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妊娠・分娩・産標期に突発的な神経学的 症状を認め

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妊娠・分娩・産標期に突発的な神経学的 症状を認め
産婦人科の実際
第6
0巻 第 1
3号
(
2
0
1
1年 1
2月 1日 発 行)
産婦人科の実際
妊娠・分娩・産標期に突発的な神経学的
症状を認めた 18例の後方視的検討
松本直樹
黒崎修平
馬場章
深谷普子
鈴木永純
松本智恵子
金原出版株式会社
長固まり絵
高橋幸男
妊娠・分娩・産樗期に突発的な神経学的
症状を認めた 18例の後方視的検討
松 本直樹 *1 黒崎修平 *2 馬 場 章 *3 長田ま り絵 *1
深 谷普子 *1 鈴木永純 *1 松 本智恵子 *1 高橋幸男 *1
近年,妊娠関連脳血管障害 (
PCD) に関する救急対応の不備が取 りざたさ れている。そこで> PCDの鑑別
を迫られるような妊娠・分娩・産樗期 に頭痛や意識障害など突発的な神経学的症状を呈する症例の頻度を推
定することを目的として本研究を行 った。過去 4年半の聞にそのような症状を認めたのは 18例あり ,院内
発症例に限るとその割合は 0.39%であった 。また後方視的診断により PCD13例 (
妊娠高血圧関連,一過性
精神障害,片頭痛) とに分 けられた 。CTや MRIは 67%で行われた が
, PCDで
脳虚血発作),その他 5例 (
。十分な診察・検査を行う ,高次
あっても 38%で行われていなかった 。症状だけでは PCDを否定できなし 、
施設への搬送を考慮するなど対応に注意すべきである 。
診断後ではなく疑った時点で高次医療施設へ母
はじめに
体搬送を判断しなければならず, こういった疑
近年,緊急を要する産科的救急疾患,特に妊
い症例も前述の母体救命搬送システムの対象症
娠関連脳血管障害 (pregnancyr
e
l
a
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e
dcer
ebro-
例 に 含 まれる 3)0 PCDを疑う症状と して は頭
救
vasculard
i
s
e
a
s
e;PCD) に対する救急対応 ・
痛,意識障害,痘撃
その他神経学的症状など
急医療体制の不備が取りざたされる機会が多
が挙げられるが,この ような症状は軽いものや
かった 。そのような状況を改善すべく,関東圏
一過性のものを含めると稀とはいえない 。バイ
では 2008年 12月に埼玉県母体救命コントロ ー
タルサインやその他の全身状態も考慮 した 上で
ルセンタ一事業 1) 2009年 3月に東京都母体救
重症ではないと判断し
命搬送シ ステ ム2)が開始された 。
迅速な検査 ・診断 よ り
も,経過観察を優先することも実際の臨床にお
脳血管障害は出血性障害(脳出血 ・くも膜下
いては少なくないであろう 。 しかしながら,特
出血)と虚血性障害(脳梗塞 ・一過性虚血発作 ・
3-38.9%
に妊娠関連頭蓋内出血の死亡率は 12.
高血圧性脳症)とに大別される 。脳血管障害の
と高く
正確な診断には CT'MRIなど画像診断が必須
を下げる可能性もありうるため 4) 理想 的 には
であり, また神経学的診察や血液検査も必要と
最重症のケ ースを念頭においた管理が優先さ れ
する 。 よってわが国の分娩の約半数を担う産科
るべきである 。 このような方針に則っ た場合に
4
)-6)
診断 ・治療の遅れがさらに救命率
診療所において,症状 な どから PCDの鑑別 を
母体救命搬送システムの対象となりうる,特に
迫られた場合であっても
その場で正確に診断
PCD を鑑別 すべき症状を呈する症例がどの程
するこ とはほぼ不可能であ る。つ ま り
, PCD は
度存在するのかを推定することを目的と して本
*
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i 深奇赤十字病
*
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a
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i 深谷赤十字病院脳神経外科
*
3A
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a 深谷赤十字病院精神科
院産婦人科
d
唱EA
今可
AU
ヲh
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60NO.
132
0
1
1
研究を行った o また併せて
後方視的診断とし
て PCDであったケースとそうでなかったケー
期 1例
, 産樗期 3例)で,発症後に 当院から他
院へ搬送した例はなかった 。
神経学的症状の発症以前に 認識 されていた 主
スでの差異 を検証 した 。
なお深谷赤十字 病 院 (以下, 当院) は埼玉県
地域周 産期医療センターの 一つであり,ローリ
たる妊娠の異常や合併症 は,なし 5
0
.
