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ケータイ - 和光大学

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ケータイ - 和光大学
卒業年度
2002年 度
主査氏名
服部 百合子
副査氏名
坂爪 洋美
論文題目
「ケータイ」コミュニケーションと自 尊 感 情
−和 光 大 学 での調 査 結 果 に基 づく考 察 −
学籍番号
99D205
氏名
金澤 旭
論 文 のキーワード
携 帯 電 話 ・ ケータイ ・ コミュニケーション ・
自尊感情 ・ 友人
1
目次
Ⅰ 序論
1 , はじめに
a
: 携 帯 電 話 とコミュニケーション
b
: 自 尊 感 情 とコミュニケーション
2,携 帯 電 話 と自 尊 感 情 とコミュニケーションとの関 連
3,先 行 研 究 への考 察 並 びに問 題 意 識
Ⅱ 調査
1,調 査 概 要
a : 研 究 目 的 ・仮 説
b : 調査方法
c : 調 査 の手 順
d : 質 問 紙 の概 要
① フェイスシート
② 自尊感情尺度
③ 携 帯 電 話 ・パソコンの E メールの利 用 状 況
④ 友 人 との関 わり方 尺 度
e : 結果
① フェイスシートについて
② 自 尊 感 情 尺 度 について
③ 携 帯 電 話 ・パソコンの E メールの利 用 状 況 について
④ 友 人 との関 わり方 尺 度 について
⑤ 各 尺 度 ・項 目 間 の関 係 について
一 . 男 女 差 について
2
二 . 自 尊 感 情 の高 低 による差 について
三 . 携 帯 電 話 ・E メールの利 用 状 況 と 「友 人 との関 わり方 」
との関 連 について
2,考 察
a : 各 尺 度 ・項 目 間 における男 女 差 について
b : 各 尺 度 ・項 目 間 における自 尊 感 情 の高 低 による差 について
c : 携 帯 電 話 ・E メールの利 用 状 況 と 「友 人 との関 わり方 」 との関 連
について
d : 仮 説 の検 証
Ⅲ 結論
1,調 査 結 果 を踏 まえて
2,総 括
Ⅳ 参考文献
Ⅴ 質問紙
3
Ⅰ 序論
1,はじめに
a : 携 帯 電 話 とコミュニケーション
人 が社 会 で生 きる・社 会 生 活 を営 むためには、必 ず、他 者 とのコミュニケー
ションが必 要 不 可 欠 となる。そのコミュニケーションの中 でも、特 に日 常 的 に私
達 が意 識 するのが、個 人 間 の コミュニケーション、いわゆるパーソナルコミュニ
ケーションである。
近 年 、これはパーソナルコミュニケーションに限 った話 では無 いが、科 学 技
術 の進 歩 により、私 達 のコミュニケーションは急 速 かつ大 幅 に進 歩 した ( 1 ) 。衛
星 放 送 の 普 及 は 、 テレビの 前 に 居 なが らに して、 海 外 の リ ア ルタイム な放 送 ・
情 報 を得 ることを可 能 にし、インターネットの普 及 は、衛 星 放 送 と同 様 に海 外
や遠 隔 地 の情 報 の入 手 を容 易 にしただけでなく、以 前 は確 たる壁 が存 在 した、
マスコミュニケーションへの個 人 レベルでの介 入 を可 能 にしてしまった ( 2 ) 。ウェ
ブページ等 を介 することにより、誰 もが一 対 多 数 の情 報 発 信 が可 能 となったの
だ。そして、これらの新 たなコミュニケーションツールの中 でも、特 に画 期 的 であ
ったと言 えるのが、「携 帯 電 話 」の登 場 である(ちなみに、ここで言 う携 帯 電 話 と
は、1979 年 に登 場 した自 動 車 電 話 ( 3 ) に始 まり、1995 年 に登 場 した PHS ( 3 )
や、次 世 代 携 帯 電 話 のことも包 括 的 に含 んでいる)。
携 帯 電 話 が登 場 ・普 及 以 前 は、個 人 と個 人 が確 実 にリアルタイムにコミュニ
ケーションをとるためには、事 前 に約 束 を取 り付 ける等 して直 接 会 うか、或 いは、
直 接 会 うことが不 可 能 な場 合 は、双 方 が電 話 で話 せるという空 間 的 ・時 間 的
4
状 態 を作 り出 す必 要 があった。
しかし携 帯 電 話 は、文 字 通 り携 帯 できるというその特 性 から、これまでのよう
に制 限 された特 定 の状 況 に居 らずとも、相 手 と電 話 で会 話 を行 うことを可 能 に
した ( 4 ) 。双 方 の同 意 、つまり電 話 を掛 ける/受 けるの応 対 さえ行 われれば、電
波 が 届 く 限 り、 原 則 としては「何 時 でも・ 何 処 でも」 相 手 とのコ ミュニケーション
が可 能 となったのだ。また近 年 では、通 話 のみでなく、携 帯 電 話 同 士 での短 い
メール(文 章 )の送 受 信 が安 価 で可 能 となったため、経 済 的 な意 味 においても
より気 軽 に相 手 とのコミュニケーションを図 ることが可 能 となった。
しかし、この「何 時 でも・何 処 でも」連 絡 を取 り合 うことが出 来 るというのは、裏
を返 せば、「何 時 どんな時 でも・何 処 に居 ても」相 手 に連 絡 を“取 られてしまう”
という事 実 と表 裏 一 体 であると言 える。以 前 は、電 話 の前 という特 定 の状 況 を
避 けることさえ出 来 れば、電 話 での応 対 を避 けることが出 来 た。つまり、コミュニ
ケーションの送 り手 側 のみでなく、受 け手 側 にも、コミュニケーションに応 ずるか
否 かの選 択 権 が存 在 していたのに対 し、携 帯 電 話 は原 則 的 に、相 手 に「何 時
どんな時 でも・何 処 に居 ても」送 り手 側 のコミュニケーション・コンタクトに応 ずる
ことを強 要 する。乱 暴 かつ極 端 な言 い回 しをしてしまうならば、携 帯 電 話 を持
つことによって私 達 は、「相 手 からのコミュニケーション・働 きかけに応 じない(ま
たは応 じなければならない場 所 を避 ける)」という方 法 によって確 保 する ことが
できた「自 分 だけの時 間 」を、半 永 久 的 に失 ったと言 えるのではないだろうか。
最 近 は使 用 状 況 (場 所 など)のマナーが叫 ばれるようになったため、必 ずし
も原 則 通 り即 時 の対 応 が求 められる限 りでは無 くなったものの、しかし依 然 とし
て、着 信 履 歴 を参 考 にする等 して、受 け手 側 が送 り手 側 に何 らかのコンタクト
を行 うことを求 める風 潮 は存 在 している。このコミュニケーションのスタイルの変
容 が、 携 帯 電 話 に 違 和 感 ・異 質 な感 覚 を与 え る要 因 の 1つと なっているの は
事 実 のようである ( 4 ) 。
5
さて、ここで再 び注 目 したいのが、先 程 から繰 り返 し述 べている、この携 帯 電
話 の特 性 である、「何 時 でも・何 処 でも」相 手 とコミュニケーションがとれるという
点 である。最 近 では、街 中 や大 学 の構 内 でも、あちらこちらで携 帯 電 話 を操 作
し てい る 人 間 、 特 に 若 者 を 多 く 見 かけ る 。 確 かに 、 彼 らは 携 帯 電 話 の 特 性 を
最 大 限 に活 かし、思 春 期 という他 者 との接 触 が重 要 な時 期 を存 分 に謳 歌 して
いると言 えるかも知 れない。しかし、少 々穿 った意 見 を述 べさせてもうらならば、
彼 らはそこまでして誰 かと連 絡 を取 らねばならない程 に多 忙 なのだろうか。それ
とも、極 端 に言 えばそれこそ四 六 時 中 常 に誰 かとコミュニケーションを取 らずに
はいられないというその背 景 には、何 か別 の要 素 が存 在 しているのだろうか。
こ の 点 に 関 し て 興 味 深 い の が 、 小 塩 (1998) の 研 究 ( 5 ) で示 された、 自 尊 感
情 と友 人 関 係 についての関 係 である。
b : 自 尊 感 情 とコミュニケーション
小 塩 は、青 年 の自 己 愛 傾 向 ・自 尊 感 情 ・友 人 関 係 がどのように関 連 してい
るかを、その論 文 の中 で報 告 しており、その結 果 、「『広 い』友 人 関 係 を自 己 報
告 する青 年 ほど自 己 愛 傾 向 が高 く、『深 い』友 人 関 係 を自 己 報 告 する青 年 ほ
ど自 尊 感 情 が高 い傾 向 にあることが分 かった」 ( 5 ) としている。
この論 文 の中 で特 に注 目 したいのが、 彼 が 被 験 者 の 青 年 達 の 友 人 関 係 を
「浅 い」「深 い」と二 分 した要 因 についてである。彼 は岡 田 (1993) ( 6 ) の作 成 した
尺 度 を元 に友 人 関 係 尺 度 を作 成 し、その尺 度 を因 子 分 析 した結 果 得 られた、
「相 手 に気 を遣 う」「一 線 を引 いた付 き合 いをする」という2つの因 子 で高 い数
値 を出 した者 を、「浅 い」付 き合 いをしている者 だと分 類 している。
ここで思 い出 して欲 しいのが、先 述 した携 帯 電 話 の特 性 についてである。私
6
達 は携 帯 電 話 を持 つことにより個 人 の時 間 を失 い、望 むにせよ望 まぬにせよ、
常 に他 者 からのコミュニケーション・働 きかけに応 じざるを得 ない状 態 へと陥 っ
てしまっている。このような、常 に相 手 とコミュニケーションを行 うことができる関
係 というのは、確 かに一 見 すると、いつでも気 軽 に、そして即 座 に相 手 と連 絡
を取 ることが出 来 る、非 常 に気 が置 けない関 係 に見 えるかも知 れない。しかし
裏 を返 せばそれは、自 分 もまた四 六 時 中 常 に他 者 ・第 三 者 の存 在 を意 識 し、
相 手 の行 動 (電 話 やメール)に対 応 しなければならない関 係 でもあり、対 人 関
係 というものに多 くのエネルギーを、そして「気 」を遣 う関 係 だと言 えるのでは無
いだろうか。
仮 に 、 上 記 の 携 帯 電 話 の 所 有 ・ 利 用 状 況 と 対 人 関 係 と の 関 連 に つい て の
考 察 が適 切 なものであり、その人 物 の対 人 関 係 の傾 向 ・考 え方 (相 手 に気 を
遣 い が ち か 否 か 等 ) が そ こ に 表 れ て い る と する な ら ば 、 逆 説 的 で は あ る が 、 携
帯 電 話 の所 有 ・利 用 状 況 を分 析 することにより、その利 用 者 の対 人 関 係 の傾
向 ・考 え方 を捉 えることができるのでは無 いだろうか。また延 いては、小 塩 の論
文 で関 連 が見 られたように、自 尊 感 情 の高 低 をそこから捉 えることも可 能 なの
では無 いだろうか。
そして、更 に仮 定 の上 に仮 定 を重 ねてしまい申 し訳 ないのだが、もし携 帯 電
話 の所 有 ・利 用 状 況 という共 通 のスケールによって、対 人 関 係 の傾 向 ・考 え方
と自 尊 感 情 という2つの要 素 ・傾 向 の 何 れもが計 れるとするならば、小 塩 の論
文 では充 分 な考 察 は行 われなかったが、友 人 との付 き合 い方 の各 因 子 と自 尊
感 情 との関 連 性 も非 常 に興 味 深 い。小 塩 は友 人 との付 き合 いを「広 い−狭
い」「浅 い−深 い」という分 類 でしか考 えなかったようだが、果 たして、自 尊 感 情
と友 人 関 係 との関 連 というの は、その程 度 の 分 析 で充 分 に 考 察 を行 えるもの
なのだろうか。
話 の流 れが少 々前 後 してしまうが、そもそも「自 尊 感 情 」とは何 か。有 斐 閣 よ
7
り出 版 されている「心 理 学 辞 典 」によれば、それは「自 己 に対 する評 価 感 情 で、
自 分 自 身 を基 本 的 に価 値 あるものとする感 覚 」 ( 7 ) であるという。この定 義 を仮
に正 しいものとするならば、自 尊 感 情 は、「自 分 が行 為 の主 体 であると確 信 し
てい る こ と 、 自 分 の 行 為 に つ い て自 分 が き ちんと 統 制 し て い ると い う 信 念 、 自
分 が 外 部 からの 要 請 にき ち んと 対 応 し ていると い う確 信 」 ( 7 ) と 言 わ れる 「 自 己
効 力 感 」と の 間 に 強 い 関 連 を 持 って おり 、 自 己 効 力 感 同 様 、 外 部 、 つ ま り 他
者 からの影 響 を強 く受 けるものだと言 えるだろう。事 実 、結 果 が多 少 不 確 実 な
ものではあるが、管 (1975)の研 究 ( 8 ) でも、他 者 との関 係 ・評 価 が自 尊 感 情 に
影 響 を与 えることが示 されている。
以 上 の事 を考 慮 すれば、自 尊 感 情 と 友 人 関 係 との関 連 を入 念 に調 べる際
には、小 塩 が 行 った以 上 の 、更 に 細 かい友 人 関 係 のあり方 ・ 関 わ り方 につ い
ての より詳 細 な分 析 を行 う必 要 があ ると 言 っても 過 言 では ないこと が お分 かり
頂 けるだろう。
2,携 帯 電 話 と自 尊 感 情 とコミュニケーションとの関 連
ここで、 先 程 の 友 人 との関 係 と いう要 素 に関 係 して思 い 出 して欲 しい のが、
携 帯 電 話 についてである。
既 に述 べたように、携 帯 電 話 とは他 者 とのコミュニケーションのスタイルを大 き
く変 えた、双 方 が望 む限 り「何 時 でも・何 処 でも」コミュニケーションを行 うことが
出 来 る道 具 であり、そして、やはりここでも重 要 となってくるのが、この「何 時 で
も・何 処 でも」という部 分 である。
前 項 で述 べたように、自 尊 感 情 に他 者 との関 係 ・評 価 が関 与 しているとすれ
ば、この「何 時 でも・何 処 でも」コミュニケーションが取 れる携 帯 電 話 の利 用 方
8
法 ・状 況 が、その利 用 者 の自 尊 感 情 と何 らかの関 係 を持 っているという推 測 が
成 り立 つのでは無 いだろうか。また同 様 に、携 帯 電 話 の 利 用 方 法 ・状 況 を分
析 することにより、その利 用 者 の友 人 関 係 の傾 向 を掴 むことも、可 能 なのでは
ないだろうか。
このように、一 見 無 関 係 に見 える「携 帯 電 話 」・「自 尊 感 情 」・「コミュニケーシ
ョン」という3つの要 素 の間 には、実 は何 らかの関 連 性 が存 在 しているらしいと
いう推 測 が、これまでの考 察 で可 能 となってきた。では、具 体 的 には、これらの
間 にはどのような関 連 が存 在 しているのか、また、そのことについて触 れた先 行
研 究 の類 にはどのようなものがあるのだろうか。
3,先 行 研 究 への考 察 並 びに問 題 意 識
携 帯 電 話 は、最 近 になって登 場 した、比 較 的 新 しく、そして普 段 の生 活 ・友
人 らとの 付 き 合 いと い った身 近 な範 囲 の 中 にも 大 きな影 響 を与 え た道 具 だ と
いうこともあってか、心 理 学 や社 会 学 を中 心 に、近 年 多 くの論 文 が発 表 されて
おり、コミュニケーションとの関 連 についての報 告 も少 なからずある。
しかし、残 念 ながらその大 半 は、コミュニケーションを「広 い−狭 い」「浅 い−
深 い」という二 元 論 で把 握 する従 来 の立 場 への批 判 ( 9 ) ( 1 0 ) であったり、或 いは
携 帯 電 話 の有 無 で友 人 関 係 への意 識 がどのように変 わるかを調 べたもの ( 1 1 )
(12)
等 でしか無 いというのが現 状 である。
次 に 、 自 尊 感 情 や コミ ュ ニケ ーション ・友 人 関 係 に つい ての 論 文 だ が、 こ れ
はどちらも古 くから研 究 されているテーマだけあり、非 常 に多 くの研 究 がこれま
でにも発 表 されている。また、別 のテーマとの関 連 性 という点 でも、自 尊 感 情 で
