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クロム処理の正常並びに病的皮膚中 の褐色顆粒に関する研究

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クロム処理の正常並びに病的皮膚中 の褐色顆粒に関する研究
ク ロム処 理 の正 常並 び に病 的皮 膚 中
の褐 色顆粒 に関 す る研 究
岡 山 大 学 医学 部 皮 膚科 学 教 室(主 任:野 原
高
岩
堯
(昭 和53年12月1日
Key
words:ク
望 教 授)
受 稿)
ロ ム親 和 性 反 応,真 皮 褐 色 顆 粒,
ラ ニ ン,リ ピ ド色 素
緒
性 母 斑(3例),限
言
皮 膚 にcatecholamine
(CA)が
存 在す る こ とはす
でに 証 明 され て お り1),そ の 自所 的 産 生 も考 え られ
ちcafe
下 に 採 取,副
有 細 胞 す な わ ち クロ ム親 和 細
胞の 存 在 を初 め て 報 告 したNordenstam
例,う
au
lait斑5例,神
ト ピ ー 性 皮 膚 炎(5例).
腎 は 空 気 塞 栓 屠 殺 後 直 ち に 採 取,い
et. Ada-
a)
しギム ザ 液 で 後 染 し た ヒ ト皮 膚 の 真 皮 上 層 に み られ
10%緩
衝 中 性 ホ ル マ リ ン(BNF)中
b)ク
律神 経 末 梢 との 位 置 的 関 連 性 を強 調 した が,追 試 者
に24時 間,
の大 部 分 は 上 記 の 細 胞 を肥 満 細 胞 と考 え,ク ロム 親
c)
液 中 に48時
Orth液10)中
に48時
和細 胞 の 存 在 を否 定 した5)∼7).し か しMacGavran
そ れ ぞ れ 固 定 し,パ
は電 顕 的 に ヒ トの 腋 窩 皮 膚 にCA含
切 片 を 作 製 し,次
有細胞の存在を
sympathetic
ganglion cellに 由来 し,副 腎 髄 質, pa
青,
5.ナ
イ ル 青,
raganglia,
お よび,腸
ン,
7.タ
ン プ ル 青,
ク ロム 親 和 細 胞 な ど と して
Sevkiの
3.
有 細 胞 が 存在 す る
れ る こ とが 期 待 で き る.故 に わ れ わ れ は 正 常 皮 膚 の
ほか,色 素 性 母 斑,青 色 母 斑, Recklinghausen母
結 切 片,
斑 症 な どに つ いて ク ロム 親 和 細 胞 の 存 在 を検 索 した.
長365nm紫
6.ク
2.ト
4.エ
ル イ ジ ン 青(pH
オ ジ ン ・ア ニ リ ン
ロム 明 ば ん ヘ マ トキ シ リ
9.ズ
ダ ン 黒,
ン モ ニ ア 雛,
10.
11.飽
Masson-
和過酸化水
互 にBNF
定 を 行 な い 比 較 し た.ま
BNFお
よ びH-H固
た無固定凍
定 切 片 を,中
心励起波
外 線 で 自 家 螢 光 を 観 察 し た.
在 が 予 測 され る 貧 血
結
トピー 性 皮 膚 炎 に つ いて も検 討 した.
1)家
実 験 材 料 お よび 方 法
BNF固
常 性 白斑(5例),脱
果
兎 副 腎髄 質
定 で は 色 素 は み ら れ な い .微
い し 黄 褐 色 顆 粒 が ク ロ ム 固 定 後(H-H,
以 下 の 組 織 に つ い て 検 討 した.
常 皮 膚(27例),尋
応,
正 常 皮 膚 の 一 部 を 凍 結 連 続 切 片 と し,交
お よ びH-H固
兎 副 腎 髄 質(対 照)
部 は凍結
素 水 漂 白24時 間.
