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こちら - 神戸市

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こちら - 神戸市
パネルディスカッション
神戸らしい眺望景観の形成に向けて
三輪:皆さんこんにちは。後半はパネルディスカッションと
いうことで、2時間弱ですがよろしくお願いいたします。本
日のテーマは、神戸らしい眺望景観の形成に向けてというこ
とで4人のパネラーにご出席いただきました。
神戸フィルムオフィス代表
田中
まこ
まず、これまでのセミナーについて振り返っておきたいと
氏
思います。
大阪大学大学院工学研究科准教授
福田
知弘
第1回目のセミナーは、3月 28 日、神戸大学の栗山先生か
氏
ら眺望景観には様々なタイプがあり、海外の対策例をご紹介
京都市立芸術大学美術学部デザイン科准教授
藤本
英子
氏
産として守っていくための意識付けが大事である、というこ
㈱神戸クルーザー代表取締役社長
南部
真知子
氏
神戸大学工学研究科准教授
三輪
2009/6/27
康一
氏
いただき、眺望景観は公のものであり、市民みんなが共有財
とを学びました。
第2回目の4月 25 日は、私の方から、神戸の景観の特色と
いうことで、地形条件や歴史の中で育まれてきたまちなみの
景観、六甲山の北側では田園の景観など、それぞれの地域に
応じた景観が展開しているということをお話ししました。最
近では景観を守り育てる考え方の中で、市民自らが育ててい
こうという自律的な考え方と、大きな眺望景観という、2つ
の動きについてお話しました。
第3回目では、5月 30 日に藤本先生から、景観と屋外広告
物について、行政がルールを持って努力していくということ、
事業者が屋外広告物をデザインしていくこと、生活者がそれ
を評価していく、といった様々な立場から考えていくことが
必要である、というお話しをいただきました。最近では地域
の特性に応じたデザインが行われていること、生活者が声を
上げていくことが屋外広告物の景観にとって大切だ、という
ことを学びました。
第4回目の本日は、田中まこさんから、神戸の魅力と景観
ということで、魅力的な映像を見せていただきました。普段
気づかない、ハッとする思いで新鮮でした。
次に、神戸での眺望景観の取り組みについてですが、展望
公園の整備や山ろくリボンの道、都心ウォーターフロントの
景観形成、眺望路などがあります、また、眺望景観 50 選.10
選があり、しおさい公園から山並みを隠さないための高さ規
制やシンボルの「錨」への見通しを確保する取り組みも検討
されています。
本日のパネルディスカッションですが、セッション1と2
に分けたいと思います。
セッション1では、神戸の景観、眺望についての関心ある
ことを、各自自己紹介を兼ねてお話いただきたいと思います。
セッション2では、神戸らしい眺望景観を形成していく上
で何が必要か、市民の共有財産としての意識付け、眺望への
理解、大切にしたいことなどをお話願えればと思います。
それでは、福田さんからお願いいたします。
福田:私は加古川の生まれで、加古川で 18 年過ごした後、神
戸を素通りして(笑)、大阪に行きました。大阪で暮らして今
年は 19 年目となる年で、大阪で住んだ年数が一番長くなる記
念すべき年です。
神戸との関わりは、2001 年震災復興事業ということで、照
明のデザイン競技があり、風見鶏の館、萌黄の館とその周辺
を対象にした夜間景観デザインでの最優秀賞を頂いたことで
した。対象地は住宅地なので、観光客があまりたくさん来て
もらっては困るということで、日没から午後 10 時までを演出
モード、そして深夜になると現在設置されている街灯を再利
用した生活モードという提案をしました。竣工してから、7
~8年になります。また、大学では環境のデザインなどを教
えています。また、事前にシミュレーションできる情報通信
技術の開発を行っています。
環境デザイン学では、建築や道路に加えて、夜間景観も大
事であるということで、学生たちに照明デザインの講義をし
ております。そして、教室の座学だけでは理解がしづらいの
で、毎年、学生たちと神戸の夜をまち歩きしています。海が
あり、坂があり、山から見下ろし、最後は風見鶏の館で記念
撮影をするということにしています。
大阪の魅力は人情にあると思います。この写真(北浜テラ
ス)をご覧ください。京都には川床が古くからありますが、
河川法という法律が制定されて以後に、日本では珍しく河川
用地にレストランのテラスが設置された事例です。行政、地
元の土地や建物の所有者、テナント、NPO などが関わっており
ますが、、知恵を出し合って、河川の上にテラスを張り出して
いるという事例です。
それからこの写真(大阪旅めがね)も、今朝、私も参加し
てきたのですが、大阪のおもしろい所を発見して、参加した
観光客に地元に精通したガイドがお伝えしようということ
で、すなわち、着地型観光をはじめています。そういうこと
で、大阪の人情をうまく利用しながら、大阪を PR していこう
と、活動しはじめています。
一方、神戸はスマートさがあると思います。いうまでもな
く山、海があり、旧居留地、南京町などのエキゾチックなと
ころもあります。大阪にも旧居留地があります。川口にある
のですが、多分ほとんど知られていません。
神戸市株式会社と呼ばれた時代がありましたが、山を削っ
て陸地を作り経済発展をした、というところにしたたかさと
いうかスマートさを感じます。ただ、最近神戸に来て、外か
ら思うことは、スマートさゆえかも知れませんが、おとなし
いな~と思います。例えば、まちなかで、宿泊関係の方々に
聞いてみますと、
「あまり皆さん街に泊まらず有馬に行ってし
まう」とよくぼやいておられます。神戸市全体から見ると、
それでも OK なのかも知れませんが、まちなかの元気のなさ、
となしさを感じてしまいます。
最近、スペインのビルバオ市にグッゲンハイム美術館がで
きまして、まちおこしの起爆剤として知られていますが、そ
の美術館をデザインしたのはフランク・オー・ゲイリーとい
う建築家です。彼は 1987 年、神戸にフイッシュダンスホール
をデザインしました。新しいものを取り入れてやっていこう
というチャレンジの精神が神戸にはあると思いますが、最近
それがおとなしくなったのかなあという気がしています。
三輪:はい、ありがとうございました。最近の神戸はちょっ
と元気がないかな?というお話しでした。
それでは、南部さん、お願いいたします。
南部:最近、公的に目にするコンチェルトの写真ということ
でご紹介しますと、豚インフルエンザの影響で相当痛い目に
あった神戸が、
「行こう神戸キャンペーン」ということで、7
月 17 日から8月 16 日まで実施するのですが、その中の、あ
る運動に使われている図柄が、ちょうどこの写真(コンチェ
ルトとポートタワーと、背景にハーバーランド)です。
それは、市内の婦人会の皆さんにワンコインをご供出くだ
さい、ということで、ワンコインで切手付きはがきを 10 枚買
ってもらって、市外の人に送ってください、というものです。
そのはがきの図柄には、ホテルオークラの上から見た、この
写真が使われているのですが、このアングルは結構色々なと
ころで見られます。また、この冊子は「旅こよみ」という JR
西日本さん管轄の全駅で配られている PR 力絶大のフリーペー
パーですが、同じ図柄の写真が表紙に使われています。
また、きっと皆さんのご記憶にもあると思われますが、NHK
の関西の天気予報といえば、このアングルの画像が、背景に
