
FHOC 指揮官
ロシア Emercom 副大臣
FHOC 副指揮官
交通省第一副大臣
SMPCSRA 所長
自然資源省副大臣
- ロシア連邦 Emercom 領土支援部部長
- ロシア州委員会の副議長
FHOC メンバー
承認参加メンバー:
- ロシア連邦国防省
- ロシア連邦自然資源省
- ロシア連邦保安局,
- ロシア連邦交通省
- ロシア連邦国家水産委員会
- SMPCSRA 副長官
‐ロシア連邦鉱山・産業管理部、厚生部
‐ロシア連邦気象専門学及び環境モニタリ
ング部
-ロシア Emercom の緊急時司令部
FHOC での作業は以下のように動員される。
a) ロシア連邦エネルギー省の代表者、及び油流出を発生させた製造、輸送、加工の各企業
からの代表者
6) 以下の項目についての専門家
‐
法律、国際法
‐
経済
‐
生態学
‐
水産資源、生息地、水産業の保護
‐
オイルフェンスの使用
‐ 油回収機材の使用
108
‐
水文気象学、気象予測
‐
油の拡散と動向、油のサンプル採取と分析
‐
海岸線保護、
‐
利用不可能な油を含んだ材質の処理、処分抹消
‐
空中査察
3.3. FHOC の任務
-
油流出についての情報収集と分析
-
OSR 対応戦略についての提案準備
-
OSR に、他地域、他流域から資機材を動員する必要性を予測し、油流出エリアへの派
遣の手配、SOSC を任命し、作業計画の承認する
-
油流出についての情報収集と計画の内容と実際の対応方法について、ロシア連邦への
報告、 地域 HOC へのデータ提出、どの国の海域で油流出が発生したか、また、近隣
諸国の海域、領域が汚染の脅威にあるかなどを、関連団体に報告する
-
緊急事態への予防と対応するため、OSR 資金的負担の見積もり、政府準備金から地方
自治体の予算から資金や物資の配分について政府への提案準備
-
OSR 作業の開始と、一時的停止についての決定
-
優先性の高い活動の中で決定された計画の管理と遂行
-
領海内において一時的に海域を閉鎖し、連邦政府関連機関によって行われる防衛目的の活
動実施時の権限の委譲
- 他の国からの支援を受ける要請の決定
- 作業指揮の遂行及び他地域から流出現場へ協力機関の資機材の派遣
- 油流出現場における地域 HOC との通信、及び情報交換の維持;
- 油流出現場における緊急事態、及び作業過程の体系的管理
-
OSR 化学的、及び生物的方法の製造、購入、その適応に関連する問題の解決
- 経費の会計帳簿への記録
- 必要であれば、OSR 作業について、専門家(コンサルタント)の招聘
- 作業の完了時に、報告書作成指示
-
OSR 作業の分析を準備
- 油流出への対応作業の過程についての情報を公開
109
3.4. FHOC には、各省庁に対し海上での油流出対策に必要とされる資機材を割り当てる権
限があり、ロシア政府に適宜報告しなければならない。
3.5. FHOC は ER の SR の枠組みにおいて、海岸線での緊急時における作業の指揮を行う。
3.6. FHOC は作業完了時に、以下の基本的内容について油流出対応の報告書を準備する。
‐
油流出の汚染源、周囲の環境、理由
‐
流出油の量と種類、汚染の特徴
‐
回収油と、水が混合した油の量
‐
各作業段階の期間と、全体的な作業期間
‐
技術的手段、作業に参加した人員、各人の雇用期間などのリスト
‐
作業過程に影響を与える気象・海象の状況
‐
作業中に発見された欠点もふくめ、技術的手段の評価
‐
他地域から動員された資機材の評価
‐
物資や資金について、経費、OSR が手配した資金源とその額についてのデータ、生物
資源やその他活動に与えた被害の推定
‐
油流出、海洋汚染に責任のある個人や法人、さらに有責法人・個人が取った対策
-
油流出の再発に備えて予防策の提案、油流出対応について更なる組織化の策定、不足
部分の解消などの結論
このリストの詳細については、当計画書の 4.4. 10 に説明がある。
3 .7. 以下の書類については、FHOC にその権利があるものとする。
a)
次の地域における 地域 OSR 計画 (北極地域西部、極東、サハリン、カスピ海北部、
黒海、バルト海)
b)
GC ER の要請に基づき – 危険性の高い地域に位置する石油生産・輸送産業の大企業
における油流出の計画(船舶運航の多い地域、地震の危険性の高い地域)
c) 各条約:1969 年「油流出惨事における公海での介入に関する国際条約」、1973 年「船
110
舶からの汚染の予防に関する国際条約」、その後 1978 年の議定書で修正(MARPOL 73/78)、
1990 年「油汚染の準備、対応、協力についての国際条約(OPRC 1 990)」、1992 年「対汚
染黒海保護条約(ブカレスト条約)」、1992 年「バルト海地域の海洋環境保護条約(ヘルシン
キ条約)」、1992 年「油汚染がもたらす被害についての民事責任に関する国際条約 (199 年
民事責任条約)」、1992 年「油汚染被害への補償のための国際資金構築の国際条約(1992 年
資金条約)」
d)
油流出についてロシア連邦と他国との国際協定(アメリカ、ノルウェー、フィンラン
ド)
e)
海上油流出対応や環境自然資源保護についてのロシア連邦の法律、規則
f) 海上油流出に関連する問題について、十分な協議が可能な機関、企業について、電話・
ファックス番号、住所など記載したリスト
g) 要請に基づき – 使用許可を受けている化学薬品(分散剤、燃焼剤、油吸着剤)
指示のあった書類については、ロシア交通省がその編集を行う。
3.8. FHOC メンバーへの通告、召集は、FHOC 指揮官の指示で、 CUCC が行う。召集場
所と時間は、FHOC 指揮官が決定する。
111
3 .9.FHOC メンバーの職務は以下の通りである。
FHOC メンバーの職務
FHOC でのポスト
職務内容
1
2
FHOC 指揮官
全般的管理。FHOC 発動、解散、他流域から油流出地点への資機材の移
ロシア Emercom 副大臣 動の開始などの決定。油流出対応計画の承認。ロシア政府や、一般との
通信。必要な場合、GC ER 発動についての提案。
FHOC 副指揮官
FHOC 発動とその活動を組織化。承認された作業計画に従って、作業の
ロシア交通省第一副大 管理。油流出の状況の確定、他流域、他地域からの資機材動員の必要性
の決定、
臣
FHOC 指揮官に FHOC 油流出作業計画を提供。他地域、他流域から流
出現場へ OSR の資機材の移動手段の手配(空、海・河川経由、自動車)
FHOC 副指揮官
連邦最高執行部との協力体制構築。責任受け持ち範囲、潜在的に汚染さ
Emercom ERD 所長
れる可能性のある海岸線の特定。交通省、Emercom、MOD、FSS、国