0% (
9
/1
8)
,
妊娠高血圧症候群 (
PIH)2
7
.
8% (
5
1
18),てん
スク妊婦だけでなくハイリスク妊婦も多く 管理
かん,甲状腺機能克進症,子宮筋腫, 既往帝王
している 。何らかの合併症を持つ妊婦の比率 は
切聞がそれぞれ 5
.
6% (
1
11
8) であ った。
48%,帝王切開率 は 35%,早産率 は 9%,双胎
5
.
6% (
1
0
1
1
8),
分娩形式は,緊急、
帝王切開 5
理 は 2 % である ( 2008~2010 年 の 3 年間調 査) 。
7.8% (
5/1
8
) 選択帝王切開 11
.1%
正 常 分娩 2
さらに,内科,脳神経外科,麻酔科などを含む
(
2/1
8), 鉛子分娩 5.6% (
1
11
8)
。特に分娩以前
総合病院であり,第 三 次救急指定病院でもあ
3
.
3%(
5
/
6
)
,
の発症 6例に対しては,緊急帝王切開 8
る。埼玉県母体救命コントロールセンターから
紺子分娩 1
6.7% (
1/
6)が行われていた 。
要請があれば患者収容もありうるが今までに受
主 な突発的な神経学的症状として頭痛,意識
障害,痘撃, 眼球運動障害の ほか,片麻埠,構
け入れ要請はない。
音障害, 不穏,眠気,上肢のしびれ,手指の振
1. 方 法
.
6%(
1
11
8)で認めた (重複あり )
。
戦をそれぞれ 5
2005年 8月から 2010年 1月までの 4年 6カ
月間に,妊娠 ・分娩 ・産祷期 に突発的な神経学
緊急検査として採血
CT. MRIなどが行わ
1
.1% (
2/1
8) で緊急検査が実施
れていたが, 1
的症状を認め ,当院 においてその管理・治療が
されていなかった 。突発的な神経学的症状発症
行われた症例を集積し
後方視的に検討した 。
から初回 CTまたは MRI実施までの時間 (中央
神経学的症状には痘撃,意識障害, 眼球運動異
値)は,母体搬送された群で 2時間,院内で発
常,頭痛(軽微なものは除く)などを含めた。
症 した群で 45分であり
子痛の前徴とされる眼華閃発 などの視野異常だ
かった (
p= 0
.
0
4
8)
。
けを認める 症例 は含 まなか った。突発的な神経
学的症状を引き起こした 主たる病態を後方視的
後者のほうが有意に 短
3
.
3%(
1
5/1
8)
緊急治療が実施されていたのは 8
で,その内容は硫酸マグネシウム静脈内投与
に診断し, PCDと考えられた症例 (
脳梗塞 ・一
(
i
v
),ニカルジピン i
v,ジ アゼパム
過性虚血発作 ・高血圧性脳症) を PCD群,そ
急 速遂娩 2
7
.
8% (
5
/1
8) 挿管による気道確保
の他をその他群として 2群に分け,背景因子と
1
1
.1% (
2118) であった (重複あり )。
l
V のほか,
の関連について検証 した。統計学的手法として
突発的な神経学的症状を引き起こした主たる
Mann-Whitneyの U検定, F
i
s
h
e
rの正確確率検
IH66.7%
病態を後方視的に診断した結果, P
i検定 を用い,両側検定で pく 0.05を統計
(
1
2/1
8),一過性脳虚血発作 5
.
6% (
1
11
8
),精神
定,
学的有意 と判断した 。
2
.結 果
対象症例のリストを表 1に示す。各因子と群
2
.
2% (
4118),片頭痛 5.6%
障害(転換性障害) 2
(
1
11
8例)であった 。前 2者を PCD群,後 2者
7
.
8% (
5
/1
8)
,
をその他群と分けた 。また ,子楠 2
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o
rleukoencephalopathys
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n
-
別 (
PCD群・その他群 ) との関連を表 2に示
drome (
RPLS) 1
6
.
7% (
3/1
8),HELLP症候群
す。妊娠・分娩・ 産祷期 に突発的な神経学的症
1
1
.1% (
2/1
8)が存在 した (重複あり) が, こ
8例 で 同 一 女 性 の 2回の
状を認めたのは延べ 1
れらは上記 PIHに含まれる 。頭蓋 内出血例はな
妊娠が含まれた(症例 1
6と 1
7
)。
かった 。
突発的な神経学的症状発症後に当院へ母体搬
治療経過中に依頼した専 門医は脳神経外科ま
3
.
3% (
6118,妊娠期 2例,分娩
送 されたのは 3
たは神経内科 4
4
.
4% (
8/1
8例 ),救急 部 1
6
.