は自 己 愛 傾 向 との関 連 についての研 究 ( 1 3 ) 等 が、コミュニケーション・友 人 関
9
係 では自 己 意 識 との関 連 についての研 究 ( 1 4 ) 等 が近 年 でも行 われており、非
常 に人 々の関 心 を集 めているテーマであることが分 かる。
しかし、これが自 尊 感 情 とコミュニケーション・友 人 関 係 の両 者 の関 連 性 につ
いての研 究 となると、単 独 での研 究 に比 べ、極 めて少 ない数 しか先 行 研 究 が
行 われていないというのが現 状 である。またその数 少 ない先 行 研 究 も、前 述 し
た小 塩 (1998)の研 究 ( 5 ) のように分 析 で注 目 している点 が異 なっていたりする
等 、両 者 の関 係 性 を充 分 に分 析 しているとは言 い難 いものばかりであった。ま
してや、この両 者 と携 帯 電 話 との関 連 について調 べた研 究 に至 っては、文 字
通 り皆 無 というのが現 状 である。
そこで、このような現 状 に対 し本 論 文 では、この「携 帯 電 話 」と「コミュニケー
ショ ン 」 、 並 び に 「 携 帯 電 話 」 と 「自 尊 感 情 」と の 関 連 性 に つ い て分 析 を行 うと
共 に、多 くの先 行 研 究 では分 析 が不 十 分 であった、「自 尊 感 情 」と「コミュニケ
ーション」 の関 連 に ついてのコ ミュニケーションのあ り方 ・関 わ り方 という面 から
の詳 細 な分 析 という点 にも注 目 し、相 互 の関 係 について分 析 ・考 察 を行 うこと
で、携 帯 電 話 を頻 繁 に多 用 する人 々の心 理 傾 向 を把 握 すると同 時 に、彼 らに
対 し、周 囲 はどのようなコミュニケーションを行 っていくべきかについて論 じてい
きたい。
なお本 論 文 では、携 帯 電 話 によるコミュニケーションについて、その特 異 性
から意 図 的 に、敢 えてタイトルに、「携 帯 電 話 」ではなく、鉤 括 弧 付 きで「『ケー
タイ』」という言 葉 を用 いたことを、遅 ればせながらここに明 記 しておく。
10
Ⅱ 調査
1,調 査 概 要
a : 研 究 目 的 ・仮 説
本 研 究 の目 的 は、前 述 の通 り、「携 帯 電 話 」・「自 尊 感 情 」・「コミュニケーショ
ン」という3つの要 因 の関 連 性 を調 べ、携 帯 電 話 の使 用 状 況 を軸 とした新 たな
コミュニケーションのアプローチ方 法 について、調 査 を元 に考 察 を行 うことであ
る。
また、調 査 するコミュニケーションの要 素 ・関 わり方 を厳 選 する ため、各 種 の
先 行 研 究 を基 に、以 下 のような仮 説 を立 て、これらを基 に質 問 紙 を作 成 した。
仮 説 1 : 自 尊 感 情 が低 い人 は、自 分 に自 信 が持 て無 いことから生 ずる対 人
関 係 への慢 性 的 不 安 から、「相 手 に見 捨 てられる」という感 情 を強 く
抱 くため、自 尊 感 情 が高 い人 に比 べ、相 手 に対 し、より気 を遣 うよう
な行 動 をとる傾 向 がある。
仮 説 2 : 上 記 と同 様 の「相 手 に見 捨 てられる」という不 安 から、自 尊 感 情 が
低 い人 は高 い人 に比 べ、相 手 に対 し、より援 助 的 ・親 密 的 な行 動 を
とる傾 向 がある。
仮 説 3 : 上 記 と同 様 の「相 手 に見 捨 てられる」という不 安 から、自 尊 感 情 が
低 い人 は高 い人 に比 べ、相 手 との長 時 間 の接 触 を好 み、その結 果 、
携 帯 電 話 の利 用 頻 度 も、自 尊 感 情 が高 い人 よりも高 くなる。
11
b : 調査方法
調 査 対 象 ・・・ 和 光 大 学 学 生
調 査 場 所 ・・・ 和 光 大 学 構 内
実 施 時 期 ・・・ 2002 年 12 月 初 旬
※質 問 紙 は無 記 名 式 とした。
c : 調査手順
より多 くの回 答 を得 るため、和 光 大 学 で授 業 をなさっている何 人 かの教 授 ・
助 教 授 の 方 に 協 力 を仰 ぎ、 授 業 時 間 の 一 部 を割 いてい ただき、 聴 講 に来 て
いた学 生 に対 し口 頭 で簡 素 な説 明 を行 った後 、協 力 していただける方 にのみ
質 問 紙 を配 布 し、その場 で記 入 してもらい回 収 を行 った。また、一 部 は個 人 的
に友 人 らに質 問 紙 を託 し、配 布 ・回 収 作 業 を行 ってもらった。
ご協 力 してくださった教 授 ・助 教 授 方 には、この場 を借 りて、厚 く御 礼 を申 し
上 げます。
d : 質 問 紙 の概 要
※いずれも、不 明 な点 がある際 は、参 考 資 料 として添 付 した質 問 紙 原 文 を参
照 していただきたい。
12
①フェイスシート
回 答 者 の、学 部 ・学 年 ・年 齢 ・性 別 を記 入 してもらうと共 に、「携 帯 電
話 ・PHS の所 有 」と、「日 常 的 なパソコンでの E メールの利 用 」という2項
目 について、「はい・いいえ」の2択 で回 答 を行 ってもらった。なお、「日 常
的 なパソコンでの E メールの利 用 」という、一 見 今 回 の調 査 に不 要 に思 え
る項 目 を作 成 した理 由 に関 しては、後 述 の「③携 帯 電 話 ・パソコンによる
E メールの利 用 状 況 」の説 明 を参 照 していただきたい。
②自 尊 感 情 尺 度
Rosenberg,M.(1965)が作 成 した自 尊 感 情 尺 度 の日 本 語 訳 版 (星 野 命
訳 ) ( 1 5 ) を用 いた。ただし、訳 文 が古 いためか、事 前 の予 備 調 査 の際 に、
文 章 の意 味 が理 解 しにくいとの意 見 が挙 がる質 問 文 が一 部 あったため、
本 来 の文 脈 や文 意 を損 なわない範 囲 で、分 かりやすい文 章 への変 更 を
行 った。なお、回 答 については、10 項 目 全 てに対 し、原 作 同 様 の4段 階
評 定 (「とてもあてはまる」∼「まったくあてはまらない」)で求 めた。
③携 帯 電 話 ・パソコンによる E メールの利 用 状 況
適 切 な先 行 研 究 が見 当 たらなかったため、独 自 に作 成 した。
質 問 内 容 についてだが、近 年 の携 帯 電 話 の利 用 方 法 として、その安 価
さや気 軽 さから、単 なる通 話 だけでなく、携 帯 電 話 同 士 のメールによるコ
ミュニケーションも活 発 に行 われているという現 状 を考 慮 し、通 話 等 の「時
間 」を尋 ねるのでは無 く、利 用 の「回 数 」を尋 ねる形 とし、その頻 度 を、ま
ず 「 1日 に ・ 1週 間 に 」 の 2通 りに 分 け た後 、 利 用 回 数 を 小 数 点 を 用 いず
に記 入 してもらう形 をとった。
また、一 口 に 携 帯 電 話 の利 用 と 言 っても、たわいない談 話 ・お しゃべり
から様 々 な事 柄 等 の連 絡 ま で、その目 的 が単 一 ではないことを考 慮 し、
大 別 ではあるが、「おしゃべり(談 話 )が目 的 」の使 用 回 数 と、「連 絡 や遊
13
びの誘 いなどが目 的 」の使 用 回 数 とで2つに分 け、それぞれの頻 度 を記
入 してもらう形 をとった。
なお、当 初 の予 定 では、回 答 者 には自 身 が電 話 やメールを発 信 ・送 信
した回 数 だけでなく、電 話 やメールを受 けた・受 信 した回 数 についても記
入 を求 める予 定 であったが、事 前 に行 った予 備 調 査 において、何 れの回
答 でも送 受 信 の回 数 に大 きな差 は見 られなかったことから、今 回 の調 査
では、より回 答 者 の傾 向 が示 されるであろう、回 答 者 が能 動 的 に電 話 や
メールを行 った回 数 (発 信 ・送 信 の回 数 )のみを記 入 してもらうこととした。
ちなみに、本 項 目 は本 来 は携 帯 電 話 の利 用 状 況 を分 析 する為 の項 目
であるため、パソコンによる E メールの利 用 状 況 に関 する質 問 は不 要 かと
も思 われたが、記 入 者 が自 身 の日 常 生 活 を振 り返 り、他 の項 目 の記 入 を
整 理 して行 えるように、フェイスシートでの日 常 的 利 用 に関 する質 問 と併
せて敢 えて作 成 した。
④友 人 との関 わり方 尺 度
日 常 的 に気 軽 にコミュニケーションを行 う相 手 として、本 研 究 では「友
人 」をその相 手 ・計 測 対 象 として選 択 し、回 答 者 の友 人 との関 わり方 を見
ることで、回 答 者 の傾 向 を把 握 しようと試 みた。
尺 度 については、最 初 に小 塩 (1998)の研 究 ( 5 ) の中 で導 き出 された、5
つの因 子 を持 つ 24 項 目 の友 人 関 係 尺 度 から、各 因 子 を支 える項 目 を
選 び出 すと共 に、これらの質 問 項 目 の不 足 を補 い、またこの尺 度 単 独 で
は追 求 が不 足 していた要 素 に関 しても考 察 を加 えることを目 的 として、下
斗 米 (1999)が作 成 した役 割 行 動 尺 度 ( 1 6 ) から、「支 援 性 」「自 律 性 」「近
接 性 」の因 子 を持 つと報 告 された 12 項 目 、並 びに前 述 の5因 子 に関 連
する であろ ういく つかの 項 目 を、 多 少 の 文 面 の 変 更 を行 い つ つ 採 用 し 、
合 計 32 の質 問 項 目 (8因 子 ×4項 目 )を持 つ尺 度 を作 成 した。また、回
14
答 は5段 階 評 定 (「とてもあてはまる」∼「どちらとも言 えない」∼「全 くあて
はまらない」)で求 めた。
e : 結果
①フェイスシートについて(表 1∼3参 照 )
※総 計 : 313 名
表1.性別と学部
学部
人間関係
表現
経済
(無記入)
<合計>
男性
47
37
89
0
173
女性
74
49
14
1
138
性別
(無記入) <合計>
0
121
1
87
1
104
0
1
2
313名
表2.携帯電話・PHSの所有
持っている 持っていない
<合計>
299
14
313名
表3.パソコンでのEメールの日常的利用
利用している 利用していない
(無記入)
<合計>
129
183
1
313名
表 2を見 ると、大 半 の学 生 が携 帯 電 話 を所 有 していることが分 かる。しかしそ
の一 方 で、表 3を見 ると、パソコンでの E メールの利 用 はさほど日 常 的 には行
われていないことが分 かる。このことから考 えるに、パソコンでの E メールの利 用
に関 する情 報 ついては、一 応 は一 連 の分 析 に加 えるが、後 述 の利 用 状 況 (利
用 回 数 の少 なさ)を見 ると、あまり有 意 義 な・分 析 に値 する情 報 だとは言 い難
いと言 えるだろう。なお携 帯 電 話 やパソコンを所 持 していない回 答 者 に関 して
15
も、その機 器 の使 用 頻 度 が0回 になるであろうことを予 期 した上 で回 答 の記 入
を続 けてもらい、他 の回 答 と同 様 に集 計 ・分 析 に加 えた。
②自 尊 感 情 尺 度 について
信 頼 性 分 析 を行 った結 果 、10 項 目 全 てを用 いた分 析 で、Alpha=.7868 と
いう比 較 的 高 い信 頼 性 を確 認 することが出 来 たので、項 目 の削 除 等 を行 うこ
となく分 析 に用 いることとした。なお、質 問 2「私 はときどき、自 分 がまるでダメだ
と思 う」 ・ 質 問 5「私 には、あまり得 意 に思 うことがない」 ・ 質 問 6「私 はときど
き、本 当 に自 分 が役 立 たずだと感 じる」 ・ 質 問 8「もう少 し自 分 を尊 敬 できた
ならばと思 う」 ・ 質 問 9「どんなときでも、自 分 のことを失 敗 者 だと思 いがちだ」
以 上 の 5 項 目 に つ い ては 、 自 分 に 自 信 が 無 い ・ 自 尊 感 情 が 低 い 者 ほ ど 高 い
得 点 を示 す(質 問 に「あてはまる」と答 える)項 目 であるため、1∼4点 の得 点 が
回 収 後 の原 文 とは逆 になるように計 算 を行 った後 に、分 析 に用 いることとした。
各 項 目 の 平 均 得 点 に つ い て は 、 表 4 、 並 びに 図 1を 見 て 頂 き たい の だ が 、
合 計 得 点 から見 た(推 測 した)場 合 の項 目 毎 の平 均 得 点 に比 べ、項 目 によっ
ては実 際 の平 均 得 点 の算 出 において、推 測 される得 点 よりも目 立 って高 い/
低 い得 点 を示 すものあることが同 時 に見 て取 れるだろう。そこで、これらの項 目
の間 には何 らかの関 連 があるのではないかと考 え因 子 分 析 (主 因 子 法 ・バリマ
ックス回 転 )を行 った結 果 、2つの因 子 を得 ることができた。それぞれの因 子 の
該 当 項 目 ・信 頼 性 については、下 記 の表 5にある通 りである。何 れの因 子 も、
ある 程 度 の 信 頼 性 を示 したため、 そのま ま 採 用 し 分 析 に 用 いること と した。 平
均 点 等 については、表 6・7を参 照 していただきたい。
16
表4.自尊感情尺度 各質問項目の平均得点
<質問項目>
1,「全ての点で自分に満足している」
2,「ときどき、自分がまるでダメだと思う」(逆転)
3,「自分にはいくつか見どころがある」
4,「人がやれる程度には物事ができる」
5,「あまり得意に思うことがない」(逆転)
6,「ときどき本当に役立たずだと感じる」(逆転)
7,「少なくとも自分には、他人と同レベルの価値がある」
8,「もう少し自分を尊敬できたならばと思う」(逆転)
9,「自分の事を失敗者だと思いがちだ」(逆転)
10,「自身に対して前向きの態度をとっている」
(合計得点)
平均得点
2.05
1.85
2.70
2.53
2.62
2.29
2.67
2.12
2.69
2.74
24.27点
図1.自尊感情尺度 各質問項目の平均得点
2.05
1,「全ての点で自分に満足している」
2,「ときどき、自分がまるでダメだと思う」(逆転)
質
問
項
目
1.85
3,「自分にはいくつか見どころがある」
2.7
4,「人がやれる程度には物事ができる」
2.53
2.62
※ 5,「自分にはあまり得意に思うことがない」(逆転)
文
章
6,「ときどき本当に役立たずだと感じる」(逆転)
は
一
部
7,「自分には他人と同レベルの価値はある」
省
略
8,「もう少し自分を尊敬できたならばと思う」(逆転)
2.29
2.67
2.12
2.69
9,「自分の事を失敗者だと思いがちだ」(逆転)
2.74
10,「自身に対して前向きの態度をとっている」
1
1.5
2
平均得点
表5.「自尊感情尺度」 各因子の信頼性分析の結果
(因子)
(該当項目)
(信頼性/アルファ係数)
第1因子 項目7・3・4・5・10・1
Alpha=0.7266
第2因子
項目2・8・6・9
Alpha=0.6708
17
2.5
3
表6.「自尊感情尺度」因子分析結果
回転後の成分行列
7,「私は、少なくとも自分には、他人と同じレベルに立つだけの価値があると思う」
3,「自分には、いくつか見どころがあると思っている」
4,「私は、ほとんどの人がやれる程度には物事ができる」
5,「私には、あまり得意に思うことがない」(逆転)
10,「私は自身に対して、前向きの態度をとっている」
1,「私は、全ての点で自分に満足している」
2,「私はときどき、自分がまるでダメだと思う」(逆転)
8,「もう少し自分を尊敬できたならばと思う」(逆転)
6,「私はときどき、本当に自分が役立たずだと感じる」(逆転)
9,「どんなときでも、自分のことを失敗者だと思いがちだ」(逆転)
因子抽出法: 主成分分析 ・ 回転法: Kaiser の正規化を伴わないバリマックス法
a 3 回の反復で回転が収束しました。
成分
能力評価 現在自己受容
0.764
