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第4章 PFI事業の導入手順
第4章 P F I事 業 の導 入 手 順 この章では,本県におけるPFI事業の導入に当たり,事業の提案から事業の終了までの 各プロセスについて,事務手続きや留意事項を示しています。 なお,本手順はPFI法や国のPFI基本方針,「PFI事業実施プロセスに関するガイ ドライン」をはじめとする各ガイドライン,他自治体の手順等を参考に整理したものです。 今後,PFIを取り巻く制度改正の動向や実際のPFI事業の実施状況・進展等を踏まえ, 適宜内容を検討し,改訂をしていきます。 【 PF I導 入 の手 順 】 参 手 順 業 務 フ ロ 照 ー ペ ージ 1 P F I 導 入 の 検 (1) 討段階 2 3 4 事 業 選 定段階 (2) 導 入可 能 性調 査 の 実施 50 (3) 導 入可 能 性調 査 の 評価 及び P FI 導 入 方針 決 定 51 実 施方 針 策定 の 見 通し の公 表 52 (2) P FI ア ドバ イ ザ ーの 選定 53 (3) 実 施方 針 案の 作 成 55 (4) 審 査委 員 会の 設 置 ,開 催( 第 1回 ) 59 (5) 実 施方 針 等の 策 定 ・公 表 61 (6) 説 明会 の 実施 , 質 問受 付・ 回 答, 意 見 招請 62 (1) 特 定事 業 の評 価 ・ 選定 ,公 表 63 (2) 議 会の 議 決( 債 務 負担 行為 の 設定 ) 70 審 査委 員 会の 開 催 (第 2回 ) 71 入 札 公 告 , 民 間 事 業 者 へ の説 明 等 の 実施 , 質 問 77 民 間 事 業 者 の 募 (1) 集・選 定 段 階 45 整 備 運営 手法・ P FI 導入 の 適合性 検 討 実 施 方 針の策 定 (1) 及び公 表 段 階 事 業 の 提 案 (民 間 か らの 提 案 を 含む ),官 民 協 働 (2) 受 付 ・回 答 5 契 約 締 結段階 (3) 入 札参 加 資格 の 確 認 77 (4) 入札 78 (5) 審 査委 員 会の 開 催 (第 3回 ) 78 (6) 落 札者 の 決定 ・ 公 表 79 (1) 契 約書 の 作成 80 (2) 仮 契約 の 締結 , 議 会の 議決 ( 契約 事 案 ) 81 (3) 契 約の 締 結 82 6 事 業 の 実施段 階 (1) 事 業の 実 施, 事 業 の監 視( モ ニタ リ ン グ) 83 7 事 業 の 終了段 階 (1) 事 業の 終 了, 事 後 評価 84 - 44 - 1 P F I導 入 の 検 討段階 (1) 事 業 の 提 案 ( 民 間 か ら の 提 案 を 含 む ), 官 民 協 働 整 備 運 営 手 法 ・ P F I 導 入 の 適 合性 検 討 公 共 施設 等 の 整 備等 を 実 施す る 際 は, P F Iも 含 め , 様 々な 民 間活 力が 導 入 で きな いかど う か, 検討 す る 必要 が あ ります 。 ア 事業 所 管課 から の 提案 各事業所管課において,公共施設等の整備等(新設・建替え・大規模改修 など)を実施しようとする場合は,まず公共サービスとしての必要性や緊急 性 等を 勘 案 し,当 該 事 業の 政 策 目標や 事 業 計画の 具 体化を 図り ま す 。 次に,事業 計 画等 を踏 まえ て,民 間と の 協 働の観 点 か ら,広 く 民間の 資 金, 経営能力,技術的能力を活用することができないかどうか「官民協働整備運 営 手法 導 入 の適合 性 検 討」 を 行 います 。 また,官民協働整備運営手法導入の適合性があるとされた場合には,PF Iの導入が可能かどうか「PFI導入の適合性検討」も行い,最も適した事 業 手法 を 選 定しま す 。 【 留意 事 項 】 ・ P F I 手 法 を 活 用 す る ね ら い を 明 確 に す る 必 要 が あ り ま す 。「 P F I の 活 用が 先 に ありき 」 の 発想は と りませ ん 。 ・ 事業手法の選定については,庁内の関係課 と十分調整をとるととも に, PFIの適合性が高い事業については,早い段階で「PFI推進チーム」 の 支援 ・ 助 言を受 け る 必要が あ ります 。 - 45 - イ 民間 事 業者 から の 提案 PFI法においては,民間事業者は,公共施設等の管理者等に対し,PF I事業に係る実施方針を定めることを提案することができると規定されてお り,公共施設等の管理者等は,その提案について検討を加え,遅滞なく,そ の 結果 を 当 該民間 事 業 者に 通 知 するこ と と なって い ます。 本県においては,民間事業者からの提案があった場合は,次のように対応 す るこ と と します 。 ① 民 間 事 業者か ら の提案 は , 各事 業 所 管 課で受け付けます。 なお,提案に当たっては,PFI法に規定する書類の提出が必要であり,こ れらの書類がないものは提案として取扱いません。 ② 事業所管課は,公共施設等の整備の必要性,実現可能性,県の諸計画との整 合性及び財政に及ぼす影響 等の観点から,県が実施すべきものかを検討し,そ の結果,実施することが適当と判断した 場合には,PFIを活用することの妥 当性及び他の手法による当該公共施設等の整備等の可能性について検討します。 ③ 検討 の 結 果 ,P F I 事 業に 係 る 実 施 方針 を 定 め るこ と が 適当と認められ る場合には,その旨を提案者に通知するとともに, 事業所管課が自ら提案した 場合と同様の手続きを進めていきます。 ④ 実施方針を定める必要がないと判断した場合には, その理由を付して提案者 に 速やかに通知します。 この場合には,新たに民間 提案を 行おうとする民間事業者の 参考に供 することが適当と認められる場合その他特に必要がある と認められると きは,当該民間提案の事業案の概要,県の判断の結果及 び理由の概要に ついて,当該事業者の権利その他正当な利益及び公共施 設等の整備等の 実 施 に対 する 影 響に留 意の 上 ,公表 する ものと し ます。 【 留 意事 項】 民間事業者に よる提案については,PFI事業実施プロセスに関するガ イ ドラ イ ン を参考 に し ます。 - 46 - 【官民 協 働 整備運 営 導入の 検 討 フロー 】 基本構 想 ・ 基本計 画 策定な ど 事 業の提 案 ( 公共サー ビスとしての必要 性や緊急性 等を勘案し, 該事業の政策目標や事業 計画の具体化 を図る) 官 民 協働整 備運 営 手 法導 入 の 適合性 検 討 【 検 討の 視 点】(別 表 1): 10ペー ジ 参照 ① 民間 の 参 入が 見 込 まれ る事 業で ある か ② 民間 が ノ ウ ハウ を 活 用 して , 創 意 工夫 で き る範 囲 が 広 い 事 業 であ る か ③ 法的 な 規 制が な く ,民 間に 任せ られ る 事業 であ るか ④ 民間 に 期 待す る 成 果を 明確 にで きる 事 業で ある か 適 合 性あり 適合 性 なし P F I導入 の 適 合性 検 討 【 検 討の 視 点】(別 表 2): 11ペー ジ 参照 ① 適当 な 事 業規 模 が 見込 まれ る事 業で あ るか ② 初期 投 資 の比 率 が 小さ い事 業で ある か ③ 設計・建設・維持管理・運営を一括して発注 で きる 事 業 である か ④ PF I を 導入 し て も , 資金 調 達 の条 件が 不利 に なら な い 事業で あ る か ⑤ PFIの諸手続を進めていく時間的余裕があ る 事業 で あ るか 適 合 性あり 適合 性 なし PFI P F I以 外 の 官民 協 働 整 備 運営 手 法 につ い て 検討し , 事 業化 マ ニュ ア ル に沿っ て 事 業化 - 47 - 直営 で 事 業化 【 官民 協 働 整備運 営 手 法導 入 の 適合性 検討 の 視点 】 検討の 視 点 視 点 の趣旨 ① 民間の参入が 安 定 的 か つ 継 続 的な サ ー ビ ス需 要 が あ る こと や , 民 間に 同 種 見 込 ま れ る 事 業 ・ 類 似の 業 務 が 存 在 す る こ とな ど に よ り, 民 間 の 事 業者 の 参 入 である か が見 込 まれる こと が 必要で す 。 ② 民間がノウハ ウを活用して, 創意工夫できる 範囲が広い事業 である か ③ 法的な規制が 設 置 主 体 や 管 理 主体 の 制 限 など , 法 的 に 民間 事 業 者 が事 業 主 な く , 民 間 に 任 体に な ること が制 限 されて い な いこと が 必要 で す 。 せ ら れ る 事 業 で ( 例 えば , 道 路 法 , 都 市 公 園法 , 下 水 道法 な ど の 公 物管 理 法 で あるか は , 設置 及 び 管 理 主 体 が 地 方公 共 団 体 に限 定 さ れ て いま す 。 ま た , 特別 養 護 老 人 ホ ー ム な どの 社 会 福 祉施 設 に つ い ても , 原 則 と し て設 置 及 び 管 理 主 体 が 地方 公 共 団 体及 び 社 会 福 祉法 人 に 限 定さ れ ていま す。) な お , 一 部 に 制 限が あ る 場 合で も , 制 限 のな い 範 囲 を民 間 に 任せ ら れない かど う か検討 す る ことも 必 要で す 。 ( 例 えば , 学 校 に つ い て は ,設 置 主 体 及び 運 営 主 体 は, 地 方 公 共 団 体及 び 学 校 法 人 に 限 定 され て い ま すが , 校 舎 の 建て 替 え , 維 持 管理 等 の 業 務 に つ い て は, 民 間 事 業者 が 行 う こ とも 可 能 で す。) ④ 民間に期待す 民間事業者に公共サービスを委ねることによってサービス水 る 成 果 を 明 確 に 準 が 低下 す る こ と を 防 止 す るた め , 事 業の 成 果 が 数 値化 で き る で き る 事 業 で あ な ど ,民 間 が 達 成 す べ き サ ービ ス 水 準 を明 確 に 規 定 でき る こ と るか が必 要 です。 ま た , こ の こ と によ り 提 供 され る サ ー ビ スの 質 の 検 査も 行 い やす く ,客観 的な 評 価が可 能 と なりま す 。 施設内容や運営部分に民間の創意工夫を加える余地が大き く , 民間 ノ ウ ハ ウ の 活 用 に より 効 率 的 なサ ー ビ ス 提 供が 可 能 で あ る こと が 必 要 で す 。 特 に ,運 営 収 入 が見 込 め る 事 業で , 民 間 の 経 営ノ ウ ハ ウ の 活 用 に よ り, 需 要 の 増加 や 収 益 性 の向 上 が 期 待で き るもの は,導 入 の適 性 が 高 いも の で ある と 考 えられ ま す。 - 48 - 【PF I 導入 の適 合 性検討 の 視 点】 検討の 視 点 視 点 の趣旨 ① 適当な事業規 P F I の 場 合 , 従来 の 手 法 と比 べ , 可 能 性調 査 や ア ドバ イ ザ 模 が 見 込 ま れ る ー 委 託等 の 手 続 き コ ス ト や 民間 資 金 の 調達 コ ス ト が 嵩む こ と か 事業で あ る か ら , 事業 規 模 が あ ま り 小 さ なも の は , 費用 対 効 果 が 見合 わ ず , 民間 事 業者の 参加 意 欲も涌 き に くい状 況 にあ り ま す 。 つ ま り , こ れ ら の追 加 コ ス トを 上 回 る コ スト の 削 減 を図 る た めに は ,一定 規模 以 上の事 業 規 模が必 要 とな り ま す 。 ま た 一 方 で は , あま り に 巨 大な 事 業 で は ,民 間 事 業 者が リ ス ク を 負担 す る こ と が 困 難 に なる と と も に, 資 金 調 達 をす る こ と が 難 しく な る 場 合 も あ る た め, 適 切 な 事業 規 模 で あ るこ と が 必 要で す 。 な お , 一 つ の 事 業で は , 事 業規 模 が 小 さ くて も , 同 種類 の 事 業 を 束ね , 一 定 規 模 以 上 の 事業 規 模 に する な ど , ス ケー ル メ リ ット を 生かし た手 法 につい て も 検討す る こと が 必 要 です。 ② 初期投資の比 P F I の 場 合 , 公債 な ど の 公的 資 金 に 比 べて 割 高 な 民間 資 金 率 が 小 さ い 事 業 を 調 達す る こ と に よ る 金 利 負担 の 増 大 とい う デ メ リ ット が あ る である か た め ,従 来 の 手 法 に 比 べ 施 設建 設 費 や 運営 ・ 維 持 管 理費 の 削 減 が 著 しく 期 待 で き る 場 合 を 除き , 運 営 ・維 持 管 理 費 に対 し て 初 期 投 資で あ る 施 設 建 設 費 が 大き す ぎ る と, こ の 金 利 差を 補 う こ とが 難 しくな りま す 。 ③ 設計・建設・ P F I の 場 合 , 施設 の 設 計 ・建 設 ・ 維 持 管理 ・ 運 営 を民 間 事 維 持 管 理 ・ 運 営 業 者 がノ ウ ハ ウ を 生 か し な がら 一 体 的 に担 う こ と に より , 事 業 を 一 括 し て 発 注 全体 に 要する 経費 を 削減す る こ とがで き ます 。 できる事業であ よ っ て , 維 持 管 理・ 運 営 面 を考 慮 し た 施 設の 設 計 ・ 建設 を 行 るか うた め ,一括 発注 で きるこ と が 必要で す 。 