胞 あ る いは 組 織 の 増 殖 の み られ る疾 患 に 多 く見 出 さ
1.家
Hok
BNF中
間
ギ ム ザ 液11),
Schmorl反
Zimmermannア
とす れ ば,植 物 神 経 末 梢 の ほ か に,神 経 櫛 由 来 の 細
et
続 き10%
の 方 法 で 染 色 あ る い は 処 理 し た.
4.0),
1.
間,引
ラ フ ィ ン 包 埋 切 片,一
報 告 してい る8).
一 般 にCA含
有 細 胞 は 神 経 櫛 起 原 性 のprimordial
2.正
に24な い し
ロ ム 酸 塩 一 重 ク ロ ム 酸 塩(Hillarp
felt9))(H-H)溶
性 母 斑,ア
ず
48時 間,
る,原 形 質 中に 蒼 紅 色 顆 粒 を もつ 細 胞 を比 定 し,自
その 他 皮 膚 中 に 高 濃度 のCA存
斑 症(19
経 線 維 腫19例,
れ も新 鮮 組 織 を,
ロム 酸 塩 一 重 ク ロム 酸塩 溶 液 で 固 定
み られ る.従 って 皮 膚 に もCA含
素 性 母 斑(19
Recklinghausen母
被 検 皮 膚 は全 身 麻 酔 あ るい は プ ロ カ イ ン局 所麻 酔
特 殊 螢 光 法3)に よ っ て 示 され る こ とが 多い.
ms-Ray4)は,ク
色 母 斑(3例),
貧 血 性 母 斑4例),ア
て い る2),組 織 化 学 的 に は ク ロム 親 和性 反 応 の ほ か,
皮 膚 に お け るCA含
局 性 白 皮 症(1例),色
例),青
出 現 す る.こ
は 表1の
色素
397
細 な褐 色 な
Orthと
も)
の クロ ム親 和 組 織 に対 す る後 染 色 結 果
如 く で あ る.
398
高
表1.副
2)ヒ
岩
堯
腎 ク ロム 親 和 性 組 織 と皮 膚 褐 色 顆 粒 の 染 色 態 度
い.ま た真 皮 中 に変 染 性 紅 色 の 顆 粒 を もつ 細 胞 が散
ト正 常 皮 膚
凍 結 連 続 切 片 のBNFとH-H固
定片 を比較す る
見 され,こ れ はNordenstamら4)の
い う クロ ム 親和
と,後 者 に お い て表 皮 メ ラニ ン,真 皮 内褐 色 顆粒 の
性 細 胞 に相 当す る もの と思 われ た.(図4).こ
色 調 が や や 濃 くな るが,両 国 定 の 間 に 数 量,形 状,
胞 は主 に血 管,付 属 器 周 囲 にみ られ,長
分 布 の差 は殆 ど な い(図1,
起 中 に極 め て微 細 な顆 粒 を み た して い るが,真
2).
H-H固
定 パ ラフィン
切 片 で,表 皮 メ ラニ ンが 微 細,比 較 的 均 等 な 大 き さ
で あ るの に 対 し,真 皮 で はや や 粗 大,不 揃 い な褐 色
の細
い 原形 質突
皮深
層 で は 細胞,核 の 形 状 は 円 形 を呈 す る ものが 多 い.
トル イ ジ ン青 は ギ ムザ とほぼ 同様 の 所 見が み られ,
顆 粒 が,表 皮 直 下 では しば しば 紡 錘 形 な い し分枝 状
Schmorl反
に 配 列(図3),乳
褐 色 顆 粒 は緑 な い し緑 褐 色 に染 ま る.エ オ ジ ン ア ニ
頭 下 層 では 多 くは 血 管 に 沿 っ て長
応 では 表 皮 メ ラニ ンが 青 緑 色 に対 し真 皮
い 原 形 質 突 起 を もつ 細 胞 中に み られ,網 状 層 で は著
リン青 お よ びMason-Zimmermann
る し く少 な い.こ れ らの 顆 粒 は 皮 膚 附 属 器,神 経 と
化 水 素24時 間処 理 後 表 皮 メ ラニ ン,真 皮 顆 粒 と も槌
特 定 の 位 置 的 関 連 は な い.