立水産委員会の資機材活用の調整。他の地域センターから Emercom の
人員や機材の移動の提案準備。
FHOC 副指揮官
OSR 作業の管理と実行の組織化。OSR の作業計画の策定。地域 HOC の
活動調整、BASU の資機材の現場への移動、船の手配。必要書類の記録
保持。FHCO 作業報告作成。流出現場の最高現場指揮官として任命を受
ける場合もある。
FHOC の副指揮官
ロシア MNR の特別海事検査部との通信の構築・維持。油流出の評価、
自然資源省副大臣
油流出対応策選択への参加。OSR における MNR 資機材の活用調整。事
故原因、事故再発可能性の検知・調査への参加。油流出による被害の測
定
FHOC の副指揮官
ロシア連邦の海事漁港、経済団体、魚場警備団体との通信の構築と維持。
ロシア水産魚場副議長
油流出の予測作業 OSR 手法の選択への参画。Roshydromet 予測による
海中の生物資源への脅威の評価。OSR における水産手法と資源に関する
各州の委員会の活動調整。他地域からの人員その他の技術的手法・資材
112
の移動に関する提案の準備。油流出による海生生物資源の損害予測への
参加。事故原因、再発の可能性の検知・調査への参加。
FHOC 永久会員
保護優先エリアへの汚染の脅威の予測。
OSR 手法決定への参画及び OSR
の実行・完了に関して生態系の安全規定の的確な観測の管理。
1
2
ロシア MNR の代表
油流出が引き起こす損害の予測作業の組織化及び汚染者への損害賠償に
関する書類準備。OSR の作業の状況次第で油分散材適応の意思決定への
参加。海上での油流出に責任のある法人組織及び個人に対する行政処分
に関する書類準備
ロシア連邦防衛省
ロシア連邦防衛省の手法、資材(海軍)を活用する場合、MOD 手法と資
調整官
材(海軍、輸送飛行、ヘリコプター、航空機)の活用の調整。 油亜流出対
応のための海外救助隊の受け入れに関する提案準備。
ロシア FBG
地域の FGB の海上での油流出対応における手法・資材(船舶、カッター
船、大型船、航空機、沿岸除去チーム)の能力評価。油除去チームの国境
越えに関する意思決定、さらにロシア FBG の関連する決定事項の草案
の策定への参画
ロシア連邦運輸局
資材等の流出現場までの輸送のための飛行手段の提供
ロシア水産委員会
水産経済用途の船舶を OSR 用の船舶として動員することについての選
択と同意。分散剤や OSR 終了について現場での意思決定への参画。油
流出による損害の予測作業の組織化及び汚染者に対する生物資源への損
害請求に関する書類準備。
SMPCSRA 副長官
油流出現場における損害及び汚染の特性についての情報収集。動員した
資材のリストとその数の確定。作業計画の取りまとめ
ロシア厚生省
油拡散の調査への参画、油流出が人の福祉や健康にもたらす影響評価
Gossanepidnadzor 部
Roshydromet
全流出地域での汚染レベル調査への参加。沿岸地域をふくめ海洋環境調
査のサンプリングと分析。油流出に関する情報収集、油膜の移動予測、
油流出現場における水文学的状態についての既存及び予測情報
113
ロシア Emercom
通知、通信の手配及び情報収集。作業計画策定への参画
CDRD
各油流出が発生した機関の代表者は一時的に FHOC に参加することとなる。施設について
の情報を提供し、 作業計画の立案に参加し、OSR の費用の補償に関する問題の解決に協
力しなければならない。
3.10. 海上・沿岸における OSR の直接指導のため、FHOC 指揮官は、作業指揮者 (CO) を
任命し、現場へと派遣する。現場に到着次第、CO は以下の作業を行わなければならない。
-
資材・人員の動員などの直接指示
-
現状のデータによる判断をし、FHOC へ追加的人員と資材の要求
-
油流出の汚染状況と復興作業について FHOC 指揮官への報告
3.11. FHOC メンバー不在(休暇、病欠、出張など)の場合、そのメンバーの任務は、メンバ
ーが本来所属している組織からの代理人によって遂行される。
3 . 1 2. 対応作業の過程での公式発表は、FHOC 指揮官がマスメディア対応の連絡担当官
を任命して行う。
4.油流出対応の段階的作業
4.1
第1段階
通告手続き及び通信
4.1.1. 油流出に関する通信手続きは、ロシア連邦司法部が登録した 1994 年6月 14 日付け
第 598 番、《海洋環境汚染に関する報告手続きに関する指示》に明記されている。
すでに同意されている国際的慣行に従って、次のような場合における、海上船舶の船長や
航空パイロット、海上施設の管理者、ロシア連邦の排他的経済水域のほか、中間海域、お
よび領海にある外国船の船長などの義務に基づき、報告に関する一般的な考え。
‐船舶やその他の施設から油やその他危険物質が流出する、またはその可能性が
114
ある事故;
‐他の船舶や施設から、国際・国内の規定を違反して油その他危険物質の流出を
検知した場合;
‐海上で油その他危険物質の漂流を発見した場合。
4.1.2. 船舶からの報告は MRCC (海難救助調整センター) または MRSC (海難救助サブセ
ンター) に送られる。
さらに船舶からの報告は、船舶に関わる組織‐船舶所有社、用船主、 P&I 保険会社など
にも送信される。
民間航空機からの報告は、航空交通管制官にも伝えられる。
4.1.3. MRCC 航空交通管制官は、受け取った油流出の報告について、ロシア MNR、
SMPCSRA、Emercom の地域ユニット 、関連するロシア水産委員会の水産保護団体部に
報告を行う。
4.1.4. 大規模な油流失の状態が、連邦政府にまた国境においても緊急であると判断された
場合、地域 HOC は、FHOC に支援要請を行う準備しなければならない。
4.1.5. 油流出に関するあらゆる報告は、遅れることなく通告されなければならない。
4.1.6. OSR の作業は、以下のような通信手段と共に提供されなければならない。
a) ラジオ、電話、ファクスなどによる「緊急」と記した、ロシア連邦運輸局の行
政間通信システム;
b) ロシア連邦運輸局の港湾有線通信
c) ロシア連邦通信省の電話、テレグラフなどのネットワーク- 都市間、長距離、
国際通信、「緊急」などのような特別なパスワードの活用
d) 航空機・ヘリコプターと船舶間の UHF 通信。周波数は 130,0 MHz;
e) 衛星通信
115
4.2. 第2段階
初期評価と OSR 作業の開始
4.2.1 ロシア CDRD Emercom の情報に基づき、Emercom 大臣は、GC ES の発動を決
定する。
4.2.2. 油流出の発生や検知や、支援のための地域的 HOC の適応に関する報告に基づき、