写ります。今日は、この船に携わる観光の現場で思うこと、
あるいは海の方から見た景観というものについてお話しよう
と思います。
最近、観光というのが様相を変えてきました。昔の観光と
いえば、バスに乗り、効率的に桃狩りに行って寺院にお参り
して美術館を見てと盛り沢山な観光でしたが、いまは効率は
悪いけれども個性を生かした観光へと変わってきておりま
す。いわゆるファーストからスローへという風にもいわれて
いますが、いずれにせよ、我々はこだわりのものを求めて観
光される方々に幸せや満足感をお与えする立場にあります。
光を観る「観光」から、幸せを感じる「感幸」へ字を言い
換える人たちが出てきております。北大の石森秀三先生はそ
んな風におっしゃっていますが、個別化、パーソナリティー
が追い求められてきている中で、我々は色々なバージョンで
幸せを感じていただけることを目指しながら、仕事をしなけ
ればいけないと思っています。そういいながらも、それぞれ
のすべての皆様にというわけにもいきませんので、最大公約
数的な考え方で、幸せを感じていただけるようなものをお出
しする、という状況かなと思っています。
我々のサービスは、しあわせの4層構造といっております
が、クルージングがあり、料理があり、心に響くサービスが
あり、生演奏会があり、ということでの4層構造です。それ
で、見ていただくクルージングの景色はというと、ここでも
やはり4層構造ということになります。山から見てもやはり
4層見えるわけです。海から見た場合をイメージしてみてく
ださい。まず海があります。きらめく街があります。山があ
ります。空があります。こんなかたちで4層があるわけです
が、山から見た4層と比べると、山がくっきりと山らしく見
えるのが海からの4層構造なんです。これがやはり、我々と
しては、ビッグポイントかなと思っています。
もうひとつ、もし神戸に山がなかったら、横浜と戦えない
なと思うぐらい、山というのは神戸にとって素晴らしい要因
かなと思います。山というのは「静」か「動」かというと「静」
で、活動か休息かというと、休む場所というイメージですが、
それに対して、海というのは活躍する場所であり発展する場
所である、という「うまいバランスが神戸にはある」という
のがいいのだろうという気がします。海から見る神戸のビッ
グポイントは、もう一つ、発展する場所、活動する場所であ
る海に出るとき、人間は何か高揚感を持ちます。うきうきわ
くわくする高揚感の中で海から神戸の街を見るというのがい
いと思います。
そのような中で、色々な方のお幸せを勝ち取るためには、
先ほど、田中まこさんは、景観はものすごく大きなポイント
だといわれました。私もその通りだと思いますが、景観だけ
では駄目で、五感のうちの、やはり味覚が大きい要素である
と思っています。特に最近、いわゆる地産地消の食べ物、健
康志向の食べ物などの要因が大きいと思います。それともう
ひとつ、人と人とのかかわり、温もりといった温かい気持ち
を抱くことができたなあという所に、多分、人はリピーター
として訪れるのだと思っています。
三輪:ありがとうございました。山と海が分かちがたくある
というのが神戸で、さらにそこにそれだけではなくて、食べ
る楽しみがあったり、人と人とのかかわり、温もりが大切で
あるというお話でした。これについては後の方でくわしくお
聞かせいただきたいと思います。それでは、次に藤本先生お
願いいたします。
藤本:京都市の大学ということでご紹介いただきましたが、
住まいは大阪です。大阪から京都に通い、景観を 20 年ほどや
ってきました。ようやく、景観という言葉が広く市民に定着
してきました。もともと景観の専門家というのはいません。
土木の方、緑の方、建築の方、交通の方とかいろいろな分野
の方たちが景観に関わっています。
私と神戸のかかわりは、父が神戸のファンで、休みになっ
たら神戸に遊びに来ていました。だから私にとって懐かしい
憧れのまちです。父は震災を知らずに亡くなりました。
たまに神戸に来ることはあったのですが、ここでお話しす
るにあたっては、生の神戸を見ておかないといけないと思い
まして、家族からは一夜漬けといわれましたが、朝からまち
を見て来まして、すごく新鮮な印象を持っています。外の目
ということで、私の発言が皆さんに何かしらの刺激を与えら
れたらいいなということで、そこから得た印象をお話ししま
す。
第一印象は、神戸はダイナミックな景観のまちだなという
ことです。鳥の目から見たまちのようです。京都は「歩いて
暮らせるまちづくり」という施策をここ十年ぐらい進めてい
まして、歩いた視線から、どちらかというと庭的な感覚で、
ちっちゃな庭から東山が見えるとか、そういう視点が多く、
箱庭的な楽しみ方なので、神戸に来ると非常にダイナミック
な印象があります。
二つ目は、わかりやすい表現でいいますと、神戸は縦に人
工的なものをつくっているなという印象を受けます。京都は
横です。そんなに単純に言っていいのかというのはあります
が、人間が育つ中で、原風景というのがありまして、自分で
作り出すものも操作されているという風に思うのですが、神
戸は、クレーンだとか、みなとまちの景観が縦になっていま
して、ビルも縦に伸びるものが多いなという印象です。京都
は横のまちです。平入りという町家の通りの風景で、決して
三角の屋根が通りからは見えなくて、行政指導の方も「横線
を出してください」という言い方で指導しています。
一方、私は色の専門家でもありますが、上手な色使いをし
ているなと思いました。ニュートラルな中にアクセントカラ
ーをうまく使っているなという印象です。深い緑やマリンブ
ルーとか深い色を上手に使っていると思いました。京都はモ
ノトーン、白や黒に近づけていくといった色を消していく方
向、それと素材の色ということでやっています。
眺望景観で、栗山先生がお話しになったかもしれませんが、
神戸の眺望景観は、見晴らし型、見通し型の二つのパターン
で考えられています。京都では「借景の分類」という言い方
をしていますが、八つあります。分かりやすく簡単にいいま
すと、①境内の眺め、②通りの眺め、③水辺の眺め、④円通
寺(標高 110.2m)などの庭園からの眺め、⑤山並みへの眺め、
⑥錨と同じ意味ですが、しるしへの眺め、⑦見晴らしの眺め、
⑧見下ろしの眺め、の八つです。また後ほど、話が出るかと
思いますが、とりあえずの話としてさせていただきました。
三輪:はい、ありがとうございました。大阪にお住まいです
が、京都と神戸をうまく対比させて、都市の特色を切り取っ
ていただけたと思います。
田中さんには、先ほどお話しいただきましたが、何か付け
加えることがございましたら、よろしくお願いいたします。
田中:私は、ご紹介いただいたように、国土交通省から観光
カリスマに指名されまして、日本の観光のために働かなけれ
ばいけない立場にもあります。
神戸の魅力を外に伝えるのに、いつも困るのが、小さい素
敵なものはいくつもあるのですが、絶対これだけはというひ
とつのものがなかなかない、というのが一番つらいところで
す。景観でもそう思います。食べものでもそうです。
はじめ物語といって、日本で始めて紹介されたもので、神
戸から発信されたものはありますし、会社でも神戸発祥のと
ころもありますが、業界で1番の会社の本社がずっと神戸に
あって、神戸に着いたときに思い浮かべることができる会社
がいくつあるかと考えたときに、弱いような気がします。
観光でも、山あり海ありですが、神戸はどっちがウリなん
ですか、と聞かれますと非常に困ります。
JR の三都物語で、京都のイメージがあり、大阪のイメージ
