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関西実験動物研究会会報 30 - 神戸大学 医学研究科・医学部
ランスレーショナル リサーチにおけるWHHL/WHHЫ 直ウサギの役害J ト 一高脂血症 ,動 脈硬化等 につい て一 塩見 雅志 神戸大学 医学部 附属動物実験施設 別冊 KansdJOurnd of LboratoryAnim」 s 関西実験動物研究会会報 30号 1∼ 12頁 平成20年 12月 トラ ンス レー シ ョナル リサ ー チにお ける WHHL/WHHLMIウ サ ギ の役害J ―高脂 血症 ,動 脈硬化等 につい て一 塩 見 雅志 (神 戸大 学 医学部 附属動物 実験施 設 ) は じめ に 動物 実験 の 実施 にお い て 最 も重 要 な こ との一 つ が 動物福祉 へ の 配 慮 で あ り , 合 法 的 (法 規 等 と機 関 内規 定 の順 守 ,動 物 実験 計 画 書 の 作成 ,動 物 実験委 員 会 の認 可 に基 づ く動物 実験 の 実施 )で あ る と同時 に ,実 験結果 を ヒ トあ るい は 目 的 と した 動物 種 に外 挿 で き る こ とで あ る .実 験 結果 を ヒ トに外 挿 す る (ト ラン ス レー シ ョナル リサ ー チ )た め には ,実 験 に用 い る動物 の 病 態 ,疾 患 の発 生 機 序 ,関 連 す る代謝 にお け る酵 素 の働 き ,発 現 が 実験 に用 い る動物 と ヒ トとで対 応 して い る こ とが重 要 で あ る 。 遺伝 子 の働 きを調 べ る研 究 にお い て ,遺 伝 子組 み換 え マ ウス は極 めて 有効 な実験動 物 で あ るが ,複 数 の 酵 素 が 関連 す る代 謝 疾 患 お よび 関連 す る疾 患 にお い て は ,複 数 の 酵 素 の発 現や機 能 が ヒ トと異 な る こ とが あ る .し た が つ て ,適 正 な動物 実験 を実施 す るた め には ヒ トに外 挿 で き る 動物種 を実験 に使 用 す る こ とが極 めて重 要 とな る .本 稿 で は ,脂 質代 謝 お よび 脂 質代 謝 異 常 に起 因す る動 脈硬 化 等 の 疾 患 に 関す る研 究 にお け る ウサ ギの 有用 性 に つ い て概 説 す る . 脂 質代 謝 ,動 脈硬 化 ,虚 血 性 心 疾 患 にお け る種 差 脂 質代 謝 に 関連 す る酵 素 は ヒ トとマ ウス や ラ ッ トで大 き く異 な り,ウ サ ギは ヒ トに類 似 してい る (図 1,表 1).ヒ ト血 中 の 主要 な リポ タ ンパ ク (主 にア ポ タ ンパ ク と脂 質 で形 成 され る粒 子 で血 中 で脂 質 を運搬 )が 低 比重 リポ タ ンパ ン ク (low density lipoprotein,LDL)で あ る Dの に対 し実験動 物 の 代表 で あ るマ ウス や ラ ッ トは高比重 リポ タ ンパ ク (high density lipoprotein,HDL)で あ る (図 2).こ の 違 い は , ヒ トの血 中 で は コ レス テ ロー ル エ ス テル 転 送 タ ンパ ク (cholesterol ester transfer protein,CETP)の ッ トの血 中 で は 活 `性 が認 め られ るが マ ウス や ラ CETPの 活性 が認 め られ な い 2に ― -1-― とが 原 因 の一つ と考 え られ る . ヒ トで は動 脈硬化 の原 因 にな る リポ タ ンパ ク と して LDLが 重 要 と考 え られ て い るが ,LDLは 肝 臓 で 合 成 され た超 低 比 重 リポ タ ンパ ク (very 10w density lipoprotein,VLDL)に 由来 し,主 要構 成 タ ンパ ク と して ア ポ タ ンパ ク を有 して い る .マ ウス や ラ ッ トで は ,VLDLや B‐ 100 LDLの 主要 な構成 ア ポ タ ンパ クは ア ポ タ ンパ ク B48で ヒ トと異 な る .ヒ トや ウサ ギ とマ ウス や ラ ッ トの 主要 アポ タ ンパ クの違 い は ,ア ポ B編 集 酵 素 が ヒ トや ウサ ギで は肝臓 で発 現 してい な い が ,マ ウス や ラ ッ トで は肝 臓 で 発 現 してい る こ とに 由来す る う.