CDRD Emercom を経由して FHOC 指揮官が受け取った情報を確認し、汚染の種類と程度、
汚染源、ヒトや環境への脅威、OSR の事故処理機材や地域 HOC の能力を決定する。
4.2.3. 油流出データを確定するため、油流出地点への調査作業に関する通信の作業フロー
を組織化する。
油流出地点の調査は、HOC が発行した関連文書(プロトコール、ファクシミリ、及び他の
チャート、基本構想 、写真など)によって支援されるものである。HOC は、FHOC が作
業立案するため、または OSR 作業に活用するため、その文書を提出する。
4.2.4. FHOC は最寄の水文気象センターに連絡し、油流出地点での現天候と、今後6、12、
24、48 時間の天気予報について問い合わせる。
4.2.5. 油膜の拡散と動向についての分析に基づき、FHOC は、作業計画策定、優先活動、
OSR 作業の開始のを決定し、支援機関、関連機関には適宜連絡を行う。
4.2.6. 同時に、汚染報告を受け取ったら直ちに、第一ストライク・チームを油流出地点に
派遣し、油膜の拡散が早い限り、またいかなる遅延も、OSR 作業の効果を大幅に減少さ
せることになる。
4.2.7. 油膜の動向のシステムとその変化については、油流出についての第一報告を受け取
った後、海岸と脆弱エリアの保護の必要性を評価するため、即座に作業に取り入れなけれ
ばならない。
116
4.3. 第3段階
封じ込め、回収、及び回収油の処理
4.3.1. FHOC メンバーは、各機関の機能に合わせて、油流出対応の組織化に取り掛からな
ければならない (3.9 参照)。
4.3.2. 油流出対応に関する作業計画や行動計画は、以下について、それらを確保しなけれ
ばならない。
a) 協力機関の人員や技術的資力の動員(航空機やヘリコプター、船舶、天候がよ
ければ ETA を油流出地点に派遣するなど);
b) OSR の技術力の支援(船舶や、ETA,など)
c) 油流出地点での消化作業の規則の遵守(消火作業の安全性を支えるに必要な船
舶や ETA など) ;
d) OSR 作業方法
e) 回収油の処理方法
4.3.3. 油流出地点に送られたあらゆる資機材も地域 HOC、もしくは地点に到着した
FHOC 作業指揮官 (CO) の作業指揮の下にある。地域 HOC の指揮の下にある協力機関の
船舶については、別紙3の表1、2に記載されている(もし緊急状態の作業にある場合、
OSR 作業に動員された機関の視力・資材は、HOC の 111PO 指揮官許可の許可をもって、
油流出現場に戻ることができる)。
4.3. 第4段階
書類準備、費用の予測、報告
4.4.1. 最初に油流出を発見した時点か、船舶、ブイ、及び技術的手段の解除し、通常の状
態に戻るまで、あらゆる出来事は航海記録や FHOC の記録に残さなければならない。
4.4.2. HOC はその後の分析や OSR の作業評価に必要となる出来事、気象状況の記録作業
過程、その他のデータを残す責任者を任命しなければならない。
4.4.3. 費用見積もりのため、油流出作業に関連して、文書による証拠を揃えなければなら
117
ない。証拠としては最低でも以下のものが必要である。
-
油流出の発生源、周囲の状況に関するデータ。データ元の信用性についてもしな
ければならない。
-
汚染者もしくは汚染者と思われる者についてのデータ(可能であれば)
-
汚染者もしくは汚染者と思われる者の行動についての説明と評価
-
油流出の結果、人体の健康や福祉、環境、経済、海洋性生物資源やその居住地に
及ぼす危険性(仮説的危険性)についての説明
-
OSR の作業に動員された視力・資材のリスト。動員期間と常駐している場所か
らそこに帰還するまでの総合的時間を明示すること
-
OSR 作業に掛かった全費用に関する一般的データ
4.4.4. 揃えられた各文書は、ロシア連邦の環境保護関連に特別に許可された部署にも提出
しなければならない。
4.4.5. 2002 年 1 月 10 日に制定された連邦法第 111 章 No7FZ「環境保護法」
(No7FZ 法と
する) の第 15 項、16 項に準拠して、環境への悪影響は補償されなければならない。
この悪影響への補償の支払いは、法律に定められた 方法で行わなければならない。支払い
方法、掛かる費用の見積もり、回収は、ロシア連邦法に明記されている方法で行う。経済
的、または環境に悪影響を及ぼす活動を行った法人や民間企業は、法律が定める環境保護
に関する取り決めに則り計画、実行しなければならない。
4.4.6. No.7FZ 第 XIV 章第 75 項及び 77 項に準拠して環境保護法への違法行為は、法律に
則り、財産的処分、懲罰、行政処分、刑事処分などを受ける。環境の汚染、消耗、破壊、
自然資源の不合理な利用、自然の生態系、景観劣化・破壊、その他環境保護法の違反行為
などで、環境への損害を引き起こした法人・民間企業は、法に則り完全なる補償を行わな
ければならない。経済的その他の活動の主体が引き起こした環境への損害は、法的課税や
正当な方法による見積もりに則って補償されなければならない。そうでない場合は、回復
にかかった実費に実損害や利益損失を考慮した金額とする。
118
4.4.7. 環境保護法への違反行為で引き起こされた環境への損害の補償の手続きは、No.7FZ
の第 XIV 条第 78 項に則って行われる。
環境保護法への違反行為で引き起こされた環境への損害の補償は、任意で、または裁判判
決もしく調停の決定により行う。
環境保護法違反による損害の見積もりは、被害を受けた環境の回復にかかった実費に実損
害や利益損失を考慮して行う。 そうでない場合は、環境保護分野の有責組織の承認の下、
環境被害の課税や予測に従った再開発やその他の回復計画などに則って行う。
裁判判決及び調停による環境保護法違反による環境への損害は、回復作業の計画に則り被
告側に回復への費用の支払いを命ずることでその補償を行う。環境保護法の違反行為で引
き起こされた環境被害への補償請求は、20 年の期間内に行わなければならない。
4.4.8. OSR 作業への資金は、1994年ロシア連邦政府 1994 年8月 26 日に制定された「緊
急時の予防及び対策について企業、建設業界、運送業界における資金調達に関する法律」、
及び 1995 年 11 月5日制定の No.113「緊急事態への予防及び対応に関する統一国家体制」
の法令に則って行われる (前者の法律のパラグラフ 2, 20, 21, 22, 24)。油流出対策作業実
行のため、連邦準備金や油流出の被害を受けている地域の行政機関の予算や資材や資金源
なども、適宜活用すること。