があって、表紙に写真を載せるときに、では神戸はどの写真
を使うのですかというと、先ほど有馬に宿泊客をとられてと
いう話がありましたが、有馬は神戸ですが、和についてはど
うしても京都に勝てないです。
なので、和の写真は使わない。古くからある温泉でありす
ごくいいお湯で、源泉なのに、和のものであるために、三つ
を比べると、京都大阪が近すぎるがために、神戸は、和の部
分を売り切れていないし、灘も、日本で売られている日本酒
の7割が灘の酒であるというにも関わらず、和のイメージが
薄い。
大阪はどうかといいますと、都市のきらきらとした活気の
部分を前に出していますので、先程、神戸はおとなしいとい
うお話がありましたが、確かにそうで、それをメインに出す
というのでもありません。
となると、どこを出すのですかというと、やはり「みなと」
になります。神戸の魅力は、山にもあるし、街にもあります
が、私はやはり特にみなとであると思います。では、神戸市
民の方にどれぐらいの頻度でみなとにと行きますか、子供の
頃からどれぐらいの時間みなとで過ごされたのですかと聞き
ますと、「1年に1回も行くか行かないかだ」とか、「花火の
時にいくかな」というような方が多くて、駅から 10 分で海に
歩いて行けるなど、本当に恵まれている環境なのですが、港
のつながりが少ないです。先程、横浜の話が出ましたが、横
浜は素敵で港はありますがビーチはありません。神戸は港だ
けではなく、須磨の天然の白い砂浜があります。神奈川だと、
鎌倉など湘南のビーチになりますが、黒い砂浜です。白い砂
浜もあり、港もあり、日本最大の運河もあるということで、
神戸は水にものすごく恵まれているといえますが、その割り
には、皆さん水辺で時間を過ごしていらっしゃらないし、観
光施設も海辺に集中しているかというと意外にそうでもあり
ません。
観光施設のもっとも有名なものは異人館です。なので、こ
こを集中して売るというところがなかなかなくて、
「魅力のあ
るところはたくさんあって、ひとつに選べないのです。」とい
うと聞こえはいいのですが、日本人として生まれて、死ぬま
でに絶対見ておきたいというものがあるまちと、そうでない
まちということになるのかと思います。それと、比べ方とし
ていつもいわれるのは、住んでみたい町のアンケートをとる
と、神戸は必ずトップ3に入るぐらい、憧れの住みたいまち
なのですが、観光で行きたいまちということになると、順位
はぐぐっと下がってしまいます。
住みやすいまちということで順位が高いということは、神
戸は快適なまち、長く滞在すればするほど快適なまちであり、
ただ単に環境がいいというだけではなくて、食べ物がおいし
いまちで恵まれていますが、夜が早いので観光に向かない、
賑わいが少ないので損をしているのかなあと思います。もう
少し神戸に観光客をといわれると、いつも「厳しい」といっ
てしまいます。
大阪のように USJ という大きな施設があると、そこに呼ん
でおいて、余った時間で他のところに寄る、という売り方を
するのが一般的だと思います。
姫路なら、まず、姫路城に来て、それからゆっくりと周り
の何々を見て行ってください、という売り方をするのが、観
光では一般的ですけれども、いくら光を観る「観光」から、
個人旅行、ツーリズムの時代に変わったといっても、個々の
ニーズに合うものは神戸にたくさんありますので、家族 10 人
で来ても、それぞれが気に入った場所を見つけることができ
る魅力はあると思いますが、十人全員が、ここというピンポ
イントで行きたい場所がないというのが非常に痛いところな
ので、そういうものがもし目に見えるものであるなら、神戸
の景観というイメージが、よりわきやすいかなとは思ってい
ます。
実は、あまり宣伝されていないものがお勧めだったりしま
す。例えば、傍から見たときに、皆さんがうらやましいと思
うものに王子動物園があります。子供の頃に何回も行ってい
ると思いますが、日本でパンダを見ることが出来るのは、白
浜とここしかありません。さらに、コアラも見ることが出来
るところも少なくて、両方見ることが出来るのは神戸だけで
す。子供にとっては夢のような動物園で、1日中ずーっとい
たい夢のようなところで他の動物園にはないにもかかわら
ず、皆さんは当たり前になっていて、外に住んでいる親戚の
方など、小さなお子さんがいらっしゃる方に宣伝したことは
あまりないのではないかと思います。
「パンダとコアラが一度
に見られるよ」というだけで、子供は「お父さん、行きたい」
となると思うのですが、神戸の人は恵まれ過ぎていて、水族
園でも、
「館」ではなくて「園」なのでイルカまで見ることが
できてしまいます。チューブ型の水槽も日本で始めてのもの
があります。勿論大きさではほかのところに負けていますが。
神戸にはなんでもあるので、それが当たり前になってしま
ったため、それを PR が出来ていないということで、直接景観
とは関係ないかも知れませんが、私の中では、それが全部つ
ながっていて、神戸のよさというものを神戸に住んでいる人
たちが、まずはっきりとこれですといえるようにならないと
いけないと思います。
そうでないと、今後、5年後、10 年後、100 年後、どのよ
うな景観をこのまちは目指したいのかということが、なかな
か神戸市民もいえないのではないか、と思います。
まちは住んでいる人間がつくっていくものなので、折角、
神戸デザイン都市と言うことになりましたけれども、デザイ
ン都市って、何をどうデザインされた都市なの?といった時
に、一人一人の神戸市民の方が思い描くイメージは異なって
いるのではないかなと思います。
「何でもあり」もデザインの
ひとつですが、そういったことについて考えていただけたら、
と思います。
三輪:はい、どうもありがとうございます。神戸は、なんで
もあるが、その良さを気づいていないし、全国に向けて発信
できていないというお話でした。
最初のセッションでは、幅広く、神戸の魅力などについて、
大切なことをお話しいただいておりますが、本日は眺望景観
をどうしていくのかということがテーマですので、次のセッ
ションとして、眺望に的を絞ってお話しをしていただきたい
と思います。
先ほど私の方からもご紹介しましたが、現在神戸市では、
眺望に対する取り組みを始めようということで、パブリック
コメントが終わりましたが、眺望を大切にするための建築物
等の誘導の方針を定めております。そういうような、幾つか
のルールを決めて行くためには、都市の眺望景観が市民にと
ってかけがえのない財産であるということ、そして神戸らし
い眺望景観をどうやってこれから育てて行くのか、守って行
くのか、ということについて、市民の方々の共通認識を持つ
必要があるのではないかと思われます。これまでのそれぞれ
のお話の中にも出てきましたが、神戸らしい景観の意識をど
うやって育てていったらよいかというようなことについて、
それぞれの立場でお話を伺えればと思います。
それでは、田中様からよろしいでしょうか。
田中:私も都市景観審議会の委員をさせていただいておりま
すが、市民の意識は高いと思っています。その意識を持ち続
けていってもらいたいと思います。
旧居留地の歩道を広げる工事が今年も入っておりますが、
以前、ガードレールを協議会の意見でなくしたというふうに
聞いておりますが、そこで暮らしたり、商売されている方た
ちが熱心に、自分たちのまちをよくしようと考えている所で
は、悪くなりようがないですから、そういう意識を持ってい
ただきたいのと、周りの方や若い人たちに、そういう思いを
ぜひ伝えていただければ、絶対悪くなることはないと思いま
す。
眺望景観ということで、前から私もお願いしていましたが、