-1.69E-02
0.758
0.134
0.669
9.56E-02
0.482
0.332
0.465
0.433
0.455
0.439
0.14
0.706
-0.124
0.686
0.197
0.678
0.345
0.673
表7.「自尊感情尺度」 各因子の平均得点
平均得点 (最大得点) 標準偏差
能力評価
15.33
24
3.342
現在自己受容
8.94
16
2.789
各 因 子 の意 味 についてだが、第 1因 子 で高 い負 荷 量 を示 した項 目 には、
「私 は、少 なくとも自 分 には、他 人 と同 じレベルに立 つだけの価 値 があると思
う」 ・ 「自 分 には、いくつか見 どころがあると思 っている」 ・ 「私 は、ほとんど
の人 がやれる程 度 には物 事 ができる」など、自 己 の能 力 ・行 動 を評 価 するもの
が多 く、自 尊 感 情 の決 定 には、能 力 面 からの自 分 への評 価 が関 連 しているこ
とがこの因 子 からは読 み取 れる。以 上 のことから、この因 子 は「能 力 評 価 」因 子
と名 付 けることとした。
次 に第 2因 子 についてだが、高 い負 荷 量 を示 した項 目 を見 ると、「私 はとき
どき、自 分 がまるでダメだと思 う」(評 価 逆 転 ) ・ 「もう少 し自 分 を尊 敬 できた
ならばと思 う」(評 価 逆 転 ) ・ 「どんなときでも、自 分 のことを失 敗 者 だと思 い
がちだ」(評 価 逆 転 )など、第 1因 子 とは違 い、能 力 とは関 係 なく現 在 の自 己 を
認 めている・受 け入 れている項 目 が確 認 できた。このことから、自 尊 感 情 の決
定 には 能 力 評 価 の みでなく 、 “今 こ こに いる” 自 己 を受 け 入 れ ている か否 かも
18
関 連 していることがこの因 子 からは読 み取 れる。以 上 のことから、この因 子 は
「現 在 自 己 受 容 」因 子 と名 付 けることとした。
なお、これら2つの因 子 同 士 の 関 連 についてだが、相 関 を調 べた結 果 、相
関 係 数 =0.493 / 有 意 確 率 1%水 準 という高 い水 準 で相 関 が確 認 できた。
よって、これら2つの因 子 は、どのような点 から自 己 を評 価 しているか(自 尊 感
情 を決 めているか)こそ違 うものの、何 れも「自 尊 感 情 」を求 めていることに違 い
は無 いことがここでも再 確 認 できたので、過 剰 に分 析 が細 かくなることを避 ける
意 味 でも 、 以 降 の 他 の 調 査 項 目 と の 関 連 を 見 る 際 の 各 種 検 定 に お い ては 、
一 部 の 検 定 を 除 き 、 因 子 毎 の 得 点 や 結 果 では なく 、 あ くま で も 「自 尊 感 情 尺
度 」全 体 の結 果 のみを分 析 に用 いることとした。
上 記 の因 子 についての考 察 を踏 まえた上 で、改 めて各 項 目 の平 均 点 を見
てみると、平 均 点 で高 い得 点 を示 した項 目 には、質 問 3「自 分 には、いくつか
見 どころがあると思 っている」 ・ 質 問 7「私 は、少 なくとも自 分 には、他 人 と同
じレベルに立 つだけの価 値 があると思 う」 ・ 質 問 10「私 は自 身 に対 して、前
向 きの態 度 をとっている」など、因 子 で見 ると第 1因 子 に該 当 する項 目 が多 か
った。以 上 のことから、今 回 の 調 査 の回 答 者 達 の中 には、自 己 の能 力 ・行 動
に自 信 を持 っている・高 い評 価 を下 している者 が多 いことが、この結 果 から読
み取 れる。
その一 方 で、低 い得 点 を示 した項 目 を見 てみると、質 問 2「私 はときどき、自
分 がまるでダメだと思 う」 ・ 質 問 6「私 はときどき、本 当 に自 分 が役 立 たずだと
感 じる」 ・ 質 問 8「もう少 し自 分 を尊 敬 できたならばと思 う」など、因 子 で見 る
と第 2因 子 に該 当 する項 目 が多 かった。このことから、第 1因 子 の能 力 評 価 と
は異 なり、“今 ここにいる”自 分 を受 け入 れるという点 においては、あまり自 信 の
無 い・ 低 い 評 価 しか下 してい ない回 答 者 が多 いことがこの結 果 からは 読 み取
19
れる。
これら2つの結 果 についてだが、元 々どのような観 点 から自 己 を評 価 するの
かが異 なるだけに、一 見 すると特 に不 思 議 な点 は無 いように思 うかも知 れない。
しか しよ く 考 え る と 、 自 己 の 能 力 ・ 行 動 に つ い て は 高 い 評 価 を 下 し てい る に も
関 わらず、そのような能 力 を持 つ自 己 に対 しては不 満 を持 っているというのは、
何 ともアンバランスな関 係 だと言 えるのではないだろうか。勿 論 、これは平 均 点
に基 づく考 察 であるため、必 ずしも回 答 者 全 員 が同 様 の傾 向 を示 したわけで
はないのだろうが、それにしても、何 故 能 力 への評 価 に比 べ自 己 への評 価 は
低 くしか行 われていないのだろうか。単 純 に考 えれば、能 力 を高 く評 価 するの
であれば、その能 力 を持 つ自 身 に対 しても、もっと高 い評 価 がされても良 いの
ではないのだろうか。
以 下 はあくまでも憶 測 の域 を出 ない考 察 だが、今 回 の回 答 者 =現 代 の若
者 たちというのは、確 かに自 分 の持 つ能 力 には自 信 があるものの、その一 方 で、
現 状 ・“今 ここにいる”自 分 というものには必 ずしも満 足 しておらず、むしろ更 に
自 分 をと い う人 間 を 高 め たい と 考 え てお り、 その 傾 向 が 、 「 能 力 評 価 」 因 子 に
比 べ、「現 在 自 己 受 容 」因 子 が低 い得 点 しか示 さないという結 果 へと繋 がって
いるのではないかと考 えられる。勿 論 、より良 い自 己 を求 め努 力 するというのは、
決 して悪 いことではないだろう。しかし、それが自 己 に対 する評 価 を過 剰 に低 く
しているのであれば、私 達 は自 己 の評 価 方 法 ・評 価 基 準 について、もっと慎 重
に考 えてみた方 が良 いのではないだろうか。また、蛇 足 ではあるが、仮 に上 記
の推 測 が正 しいとすれば、近 年 何 かと良 くも悪 くも注 目 されている「自 分 探 し」
などといったものも、自 尊 ・自 己 に対 する評 価 をどのような面 から行 っているか
ということと無 関 係 ではないのかも知 れない。
20
最 後 にこの自 尊 感 情 尺 度 の得 点 の扱 いについてだが、以 降 の他 の調 査 項
目 との 関 連 を見 る 際 の 各 種 検 定 においては、 性 差 による 本 尺 度 の 項 目 毎 の
詳 細 な分 析 を除 き、情 報 の扱 いやすさ・利 便 性 から、全 体 の合 計 点 の平 均 値
( 24.27 点 ) を 基 準 と し 、 合 計 点 が こ の 数 値 に 満 た な い 者 を 「 低 自 尊 感 情
群 」 ・ 超 える者 を「高 自 尊 感 情 群 」と便 宜 的 に分 け、それぞれの群 毎 で検 定
に用 いることにした。なおそれぞれの群 の人 数 の内 訳 は、高 自 尊 感 情 群 148
名 (男 性 88 名 /女 性 60 名 ) ・ 低 自 尊 感 情 群 150 名 (男 性 78 名 /女 性 71
名 /無 記 入 1名 )となった。
③携 帯 電 話 ・パソコンの E メールの利 用 状 況 について
質 問 紙 では回 答 者 の利 便 性 から、その利 用 頻 度 を「1日 に・1週 間 に」のい
ずれかを選 んだ後 に回 数 を記 述 するという方 式 を取 ったが、頻 度 が統 一 され
ないままでは分 析 での利 用 が困 難 であると判 断 し、単 位 (頻 度 )を統 一 するた
め、少 々乱 暴 な方 法 ではあったが、「1日 毎 の回 数 」が書 かれた回 答 について
は単 純 に回 数 を7倍 にし、全 ての回 答 の単 位 を「1週 間 毎 の回 数 」で統 一 する
こととした。
その結 果 、各 項 目 の平 均 (1週 間 毎 の利 用 回 数 )は、表 8のようになった。な
お、表 中 で各 機 器 の利 用 に関 して、「談 話 目 的 」とあるのは質 問 紙 での「“おし
ゃべり”が目 的 のもの」に、「連 絡 等 」とあるのは質 問 紙 での「連 絡 や、遊 びの誘
いなどが目 的 のもの」に、それぞれ対 応 した表 現 である(以 後 全 て同 様 )。
表8.携帯電話・Eメールの1週あたりの平均利用回数
<利用目的>
<利用回数>
携帯電話(談話目的)の利用
4.66
携帯電話(連絡等)の利用
7.02
携帯でのメール(談話目的)の利用
43.87
携帯でのメール(連絡等)の利用
20.84
パソコンでのメール(談話目的)の利用
2.33
パソコンでのメール(連絡等)の利用
1.47
21
表 8を見 ると、同 じ携 帯 電 話 であっても、その利 用 方 法 としては、通 話 よりも
メールの方 が主 体 であることが見 て取 れる。正 式 な調 査 を経 たわけでは無 いの
で確 実 なことは言 えないが、回 答 者 が学 生 であることを考 慮 すると、この背 景
には、主 に金 銭 ・コストの問 題 等 が関 係 しているのではないかと思 われる。
ただし、この表 8に示 された“平 均 利 用 回 数 ”については、必 ずしも鵜 呑 みに
して良 い 情 報 では ないことに 留 意 していただき たい。それと いうのも、 表 8と 併
せて図 2の各 種 ヒストグラム(正 規 分 布 曲 線 付 き)を見 ていただきたいのだが、
これらを見 ると、表 8で示 された平 均 利 用 回 数 に対 して、実 際 の回 答 では正 規
の形 での分 布 は為 されておらず、むしろ平 均 よりも少 ない利 用 回 数 を示 した回
答 者 が際 立 って多 いことが分 かる。つまりこの平 均 値 は、この値 に近 い利 用 回
数 を示 した回 答 者 が多 かったというわけではなく、頻 繁 に機 器 を利 用 する一 部
の者 (ヘビーユーザー)によって全 体 の平 均 利 用 回 数 が跳 ね上 がった結 果 だ
と考 えられるのである。
そしてこの利 用 頻 度 の個 人 差 については、各 機 器 の利 用 方 法 ・利 用 目 的
間 での関 連 を見 ると、更 に特 徴 的 な傾 向 があることが分 かる。これらの間 の相
関 を求 めた結 果 、パソコンでの E メールの利 用 に関 してはその限 りではないが、
携 帯 電 話 の 利 用 に 関 し て は 、 その 利 用 方 法 ( 電 話 ・ メー ル ) や 利 用 目 的 ( 談
話 ・連 絡 等 )を問 わず、(水 準 に差 はあったが)全 ての回 答 間 で相 関 を確 認 す
ることができたのだ(相 関 の水 準 等 の詳 細 に関 しては、下 記 の表 9を参 照 して
頂 きたい)。
以 上 のことから、各 機 器 の利 用 頻 度 ・利 用 状 況 には(単 なる 平 均 回 数 の算
出 では求 められない程 に)個 々 人 で大 いに差 があり、その中 でも携 帯 電 話 に
関 しては、頻 繁 に利 用 する者 はその利 用 方 法 ・ 利 用 目 的 を問 わず頻 繁 に利
用 す る が、 その 一 方 で、あ ま り利 用 し な い 者 は その 利 用 方 法 ・利 用 目 的 を 問
わずあまり利 用 しない傾 向 にあるということが、今 回 の調 査 では見 て取 れた。
22
図 2.携 帯 電 話 ・E メールの利 用 状 況 利 用 回 数 の人 数 分 布 ヒストグラム
携帯電話(連絡等)の利用
携帯電話(談話目的)の利用
300
140
120
100
200
人数
人数
80
60
100
40
20
0
0
1.5
7.5
4.5
1.5
13.5 19.5 25.5 31.5 37.5 43.5 49.5 55.5 61.5 67.5 73.5
7.5
4.5
10.5 16.5 22.5 28.5 34.5 40.5 46.5 52.5 58.5 64.5 70.5
13.5 19.5 25.5 31.5 37.5 43.5 49.5 55.5 61.5 67.5 73.5
10.5 16.5 22.5 28.5 34.5 40.5 46.5 52.5 58.5 64.5 70.5
1週あたりの平均利用回数
1週あたりの平均利用回数
携帯メール(連絡等)の利用
携帯メール(談話目的)の利用
300
200
200
人数
人数
100
100
0
0
14.4
71.9
43.1
129.4 186.9 244.4
100.6 158.1 215.6
12.5
301.9 359.4 416.9 474.4 531.9
62.5
37.5
273.1 330.6 388.1 445.6 503.1 560.6
112.5 162.5 212.5
87.5
137.5 187.5
262.5 312.5 362.5 412.5 462.5
237.5 287.5 337.5 387.5 437.5 487.5
1週あたりの平均利用回数
1週あたりの平均利用回数
パソコンメール(連絡等)の利用
パソコンメール(談話目的)の利用
300
300
200
200
人数
人数
100
100
0
0
1.7
8.5
5.1
15.3 22.1 28.9 35.7 42.5 49.3 56.1 62.9 69.7 76.5 83.3
.8
3.8
2.3
11.9 18.7 25.5 32.3 39.1 45.9 52.7 59.5 66.3 73.1 79.9
6.8
5.3
9.8
8.3
12.8 15.8 18.8 21.8 24.8 27.8 30.8 33.8 36.8
11.3 14.3 17.3 20.3 23.3 26.3 29.3 32.3 35.3
1週あたりの平均利用回数
1週あたりの平均利用回数
23
表 9.携 帯 電 話 ・E メールの利 用 状 況 の相 関 について
相関係数
携帯電話_談話目的
Pearson の相関係数
有意確率 (両側)
N
携帯電話_連絡等
Pearson の相関係数
有意確率 (両側)
N
携帯メール_談話目的
Pearson の相関係数
有意確率 (両側)
N
携帯メール_連絡等
Pearson の相関係数
有意確率 (両側)
N
パソコンメール_談話目的 Pearson の相関係数
有意確率 (両側)
N
パソコンメール_連絡等
Pearson の相関係数
有意確率 (両側)
N
**. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) です。
*. 相関係数は 5% 水準で有意 (両側) です。
携帯電話_ 携帯電話_
携帯メール
携帯メー
パソコンメー
パソコンメー
談話目的
連絡等
_談話目的
ル_連絡等 ル_談話目的
ル_連絡等
1
.368**
.127*
.145*
.185**
.108
.
.000
.029
.014
.002
.077
298
291
297
289
269
267
.368**
1
.246**
.468**
.015
.056
.000
.
.000
.000
.812
.368
291
294
292
285
264
263
.127*
.246**
1
.468**
.072
.043
.029
.000
.
.000
.235
.481
297
292
304
294
273
271
.145*
.468**
.468**
1
.052
.102
.014
.000
.000
.
.396
.095
289
285
294
295
267
267
.185**
.015
.072
.052
1
.603**
.002
.812
.235
.396
.
.000
269
264
273
267
279
276
.108
.056
.043
.102
.603**
1
.077
.368
.481
.095
.000
.