色す るが 消 失 は しな い.ズ ダ ン黒,ク
各 種 後 染 色 に 対 す る態 度 は 表1に 示 した.ギ ムサ
は 陰 性,過
酸
ロ ム 明 ば んヘ
マ トキ シ リン お よ び,タ ン プル 青 は い ず れ も陰性 .
染 色 で 表 皮 メ ラニ ンに 変 化 が な い の に 対 し,真 皮 褐
ナ イ ル青 で は表 皮 メ ラニ ン,真 皮 褐 色 顆 粒 が 種 々 の
色顆 粒 は種 々 の 程 度 に 緑 色 を帯 び る.し か し顆粒 の
程 度 に緑 色 を帯 び る ほか,真 皮 内上 部 で は紡 錘 型,
大 き さ,形 状,分 布 と色 調 の 間 に は特 定 の 関係 は な
不 整 形,深 部 では 類 円形 の 原形 質 が 青 染 す る 細 胞 が
ク ロム 処理 の正 常並 び に病 的 皮 膚 中 の褐 色 顆粒 に 関す る研 究
399
し く少 な い.表 皮 メ ラ ニ ン と真 皮 褐 色
顆 粒 の 間 に は或 程 度 量 的 平 行 関係 が あ
る.
5)色
素性母斑
母 斑 細 胞 母 斑 内外 の 黄 褐 色顆粒 は,ク
ロ ム処 理 後 僅 か に 色 調 を強 め るが,量
的 変 動 は な い.ギ ム ザ お よび トル イ ジ
ン青 染 色 に よ り,表 皮 内 お よび 母 斑 細
胞 内の メ ラニ ンは 不 変 だ が,真 皮 上 層
の 母 斑 細 胞 巣 周 囲 に 粒 状 な い し塊 状,
種 々の 程 度 に 緑 色 を呈 す る粗 大 な 顆 粒
が 多数 み られ る.ナ イル 青 に よ りBNF,
H-H固 定 と も真 皮 上部 の 母斑 細 胞 巣 の
一部
,お よび 母 斑 細 胞 外 の褐 色 顆 粒 の
大 部 分 は 青 緑 な い し緑 染 す る.こ れ ら
顆 粒 は ギム ザ で 緑 染 す る顆粒 とほ ぼ 同
じ分 布 を示 す が,前 者 で は母 斑 細 胞 巣
の 内部 に も陽 性 で あ る 点 で 異 な る.自
家 螢 光 は 表 皮 メ ラニ ン,母 斑 細 胞 に は
認 め られ な い.
6)青
H-H固
色 母斑
定 後,ギ ムザ,ト
ルイジン
青 染 色 に よ り,褐 色 お よ び 緑 色 の顆 粒
を もつ 細 胞 が み られ る.前 者 が 細長 い
原 形 質 内 に 密 に 存 在す る の に対 し,後
者 は やや 粗 大 で,そ れ を 含 む 細 胞 も紡
錘 型 な い し不 整 形 で あ る(図6).
7) cafe au lait斑
表 皮 メ ラニ ン,真 皮褐 色顆 粒 と も正
図1.正
常 皮 膚,凍
結 切 片,
BNF固
常 皮 膚 に 比 べ 多い が, BNF,
定 。
H-H両
固定 間 に 量 的 差 異 は な い.
み られ た.
Orth固
8)神
定 で もH-H固
定 とほ ぼ 同 様 の 染 色 結 果
が 得 られ た.