南北の道の電線を埋めて電柱をなくすことについて、以前冗
談で、どこでもいいから道 1 本電線を埋めてくださいよ、と
いいましたら、関電は「工事はできるのですが、埋めた電線
からそれぞれの建物に引き込むのは、それぞれのお家の負担
になってしまいます。」ということでした。それなら、道丸ご
と1本 50 軒あったとして、私が説得して、「みんなでお金を
貯めて、神戸一美しい坂道にしましょう。」ということになっ
たら、どうにかなるのですかと思わず聞いてしまいましたら、
そんなことできるわけないでしょう、と笑い飛ばされました。
もちろん、市街地の中では、順次、地下に埋める工事は進ん
でいるのですが、灘丸山公園などの穏やかな住宅街の風景の
中で「坂道に電線がなければなあ」と思いますが、なかなか
埋めることができません。そういうところを何とか補助金を
出すとかして、実現できないかというのが課題です。
海まで見える坂道は財産なので、観光客の方たちが初めて
新神戸の駅に降り立ったときに、そこから海が見えたらどん
なに素敵か、
「あっちが海だ」とわかったらどんなに素敵かと
思います。
神戸に来られる観光客の7割が近隣から来られている方な
ので、私は、三宮に降り立ったときに、
「あそこが海で、あん
なに近いのになぜ見えないのだろう」とすごく悲しく思うの
で、バイパスなどの高速道路は地下に入っていただいて、そ
して坂道から電線が無くなっただけでも、とても素敵なまち
になるのではないかと個人的には思っています。
あとは地道な啓蒙活動が必要かなと思っています。ぜひ、
一人一人の方が、そういう意識をもって他の方にも伝えてい
ただければと思います。
三輪:はい、ありがとうございました。先ほどの話にもあり
ましたが、電線はやはり景観上問題であるということでしょ
うか。
田中:たとえば、昭和風の木造の建物があって、その前に木
の電柱なら全然 OK です。それなら風情があって、そのまま、
「三丁目の夕日」みたいな映画が撮れますが、時代がバラバ
ラであるという意味では、建物が新しくたて替わっているの
に、電柱だけがそのままでは、どんどんギャップが開き統一
感がない、美しくないまちになっていくという意味では悪だ
と思います。
三輪:単に電柱が悪いというより、バランスが悪いんでしょ
うか。
田中:特に、日本は道が狭いというのがあると思います。も
う少し高い位置にあって、電線を視角に入らないようにする、
というぐらいのイメージしかできませんが。
三輪:はい、ありがとうございます。
それでは次に、福田先生、よろしくお願いします。
福田:先ほど、田中さんもおっしゃってましたが、神戸で、
眺望景観の全体が入っているイメージの中で、どこからとっ
たら、皆さんが一番ピンとくるかなと思う景色をつくらない
といけないんじゃないかなあ、と思います。たとえば、ニュ
ーヨークだったら、対岸からブルックリン橋があって、その
向こうにシティスケープが見えるという景色があります。
これは皆さんよくご存知だと思いますが、
「ルビンの壷」で
す。この画面は、
「図」と「地」の関係というのですが、どち
らを主人公に見立てるか、ということです。こういう風に黒
と白2値化した時に、どこを残すかということです。たとえ
ば、今の眺望景観ガイドラインの中で、山並みと海のライン
だけ残せばよい、という話なのか、手前にあるシティスケー
プである建物のラインをどう残すか、ということを考えて行
く必要があるのではないかと思います。
昨年の冬ですが、シドニーに行きまして、ご覧頂いている
写真のようにシドニー湾にはたくさんの船があります。クル
ージングの船もあれば産業として使われている船、旅客船と
して使われている船もあります。そしてきれいだなと思って
撮った景色がこの写真なんですが、最近シドニーで売られて
いるTシャツとかポストカードなどに、シドニーには山はあ
りませんが、ハーバーブリッジからオペラハウスがあって、
家並みがある、というようなシティスケープを、先ほどの「ル
ビンの壷」のように2値化した図柄が、T シャツなどに使われ
はじめています。シドニーらしさを別の角度から紹介してい
こうということで、こういうデザインが出てきたのかもしれ
ませんが、こういったスカイラインをどうつくっていくのか、
を神戸はこれから一生懸命考えて行く必要があるのかなと思
います。
海は、先ほど南部さんがおっしゃったように、色々な景色
があります。田中さんが神戸っ子はなかなか海に行かないと
いわれましたが、シドニーも神戸の空間構成に似ている部分
を感じます。例えば、ご覧頂いている写真で、右がモザイク
で左がメリケンパークという風に見えなくもないです。実は
この事について、“ふくだぶろーぐ“にも書いておりますが、
神戸に何が足りないかといいますと、一つは、港のすぐ近く
に車でしかアクセスできないことが挙げられます。一方、シ
ドニーは電車でハ-バーまで来れます。電車を降りて、すぐ
に船に乗って、それも観光船だけではなくて、普通の旅客船
もたくさんあります。これが普通に人々の足として使われて
いるところが素晴らしいなと思います。
市民と景観をどう考えて行くかという話ですが、パブリッ
クコメントというのがあります。市役所のホームページにア
クセスしてコメントするというのは、よほど直接的に利害関
係がある人ぐらいしかいないのでは?と思います。気づいて
ホームページにアクセスしてみたらパブコメが終わっていた
ということが多いのではないでしょうか。手続き上、仕方の
ない部分もあるのですが、もっと日ごろからまちについて考
えて、日ごろから市民の意見を集めてデータ化しておく、と
いう仕組みづくりが必要ではないかと思っています。
今日お越しいただいている皆さんに安藤忠雄先生のチラシ
をお配りしましたが、これは今、大阪の天保山で「安藤忠雄
建築展 2009」が開催されています。安藤先生の指導の下で、
300 分の 1 スケールの中之島の模型を、安藤忠雄建築研究所ス
タッフ、大阪大学、神戸大学の学生さんが一緒に作りました。
大阪大学も郊外にありますので、阪大生は大阪の街を知って
いるようで知らないんです。中之島には合計 22 の橋がありま
すが、学生に名前を聞いても誰もいえない、大阪の人もそう
いう方がいらっしゃるかもしれませんが、実際に模型を作っ
てみると、
「こんなに橋があるのか」と、難波橋、天神橋、淀
屋橋などの橋の存在を改めて知るんですね。また、こういう
模型を実際に見て、中之島について議論が始まることも考え
られます。始まった計画はどうしようもない部分もあります
が、先程のパブコメのお話と一緒で、やっぱり、日ごろから
意見を集めて準備しておく必要があると思います。
この模型は、実際の延長 6kmを 300 分の 1 で作っています
から、18mの大きさの模型です。神戸ですと、海岸沿いに使
われていない倉庫街が残っているとすれば、大きなスペース
がたくさんあるので、アトリエとして使えるのではないかと
思います。そうすると、神戸の学生も山の上から下りて来て、
港の方までアクセスするようになるのかなあ、と思えます。
もうひとつは、まっとうな情報を広く公開するということ
です。先程の模型もそうですが、こちらの写真はドイツ・フ
ライブルクの例ですが、市が取り組んでたプロジェクトを、
このように 100 枚以上のパネルにして、市役所の壁に貼って
あります。それを見ると、
「こんだけやってきたんやなあ」と
いうのが市民や来訪者が一目で分かります。
別の例で、イギリスのブラッドフォードというまちですが、
市役所がユーチューブという動画共有サイトを使って、これ
だけまちを変えたらどうですかという提案を、全世界の市民