ヒ トで は B48は 食 事 由来 の脂 質 を運搬 す る リポ タ ンパ ク の 主要構 成 タ ン パ クで あ り,血 中 か らの 消失 速度 はア ポ タ ンパ ク B100含 有 リポ タ ンパ クに比 ア ポ タ ンパ ク 較 して 極 めて早 い .こ の よ うな違 い が ヒ トとマ ウス や ラ ッ トの脂 質代謝 の 差 異 に大 き く影 響 してお り,遺 伝 子組 み換 えマ ウス を含 む マ ウス や ラ ッ トのモ デ ル が 高脂 血 症 を示 してい る場合 で も,血 中に蓄積 してい る リポ タ ンパ ク の 種類 (ア ポ タ ンパ クを含 めて )が ヒ トの 高脂 血 症 患者 で血 中に蓄積 してい る リポ タ ンパ ク と異 な る原 因 の一 つ で あ る (図 2).さ らに も つ とも強力 な コ レス テ ロー ル 合 成 阻害剤 で あ り,世 界各 国 で広 く使 用 され て い るス タチ ン は ,マ ウス や ラ ッ ト で は コ レス テ ロー ル 低 下効 果 が弱 い とされ て い る 。.一 方 , ウサ ギ の脂 質代謝 は ヒ トに きわ めて 類 似 してお り,ス タチ ンの コ レス テ ロー ル 低 下作用 も認 め ら れ てい る。LDL受 容 体 が ほ とん ど機 能 してい な い WHHLウ サ ギ 1,0や WHHL ウサ ギ に 由来す る WHHLMIウ サ ギ ③は ヒ トの 家族性 高 コ レス テ ロー ル 血 症 の モ デ ル 動 物 と して広 く研 究 に使 用 され て きた .ま た ,遺 伝 子組 み換 えマ ウス 等 の 高脂 血 症 モ デ ル で 発 生 す る動 脈硬 化 病 変 は脂 質蓄積 や マ ク ロ フ ァー ジ 由来泡 沫細胞 に 富み ,線 維 成 分 が極 めて少 な い 病 変 で あ る のが ,そ の よ うな病 変 は ヒ 7‐ トの 動脈硬 化 で は稀 で あ り 10,10,ヒ トの 動脈硬 化病 変 で は脂 質 /マ ク ロ フ ァー ジの 蓄積 層 を線維性 皮 膜 が 覆 う病 変 や ,` 平 滑筋細胞 や コ ラー ゲ ン線維 に 富 む病 変 な どの様 々 な病 理組織 所 見 を示 す (図 3)1の .WHHLMIウ 動脈硬 化 病 変 と同様 に さま ざま な病 変 が認 め られ (図 4)19, サ ギで は ヒ トの ヒ トに きわ めて 類 似 して い る .さ らに興 味深 い こ とに ,動 脈硬 化 に 関連 した 同 じ ヒ ト遺伝 子 を 導入 した 場合 に ,マ ウス とウサ ギで 導入 した 遺伝 子 の働 きが逆 にな る場合 が あ る と報 告 され てい る (表 2)14).こ れ らの 報告 は , ヒ トヘ の トラ ンス レー シ ョ ナル リサ ー チ にお い て どの 動物種選 択 の 重 要性 を示 唆 してい る 。 -2- WHHLウ サ ギお よび WHHLMIウ サ ギの特性 お よび 開発 の歴 史 WHHLウ サ ギは Watanabeに よ つ て 1973年 に発 見 され た 高脂 血 症 を示 す オ ス の 日本 白色 種 ウサ ギ に 由来 し,1980年 に系統 と して 確 立 され ,Watanabe heritable hyperlipidemic(WHHL)ウ サ ギ と命名 され た 15).そ の 後 の研 究 に よ っ て ,WHHLウ サ ギの 高脂 血 症 は LDL受 容 体 の 遺伝 子 異 常 に基 づ い て血 中 の LDLの 異化 が遅延 す る こ とに 由来す る こ とが明 らか に され た 10。 症 が原 因 して 動脈 硬 化 や 黄 色腫 が 自然発 症 す る.し か し,当 時 の この 高脂 血 WHHLウ サ ギで は ,心 臓 に血液 を供 給 してい る冠 動脈 の 動脈硬 化発 生 率 は低 か っ た .そ の 後 ,冠 動脈 に動 脈硬 化 を発 症 した ウサ ギ の ライ ンの み を用 い る選 抜 交配 に よ つ て ,冠 動脈 の 動脈硬 化 の発 生 率 は上 昇 した が 1つ ,心 筋梗 塞 の発 生 率 は極 めて低 か っ た。1990年 代 にな る と,ヒ ト剖 検 心 の 病理組 織 学 的解 析 の結果 ,心 筋梗 塞 の発 生 には マ ク ロ フ ァー ジ を多 く含 む冠 動脈 病 変 が 重 要 で あ る とす る仮 説 が 有 力 とな っ た .