な お , 既 に 基 本 設計 や 実 施 設計 ま で 終 了 して い る 事 業の 場 合 で も ,民 間 事 業 者 から の 設 計の 改 善 提案 , い わゆ るV E (Value Engineering: バリュー・エンジニアリング)提 案 を活用 する こ とに よ り, PF I 導入が 可能 と なる場 合 も あるの で,その 検 討 も必要 で す。 ④ PFIを導入 P F I の 場 合 , 事業 主 体 が 民間 事 業 者 で ある た め , 従来 の 手 し て も , 資 金 調 法 で あれ ば 受 け る こ と が で きた 国 庫 補 助負 担 金 等 を 受け ら れ な 達 の 条 件 が 不 利 いこ と があり ます 。 にならない事業 よ っ て , P F I の場 合 で も 国庫 補 助 負 担 金や 地 方 財 政措 置 を である か 同 じ よう に 受 け る こ と が で きる か ど う かな ど , P F Iと 従 来 の 手 法 を比 較 し て , P F I の 場合 に 資 金 調達 上 の デ メ リッ ト が 存 在し な いこと が必 要 です。 ⑤ PFIの諸手 P F I の 場 合 , 民間 事 業 者 の募 集 , 選 定 ,契 約 締 結 など P F 続 を 進 め て い く I法 に 基づく 事務 手 続き等 が 複 雑で, 相 当の 時 間 を 要しま す 。 時間的余裕があ ま た , 民 間 事 業 者の ノ ウ ハ ウの 十 分 な 活 用を 図 る た めに , 民 る事業 で あ るか 間 事 業者 か ら の 意 見 の 反 映 のた め の 手 続き や 民 間 事 業者 の 提 案 作成 な どに要 する 時 間を十 分 確 保しな け れば な り ま せん。 よ っ て,ゆ とり あ る スケ ジ ュ ー ルを 設 定 する 必 要 があり ま す。 ※ P F I 事業と し て の適 切 な 事業 規模 国 土 交 通 省 が 平 成 15年 12月 に 公 表 し た 「 国 土 交 通 省 所 管 事 業 を 対 象 と し た V F M ( バリュー・フォー・マネー) 簡 易 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ( 第 1 次 確 定 版 )」 に お い て は , 全国一律の「適正な 事業規模」を求めること は不適切であるが,とり あえずの P F I 事 業 と し て 適 切 な 事 業 規 模 ( 初 期 投 資 額 ベ ー ス ) の 目 安 を ① 都 市 圏 で 10 億円程度,②地方圏 で5億円程度と想定した 上で,事業の性格や内容 に即して 事業実施が可能な民 間事業者を想定し,事前 の参画調査等を十分に行 うことの 重要性が指摘されて います。同様に,資金調 達のしやすさの観点から とらえた 上限目 安 に つい て は ,初期 投 資 額ベー スで 100∼200億円程 度と して い ます 。 - 49 - (2) 導入可 能性 調 査の 実施 事 業 所管 課 は , 民間 コ ン サル タ ン ト等 に 委 託す る こ と に より , PF I導 入 可 能 性調 査を行 い ,そ の結 果 に より , P FI導 入 の 可否 を 判 断し ま す 。 ア PFI導 入可能性調査は,PFI導 入の適合性があると判断さ れた事業に ついて,具体的な事業方式,法制度面の適用,VFMの試算,民間事業者の 事業参画の見込み等の検討を加え,PFIの導入可能性について総合的に判 断 する こ と を目的 と し ます 。 イ PFI導入可能性調査については,次の理由から当分の間,民間コンサルタント への委託を活用しますので,事業所管課は,調査委託費の予算を確保することが必 要です。 ウ ① 事業スキーム構築上欠くことができない類似事業に関する実態調査や民間事業 者の市場調査(=PFI導入範囲,事業方式,リスク分担の検討を行う上での民 間事業者の参考意見,当該事業に対する民間事業者の参入意向を把握するもの) が必要であること。 ② PFI事業への豊富な経験を有していることから,対象事業がPFIで成立し 得るかどうか,また成立させるにはどのような事業スキームをとるべきかについ て,より客観的に現実に即した判断ができること。 民間コンサルタントへ委託する場合の県の役割とその留意点は,大きく次のとおり です。 ① PSCの算定に必要な初期投資資金調達や収入,費用項目に対して,当該事業 あるいは従来の類似事業の金額等を把握すること。その際,使用する従来の類似 事業については,立地,施設規模,構造等について,当該事業と可能な限り近い 条件のものを選定すること。 ② 県として,調査内容を全体にわたって把握し,特にVFM試算は,その仕組み をある程度理解し,外部コンサルタントが出す試算結果についてチェックできる能力 を備えておくこと。 なお,導入可能性調査段階でのVFMの試算は,詳細な条件まで確定していな いことが多いため,大まかなコスト比較を中心にVFMの達成が可能かどうかに ついての検討を行うこと。詳細なVFMの算定は,実施方針の公表後に民間事業 者からの意見等を踏まえて事業計画を策定し,特定事業の選定時にリスク調整を 行った上で再精査します。 【留意事項】 民間コンサルタント選定方法としては,一般的に,一般競争入札とプロ ポーザル方式 による随意契約の二つの方法がありますが,コンサルタント の実施能力や 提案内容を重視したプロポーザル方式による随意契約を締結 す る ケース が多 くな っ てい ま す。 なお,ここで調査を委託するアドバイザーは,実施方針の策定以降のア ド バ イザー 契約 とは 異 なり , 可能性 調 査の みを 委 託する も ので す。 - 50 - 【導入 可能 性調査 の 項目例 】 項 1 2 目 事 業 内 容の検 討 内 ① ② ③ ④ VFM(概算)の ① 検証 ② ③ ④ ⑤ 容 公共 サ ービ ス の 基準の 検 討 支援 措 置や 法 制 度の課 題 等 の検 討 PF I のス キ ー ム(事 業 形 態・ 事 業 方式 等 ) の 検討 施設 ・ 設備 の 概 要作成 従来 方 式に よ る 場合の コ ス ト( P S C) の 算 定 PF I 事業 の 採 算シュ ミ レ ーシ ョ ン 民間 事 業者 へ の 移転リ ス ク (リ ス ク 調整 ) の 評 価 現在 価 値換 算 後 の県負 担 額 の比 較 サー ビ ス水 準 の 定性的 比 較 3 市 場 調 査の実 施 ① ② ③ 事業 概 要書 の 作 成 民間 意 向の 把 握 (ヒア リ ン グ, ア ン ケー ト 等 ) 調査 結 果に 基 づ く事業 ス キ ーム , V FM の 再 検 討 4 総合評価 ① PF I 導入 可 否 につい て の 総合 評 価 (3) 導入可 能性 調 査の 評価 及び PF I 導入 方 針 決 定 P F I導 入 可 能 性調 査 の 結果 を 踏 まえ , 導 入に 関 し て , 県と し ての 意思 決 定 を 行い ます。 