267
263
271
267
276
277
④友 人 との関 わり方 尺 度 について
次 に、友 人 との関 わり方 についての尺 度 に関 してだが、本 来 は別 々に作 成
された2つの尺 度 を1つにまとめたということもあり、各 項 目 毎 に単 純 集 計 を行
った後 、それぞれの質 問 項 目 が持 つ意 味 に関 して再 度 検 討 ・考 察 を行 うため
に、新 たに因 子 分 析 を行 うこととした。
まずは各 項 目 毎 の単 純 集 計 の結 果 についてだが、項 目 毎 に多 少 の平 均 得
点 の差 はあったものの、総 じて特 筆 すべき結 果 は得 られなかった(表 10・図 3
参 照 ) 。 ま た、 先 行 研 究 で見 られ た因 子 ・グ ループ毎 に 注 目 して見 ても 、こ の
単 純 集 計 の時 点 では特 に何 か法 則 性 を見 付 けることは出 来 なかった。
24
表10.友人との関わり方尺度 集計結果
(質問項目)
(平均値)
3.20
3.17
3.19
3.01
3.54
3.86
3.13
3.22
2.58
3.68
2.80
2.66
3.53
3.76
3.21
3.68
2.74
3.49
3.11
2.85
2.65
3.79
3.42
2.76
3.46
3.25
3.29
2.85
3.42
3.32
3.38
3.72
1.友達グループのメンバーからどう見られているか気にする。
2.ウケるようなことをよくする。
3.お互いのプライバシーには入らない。
4.みんなで一緒にいることが多い。
5.真剣な議論をすることがある。
6.友達の悩み事や愚痴などを聞いて、理解を示す。
7.自分勝手な振る舞いはあまりしない。
8.買い物やスポーツなど一緒に出掛ける。
9.意見や好みがぶつからないよう気をつける。
10.冗談を言ったりして相手を笑わせる。
11.相手の言うことに口をはさまない。
12.一人の友達と親しくするよりは、グループで仲良くする。
13.心を打ち明けて話をする。
14.相手が苦しい立場のときは、味方になる。
15.その時の気分に流されたような行動はしないように努力する。
16.一緒に旅行や遊びに行く。
17.話題についていけるように気をつける。
18.楽しい雰囲気になるように気をつかう。
19.お互いの領分に踏み込まない。
20.友達から取り残されないように気をつける。
21.自分を犠牲にしてでも相手に尽くす。
22.いつでも友達からの相談に応じる。
23.自分の言動に責任を持つ。
24.お互いの家に行き合う。
25.互いに傷つけないように気をつかう。
26.いつでも、できるだけ明るく振舞う。
27.相手に甘えすぎない。
28.友達と一緒にいる時でも、それぞれが別のことをする。
29.相手が考えていることに気をつかう。
30.友達の劣っている面について、援助や協力をしてあげる。
31.時間や約束を破るようなことはしない。
32.何かあるとき、声をかけて誘う。
図3.友人との関わり方尺度 集計結果
質
問
項
目
3.20
3.17
3.19
1.友達からどう見られているか気にする
2.ウケるようなことをよくする
3.お互いのプライバシーには入らない
4.みんなで一緒にいることが多い
5.真剣な議論をすることがある
6.友達の悩みや愚痴などを聞いて、理解を示す
7.自分勝手な振る舞いはあまりしない
8.買い物やスポーツなど一緒に出掛ける
9.意見や好みがぶつからないように気をつける
10.冗談を言ったりして相手を笑わせる
11.相手の言うことに口をはさまない
12.一人の友達とではなく、グループで仲良くする
13.心を打ち明けて話をする
14.相手が苦しい立場のときは、味方になる
15.一時の気分に流されたような行動はしない
16.一緒に旅行や遊びに行く
17.話題についていけるように気をつける
18.楽しい雰囲気になるように気をつかう
19.お互いの領分に踏み込まない
20.友達から取り残されないように気をつける
21.自分を犠牲にしてでも相手に尽くす
22.いつでも友達からの相談に応じる
23.自分の言動に責任を持つ
24.お互いの家に行き合う
25.互いに傷つけないように気をつかう
26.いつでも、できるだけ明るく振舞う
27.相手に甘えすぎない
28.友達と一緒にいても、其々が別のことをする
29.相手が考えていることに気をつかう
30.友達の劣っている面に対し援助や協力をする
31.時間や約束を破るようなことはしない
32.何かあるとき、声をかけて誘う
3.01
3.54
3.86
3.13
3.22
2.58
3.68
2.80
2.66
3.53
3.76
3.21
3.68
2.74
3.49
3.11
2.85
2.65
3.42
2.76
3.79
3.46
3.25
3.29
2.85
3.42
3.32
3.38
3.72
1
1.5
2
25
2.5
平均点
3
3.5
4
そこで、各 項 目 間 の関 連 を知 るために因 子 分 析 (主 因 子 法 ・バリマックス回
転 )を行 った結 果 、先 行 研 究 での結 果 とは異 なる8つの因 子 を当 初 得 ることが
出 来 た。しかし、8つ目 の因 子 は、該 当 する項 目 で高 い負 荷 量 を示 した項 目
が1つしか無 かったため、これを分 析 に用 いるのは不 適 切 と判 断 し、この段 階
で 分 析 か ら 取 り 除 く こ と と し た 。 ま た、 そ の 後 の 信 頼 性 の 分 析 に お い て、 各 因
子 の信 頼 性 は以 下 の通 り(表 11 参 照 )となった。
(因子)
第1因子
第2因子
第3因子
第4因子
第5因子
第6因子
第7因子
表11.「友人との関わり方」 各因子の信頼性分析の結果
(該当項目)
(信頼性/アルファ係数)
項目 20・17・1・29・18・21・25・9・26・30
Alpha=.8364
項目 6・22・14・13・5・21・32・30
Alpha=.7784
項目 8・16・24・4・5・13
Alpha=.7611
項目 3・19・11・9・7・31
Alpha=.6637
項目 23・27・15・7・30
Alpha=.5937
項目 2・10・18・26
Alpha=.7534
項目 12・31・32・4
Alpha=.5107
この内 、特 に低 い値 を示 した第 5・7因 子 については、その信 頼 性 の問 題 に
より分 析 から削 除 し、最 終 的 に5つの因 子 を採 用 することとした(表 12 参 照 )。
各 因 子 の平 均 得 点 等 については、表 13 に示 したとおりである。
各 因 子 の意 味 ・役 割 についてだが、第 1因 子 で高 い負 荷 量 を示 した項 目 は、
「友 達 から取 り残 されないように気 をつける」、「友 達 グループのメンバーからど
う見 られているか気 にする」、「相 手 が 考 えていることに気 をつかう」など、いず
れも友 人 との関 係 に非 常 に気 を遣 うという点 で共 通 していた。このことから、第
1因 子 は相 手 に気 を遣 うという意 味 で『気 遣 い』因 子 と命 名 した。なお、ここで
いう『 気 遣 い』という言 葉 の 意 味 ・働 きと しては、“自 分 が 相 手 から悪 い評 価 を
受 けたりしないように自 己 の言 動 に気 を遣 う”という色 合 いが強 いものの、それ
だけではなく、“相 手 を思 いやって・相 手 の利 益 のために気 を遣 う”という意 味
も多 少 なりとも含 まれていることに留 意 しておいていただきたい。
26
表12.「友人との関わり方」 因子分析結果 回転後の成分行列
成分
気遣い 援助・親密 近接・共存 過剰接近回避
0.7 9 1
-0.039
0.125
0.081
0.7 1 6
0.012
0.096
-0.023
0.6 1 6
0.148
0.072
0.067
0.5 9 7
0.148
0.033
0.118
0.5 8 5
0.079
0.220
0.129
0.5 8 4
0 .4 09
-0.128
-0.105
0.5 6 4
0.071
0.068
0.145
0.5 4 6
-0.112
0.015
0 .4 7 6
0.4 9 5
-0.051
0.139
0.149
0.3 9 4
0 .3 55
-0.085
-0.121
0.127
0 .7 69
0.225
0.078
0.087
0 .7 00
0.014
-0.092
0.080
0 .6 42
0.148
0.031
0.018
0 .6 05
0 .3 5 9
-0.247
-0.046
0 .5 41
0 .4 1 4
-0.012
0.068
0.202
0 .7 4 6
0.001
0.110
0.228
0 .7 4 0
-0.042
0.065
0.124
0 .6 7 8
-0.200
0.240
-0.010
0 .5 1 8
-0.052
-0.068
-0.079
-0.101
0 .7 3 3
0.082
-0.079
-0.054
0 .7 0 3
0.128
-0.029
-0.051
0 .6 4 4
0.235
0.099
-0.014
0 .4 3 1
-0.104
0.187
0.170
0.172
-0.029
-0.088
-0.022
0.148
0.025
0.252
0.089
0.125
0.140
0.195
0.102
-0.066
0.073
0.240
0.232
0.006
0.342
-0.199
0.167
-0.187
0.039
0 .3 65
0.268
-0.077
0.029
0.167
-0.203
0 .4 2 8
-0.059
-0.078
-0.062
0.083
20.友達から取り残されないように気をつける。
17.話題についていけるように気をつける。
1.友達グループのメンバーからどう見られているか気にする。
29.相手が考えていることに気をつかう。
18.楽しい雰囲気になるように気をつかう。
21.自分を犠牲にしてでも相手に尽くす。
25.互いに傷つけないように気をつかう。
9.意見や好みがぶつからないよう気をつける。
26.いつでも、できるだけ明るく振舞う。
30.友達の劣っている面について、援助や協力をしてあげる。
6.友達の悩み事や愚痴などを聞いて、理解を示す。
22.いつでも友達からの相談に応じる。
14.相手が苦しい立場のときは、味方になる。
13.心を打ち明けて話をする。
5.真剣な議論をすることがある。
8.買い物やスポーツなど一緒に出掛ける。
16.一緒に旅行や遊びに行く。
24.お互いの家に行き合う。
4.みんなで一緒にいることが多い。
3.お互いのプライバシーには入らない。
19.お互いの領分に踏み込まない。
11.相手の言うことに口をはさまない。
7.自分勝手な振る舞いはあまりしない。
23.自分の言動に責任を持つ。
27.相手に甘えすぎない。
15.その時の気分に流されたような行動はしないように努力する。
2.ウケるようなことをよくする。
10.冗談を言ったりして相手を笑わせる。
12.一人の友達と親しくするよりは、グループで仲良くする。
32.何かあるとき、声をかけて誘う。
31.時間や約束を破るようなことはしない。
28.友達と一緒にいる時でも、それぞれが別のことをする。
因子抽出法: 主成分分析 回転法: Kaiser の正規化を伴わないバリマックス法
a 13回の反復で回転が収束しました。
表13.「友人との関わり方」各因子の平均得点
平均得点 (最大得点) 標準偏差
気遣い
30.81
50
7.348
援助・親密性
28.00
40
5.363
近接性・共存
19.53
30
5.083
過剰接近回避
18.13
30
4.195
娯楽性
13.57
20
3.545
27
娯楽性
0.075
0.039
-0.053
0.179
0 .4 92
-0.052
0.097
-0.016
0 .3 72
0.155
0.148
0.165
0.208
-0.029
-0.028
0.098
0.189
0.114
0.074
0.022
0.140
-0.081
-0.116
-0.027
0.078
-0.229
0 .8 01
0 .7 94
0.102
0.155
-0.122
0.084
今 回 の調 査 では、これらの項 目 を計 る尺 度 は自 作 するのではなく、既 存 の
尺 度 を安 易 に 流 用 して用 い たために、因 子 分 析 を経 た後 でもこのような細 か
な語 意 については、今 一 つ区 別 が不 明 確 ・不 完 全 な部 分 が生 じてしまった。
本 来 は 、 こ の よ うな 差 異 が 確 認 でき そう な 項 目 に つ い ては 、 事 前 に 入 念 に 確
認 作 業 を行 ったり独 自 に項 目 を作 成 した方 が、スムーズかつ正 確 な調 査 結 果
を得 ることができたであろう。この点 については、大 いに反 省 すべき点 である。
第 2因 子 では、「友 達 の悩 み事 や愚 痴 などを聞 いて、理 解 を示 す」、「 いつ
でも友 達 からの相 談 に応 じる」など、友 人 への協 力 ・援 助 を惜 しまない態 度 を
示 すと共 に、「心 を打 ち明 けて話 をする」や「真 剣 な議 論 をすることがある」とい
った具 合 に、非 常 に親 しい・踏 み込 んだ付 き合 いを表 す項 目 でも、高 い負 荷
量 を示 した。このことから、ここでの各 種 の援 助 ・協 力 は親 しい付 き合 いと併 せ
て行 われるものと判 断 し、これを『援 助 ・親 密 性 』因 子 と命 名 した。
次 に第 3因 子 についてだが、「買 い物 やスポーツなど一 緒 に出 掛 ける」、「一
緒 に旅 行 や遊 びに行 く」、「みんなで一 緒 にいることが多 い」、「真 剣 な議 論 を
することがある」などといった具 合 に、上 記 の第 2因 子 と似 通 った、或 いは共 通
する項 目 で高 い負 荷 量 が示 された。しかし、この両 因 子 の異 なる点 として、第
2因 子 では、“困 った時 ・いざという時 に助 ける”といった傾 向 が強 いのに対 し、
第 3因 子 は、 “一 緒 に何 かをする”という点 が強 く強 調 されているように思 われ
る。そこでこの因 子 は、第 2因 子 と区 別 するために、『近 接 性 ・共 存 』因 子 と呼
ぶことにした。
第 4因 子 では、「お互 いのプライバシーには入 らない」、「お互 いの領 分 に踏
み込 まない」、「相 手 の言 うことに口 をはさまない」など、第 2・3因 子 で示 された
項 目 と は 真 逆 とも 言 える 項 目 で高 い 負 荷 量 が 示 され ると 共 に、 「 意 見 や 好 み
がぶつからないよう気 をつける」など、相 手 に気 を遣 う項 目 の中 にも、いくつか
28
該 当 する項 目 があった。しかしこの気 遣 いは、他 の該 当 項 目 と併 せて考 えると、
友 人 との過 剰 な接 触 ・干 渉 ・摩 擦 を避 けるための手 段 であると考 察 できる。そ
こで、この因 子 は『過 剰 接 近 回 避 』因 子 と呼 ぶことにした。
最 後 に第 6因 子 についてだが、「ウケるようなことをよくする」、「冗 談 を言 った
りして相 手 を笑 わせる」、「楽 しい雰 囲 気 になるように気 をつかう」など、相 手 に
気 を遣 う部 分 も多 少 見 られたものの、総 じて、自 分 から積 極 的 に楽 しさ・娯 楽
を作 り出 そうとする傾 向 を表 す項 目 で高 い負 荷 量 を示 したことから、この因 子
は『娯 楽 性 』因 子 と命 名 することとした。
また、各 因 子 間 の関 連 について相 関 を調 べたところ、結 果 は表 14 のように
なった。表 14 を見 ると、非 常 の多 くの因 子 間 に相 関 があることが分 かる。
その中 でも特 に注 目 したいのが、「気 遣 い」因 子 についてである。この因 子
のみ、他 の全 ての因 子 と強 い正 の相 関 を示 すという特 徴 を持 っているのだ。何
故 、この因 子 に表 されるような行 動 傾 向 とは無 縁 のようにも思 える「援 助 ・親 密
性 」や「近 接 性 ・共 存 」、そして「過 剰 接 近 回 避 」においてまでも相 関 を見 せた
のであろうか。
以 下 はあくまでも推 測 に過 ぎないが、これはいわば、あの有 名 な「ヤマアラシ
のジレンマ」と同 様 の悩 みだと言 えるだろう。「援 助 ・親 密 性 」や「近 接 性 ・共
存 」の因 子 に表 されるように、相 手 により近 付 きたい・親 密 になりたいと思 ったと
しても、不 用 意 に本 音 を出 したままで相 手 に近 付 けば、互 いに傷 付 けあってし
まうのではないかとも考 えてしまい、つい相 手 との距 離 を測 ってしまう・気 を遣 っ
てしまう。しかしその一 方 で、「過 剰 接 近 回 避 」因 子 に表 されるように相 手 と距
離 をとったままでは、やはりその関 係 を維 持 することができず、或 いはその寂 し
さに耐 えられず、結 局 は気 を遣 いつつ相 手 へと近 付 いて行 く。まさに、相 手 と
の距 離 に悩 むヤマアラシそのものと言 えるだろう。
29
身 を寄 せ 合 うの であ れ ば 、い っその こ と 相 手 に 気 兼 ねなく 近 付 け ば良 い の
に、 自 他 共 に 「向 こ うは それ を恐 れ てい る」と 考 え 距 離 をと ってしま う。 しかし、
距 離 をとったままの生 活 にも耐 えられない。現 代 の若 者 の人 間 関 係 というのは、
本 来 心 を開 いて付 き合 えるはずの友 人 との付 き合 いという面 においても、良 く
言 えばデリケート、酷 な言 い方 をすれば他 人 を過 剰 に恐 れすぎる状 態 にあると
いうことが、今 回 の調 査 結 果 からは見 て取 れたように思 う。
また、「過 剰 接 近 回 避 」因 子 の項 目 においては弱 い相 関 しか示 さなかったも
のの、全 体 としては「気 遣 い」因 子 同 様 に他 の因 子 と強 い相 関 を見 せた因 子
として、「娯 楽 性 」因 子 の存 在 がある。これは私 の邪 推 かも知 れないが、この因
子 に 表 さ れ る ような 言 動 を( 相 手 と 親 密 に なる に せ よ避 け る に せ よ) 現 代 の 若
者 は日 々の付 き合 いの中 で行 っているとすれば、彼 らを取 り囲 む状 況 というの
は 、 考 え 方 に よって は 非 常 に 危 うい ・ 状 態 に あ る の では ない だろ うか 。 周 囲 に
娯 楽 ・笑 いを提 供 することを本 人 が楽 しんでいるうちは勿 論 一 向 に構 わないの
だが、見 方 によっては、そのような付 き合 い方 というのは友 人 関 係 に(『気 遣
い』因 子 のような行 動 とはまた別 の意 味 ・側 面 で)気 を遣 う付 き合 い方 であり、
この“気 遣 い”に喜 びを覚 えなくなった・負 担 になった時 には、こういった付 き合
い方 というのは、一 転 して非 常 にストレスが溜 まりやすい付 き合 い方 に変 わって
しまいかねないものであると言 えるのではないだろうか。
そして、これもあくまでも推 測 に過 ぎないが、この因 子 が「気 遣 い」因 子 同 様
に、「援 助 ・親 密 性 」や「近 接 性 ・共 存 」、そして「過 剰 接 近 回 避 」においてまで
も相 関 を見 せたということを考 えると、実 はこの「娯 楽 性 」因 子 もまた「気 遣 い」
因 子 同 様 に、友 人 関 係 において自 分 にとって心 地 好 い立 場 ・相 手 との距 離 を
確 保 するための道 具 ・付 き合 い方 として用 いられているのではないかと考 えら
れる。
30
次 に「援 助 ・親 密 性 」因 子 についてだが、「近 接 性 ・共 存 」因 子 と相 関 を見
せたということから考 えるに、やはり共 に行 動 する相 手 だからこそいざという時 に
助 け合 おうとする、或 いは、普 段 助 け合 っている関 係 だからこそ他 愛 無 いこと
でも共 に行 動 するといった、共 通 の行 動 と援 助 との関 連 を確 かめさせるような
結 果 がここからは見 て取 れる。
そ し て「 過 剰 接 近 回 避 」 因 子 に つい て だ が 、 「 援 助 ・ 親 密 性 」 因 子 と 「 近 接
性 ・共 存 」因 子 という、両 者 の間 で高 い相 関 を示 した2つの因 子 と負 の相 関 傾
向 が見 られた(正 確 には、確 かな相 関 が見 られたのは、「過 剰 接 近 回 避 」と「近
接 性 ・共 存 」との間 (1%水 準 )においてのみだが)ことを考 慮 するに、因 子 を名
付 ける際 に既 に予 想 できたことではあるが、これらの因 子 、延 いては付 き合 い
方 というのは逆 の方 向 性 を持 った存 在 であると言 えるだろう。しかし同 時 に、こ
の何 れの方 向 性 の付 き合 い方 をしようとも(或 いは全 く別 の方 向 性 の付 き合 い
方 をしようとも)、相 手 への「気 遣 い」や娯 楽 を生 み出 すような行 動 (「娯 楽 性 」
因 子 )を避 けることができずにいるというのは、やはり現 代 の若 者 独 特 の複 雑 な
対 人 関 係 を示 しているように思 える。
表 14.「友 人 との関 わり方 」各 因 子 間 の相 関
相関係数
気遣い
援助・親密性 近接性・共存 過剰接近回避
Pearson の相関係数
1
.433**
.264**
.392**
有意確率 (両側)
.