に対して PR しています。
こういうことをすることによって、まちを知るようになり、
まちに意見を言うことを考えるようになります。こういうコ
ミュニケーションの基盤づくりが今求められているのかなと
思います。最近「シビック・プライド」という言葉が出てき
ていますが、行政だけでも限界がありますし、企業だけでも
限界があって、市民だけでも限界があるのですが、各々が最
大限に活動して、そのまっとうな意見を市役所がまとめなが
ら、構築していくことが重要であり、また、集められた情報
をうまく使っていくことが重要であると思います。
三輪:はい、ありがとうございました。福田先生が関わられ
た開催中の展覧会に、ぜひ皆さん、観に行っていただけたら
と思います。模型というのは非常に分かりやすいものですか
ら、景観にとっても関わりのあることだと思います。神戸で
もそういったことを考えていくことになっていけばいいなと
思います。
それでは、南部さんお願いいたします。
南部:今年の1月半ばごろですが、遊覧船がドックに 11 日間
ほど入っているので、ベトナム、シンガポールに視察に行っ
てきました。
そのときに、シンガポールのホスピタリティとまちの美し
さ、安全性、といったものと、ベトナムのホーチミン市のエ
ネルギッシュで素敵なまちなんですが、猥雑さといいますか、
そういうのが印象的でした。
みんな仕事をしないで朝からゲームなんかをしている様子
が見えるのですが、そういう生き方というのもそうですし、
100 年ほど仏領だった時の素晴らしい街並みがほったらかし
にされているのと、平気で壊されています。一部たまたま残
っているのは有名レストランが買い占めているとかで、本当
にもったいないというのがあるのですが、文化度の高さとい
うか、まちの気概というものを考えたときに、比較するのは
恐縮ですが、シンガポールのリ・クワンユーという指導者の
牽引力というのが、このように現れてくるのかなというのを、
目の当たりにしました。
去年の 10 月 16 日、
「デザイン都市・神戸」になりましたが、
神戸と名古屋が日本で始めてユネスコに認定されましたね。
世界で 16 都市です。なのに、神戸の人がこれを知っているか
というと、
「え、何それ?」っていう感じなんですね。これは
とってももったいなくて、
「デザイン都市・神戸」というもの
を、神戸のまちづくりに人々を巻き込んで行くキーワードと
して何とか使えないものかと考えました。
これをどういうふうに皆さんに認識していただいて、どう
生かして行くかということについて、私なりに思ったのは、
「神戸がデザイン都市になったことを知っていますか?すご
いことなんですよ。」ということと、これをいかすために、
「課
題を出しますよ。皆さんが住んでいる区で、いいところと気
になるところを5つ出してください。」それから神戸市全体
で、
「このまちに住んでええなあ、と思うところを 5 つ、気に
なるところを 5 つ出して見て。」というかたちで、市民を巻き
込んで、それをデータ化していくということが結構面白いの
ではないかと思います。
そうなると、大人の方ではなく、例えば小学生を巻き込ん
でもいいのかもしれません。そんな形でデータ化をしていっ
て、
「我がまち」意識をまず植え付ける、まちを歩くことも必
要かも知れません。そして、それを分析していくことも市民
に参画してもらって、皆さんでアクションプランを立てて、
みんなを巻き込んでいくことができないのかなと思っていま
す。
神戸市役所の中だけでやっているのではなくて、もっと一
般の方々を巻き込んでいかないといけないんじゃないかと思
っています。そうすると、神戸をこれから背負っていってく
れる子供たちをどう教育するかとか、ということを含めて、
方向性が見えてくるのではないかと思います。
いま気になっていることについていいますと、先程田中さ
んがおっしゃった港への距離といいますか、そう遠くないの
に、心理的な距離が遠すぎるんですよね。
三宮に降り立った時に、海を全然感じないんですよ。その
辺の感じさせ方の工夫が足りないと私は思いますし、誘導す
るときに、うまい具合に誘導することは絶対できると思いま
す。例えば、足元を見ると海へつながるような何かが見える
とか、タイルが張ってあるとか工夫がほしいと思っています。
ゲゲゲの鬼太郎の境港の例が参考になりますが、妖怪ロード
に行くと、携帯で情報が取れるんですね。例えば、砂かけば
ばあはこんなのだ、とかですね。そういった情報を楽しみな
がら海へ誘導して行くというようなかたちで、自然に足が向
かっていくといった見せ方も絶対にできると思います。
もっというと、もうすぐ三宮だというときに、駅のすぐ南
側にある葬祭センターが目についてしまいます。あの辺も、
それは権利としてあるのでしょうが、まちづくりとして、も
う少し考えてもいいのではないか、玄関口と言うのは大事だ
と思います。
それと、のぼりというのがあります。お弁当屋やビデオ屋
など、本当に無制限に出てしまっているというのは、法的に
どうなんだろうと思ってしまいますが、これを絶対やめる、
きれいにするんだという徹底さがないと、きれいにはならな
いと思います。美しい花が植えてあるのに、汚らしいのぼり
がいっぱいあるというのは、ちょっと違うのではないかと思
います。
三輪:どうもありがとうございました。お話をお聞きしてい
ると、段々絞られてきたような気がします。まずは、どんど
ん情報を出して、市民を巻き込むことによって、色々なこと
を考えて行く必要がある、ということでした。それから、や
はり神戸は海だろうということで、色々な話が田中さんから
も南部さんからも伺いましたが、どうもアクセスの問題もあ
るということを福田先生から伺いました。それから、いろん
な情報を巻き込んだ市民が、色々なかたちで考えていく仕掛
けをするといったお話でした。
それでは、あと広告物のお話を藤本さんお願いいたします。
藤本:今日のお題が、私には広告物ということでしたので、
広告物も見ながら朝から歩いてきました。
極端に素晴らしいところと、これはどうかなあと思うとこ
ろとがはっきり分かれているまちだなあという印象を受けま
した。それで、本当にデザインが上手で、ファサードのいい
お店もいっぱいあり、そういう通りもありました。逆に、明
らかに観光地といった演出のところも見受けられました。そ
こはちょっと残念でした。繁華街の様子は、大阪、京都も神
戸も同じだと思いますが、観光地というのをどう捉えるのか
ということで、ここはぜひ神戸としての観光地をどういう風
に規制して行くかというところを、広告でしっかり考えてい
ただけたらなあ、と思いました。
それから、ちょっと話が違うかも知れませんが、眺望景観
について気になっているので、どういう風に京都は規定して
いるか、ということについてお話しておきたいと思います。
ひとつは高さです。神戸も山並みがあって、それよりも飛
び出すようなものは規制しようということになるのかも知れ
ません。山並みをスカイラインといいますが、その線は守ろ
うよ、という意味では、標高という規制が必要なのかも知れ
ません。
京都でも、もう一ついっているのが、近景でのデザインを
規制しています。眺望で遠くを見るのと同時に見える近くの
風景の規制を行っています。形態、意匠、色彩などデザイン
といわれる分野ですが、それについてかなり厳しい規制をし
ています。
それからもうひとつは遠景での外壁色と屋根の色を規制し
ています。
そのほかに、神戸でも参考にしていただいたらいいと思い
ますのは、結構厳しい規制なんですね。
京都はどのようなやり方をしたかといいますと、景観条例
を決めて、かなり「ショック療法」と私は呼んでいるのです