7%
A
唱EA
d斗
ヲh
AU
(
3
1
18例),内科(神経内科以外) 1
1
.1% (
2
1
1
8
例),眼科 1
1
.1% (
2
1
1
8例)精神科 5
.6% (
1
1
1
8
症例 1
0:
分娩翌日に脳梗 塞 を疑う 症状を認めたため
MRI実施。MRIでは異常所見を認めず, また症
例)であった (
重複あり )。
妊娠健診チェ ック項目に関して,高血圧を認
状が 2時間程度で消失したためリンゲル液補液
7
.
8% (
5
/1
8 軽症 PIH相当の高
めていたのは 2
のみで対応した 。
血圧 3例,重症 PIH相当の 高血圧 2例),尿蛋
症例 1
3:
白陽性が 3
3.3% (
6
1
1
8例, [
1+J4例, [
2+J
他院にて妊娠 2
6週から 尿蛋白 強陽性を認め
以上 2例),下肢浮腫 (
[2+J以上 )が 1
1
.1%
さらに悪化のため 3
2週に 当院へ紹介転院。重症
(
2
/1
8例),肥満または体重過増加(非妊時 body
PIHの適応で緊急帝王切開とした 。産祷期 に高
massi
n
d
e
x (BMI)孟 2
5または分娩直前 BMI
1日目に痘撃 を起
血圧・尿蛋 白が持続し 産祷 1
孟2
8以 上 ま た は 妊 娠 中 体 重増加 孟1
2kg) は
図 1) にて広範囲の梗塞像を認
こした 。 MRI (
5
0
.
0% (
91
1
8例)であっ た。
めた。脳神経外科による脳梗塞治療,腎臓内科
実際の診療において特に苦慮した症例に関し
によるネフローゼ治療など集中治療室管理 を
て説明を補足する 。
行った 。計 3カ月の入院期間を要した 。全身性
症例 2:
エリテマトーデスなど自己免疫疾患も検索 した
他院で妊娠健診を受けていて ,3
2週の妊娠健
が否定的であり ,最終的に 重症 PIH,RPLSと
診 において血圧 1
5
1/
9
6
1
6
0/
9
8(
収縮期血圧/
診断した 。
拡張期血圧,単位は mmHg,以下同様),尿蛋
症例 14:
白[1+J.浮腫[1+Jを認めていた。 カロリー
分娩進行中に 「
私も赤ちゃんも殺してー」と
制限を指示され帰宅。その 6日後に自宅で痘撃
絶叫した後,開眼はしているが痛み刺激にも反
を起こし, 口唇を岐んで出血したようであっ
応しないほどの 意識障害 を認め た。 しかし呼
たO 妊婦が吐血しているという情報のもと ,当
吸,循環などのバイタルサインに異常はなかった。
院救急部に搬送 されてきた 。
5, 1
6, 17:
症例 1
:
症例 3
帝王切開後の 産樗期に眼球上転,閉眼障害 を
妊娠 3
9週で血圧 1
2
7/6
3
1
5
7/
98と軽症 PIH
起こしたが,一過性の精神障 害(転換性 障害)
を認めていた 。分娩中に子痛の前徴と思われる
6,1
7は同 一女性で,
と考えられた 。なお症例 1
症状を認めていたところ
それが誘因 となり過
ともに帝王切開術後 1日目にほぼ同様の症状を
換気発作および返事が鈍いなど一過性の意識障
起こしたが,いずれも薬剤を使用せず観察して
害 を引き起こした 。
いたところ 自然に軽快 した 。
症例 8
:
8:
症例 1
妊娠期に PIHを認めず
前医で正常分娩に
至っ た。分娩後 1時間半後に頭痛,心宵部痛,
1
5
6/
9
0) を認めたため ,近隣病院で
血圧上昇 (
緊急頭部
CTを実施されていた 。脳出 血は否定
基礎疾患にてんかんがあり, 当院神経内科に
通院し管理を 受け ていた。フェノパルビタール,
カルバマゼピン , クロバザムの内服により発作
なくコントロールされていた。正常分娩から 5
されたとのことで,鎮痛剤 (
ペ ンタゾシン i
v),
時間後に頭痛などの訴えあり 。てんかんを含め
降圧剤〔 メチルドパ内服,ロサルタン内服 (
ア
た鑑別を要したが 最終的に片頭痛 と診断した。
ンジオテンシン E受容体括抗薬)J
, ジアゼパム
内服, 胃薬に て経過観察とされたが, 翌日 に採
血検査で HELLP症候群 と診断され 当院へ産樗
3
.考 察
突発的な神経学的症状発症後に当院へ母体搬
母体搬送された。当院で MRIを実施し RPLS所
送された症例を除いて当院における発生頻度を
見を認めた 。
計算すると,妊娠 ・分娩・産祷期に突発的な神
J
唱EA
ヲ
ム
、
戸AU
V
o
.
l
6
0NO.