.000
.000
.000
N
303
298
295
300
援助・親密性
Pearson の相関係数
.433**
1
.670**
-.006
有意確率 (両側)
.000
.
.000
.914
N
298
305
300
300
近接性・共存
Pearson の相関係数
.264**
.670**
1
-.153**
有意確率 (両側)
.000
.000
.
.008
N
295
300
303
298
過剰接近回避 Pearson の相関係数
.392**
-.006
-.153**
1
有意確率 (両側)
.000
.914
.008
.
N
300
300
298
306
娯楽性
Pearson の相関係数
.640**
.393**
.374**
.133*
有意確率 (両側)
.000
.000
.000
.021
N
302
304
302
305
**. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) です。
*. 相関係数は 5% 水準で有意 (両側) です。
31
気遣い
娯楽性
.640**
.000
302
.393**
.000
304
.374**
.000
302
.133*
.021
305
1
.
311
⑤各 尺 度 ・項 目 間 の関 係 について
次 に、ここまでで得 られた情 報 (自 尊 感 情 尺 度 、携 帯 電 話 ・E メールの利 用
状 況 、「友 人 との関 わり方 」尺 度 の各 因 子 、並 びにそれらに対 する性 差 という
視 点 )間 の関 連 について分 析 を試 みた。結 果 は、以 下 の通 りである。
一 .男 女 差 について
まずは自 尊 感 情 尺 度 についてだが、各 質 問 項 目 の男 女 の平 均 得 点 を示 し
た図 表 ・表 15と図 4を見 て頂 きたい。既 に図 表 を作 成 した時 点 で、複 数 の項
目 で得 点 差 があるように思 えたので、より詳 しい分 析 を行 うため、質 問 項 目 毎
にt検 定 による分 析 を行 ってみたところ、質 問 5「私 には、あまり得 意 に思 うこと
がない」(評 価 逆 転 項 目 )にお いて1%水 準 で、質 問 6「私 は ときどき、本 当 に
自 分 が役 立 たずだと感 じる」(評 価 逆 転 項 目 )と質 問 8「もう少 し自 分 を尊 敬 で
きたならばと思 う」(評 価 逆 転 項 目 )の2項 目 におい て5% 水 準 で有 意 差 が確
認 できた。
表15.男女別 「自尊感情尺度」各項目の平均得点
<質問項目>
1,「全ての点で自分に満足している」
2,「ときどき、自分がまるでダメだと思う」(逆転)
3,「自分にはいくつか見どころがある」
4,「人がやれる程度には物事ができる」
5,「あまり得意に思うことがない」(逆転)
6,「ときどき本当に役立たずだと感じる」(逆転)
7,「少なくとも自分には、他人と同レベルの価値がある」
8,「もう少し自分を尊敬できたならばと思う」(逆転)
9,「自分の事を失敗者だと思いがちだ」(逆転)
10,「自身に対して前向きの態度をとっている」
(合計点)
32
平均得点
(男性) (女性)
2.08
2.01
1.92
1.74
2.74
2.66
2.58
2.46
2.76
2.43
2.41
2.15
2.66
2.69
2.24
1.98
2.76
2.60
2.73
2.76
24.97点 23.39点
図4.男女別 「自尊感情尺度」各項目の平均得点
男性
女性
2.73
2.76
1,「全ての点で自分に満足している」
2,「ときどき、自分がまるでダメだと思う」(逆転)
質
問
項
目
2.6
3,「自分にはいくつか見どころがある」
2.76
2.24
1.98
2.66
2.69
4,「人がやれる程度には物事ができる」
※ 5,「自分にはあまり得意に思うことがない」(逆転)
文
章
6,「ときどき本当に役立たずだと感じる」(逆転)
は
一
7,「自分には他人と同レベルの価値はある」
部
省
略 8,「もう少し自分を尊敬できたならばと思う」(逆転)
2.15
2.41
2.76
2.43
2.46
2.58
2.74
2.66
9,「自分の事を失敗者だと思いがちだ」(逆転)
1.74
1.92
2.08
2.01
10,「自身に対して前向きの態度をとっている」
1
1.5
2
平均得点
2.5
またグラフを見 ると、質 問 6・8に限 らず、前 述 の分 析 の際 に確 認 された「現
在 自 己 受 容 」因 子 において高 い負 荷 量 を示 した全 ての項 目 において、明 らか
に男 女 差 があるように思 われたため、前 述 の2つの因 子 の得 点 を用 いたt検 定
も併 せて行 うこととした。その結 果 、「能 力 評 価 」因 子 においては差 は確 認 でき
なかったものの、「現 在 自 己 受 容 」因 子 においては、有 意 確 率 1%水 準 という
高 い 水 準 で差 を確 認 することができた。また全 ての項 目 に よる合 計 得 点 に お
いても、5%水 準 で有 意 差 が確 認 できた。
次 いで携 帯 電 話 ・メールの利 用 状 況 についてだが、同 じく単 純 集 計 の結 果
である下 記 の表 16と図 5を見 て頂 きたい。一 見 すると、「携 帯 電 話 のメール利
用 −談 話 目 的 <図 の、[携 帯 Mail 談 話 _1week 回 数 ]>」の男 女 差 が目 に止 まる
33
3
かも知 れないが、t検 定 を行 った結 果 、実 際 に有 意 差 が確 認 されたのは、「携
帯 電 話 の利 用 −談 話 目 的 <携 帯 TEL 談 話 _1week 回 数 >」(1%水 準 )と、「携
帯 電 話 の利 用 −連 絡 等 <携 帯 TEL 連 絡 _1week 回 数 >」(5%水 準 )の2項 目
においてだった。
表16.携帯電話・Eメールの1週あたりの平均利用回数
利用回数
<利用目的>
(男性)
(女性)
携帯電話(談話目的)の利用
5.69回
3.47回
携帯電話(連絡等)の利用
8.52回
5.23回
携帯でのメール(談話目的)の利用
41.81回
46.76回
携帯でのメール(連絡等)の利用
20.66回
20.96回
パソコンでのメール(談話目的)の利用
2.42回
2.23回
パソコンでのメール(連絡等)の利用
1.85回
1.02回
図5.男女別 携帯電話・Eメールの利用状況
男性
女性
5.69
携帯TEL談話_1week回数
3.47
8.52
携帯TEL連絡_1week回数
5.23
41.81
携帯Mail談話_1week回数
46.76
利用機器・
利用目的
20.66
携帯Mail連絡_1week回数
20.96
2.42
E-Mail談話_1week回数
2.23
1.85
E-Mail連絡_1week回数
1.02
0
5
10
15
20
25
30
1週あたりの平均利用回数
34
35
40
45
50
そして「友 人 との関 わり方 」尺 度 に関 してだが、これに関 しては、男 女 の間 で
はい ず れ の 因 子 に おい ても 有 意 差 は 確 認 さ れ なかった。 単 純 集 計 の 結 果 の
具 体 的 な得 点 に関 しては、下 記 の表 17と図 6を参 照 していただきたい。
表17.男女別 「友人との関わり方」各因子の平均得点
平均得点
<因子>
(男性)
(女性)
気遣い
30.62
31.19
援助・親密性
27.60
28.60
近接性・共存
19.13
20.07
過剰接近回避
18.32
17.90
娯楽性
13.49
13.71
図6.男女別 「友人との関わり方」各因子の平均得点
男性
女性
30.62
気遣い
31.19
27.6
援助・親密性
28.6
19.13
関わり方の
近接性・共存
各因子
20.07
18.32
過剰接近回避
17.9
13.49
娯楽性
13.71
0
5
10
15
20
各因子の平均得点
35
25
30
35
二 .自 尊 感 情 の高 低 による差 について
自 尊 感 情 と各 集 計 結 果 ・尺 度 との関 連 についてだが、性 差 との関 連 につい
ては既 に前 節 で確 認 した通 りなので、次 に、携 帯 電 話 ・E メールの利 用 状 況 と
の関 連 について分 析 を行 った。なお、この分 析 において自 尊 感 情 尺 度 の得 点
は、得 点 をそのまま用 いるのではなく、先 述 の、尺 度 全 体 の平 均 点 を基 準 とし
た高 低 2群 の形 に整 理 したものを用 いた。単 純 集 計 の結 果 については、表 18
と図 7を見 て頂 きたい。その結 果 、有 意 差 に関 しては、いずれの項 目 の間 にお
いても見 られなかった。
次 いで、「友 人 との関 わり方 」尺 度 で抽 出 された5つの因 子 との関 連 につい
てだが、単 純 集 計 の結 果 に関 しては、表 19 と図 8を見 て頂 きたい。なお、この
分 析 にお いても、 自 尊 感 情 は 尺 度 得 点 では なく、 高 低 2群 に整 理 したもの を
用 いた。この関 連 についても t 検 定 を行 った結 果 、「気 遣 い」因 子 においての
み、しかし高 い水 準 (1%水 準 )で有 意 差 が確 認 できた。
表18.自尊感情/高低群別 携帯電話・Eメールの1週あたりの平均利用回数
平均利用回数
<利用機器・利用目的>
(高自尊感情群) (低自尊感情群)
携帯電話(談話目的)の利用
5.38回
3.58回
携帯電話(連絡等)の利用
7.70回
6.13回
携帯でのメール(談話目的)の利用
40.78回
46.81回
携帯でのメール(連絡等)の利用
18.61回
23.00回
パソコンでのメール(談話目的)の利用
3.17回
1.62回
パソコンでのメール(連絡等)の利用
1.43回
1.64回
表19.自尊感情/高低群別 「友人との関わり方」各因子の平均得点
平均得点
<因子>
(高自尊感情群)
(低自尊感情群)
気遣い
29.58
32.17
援助・親密性
27.72
28.25
近接性・共存
19.85
19.21
過剰接近回避
17.75
18.57
娯楽性
13.50
13.59
36
図7.自尊感情/高低群別 携帯電話・Eメールの1週あたりの平均利用回数
高自尊感情群
低自尊感情群
5.38
3.58
携帯TEL談話_1week回数
7.7
6.13
携帯TEL連絡_1week回数
利
用
機 携帯Mail談話_1week回数
器
・
利
用 携帯Mail連絡_1week回数
目
的
40.78
46.81
18.61
23
E-Mail談話_1week回数
3.17
1.62
E-Mail連絡_1week回数
1.43
1.64
0
5
10
15
20
25
30
1週あたりの平均利用回数
35
40
45
50
図8.自尊感情/高低群別 「友人との関わり方」各因子の平均得点
高自尊感情群
低自尊感情群
29.58
気遣い
32.17
27.72
援助・親密性
28.25
19.85
関わり方の
近接性・共存
各因子
19.21
17.75
過剰接近回避
18.57
13.5
娯楽性
13.59
0
5
10
15
20
各因子の平均得点
37
25
30
35
また、前 述 の男 女 差 では自 尊 感 情 の 高 低 に有 意 差 が見 られたにも関 わ ら
ず、同 じく前 節 で男 女 差 が見 られた「携 帯 電 話 ・E メールの利 用 状 況 」におい
て、本 節 の自 尊 感 情 の高 低 による群 分 けによる検 定 では一 切 差 が確 認 できな
かったという結 果 には、少 々疑 問 が残 った。そこで、蛇 足 かとも思 ったが、「携
帯 電 話 ・E メールの利 用 状 況 」に関 する検 定 を再 度 、今 度 は男 女 それぞれの
性 別 毎 に 自 尊 感 情 の高 低 に よる群 分 け をして、 同 様 の 検 定 を試 みるこ ととし
た。
その結 果 、この性 別 毎 の自 尊 感 情 の高 低 群 による検 定 においても、やはり
自 尊 感 情 による有 意 差 は一 切 確 認 できなかった(表 20・21、図 9・10参 照 )も
のの、ある興 味 深 い結 果 を得 ることができた。表 だけでは分 かりにくいかも知 れ
ないが、2つの図 を見 比 べて頂 くと、「携 帯 電 話 の利 用 −談 話 目 的 」・「携 帯 電
話 の利 用 −連 絡 等 」・「携 帯 電 話 のメール利 用 −談 話 目 的 」の3つの項 目 に
おいて、自 尊 感 情 高 低 群 の何 れの群 の方 がその機 器 の利 用 頻 度 が高 いかと
いう点 が、 男 女 で逆 転 していることがお分 かり頂 ける だろう。 前 述 の 通 り、 この
結 果 は確 認 できる有 意 差 を伴 ったものではないので、確 実 な結 果 ・傾 向 では
無 いことは踏 まえておいて頂 きたいのだが、それでも、確 かに不 確 実 な結 果 ・
傾 向 ではあるものの、本 結 果 は充 分 に興 味 深 いものだと言 えるだろう。
また、何 故 このような結 果 が見 られたのかを調 べるため、同 じく性 別 毎 の 自
尊 感 情 の高 低 群 による検 定 を「友 人 との関 わり方 」尺 度 の各 因 子 との関 連 に
ついても行 った結 果 、男 女 何 れにおいても「気 遣 い」因 子 で有 意 差 (どちらも
5%水 準 )が確 認 できた他 、男 性 の自 尊 感 情 高 低 群 の間 においてのみ、「過
剰 接 近 回 避 」因 子 で有 意 差 (5%水 準 )が確 認 できた。また、この因 子 も前 述
の 各 種 機 器 の 利 用 頻 度 同 様 、 自 尊 感 情 の 高 低 に よっ て 男 女 で 何 れ の 群 の
方 が高 い得 点 を示 すかという傾 向 が、僅 かではあるが逆 転 していた(表 22・23、
図 11・12参 照 )。
38
表20.男性の自尊感情/高低群別 携帯電話・Eメールの1週あたりの平均利用回数
平均得点
<利用機器・利用目的>
(男性/高自尊感情群) (男性/低自尊感情群)
携帯電話(談話目的)の利用
7.46回
3.42回
携帯電話(連絡等)の利用
10.07回
6.45回
携帯でのメール(談話目的)の利用
42.50回
41.49回
携帯でのメール(連絡等)の利用
18.26回
24.00回
パソコンでのメール(談話目的)の利用
2.86回
2.03回
パソコンでのメール(連絡等)の利用
1.77回
2.07回
図9.男性の自尊感情/高低群別 携帯電話・Eメールの1週あたりの平均利用回数
男性/高自尊感情群
男性/低自尊感情群
7.46
携帯TEL談話_1week回数
3.42
10.07
携帯TEL連絡_1week回数
6.45
利
用
機 携帯Mail談話_1week回数
器
・
利
用 携帯Mail連絡_1week回数
目
的
42.5
41.49
18.26
24
E-Mail談話_1week回数
2.86
2.03
E-Mail連絡_1week回数
1.77
2.07
0
10
20
30
40
1週あたりの平均利用回数
39
50
60
表21.女性の自尊感情/高低群別 携帯電話・Eメールの1週あたりの平均利用回数
平均得点
<利用機器・利用目的>
(女性/高自尊感情群) (女性/低自尊感情群)
携帯電話(談話目的)の利用
2.42回
3.78回
携帯電話(連絡等)の利用
4.32回
5.84回
携帯でのメール(談話目的)の利用
38.38回
52.75回
携帯でのメール(連絡等)の利用
19.12回
21.70回
パソコンでのメール(談話目的)の利用
3.60回
1.16回
パソコンでのメール(連絡等)の利用
0.96回
1.15回
図10.女性の自尊感情/高低群別 携帯電話・Eメールの1週あたりの平均利用回数
女性/高自尊感情群
女性/低自尊感情群
2.42
3.78
携帯TEL談話_1week回数
4.32
5.84
携帯TEL連絡_1week回数
利
用
機 携帯Mail談話_1week回数
器
・
利
用 携帯Mail連絡_1week回数
目
的
38.38
52.75
19.12
21.7
E-Mail談話_1week回数
3.6
1.16
E-Mail連絡_1week回数
0.96
1.15
0
10
20
30
40
1週あたりの平均利用回数
40
50
60
表22.男性の自尊感情/高低群別 「友人との関わり方」各因子の平均得点
平均得点
<因子>
(男性/高自尊感情群)
(男性/低自尊感情群)
気遣い
29.38
32.01
援助・親密性
27.67
27.43
近接性・共存
19.29
18.68
過剰接近回避
17.49
19.23
娯楽性
13.14
13.64
図11.男性の自尊感情/高低群別 「友人との関わり方」各因子の平均得点
男性/高自尊感情群
男性/低自尊感情群
29.38
気遣い
32.01
27.67
援助・親密性
27.43
19.29
関わり方の
近接性・共存
各因子
18.68
17.49
過剰接近回避
19.23
13.14
娯楽性
13.64
0
5
10
15
20
各因子の平均得点
41
25
30
35
表23.女性の自尊感情/高低群別 「友人との関わり方」各因子の平均得点
平均得点
<因子>
(女性/高自尊感情群)
(女性/低自尊感情群)
気遣い
29.88
32.40
援助・親密性
27.79
29.13
近接性・共存
20.67
19.69
過剰接近回避
18.12
17.89
娯楽性
14.05
13.46
図12.女性の自尊感情/高低群別 「友人との関わり方」各因子の平均得点
女性/高自尊感情群
女性/低自尊感情群
29.88
気遣い
32.40
27.79
援助・親密性
29.13
20.67
関わり方の
近接性・共存
各因子
19.69