4.4.9. 作業が終了次第 30 日以内に (もしくはそれより短い期間以内に) 、FHOC は OSR
作業の経過及び結果の報告書を手配しなければならない。その報告書はロシア連邦政府に
も提出されなければならない。
4.4. 10. 報告書には以下の事柄についての記載が必要とする。
1) 一連の出来事を時系列で説明すること。周囲の状況及び油流出の原因、初期状況、
協力機関の活動、油処理作業の体制、沿岸地帯での除去チームや資材の活用につ
いても含めること。
2) 油流出による自然資源、レクレーション地域、経済的施設への影響。損害の評価
119
を必ず付けること。
3) 今後考えられうる被害の軽減を目的とした活動の提案
4) 用いられた資力の効率や人員、リーダーなどの手配についてなど協力機関の責任
分野についての詳細な分析と供に、対油流出汚染と回復活動の効率性の評価
5) FHOC の指導の評価及び現場監督者要求への対応について
6) 技術的及び組織的な問題点で、解決、協議、提案を必要とするもの。全段階、技
術、作業マニュアル、その他 OSR を規定する文書について緊急時計画の更新に
関する提案を含む
7) 油流出に関するデータ、OSR 作業の初期段階・際集段階の意思決定
8) 活動期間における FHOC メンバー及び作業グループのメンバーの作業評価
9) 現場全てにおいて、FHOC が協力部隊に出した任務、及び各活動の評価
10)油流出緊急時計画で計画されている資機材の動員の効率と実際に行動が開始で
きるまでの手配に必要な時間評価。
11 ) 油流出の通知の時点から対応作業終了に至るまで、協力機関との通信の評価;
12) 油流出対応作業終了後の残留汚染のレベル。協力機関が油流出対応作業にかか
った経費、予防できた損害の評価、さらに生物学的資源が受けた損害の補償にか
かる費用(確定額)
13) 油流出対策の作業に参加した公的機関及び市民の評価
14) OSR の作業を取り扱ったメディアについて
15) 協力組織に対し流出現場で FHOC が「何もするな」という命令をした場合に発
生が予想される生態的、社会的、その他の損害。
16) 海上汚染者の摘発の方法及び行政処分の方法。油流出が引き起こした損害への
補償方法
17) 技術的機器の状態、既存の規則や規定に従い各機材を手配するにあたり、指揮
機関から出された指示の効用性、産業の安全性に関する規則の違反の事例
4.4.11. 報告書の他に、FHOC は少なくとも以下に挙げる課題についての提案を行わなけ
ればならない。
-
同様の事故の再発予防
-
油対応活動の改善
120
-
油流出緊急時計画の適切な更新
-
OSR 機材の開発、更新及び海外の事例なども含め古い機材、機器、船舶刷新の提案、
さらにこれに掛かる資金、除去チームへの追加的供給物への資金についても明記する
こと
4.4. 他国や国際機関からの資機材の要請
4.5.1. 大規模な油流出の場合、ロシア連邦は、汚染の越境性に関する国際条約、1973 年に
制定され 1978 年に改定された船舶からの汚染防止法の規定、油流出への予防と協力に関
する規定、公開での油流出に関連する事件への介入、さらにバルト海、黒海保護について
の地域協、海上での油流出時における支援提供に関するアメリカ、ノルウェー、フィンラ
ンドとの政府間協定などに従い、油流出場所の近隣諸国に通達しなければならない。
4.5.2. 油流出現場に最も近い国、IMO 事務局、HELCOM 事務局、黒海委員会事務局への
通知は、油流出の報告を受けた後、二国間協定もしくは多国間協定に定められた手続きを
もって SMPCSRA が行う。もしそのような協定が定められていない場合、流出に関する
情報は、Emercom への報告と共にロシア連邦運輸局が定める方法を基本としてロシア連
邦外務省が行う。
4.5.3. ロシア連邦と OSR についての二国間協定のある国に対しての支援の要請は、
SMPCSRA が協定で定められた方法で行う。二国間協定のない国への支援要請は、ロシア
連邦外務省が、ロシア連邦運輸局の定める方法に基づいて行う。
4.5.4. OPRC1990 の定めにより海外から提供された OSR の資機材は、1993 年6月 18 日
に制定された連邦国家通関法に則って活用される。
4.5.5. 機材や人員の配置については、事故をおこした施設作業実施計画に則って行う。
4.5.6. 海外から動員した資機材の費用の支払いは、当計画書のパラグラフ 4.4.8 に従って
行う。
121
5. 計画の要素、実行、訓練
5.1. 各州の油流出の対策のため、除去チームの特殊訓練や流出対策の実行などを行わなけ
ればならない。この訓練は、ロシア政府防衛省が 1995 年7月 24 日定めた No.738「緊急
事態への対応策における人員訓練に関する法律」に明記されている方法に則って行われる。
訓練には、机上でのシミュレーションによる訓練や通信及び協力体制について演習を行う。
5.2.
外国からの捜索救助隊も含め、協力参加者の共同研修を目的として、年に1回以上、
海上油流出について、机上での研修を行う。
そのような演習を立案・実行は、ロシア連邦運輸局が行う。
5 .3. 演習案 は前もって十分、承認を得なければならない。しかし全員参加の演習 1 ヶ月
以内より遅くなってはいけない。
5.4.
協力する全機関は、毎年、
(1 月1日までに)SMPCSRA に、資機材や電話番号など、
最新のものに保つため、リストのデータの変更を提出しなければならない。
122
別紙4
NOWPAP 汚染報告書
(NOWPAP POLREPs)
123
別紙4
海洋汚染事故報告書
(初期報告用書式)
AA.事故日時
BB.位置(緯度、経度)
(ノースアップ、目印からの距離)
CC.事故の概要
DD.船の仔細
(1)(船の名前/登録港/所有者/機関)
(2)(タイプ/G.T/ドラフト)
(3)(乗務員数/国籍)
(4)(船荷の種類/量/所有者)
(5)(貨物の種類と量/燃料油)
(6)(P&I/その他保険)
EE. 汚染の概要
(1) (流出油のタイプ) :
(2) (量的評価) :
FF. 天候・海象についての概要 (月、日、時間ごとに)
(1) (天候) : 風、雲
(2) (風向/風力) :
(3) (潮/波高/波の隆起) :
(4) (気温/水温) :
(5) (可視の程度) :
GG. その他
124
海洋汚染事故報告書
(中間報告用書式)
AA. 報告日時
BB.
流出状況
(1)(流出油のタイプ/量)
(2)(シルの連続性)
(3)(流出油の拡散/漂流)
CC. 天候と海象についての概要
(1)(天候)
(2)(風向/風力)
(3)(潮流/波高)
(4)(大気温/波温度)
(5)(可視の程度)
DD. 除去作業についての概要
EE.