そ こで マ ク ロ フ ァー ジ を多 く含 む冠 動脈 病 変 を指標 の一 つ と して , 1993年 か ら再度 選 抜 交配 を実施 した 結 果 ,心 筋梗 塞 の発 生率 が上 昇 し,2000 年 には 28月 齢 にお け る心筋梗塞 の 累積 発 生 率 は 98%と な り,標 準飼 料 の 給 与 で心 筋梗 塞 を 自然発 症 す る WHHLウ サ ギ を なお ,WHHLMIウ WHHLMIウ サ ギ 0と 命名 した . サ ギ 開発 の過 程 で ,イ ンス リン抵抗性 と内臓脂肪 の 蓄積 が 克進 した こ とか ら,WHHLMIウ サ ギは近 年 話題 とな ってい るメ タボ リックシ ン ドロー ムのモ デ ル 動物 に もな り うる と期待 し,現 在 開発 を進 めて い る . WHHLウ サ ギ ,WHHLMIウ サ ギ を用 い た トラ ンス レー シ ョナ ル リサ ー チ WHHLMIウ サ ギ の特性 を図 5に 示 す .WHHLMIウ サ ギで は ,高 コ レス テ ロー ル 血 症 ,低 HDL血 症 ,イ ンス リン抵抗性 や 内蔵脂 肪 蓄積 を伴 うメ タボ リ ック シ ン ドロー ム を呈 し,動 脈硬 化 等 の 疾 患 を発 症 す る . 1)生 体 内 コ レス テ ロー ル 代 謝機 構 の解 明 上述 した と り, ウサ ギの脂 質代謝 は ヒ トに きわ めて 類 似 してい る .ヒ トで は 血 中 の コ レス テ ロー ル の ほ とん どが LDLに 含 まれ てお り,コ レス テ ロー ル 代 謝 の 中 心 臓 器 は肝 臓 で あ り,合 成 と異 化 で 中 心 的役 割 を果 た して い る .1973 年 Goldstein JLと (コ Brown MS10は ,正 常 な皮 膚 の線 維 芽 細胞 は培養 液 中 の LDL レス テ ロー ル )を 取 り込 む が ,家 族 性 高 コ レス テ ロー ル 血 症 患者 の線 維 芽 -3- LDLを 取 り込 む こ とが で きな い こ とを確 認 し,細 胞 へ の LDLの 取 り込 み に LDL受 容 体 が重 要 な役 害Jを 果 た してい る と し,LDL受 容 体 細 胞 は培 養 液 中 の パ ス ウ ェイ仮 説 を提 唱 した 。 しか し,皮 膚 の線 維芽 細胞 が血 中 の コ レス テ ロー ル レベ ル を制御 してい る とは考 え られ ず ,ヒ トの生 体 内 コ レス テ ロール 代 謝 を 解 明す るた めには遺 伝 的 に LDL受 容 体 が機 能 してい な い 適切 なモ デ ル 動物 が 必 要 で あ つ た 。 Watanabeは 高脂 血 症 を示 す 1匹 の 日本 白色 種 ウサ ギ を育種 開 発 し,1977年 にそ の 結果 を学 位 論 文 と して ま とめ ,麻 布 獣 医大学雑 誌 に報告 し ていた 1の .当 時脂 質低 下斉Jの 開発研 究 を行 つてい た三共株 式会社 の研 究 グル ー プがそ の 論 文 を読 み ,WHHLウ サ ギの 特性 解 明 に 関す る共 同研 究 が 始 ま っ た . そ の 結果 ,WHHLウ サ ギ の 高 コ レス テ ロー ル 血 症 は LDL受 容 体機 能 の 著 しい 低 下 が原 因 してい る こ とが明 らか とな っ た 5,10。 脂 質 代謝 の研 究分 野 で は 当時 と して は画 期 的 な研 究成果 で あ っ た 。1980年 に Watanabeが つ い ての 論 文 を発 表 1カ WHHLウ サ ギに す る とす ぐに ,Goldsteinか ら共 同研 究 の 申 し入 れ が あ り,当 時 Goldsteinの 研 究 室 に留 学 してい た Toru Kita(現 京都 大学教授 , 日 Watanabeか ら譲 渡 され た WHHLウ サ ギ を用 い て LDLを は じめ とす る リポ タ ンパ ク代 謝 を解 明 した 2".Kitaの 後 Goldstein 本 動脈硬 化 学会理 事長 )が , 20‐ の研 究 室 に留 学 した Tokuo恥mamoto(現 東 北 大学教授 )が ウサ ギの LDL受 容 体 をク ロー ニ ン グ し,WHHLウ サ ギの LDL受 容 体 で は ,LDL結 合 ドメイ ンで 12塩 基対 の欠 失 が あ る こ とを報告 した 29。 