18.12
過剰接近回避
17.89
14.05
娯楽性
13.46
0
5
10
15
20
各因子の平均得点
42
25
30
35
三 .携 帯 電 話 ・E メールの利 用 状 況 と「友 人 との関 わり方 」との関 連 について
最 後 に、携 帯 電 話 ・E メールの利 用 状 況 と「友 人 との関 わり方 」尺 度 との関
連 についてだが、それぞれの数 値 間 の関 連 を調 べるため、相 関 係 数 を求 めた。
その結 果 を表 にしたものが、下 記 の表 24である。
表24.携帯電話・Eメールの利用状況と「友人との関わり方」各因子との相関(相関係数)
気遣い
援助・親密性 近接性・共存 過剰接近回避
携帯電話_談話目的
Pearson の相関係数
0.102
-0.008
0.029
0.043
有意確率 (両側)
0.084
0.890
0.620
0.463
N
290
290
289
293
携帯電話_連絡等
Pearson の相関係数
0.002
0.048
0.120*
-0.083
有意確率 (両側)
0.972
0.423
0.042
0.162
N
285
286
285
288
携帯メール_談話目的
Pearson の相関係数
0.200**
0.183**
0.110
0.100
有意確率 (両側)
0.001
0.002
0.060
0.084
N
295
296
294
299
携帯メール_連絡等
Pearson の相関係数
0.162**
0.152**
0.152*
0.042
有意確率 (両側)
0.006
0.010
0.010
0.473
N
288
288
285
289
パソコンメール_談話目的 Pearson の相関係数
-0.025
-0.028
-0.007
0.006
有意確率 (両側)
0.682
0.643
0.904
0.917
N
271
271
269
275
パソコンメール_連絡等
Pearson の相関係数
0.051
-0.002
-0.056
0.002
有意確率 (両側)
0.408
0.974
0.358
0.977
N
269
269
267
272
**. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) です。
*. 相関係数は 5% 水準で有意 (両側) です。
具 体 的 な相 関 に関 してだが、今 回 の調 査 では、
ⅰ 「携 帯 電 話 の利 用 −連 絡 等 」と「近 接 性 ・共 存 」との間 で5%水 準 の正
の相 関 。
ⅱ 「携 帯 電 話 のメール利 用 −談 話 目 的 」と「気 遣 い」との間 で1%水 準 の
正 の相 関 。
ⅲ 「携 帯 電 話 のメール利 用 −談 話 目 的 」と「援 助 ・親 密 性 」との間 で1%水
準 の正 の相 関 。
43
娯楽性
0.051
0.385
296
0.071
0.227
292
0.148*
0.010
302
0.179**
0.002
293
-0.024
0.687
277
-0.036
0.549
275
ⅳ 「携 帯 電 話 のメール利 用 −談 話 目 的 」と「娯 楽 性 」との間 で5%水 準 の
正 の相 関 。
ⅴ 「携 帯 電 話 のメール利 用 −連 絡 等 」と「気 遣 い」との間 で1%水 準 の正
の相 関 。
ⅵ 「携 帯 電 話 のメール利 用 −連 絡 等 」と「援 助 ・親 密 性 」との間 で1%水 準
の正 の相 関 。
ⅶ 「携 帯 電 話 のメール利 用 −連 絡 等 」と「近 接 性 ・共 存 」との間 で5%水 準
の正 の相 関 。
ⅷ 「携 帯 電 話 のメール利 用 −連 絡 等 」と「娯 楽 性 」との間 で1%水 準 の正
の相 関 。
以 上 8つ の相 関 を確 認 する ことができた。なお、 これらの相 関 につい ての 詳 し
い分 析 は後 述 に回 したいと思 う。
2,考 察
各 尺 度 ・各 質 問 項 目 についての考 察 だが、それぞれの尺 度 ・質 問 項 目 単 独
に対 する考 察 については、既 に前 節 の「e:結 果 ①∼④」で述 べた通 りなので、
それぞれ単 独 での考 察 は省 略 させて頂 く。ただし、尺 度 間 ・項 目 間 の関 連 に
対 する考 察 を述 べる上 で、再 びこれらについて触 れることがあるかも知 れない
ことは、予 めここで断 らせて頂 いておく。
44
a : 各 尺 度 ・項 目 間 における男 女 差 について
まずは自 尊 感 情 についてだが、全 体 の傾 向 として、女 性 よりも男 性 の方 が得
点 (自 尊 感 情 )が高 いという性 差 が確 認 できたことについては、少 々意 外 な気
がした。この尺 度 は、個 々人 の性 格 や自 己 に対 する考 え方 によってその高 低
が決 まる尺 度 であり、今 回 の 調 査 で用 いた他 の2つの質 問 項 目 ・ 尺 度 とは 異
なり、他 者 との関 係 ・付 き合 い方 等 が直 には影 響 を与 えない、あくまでも個 人
の性 格 ・考 え方 が優 先 して表 れる尺 度 であったため、性 別 のような、個 人 の性
格 ・考 え方 に(今 回 の回 答 者 である大 学 生 ともなれば)さほど影 響 は与 えない
項 目 においては、差 は生 じないであろうと考 えていたからである。
全 体 としての結 果 のみを見 ると上 記 のような疑 問 も浮 かぶのだが、その一 方
で因 子 に よる 差 を 見 てみる と 、 「現 在 自 己 受 容 」 因 子 に お い ては 確 かな 有 意
差 があ り、 自 己 に 対 する 考 え 方 の 違 い とい うもの が 確 かに 存 在 して いること が
分 かる。前 述 の通 り、この「現 在 自 己 受 容 」因 子 というのは、能 力 の有 無 や優
劣 とは関 係 なく、“今 ここにいる”自 己 を受 け入 れているか否 かを示 す因 子 であ
り、つまり、女 性 は男 性 に比 べると、さほど“今 ここにいる”自 己 を受 け入 れては
おらず、(恐 らくは)更 により良 い・より能 力 を持 った自 己 を目 指 す傾 向 が強 い
ということが、今 回 の調 査 では確 認 できた。
「現 在 自 己 受 容 」因 子 についてだけを見 ると、何 故 このような差 が男 女 間 に
生 じたかについて(全 体 での差 と同 じように)疑 問 が残 るが、「現 在 自 己 受 容 」
因 子 では強 い負 荷 量 を示 さなかった項 目 、質 問 5「私 には、あまり得 意 に思 う
ことがない」(評 価 逆 転 項 目 )も併 せて見 ると、1つの可 能 性 が浮 かんでくる。そ
れは、今 回 有 意 差 を示 した3つの項 目 のみに限 った話 ではないが、これらの項
目 は何 れも、恐 らくは他 者 との比 較 に基 づき判 断 を下 すであろう内 容 であるこ
とを考 慮 するに、総 じて女 性 の方 が、 他 者 との 比 較 において自 己 を低 く 評 価
45
するという傾 向 があるのではないかという仮 説 である。そしてこの仮 説 が正 しい
とすれば、この傾 向 によって、「現 在 自 己 受 容 」因 子 に関 する項 目 のみでなく
自 尊 感 情 全 体 が低 いものとなっているのではないかと考 えられる。
しかしこの可 能 性 についても、明 確 に他 者 との比 較 が関 与 している項 目 、質
問 7「私 は、少 なくとも自 分 には、他 人 と同 じレベルに立 つだけの価 値 があると
思 う」において、男 女 の得 点 差 が僅 かではあるが逆 転 していることを考 慮 すると、
必 ずしも正 しいとは言 えないだろう。本 研 究 においては、このような差 に関 して
の調 査 は 十 分 であったとは言 い難 く、これ以 上 の 分 析 は難 しいが、確 かに有
意 差 がある以 上 、 男 女 の 間 にはこのような差 を生 み出 す何 らかの要 因 ・背 景
があると考 えるべきであろう。
次 に携 帯 電 話 ・メールの利 用 状 況 における差 についてだが、差 が確 認 出 来
た「携 帯 電 話 」の2項 のみでなく、「携 帯 でのメール」も併 せて見 ると、有 意 差 こ
そ確 認 出 来 なかったものの、これらの利 用 方 法 の間 には、「いずれをより多 く使
うか」という点 で性 別 を挟 んで逆 の関 係 (男 性 の方 が「携 帯 電 話 」はよく使 うが、
女 性 の方 が「携 帯 でのメール」はよく使 う)が成 り立 っていることを考 慮 すると、
この差 というのは、「携 帯 電 話 を利 用 する時 、電 話 とメールのいずれを好 んで
利 用 するか」という選 択 肢 から生 じているものであると思 われる。
いずれにせよ、今 回 の調 査 のみではこれ以 上 の考 察 は難 しいのだが、正 確
な調 査 を 経 てい る わ け では ない の で断 言 は 出 来 ない が 、 あ くま でも 私 個 人 の
考 察 として述 べさせて頂 くのであれば、携 帯 電 話 でのメール作 成 の手 間 を考
えると、やはり男 性 の方 がそういった手 間 を嫌 う傾 向 や、或 いは、収 入 をどれだ
け交 際 費 に当 てても良 いと考 えるか(一 般 的 に携 帯 電 話 の利 用 においては、
電 話 ・通 話 よりもメールの送 受 信 の方 が安 価 で済 む)といった差 が、今 回 のこ
の調 査 では表 れたのかも知 れない。
46
そして「友 人 との関 わり方 」についてだが、この尺 度 において何 れの因 子 でも
有 意 差 を確 認 出 来 なかったというのは、非 常 に意 外 であった。それというのは、
この尺 度 は前 述 の自 尊 感 情 と異 なり、他 者 との関 係 ・付 き合 い方 等 が直 に影
響 を与 え る、それどころか関 係 ・付 き合 い方 そのものを尋 ね ている尺 度 である
ため、(こういう言 い方 は性 差 別 的 かも知 れないが)「男 性 らしい」「女 性 らしい」
付 き合 い方 というものが因 子 という物 差 しを経 て見 えて来 る、つまりはいくつか
の因 子 においては明 確 な差 を確 認 することが出 来 るのでは無 いかと考 えてい
たからである。
しかし現 実 として、性 別 による差 は無 いというこのような結 果 が出 たということ
は、現 代 の若 者 の友 達 付 き合 いというのは、性 別 による明 確 な差 は無 く、むし
ろ他 の要 因 によって区 別 ・方 向 性 の違 いが生 じるものとなっているということな
のであろう。
b : 各 尺 度 ・項 目 間 における自 尊 感 情 の高 低 による差 について
自 尊 感 情 と携 帯 電 話 ・E メールの利 用 状 況 との間 に、どのような関 連 も確 認
することが出 来 なかったということは、性 別 における有 意 差 の有 無 以 上 に意 外
だった。それというのは、もともと先 行 研 究 の類 で十 分 な確 認 が行 われていた
わけでは無 いので、こういった結 果 が出 る事 も有 り得 ることなのであろうが、仮
説 として、この尺 度 ・項 目 間 の関 連 を予 期 していた私 としては、全 くの予 想 外 と
も言 える結 果 だったからである。
ただ 、 有 意 差 は 確 認 でき な かったの で正 確 な 情 報 では 無 く 、 ま た私 個 人 の
偏 見 ・贔 屓 目 が入 った見 方 かも知 れないが、男 女 の差 のケースと同 様 に、自
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尊 感 情 が 高 い者 は「携 帯 電 話 」をよく利 用 し、 逆 に 自 尊 感 情 が低 い者 は「携
帯 でのメール」をよく使 うという傾 向 がグラフ等 から見 て取 れることを考 えると、こ
の尺 度 ・項 目 間 の関 連 については、全 くの無 関 係 と考 えるよりも、今 回 の調
査 ・今 回 の切 り口 では確 認 することは出 来 なかったものの、何 らかの関 連 を疑
う余 地 は残 ったと考 えても良 いのでは無 いだろうか。
「友 人 との関 わり方 」については、「気 遣 い」因 子 との間 で有 意 差 が確 認 出 来
たことに関 しては、非 常 に納 得 の行 く結 果 であった。自 尊 感 情 が低 いということ
は、対 人 関 係 においても自 分 に自 信 (自 尊 の気 持 ち)が持 つことが難 しく、相
手 に 拒 絶 されるようなことが無 いように、常 に 相 手 の反 応 を気 にしてしまう・相
手 に 気 を 遣 ってしま うとい う傾 向 が 表 れ たの であ ろ う。 この こと に つい ては、 仮
説 等 で繰 り返 し述 べた考 察 の通 りである。
しかしその一 方 で、「援 助 ・親 密 性 」因 子 との間 に関 連 を確 認 出 来 なかった
ことに関 しては、少 々期 待 外 れとでもいうべき印 象 を抱 いた。仮 説 を立 てる時
点 で私 は 、自 尊 感 情 が 低 い者 は「気 遣 い」が活 発 なだけ ではなく、 相 手 に拒
絶 されたり見 捨 てられないようにするために、「援 助 」についても活 発 に 行 うの
ではないかと考 えていたのだが、今 回 の結 果 を見 る限 りではそうではなく、「気
遣 い」は活 発 だが、いざより一 歩 踏 み込 んだ行 動 (「援 助 」や「親 密 」な行 動 )と
なるとさほど活 発 では無 いというのが、良 くも悪 くも現 実 ・現 状 のようである。
そして男 女 それぞれの性 別 毎 での自 尊 感 情 の高 低 による「携 帯 電 話 ・E メー
ルの利 用 状 況 」の差 についてだが、前 述 の通 り有 意 差 こそ確 認 できなかったも
のの、何 故 性 別 によって自 尊 感 情 の高 低 による影 響 ・作 用 がいくつかの項 目
において逆 転 したのかについては、やはり謎 が残 る。
一 応 は、次 の「友 人 との関 わり方 」尺 度 との関 連 についての検 定 において、
48
男 性 のみ「過 剰 接 近 回 避 」因 子 で有 意 差 が確 認 でき、またこの因 子 も性 別 に
よって自 尊 感 情 の高 低 による影 響 ・作 用 が僅 かではあるが逆 転 していたことを
考 えると、この因 子 が各 種 機 器 の利 用 頻 度 についての逆 転 現 象 を起 こしてい
るのかとも思 われたのだが、続 いて行 った、携 帯 電 話 ・E メールの利 用 状 況 と
「友 人 との関 わり方 」各 因 子 との相 関 についての検 定 結 果 を見 ると、この因 子
は 何 れの 利 用 機 器 ・ 利 用 目 的 とも 相 関 を示 し ておらず、 やは り「過 剰 接 近 回
避 」因 子 がこの現 象 の原 因 であるとは断 定 できない。よって、これら「友 人 との
関 わり方 」各 因 子 の何 れもが現 象 の原 因 とは断 定 できない以 上 、残 念 ながら
今 回 の調 査 のみでは、何 故 こ のような差 が生 じたのかについてこれ以 上 の分
析 ・推 測 は困 難 であると言 わざるを得 ない。
これはあくまでも憶 測 ではあるが、このような結 果 が出 た理 由 について独 自 の
考 察 を述 べるならば、男 性 は一 般 的 に自 尊 感 情 尺 度 において「現 在 自 己 受
容 」因 子 が女 性 よりも高 かったという結 果 を考 慮 するに、男 性 は自 尊 感 情 が低
くとも、“今 ここにいる”自 分 ・自 己 像 についてある程 度 は納 得 しており、また自
尊 感 情 が 低 い 者 ほど他 者 との 過 剰 な接 近 ・干 渉 を避 ける(「過 剰 接 近 回 避 」
因 子 の 得 点 が 高 く なる)傾 向 が あるため、 自 尊 感 情 が低 い 者 でも、無 理 に他
者 との交 流 を通 じて自 身 の価 値 ・能 力 を高 めたり、(他 者 に必 要 とされること
で)自 分 の存 在 意 義 を確 認 しようとは考 えないのに対 し、女 性 の場 合 は、自 尊
感 情 の低 さは“今 ここにいる”自 分 ・自 己 像 に対 しての不 満 と結 び付 きやすく、
また男 性 とは逆 に、自 尊 感 情 が低 い者 ほど、他 者 に対 し接 近 ・干 渉 することを
好 む(「過 剰 接 近 回 避 」が低 くなり、また僅 かな差 ではあるが、「援 助 ・親 密 性 」
因 子 の 得 点 が 高 く なる ) 傾 向 がある ため 、 他 者 と の 交 流 を通 して自 己 の 存 在
意 義 の確 認 を求 めるかのように、或 いは他 者 と自 分 を見 比 べる(「自 分 も相 手
も大 して差 は無 い」と確 認 して安 心 する)かのようにコミュニケーションに積 極 的
になったり、そして時 には、(少 々苛 烈 な言 い方 になってしまうが)傷 の舐 め合
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いとでもいうべき状 態 の人 付 き合 いへと陥 ってしまいやすいのではないだろう
か。
繰 り返 しになるが、調 査 ・分 析 によって有 意 差 が確 認 されたわけでは無 いの
で、今 回 のこの結 果 は必 ずしも確 実 なものであるとは言 えず、更 に厳 しい見 方
をするならば、上 記 の考 察 など全 て邪 推 に過 ぎないとすら言 えるだろう。だが、
今 後 本 研 究 に類 似 した調 査 において、同 様 、もしくは似 通 った結 果 ・傾 向 が