その他
125
別紙 5
油流出報告のガイドライン
上空観測について
126
別紙5
油流出報告のガイドライン – 上空観測について
1. はじめに
油流出の上空観測はヘリコプターや固定翼機などによってを行う。この観測には高性
能のリモートセンシング機材を使用するのもよいが、視覚による上空観測は、海上や海岸にある
油汚染の評価をする最も便利な方法である。適切に行われれば、重要な兆候が発見でき、次のよ
うな重要な特性が発見されうる。
●
汚染範囲(完全に表面を覆った状態、もしくは一部を覆った状態)
●
汚染の進展とその後の展開
●
浮遊油の量
●
脅威の評価
●
適切な戦略技術の選定
● 講じた策の効果についての評価
●
被害額の査定
多くの場合、この上空観察は、この種の活動(パイロット、写真家、航空士)の研修を
受けていない人員にて行われており、その結果、信頼性に欠ける不正確な報告となることがある。
観測者が提供する情報について、汚染対策に責任を有する担当局が使用するに足るほどの正確さ
と定量化の可能性を確保するため、観測者に一連の基本的指示を整備し、報告書で用いる用語の
標準化が行われている。
この別紙の目的は、以下の事柄について、非専門の観測者に指示を与えることである。
● 何を探すべきか
● どのように汚染場所を示すか
● どのように汚染を観測、説明、報告するか
● どのように追加的処理のための情報を準備するか
127
2. 上空観測任務の態勢
● 油流出の上空査察に選定される航空機(ヘリコプター、または固定翼)には、全方位に良好な
視界が確保できるものであること。
●
海岸の近くでの任務にはヘリコプターがより望ましい。一方、固定翼機は、海洋上で、より
速く広範囲に及ぶ任務遂行が可能である。
● 乗組員と観測者の安全は、他のすべての問題より常に優先的に配慮がなされなければならな
い。したがって、遠隔地の海上での任務には複数エンジン(少なくとも2台)搭載の航空機を用い
ること。
● 汚染の探索にかかる時間をできるだけ短縮するために、飛行計画を事前に準備しなければな
らない。
● 観測者には海域の海図を提供しなければならない。より正確に位置付けし、報告するため、
例えば1海里のグリッド線を書き込むなどするのがよい。
● 風方を横切る「はしご探索」(以下に説明あり)は、流出油が発見されうる海域の調査に最も
効率的な方法であると考えられている。 油の動向予測が本質的にそれほど正確であるとはいえ
ない、大きな海域にわたる油の探索は、組織的に行うのが望ましい。結果的に、油はより長距離
において、または計算予測されたものと異なった方向にて発見されることもある。
右に示すように、油がAの位置からBの位置まで移動するのは、潮の流れを100%と、風
速3%をあわせ、3日後と予測される。Aからの伸びる3つの矢印は、1日における潮、風、及び
油の流れ表す。風を横切るはしご探索のパターンはBの位置にまで渡って表わされている。
はしご探索:通常、大きな海域にわたって油の存・不在を確かめるには、上空観測を系統的に計
画するのことが必要となる。「はしご探索」は、エリア調査に最も経済的な方法として頻繁に使
用されている。探索の計画時に、視認性、高度、フライト時間の予測、および燃料使用に細心の
注意を要する。浮遊する油には、細長く、風の方向に平行になり、通常30-50m程度に、長く細
く連なる「干し草の列」のように流れる傾向がある。油の検知の可能性を上げるには、卓越風の
方向に横切って、はしご探索を行うのが良いと思われる。
128
国際タンカー船主汚染防止連合会の「海洋上の油流出対応」(1987 年)より。
● 視認性が良好 (天候が良好) な場合、望ましい高度は約 500m。しかし一旦発見した油をさ
らによく見るためには、高度を下げる必要がある(200m以下)。
● 発見した油の位置を決定付けるため、観測者は航空機器を使用しなければならない。特に油
が海岸や海岸の参照地点から遠く離れて発見された場合、機器が必要となる。
● 観測者と航空機のパイロットとの間の通信を安定させるために、ヘッドセットの着用が強く
勧められる。
●太陽光の具合によっては、サングラス(できれば偏光レンズのもの)が役立つ。
3. 油流出の様子
海上に流出した油は、膜を形成し、風や潮によって漂流し、結果的により小さな膜と
なり(パッチ状油と呼ぶ)、通常、ツヤの弱いところで分かれて、散在し始め、時間と供に大き
く広がる。風向が変化すると、海岸に打ち上げられた油が再び海洋に流れだすこともある。あ
る程度の時間、海上で漂流した後、通常、原油や重量のある石油製品は、油中水乳剤(チョコレ
ート・ムースの様な)を形成する。この状態で体積や粘度は増加し色も変化する。油やこの乳剤
は海草やごみに混在することもある。
油は海上で浮流している状態で、その形態から大きく3つに分類される:
● 軽量な石油精製品(ガソリン、灯油)。 海面に大きく均一に拡散し、揮発性が高く、急速に
自然に分散していく。しばしば、2,3 日で完全に消えてしまうこともある。弱く光る。
● 重い石油精製品(燃料番号6番、商業船舶に使用されるほとんどの燃料)。 粘度が高く、拡
散はそれほど早くない。また自然に消失することもない。黒っぽい厚みのあるパッチ状となり、
ツヤが弱いところで分かれる。乳化する可能性あり。
● 原油。その特徴と動向はそれぞれのタイプと原産に大きく依存する。通常、ツヤの弱めのと
ころで急速に分かれ、色が濃く厚みのあるパッチ状態になる。重油は多くの場合 24-48 時間で
乳化する。
129
● 一般的に、油膜の厚い部分は色が濃く、中程度のものは青、または玉虫色(虹色)であり、 最
も薄い部分はグレーや銀色に見える。
ツヤは少量の油にも見られるが、油汚染を最も視認しやすい証拠である。厚いパッチ
状油は、汚染地域においてツヤ(銀、グレー、玉虫色)で覆われた中央部の風上にてよく発見さ
れる。
厚みのあるパッチは、大量の油の現れである。通常、汚染の初期段階では、黒や
濃い茶色であるが、一旦乳化すると、茶色、赤、オレンジ、黄色のパッチ状とな
る。
130
表1は、油膜の外観(色)と、表面積1単位(km2)にあたりの油膜が含む油(m3)のお
およその厚さと体積との関係を示す。
漂流油の外観は、油の内容、太陽線の強さと角度、波浪、水温、眼高、個人差などの
多くの要素による。以下に、目安として例を挙げるが、国によっては、海表面での油の状況を特
定するのに各々の評価基準を使用することもある。
表1: 外観/厚さ/海表面における油の体積
厚さ(um)
体積(m3/km2)
ツヤのある銀色
0.02-0.05
0
ツヤのある灰色
0.1
0.1
ツヤのある玉虫(虹)色
0.3
0.3
青
1.0
1
青/茶
5.0
5
茶/黒
15-25
15-25
濃い茶色/黒
>100
>100
茶/赤/オレンジ/黄色のムース状
>1mm
外観/色
(1993 年ボン条約「海上油汚染についてのマニュアル: 船からの流出の証拠の確保」より)