これ らの研 究成 果 か ら,Goldstein は ,WHHLウ サ ギが 存在 しなか っ た ら ヒ トの コ レス テ ロー ル 代謝 の研 究 は 10 年 は遅 れ たで あ ろ うと言 つ た と伝 え られ てい る .Goldsteinと Brownの チ ー ム の研 究成果 に対 して ,1985年 に ノー ベ ル 賞 (生 理 学 ・ 医学 )が 授 与 され た . 2)動 脈硬 化発 生 機 序 の解 明 1980年 当時 ,動 脈硬 化 の発 生機 序 の仮 説 と して ,動 脈 壁 へ の脂 質 の 浸潤 ,動 脈 壁 の 炎 症 ,動 脈 内膜 の 傷 害 に対す る反応 ,な どの仮 説 が 提 唱 され て い た .こ れ らの 仮 説 は ,ヒ トの音J検 所 見や 正 常 ウサ ギに高脂 肪負 荷飼 料 を給 与 ,あ るい は ウサ ギ等 の 内膜 をカテ ー テル で 傷 害 して 作成 した モ デ ル 動物 の 実験結果 を根 拠 として い た 。 しか し,い ず れ のモ デ ル も ヒ トとは大 き く異 な る条件 で 作成 さ れ てお り,決 定 的 な説得 力 に欠 けて い た 。 通 常飼 料 の 給 与 で -4- LDLが 血 中に蓄 積す る WHHLウ が 発 生 す る (図 サ ギで は ,大 動脈 に ヒ トの 動脈硬 化 に きわ めて 類 似 した 病 変 4).動 脈 硬 化 は脂 質代謝 異 常 ,高 血 圧 ,糖 代 謝 異 常 ,酸 化 ス ト レス ,喫 煙 ,社 会 的 ス トレス ,家 族歴 ,加 齢 ,性 別 な どが危 険 因子 と して 考 え られ てい る .ヒ トの 病 理 所 見や WHHLウ サ ギ を用 い た研 究 に よ つ て ,動 脈硬 化 の発 生 機 序 の解 明 が 実施 され て きた .動 脈硬化 は血 流 中 の 単球 が 動脈 の 内腔 側 を覆 う内皮 細胞 に粘 着 し 20,内 皮 下 に侵 入 す る こ とに よ つ て発 生 す る 29。 内 皮 下 に侵 入 した 単球 は マ ク ロ フ ァー ジ とな っ て ,変 性 リポ タ ンパ ク を貪 食 し , 泡沫化 す る 20。 泡沫化 した マ ク ロ フ ァー ジの 間隙 を縫 って ,中 膜 か ら平 滑筋細 胞 が 遊 走 し,コ ラー ゲ ン を分泌 して マ ク ロ フ ァー ジ/泡 沫 細胞 の 層 を覆 うよ う に位 置す る 19。 泡 沫 細胞 はや がて 崩壊 し,細 胞外 マ トリク ス に脂 質 の コアが 形 成 され る 2つ .こ の 単球 の 浸潤 ,マ ク ロ フ ァー ジの 泡沫化 ,平 滑筋細胞 の 中膜 か らの 遊 走 と コ ラー ゲ ンの 分 泌 が繰 り返 され ,や がて コ ラー ゲ ン と平 滑筋細胞 か らな る線維 性皮 膜 が 形成 され る .動 脈硬 化 病変 は加 齢 と ともに成長 し,細 胞成 分 が 減 少 す る 20。 動脈硬 化 病 変 は動 脈硬 化 の 危 険 因子 に長期 間曝 され る こ とに よ り,泡 沫 細胞 の 蓄積 を伴 う大 きな脂 質 コ ア とそれ を覆 う非 薄化 した線 維 性 皮 膜 を特徴 とす る rupture‐ proneプ ラー ク (図 6)12に 成 長 し,危 険 因子 が減 少 す る と ruptureし に くい ibromuscular plaque 29¨ 31)と な る .こ れ/ら の 動脈硬 化 病 変 の進 展 ,不 安 定化 の 過 程 にお い て ,内 皮 細胞 にお け る接 着 因子 の発 現 と内 膜 に侵 入 した T‐ リンパ 球 ,好 中球 ,マ ク ロ フ ァー ジや肥満 細胞 な どの 炎症 細胞 が 分泌 す るサイ トカイ ン ,ケ モ カイ ン,プ ロテ ア ー ゼ が 不安 定化 を克進 す る 2つ WHHL/WHHLMIウ . サ ギで観 察 され た動 脈硬 化 の 発 生・進 展過程 は ヒ トの 病 態 に類 似 してい る 32,30。 動脈硬化 病 変 の破 綻 に関す る研 究 を推 進 す る上 で ,動 物 モ デ ル に求 め られ る動 脈硬 化 に 関す る形 態 学 的条件 と して 脂 質 コ アの 形成 ,非 薄化 した線 維性 皮 膜 ,炎 症 細胞 の 浸潤 が重 要 と考 え られ ,細 胞 生 化 学 的条 件 と して ,動 脈 硬化 病 変 に侵 入 した 炎症 性 細胞 か らの サ イ トカイ ンや プ ロテ ア ーゼ の 分泌 が 重 要 で あ ろ う.