確 認 されるようであれば、改 めて携 帯 電 話 の利 用 状 況 について調 べる際 には、
単 なる性 差 や自 尊 感 情 の高 低 のみでなく、それらを組 み合 わせた差 ・傾 向 に
ついて、更 に言 えば何 故 そのような差 ・傾 向 が生 ずるのかについても、入 念 に
調 査 を行 う必 要 があると言 えるだろう。
c : 携 帯 電 話 ・E メールの利 用 状 況 と「友 人 との関 わり方 」との関 連 について
最 後 に、携 帯 電 話 ・E メールの利 用 状 況 と友 人 との関 わり方 との関 連 につい
てだが、考 察 の手 順 としては、利 用 機 器 ・利 用 方 法 毎 に、相 関 の確 認 出 来 た
因 子 との関 連 を見 て行 きたいと思 う。
まずは「携 帯 電 話 の 利 用 −談 話 目 的 」についてだが、何 れ の因 子 とも 関 連
を確 認 す ることが 出 来 なかったとい うの は、 意 外 な結 果 であった。 先 述 の、 自
尊 感 情 と携 帯 電 話 ・E メールの利 用 状 況 との間 で何 の関 連 も確 認 出 来 なかっ
たため、この結 果 も全 く予 測 出 来 なかったわけではないが、私 が立 てた仮 説 1
∼3を(仮 に正 しいものとして)総 合 的 に考 えれば、携 帯 電 話 、特 に若 者 に顕
著 な電 話 の利 用 目 的 であるこの「談 話 目 的 」の項 目 と「友 人 との関 わり方 」との
間 に、何 らかの関 連 (具 体 的 には、「気 遣 い」や「援 助 ・親 密 性 」因 子 との間 で
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の相 関 )が見 られても不 思 議 は無 い、むしろ関 連 があって当 然 だろうと考 えて
いた部 分 があったからである。しかし現 実 の結 果 として、これらの間 にど のよう
な関 連 も確 認 出 来 なかったということは、残 念 なことではあるが、私 の考 察 ・仮
説 が誤 りであったということの何 よりの証 明 であろう。
次 に「携 帯 電 話 の利 用 −連 絡 等 」についてだが、この項 目 においては、「近
接 性 ・共 存 」因 子 との間 でのみ相 関 が確 認 出 来 た。もともと、「近 接 性 ・共 存 」
因 子 に 関 連 す る 質 問 項 目 の 内 容 が 、 「 買 い 物 や ス ポー ツ な ど 一 緒 に 出 掛 け
る」・「一 緒 に旅 行 や遊 びに行 く」・「みんなで一 緒 にいることが多 い」等 といった
項 目 であることを考 えれば、こういった行 動 を好 む者 が相 手 に“誘 い”や「連
絡 」を目 的 として連 絡 をとる(つまりは携 帯 電 話 を使 用 する)のは当 然 のことで
あろうと考 えられ、この相 関 については、私 としては納 得 の行 く結 果 となった。
そして「携 帯 電 話 のメール利 用 −談 話 目 的 」で見 られたいくつかの因 子 との
相 関 についてだが、前 述 の表 24を見 て頂 ければ非 常 に分 かりやすいと思 うの
だが、次 の項 目 「携 帯 電 話 のメール利 用 −連 絡 等 」と併 せて見 ると、実 に3つ
もの因 子 で共 通 して相 関 を持 っていることが分 かるだろう。利 用 機 器 ・利 用 方
法 は同 じであっても、その利 用 目 的 が異 なり、また細 かく見 れば、「娯 楽 性 」因
子 での相 関 の強 弱 や「近 接 性 ・共 存 」因 子 での相 関 の有 無 といった違 いを持
つこの2項 目 を、似 たような傾 向 を持 つからと同 時 に 分 析 しても 良 いものか悩
む部 分 もあるのだが、確 かに似 たような相 関 の傾 向 が確 認 される以 上 、これら
の項 目 で確 認 される相 関 ・傾 向 というのは、利 用 目 的 を問 わず、「携 帯 電 話 の
メール利 用 」と「友 人 との関 わり方 」との間 で見 られる関 連 ・関 係 性 だと言 える
だろう。
以 上 の推 察 を踏 まえ内 容 を見 てみると、まずは何 と言 っても、「気 遣 い」因 子
と 「 援 助 ・ 親 密 性 」 因 子 と の 間 で 確 認 でき る 相 関 の 高 さ が 目 に 止 ま る 。 「 気 遣
51
い」因 子 に関 しては、質 問 項 目 に「友 達 から取 り残 されないように気 をつける」・
「友 達 グループのメンバーからどう見 られているか気 にする」等 といった項 目 が
あったことを考 慮 するに、その内 容 が、ちょっとしたおしゃべりや或 いは本 当 は
後 でも構 わないような連 絡 であっても、少 しでも連 絡 を怠 る・後 回 しにするとい
った「気 遣 い」の無 い 行 動 を嫌 う・避 けるために、電 話 とは 異 なり、 必 ずしも相
手 が即 時 に反 応 しなくても良 いという利 点 のあるメールでコンタクトを取 ろうとす
るのであろう。また「娯 楽 性 」因 子 についても同 様 に、「ウケるようなことをよくす
る」・「冗 談 を言 ったりして相 手 を笑 わせる」等 といった項 目 、並 びに「気 遣 い」
因 子 と共 通 する項 目 があったことを考 慮 するに、常 日 頃 から相 手 を楽 しませよ
うとする心 情 ・傾 向 から、メールでのこまめな(回 数 の多 い)コンタクトが増 えるの
では無 いかと思 われる。
「援 助 ・親 密 性 」因 子 については、その利 用 目 的 が「談 話 目 的 」・「連 絡 等 」
の何 れにおいても、「携 帯 電 話 の利 用 」では相 関 が見 られなかったのに対 し、
「携 帯 電 話 のメール利 用 」では両 方 で相 関 が見 られたということは、若 者 達 は、
親 密 な付 き合 いを好 むほどに「携 帯 電 話 のメール」を利 用 しており、それはつ
まり、「電 話 」ではなく「メール」でのやり取 りの中 で親 密 さは確 認 できるという認
識 がこの背 景 にはあるのでは無 いだろうか。或 いは、実 際 に顔 を合 わせるよう
な接 触 は無 いがメールのやり取 りの上 では友 達 であるという“メル友 ”のように、
「電 話 」や実 際 に会 って話 をするよりも、「メール」のやり取 りの中 での会 話 の方
が親 密 になりやすいと考 えているのかも知 れない。また、「近 接 性 ・共 存 」因 子
との間 に相 関 が無 い/弱 いものであったことからも、現 代 の若 者 達 にとって親
密 さというのは、ただ行 動 を共 にすれば(「近 接 性 ・共 存 」に示 されるような行 動
をすれば)深 まるというのではなく、むしろ「メール」のやり取 りの方 が、親 密 さを
深 める上 では重 要 な手 段 となっているという状 況 が見 て取 れる。
なお、「携 帯 電 話 のメール利 用 −連 絡 等 」においてのみ見 られた、「近 接 性 ・
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共 存 」 因 子 との相 関 については、利 用 方 法 こそ違 えど、同 じ機 器 を同 じ目 的
で利 用 している以 上 、前 述 の「携 帯 電 話 の利 用 −連 絡 等 」での考 察 同 様 、友
人 と共 に行 動 することを好 む者 の連 絡 回 数 が増 えるのは当 然 のことであろうと
思 われる。よって、同 様 の説 明 の繰 り返 しを避 けるため、ここでの詳 細 な考 察
は省 略 させて頂 く。
最 後 に「パソコンのメールの利 用 」についてだが、これについては「談 話 目
的 」・「連 絡 等 」の何 れにおいても、「友 人 との関 わり方 」の何 れの因 子 との間 に
も相 関 を確 認 することは出 来 なかった。また、既 に前 述 の単 純 集 計 の結 果 か
ら、これらを日 常 的 に利 用 している者 が今 回 の調 査 ではかなり限 られていると
いう背 景 もあり、今 回 はこれ以 上 の考 察 を加 えることは断 念 する。詳 しい考 察
を行 うのであれば、日 常 的 に利 用 しているという回 答 者 をより多 く集 める等 、回
答 の収 集 の時 点 での工 夫 が必 要 であっただろう。
d : 仮 説 の検 証
以 上 の結 果 ・考 察 を踏 まえ、今 回 の調 査 における仮 説 について、1つ1つ考
察 を述 べつつ検 証 を行 ってみたい。
<仮 説 1 : 自 尊 感 情 が低 い人 は、自 分 に自 信 が持 て無 いことから生 ずる対
人 関 係 へ の慢 性 的 不 安 から、 「相 手 に 見 捨 てられる」とい う感 情
を強 く 抱 く ため、 自 尊 感 情 が 高 い 人 に 比 べ、 相 手 に 対 し、 より気
を遣 うような行 動 をとる傾 向 がある。>
この仮 説 については、本 調 査 では、「自 尊 感 情 」尺 度 と「友 人 との関 わり方 」
53
尺 度 の「気 遣 い」因 子 との関 連 を見 ることで検 証 することが出 来 る。
そして調 査 結 果 を見 ると、「高 自 尊 感 情 群 」と「低 自 尊 感 情 群 」を比 べた際 、
確 かに「気 遣 い」因 子 において高 い水 準 (1%水 準 )で有 意 差 を確 認 すること
ができ、仮 説 を立 証 することが出 来 た。
この結 果 に関 する考 察 については、詳 しくは前 述 の通 りなので、ここでは省
略 させて頂 く。敢 えて述 べるとすれば、本 結 果 は必 ずしも、「気 遣 い」因 子 が高
く「自 尊 感 情 」が低 い者 が、対 人 関 係 を上 手 に営 めていないといった現 象 を示
唆 するようなものではないということは、断 りを入 れさせておいて頂 きたい。
<仮 説 2 : 上 記 と同 様 の「相 手 に見 捨 てられる」という不 安 から、自 尊 感 情
が低 い人 は高 い人 に比 べ、相 手 に対 し、より援 助 的 ・親 密 的 な行
動 をとる傾 向 がある。>
この仮 説 については、本 調 査 では、「自 尊 感 情 」尺 度 と「友 人 との関 わり方 」
尺 度 の「援 助 ・親 密 性 」因 子 との関 連 を見 ることで検 証 することが出 来 る。
しかし調 査 結 果 を見 ると、「高 自 尊 感 情 群 」と「低 自 尊 感 情 群 」を比 べた際 に
「援 助 ・親 密 性 」因 子 において有 意 差 を確 認 することは無 く、この両 者 の間 に
関 連 性 を見 出 すことは出 来 ず、仮 説 は立 証 されなかった。
この仮 説 に関 しても、詳 しい考 察 は前 述 の通 りであるが、「気 遣 い」同 様 の結
果 を予 測 していた私 としては、この結 果 に対 し、呆 気 ないとでもいうような感 想
を抱 いたのもまた事 実 である。
<仮 説 3 : 上 記 と同 様 の「相 手 に見 捨 てられる」という不 安 から、自 尊 感 情
が低 い人 は高 い人 に比 べ、相 手 との長 時 間 の接 触 を好 み、その
結 果 、 携 帯 電 話 の 利 用 頻 度 が、 自 尊 感 情 が 高 い 人 よりも 高 く な
る。>
54
そして最 後 の、本 研 究 において最 も重 要 視 すべきこの仮 説 については、本
調 査 では、「自 尊 感 情 」尺 度 と携 帯 電 話 ・パソコンの E メールの利 用 状 況 につ
いての各 項 目 との関 連 を見 ることで検 証 することが出 来 る。
結 果 と して、「高 自 尊 感 情 群 」と 「低 自 尊 感 情 群 」を比 べた際 、「携 帯 電 話
の利 用 」の4項 目 で有 意 な差 を示 す事 を確 認 出 来 れば、仮 説 は立 証 されたと
言 える。しかし実 際 には、本 調 査 では上 記 の4項 目 の何 れにおいても有 意 差
を確 認 することは出 来 なかった。
何 故 このような結 果 になったかに関 する考 察 は既 に前 述 の通 りではあるが、
これは私 の贔 屓 目 な見 方 かも知 れないが、これらの尺 度 ・項 目 間 にやはり何 ら
かの関 連 性 が 疑 え る以 上 、 再 調 査 の 機 会 があ れば、切 り口 を変 える等 して、
更 なる検 証 に臨 みたいものである。
Ⅲ 結論
1,調 査 結 果 を踏 まえて
今 回 の調 査 においては、残 念 ながら仮 説 の立 証 は僅 か1つしか行 えず、む
しろ私 の認 識 の甘 さを露 呈 するとでも言 うべき苦 い結 果 となってしまったが、そ
の一 方 で、調 査 を経 て集 められた各 種 の情 報 に関 しては、自 画 自 賛 かも知 れ
ないが、なかなか興 味 深 いものとなったように思 える。
例 えば、「自 尊 感 情 」の高 低 が「携 帯 電 話 ・E メールの利 用 状 況 」に及 ぼす
影 響 の、性 別 によるその傾 向 の違 いに関 してである。何 故 、男 女 でこのような
違 いが生 まれたのか。自 尊 感 情 と他 者 とのコミュニケーションとの関 連 を調 べる
55
際 には、両 性 を同 時 に扱 うのではなく、それぞれの性 別 毎 に分 析 を加 えるべき
なのか。
調 査 以 前 に考 えていた本 研 究 の目 的 ・意 義 とは異 なる部 分 での新 たな可
能 性 の 発 見 では あ るが 、 少 な くと も 今 後 同 様 の 研 究 を行 う 上 での 1つ の 注 意
点 として、何 らかの形 で役 立 てることは出 来 るのではないだろうか。
しかし厳 しい見 方 をすれば、今 回 の研 究 結 果 というのは、前 述 の『男 女 毎 の
自 尊 感 情 高 低 による傾 向 の違 い(の可 能 性 )の提 示 』や、前 章 の「2.考 察 −
c」の『「携 帯 電 話 のメール利 用 」の頻 度 と「友 人 との関 わり方 」との間 で見 られ
る相 関 にその利 用 目 的 はさほど関 係 が無 いということの証 明 』等 、一 応 はいく
つかの事 柄 について新 たな情 報 ・可 能 性 を示 しているものの、研 究 全 体 として
は、仮 説 の立 証 は上 手 くいったとは言 い難 いというのが実 情 である。また立 証
された仮 説 についても、自 己 の成 果 を無 闇 に卑 下 するわけではないが、ほぼ
同 様 の結 果 が小 塩 の研 究 ( 5 ) で示 されており、新 たな事 実 を見 出 したとは言 い
難 い。
特 に残 念 であったのが、本 研 究 の1つの柱 とも言 える、自 尊 感 情 と携 帯 電 話
の利 用 状 況 との間 の関 連 性 の調 査 ・分 析 において、どのような関 連 も見 出 す
ことが出 来 なかったということである。分 析 の過 程 で、「自 尊 感 情 」と「気 遣 い」
因 子 、そして「携 帯 電 話 のメール利 用 (談 話 目 的 ・連 絡 等 の何 れも)」と「気 遣
い」因 子 という、どちらも「気 遣 い」因 子 と関 連 を持 つ2つの分 析 結 果 を得 ること
に成 功 していたため、そのまま「自 尊 感 情 」と「携 帯 電 話 のメール利 用 」につい
て、つまりは“仮 説 3”に関 しても、関 連 を見 出 す・立 証 することが出 来 るのでは
無 いかと見 込 んでいただけに、何 の関 連 も見 出 すことが出 来 なかったという点
が非 常 に残 念 であった。しかし現 実 の結 果 として、これらの項 目 の間 に有 意 差
を確 認 出 来 なかったことを考 えると、やはり今 回 の仮 説 は的 外 れであったとい
うことなのであろう。
56
だがその一 方 で、本 研 究 の目 的 の1つである、携 帯 電 話 を頻 繁 に多 用 する
人 々の心 理 傾 向 を把 握 し、彼 らに対 し周 囲 はどのようなコミュニケーションを行
っていくべきかという点 については、ある種 の方 向 性 が見 えたと言 えるだろう。
携 帯 電 話 ・E メールの利 用 状 況 と「友 人 との関 わり方 」尺 度 で確 認 された各
因 子 との関 連 について、携 帯 電 話 の“通 話 ”という形 での利 用 に関 しては、
「談 話 目 的 」と「連 絡 等 」で確 認 出 来 た傾 向 が異 なる(それどころか「談 話 目
的 」においては何 れの因 子 との間 にも関 連 を確 認 出 来 なかった)ため何 とも言
い難 いが、“メール”での利 用 に限 って言 えば、携 帯 電 話 でのメールを多 用 す
る人 というのは、他 者 によく「気 遣 い」をすると共 に、「親 密 」な関 係 を築 くことを
好 む 人 であるという傾 向 ・可 能 性 があるということが今 回 の調 査 からは見 て取
れた。
勿 論 、この結 果 ・情 報 だけでは、その確 実 性 に疑 問 を抱 く方 も多 いであろう
し、ま たあ まりにも 断 片 的 な情 報 である ため、コミュ ニケー ショ ンに 有 益 な形 で
直 接 用 いることも難 しいと言 えるだろう。だが、今 回 の調 査 で得 られたこの情 報
を少 しでも頭 の片 隅 に残 しておけば、携 帯 電 話 のメールの利 用 を好 む相 手 と
知 り合 った時 に、 その 人 がど ういった付 き合 いを望 んでいるのか・自 分 は その
人 に対 してどう接 していくのか(例 えば、「親 密 」を求 めているのであればそれに
応 えるのか否 か。或 いは、過 剰 な「気 遣 い」は不 要 だと伝 えるのか等 )を考 える
上 でのヒントにはなるのではないだろうか。
調 査 対 象 が、和 光 大 学 生 というある種 独 自 の雰 囲 気 ・考 えを持 った者 が多