無 固 定 凍 結切 片 お よびBNF固
定 組織 で は真 皮 中
の 顆 粒 は ギ ム ザ で 緑 染 す る 。 クロ ム処
理 組 織 中 の褐 色 顆 粒 に は 螢 光 は み られ な か っ た 。
3)尋
腫 瘍 組 織 内 に は ク ロム 処 理 後 も褐 色 色素 は 殆 どみ
られ ず,周 辺 の 結 合 組 織 内 に 少 数 の ギ ム ザ に 緑 染 す
の 褐 色 顆粒 の うち 少 数 の もの に 黄 色 自家 螢光 が み ら
れ(図5),こ
経線維腫
常 性 白斑
ク ロム処 理 組織 の 真 皮褐 色顆 粒 の 形,分 布 は正 常
皮 膚 の そ れ と差 は な い.表 皮 メラ ニ ン の殆 どみ られ
ぬ部 で も表 皮 直下 に 比較 的 多数 の褐 色顆 粒 が み られ
るこ とが あ る.
4)脱
色 素 性 母 斑 お よ び 限局 性 白皮症
H-H,
BNF固
定 双 方 と も,真 皮 褐 色 顆 粒 は 著 る
る顆 粒 が 存 在 す る.一 方 変 染 性 紅 色 顆 粒 は 腫 瘍 内 に
も多数 み られ る.
9)貧
血性母斑
真 皮 上 層 に み られ る褐 色 顆 粒 は 正 常 皮 膚 に お け る
とほぼ 同様 で あ る.
10)ア
トピー 性 皮 膚 炎
クロ ム処 理 で,表 皮,真 皮 と も褐 色 色 素 の 増 加 は
み られ な い.
考
按
クロ ム親 和 性 反 応 は ア ドレナ リン,ノ ル ア ドレ ナ
400
高
岩
堯
の 数 量 差 が ないことか ら,こ れら顆粒 の
大 部 分 は ク ロム 処 理 に よ っ て初 め て 不
溶 性 に な る もの で は な い とい え る.エ
オ ジ ンア ニ リン青 陰 性 の 点か ら も, CA
は 存 在 す るに せ よ極 め て微 量 にす ぎ な
い と思 わ れ る.
これ ら顆 粒 群 の 形 態 は,い
わ ゆ る担
色 細胞 に 一 致 す るが,先 天 性 色 脱 症 に
お け る所 見 よ り,こ れ らが メ ラ ノサ イ
トと並 ん で 他 の 神 経 櫛 起 原 性 細 胞 で あ
る可 能 性 も考 え られ な い こ と もな い.
しか しBNF固
定 で は 真 皮 内褐 色 顆粒
は 表 皮 メ ラニ ン とほ ぼ 同 様 の 染 色 態 度
を示 す の み な らず, Masson-Zimmermam染
色 陽 性 の 点 もこ れ ら顆粒 が メ
ラニ ンで あ るこ と を強 く示 唆 して い る.
一 方 ,ク ロ ム 固 定 後,ギ ム ザ,ト ル
イ ジ ン青 染 色 に よ り,真 皮 内褐 色 顆粒
の一 部 が表 皮 メ ラ ニ ン と異 な る染 色性
を示 す事 実 に つ い て は
1.
melanophage中
る, 2.
CA以
にCAが
含 まれ
外 の 物質 に よ る クロ ム
親 和性 反 応, 3.メ
ラ ニ ン の崩 壊 に よ
り異 な っ た染 色性 が 生 じた,な
どが考
え られ る. 1に つ い て は,自 験 結 果 よ
り他 の 後染 色 所 見 が 副 腎髄 質細 胞 の そ
れ と必 ず し も一 致 しな い 点 よ り顆 粒 が
CAそ
図2.正
常 皮 膚,凍
結 切 片,
H-H固
の もの とは考 え難 く,さ らにCA
に よる 螢光 は 線維 状 に付 属 器,血 管 周
定.
囲 の神 経網 工 に一 致 して み られ る3)
リン等 の カ テ コ ラ ミン(CA)の
古 典 的組 織 学 的 検 出
こ と よ りCAの
細 胞 内 局 在 は 可 能 性 が 低 い.
2に
法 で,ク ロム あ る い は重 ク ロム 酸 塩 含 有 液 で固 定 し
関 し て は,生
た組 織 に生 じる黄 褐 色 化 合 物 として 示 され る.通 常
se11)はtryptophane-tyrosine色
クロ ム親 和 性 組 織 の 同定 は ク ロム 処 理 後 各 種 の 染 色
びlipid色
を施 す こ とに よ って な され る.