1
32
0
1
1
どま 一
E書.対象症例リスト(症例
13
症
母量
山
母体
微送
分娩組ま肯
様式
1
-13:PCD群,症例 141
8:その他群)
突発的 分娩か
な神経
学的症 ら
・
4L 発症
突発的な神経学的懇訴・
状を認時間
報告
…
d
めた時
期
m
妊娠健診中に認めていた異常所見
神経学的症
状・所見
神総学的症状に関
する最終診針
(
h
r)
収縮期
血圧
緊急
注 160 検 査
mmHg
肥満
緊急治療(下線部分)・
その他の主たる治療
白
庄高血原蛋
導門医
依頼
または
躍語体重
過増加
妊娠中の
合併症
s
「腕力ずしびれる J
39 妊娠期
一7
上肢しびれ
PIH
あり
採 血 緊 急 CS (
硬脊麻)
h p 一
+ PIH
尿 検 降圧剤 (
ニカル ジピン i
v)
(
ph・
LO)
妊娠高血圧腎症
(
自宅で
発症)
HELLP
ー
ー
・
・
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ー
・
ー
ー
・
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骨
骨'
・
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・・
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・ー・・
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・
・
・
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ーー
-ー
ー
.
救急部
2 37 0 妊娠期 緊急 33 妊娠期
-2.
5 口か ら出血し ている
窪ま
量
PIH
H P
+ IVF妊娠
あり
採 血 旦ZPi
v,白
(
全
星
,身
(
他院で CS
いびきのような 呼吸
意識障害
妊娠高血圧腎症
脳外科
(
自宅で
CT 緊急 CS
麻酔)
PIH
意識レベル低下
(
pHLO)
健診管
発症)
挿管 ・人工換気
妊娠子痢
理中の
(
JCS:I20)*
降圧斉J
I(
ニカル ジピン i
v
)
痘鐙
アルブミンなど
妊婦)
・
・・
・ー
ー
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曙
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骨
斗
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骨
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・
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・
緊急 4
1 分娩期
-3
手指振戦
なし
採 血 緊 急 CS (硬脊麻)
3 25 0
「手が震える J
PIH
h 一一
+ PIH
「目の焦点が、
合わないj 動眼神経麻痕 (
(
h-LO)
高血圧性脳症に
ベンゾジアゼピン(ミタゾラム i
v)
CS
「自力fチカチカする j
頭痛
伴う神経学的症状)
眼葦開発
過換気症候群
「頭が痛い J
意識レベル低下
意識障害
(
JCS:I20)*
ー
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「頭が痛 L、
j
頭痛
4 26 0 分娩期 緊急 38 分娩期
2
PIH (
分娩期発症) あり
なし
採血 DZ巳~, 日豆,
痩筆
窪筆
分娩子痢
降圧剤 (
ニカルジピン i
v)
CS
緊急 CS (
全身麻酔)
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鉛子 40 分娩期
一1
「頭全体が痛し、」
頭痛
PIH (
分娩期発症) あり
子宮筋腫
5 32 0
採血凹豆
日匝気 .0匝吐
分娩
「気持ちカf悪い」
CT 急速遂娩 (
錯子分娩)
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DZP内服
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明
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「後頭部カ、痛し、」
頭痛
正常 40 産梶期
0.
5
PIH (
分娩期発症)
6 29 1
あり
採血凹豆
+ なし
分娩
尿 検 降圧剤 (
ニ カルジピン i
v)
鎮痛剤 (アス ピリン)
降圧剤 (
メ チルドパなど )
睡眠導入荷l
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頭痛
正常 39 産縛期 0.
8
「頭が痛いj
PIH (
分娩期発症) あり
鎮痛剤 (
ロキソプ口フ ェン 内服)
7 36 1
なし
分娩
「胃のあたりが痛いj
心窟部痛
睡眠導入荷l
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骨
骨
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頭
カ
言、
割れるほど痛 L、
J 頭痛
PIH (産樗期発症) なし
採血 (
前医にで降圧剤
脳外科
8 30 2 産祷期 正常 40 産縛期
1.
5
不明
なし
分娩
[メチルドパ内服・口サルタン内服],
心寓部痛
HELLP
「
胃 が痛い J
内科
CT
(循環器
RPLS
MRI DZP内服,ペンタゾシン i
v,胃楽)
MRA 降圧剤 (
ニ カル ジピン i
v)
-腎臓)
1 30 0 妊娠期
緊急
CS
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「頭が痛し、」
頭痛
正常 4
1 分娩期 2.
