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第23号

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第23号
証券代行コンサルティング部長の眼 (第23号)
ISSの議決権行使助言基準変更のインパクト
―過去5期の平均ROEが5%を下回ると経営トップに反対推奨―
議決権行使助言会社の最大手であるISS(注1)が、2015年日本向け議決権行使助言基準に初め
てROE 基準を導入したことが注目されています。そのほか、社外取締役の複数選任や、監査等委員
会設置会社への対応など、最近の話題が議決権行使助言基準に盛り込まれることとなりました。
○ROE 基準導入のインパクト
ISSの2015年日本向け議決権行使助言基準では、資本生産性(ROE)基準が導入され、資本生産
性の低い企業、具体的には過去5期の平均自己資本利益率(ROE)が5%を下回る企業の経営トップ
に反対を推奨することとされました。経営トップとは、通常、社長と会長を指すこととなります。このため、
社長や会長の選任議案がある場合には、反対票が増加する場合があります。なお、「過去5期の平均
ROE が5%未満でも、直近の会計年度のROE が5%以上ある場合」には、改善傾向ありとして反対
推奨されません。
ISSがROE 基準を導入した背景には、「日本再興戦略」改訂2014で、日本企業の「稼ぐ力」を取り
戻すために、グローバル水準のROE の達成が掲げられるなど、ROE が企業価値向上の指標として
広く認知されてきたことにあると思われます。経済産業省が2014年8月に発表した伊藤レポートによれ
ば、2012年の日本企業の平均ROE は5.3%であり、米国企業の22.6%や欧州企業の15.0%を大きく下
回ると指摘されていますが、自己資本を削減したり、負債を増加させればROE も向上することから、R
OE を経営指標とすることは財務の安定性を損なうとの指摘もあります。とはいえ、海外のみならず国
内機関投資家も注目するISSがROE 基準を導入することで、企業のROE 向上への取組みに一層拍
車がかかるでしょう。なお、この基準は2015年2月総会から適用になる予定です。
○取締役会に複数名の社外取締役を要請
ISSの議決権行使助言基準では、取締役会に複数名の社外取締役がいない企業の経営トップに
反対推奨することとなり、2016年2月からの適用が予定されています(注2)。東証1部上場企業のうち
2名以上の社外取締役を選任している会社の比率が34.3%ですので、これはまだまだハードルの高い
基準ですが、コーポレートガバナンス・コードでも複数の独立社外取締役の選任が要請されることから、
今後は社外取締役の複数選任は避けられない状況でしょう。
○監査等委員会設置会社への移行は賛成
改正会社法で導入される監査等委員会設置会社への移行は原則賛成推奨となります。監査等委
員会設置会社への移行を検討している会社にとって、ISSの賛成推奨は背中を押す一つの判断材料
となるでしょう。社外取締役複数選任の要請が加速することにより、監査等委員会設置会社への移行
も選択肢としてクローズアップされるでしょう。当社では監査等委員会設置会社への移行コンサルティ
ングなど、コーポレート・ガバナンス向上に資する各種コンサルティングサービスをご提供しますので、
ご相談などございましたら、お気軽にお問い合わせください。
(注1) ISSは海外機関投資家に議決権行使のアドバイスを行う会社(議決権行使助言会社)の最大手です。なお、ISSの2015年日本
向け議決権行使助言基準は同社HPをご参照ください。
( http://www.issgovernance.com/file/policy/iss-policy-update-announcement_japanese.pdf)
(注2) なお、導入当初の対象企業を日経225構成銘柄やJPX日経400構成銘柄などの大企業に限定することも考えられます。
ROEに関する最近の動き
伊藤レポート
ROE目標8%以上
日本再興戦略
改訂2014
グローバル水準のROE
JPX日経400
ROEも評価基準
ガバナンスコード
資本効率の目標を
提示
ROEへの取組みは議決権行使にも影響します!
ISS行使基準
5期平均ROE
5%以上
2015年1月30 日発行
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