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第3章 ごみ減量に向けての現状と課題 (PDF形式, 1.45MB)

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第3章 ごみ減量に向けての現状と課題 (PDF形式, 1.45MB)
第3章
1 現
ごみ減量に向けての現状と課題
状
発生抑制
製造メーカーによる容器包装の軽量化やインターネット、タブレット端末等の普及に
よる新聞の発行部数、雑誌の販売部数の減少等により、ごみと資源を合わせた総排出量
は大きく減少し、平成 27 年度は 92 万トンと目標を上回る水準で発生抑制が進んでい
ます。
【参考】新聞の発行部数等の推移
(部・千万冊)
平成600
538
528
100
512
497
500
487
478
469
400
300
73.0
200
337
75.3
(%)
78.0
78.2
79.1
82.8
79.5
448
82.8
436
83.0
80
70
新聞発行部数(1,000 人あたり)
(各年 10 月)
新聞協会経営業務部調べ
60
319
299
287
100
269
256
244
230
214 50
0
平成
90
インターネット利用人口率
(年末時点)
総務省
「通信利用動向調査」
書籍・雑誌の販売部数
(千万冊)
出版科学研究所調べ
40
19
20
21
22
23
24
25
26
27
(年度)
平成
分別徹底
家庭から排出されるごみ、事業所から排出されるごみはいずれも、平成 22 年度以降横
ばいの状況が続いています。
家庭から排出されるごみについては、平成 23 年 4 月のプラスチック製品の分別区分
変更以降、
プラスチック製容器包装などが一部、可燃ごみとして排出される傾向がみられ、
古着・古布、雑がみの資源分別率も 1 割程度にとどまっているなど、一部の品目で資源
分別率が低下・低迷しています。
市民に資源の正しい分別方法が伝わっていないことが原因と考えられ、「3R(リデュ
ース・リユース・リサイクル)の意義」とあわせて、「資源やごみの分け方・出し方」を
丁寧に周知していく必要があります。
事業所から排出されるごみについては、排出量の約 8 割を占める紙類と生ごみの資源
化が進んでいません。
今後、資源分別率が低下している品目や分別が進んでいない品目を重点品目として位置
づけ、居住形態や排出者に応じた効果的な広報・啓発を行っていくことが必要となってい
ます。
循環処理
平成 21 年に完成した鳴海工場において、従来埋立処分していた破砕不燃物や他の焼
却工場で発生する焼却灰の一部について、可燃ごみとともに溶融処理を進めることによ
り、溶融スラグや溶融メタルを生成し、それらを有効利用することで、埋立量削減に取り
組んできました。この取り組みにより平成 27 年度は約5万トンと埋立量削減が進んでい
ます。
18
2 ごみと資源の分別状況と今後の課題
17
平成 27 年度のごみ・資源の分別状況と今後の課題は図に示すとおりです。
家庭系
(単位:万トン)
資源 14.8
ごみ 41.6
発生抑制 10%削減
●古紙
・対象者を絞った集中的な広報・啓発
古 紙
(新聞・雑誌・
段ボール・雑がみ)
4.9
8.9
資源分別率
雑がみ
新聞・雑誌・段ボール
2.3
繊維製品(古着・古布)
びん・缶・ペットボトル 0.2
プラスチック製
容器包装
紙製容器包装
0.2
2.6
2.7
2.0
0.8
1.7
草木類
4.2
10.2
ごみ 20.5
資源 14.9
11.3
資源分別率
10.3
46% ⇒
70%
29% ⇒
70%
90%超を維持
資源化可能な紙類
69%
⇒
80%
●容器包装
発生抑制 10%削減
・法整備による拡大生産者責任の徹底
・事業系廃棄物の減量を促進する立ち入り調査の実施
・事業系ごみ排出実態の把握による啓発・指導
・分別・リサイクルに係る中小事業者への重点的な啓発
1.1
0.4
3.2
プラスチック類
その他
●容器包装
発生抑制 10%削減
・レジ袋有料化等の取り組み
・簡易包装商品の購入を促進する仕組みづくり
・法整備による拡大生産者責任の徹底