が、行政が厳しく取り組んでいます。先程パブリックコメン
トの話しがありましたが、信じられない程多くの声も上がり
ました。それに対してわずかの見直しをしましたが、厳しい
規制をかけました。これは京都のやり方だったのです。東山
から見た眺望で、私の大学は西山にあり、何キロも離れてい
るのですが、その壁の色までも規制するほど、厳しくしてい
ます。
それに対して、神戸はどうかというと、まず、何を目指す
かというコンセンサスを明確にしていただきたいなと思いま
す。それには色々な手法があるかと思いますが、先程の「デ
ザイン都市・神戸」という話しがありましたが、今日私が歩
いた印象では、非常に優れたデザインを生み出す素質はある
と思いました。ここで活動している人々、そしてデザイナー
の素質は非常にあるなと思いました。
神戸ではきれいな女性とよく出会うけれど大阪では出会わ
へんと学生時代によく言われたのですが、今日も素敵な人と
出会いました。プードルを連れてベビーカーに赤ちゃんを乗
せて素敵なファッションの方がいました。こういったお洒落
な組み合わせは大阪や京都では見られないことで感激しまし
た。感動が随所にあるなという神戸でした。神戸ではデザイ
ンから何かが起こせるのではないかという予感がしました。
少し整理をしますと、京都はトップダウンの上からのショ
ック療法でした。ショック療法が悪かったので人々が、
「私ら
のところをこんなんで決められていいんやろか」といったこ
とでまちづくりが進んだり、事業者が高いマンション建てら
れへんとか、色の規制されたら
うちら作られへんやないか、とかいうことで、ショック療法
で事業者が動きました。確かに変わってきています。
では、神戸はどうかというと、何かデザインを生かしてや
れるんじゃないかなと思います。
先程、文化度というお話がありましたが、最近聞いた話で
感動したことがあります。長野県の小布施という町の市村市
長、彼も観光カリスマの一人ですが、彼が「王国をつくろう」
といっています。王国とは何かというと、自分たちがおいし
い物を作って、美しい風景を作って、自分たちが楽しむ、住
民が王様の王国をつくろうということで、自分たちで作って
自分たちで楽しもうとしています。何か神戸も、海を楽しみ、
山を楽しみ、素敵な生活を楽しみ、それを外の人に見せると
いう観光が良いのではないでしょうか。
三輪:はい、ありがとうございました。ここで少し休憩時間
を取らしていただきます。会場の皆さんには色々なご意見を
お伺いしたいと思っていますので、何か考えておいていただ
ければありがたいです。
休憩
三輪:これからは、会場に居られる皆さんのご意見をお伺い
したいと思っています。
その前に、これまでの議論の中で、いくつか収斂してきた
ものがあるのではないかと思います。
一点目は、神戸の場合は、持っている色々な素材はよいが、
生かし方があまりうまくないということでした。例えば、デ
ザインのセンスはいい。海があり山があり港があり、自然海
岸もある、そして北には田園風景もあれば有馬温泉のような
観光地もある。ということですが、そういったものをうまく
生かしきれていない、ということが問題ではないかというこ
と。それと、ものを持っていて、それを内外に情報として発
信するのも下手ということがあります。せっかくデザイン都
市・神戸を宣言したにも関わらず、市民の方にも知られてい
ないし、資源は多いのに市民に知られていない、といった問
題点があって、その辺をどうしたらいいのかということにつ
いて、眺望景観の面からも考えて行く必要があるのではない
かと考えます。
二つ目は、景観を考える上でのルールですね。先程、藤本
先生からご指摘いただきましたが、京都の場合は、大変厳し
いルールがあって、色々な問題点はあるとお伺いしています
が、とにかく行政がそういう形で進められています。ああい
う厳しいルールが市民の合意を得ているというのは、京都な
らではという気がしますが、神戸は京都とは別の見方がある
のではないかというのが、藤本先生のご意見でした。
もっとデザインというものを生かしてはどうか、というよ
うなご示唆をいただいています。この辺のことも具体的にお
聞きしたいと思います。
そういった二つの点が私が気になった点でございます。他
にも皆さんの中でご意見があるかも知れませんが、まずは、
何かこれまでのことをお聞きになって、質問でも結構ですし、
何かこう思うというご意見がありましたらフロアの方々か
ら、お伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
最初のほうの問題で、神戸には色々と貴重なものがあるん
だが、なかなかうまく生かせていない、という点については
いかがでしょうか。
会場から:全国的に元気がない状況ですが、私はデザイン都
市・神戸というのは、一つのきっかけになるのではないかと
思います。それに対して、今回セミナーを神戸市がされたと
いうことはとても素晴らしい第一歩だと歓迎しています。そ
れでどうやって広めて行くかということについて、南部さん
がおっしゃったように、市民レベルで、特に子供の教育も含
めて、息長くということで位置づけながら、講座と両面でや
っていくことが大切かと思います。
欧米の環境教育の例で、小学校の教育課程で「環境教育」
というのがあって、登下校時に、子供たちに気になる、バッ
ドな建物だとか、そういうところをプロットしてきなさいと
いうことで、地図を渡して、素敵なまちかどやよくないもの
を3つ書かせる、といったことをやっています。こういった
身近な学校教育の中で、特に日本はそういう点で環境教育が
遅れていますが、絵本一つでも欧米ではふんだんにあるわけ
ですが、開港都市神戸ですから先陣を切ってやっていただく
と素晴らしいなと思います。
特に、神戸はお洒落でスマートなんですが、ただ、日本の
都市計画、都市デザインについて、横浜もそうですが、神戸
市は全国の先進を切ってやって来られたと思います。横浜と
神戸の方に聞くと、横浜は国に文句を言って帰ってきたら、
すぐ 30 分以内に着いてしまう。したがって常に霞が関から監
視されているが、神戸はちょっと遠い、箱根を越えるという
ことで、関西はそういう気概があって、神戸は神戸だけでは
なくて、この機に全国をリードするということで、私も知ら
なかったのですが、デザイン都市ということで、神戸と名古
屋が認定されたということを、どういうふうに意味深いもの
として受け止めて、全国の先進を切って行くということで捉
えて、リーダーシップを発揮される企業人、行政マン、デザ
イナー、あるいは市民というのがいらっしゃると思うんです
ね。そこに喚起をして行くというのがすごく大事で、そうい
う意味では、その動きが始まったということで、あまり最初
から嘆かないで、大阪の景観なんて絶望です。確かに安藤さ
んは、「絶望と元気のない大阪」こればっかりいっています。
そのうちに、市長も知事もいい出して、関経連まで元気ない
といい出しています。
京都の堀場さんが、日経新聞から本を出しました。
「元気出
せ日本」ということで、名物堀場会長ですが、日経の人と話
したときに言ったのですが、元気出せというより、
「元気だぜ
日本」と点をつけた方がいいんじゃないかという話をしまし
た。そうはならなかったんですけれども、京都を代表する「時
の人」の一人であるわけでして、大阪の市長が「関西はひと
つ」というと、きな臭くてやばいんですよね。だから市長が
いっているのは、
「関西はひとつひとつ」、京都は京都で輝く、
大阪は大阪で輝く、これはちょっと遠いと思うんですが、先
陣を切ってもっとやるというのは、神戸だと思います。