事業所管課は,PFI導入可能性調査の結果評価を行い,県として,PFI導入に 関しての意思決定を行います。 - 51 - 2 実 施 方針 の 策 定 及び公 表 段階 (1) 実施方 針策 定 の見 通し の公 表 当 該 年度 内 に 実 施方 針 の 策定 が 見 込ま れ る 場合 に は , 年 度当 初 にそ の見 通 し を 公表 します 。 事業所管課は,PFI事業に係る予算が計上されるなど,当該年度内に実施 方針の策定が 見込まれる場合には,原則 ,4月1日(当該日におい て当該年度 の予算が成立 していない場合にあっては ,予算の成立日)以後遅滞 なく,実施 方 針 の策 定 の見 通し に 関して , 以下 の事項 を公 表し なけ ればな り ま せん。 また,公表に当たっては,県公報や記者発表,ホームページ等を利用して幅 広 く 公表 す るこ とが 必 要です 。 ・ 特 定 事 業の名 称 , 期間 及 び 概要 ・ 公 共 施 設等の 立 地 ・ 実 施 方 針を策 定 す る時 期 - 52 - (2) PFI アド バ イザ ーの 選定 P F Iを 推 進 す る上 で , 財務 面 , 法務 面 及 び技 術 面 で の 専門 知 識や ノウ ハ ウ を 有す る民間 の アド バイ ザ ー を選 定 し ,活用 す る こと が 必 要で す 。 ア PFI事業を行う場合には,事業全般に関して財務・法務・技術等の専門知識やノ ウハウが必要とされ,県職員が有する従来の知識のみでは不十分な点が生じてきます。 また,PFI事業の魅力を高めて民間事業者の参入意欲を促すための工夫も必要であ り,この点からも専門的な知識やノウハウを有する民間のアドバイザーを活用し,的 確な助言を受けつつ,一連の作業を行います。 イ このため,事業所管課はPFI導入の意思決定をした事業について,PFI事業の 手続きを円滑に進めていくために,PFIアドバイザー委託費用などの必要な経費に ついて,予算を確保する必要があります。 ウ アドバイザーには,財務・法務・技術等の各分野の知識やノウハウを総合 的 に提 供 で きる業 者 ( 総合 ア ド バイザ ー ) を選定 す る必要 があ り ま す。 エ アドバイザーの選定方法については,プロポーザル方式(随意契約)で選定するケ ースが多くなっています。また,効率性の観点から,可能性調査の委託業者を選定す ることも可能です。 オ また,県と契約したアドバイザーが,当該事業に応募又は参画する民間事業者のア ドバイザーになることは,利益相反の観点から認められません。 なお,アドバイザーの関係企業等が当該事業に関する一切の情報提供等が行われな いよう秘密保持や公平性が担保できるように契約書で定めるなどの措置を講じる必要 があります。 【 一般 的 な ア ドバ イ ザ ーの 体 制 】 鹿 児 島県 ( 事 業所 管 課 ) 契 約 総 合 アド バ イザー ( プ ロジェ ク ト ・マ ネ ジメ ント ) フ ァ イナン シャ ル ア ド バイザ ー (財務 面 ) リ ー ガ ル アドバ イザ ー (法 務 面) - 53 - テ クニ カ ル アド バ イザー ( 技術 面 ) 【 県 とアド バ イ ザーの 役割 分担 につ い て 】 作 業 項 目 1 実 施 方 針の策 定 ① 実 施 方 針の 策 定 ② 実 施 方 針の 公 表 2 特 定 事 業の選 定 ① 特 定 事 業の 選 定 の検討 ・ 適 性評 価 ・ 民 間参 加意向 の 市場 調査 ・ V FM の試算 ( PS Cの 算 定 ,リ ス ク 調整等 ) ・ 官 民リ スク分 担 整理 ・ 関 連法 令の確 認 ② 結 果 の 公表 3 入 札 説 明書の 検 討 ① 入 札 説 明書 の 作 成 ・ 入 札説 明書の 検 討事 項 ・ 要 求水 準書の 検 討事 項( 施 設 ,サ ー ビ ス条件 等 ) ・条件項目の整理(事業期間,料金,公共と民間の 責 任 分担, 公共 支援 , 変更 可 能な範 囲 など ) ・ 最 低限 の制約 条 件, 事業 環 境 に関 す る 情報 ・ 関 連法 令のチ ェ ック ② 資 金 調 達ス キ ー ムの検 討 ③ Q & A の作 成 4 事 業 者 の選定 ① 落 札 者 決定 基 準 (審査 基 準 )の作 成 ・ 評 価基 準,配 点 の検 討 ・ 審 査フ ォーマ ッ トの 作成 ② 事 前 資 格審 査 ( 登録) ・ デ ータ の集計 ③ 審査 ・ 事 業の 妥当性 評 価 ・ V FM 評価 ④ 事 業 者 の選 定 ⑤ 事 業 者 の選 定 に 係る評 価 の 公表 5 契 約 の 締結 ① 契 約 書 の作 成 ・ 契 約内 容の整 理 ・ 関 連法 令の確 認 ② 契約交渉 ③ 契 約 の 議決 - 54 - 県 アドバイザー 検討 ・策 定 公表 案 の作 成 − 検 討 ・承 認 案の作 成 公表 − 検 討 ・承認 案 の作 成 検討 ・承 認 検討 ・承 認 案 の作 成 案 の作 成 検 討 ・承 認 案の作 成 審査 − 検 討 ・承 認 案の作 成 検討 ・選 定 公表 − − 検 討 ・承 認 案の作 成 交渉 議決 交 渉随 行 − (3) 実施方 針案 の 作成 P F Iの 事 業 内 容や 民 間 事業 者 の 募集 方 法 など を 定 め た 実施 方 針の 案を 作 成 し ます 。 事業所管課は,ア ドバイザーに委託し,当初段階 で実施したPFI導入可 能 性調査を踏ま え,より精査された導入の 可能性検討(事業スキーム の構築,V FMの検証・ 評価,民間事業者の参入意 向調査の実施等)を行い, 実施方針案 や 募 集要 項 案等 の作 成 手続き を 進め ます。 な お , 作 業 的 に 困 難 で す が , こ の 段 階 で , 実 施 方 針 案 等 以 外 に ,「 入 札 説 明 書 」,「 要 求 水 準 書 」,「 落 札 者 決 定 基 準 」,「 契約 書 案 」 ま で 作 成 で き て い るこ と が 理 想的 で す。 ( 理 由) ① これらを早い段階で作成し,オープンにしておくことで,民間事業者の ノウハウや意向等を反映しやすく,早い段階で実施方針等の修正が可能と なる。 ② 民間事業者にとって,早い段階で全体像が把握しやすく,参入意欲を高 めるこ と に つなが る。(事業 者 に対す る イ ンセ ン テ ィブ効 果) ③ 事業の枠組みは全て契約書に凝縮されることから,契約書案を早い段階 で作成しておくことで,事業所管課をはじめとする公共側のレベルが上が り,そ の 後 の事務 手 続きが ス ム ーズ に い き やす い 。 ア 実施 方 針 県がPFI事業の導入を進めようとする場合に策定し,その事業内容や募 集方法などについて,できるだけ具体的に公表し,事業を進める意思表示を 行 うも の で す。 イ 入札 説 明書 事業の概要,民間事業者の選定など民間事業者の募集に当たっての基本的 事 項に つ い て示し た も ので す 。 