5
I(
ニカル ジピン i
v)
採血 降圧斉J
PIH (
産樗期発症) あり
9 39 5
神経内科 一 一 一
なし
f
本がびくび くしている
意識障害
分娩
CT 鎮痛剤(アセ卜アミノフ工ン)
声かけに反応乏しい
MRI
(
JCS: I20)本
MRA
<o一小OZo-ωMO--
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「ろれつが'
回らなし、」
救急部
なし
採血 補液のみ
情音障害
選択 38 産樗期
31
一過性脳虚血発作
+ なし
脳外科
「右手に力が入らない J 右半身麻痕
MRI
CS
MRA
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畠
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脳外科
1
1 35 0 産樗期 緊急 40 産樗期 48
転倒
PIH
PIH
意識消失
あり
採 血 目豆
H P + +
産楊子痢
尿検 降圧剤 (
ニカル ジピン i
v)
眼科
(
PH-LO)
意識障害
CS
一過性の意識消失
MRI DZP内服
RPLS
MRA
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痩筆
PIH (
産縛期発症) なし
採血 DZPi
v
12 23 0 産停期 緊急 4
1 産樗期 3日
患雪
量
+ なし
意識障害
産楊子痢
一過性の意識消失
CS
原検日豆
ニカルジピン i
v)
CT 降圧剤 (
降圧斉J
I(
メ チルドパ内服)
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頭が痛 L、
頭痛
PIH
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13 23 0
緊急 32 産停期
1
1日 「
あ り 採血 DZPi
v,日
皇
,
内科
+ PIH
(
PhEO)
窪自
陸
痩自
陸
妊娠高血圧管症
尿検 降圧斉J
I(
ニカル ジピン i
v)
(
腎臓)
CS
産得子痢
脳外科
意識がおかしい
意識障害
CT 縛管 ・人工換気
MRI ヘパ リン,脳梗塞治療
(
JCS:11
)↑
眼科
RPLS
MRA (
グ リセリ ン,カルペ リチ ド
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エダラボン, オザ グレル)
ステ ロイド など
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精神障害
救急部
甲状腺機能
緊急 37 分娩期
一3
分娩中 に絶叫し た後,開 意識障害
なし
採血 鎮痛剤 (
ぺンタゾ シン i
v)
14 24 0
(
転換性障害)
眼しているが反応がない
CT 緊急帝王切開 (
硬脊麻)
脳外科
低下症
CS
(
JCS:13-R) 土
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精神障害
脳外科
緊急 4
1 産縛期
12
「落ち着かなし、 J
不穏
なし
採血 DZP内服
なし
15 20 0
精神科
(
転換性障害)
「目が上向いてしまう J 眼球上転
CT
CS
「まぶたを閉じら れな
し
、」 開眼障害
MRI
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精神障害
脳外科
16 21 1
選択 37 産樗期
20
「目が上向いてしまう j
眼球上転
なし
CT
既往 CS
「
ま ぶ たを閉じ られない j 開眼障害
(
転換性障害)
CS
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眼球上転
精神障害
17 18 0
緊急 31 産楊期
28
「自が上向い て しまう」
なし
なし
「
ま ぶたを閉 じら れない」 閉眼障害
(
転換性障害)
CS
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ー
・
ー
ー
ー
ー
・
ー
・
・
ー
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
ー
・
頭痛
片頭痛
18 35 0
正常 38 産情期
5
「頭が痛い j
v
神経内科 一 一 一
なし
採血 DZPi
+ てんかん
直
日 気 ・日匿吐
CT 片頭痛薬(工レ卜リブタン)
分娩
「生あくびが でる
」
睡眠導入剤
眠気
「
気持ち悪し、 J
顔面浮腫
顔面 浮腫
p
a
F
o
a
p
p
e
p
p
CS 帝王切開術, DZP:d
i
azepam, EO:e
a
r
l
yonset (
早発型),h 軽症高血圧, H 重症高血圧, HELLP:HELLP症候群, I
V 静脈内投与, IVF:体外受精, JCS:J
apancomascal
e, LO:l
a
t
eo
n
s
e
t(
遅発型),
Mg 硫酸マグネ シウム , MRA:magnet
icresonanceangiography, p:
軽症蛋 白尿, P 重症霊白尿 PIH 妊娠高血圧症候群, PCD:妊娠関連脳血管 障 害 RPLS:
r
e
v
e
rsi
b
lepost
er
i
o
rl
eukoencephal
o
p
a
t
h
ys
yndrome,
硬脊麻:硬膜外麻酔+脊椎麻酔
刺激すると覚醒するが、
刺激 をやめると 眠り込 む状態かつ大きな声または体をゆさ ぶ ることによ り開眼する
T 刺激し ない でも覚醒している状態かつだいたい意識声明 だが今ひとつは っきりし ない
:
1 :刺激し ない でも覚醒している状態かつ自分の名前 ・生年月日が言えないかつ不穏状態を伴 う
g ・非妊時 bo
dymassi
n
d
e
x(
BMI) 註 25また は分娩直前 BMI迄 28以上または妊娠中体重増加孟 12kg
市
¥寸
a
p
a
N
.