そういった意味では、震災復興で 15 年間、とにかく復興と
いう大変な試練を乗り越えられた神戸ですから、そのこと自
身がデザイン都市を目指して、リーダーシップを発揮して行
くというポジションに、神戸はあると思っています。
そういう期待感からすると、市民レベルで環境教育を進め
て行くという方向と、もう一つは、私が直面していて、この
界隈を十何年か関わらせていただいて、超高層が建つといっ
た経済の論理が、都市経営にとっても、都市形成にとっても
大事なのですが、あまりにも、大手企業でさえ目先の利益の
追求しか考えない、与えられた容積目いっぱい立てる計画を
立てる議論の現場を見ていますと、およそ、まだまだ神戸の
景観をどうのように意味深く捉えるかということに対して、
開発者からの全くの経済論理がやっと止まったと思いますか
ら、これを神風にして本格的に、神戸市がこのセミナーをき
っかけに、今後市民的に神戸市の景観を見直そうという動き
が起こっているということは、私は大きな展望、希望を抱け
る素晴らしい取り組みだと思っていますし、諸先生方の今日
のそれぞれのお話は全くすべて同感して伺っておりました。
ぜひこれを広げていただきたいと思っています。
三輪:どうもありがとうございます。非常に元気になるよう
なエールを送っていただきました。
今のお話の中で、市民レベルの気運を高めることと、環境
教育、子供教育を含めてやっていくべきだ、というようなご
意見をいただきました。
先程、藤本さんから、京都の場合は上からの規制、という
お話がありましたが、神戸の場合、何かデザインを生かして
やれるんじゃないか、ということをおっしゃっておられまし
たが、
「デザイン都市・神戸」をきっかけにというようなこと
の中で、何かご意見をいただけますでしょうか。
藤本:いろいろなやり方があると思いますが、住民参加でワ
ークショップというのが結構はやっています。色々な手法に
もよるのですが、必ず良いデザインになるかというと、なか
なか難しいのが現状です。そこにはしっかりとしたナビゲー
ターが必要だと思います。
京都のある川のところで、住民運動で頑張られたのですけ
れども、エリアごとに違うデザインが見られて、それぞれの
地域の人たちが考えたデザインになってしまっていて、やは
りトータルなデザインを考えて、
「こういうのがいいんじゃな
いか」といって導きながら、みんなが参加して納得して行く
という、コントロールの手法が要りますが、なかなか育って
いないというのが現実です。何か神戸らしい手法が生み出せ
たらいいんじゃないかと思います。単なる住民参加ではなく、
優秀なデザインのリーダーシップを取れる人を育てるプロジ
ェクトが求められます。
三輪:はい、デザイナーの育成ということでした。都市計画
の関係の専門家も、いまは疲弊しているところなんですよね。
専門家頑張れということでした。
藤本:市民の方も参加することで変わって行くんですね。例
えば公園を一緒に考えたということで、その後掃除や花の手
入れとかを、一緒に考えた人がやっていただくということで、
神戸はすでにそういう世界ができていると思いますが、参加
するというのは必要ですが、いいナビゲーターが必要だと思
います。
三輪:はい、ほかにご意見ございますか。
会場から:私の場合、仕事が海に関係しているのですが、ど
うも神戸市民の海、港の知識がものすごく少なくなってきて
いるというか、知らないことが多いんです。大正生まれの母
は、神戸生まれの神戸育ちですが、私
が子供の頃に、ガン
トリークレーンとか捕鯨船などの説明をしてくれて、それだ
けの知識を持っていたんです。別に船関係の会社に勤めてい
たというようなことではないのにそれだけの知識がありまし
た。今は、その知識がないから、子供たちにも教えられない、
港にもあまり連れて行かないです。船の代理店の友達なんか
に言わせても、港なんかは、汚いところ、怖いところ、とい
う知識しか持っていなくて、船にも行ってないし、みなとに
も行っていないです。
そんなことで、神戸市民の方はみなとのことを知らなさ過
ぎる原因にもなっているのではないかと思うのですが、どう
したら、みなとと市民のつながりができて行くのかなという
ところを、お聞きしたいと思います。
三輪:はい、海について市民がどんどん離れてしまっている
のではないかということですが、これについて、南部さんお
願いいたします。
南部:はい、海国日本という、海に囲まれた国なのに、今お
っしゃられたように、海に対する、港に対する興味が、現状
ではあまりあるとはいえません。それを深刻に考えているの
が、国土交通省の神戸運輸管理部というところなんですが、
一番顕著に現れているのが、海で働く人がいないのです。船
員さんになる人がいない。私どももそうなんです。当然規定
の人数がありますから、人数が足りないと船を動かせません
から、欠員が出たら大変なのですが、なかなか船員さんのな
り手がないのが現実です。船員さんになる方を増やしていか
ないといけないので、そのためには子供たちに海に親しみを
持ってもらわないといけないんです。
ということで、結構予算も取って、全国に海についての知
識を増やすような冊子も作っています。神戸の管理部でも、
すごい冊子ができたんです。ところが、渡し方が問題で、学
校で渡す時、先生にくれぐれも、子供たちに海のことを興味
を持ってもらうように、誘導しながら渡して欲しいといって、
お願いしているのだけれども、現実を聞いてみると、生徒に
配っておしまいになっています。なんかもらったけれども、
ポイッていう感じです。やっぱり、教育の現場でも、もっと
もっと真剣に教えないといけないと思います。海に囲まれた
日本ですし、カボタージュといって、日本の国内を動く船に
は日本の船員さんでないとあかんのですよ、ということなの
で、船員さんがいないと本当に海に囲まれた日本は駄目にな
っていってしまいます、ということなんです。
ですから、おっしゃる通りなんですが、みんなが協力しな
がら、喚起をしていかなければいけない部分というのがある
と思います。
田中:今、南部さんがおっしゃった、小学生に向けてという
冊子ですが、本当に素晴らしいもので、私でも感動するよう
なことが、ルビをふって見やすく書いてあります。国交省の
ピアしっくすという施設が、HAT 神戸のところにあるのですが
ご存知ですか。市のほうは、海洋博物館というのがメリケン
パークにありますけれども、ピアシックスは国の施設で、そ
こに行くと、冊子もありますし、分かりやすい子供用のビデ
オもあって「神戸港の歴史」というのを全部見られるように
なっていますが、ご家族でお子さんを連れていかないと、な
かなか学校に依存していると、それだけでは先生も余裕がな
いし、南部さんが言ったように、先生自身がそんなに知識が
ないので、逆に配って何か聞かれても困るという先生もいら
っしゃるのではないかと思われますので、おそらく、配った
ことで自分の任務を果たしたと思っていらっしゃるのではと
思います。
私が子供の頃は、確かに親から、港へは近づくな、と言わ
れていました。娘だから絶対行くなといわれましたが、あの
向こうには、危険だけれども、何かわくわくどきどきするよ
うなものがきっとあるということで、大人になったら、行っ
て見ようと思っていましたが、いざ大人になって行って見る
と、全部コンテナになっていて、はしけもなくなっていて、
全然昔の親が行ってはいけないと言っていた時代の、元町や
南京町を船員さんがいっぱい歩いていた頃の神戸ではなくな
っていて、がっかりしたことを憶えています。みなとで働く
人も少なくなったのは、コンテナで機械化がどんどん進んで、