・対象者を絞った集中的な広報・啓発
・分別指導体制の強化
●古紙
発生抑制 5%削減
・事業系廃棄物の減量を促進する立ち入り調査の実施
・事業系ごみ排出実態の把握による啓発・指導
・分別・リサイクルに係る中小事業者への重点的な啓発
びん・缶・ペットボトル
生ごみ
40%
今後の課題 <H27⇒H40(目標)>
紙 類
(新聞・雑誌・
段ボール・
雑がみ等)
⇒
●生ごみ
発生抑制 5%削減
・生ごみ発生抑制のための「3ない運動」、
「ギュッと水切り・ひとしぼり運動」の推進
・生ごみ堆肥化の促進
・食品ロス削減に向けた取り組み
その他
(資源化困難な
紙等)
10%
資源分別率
プラスチック製容器包装
紙製容器包装
びん・缶・ペットボトル
13.4
生ごみ
8% ⇒ 40%
85%を維持
●古着・古布
・古着・古布の資源化の促進
資源分別率
2.3
プラスチック製品
事業系
今後の課題 <H27⇒H40(目標)>
4.4
1.6
2.4
0.7
資源分 別率 びん・缶・ペットボトル 90%超 を維持
50% (H40 目標)
●生ごみ
発生抑制 5%削減
・飲食店等と連携した食品ロス削減のための仕組みづくり
・事業系廃棄物の減量を促進する立ち入り調査の実施
・事業系ごみ排出実態の把握による啓発・指導
・分別・リサイクルに係る中小事業者への重点的な啓発
資源分別率
35%
⇒
図 17 ごみと資源の分別状況と今後の課題
図 17 <家庭系>①ごみの内訳は、「家庭系ごみ細組成調査」により推計
②資源の内訳は、市収集分と家庭系自主回収量の合計
③紙製容器包装には紙パックを含む。
④四捨五入のため合計は必ずしも一致しない。
<事業系>①ごみの内訳は、焼却工場のピット内組成と「家庭系ごみ細組成調査」により推計
②資源の内訳は、事業用大規模建築物(延べ面積 3,000 ㎡以上)の減量計画書の集計をもとに推計
③紙類には、資源化困難な紙を含む。
④四捨五入のため合計は必ずしも一致しない。
19
50%
コラム①
3Rの意義
従来の大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会は、温室効果ガスの排出による
地球温暖化問題、天然資源の枯渇の懸念、埋立処分場の逼迫など、様々な問題に
密接に関係しています。
そうした問題を解決するためには、「廃棄物などの発生抑制がすすみ、資源が
無駄なく利活用され、環境への負荷が最小限に抑えられている」循環型社会を目
指す必要があります。
「①リデュース(ごみも資源も元から減らす)」、
「②リユース(繰り返し使う)」、
「③リサイクル(ごみも資源も分けて生かす)」という3Rの実践は、次のよう
な効果につながり、持続可能な循環型社会をつくるうえで、大変重要な取り組み
です。
■ 環境負荷の低減(CO2排出量など)
本市では、プラスチック製容器包装やペットボトルは、「容器包装リサイクル
法」に基づいてリサイクルしていますが、これらをごみとして焼却処理すると、
多くのCO2が発生してしまいます。
また、「容器包装リサイクル法」では、容器包装は市町村が分別収集し、異物
を取り除く選別を行った後、再商品化されますが、再商品化の費用は、容器包装
の製造・使用量に応じて事業者が負担しています。容器包装の分別・リサイクル
を進めることは、事業者責任の追求につながり、容器包装の軽量化など、容器包
装の製造・流通量の削減にも寄与しています。
■ 天然資源の消費抑制
製品の製造・流通等に必要な石油等の天然資源には限りがあります。
「リデュース」、「リユース」の取り組みを進め、「必要なものを必要なだけつ
くる、買う」というライフスタイルが定着すれば、天然資源の使用量を減らすこ
とができます。
また、リサイクルにより、有用な資源を回収して原材料等に活用すれば、製造
段階での新たな天然資源の使用量を減らすことができます。
■ 埋立処分場の長寿命化
本市は、焼却灰等を愛岐処分場(岐阜県多治見市)、第二処分場(港区)、愛知
県が中心となって整備した衣浦港 3 号地廃棄物最終処分場(知多郡武豊町)で埋
立処分しています。
埋立処分場の埋立容量には限りがあり、また、埋立処分場を新たに確保するこ
とは容易ではなく長期間を要するため、ごみを減らし、現在の埋立処分場を大切