ま た ,冠 動脈 は ,動 脈硬 化 が発 生 し,狭 窄 率 が 超 え る と血 管 系 が 拡 大す る (外 膜側 に広 が る)30。 るた め代償性 拡 張 と考 え られ て い た 3う が 20%を この 反応 は血 流 量 を維 持す ,マ ク ロ フ ァー ジが 中膜 を分 解 して非 薄化 す る こ とが 原 因 の一 つ で あ り,中 膜 の 消失 を補 うた め に 中膜 平滑筋細 胞 が 増 加 す る こ とが も う一 つ の 要 因 で あ つ た 30.こ の よ うな冠 動脈 の 動脈 硬化 発 生 -5- に伴 う形 態 学 的 な変化 に つ い て も WHHLMIウ サ ギ を用 い た研 究 で 明 らか とな った . 3)脂 質低 下剤 の 開発 お よび そ の動脈 硬 化 抑 制機 序 の解 明 表 3に WHHLあ るい は WHHLMIウ サ ギ を用 い た薬斉J等 の脂 質低 下効果 あ る い は動 脈硬 化抑 制 効果 に関す る試 験 の 結果 を示 す .高 脂 血 症 治療薬 と して 世 界 で 最 も 広 く使 用 さ れ て い る コ レ ス テ ロ ー ル 合 成 阻 害 剤 の ス タ チ ン (HMG口 CoA,3‐ hydroxy‐ 3日 methylglutaryl coenzyme A,還 元酵 素 阻害斉J)は 日本 で 最 初 に開発 され た (コ ンパ クチ ン).コ ンパ クチ ン ンの 開発 で 有名 な話 と して ,ラ ッ トで は コ レス テ ロー ル 低 下効果 を示 さなか っ た た め ,開 発 が 中断 さ れ か けて い た だが ,培 養 細胞 を用 い た実験や ニ ワ トリを用 い た実 験 で強力 な コ レス テ ロー ル 低 下効果 を示 した こ とで 開発 が継 続 され た 。1979年 当時 ,開 発 を 進 め るか断念 す るか を決 断す るた めに ,当 該 会社 は WHHLウ サ ギ を用 い た実 験 を計 画 した 。WHHLウ サ ギ に コ ンパ クチ ン を投 与 した ところ,劇 的 に血 清 コ レス テ ロー ル が低 下効果 し 3つ ,そ の 後 ,ス タチ ンの 開発研 究 が大 き く進 展 した コ ンパ クチ ン はイ ヌ ヘ の 大 量投 与 で 副作用 が生 じた た め 開発 が 中断 され た が コ ンパ クチ ンの誘 導体 で あ るプ ラバ ス タチ ンの 開発 が WHHLウ サ ギ ,イ ヌ . , , サ ル な どを用 い て 行 われ た 。.脂 質低 下剤 の 開発 の 最 終 日標 は動 脈硬化 や虚 血 性 心 疾 患 の発 生予 防 で あ る .WHHLウ WHHLウ され た (図 サ ギ は動 脈 硬 化 が 発 症 す る こ とか ら , サ ギ を用 い て コ レス テ ロー ル 低 下剤 に よ る動 脈 硬 化 抑 制試 験 が 実施 7).当 時 ,胆 汁酸 の 吸着 除 去 に よる コ レス テ ロー ル 低 下剤 (陰 イ オ ン交換 樹月 旨,コ レス チ ラ ミン)を 用 い た臨床試 験 で ,コ レス テ ロー ル を低 下 さ せ る と心疾 患 の 死 亡 率 が 低 下す る とい う結果 が 報告 され て い た 30.コ レス テ ロ ール 低 下 が ′ い疾 患 の発 生 を予 防す るメカ ニ ズ ム につ い て は臨床試 験 で は調 べ る こ とが で きな い 。WHHLウ サ ギに ス タチ ン を投 与 した 実験 に よ つて ,投 与群 で 冠 動脈 病 変 の 狭 窄 率 が 低 下す る 3の こ とが確認 され ,臨 床 試 験 で コ レス テ ロー ル 低 下療 法 に よる心疾 患発 症 予 防効果 の一 端 を解 明す る こ とがで きた .そ の 後 , 免 疫組 織 染 色 の 手法 が確 立 され ,ウ サ ギで 使 用 で き る抗 体 も多数 開発 され る よ うにな り,動 脈硬 化 病 変 の構 成 成 分 を免 疫組 織 染色 し,画 像解 析装 置 を用 い て 陽性 細胞 あ るい は 陽性 成 分 を 二 値化 し,病 変 面積 と構 成成 分 の 面積 を測 定す る -6- こ とによつて病変 の質 を定量解析す る方法 を開発 した 40.