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タイの日本食消費量は世界5位
第5回 タイ 日経アジアスカラシップ生通信 タイの日本食消費量は世界5位 タイ中央銀行勤務 ポンナパ・リーラポンチャイ 食べ物は、その国の文化と生活を象徴す るようになった。今ではバンコクのデパー るものだ。もし、一国の文化の象徴として トやスーパーで日本食コーナーを備えてい 世界中で受け入れられるなら、数十億ドル ないところはない。在タイの日本食レスト 規模のビジネスとなる。寿司、うどん、神 ランは増え続けており、市場規模は日本貿 戸牛は、世界で名の売れた日本食である。 易振興機構(JETRO)によると約200億円 ここ10年で、新鮮で、おいしく健康的な にのぼる。タイ人の外食時の好みを聞いた 日本食は世界中に広まっている。海外の日 調査でも、トップのタイ料理(57%)に続 本食レストランは2万4000軒にのぼる(ブ き、日本料理(26%)は2位につけている。 ルームバーグ ビジネスウィーク、2007年 日本食ビジネスの海外での市場拡大をに 12月) 。 らんで、農水省は日本料理や日本の農水産 ブームに目をつけた日本の農林水産省は、 物・食品の海外普及に大きく貢献した人を 本場の日本料理を普及させる上で必要なノ 表彰( 「日本食海外普及功労者表彰事業」農 ウハウ蓄積に向けて熟練した料理人を海外 林水産大臣賞)している。昨年、第4回の に派遣するほか、日本での訓練を受け入れ、 受賞者となったダイショー(タイ)の加藤 海外の各都市にレストランガイドを提供す 秀樹社長は、02年からバンコクのスーパー ることにした。その拠点が日本食レストラ で青森産などの日本食フェアを開いて日本 ン海外普及推進機構(JRO)である。 の農産品の拡販に貢献したことが評価され タイは日本食の消費量では世界5位。日 た。同社は最近、伊勢丹バンコク店で年に 本食や日本食レストランの大市場と位置づ 6回、北海道、九州、東北、広島などの特 けられる。魚やお酒など日本の農水産物の 産物を呼び物に日本食フェアを開いている。 輸入は毎年10∼15%増えており、日本食レ 日本食が経済的な武器であるとともに、 ストラン業界全体では09年に約20%の伸び 国の誇りであることは言うまでもない。日 を示した。500人のタイ人経営者が営む日 本食ビジネスは長い道のりを経て世界中の 本食飲食店は1000軒に達する。JROは08年 人々を魅了した。日本食のように、タイ料 にタイに拠点を開設し、消費者が最良な製 理も積極的に世界への普及を図ってもよい 品とサービスを享受できるように、ビジネ のではないか――。タイ人としては、こう スや経営計画に関するセミナーを開いて、 思ってやまない。 店舗運営を側面支援している。 (2007年度日経アジアスカラシップ生) 日本食は以前より安くなり、よく見かけ 日本経済研究センター 2010.7 17