反 応 は 陰 性 な の で ヘ モ ジ デ リ ン は 除 外 で き る が, lipid
クロ ム含 有 液 は各 種 の 脂 質 を溶 媒 に 対 し不 溶 化 す
理 的 な 皮 膚 中 の 褐 色 色 素 と し てPear-
素 の3つ
素,
haem色
を あ げ て お り,自
素 およ
験 結 果 よ り鉄
色 素 に つ い て は さ ら に 検 討 が 必 要 で あ ろ う. lipid色
る性 質 が あ るの で,ク ロム 処 理 組 織 では 脂 質 そ の 他
素 はlipoidの
クロム に よ り不 溶性 とな る物 質 が 染 め 出 され る可 能
の 程 度 に 応 じ て そ の 組 織 化 学 所 見 に 推 移 が あ り, Sc
性 もあ り,ク ロ ム親 和 性 陽 性 組 織 が 全 てCAに
よる
か 否 か は さ らに 検 討 が 必 要 で あ ろ う.
hmorl反
酸 化 に よ り生 じ る 一 群 の 色 素 で,酸
化
応 や ア ル カ リ性 銀 還 元 反 応 な ど で メ ラ ニ ン
と 共 通 態 度 を 示 す11).
自験 結 果 で 真 皮褐 色顆 粒 の一 部 に 自家 螢光 を認 め
自験 結 果 で ク ロム 処 理 を し た正 常 皮 膚 の 真 皮 上 部
に み られ た少 数 の 黄 褐 色 顆 粒 は,そ の 一 部 が ギ ム ザ,
た.
あ る いは トル イ ジ ン青 後 染 で緑 色 を呈 す る点,副 腎
ザ で 緑 染 し,ナ
髄 質 の 染 色 態 度 と共 通 す る.し か しBNF固
細 胞 を 記 載 し, Demalautofluorescent
定標 本
に み られ る黄 褐 色 顆 粒 に 比 し,明 瞭 に 指 摘 で き る程
Bloomら12)も
と よ ん だ.こ
真 皮 内 に 自 家 螢 光 を 発 し,ギ
イ ル 青,陽
ム
性 の 黄 褐 色 顆 粒 を も った
cell (DAF)
れ ら 顆 粒 は マ ス ト細 胞 顆 粒,メ
ラニ ン
クロム 処 理 の正 常 並 び に病 的 皮 膚 中の 褐 色 顆 粒 に 関 す る研 究
図3.正
図4.正
常 皮 膚,
常 皮 膚, H-H固
H-H固
定,パ
ラ フ ィ ン 包 埋.表
皮 下 の 褐 色 顆 粒 群.
定,パ ラ フ ィン 包埋,ギ ム ザ 染 色.表 皮 下 の 変 染 性 赤 色 顆 粒.
401
402
高
図5.正
図6.青
岩
堯
常 皮 膚,凍 結切 片.真 皮 上部 の 黄色 自家 螢光 を もつ 細 胞.
色 母 斑, H-H固
定,パ
ラフ ィ ン切 片,ギ ム ザ 後 染.
微 細 褐 色 顆 粒(細 長 い青 色 母 斑 細 胞)と 粗 大 な 緑 色 顆
粒 群(矢 印).
クロ ム処 理 の正 常 並 び に病 的皮 膚 中 の褐 色 顆 粒 に関 す る研 究
あ る い はlipofuscinの
い ず れ と も異 な る が, DAF
細 胞 は 見 出せ なか っ た.
が メ ラ ニ ン様 物 質 を 含 ん で い る可 能 性 は あ る とい う
自験真 皮褐 色 顆粒 はDAF顆
貧 血性 母 斑 は血 管 運 動 神 経 の先 天 異常 に よ る とい
粒 に 形 態 が似 て お り,
う説15)もあ るが,血 管 収 縮 に 関係 あ るCAの
lipid色 素 の 自 家 螢 光 はlipoidの 酸 化 の 程 度 や 励 起
局在 は
み られ な か っ た.