ウ 要求 水 準書 県が施設やサービスの具体的な要求水準を示すものであり,民間事業者の ノ ウハ ウ を 生かす た め 性能 発 注 の形を と り ます。 エ 落札 者 決定 基準 要求水準書等で示した内容や価格等を評価項目として設定し,民間事業者 か らの 提 案 書を採 点 す る基 準 を 示した も の です。 オ 契約 書 案 PFI事業に係る責任とリスクの分担その他契約の当事者の権利義務を定 め るも の で す。 なお,公募型プロポーザル方式の場合は,民間事業者の提案内容に応じて 契約交渉が行われるため,契約書案より内容が粗い「条件規定書」という形 で 作成 さ れ ます。 - 55 - ※ V E 提 案の活 用 県が基本設計及び 実施設計まで行ったもの をPFI事業として実施 する場合 に は ,V E ( Value Engineering:バ リ ュ ー・ エ ン ジニ ア リ ング ) 提 案 を活用 す る方法 が あ りま す 。 VE提案とは,県 が提案した基本設計及び 実施設計に対して,民間 事業者が 施設の機能,性能等 を低下させることなく, コストを引き下げる技術 的な改善 提案を行うもので, 民間が有する技術力の一 層の活用と,その技術力 の活用に より, さ ら なる コ ス トの削 減 を 図るこ とが 可能 と な ります 。 VE提案を募集す るに当たっては,実施方 針の中にVE提案に係る 項目を盛 り込む と と もに , 次 に示す 「 V E提案 要領 」を 別 途 策定し ます 。 【 V E提案 要 領 の記 載 項目 例 】 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 総 則 ( VE提 案 の 目的 な ど ) V E 提 案に関 す る スケ ジ ュ ール V E 提 案の範 囲 V E 提 案に関 す る 質問 及 び 回答方 法 V E 提 案書の 提 出 方法 V E 提 案の審 査 方 法 審 査 結 果の通 知 方 法 V E 提 案(民 間 事 業者 の 技 術力, 創 意 工夫等 ) の保護 V E 提 案に係 る 費 用負 担 基 本 設 計及び 実 施 設計 の 品 質に関 す る 責任の 所 在 V E 提 案が実 施 で きな い 場 合の処 理 設 計 図 書に関 す る 著作 権 の 所在 - 56 - 【 実施 方 針 に 記載 す る 主な 内 容 】 事 項 内 容 1 特定事業の選 定に関する事項 ① ② ③ ④ ⑤ 事業名称,事業目的,事業内容 事業費用の負担 事業の範囲及び事業方式,事業期間,事業スケジュール 事業に関係する根拠法令,規則,許認可事項等 特定事業の選定・公表に関する事項(選定方法,選定基準) 2 ① ② ③ 募集方法(総合評価一般競争入札等)及び選定スケジュール 応募者の備えるべき参加資格要件,提出書類 審査及び選定に関する事項 3 ① ② 4 ① ② 施設の立地条件(敷地面積,用途地域・地区の状況) 土地の取得,設計要件,建物・外構計画 5 ① ② 協 議方 法 紛 争の 際 の 地方 裁 判所 6 ① 7 ① ② 事 業者 の 法 的立 場 ,税制 上 の 措 置 国 ,県 , 公 的金 融 機関な ど の 補 助金 , 融資等 の 支 援制度 8 ① ② 質 問事 項 受 付窓 口 ,知的 所 有 権 の配 慮 等 VE提案を募集する場合のその方法(基本設計及び実施 設計ま で 事 業内容 を 示した 場 合 など) 民間事業者の 募集及び選定に 関する事項 民間事業者の 責任の明確化等 事業の適正かつ 確実な実施の確 保に関する事項 公共施設等の 立地並びに規模 及び配置に関す る事項 事業契約 等 の 解釈について疑 義が生じた場合 における措置に 関する事項 事業の継続が 困難となった場 合における措置 に関する事項 法制上及び税 制上の措置並び に財政上及び金 融上の支援に関 する事項 その他特定事 業の実施に関し 必要な事項 基本的な考え方 予想される設計,建設,維持管理・運営段階等各段階に おける リ ス クと行 政 ・民間 で の 分担の 案 ③ 事業の実施状況の確認及び監視(モニタリング) 困難となり得る具体的事由,当事者間の措置,金融機関 との協 議 ② 契 約解 除 , 介入 , 事業引 継 等 の 方法 - 57 - 【入札 説明 書の記 載 項目例 】 1 2 3 4 5 6 7 8 入札説 明書 の 定義 事業の 概要 入札に 関す る 条件 及び スケ ジュ ー ル等 民間事 業者 の 選定 提案に 関す る 条件 リスク 分担 案 契約に 関す る 考え 方 提出書 類・ 作 成要 領 など 【要求 水準 書の記 載 項目例 】 1 2 3 4 5 6 基本方 針 選定事 業者 の 事業 範囲 施設・ 設備 整 備業 務概 要 維持管 理業 務 要求 水準 運営業 務要 求 水準 選定事 業者 の 提案 に基 づく 要求 水 準 など 【 落札 者 決 定 基準 の 記 載項 目 例 】 1 2 3 4 5 6 落札者 選定 基 準の 位置 付け 審査の 基本 方 針 審査方 法 審査の 手順 参加資 格 審査の 方法 など 【 契 約書案 の 記載 項 目 例】 1 2 3 4 5 6 7 8 9 総則 土地の 賃貸 借 に関 する 規定 設計・ 建設 に 関す る規 定 維持管 理, 運 営に 関す る規 定 サービ ス対 価 の支 払い に関 する 規 定 法令変 更に 関 する 規定 契約期 間及 び 契約 の終 了に 関す る 規定 不可抗 力に 関 する 規定 その他 - 58 - (4) 審査委 員会 の 設置 ,開 催( 第1 回 ) 事業所管課は,個別事業毎に「審査委員会」を設置し,「実施方針等の策定段 階」,「入札実施段階」,「事業者(落札者)選定段階」のそれぞれにおいて開催 し ,P F I事 業 者を 決 定し ま す。 ア 設置 の 必要 性 PFI事業の選定に当たっては,公平性及び透明性を確保するとともに, 長期間サービスの利用者となる県民に対する説明責任が強く求められます。 また,PFI事業は,民間事業者の技術やノウハウを生かすための性能発注 や設計,建設,維持管理及び運営までの一括発注方式が採られること,資金 調達面からの事業の実現性の検討が必要であることなど,審査に当たっては 各 分野 の 専 門性が 強 く 求め ら れ ます。 したがって,PFI事業の各分野の専門性を審査するために審査委員会の 設 置が 必 要 となり ま す 。 イ 事務 内 容 審査委員会は,実施方針等の策定,入札実施,事業者(落札者)選定のそ れ ぞれ の 段 階にお い て 状況 に 応 じ複数 回 開 催し, 次 の事務 を行 い ま す。 また, こ れ らの段 階 以外で も 必 要に 応 じ 開 催し ま す 。 