そ の結果 ,病 変構成 成分 の定量解析方法 を用 い て コ レステ ロール 低下剤 が動脈硬化病変 の構成成分 に どの よ うな影響 を与 えることがきるか を解析 で きるよ うにな った .今 では こ の方法 は,動 脈硬化 のみ な らず広 く世界 中で使用 され て い る.当 時 ,ス タチ ン を投与 した患者 の投与前 と投与後 の冠動脈病変 の程度 を冠動 脈造影 で調 べ た結 果 が複数報告 されお り,そ の結果 ,ス タチ ン投与 に よる狭窄率 の改善 (病 変 の 退縮 )効 果 が大 き くない に もかかわ らず ,心 疾患 の発症 が抑制 され た こ とが報 告 され ていた 4⊃ .冠 動脈 に動脈硬化 が 自然発症す る WHHLウ サ ギにス タチ ン を投与 し,冠 動脈病変 の構成成分 を定量解析 した結果 29-30,ス タチ ンは冠動脈 病変 の進展 を抑制す る とともに,病 変 へ のマ ク ロフ ァー ジ/泡 沫細胞 ,細 胞外 脂質 の蓄積 を抑制 し,平 滑筋細胞 の減少 を抑制 し,コ ラー ゲ ン線維 を増 加 す る こ とが確認 された .こ の病変構成成分 の変化 は ,動 脈硬化病変 が破綻 しに くい 安定な病変 に変化 した ことを示唆 してい る.近 年 の ヒ ト心 筋梗塞音J検 心の病理 解析 の結果 か ら,急 性 心 筋梗塞や不安定狭 心症 な どの急性冠症候群 の発 生 に冠 動脈病変 の不安 定化 が重要 である と考 え られ てお り 19,ス タチ ン を投与 した WHHLウ サギの実験結果 は,ス タチ ンが ヒ トの心疾患 を抑制す るメカ ニ ズムの 一 端 を説 明 して い る。さらに,WHHLウ サ ギを用 い た実験 に よつて ,動 脈硬化 の不安定化 にマ ク ロ フ ァー ジが分泌す る matrix meta1loproteinases(MMP, コ ラー ゲ ン等線維 を分解す る酵素 )が 関与 し,ス タチ ンが そ の発現 を抑制す る ことも確認 され た 49。 ス タチ ン以外 で も,ス クア レン合成 阻害剤 30,抗 酸化斉J, 降圧剤 な どの脂質低 下作用や動 脈硬化抑制作用 が を用 い て検討 され て い る (表 WHHL/WHHLMIウ サギ 3). 4)動 脈硬化病変 の画像診 断技術 の 開発 な どの トラ ンス レー シ ョナル リサ ー チ 急性冠症候群 (急 性 心 筋梗塞 ,不 安定狭 心症 ,心 突然 死 ,ACS)の 発 生 を予 防す るためには,発 症 に強 く関連す る不安定な冠動 脈病変 を事前 に検 出 して治 療 を始 めることが重 要 にな る.そ のため には,不 安定な冠動脈病変 を検 出す る 技術 と方法 の確 立が必 要 となる.ま た ,薬 剤等 による動脈硬化 の治療効果 の確 認 につい て も画像診 断は極 めて有効 である.現 在 ,WHHLMIウ サ ギを用 い て , 超音波 エ コー43),cT4の ,PET 40,cT‐ PET 40,MR1 45な どによる動 脈硬化 の 一-7-一 画像診 断技術 の 開発 ,改 良 が 行 われ てい る .Ogawaら 40は ,wHHLMIウ ギに 18F‐ サ ■uoro… 2‐ deoxy¨ D― glucose(FDG)を 静 注 し CT‐ PETを 用 い て大 動脈 の マ ク ロ フ ァー ジ に富む不安 定動 脈 硬 化病 変 の検 出方 法 を確 立 し,抗 酸化剤 の 投 与 に よる動脈硬 化 抑制 効果 を この 方 法 で確 認 してい る . さ らに ,高 コ レス テ ロー ル 血 症 の 遺伝 子 治療 法 の 開発 と して ,正 常 LDL受 容 体 を 導 入 し,LDL受 容 体 の 発 現 に よ る高 コ レス テ ロー ル 血 症 の 治 療 が WHHLウ サ ギ を用 い て 実施 され て い る.Kankkonenら 47)は ,レ ンチ ウイ ル ス を 用 い て LDL受 容 体遺伝 子 を WHHLウ サ ギに 導入 し,単 回 の 導入 で 2年 以 上血 清 コ レス テ ロー ル 値 が低 下す る こ とを確認 してい る . 今 後 の研 究 の 展 開 ヒ トで は ,冠 動脈 の 不安 定病 変 (大 きな脂 質 の 塊 とそれ を覆 う線 維性 皮 膜 の 非 薄化 お よび 非 薄化 部 分 へ の マ ク ロ フ ァー ジの 浸潤 )が 破 裂 して 閉塞性 血 栓 が 生 じる こ とに よ つ て ,急 性 心 筋梗 塞 をは じめ とす る急性 冠 症候 群 が発 症 す る と 考 え られ てい る 19.