い集 団 に限 られてしまっているということもあり、今 回 のこの調 査 結 果 が即 座 に
何 かに 役 立 つと い う ことは 無 い かも 知 れ ない 。 し か し 、こ れは 自 画 自 賛 かも 知
れないが、今 後 友 人 との関 わり方 ・対 人 関 係 といったものについて考 える際 に、
57
携 帯 電 話 の利 用 状 況 がその物 差 しの1つとなり得 る可 能 性 を示 すということに
関 しては、本 研 究 は一 応 の成 果 を出 したと言 えるのではないだろうか。
2,総 括
昨 今 では、その契 約 料 も比 較 的 安 価 なものとなり、また契 約 手 続 きも容 易 に
済 ませられるということもあってか、老 若 男 女 誰 もが気 軽 に携 帯 電 話 を持 てる
ようになった。
しかし、当 然 の如 くそれを実 際 に利 用 するには、金 銭 (通 話 料 )が直 接 的 ・シ
ビアな問 題 として関 与 すると共 に、誰 か相 手 が必 要 であり、 また同 じ「 携 帯 電
話 」の利 用 であっても、今 回 の調 査 結 果 並 びに考 察 を見 れば分 かるように、そ
の使 い方 が非 常 に多 岐 にわたるということを考 えると、その利 用 状 況 には、性
格 的 な話 のみでなく 、金 銭 の 問 題 や交 友 関 係 の 問 題 等 、 多 くの 要 因 が 関 わ
って来 ることが考 えられる。そう考 えると、この携 帯 電 話 の研 究 というものは、例
えその対 象 を「若 者 」「ビジネスマン」といった具 合 に限 定 して調 査 を行 ったとし
ても、本 当 の意 味 で適 切 なサンプルを選 び出 して調 査 を行 うことが、今 回 の質
問 紙 調 査 のような比 較 的 シンプルな手 法 のみでは非 常 に困 難 な分 野 の研 究
であると言 えるだろう。
また人 によっては、「所 詮 は携 帯 電 話 などという軽 薄 な代 物 の研 究 」といった
具 合 に、本 論 文 のようなテーマを扱 った論 文 を蔑 視 ・軽 視 する人 もいるだろう。
確 かに、テーマとしては若 く、先 行 研 究 を見 ても、未 だしっかりとした・ある程 度
統 一 された方 向 性 等 が決 まらない研 究 であることも、更 にはこう言 っては何 だ
が、それこそ箸 にも棒 にもかからないような論 文 も転 がっていることも事 実 であ
る。
58
しかし、携 帯 電 話 の、ここ 10 年 足 らずの間 に爆 発 的 に普 及 したという特 性 、
並 びに、昔 から営 まれてきた人 と人 とのコミュニケーションに直 に影 響 を与 えか
ねないという特 性 を考 えると、他 にほとんど類 を見 ない、文 字 通 り特 異 な性 質
を持 つこの道 具 の 存 在 を、「軽 薄 な代 物 」などという次 元 の 扱 い・視 点 で済 ま
せてしまって、本 当 に良 いのだろうか。
折 角 これほどまでに特 異 な性 質 を持 った道 具 なのだから、携 帯 電 話 やコミュ
ニケーションに関 連 することで経 済 活 動 ・商 売 を行 う企 業 は言 うに及 ばず、私
達 利 用 者 もまた、良 きにせよ悪 しきにせよ、本 来 は 目 で見 るこ とができない隣
人 のコ ミュニケーションのスタイル・方 向 性 を、 携 帯 電 話 と いう道 具 を介 すこ と
により、“目 で見 て”知 ることが出 来 る可 能 性 があることを考 慮 すれば、初 めから
無 関 心 でいたり、無 条 件 に嫌 悪 感 などの負 の感 情 のレンズを通 して見 るので
は無 く、 かつ他 者 の 内 面 を覗 き見 る のでも無 く、 他 者 への 理 解 を深 め る行 動
の一 環 として、この携 帯 電 話 を用 いたコミュニケーションというものに、もっと興
味 を示 しても良 いのではないだろうか。
59
Ⅳ 参考文献
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第 49 巻 第 7号 p.2-3 / 慶 應 義 塾 大 学 出 版 会
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409 号 p.174-181 / 至 文 堂
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変 容 」 / 現 代 のエスプリ−第 405 号 p.34-45 / 至 文 堂
( 5 ) 小 塩 真 司 (1998) / 「青 年 の自 己 愛 傾 向 と自 尊 感 情 、友 人 関 係 の
あり方 との関 連 」 / 教 育 心 理 学 研 究 −第 46 巻 3 号 p.280-290
( 6 ) 岡 田 努 (1993) / 「現 代 青 年 の友 人 関 係 に関 する考 察 」 / 青 年
心 理 学 研 究 −第 5号 p.43-55
( 7 ) 中 島 義 明 ほ か 編 (1999) / 「 心 理 学 辞 典 」 p.330 , 343-344 /
有斐閣
( 8 ) 管 佐 和 子 (1975) / 「Self-Esteem と対 他 者 関 係 に関 する一 研 究 」
/ 教 育 心 理 学 研 究 −第 23 巻 第 4 号 p.19-24
( 9 ) 伊 藤 耕 太 (2001) / 「 携 帯 電 話 の 利 用 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 変 容
−研 究 動 向 の批 判 的 検 討 −」
/
同 志 社 社 会 学 研 究 −第 5号
p.125-134
(10)
松 田 美 佐 (2000) / 「 若 者 の 友 人 関 係 と 携 帯 電 話 利 用
−関 係 希 薄 化 論 から選 択 的 関 係 論 へ−」 / 社 会 情 報 学 研 究 −
第 4号 p.111-122
60
(11)
諸 井 克 英 (2000) / 「 青 年 に お け る 携 帯 電 話 コ ミ ュ ニケ ー
ション」 / 電 話 相 談 学 研 究 −第 11 巻 第 2号 p.79-89
(12)
紅 林 伸 幸 ・井 上 剛 男 ・小 出 淳 子 ・真 砂 恵 (1998) / 「現 代
若 者 のコミュニケーションスタイルに関 する考 察 −メディアツール・コミ
ュニケーションと友 達 /恋 人 関 係 の現 在 」 / 滋 賀 大 学 教 育 学 部 紀
要 Ⅱ,人 文 科 学 ・社 会 科 学 ―第 48 巻 p.107-121
(13)
小 塩 真 司 (2001) / 「自 己 愛 傾 向 が自 己 像 の不 安 定 性 、
自 尊 感 情 の レベ ル お よび 変 動 性 に 及 ぼす 影 響 」 / 性 格 心 理 学 研
究 −第 10 巻 第 1号 p.35-44
(14)
岡 田 努 (1999) / 「 現 代 大 学 生 の 認 知 さ れ た 友 人 関 係 と
自 己 意 識 の 関 連 に つい て」 / 教 育 心 理 学 研 究 −第 47 巻 第 4 号
p.22-29
(15)
井 上 祥 治 (1992) / 「 第 2 章 セ ル フ ・ エス テ ィ ー ム の 測 定
法 と その 応 用 」 / セルフ・エスティームの心 理 学 p.26-27, 264 /
ナカニシヤ出 版
(16)
下 斗 米 淳 (1999) / 「 対 人 関 係 の 親 密 化 過 程 におけ る 役
割 行 動 期 待 の 変 化 に 関 す る 研 究 」 / 専 修 人 文 論 集 − 第 64 号
p.1-32
61
62
Ⅴ 質問紙
大学生のコミュニケーションに関する調査
私はこの度の卒業論文で、和光大学のみなさんの、①自分自身に関する考え方
と ②友人とのコミュニケーションの状況 との関連性について調べさせて頂いている
者です。お手数ですが、以下の各質問に対して、それぞれの記入の仕方をよく読んで、
お答えください。
いずれの質問にも、「望ましい答え」や「正解」というものはありません。あまり深く
考え込まず、自分の意見を率直にお答えください。
なお、このアンケートは研究の目的のみに利用するものであり、統計的な処理を行
うため、個人のデータ・回答を公表することはありませんので、1人でも多くの方のご
協力をお願いします。
i. 最初に、あなた自身に関する簡単な質問です。該当する項目に○を付け、学年
と年齢をご記入ください。
学部 : ( 人間関係 ・ 表現 ・ 経済 ・ 芸術 ・ 文学 )
学年 :
年
性別 : ( 男
・
年齢 :
歳
女 )
携帯電話 ・ PHS を持っていますか :
( はい
・
いいえ )
・
いいえ )
普段から、パソコンのEメールを使っていますか :
( はい
→ ページをめくってください。質問は次のページから始まります!
63
ii. あなたの、自分自身に対する考え方についての質問です。
以下の 10 個の項目について、<4.とてもあてはまる> <3.少しあてはまる
> <2.あまりあてはまらない> <1.まったくあてはまらない> の4段階
で、答えに○を付けてお答えください。
1. 私は、全ての点で自分に満足している。
あてはまる
<
4
・
3
・
2
・
1
>
あてはまらない
3
・
2
・
1
>
あてはまらない
2
・
1
>
あてはまらない
2. 私はときどき、自分がまるでダメだと思う。
あてはまる
<
4
・
3. 自分には、いくつか見どころがあると思っている。
あてはまる
<
4
・
3
・
4. 私は、ほとんどの人がやれる程度には物事ができる。
あてはまる
<
4
・
3
・
2
・
1
>
あてはまらない
・
3
・
2
・
1
>
あてはまらない
2
・
1
>
あてはまらない
5. 私には、あまり得意に思うことがない。
あてはまる
<
4
6. 私はときどき、本当に自分が役立たずだと感じる。
あてはまる
<
4
・
3
・
7. 私は、少なくとも自分には、他人と同じレベルに立つだけの価値があると思う。
あてはまる
<
4
・
3
・
2
・
1
>
あてはまらない
3
・
2
・
1
>
あてはまらない
2
・
1
>
あてはまらない
2
・
1
>
あてはまらない
8. もう少し自分を尊敬できたならばと思う。
あてはまる
<
4
・
9. どんなときでも、自分のことを失敗者だと思いがちだ。
あてはまる
<
4
・
3
・
10.私は自身に対して、前向きの態度をとっている。
あてはまる
<
4
・
3
・
iii. あなたは普段、どのくらい電話やメールを利用しますか。
だいたいの数で構わないので、以下の各項目に、「1日に」
「1週間に」のどちらかに○を付け、それぞれの利用頻度(利用回数)を、小数
点は使わずにご記入ください。
64
※ 回数の数え方については、深く考えずに、単純に“回数”を数えてください。
※ なお、携帯電話やパソコン等、その機器を普段利用しない方は、お手数で
すが、解答欄の回数を記入する場所に、「 × 」印を記入してください。
1. 携帯電話の利用回数 (自分がかける回数)
A, 電話での“おしゃべり”が目的のもの
< 1日に ・ 1週間に >
平均
回
B, それ以外の、連絡や、遊びの誘いなどが目的のもの
< 1日に ・ 1週間に >
平均
回
平均
回
2. 携帯電話のメールの回数 (自分が送信する回数)
A, メールでの“おしゃべり”が目的のもの
< 1日に ・ 1週間に >
B, それ以外の、連絡や、遊びの誘いなどが目的のもの
< 1日に ・ 1週間に >
平均
回
平均
回
3. パソコンのメールの回数 (自分が送信する回数)
A, 友人との交流や、“おしゃべり”が目的のもの
< 1日に ・ 1週間に >
B, それ以外の、連絡や、遊びの誘いなどが目的のもの
< 1日に ・ 1週間に >
平均
回
iv. あなたは普段、友人とどのような付き合い方をしていますか。
普段の自分の行動を振り返り、以下の各項目について、<5.とてもあてはま
る> <4.少しあてはまる> <3.どちらとも言えない> <2.あまりあては
まらない> <1.全くあてはまらない> の5段階で、答えに○を付けてお答
え下さい。
( → 質問は、裏に書いてあります。 )
65
1.友 達 グループのメンバーからどう見 られているか気 にする。
あてはまる
<
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
>
あてはまらない
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
>
あてはまらない
>
あてはまらない
>
あてはまらない
>
あてはまらない
>
あてはまらない
>
あてはまらない
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
>
あてはまらない
2.ウケるようなことをよくする。
あてはまる
<
3.お互 いのプライバシーには入 らない。
あてはまる
<
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
4.みんなで一 緒 にいることが多 い。
あてはまる
<
5.真 剣 な議 論 をすることがある。
あてはまる
<
6.友 達 の悩 み事 や愚 痴 などを聞 いて、理 解 を示 す。
あてはまる
<
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
7.自 分 勝 手 な振 る舞 いはあまりしない。
あてはまる
<
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
8.買 い物 やスポーツなど一 緒 に出 掛 ける。
あてはまる
<
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
9.意 見 や好 みがぶつからないよう気 をつける。
あてはまる
<
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
10.冗 談 を言 ったりして相 手 を笑 わせる。
あてはまる
<
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
11.相 手 の言 うことに口 をはさまない。
あてはまる
<
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
12.一 人 の友 達 と親 しくするよりは、グループで仲 良 くする。
あてはまる
<
13.心 を打 ち明 けて話 をする。
あてはまる
<
14.相 手 が苦 しい立 場 のときは、味 方 になる。
あてはまる
<
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
15.その時 の気 分 に流 されたような行 動 はしないように努 力 する。
あてはまる
<
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
>
あてはまらない
16.一 緒 に旅 行 や遊 びに行 く。
あてはまる
<
17.話 題 についていけるように気 をつける。
あてはまる
<
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
66
18.楽しい雰囲気になるように気をつかう。
あてはまる
<
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
<
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
<
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
<
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
<
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
19.お互いの領分に踏み込まない。
あてはまる
20.友達から取り残されないように気をつける。
あてはまる
<
21.自分を犠牲にしてでも相手に尽くす。
あてはまる
<
22.いつでも友達からの相談に応じる。
あてはまる
23.自分の言動に責任を持つ。
あてはまる
24.お互いの家に行き合う。
あてはまる
25.互いに傷つけないように気をつかう。
あてはまる
<
26.いつでも、できるだけ明るく振舞う。
あてはまる
<
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
あてはまる
<
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
>
あてはまらない
27.相手に甘えすぎない。
28.友達と一緒にいる時でも、それぞれが別のことをする。
あてはまる
<
29.相手が考えていることに気をつかう。
あてはまる
<
30.友達の劣っている面について、援助や協力をしてあげる。
あてはまる
<
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
31.時間や約束を破るようなことはしない。
あてはまる
<
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
<
5 ・ 4 ・ 3 ・ 2 ・ 1
>
あてはまらない
32.何かあるとき、声をかけて誘う。
あてはまる
――― 質問は以上です。ご協力ありがとうございました。
文責 : 和光大学 学生(99D205)
金澤 旭
連絡先 : [email protected]
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