に使うことが必要です。
20
コラム②
拡大生産者責任(EPR=Extended Producer Responsibility)とは
⑴「環境影響の最小化に対して生産者が持つ能力」に着目する
と同時に、
⑵「廃棄物処理についての財政的・物理的責任を、地方自治体・納税者から
生産者に移し、消費者が負担する(環境コストを商品価格に反映させる)」
ことをめざす考え方であり、OECD(経済協力開発機構、先進国を中心に 35 カ国が
加盟)によって提唱されています。
これは、「環境コストを商品価格に反映させれば、環境負荷の高い商品は割高となり、
自ずと淘汰される」という経済的手法の発想です。
廃棄物処理についての財政的・物理的責任を、
地方自治体・納税者から生産者に移し、消費者が負担する。
環境コストを市場に内部化
環境コストを、
製品コストに
組み込む。
1
「生産者・消費者」が
納税者に代わって社会的
コスト(環境コスト)を
支払う。
価格に、環境
影響を正しく
反映させる。
※OECD「拡大生産者責任
コラム③
消費者が、それにしたがって選択
できるようにする。
環境に配慮した
製品設計を促進
する。
政府向けガイダンスマニュアル」
(環境省訳、
(財)クリーンジャパンセンター訳)をもとに作成
容器包装リサイクル法
容器包装リサイクル法の概要
容器包装リサイクル法は、家庭から出るごみのうち、容積で6割、重量で 2 割を占め
る容器包装廃棄物を資源として有効利用することにより、ごみの減量化を図るために制定
されました。
消費者は分別排出、市町村は分別収集、事業者は再商品化を行うことをそれぞれの役割
分担として定めています。
事業者の役割
消費者の役割
消費者
商品提供
特定事業者
(商品の製造販売)
💴
分別排出
容器納入
特定事業者
(容器の製造販売)
①再商品化の費用の支払い(委託)
💴
指定法人:(公財)日本容器包装リサイクル協会
分別収集
💴
市町村
選別・圧縮梱包
保管
分別基準に適合させる
💴
市町村の役割
💴
💴
引取契約
運搬
②再商品化の委託費用
の支払い(入札)
再商品化事業者
(資源の再商品化)
再商品化
イラスト出典:(公財)日本容器包装リサイクル協会
21
2 容器包装リサイクル法の問題点
問題点1 分かりやすい「素材別リサイクル」へ
○ 法による「容器・包装」の定義が市民感覚に合わない
同じ素材、同じ形状でも、家庭で使用するラップなど「商品そのもの」の場合は法の対象
となりません。これは再生技術の難易差から生じるものではなく、法により定義されたもの
であり、市民感覚に合っていません。
○ 指定収集袋は容器包装と同様に資源化されるべき
自治体に課せられた収集・運搬の役割を円滑に推進するためには、指定収集袋は必要不可
欠なものです。しかし、同じプラスチックであっても容器包装ではないため、法ルートによ
るリサイクルができず異物扱いとなっています。
問題点2
事業所から排出された容器包装も、法ルートによるリサイクルを!
○ 事業所から排出された容器包装は、対象外
現行法の枠組みは家庭系を想定しています。このため、家庭消費と全く同じものであって
も、オフィスや店舗で消費される容器包装は対象外です。個人消費向け商品の容器包装は、
事業所から排出された場合でも法ルートに乗せられるようにすべきです。
問題点3 設計段階からリサイクルしやすい製品の開発を!
○ 大半の容器包装が、分別・リサイクルに配慮していない
素材を統一した容器包装も出始めています。しかし、「売った後のこと=分別・リサイク
ル」への配慮は十分でありません。
問題点4 環境コストの内部化を!
○ 「自治体負担による大量リサイクル」からの脱却
最も手間とコストのかかる収集・選別が自治体負担であり、「拡大生産者責任」が不徹底
です。このため、事業者に対する容器包装の発生抑制効果が不十分であり、ペットボトルな
どは生産量が増加しています。
「全てのリサイクルコスト」を事業者負担とし、
「収集・選別
を自治体が負担する場合には、委託料などの形で補填」するなど、
「拡大生産者責任」を徹
底することが必要です。
22
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