.
p
10 24 0
E霊'症例の各因子と群別
(PCD群・その他群)との関連
n
n
割合 T
または
計 18
年齢 (
歳, 中央値)
初産
妊娠歴
分娩時週数 (
中央値)
母 体搬 入
-ーーーーーーーーーーーーーー ・ーーー
あり
100%
範囲:18~39 )
27.5(
13
72.
2%
39 (
範囲:3
1~4 1)
6
33.
3%
ーー ,ーーーーーーーーーーー・・ー........._--ーーーーーーー ーーーーーーーーーーーーーーーーー
突発的な神経妊娠期
学的症状の発分娩期
症時期
産祷期
突発的な神経頭痛
学的症状 5
意識障害
痘筆
眼球運動障害
2
4
12
9
7
4
4
-ー-----・・p・・・・ー・ー・・・・ーー-------- - ー
最高血圧 160mmHg以 上
9
または
統計量
統計量
因子
後方視的診断による群別
その他群
n
または
割合 T
割合 T
PCD群
全体
13
100%
(72.
2%:
1
:
)
30(
範囲:23~39 )
9
69.2%
40(
範囲 :
32~4 1)
6
46.
2%
ーーーーーーーーー-ーーーーー・ ・・ .-.-----------------ー・ーーーーー ーーーーー
1
1.
1%
22.2%
66.
70c
I
。
2
3
8
4%
15.
23.
1%
61.5%
50.0%
38.9%
22.
2%
22.
2%
8
6
4
61.5%
46.
2%
30.
8%
7.
7%
9
69.2%
100%
(
2
7
.
8% 土
)
5
21 (
範囲:18 ~ 35 ) 0.
049*
4
80.0%
1
.
0
37(
範囲:3
1~4 1) 0.18
。
。
0
.
0%
0.12
ーーー・----ーー ー・ー・・・ ・・・・・・・・ーーーーーーーー ・・・-----
4
。
。
3
・ - -- - - - ー ー ー ・ ・ ・ ー ー ・ ー ー ・ ・ ・ ー ー ー ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ー ー ・ ー ー ー ー ー ー ー ー ー - - - _ - _ - ・ ー ー ー ー ー ー ー ー ・
50.0%
p
統計量
a
0
.
0%
20.0%
80.0%
0.62
20.0%
20.
0%
0
.
0%
60.0%
0.
30
0.
60
0.
28
0.045*
・-ーーーーーーーーーー・ーーー..・・・-_----・ーーーーーーーーーーーーー
0
.
0%
0.030*
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー - - - _ - - - - - - - - - - --- - -ー・ ーー ・ーーーーーーーーー . . .ーーーーー・-----------・ーーーーーー - ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ・ ー ー ー ー ー ー ー ・ ー ー ー ー ー ー ー ー ー ・ ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ーーーーーーーー・・ー ー-ーー・ ・ーー・ーーーー ・・ ー
15
10
MRI
6
rM
RI 12
CTand/o
実施された緊採血検査
急検査 5
CT
83.3%
55.6%
33.3%
66.7%
発 症 か ら 初 回 CT/
MRI実 施 1.
4( 範囲 :0.35~3 )
12
6
5
8
92.3%
46.
2%
38.
5%
61.
5%
1.
4(
範囲:0.35~3 )
までの時間 (
時間, 中央値)
緊急治療のた硫酸マグネシ
めに使用されウム
た薬斉I
jS
ニカルジピン
ジアゼパム
・--------_ー.ー-ー ーーーーーーーー--------------
妊娠健診にお高血圧
いて認めてい尿蛋白陽性
た異常所見 5 下肢浮腫
肥満または
8
44.
4%
8
61.
5%
7
5
38.9%
27.
8%
7
4
53.8%
30.
8%
- - - - - - - - - - --_--ーーー-・・..・ーー,ーー..・・.------ーー ・ー ー ・ー ー ー - - - - ・ ・
5
6
2
9
27.8%
33.3%
1
1
.