* 海表面における油の外観、厚さ、体積に関する日本基準
厚さ(um)
量(m3/krn2)
クラス
ツヤのある銀色
0.1
0.1
E
ツヤのある灰色
0.15
0.15
D
ツヤのある玉虫(虹)色
0.3
0.3
C
黄褐色/くすんだ茶
>1.0
>1
B
濃い茶色/黒
>2.0
>2
A
外観/色
注: 1km2あたりの油の体積は海を覆うパッチ状油の状態による:上記の数値は、実際にはありえない
100%覆われている状態を想定したものである。
131
4 汚染の説明
報告書に生じる差異を防ぐために、汚染事故の間で終始一貫して同じ観測者が任務に
携わるのが望ましい。しかしこれが可能でなければ、観測者には、油流出の報告書(状況説明)
には以下の単語を用いるよう指導しなければならない。
a) ツヤ:
"弱いツヤ"
– 海表面が銀色の弱いツヤで覆われている。太陽光の状態によって
はほとんど見えない。
"ツヤ”
– 銀色や灰色のツヤが海表面に一様に広がっている。厚みのあるパ
ッチ状油はない。
"強いツヤ"
– 海が完全に灰色のツヤを帯びた油に覆われている。時折、虹色(玉
虫色)に見える。厚みのあるパッチ状油はなし。
b) パッチ状油:
"小さなパッチ状" - 1m2 以下。上空からはほとんど目視不可。 色は、青・茶色か
ら黒。
"中程度のパッチ状" - 10-100 m2。上空から視認可能。色は青、茶、黒。
"大きなパッチ状" -
100 m2 以上に広がる油膜。はっきり視認可能。色は青、茶、
黒。
どのくらいの割合で海が油で覆われているかを決定するために、観測者は油膜の説明
は、以下のように行う。
"散在"
- 海が覆われている程度は1~2%
"軽度の密集状態" - 海が覆われている程度は5%まで
"密集"
- 海が覆われている程度は 20%まで
132
"非常な密集状態" - 海が覆われている程度が 20%以上
油で覆われた海の割合をできる限り正確に評価するために、海表面を垂直に見て、航空
機を一定のスピードに保ち(記録しておくこと)、油のそれぞれのタイプ(ツヤ、パッチ状、ムー
ス状)について、その上空の飛行時間を計り、観測飛行終了後記録に基づいて計算を行う。
大きなパッチについては、単独で報告を要する。報告内容は、パッチ状の色と、濃い
色のパッチ状周辺にあるツヤ(虹色の輝き)の状況についての情報(説明)である。 特にチョ
コレートムースの存在を示唆する、茶色っぽい/赤/オレンジ/黄の色を発見することに細心の注
意を要する(乳剤が存在するとある種のスキマーや分散剤が効かない場合があるため、色の判断
は対応技術を選定するに重要である)。
できれば、カラー写真や赤外線の白黒写真、スライド、またはビデオなどで各報
告書を補足するのがよい。
5. その他
● 風下では、油の90%までが、油膜で覆われた海表面の10%に集中することがある。この現象
は冷たい海上や気象条件でより顕著である。
● 20ノット以上の強風により、油膜の列がばらばらになることがある。
● 玉虫色の状態(帯状で虹色の油)の存在が見られない場合、概して、油膜の風化や乳剤の形成
を示している。
● 観察者と太陽の位置によって、油膜の外観は変化する。 疑いがある場合、観測内容を確かめ
るため、異なった方向で何度か飛行を行ってみるのがよい。
● ある現象(雲の影、海面の藻・海草の影、海底の浮遊堆積物)を油膜に間違えることがある。
疑いがある場合は、観測者はその疑わしげな場所での追加的観測を要請するのがよい。
133
● 非常に強い嵐(6を参照)の間は、大きな汚染さえ発見が難しく、天候がいったん落ち着いた
ときのみ視認可能となる場合がる(注:そのような状況では、大きなマルチ・エンジンの航空機
のみが使用可能である)。
6. 気象条件
気象の影響は、流出油に実際に対応する場合と同様に、観測にも決定的な要因である。
表2、3、4は風力(ボーフォート風力階級)、海況、および雲の状態について、それぞれ標準階級
を示しており、観測者が観測地の気象状況を説明する際に用いるべきものである。
表2:ビューフォート風力階級
記述用語
ビューフォート数
風速の上限
予測される平均的波高
(単位:m)
ノット
in m/sec
静かな
0
<1
0-0.2
-
至軽風
1
1-3
0.5- 1.5
0.1
軽風
2
4-6
1.6-3.3
0.2
軟風
3
7-10
3.5-5.4
0.6
和風
4
11-16
5.5-7.9
1.0
疾風
5
17-21
8- 10.7
2.0
雄風
6
22-27
10.8-13.8
3.0
強風
7
28-33
13.9-17.1
4.0
強風
8
34-40
l7.2-20.7
5.5
大強風
9
41-47
20.8-24.4
7.0
嵐
10
48-55
24.5-28.4
9.0
大風
11
56-63
28.5-32.6
11.5
ハリケーン
12
64-+
32.7-+
>14
* これは陸地から離れた海上におけるおおよその風力を示すガイドである。
134
表 3:風浪階級
記述用語
風浪階級
波高(単位:m)
穏やか(凪)
0
0
穏やか(浪打つ状態)
1
0-0.1
滑らか(さざ波)
2
0.1-0.5
軽度
3
0.5-1.25
中程度
4
1.25-2.5
荒れている
5
2.5 -4
非常に荒れている
6
4-6
高い
7
6-9
非常に高い
8
9-14
驚異的
9
>14
風浪階級は、SWELL 指標をもって完結する。
高さ
低
距離
0-2 m
短
0- 100m (風向によって変化の可能性あり)
中
2-4 m
中
100-200 m
高
4 m
長
200 m
表 4: 雲の量
空を覆う雲を0から8のオクタ単位で表す。
O : 雲なし
8 : 空全体を覆う雲
****
135
別紙6
クレーム請求マニュアル
136
別紙 6
クレーム請求マニュアル
(国際油濁補償基金に基づいてクレーム請求をする場合、1992年国際油濁補償基金のクレーム請
求マニュアルを参照のこと)
1.
はじめに
1.1 このマニュアルはクレーム提訴のためのガイドである。目的は、クレーム内容に含まれる
べき事項を記載し、必要となる証拠書類の形態について説明することによって請求者を助けるこ
とである。法律的な問題についての説明は行わないが、クレーム提示について、実践的な内容に
関する情報与えるものである。疑問がある場合は、請求者は適切な助言を求めるのが望ましい。
2. クレーム提示方法
2.1 クレーム請求は文章にて行う(ファックスを含む)。いかなる場合においても、請求内容は、
事実と提示された証拠書類に基づいて被害額を評価することができるよう、事実と明確かつ十分
詳細に足るものでなければならない。クレームに関する各個条は、それぞれ請求明細書、ワーク
シートや注釈記のような他の関連書類によって立証されなければならない。油除去策の場合は、
費用は基本的に、指定された現場で行われた活動に関係するものでなくてはならない。