し か し,す べ ての不 安 定病 変 が破 裂 す るわ けで は な い こ と か ら,破 裂 す るた め には他 の 危 険 因子 が 重 要 で あ る と考 え られ る.近 年 の研 究 40で ,血 流 に よるシ ェ アー ス トレス が 高 い 部 分 で不 安 定病 変 が破 裂 す る こ とが あ る と報 告 され (シ ェ ア ー ス トレス の 低 い 部 分 で 動脈 硬 化 は発 生 す る),不 安 定 病 変 に 物 理 的 な 力 が 加 わ る こ と が 病 変 の 破 裂 に 関 係 す る と思 わ れ る WHHLMIウ . サ ギで は この よ うな不安 定 な病 変 が 冠 動脈 に発 生 してい るが ,動 脈 病 変 の破 裂 は ご く少数 例 に しか認 め られ て い な い .こ の WHHLMIウ サギと ヒ トとの違 い につ い て説 明 で き るデ ー タは 得 られ て い な い が ,生 活 環境 の 違 い が 関係 してい る のか も しれ な い .例 えば ,喫 煙 ,社 会 的 ス トレス ,攻 撃 的性 格 , 高脂 肪 食 ,食 塩 摂 取 過 多 な どは ,安 定 した 快 適 な飼 育 環 境 で飼 育 され て い る WHHLMIウ サ ギ には影 響 してい な い で あ ろ う.そ こで ,不 安 定冠 動脈病 変 を 有 す る WHHLMIウ サ ギの 冠 動脈 に急 激 な物 理 的力 を加 え ,冠 動脈 病 変 の破 裂 を誘 発 す る こ とを計画 してい る.こ の 方 法 で 冠動脈 病 変 の破 裂 を誘 発 で きれ ば , ヒ トの 急性 冠症候 群発 症 メカ ニ ズ ムの 一 端 を解 明で き る と期 待 してい る .さ ら に ,冠 動脈 病 変 の 不安 定化 を進 め るた め に ,不 安 定化 を促 進 す る と考 え られ る 遺伝 子 (MCP‐ 1,MMPな ど)組 み換 え ウサ ギ と交配 し,冠 動脈 病 変 の破 裂 と 一-8- の 関係 を調 べ る こ とが で き る .冠 動脈 病 変 を安 定 して破 裂 させ る こ とが で きれ ば ,冠 動脈 病 変 の破 裂 予 防薬 の 開発 も可能 にな る と期 待 で き る . ま とめ (モ デ ル 動物 開発 にお け る留 意 点 ) 医学研 究 で 動 物 を実験 に使 用 す る 目的 は ,発 症 メカ ニ ズ ム や 生理 機 構 の解 明 と ともに診 断 0治 療 方 法 の 開発 で あ る .そ の た めには特 定遺伝 子 や酵 素 ・ タ ン パ ク質 の機 能 を研 究す る と同時 に ,複 数 の 酵 素 が 関与す る代謝機 構 とそ の 異 常 に よ つ て発 生 す る疾 患 の 全 体像 を と らえ る こ とが重 要 で あ る こ とは周 知 の 事 実 で あ る .前 者 には遺伝 子組 み換 え動 物 が適 してお り,後 者 には , ヒ トの 代 謝機 構 や疾 病 の発 生 機 序 と類 似 してい る動物 種 あ る い は疾 患 モ デ ル 動物 を実験 に使 用 す る こ とが重 要 で あ る .一 時期 ,ヒ ト型 マ ウス とい う言葉 が 独 り歩 き した が , 複 数 の 酵 素 が 関与 してい る代謝機構 や 代 謝疾 患 に 関す る研 究 にお い て は ,表 面 的 な表 現型 が類 似 してい るだ けで は , ヒ トのモ デ ル とはな りえな い ばか りか , 間違 っ た 情報 を与 え る原 因 に もな りかね な い こ とに注意 が必 要 で あ る .脂 質代 謝 や 動脈硬 化 には複 数 の 酵 素 が 関与 してお り,マ ウス で は主要 な複 数 の 酵 素や タ ンパ ク の働 き が ヒ トと異 な っ て い る の に対 し,ウ サ ギは ヒ トに極 めて よ く類 似 してい る .脂 質代謝 ,高 脂 血 症 ,メ タボ リック シ ン ドロー ム ,動 脈 硬 化 ,心 筋梗 塞 お よび これ らに関連 した 疾 患 の研 究 に WHHLMIウ サ ギが ます ます貢 献 で き る こ とを期 待 してい る . 参 考文 献 1。 Goldstein JL,et al.N Engl J ltted 1983;309:288‐ 296. 