1%
50.0%
体重過増加
PCD:妊娠関連脳血管障害
* 有意差あり (
両側検定, pく 0.05)
↑:各因子ごとの各群内での割合
n=18) に対する割合
:
)
: 全対象症例数 (
5 ・重複あり
5
6
2
9
E
3
4
4
60.0%
80.0%
20.0%
80.0%
0.18
0.32
0.62
0.62
1.
3(
範囲:0.5~2 ) 1.
0
。
。
。
。
。
0
.
0%
0
.
0%
20.0%
0.
036*
0
.
1
1
0
.
1
1
・ E ・ーーー・ ーーー...・-------ーー ・ー ー ------- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - _ - - ・ ー ー ー ・ ・ ・ ・ー-ーー
38.5%
46.
2%
4%
15.
69.2%
0.
0%
0.
0%
0
.
0%
20.
0%
0.25
0.12
1
.
0
0.
30
OO
LE
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AU
園工コ症例
13の脳 M
R
I(
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nr
e
c
o
v
e
r
y画像)
a 痘掌発症直後。両側後頭葉,両側頭頂葉,両側基底核,左前頭葉の皮質下に多発性の
高信号域を認める 。
b:痘寧発症後 5日目 。病変の範囲および分布は縮小している 。
.
3
9
%[
12
/
3
0
4
1(
※
経学的症状を呈する頻度は 0
ていなかった 。つまり,これら 2群の聞にプロ
3
0
4
1は対象期間の当院分娩数)],PCDの頻度
フィールの差異 はややあるが,特に妊娠健診中
は0
.
2
3% (
7
/
3
0
4
1)であった。つまり突発的な
の高血圧・尿蛋白などの情報だけでは ,突発的
1
.7
%(
5
/
1
2)は
,
神経学的症状を 呈 した症例の 4
な神経学的症状を認めた際に鑑別を行うことが
精 神 障 害 な ど に よ る 症 状 で あ り PCDではな
難しい症例も多く存在することを示唆している o
突発的な神経学的症状を認めた後に
かった 。
CTや
次に,本研究の全対象 1
8例を PCD群 7
2
.
2%
MRIが行われていたのは対象症例の 2
/
3であ
(
1
3/
1
8)とその他群 2
7
.
8% (
5118) とに分け考
2
.
3
%(
12
/
1
3)が PIHで
察する 。PCD群では 9
あり,その 7
5
.
0
%(
9/
1
2)が重症(収縮期血圧
り
, PCD群とその他群とでの差はなかった 。実
発 症 か ら 実 施 ま で の 時 間 が 中 央 値 45分とス
1
6
0mmHg以上,子繍, HELLP症候群) に相
ムーズに検査が行われていたといえるが,そも
当 した 。一方, その他群では, 1例でジアゼパ
そも 1
1
3では実施されていなかった D 鈴木らの
施されたケースでは
特に院内発生例において
ム lVを要したが,生命予後の観点からすれば臨
検討 7)のなかでも頭痛または神経症状を認めた
床的に重症ではなかった 。PCD群よりその他群
ケースのうち 5
7.
1% (
1
6/
2
8)において症状が短
のほうが年齢が若く
時間で軽快したという理由から画像検査が行わ
眼球運動障害 を多く認め
た。PCD群のほうがジアゼパム,硫酸マグネシ
れていなかったと述べている 。胎盤早期剥離,
ウム,ニカルジピンなどの使用頻度が高かっ
HELLP症候群,頭蓋内出血を伴わない子嫡の
た。PCD群では,当然であるが,妊娠健診中に
予後は悪くない 6)ので
高血圧・ 尿蛋白を認める頻度が高かったが,そ
た場合に画像診断の省略を臨床的に判断される
れでも半数以上で高血圧 ・尿蛋白の所見を認め
ケースが少なくない現状を
これらの結果は示
'EA
。
フ
ヲu
ハU
V
o
.
l
6
0NO.
1
32
0
1
1
短時間で症状が改善し
している 。
存在しうることを大まかに推計できる 。
吉松ら 4)は 2006年の分娩を対象として PCD
中林らにより,
1
1人の妊産婦死亡には,
73人
に関する全国規模のアンケート調査を行い(対
の死に至りうる 重症妊産婦が存在する J6)こと
象施設:総合病院・大学病院などの産科・内
が明らかにされた 。つまり l例の最重症例を管
,
582施設・ 3,
238診療科,回答率
科・脳外科, 1
理するためには,その数十倍の症例を 管理する
7
0
.