港が生活の場でなくなったというのもあると思います。
小学校の教育の場で、一つ面白いなと思ったのは、どこの
学校だか忘れましたが、天ぷらそばの写真を見せて、この食
材の中で、日本で採れるものだけでつくったら、どんな天ぷ
らそばができるでしょうといって、映像で見せるというのが
ありました。そうすると、全部無くなっていくんですよね。
讃岐うどんだったら、四国でどうのこうの、といっています
が、うどんの粉は輸入品なので、結局全部、空になってしま
うということで、それだと、どうやら子供たちには身近に感
じるようです。
そういう食べ物の 90 何%は飛行機ではなく船に乗って海外
から入ってくるんですよというように、身近なところから、
自分と港や海との関係が感じられる話題からのほうが子供に
は取っ付き易くて、港の歴史は…というところから入るのは、
子供には少し敷居が高いかなと思いました。
三輪:はい、ありがとうございました。時間がなくなってき
ていますので最後に 1 分間ぐらいでお一人ずつコメントをい
ただけたらと思います。
手前側から、福田先生よろしくお願いいたします。
福田:貴重なお話しを色々いただきましたが、神戸っ子、神
戸に住んでいる、といえば全国の誰でも知っていますよね。
僕は加古川出身ですが、加古川といってもどこやねんといわ
れるので面倒くさい時は、神戸ですといった時期がありまし
た(今は違います!)。先程の方のお話に関連して、加古川東
高校でスーパーハイスクールというのがあって、1 年半に渡っ
て6名の生徒と、全く同じことをやりました。そこで有意義
だったのは、体験させるということが大事だということです。
仕事が無くなっていく、変わって行くというのは仕方のない
ことですが、映像も勿論大事ですし、映像を超えて、体験さ
せるということがすごく大事だなあと思います。面倒臭くて
も体験させる、それも楽しく体験させるということを、どう
やれば、この景観づくりにもつながってくるのかなあという
ことを最後にコメントしておきたいと思います。
南部:デザインとは、デザイナーの方が線を引かれるという
のもデザインだと思いますが、分かりやすくいうと、
「もっと
今より素敵なまちにしようよ、もっと住みよいまちにしよう
よ、もっとわくわくするまちにしようよ」ということじゃな
いかなという気がしています。ですから、そういう視点だと、
巻き込みやすいのかなあと思います。もう一つ、もっと住み
よいまちに、ということで、
「神戸ウェディング会議」という
ことで、神戸をウェディングのまちにしようという活動をし
て、もう何年かになり、いま副会長をしているのですが、こ
んなことを思っています。神戸は素晴らしい景観がウェディ
ングにピッタリのまちなんですよ。これから人生の船出をす
るという、こんな素晴らしい景観が他のどこにあるか、とい
うことなんですね。そのウェディング会議で、景観をもっと
生かせないかと思っています。結婚の前にはプロポーズがあ
るわけで、プロポーズするときに、例えば市章山の電飾のマ
ークがあります。錨、北前船、パールブリッジなどの電飾で
もいいのですが、プロポーズする日というのを決めちゃうん
です。
例えば毎月 1 回第 1 日曜日とかですね。で、7 時 59 分にな
ると、いったん電飾の灯がフッと消えて、その 1 分間で愛を
打ち明ける、そして8時になると一斉にパッとつく、こうい
うことができないかと真面目に考えています。だから、景観
にプラスしてストーリーをつける、ということにすると絶対
に強いと私は思います。毎月第 1 日曜日の 7 時 59 分になった
ら、神戸に行こうよ、という人が絶対出てくると思うし、愛
を打ち明ける人があって、8 時になるとパーッと祝福するがご
とく電飾が点いたら、どんなに素晴らしいことかと思うので
すが、いかがでしょうか。実は、本四架橋の方に話を持って
いったのですが、
「神戸市が動かれないと、我々としては動き
にくいですね」ということでした。皆さんのご協力をお願い
いたします。
藤本:そういうことがあったのかと、いま分かったのですが、
今日いっぱい結婚式を見ました。それで神社のほうから締め
出されました。結婚するという話ですが、ある方が、関西は
デートにいい場所なんだ、というふうに言っていたのですが、
私は 8 年位東京に住んでいたのですけれども、東京圏と関西
圏を考えた場合、東京でデートに行くといっても、渋谷行っ
て、銀座行って、池袋行っても、そんなに変わらないんです。
でも、関西では同じ距離で、京都で遊んで、神戸で遊んで、
大阪で遊んでというように、毎週末違うデートができるとい
うことです。確かにそうで、素晴らしいなと思っています。
奈良も加えて、これだけバリエーションのあるエリアという
のは、もしかして、世界中にないんじゃないかと思っていま
す。会場の方が、関西は一つひとつとおっしゃいましたが、
素晴らしいことだなあと思います。ぜひ、神戸だけではなく、
京都、大阪、奈良一緒に頑張りましょう。また、意見交換し
ましょう。
田中:今日の資料に、眺望景観 50 選 10 選がありますが、ま
ずは、自分自身からここに載っているところは、神戸の眺望
景観が楽しめる素晴らしいところなので、行っていないとこ
ろがあれば、毎月一つずつでもいいので、実際に自分の足で
訪れていただいて、それがよかったら、直接自分の言葉で家
族とか他の人に話してほしいと思います。その方がまた訪れ
てくだされば、こんないいまちに住んでいるんだ、という意
識も高まると思いますので、まずはどんな眺望が今神戸にあ
るのかというのを見てください。私は、ヴィーナスブリッジ
に行って、とても悲しかったのが、あんなにきれいといって
いたのに、ヴィーナスブリッジの先っぽまで行ってみたら、
ポートタワーと海洋博物館を一緒に観ることが出来ないこと
でした。ちょうど、県警の建物が両方を遮っていて、見えな
いわけです。どんな絵葉書でも、さっきの三都物語でも、結
局これぞ神戸という写真は、ポートタワーと海洋博物館が海
と一緒に写っているものです。
なのに、ヴィーナスブリッジから、はいどうぞと、わざわ
ざ写真が取れるように、ループ状に突き出しているのですが、
そこに行って撮ろうとすると、画面に入らない、何て残念な
んだろう、ということです。眺望ポイントでありながら、肝
心の一番撮りたい写真が撮れないんです。実は、上に上がっ
て行くと、レストランの手前の方に行くと両方がきれいに撮
影できます。そのかわり、山に隠れてしまって、大阪側の東
の夜景が一切撮れなくなります。一千万ドルの夜景がきれい
なところは色々ありますので、皆さんも、この冊子をきっか
けに、いろんな神戸の眺望を見てください。
先程神戸には何でもあるといいましたが、ロープウェイや
ケーブルカーが4種類もある政令都市はほかにありません。
交通は本当に楽しくて、鉄道ファンであれ、船が好きな人で
あれ、動き回って楽しいまちなので、動き回ってなおかつ、
こんなにきれいな眺望が楽しめるのであれば、何回行っても
飽きないと思いますので、できれば人を連れて、ロマンチッ
クな夜などを過ごして頂けるとうれしいです。
どうしても、こういう会をすると、お歳を召している方々
が多くなってしまって、もっと20代、30代の人たちが、
こういう会に来てくださればいいのになあ、といつも思いま
す。ですので、今度このような会に出席される時は、お子さ
んでも若い彼女や彼氏でもいいので、連れてきてください。
三輪:はい、ありがとうございました。時間が参りました。
皆さん、本日はどうもありがとうございました。
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