2.2
事故によって生じた作業や費用全てを詳細に留めた包括的な記録を残しておくことは絶
対的に重要である。毎日の作業日報には、進行中の作業、用いた機材、それをどこでどのように
用いたか、作業人数、どのように人員配置されたか、用いた消耗品などを現場監督者が記録しな
ければならない。この情報の記録には、流出の特異的事情と関係国の対応機関に適応するように
作成されている標準的ワークシートを活用することで、容易に行うことができる。
2.3
航空機、船舶、特殊機材、重機、トラック、人員などにかかる費用が多額になる場合が
多い。この種の資材のなかには、政府所有のものや、契約の約定対象になっているものがある。
実際に除去作業に使用した時間や使用目的について詳細な記録を残しておかなければならない。
適切な記録保持と予算管理のために、対応チームの一員として会計監査役を任命しておくのも
137
よい。
2.4
クレーム請求が解決する速さは、請求者が必要な書類を提出するのにどれだけ時間がか
かるかという点に大きく依存する。クレーム請求は請求者の関心事であるから、できる限り忠
実にこのマニュアルに従うこと。
3. クレーム記載事項
3.1 一般事項
3.1.1 クレームには次のような基本的情報を記載すること。
a) クレーム請求者もしくは代理人の名前・住所
b) 事故を引き起こした船
c) 事故発生の日時・場所、特に記載すべき事項、流出油の種類
d) 油除去策と汚染被害のタイプ、影響を受けている場所
e) クレーム請求金額
3.1.2. クレームには以下の一般的基準が適応される。
a)
事故により実際に費用や損失が発生していること
b)
いかなる費用も合理的かつ正当性をもって行われた作業に関連するものでなければならな
い。
c) クレーム請求者にかかった費用/損失・被害は、汚染によって生じたもののみに限定される。
d) クレームが補填する費用/損失・被害と流出が引き起こした汚染の間には因果関係がなけれ
ばならない。
e) クレーム請求者は、定量化可能な経済的損失を被った時のみ請求資格を有する。
f) クレーム請求者は、適切な文書やその他証拠をもって、被った損失・被害量を証明しなけれ
ばならない。
3.1.3 汚染事故は様々な種類のクレームを発生させる可能性がある。クレーム各種の事例につ
いては、それぞれ見出しの下、どのように処理されたかに関するガイダンスと共に下に示す。
3.2
予防策及び除去作業にかかる費用
138
a)
影響を受けた場所について、汚染の程度や最も深刻に汚染されている場所の特定などの図
解説明。地図・海図にて説明すること。また写真やビデオテープによる立証物件が必要。
b) 油汚染と事故を引き起こしたタンカーとの関係ついての分析また/もしくは証拠 (例えば、
油サンプルの化学的分析、風・潮・潮流データ、浮遊油の動向観測とプロット化)
c)
海上、沿岸水域、海岸などでの作業説明など状況要約。なぜそれだけ多様な方策が選定さ
れたかについての説明などもつけること
d) 作業が行われた日付
e)
労働費用(対応作業に携わった人員の数とカテゴリー、通常時間・残業時間の賃金、労働時
間・日数、その他費用)
f)
作業人員の旅費、宿泊費、滞在費
g)
機材費用(使用した機材の種類、購入・リース費用、使用台数、使用期間)
h) 消耗品(物品の説明、使用量、単価、使用場所)
i) 機材・物資を購入した場合、作業終了時の残余価値
j)
機材が、事故対応のために購入されたものではない場合、その使用年数
k) 輸送費(使用した車両・船舶・航空機の数とタイプ、作業時間・日数、リース費用・作業費
用)
1) 一時保管の費用(該当する場合)、及び回収油や油汚染の物品の最終処理費用
3.3 代替費用、修繕費
a) 財産に対する汚染被害の程度
b)
破損、被害をうけた物品、代替品、修理、洗浄の必要性がある物品(例えば、ボート、漁
具、道路、衣料品など)の、その場所も含めた説明。
c)
修理、洗浄、代替品の費用
d) 代替される物品の使用年数
e)
道除去作業によって被害を受けた道路、桟橋、防波堤の修復など作業後の回復費用
3.4 経済的損失
a) 自然の損失。その損失が事故を直接的原因としている証明と共に
b) 経済的損失を受けた場合、事故以前と事故期間の収入の数値比較
c) 油流出の被害を受けたエリア外の類似の場所との比較
139
d) 損失評価の方法
3.4.1
経済的損失には次のような損失を含む場合がある(しかしこの限りではない):漁業活動
の制限、沿岸産業や処理設備の封鎖による損失利益、リゾート産業(ホテル業、レストラン業
など)の損失利益など。しかしながら、諸経費としてかからなかった分や、事故によって発生
したものでない通常費用については、クレーム計算から差し引かなければならない。
3.4.2 クレーム請求者が、事故を原因として別の収入を受けた場合、その内容を記載しなけれ
ばならない。例えば、回収油を販売して得られた収益などがあった場合などである。同様に、
事故によって得られた収入は、クレーム請求からさし引かなければならない。 例えば除去作業
に配置された漁師などの場合である。
***
140
別紙7
事故後報告書
141
別紙 7
事故後報告書
1. 報告書記入者
1. 1
所属組織名
1 .2
氏名
1 .3
役職名
1 .4
住所
1 .5
都市名
1 .7
電話番号
1 .9
E メールアドレス
1.6 国名
1.8
Fax 番号
1.10
記入データは正式な調査に基づいた結果であるか
1.11
「はい」の場合、調査を行った組織名を記入のこと
□
はい
□いいえ
□
協定世界時間
2. 事故について
2.1 日付 (年/月/日)
2.2 時間 (時/分)
/
/
/
□
現地時間
2.3 事故位置
2.3.1
*地理的座標:
緯度:北緯
度
経度:東経・西経
2.3.2
度
分
分
*場所
2.4. 事故発生源
□船舶
次の項目へ回答
□沖合い施設
2.6 へ
□陸地施設
2.5 船舶詳細
2.5.1 名称
2.5.2 *タイプ
2 5.3 国籍
2.5.4 総トン数
2.5.5 DWT
142
2.7 へ
2.5.6 製造年
2.5.7 積載バンカー燃料(トン数)
2.5.8 出発港
2.5.9 目的港
2.5.10 所有者
2.5.11 P&Iクラブ
2.5.12 事故当時積載していた貨物
□ 油
回答を継続
□ その他危険物質
□ 非危険物
2.5.14 へ
質
□ バラスト
2.5.13
□
その他(記述のこと)
貨物として積載していた油のタイプ
2.5.14 貨物とし積載していたその他危険物質
2.5.14.1a
製品名 1
2.5.14.1b
UN No.
□ バルク
*2.5.14.1c 梱包の種類
2.5.14.1d
量
2.5.14.2a
製品名2
2.5.14.2b
UN No.
2.5.14.3a
製品名3
2.5.14.3b
UN No.