ウ ① 「 実 施 方針等 策 定段階 」 実 施 方針案 , 要 求水 準 書案 ,落 札 者 決定基 準案 ,契 約書 案 の 検討 ② 「 入 札 実施段 階 」 選 考 方法, 要 求 水準 書 ,落 札者 決 定 基準, 契約 書の 最終 的 な 検討 ③ 「 事 業 者(落 札 者)選 定 段 階」 落 札 者決定 基 準 に基 づ き, 各民 間 事 業者の 入札 書の 審査 , 評 価 構成 審査委員会は,個々のPFI事業ごとに設置し,その都度委員の選任を行 います。委員は,技術,経営,法律,金融などの専門家,学識経験者及び県 職 員で 構 成 します 。 ま た ,総 合 評 価一 般 競 争入 札 に よ り 事業 者 を 選定 す る場合 に は, 学識 経 験 者 2 名 以 上 の 意 見聴 取 が 必要 で す (地 方 自 治 法 施行 令 第 167条 の10の 2 第 4項 及 び 同 施 行 規 則 第 12条 の 3 第 2 項 ) の で , あ ら か じ め 審 査 委 員 会 の 構 成 員 と し て加 え ま す。 なお,他県の事例等をみた場合,審査委員会の構成については,公平性や 透明性を確保する観点から,外部委員(学識経験者を含む)が過半数を占め るとともに,委員長(座長)も外部委員から選任されているケースが多くな っ てい ま す 。 - 59 - エ 審査 結 果の 公表 ① 審査委員会として公表する事項,時期等は,審査委員会が自ら決定する ものと し ま す。 ② 事業者の選定が行われた時は,PFI法第11条の規定に基づき結果を公表する 必要があり,その際には,民間事業者の権利,競争上の地位その他正当な利益を 害するおそれのあるものを除き,審査委員会での審査の経過及び結果を公表する ものとします。 ③ 審査委員会は非公開とし,審査委員は審査会の公平性,透明性を確保するため, 審査の過程において知り得た情報については,公表してはならないものとします。 ④ 審査委員会における審査の経過については,議事録を作成するものとします。 【留意事項】 ・ 審査委員会委員の氏名等については,事前に公表すること。 ・ 審査委員会の位置付け及び審査委員会で審査する事項を明確にし,事前に公表 すること。 ・ 設計等の技術的評価の定量化を図り,各項目について複数の委員による評価を 行う等,評価の客観性を確保するような措置を講じること。 ・ 審査委員会で審査する事項のうち専門性の高いものについては,当該事項の専 門性を踏まえた審査委員を選定し,専門分野ごとに審査を行う等,事業の規模等 に応じ,当該事項の専門性にふさわしい審査のプロセスを確保すること。 ・ ・ 審査委員会での審査に当たっては,十分な 時間的余裕を持って審査 でき るよう配慮す ること。また,審査委員会の審査の効率性及び実効性を確保 するため,必 要に応じ提案の内容の要約版を応募者に提示させる等の工夫 を行うことと 。なお,要約版を応募者に提示させる場合は,その負担に配 慮 す るとと もに ,そ の 位置 付 けを明 確 にす るこ と 。 民間事業者の選定に対する意思決定の責任,説明責任は県にあること。 - 60 - (5) 実施方 針等 の 策定 ・公 表 実 施 方針 を 策 定 ,公 表 し ,県 と し て, P F I事 業 を 推 進 する 意 思表 示を 行 い ま す。 事 業 所 管 課 は ,「 審 査 委 員 会 」 で の 意 見 等 を 踏 ま え て , 実 施 方 針 を 策 定 ・ 公 表 し ます 。 実施方針の策定・公表については,公平性及び透明性を確保するとともに, 民間事業者に 対する準備期間の提供や当 該事業に関する意見招請, 県民等への 周知に資する ため,当該事業に関する情 報が早くかつ広く周知され るよう,で き る 限り 早 い段 階で 行 うこと が 重要 です。 また,実施方針については,県公報や記者発表,ホームページ等を利用して 幅 広 く公 表 する こと が 必要で す 。 さらに,国等の関係機関(内閣府民間資金等活用事業推進室,総務省,自治 体 P FI 推 進セ ンタ ー 等)へ も 実施 方針を 策定 した 旨を 報告し ま す 。 なお,入札公告の際に必要となる要求水準書や契約書案などは,民間事業者 が提案内容を 検討する上で,非常に重要 なものであることから,で きる限り実 施方針の公表 に併せて公表し,民間事業 者からの意見を聴取するの が望ましい です。 - 61 - (6) 説明会 の実 施 ,質 問受 付・ 回答 , 意見 招 請 実 施 方針 等 に つ いて , 説 明会 を 開 催し , 民 間事 業 者 へ の 周知 に 努め ると と も に ,質 問 を 受 け付 け , 疑 問点 を 解 消し , ま た, 事 業 に 関 する 意 見を 招請 し ます。 ア 説 明 会 の実施 当該事業に関心のある民間事業者に対し,事業について の理解を深める ため, 実 施 方針に つ いての 説 明 会を 開 催 し ます 。 イ 実 施 方 針等に 対 す る質 問 受 付・回 答 実施方針に記載した事業内容や公募方法について,民間 事業者の疑問点 を解消 す る ための 質 問を受 け 付 けま す 。 この場合,実施方針の公表から質問受付及び締切までの 期間は,民間事 業者が 十 分 に検討 で きるよ う 配 慮し な け れ ばな り ま せん 。 なお,回答は,その公平性・透明性を確保するため,全 て書面により行 い,その内容は民間事業者の独自のノウハウに係る事項を除いて,原則と して全 て の 民間事 業 者に公 開 し ます 。 また,要求水準書などの案も併せて公表した場合には, 同様に質問を受 け付け る こ とにな り ます。 ウ 意見招請 質問への回答後,民間事業者から事業に対する意見を招 請し,必要に応 じ,特定事業の選定・民間事業者の募集に反映することが適当です。この ため,民間事業者から適切な意見が受けられるよう,質問回答から十分な 期間を お い て実施 し ます。 民間事業者からの意見を参考にして,実施方針の詳細化 や見直しを検討 します 。 実 施方針 を 変更し た 場 合は 速 や か に公 表 し ます 。 【留意事項】 質問・回答は,実施方針等に対する民間事業者の疑問点解消のために行 うもので,意 見招請とは異なり,民間事業者側の意見を求める手続きでは あ り ません 。 - 62 - 3 事 業 選定 段 階 (1) 特定事 業の 評 価・ 選定 ,公 表 P F I事業 とし て実 施 する こ とを, 県 とし て正 式 に決定 し ,公 表し ま す。 ア 「特定事業の評価」とは,当該事業をPFI事業として実施することにより,公共 施設等の設計,建設,維持管理及び運営等が効率的かつ効果的に実施できるかを判 断すること(VFMによる評価)であり,「特定事業の選定」とは,PFI事業とし て実施することを県として意思決定することです。 なお,平成17年8月のPFI法の改正により,特定事業の選定に当たっては, 安全性を確保しつつ,国民に対するサービスの提供における行政のかかわり方の改 革,民間の事業機会の創出その他の成果がもたらされるよう,配慮することが規定 されました。 