波 長 な どに 左 右 され る こ とか ら, lipid色素 の 可能 性
Solomonら16)は
は 残 され て い る.
H-H固
403
ア トピー性 皮 膚 炎 の 急 性 増 悪 時,
血 清 中 ノル ア ドレ ナ リン値 の著 る しい 可逆 性 低 下,
定後 ギムザ 染 色 で 変 染 性 赤 色 を呈 す る顆 粒
尿 中 ノル ア ドレ ナ リ排 泄 減 少 を 認め,ノ
はマ ス ト顆 粒 と思 われ,緑 染 す る顆 粒 は 色 素 性 母 斑
の場 合 多 くは 粗 大 顆 粒 と して メ ラ ノ フ ァー ジ 中に 存
在す る よ うに み え る.後 者 の分 布 はFalckら
法 で示 され るCA存
ル ア ドレ ナ
リンの 皮 膚 内過 剰 貯 留 を想定 したが,自 験 結 果 で は
CA蓄
の螢光
積 を疑 わせ る所 見 は得 られ なか った.
以 上要 す る に クロ ム処 理 を行 っ た真 皮 中 の褐 色 顆
在 部 位13)には一 致 し な いが,ナ
粒 は 先 天 性 色 脱症 や 色素 性 母 斑 で の動 態 よ りメ ラニ
イル青 で青 緑 色 を呈 す る顆 粒 の分 布 に一 部 共 通 す る
ンな い しそ の 崩壊 過程 に あ る もの と して説 明 出来 な
の で, lipoidの 共 存 も考 え られ る.し か しFeyrter
い こ とは な い が, lipid色 素 の 可 能 性 も残 され て お
染 色 で はlipoidは 真 皮 上 層 の母 斑 細 胞 中に び まん 性
り,ま た も しこ れ ら顆粒 を含 む 細 胞 を神 経 櫛 由来 と
に 存 在 す る とい う報 告14)には一 致 せ ず,ズ ダ ン黒 や
考 えて よけ れ ば,必 ず し もメ ラ ニ ン の み に 固執 す る
クロ ム 明ば んヘ マ トキ シ リ ン陰性 の結 果 もlipoidの
必 要 もな い と思 わ れ る.
可能 性 を否 定 す る もの で あ る. 3.の
メラ ニ ン分 解
産 物 か 否か につ い て は 自験 結 果 で は判 断 出 来 な い.
神 経櫛 由 来 組織 に 富 む 色 素性 母 斑,レ
稿 を終 るにあた り,御 校閲下 さい ました野原
望 教授
に深謝 いた します,
ッ ク リン グ
ハ ウ ゼ ン母 斑 症 な どの病 変 皮 膚 よ り も クロ ム 親和 性
文
献
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ク ロム 処 理 の 正 常 並 びに 病 的皮 膚 中の 褐 色 顆 粒 に関 す る研 究
A histochemical
chromated
study
normal
Takashi
Department
of Dermatology,
(Director:
of brown
skin
and
pigment
405
in
dermatoses
TAKAIWA
Okayama
University
Medical School
Prof. N. Nohara)
The presence of catecholamine containing cells (chromaffin cells) in human skin was determined by fixation with chromate-bichromate
solution followd by post-staining and other
methods. Some of the brown pigment granules in chromated dermis stained with Giemsa and
toluidine blue showed similar staining properties to chromaffin cells in rabbit adrenal medulla
treated in the same way. They also were seen in large numbers in nevus pigmentosus, especially
in blue nevi, but were rarely seen in various lesions of Recklinghausen's disease nor in atopic
dermatitis. Judging from other results, this dermal brown pigment is probably not catecholamine but melanin or a degradation product of melanin. Other possibilities of the nature of
the granules are discussed with special reference to lipid pigment.
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