*2.5.14.3c
2.5.14.3d
ユニット(トン/m3)
□
梱包なし
ユニット(トン/m3)
2.6 沖合い施設
2.6.2
名称
2.6.3
所有者/運営者
□
ユニット(トン/m3)
量
タイプ
バルク
梱包なし
梱包の種類
2.6.1
梱包
梱包なし
*2.5.14.2c 梱包の種類
2.5.14.2d 量
□
2.7 陸地施設
143
梱包
2.7.1 タイプ
2.7.2 名称
2.7.3 所有者/運営者
3
事故原因
2.8.1
□
*沈没
2.8.5 □
*火災/爆発
2.8.3 □
*接触
2.8.6 □
*座礁
2.8.4
□
2.8.7
□ *貨物の積み込み/積み下ろし 2.8.8 □ *その他(記載のこと)
4
*衝突
2.8.2 □
*機器の不具合
事故発生時の気象・海象状況
4.1 風向・風速
4.2 潮流方向と速度
4.3 風浪階級
5
4.4 視界
汚染
5.1
□
油流出
5.2 □
液体の流出
5.3
□
ガス放出
5.4 □
固形物質の流出
5.5
□
梱包紛失
5.6 □
汚染の危険性あり
5.7
□
汚染の危険性なし
6
6.1
流出した物質について
油
6.1.1 油のタイプ:
□
原油
名称(原産国)
□
燃料油
ASTM No. 1
積載理由
2
□
3
4
5
貨物として
6
□
量
t
量
t
バンカーとして
□ 潤滑油
量
t
□ その他石油精製品
量
t
□
油残留物
量
t
□
その他の油
量
t
144
6.2
油以外の危険物質
6.2.1a 製品名称 1
流出量
6.2.1b 製品は燃焼したか
6.2.2a 製品名称2
ユニット
□はい
□ いいえ
流出量
6.2.2b 製品は燃焼したか
6.2.3a 製品名称3
ユニット
□ はい
□ いいえ
流出量
6.2.3b 製品は燃しか
ユニット
□
はい
□
7. 海上・上空・海中の汚染範囲
8. 犠牲者数
8.1
負傷者数
8.2 死亡者数
9. 対応策
9.1 □ 油流出対応
9.2 □その他の危険物質が関わる事故への対応
9.2.1 □
9.3
避難
9.2.2 □ 現場シェルター
対応策の詳細について
145
いいえ
9.4
配置機材
9.5. 対応活動における主要問題点
10. 対応作業の費用見積もり (使用通貨を明示のこと)
146
11. クレーム請求の状況
12. 今後への教訓
13. 提言
147
14. その他/ 補足事項
注
釈
2.3.1
主要位置の経度・緯度を度・分で表示する。
2.3.2
目印となる場所からの距離を海里で表記 例)ジェノバ港の南東 20 海里
2.5.2
船舶の種類を明記。例)一般的な貨物船、オイルタンカー、ケミカルタンカー、ド
ライバルク輸送船、OBO、コンテナ船、ローロー船、ガス輸送船、遊覧船、など。
2.5.14.1c
荷物の種類を明記。例)ドラム缶、プラスチック製ジェリー缶、ファイバーボック
2.5.14.2c
ス、タンクコンテナ、海上コンテナ、中間バルクコンテナーなど
2.5.14.3c
2.8.1
悪天候、漏出、船体が折れるなどのため沈没したと報告された船。2.8.2 から 2.8.8
の項目を原因としないものについて。
2.8.2
火災や爆発が第一次的現象の場合。衝突、座礁などの後に発生した火災や爆発によ
る被害者は「衝突」もしくは「座礁」のカテゴリーに分類する。
2.8.3
相当の時間座礁していた船、及び海底、海中構造物に接触した場合など。
2.8.4
他の船に衝突した、もしくはされた場合。事故時点の天候や、イカリで固定されて
いた、係留中であった、に関係なく。
148
2.8.5
船以外の外部の物体、または海底(2.8.3 及び 2.8.4 参照)に衝突した場合。突堤、
掘削リグ/作業台など。固定されていたか、牽引されていた、に関係なく。
2.8.6
機械の故障や不具合による船の損失、損害
2.8.7
移動作業中の貨物の紛失
2.8.8
上記 2.8.1 から 2.8.7 に分類されない原因による船の損失、損害。もしくは情報
不足で分類が不可能な場合
4.1
度数表示による風向、ノットや m/s による風速を表示(用いた単位も明記するこ
と)。風向には、必ずどの方向から風が吹いてくるかを記入すること
4.2
度数表示による潮流方向、ノット、1/10 ノットによる潮流速度の明記。潮流方向
には、必ずどの方向から風が吹いてくるかを記入すること
4.3
メートルによる波高にて海の状態を表示
4.4
視界を海里で表示
149
別紙 8
地域活動センター
付託事項
150
別紙 8
海洋環境緊急準備対応
地域活動センター(NOWPAP MERRAC)
付託事項
NOWPAP 海洋環境緊急準備対応地域活動センター(NOWPAP MERRAC)は、北西太平洋行動計画
(NOWPAP)の目的4の任務 (d)、(e)及び目的5の 任務 (c)、(d)、特に NOWPAP の優先プロ
ジェクト4:海洋汚染への準備と対応における地域協力のための効果的手段の開発に関連
する地域活動の調整を行う。また、MERRAC は NOWPAP MERRAC フォーカルポイント会議(以
下「MERRAC フォーカルポイント会議」と称する)の作業の推進を行う。全般的に、MERRAC
は NOWPAP RCU (その設立以前は UNEP が暫定的事務局)、IMO、その他国際的/地域的組織
と協力して、海洋汚染緊急時への準備と対応の地域協力の枠組みを構築する。特に MERRAC
が行う活動は以下のとおりである。
(a) 上記の行動計画に明記されている目的、任務を達成するため、NOWPAP MERRAC フォー
カルポイント会議のメンバー、及び NOWPAP メンバー国における関連の国家/地域/国際的
な、組織/機関との連絡を維持する。
(b)政府間会合で合意を得られている予定に沿って MERRAC フォーカルポイント会議、専門
化会議の開催について、メンバー各国を支援する。
(c) UNEP 及び IMO の技術的支援の下、MERRAC フォーカルポイントの事務局を勤める。
(d) 前述の行動計画に明記されている目的や任務の遂行に有効と思われる会議、シンポジ
ウム、現場視察を行う。活動センターが開催し、信託基金が資金的支援をする会合や国際
会議は、NOWPAP メンバー国の該当機関からの代表者を対象とする。
(e) 他地域との調整と協力が推進されるよう、他地域プログラムと緊密な関係を保持する。
151
(f) MERRAC フォーカルポイント会議で決定した会議間の任務や作業を管理し、また MERRAC
フォーカルポイント会議期間中に遂行すること。
(g) MERRAC フォーカルポイント会議の付託事項に明記されている当会議の任務の結果を
収集し、蓄積する。
(h) MERRAC フォーカルポイント会議の作業について、効果的な情報交換を行うため、NOWPAP
MERRAC のホームページを管理する。
(i) 汚染報告に関する情報を収集、管理し、該当する情報を各国関連機関に伝える媒体と
して機能する。
G) 海洋汚染への準備と対応に関する技術的課題について、参加諸機関に技術的助言をする。
(k) IMO のモデルコースを念頭に、MERRAC フォーカルポイント会議が必要とする訓練や技
術的ワークショップなどを、 NOWPAP メンバー各国の訓練機関と協議の上、立案し開催す
る。
(l) MERRAC フォーカルポイント会議の結果として、専門書、マニュアル、ニュースレター
などを発行する。
(m) 地域活動センターの作業を要約し NOWPAP 政府間会合にその進捗状況、結果を報告、費
用などを報告する。
(n) NOWPAP/4 の実行に有益と思われる情報を収集し、要請に応じて、MERRAC フォーカルポ
イント会議の各メンバーに連絡を行う。
(o) NOWPAP 地域の海洋汚染への準備と対応の分野における最新のテクノロジーやノウハウ
について情報を収集し、MERRAC フォーカルポイント会議の各メンバーに連絡をする。
152
(p) 海洋汚染への準備と対応に用いられる取り組みや方法について協調性を図る。
(q) 取り組みについて検討し、さらに NOWPAP RCU との協議の上、前述の行動計画の目的、
任務の達成のために必要な取り組みを行う。
(r) 情報を発信し、NOWPAP 地域の市民、特に海洋汚染への準備と対応に直接関わる人々の
意識啓発を図る。
(s) 必要に応じ、MERRAC フォーカルポイント会議の要請に応えられるよう、人的・資金的・
物的な手段と資源を十分活用する。
(t) 前述の行動計画の目的や任務の達成のため、MERRAC フォーカルポイントが要請する任
務について、いかなるものも遂行する。
153
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