0%に そ の 結 果 1年間で 1
8
4例の PCDが存
キャパシティーが要求されることを 意味する 。
在したことを明らかにしている 。 この結果なら
本研究の対象期間に頭蓋内出血や予後不良例は
びに同年の全国 出生総数は 109万であることか
なかったが,死亡例・死に至 らなか った最重症
ら
, PCDの発生率 を 0
.
0
2
4%
084/
7
6
.
3万 (109
例・それに次ぐ重症例・結果として軽症 だった
万の 7
0
.
0%)Jと見積もることができる 。 しか
が管理を要した例
というようなピラミ ッ ド
し こ れ は今 回のわれわれの結果 (
PCDの発生
が,突発的な神経学的異常所見を 呈する症例に
率0
.
2
3%) と大きな隔たりがある 。 われわれが
おいても形成されているということが示 された。
思うには,このようなアンケート方式の検討で
PCDを鑑別すべき突発的な神経学 的症状を
は結果的に軽症ですんだ症例が各施設からの回
呈する症例に遭遇した場合には,可能な施設で
答からもれている可能性があるのではないだろ
あれば十分な検査 ・管理を速やかに 実施すべき
うか。本研究においては
事前に突発的な神経
である 。そうでない施設であれば,早期の 高次
学的症状に注目することでそのような症状を 呈
施設搬送を考慮するべきである 。 しかしなが
した症例をもれなくピ ックア ップしたため,軽
ら,それを受け入れる側の体制が不十分である
症から 重症まで含めた検討ができたものと考え
ことも現実であり
ている 。つまり,軽症の PCDも含 めると決し
が広く整備されることを期待したい。
母体救命搬送システムなど
て少なくない数の症例が存在することを今回の
本論文の要旨は 第 1
1
9回日本産科婦人科学会 関東
結果は示唆している 。
一方で,頭蓋 内出血に関しては軽症は存在し
連合地方部会学術集会で発表した 。
えないので吉松らのアンケート回答数の信濃性
は高いと 考 える 。そうすると ,その研究での妊
産婦頭蓋 内出血例数を分子 として,わが国での
その発生率 を 0
.
0
0
7
5%
(
5
71
7
6
.
3万)と見積もる
ことができょう D 妊産婦頭蓋 内出血の発生率 は
.
0
0
6
1%
米国で 0
(
4
2
3/
6
9
7万)と報告されてお
り5)ほぼ同様の頻度である 。 わが国の頭蓋内出
血による妊産婦死亡数については, Nagayaら
)が参考になる 。妊
の妊産婦死亡 197例の検討8
回目 文
献
1)松村英祥ほか:埼玉県における母体救命コン
トロール事業の現状と今後の展開. 日産婦関
東連会誌 46:244,2009
2
) 東京都母体救命搬送システムの創設につい
て.東京都ホームページ:h
t
t
p:
/
/www.metro.
tokyo.jp/I
NET/OSHI
RASE/
2009/
03/
20j3j300.htm
3)松岡 隆ほか:母体救命搬送システム.周産
期医 40:721 726, 2010
4)吉松 淳ほか:わが国における妊娠関連脳血
管障害.産婦治療 99:265-269,2009
5
) 8ateman8Te
ta
l:I
n
t
r
a
c
e
r
e
b
r
a
lhemorrhage
i
s
kf
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t
o
r
s,and
i
npregnancy:frequency,r
outcome.N
e
u
r
o
l
o
g
y68:424429,2006
6) 中林正雄ほか:周産期委員会内・母体死亡お
よび重篤症例の集積と調査に関する調委委員
会 報 告 日 産 婦 誌 61 :1558-1567,2009
7)鈴木万幾子ほか:妊娠に関連した脳血管障害
に関する検討.日神救急会誌 21 :16,2009
8)NagayaKe
ta
l:Causeso
fm
a
t
e
r
n
a
lm
o
r
t
a
l
i
t
yi
nJ
a
p
a
n
.JAMA283:24-31,2000
・
産婦頭蓋 内出血による死亡は日本中で 27例で
あったとしているので同調査期間 (
1
9
9
1~1992
年)
の出生数を分母とするとその発生率は0
.
0
0
1
1%
(
2
7/
2
4
3万)となる 。 これらの頻度をもとに計算
すれば,頭蓋 内出血およびその死亡例の発生率
に比べ,PCDはそれぞれ 3
1倍 (
0
.
2
3%1
0
.
0
0
7
5%),
210倍
(
0
.
2
3%1
0
.
0
0
1
1%)で発 生 しえ,突発的
・
・
な神経学 的症 状を呈する症例はそれぞれ 52倍
(
0
.
3
9%1
0
.
0
0
7
5%,
) 350倍
(
0
.
3
9%1
0
.
0
0
1
1%)が
'EA
n
u
--iヲ,山
Fly UP