2.Agellon LB,et al.J Biol Chem 1991;266(17):10796-10801。 3。 Nakamuta l江 ,et al.J Biol Chem 1995;270:13042‐ 4.Ts 56。 ita x et al.Biochim Biophys Acta 1986;877:50‐ 60。 5.Shimada x et al.Eur J Biohem 1981;118:557‐ 564. 6。 Shiomi M,et al.Arterioscler Thromb Vasc Bio1 2003;23(7):1239‐ 7.Caligiuri G,et al.PNAS 1999;96:6920‐ 8。 6924. 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J Am Coll Cardio1 2008;51:645… 脂質代謝 と動脈硬化 にお ける種差 1。 表 1850。 650。 2.遺 伝子組換えマウスと遺伝子組換えウサギの表現 型の差異 マウス・ ラッ ト WHHLMI ヒ ト マウス 主要 リポ蛋白 Lecitinicho:estero:acy:transferase 小腸 ・ 肝臓 ApoB編 集 酵 素 Hepatic TG:ipase 小 腸 小 腸 apoE3 15¨ lipoxygenase 肝 性 リパ ー ゼ 細胞膜 か ら遊離 食事 由来1旨 質の影響 動脈硬 化 細胞膜 に結合 細 胞 膜 に結 合 Apolipoprotein(a) 自然発症の高脂血症 抵抗性 感受性 抵抗性 感 受性 様 々な病変 lipoproteinlipase 自然 発 症 様 々 な病 変 表 3。 Pro… atherogenic Anl― atherogenic Pro― atherogenic Anti¨ atherogenic AnJ― atherogenic Pro¨ atherogenic Pro¨ atherogenic Anti¨ atherogenic No Lp(a)fOrmation Lp(a)fOrmaJon No effects on Effects on Visceral fat accumulation CRP No function 炎症 マー カー スタ チ ンの脂 質 低 下 効 果 ウサギ Function 効果な し WHHLウ サギを用 いた脂質低下剤 と動脈硬化治療 薬 の試験 ヒトとウサギのリポ蛋白代謝 大動脈病変 高脂血症 スタチン 胆汁酸吸着樹脂 スタチ ン ナ胆汁酸吸着糧 脂 MTP阻 害薬 ACAT阻 害薬 Probuco1 CSF&GMCSF ApoE M・ フイプラー ト 魚油 Xr O l : 1 0. O n.d. ‐ 0 0 01: O n.d. n.d. X,O X,0 ,I X,0 0 0 n.d. 0 0 O O n.d. X I n.d. nⅢ ×,O ×フ O n.d. ca2+1吉 抗剤 A‐ Ц受容体拮抗薬 遺伝子治療 ● 冠動脈病変 0.: O Thia201idinedione β,ブ :ロ ッカ■ ACE阻 害薬 マウス ロラットのリポ蛋自代謝 : ・ X X O * ‐ △ × X x ■ ..X O O n.d. ‐ ● │::.■ n.d. ■.d_ d. ム │. × Xl.: ●`d. n.d. 図 一-11-― 1 ヒ ト,ウ サギ,マ ウス・ ラッ トの リポタンパ ク代謝 Attol ttф 質 戻 盟と たマ ス 専 ∫ ξ ウ 露禽 mice DLttKO層 よ 翼 儀 工甜:lを tJ」 α199493188鋼 893 8蕊 乳悟 鶴濯霜ず認驚器1:場 キ│』 ‖ 『 著瀧 与 美ふ瓢欅変 』腑 Ttt「 辟躍:温 Υ9。 276276 ●凛 ュ ︶ ︵ C〇一 ●暉L ” ヽ い 鍮爾議 螂 瑠 卸 0 LDLR KO mice ヒト冠動脈病変 図 2.HPLCに よる リポ タ ンパ クの分 画 図 3。 ヒ トとマ ウ スの 動 脈 硬化 WHHLMIウ サ ギ の 特 性 [動 脈硬化 │1心 筋梗塞 1黄 色腫 〕 1他 │ の関連疾患〕 の開発等に関する研究 図 4。 WHHLMiウ 図 5.WHHLMiウ サギの特性 と利用 で きる研究分野 サ ギ の動 脈 硬 化 WHHLMIウ サ ギ の 加 齢 による動 脈 硬 化 の 進 展 図 6。 WHHLMiウ サギの不安定動脈硬化病変 図 12-― 7.WHHLMIウ サギを用いた動脈硬化抑制試験のデザイン