イ VFMの評価は,特定事業の選定に当たっては必ず行わなければなりません。この 評価は,PFI導入可能性調査時に行ったVFMの算定・評価について,より詳細 な精度の高いデータ等を使用して定量的,定性的に行います。 ウ VFMの定量的評価と定性的評価をもとに特定事業の選定を行ったときは,その判 断の結果及びVFM評価の内容を速やかに公表することが必要です。また,事業の 評価の結果,特定事業としての選定を行わないとした場合も公表を行うことが必要 です。 なお,公表に際して,県が従来方式で実施する場合の県の財政負担額(PSC)と PFI事業で実施する場合のコスト(LCC)を公表することにより,その後の入 札等において正当な競争が阻害されるおそれがある場合等においては,PSCとP FI事業のLCCの差額又は割合の見込みのみを示すことも可能です。 【 VF M評 価 の手 順 】 ① ② 前 提 条 件 の 県が 従 来 方式 で 実 施 す る 場 合 の コス ト(P S C) の算 定 [ 定 量的 評 価 ] ③ 整 理 P F I 事 業で 実 施 す る 場 合 の コス ト ( LC C ) の算 定 [ 定量 的評 価] ④ 現 在価 値 換 算し た 県の負 担 額 の 比較 ⑤ 民 間事 業 者 へ移 転 するリ ス ク 調 整を 加えた 県 の 負担額 の 変化 ⑥ P FI 事 業 のサ ー ビス水 準 の 比 較 [ 定性 的 評 価] ⑦ 総 合 評 - 63 - 価 V F M評価 の手 順 は次 のと おり です 。 ① 前提条件の整理 ・ 施設等の事業規模,事業方式の検討(BOT,BTO等),さらに民間事業者に 行わせる業務の範囲等,事業の前提条件を検討し,事業スキームを設定します。 ・ VFMの算定に当たっては,事業の前提条件を可能な限り実態に近づけることが 必要ですが,民間事業者の応札価格や事業の将来を予測することは極めて困難であ り,実際には既存の類似公共施設の実情等を参考に,当該事業特有の要素を考慮し て条件を設定することとなります。この場合の前提条件は,様々な状況を想定し, 条件を変えて何度もシミュレーションを行う必要があります。 【VFMが大きく増減する可能性がある主な条件例】 ・民間事業者の事業範囲,官民のリスク分担 ・事業期間 ・コスト削減率 ・国庫補助負担金等の適用条件 ・起債の条件 ・固定資産税等の税金の取扱い ・SPCの調達金利条件・資本金比率・収益性条件 ・設定割引率 ② PSCの算定 【算定の前提条件】 PSCの算定に当たっては,当該事業を県が自ら実施する場合に採用すると 考えられる事業形態等を想定して算定します。すなわち,事業の一部請負や委 託等を実施する場合には,その事業形態を想定して算定します。 【算定方法】 設計,建設,維持管理,運営の各段階ごとに,県が自ら実施する場合に採用 する事業形態に基づき経費を積み上げます。 各段階ごとの経費の積み上げには,事業そのものに直接必要となる経費(直 接コスト)と,その事業の実施に必要な企画段階及び事業期間中における県の 人件費や事務費などの間接的に必要な経費(間接コスト)を計上します。この 際の間接コストについては合理的に計算できる範囲で算入します。 - 64 - 項 目 支 設計費,建設費 出 項 維持管理費,運営費 目 支払利息 その他 収 事業収入 入 補助金等 項 調達資金 目 ③ 【PSCの構成要素】 内 容 ・従来型の設計施工分離方式を前提とした場合に使用す るであろう工法,標準工期での積算,予定価格ベース で経費を算出 ・設計,工事進捗に関わる県の人件費,事務費等の間接 コストも合理的に計算できる範囲で算入 ・類似施設の実績等を参考に経費を算出 ・維持管理,運営に関わる県の人件費,事務費等の間接 コストも,合理的に計算できる範囲で算入 ・設計,建設に必要な資金を地方債により調達する場合 は,支払利息を算出 ・その他必要な経費を算出 ・利用者から徴収する施設利用料金等 ・ 建 設, 維持管 理, 運営に 関 する国 庫 補 助負担 金 等 ・地方債等(元本) PFI事業のLCCの算定 【算定の前提条件】 PFI事業のLCCの算定に当たっては,民間事業者が,公共施設等の設計・ 建設・維持管理・運営の段階全てを一元的に推進する事業を想定します。 なお,PFI事業がこれらの段階全てを含まない事業である場合は,当該PF I事業に含まれる段階の全てを一元的に推進する事業を想定して算定します。 【算定方法】 各段階ごとに,民間事業者が当該事業を行う場合の費用について,各年度ごと の民間事業者の損益計画,資金収支計画等を想定します。 想定に当たっては,民間アドバイザー等の活用や,類似事業に関する実態調査 や市場調査等を実施して算出根拠を明確にします。 その際,民間事業者の利益,配当を適正に勘案して織り込むことが必要です。 なお,PFI事業のLCCを算定する場合においても,PSCを算定する場合 に準じて,間接コストを算入することが適当です。 民間事業者による附帯的施設が想定される場合であっても,原則として本来県 が必要とする施設(事業)のみを想定します。ただし,実施方針において,その 内容が具体的に示されている場合は,当該附帯的施設を含めて全体事業費を計上 した上で,本来の公共施設に相当する部分を取り出して,PFI事業のLCCを 算定することも差し支えありません。 - 65 - 【PFI事業における民間事業者の収支構成要素】 項 目 内 容 設計費,建設費 ・類似施設に関する調査やアドバイザーの活用等を行い, 支 算出根拠を明確にした上で,経費を算出 維持管理費,運営費 ・類似施設に関する調査やアドバイザーの活用等を行い, 出 算出根拠を明確にした上で,経費を算出 減価償却費 ・建物,設備等の資産の種類ごとに減価償却費を算出 項 支払利息 ・建物,設備等の施工に必要な資金について,実現可能 な借入金の金利及び返済期間を見込み,支払利息を算 目 出 その他 ・その他必要な経費を算出 収 事業収入 ・県からのサービス購入対価,利用者から徴収する施設 入 利用料金等 項 補助金等 ・ 建 設,維 持管 理, 運 営に 関す る県 補助 金 等 目 調達資金 ・出資金,借入金等 ※ こ の 外 に , 県 が 直 接 的 に 自 ら 支 出 す る 費 用 (ア ド バ イ ザ ー 費 用 等 )が あ る ことに 留 意 する必 要 があり ま す 。 【適切な調整の実施について】 前述の②,③については,現行制度に基づく調整を基本として「適切な調整」を実施 します。具体的には,実施するPFI事業に対し,財政上・金融上の支援が県の財政負 担によって行われることが確実に見込まれる場合には,PFI事業のLCCにその額を 加えます。また,PSC,PFI事業のLCCの算定に当たり前提とした事業のそれぞ れについて,民間事業者からの税収その他で県に納付されるものについては,県の財政 負担額から控除します。 ④ 現在 価 値換 算し た 県の負 担 額の 比較 ・ PSCとPFI事業のLCCを比較する際は,現在価値に換算して県の財政負担 額を比較することが必要です。 ・ 現在価値への換算とは,貨幣価値は,時間とともに変化する(通常は低下する) ことを前提として,将来の支出や収入を現在の貨幣価値に換算することです。例え ば,1年間の金利が1%であれば,現在の100億円は銀行に預けておけば,1年 後には101億円になります。したがって,現在の100億円の収入と1年後の 101億円の収入は同じ価値とみることができます。よって,1年後の101億円 は現在価値では100億円となります。また,その際の金利に相当する率を「割引 率」と言います。 例:事業後n年後のa円を割引率r(年率)で現在価値に換算する場合 n (a円の)現在価値 =a円/(1+r) ※ 割引率については,実際には,国土交通省が平成11年3月に策定した「 社 会 資 本 整備 に 係 る費 用 対 効果 分 析 に関 す る 統 一的 運 用 指 針 」に 従 い 社会 資 本 割 引 率 の 「 4 % 」を 用 い る こと が 多 い で すが , 長期国債利回りの過去の平均 や長期的見通し等のリスクフリーレートにインフレ率(消費者物価指数)を加え た率を用いるなど,適正な率を求めることが必要です。 - 66 - ・ ⑤ なお,現在価値換算前ではPSCの額の方が低く,現在価値に換算する とPFI事のLCCの額がPSCの額を下回ることになるケースでは,割 引率の設定条件が特定事業選定の大きな決め手となるので,こうしたケー スの場 合 は 慎重な 取 扱が必 要 で す。 リスク調整とこれを加えた県負担額の比較 【リスク調整と定量的VFM評価について】 リスク 調 整 につい て は,主 な 民 間へ の 移 転 リス ク と して , 建設 費 ,維 持 管 理費 の オ ーバー ラ ン リス ク , 資金調 達 リ スクな ど があり ます が , 現状で は ,全 体 的 に,当 該 リ スク を 定 量化す る に 当たっ て ,統計 的に 充 分 なデー タ が不 足 し ている と 言 われ て い ます。こ の ため,リ スク の定量 化 は,当面 , 可 能な 限 り 行うこ と と しま す 。 以下に,リスク調整とこれを加えた県負担額の比較についての手順を示し ま す。 【リスク調整の考え方】 一般的に,民間事業においては,事業に伴うあるリスクが事業者負担となって いる場合,当該リスクを負担する代償として,それに見合う対価が事業コストに 含まれているとされています。したがって,PFI事業のLCCも,通常,PF I事業で民間事業者が負担すると想定したリスクの対価を含むことになります。 こうしたリスクは,県が当該事業を自ら実施する場合には県が負うものであり, これらに伴い金銭的な負担が発生した場合,その負担は県の負担となります。 PSCとPFI事業のLCCを比較する場合,上記のように,PFI事業のL CCはPFI事業で民間事業者が負担すると想定したリスクの対価を含みますか ら,PSCにおいても,それに対応するリスクを県が負うリスクとして計算し, 加えます。 【調整すべきリスクの特定】 リスクをPSCに算入する場合,まず,算入するリスクを特定します。実施方 針の策定段階で検討した各段階ごとのリスクについて,上記の考え方に基づいて, PSCに算入すべきリスクを特定します。 【リスクの定量化】 PSCに算入するリスクの定量化とは,その事業を県が実施する場合に,県が 負うであろう金銭的負担の期待値であり,特定のリスクについて,それが発生し たときに県が負うであろう財政負担と発生確率の積により期待値が算定され,そ の期待値を現在価値で割り引くことによって定量化された数値として表されま す。 得 ら れた 現 在 価 値の 定 量 化 リス ク を 前述 の ④ に加 え て 県 の 財政 負 担 額を 比 較し ま す 。 - 67 - ⑥ サービス水準の比較(定性的評価) ・ 公共サービスの評価についてできるだけ定量的に行い,客観性を確保した上で定 性的評価を行うこととなります。 ・ なお,PSCとPFI事業のLCCに差が生じない場合は,明確な定量的指標で 評価できない成果にも配慮が必要です。なかでも,特に重要なサービス水準の他に, デザイン,風土や環境への対応,高齢化社会への配慮等は重要な要素となります。 【 PF I に よ り 実 施 す るこ と の 定 性 的評 価 例 】 項 目 内 容 効率的な維持管理・ 設 計 ・ 建 設 ・ 維 持管 理 ・ 運 営業 務 ま で を一 括 し て 民 運 営の 実 施 間 事 業者 に 任 せ るた め , 各 業務 毎 に 発 注す る 場 合 と比 較 し て効 率 化 が 図ら れ る と とも に , 民 間事 業 者 の 創意 工夫の 発 揮 によ る 運 営 の効 率 化 が期 待 でき ま す。 利用者ニーズに応じ 民 間 事 業 者 が 有 する 専 門 的 な知 識 や 技 術を 活 用 す る た 低 廉 , 良 質 な サ ー こ と によ り , 利 用者 ニ ー ズ に応 じ た 低 廉で , 良 質 なサ ビ スの 提 供 ービス の 提 供を 可 能 と する こ と が期 待 でき ま す。 リスク分担の明確化 事 業 の 計 画 段 階 にお い て あ らか じ め 発 生す る リ ス ク に よ る 安 定 し た 事 業 を 想 定し , そ の 責任 分 担 を 公共 及 び 民 間事 業 者 の 間で 運営 明 確 にす る こ と によ り , 問 題発 生 時 に おけ る 適 切 かつ 迅 速 な対 応 が 可 能と な り , 業務 の 円 滑 な遂 行 や 安 定し た事業 運 営 の確 保 が 期 待で き ま す。 ⑦ 総合評価 ①∼⑥の流れを踏まえて,県が従来方式により実施する場合と,PFIによ り 実 施す る 場合 とを 総 合的に 比 較評 価し, 判断 を行 いま す。 【留意事項】 ・ V F M につい て は ,V F M に関 するガ イ ドラ イ ンを 参考に し ます 。 ・ V F M に 関 する ガ イ ドラ イ ン では , V FM の 評 価 は その 時 点で 算定が 可 能 な 範 囲 で 極力 精 度 を確 保 す る よう 求 め る一 方 , 算定 に 多 大 な 労 力を か けす ぎ る こ と の な いよ う 留 意を 促 し て いま す 。 特定 事 業 の選 定 時 点 で は ,V F Mが 達 成 し 得 る と いう 一 定 の予 測 が 得 られ る こ とで 良 し とし , 金 額 や 計 算方 法 の緻 密 さ の 追 求 に 走る よ り も, 事 業 の 魅力 を 確 保し , 民 間事 業 者 の 参 入 意欲 を 高め る こ と へ の 更な る 工夫 等 へ の努力 の 方 が より 有 益とも い え る場合 も ありま す 。 ・ リ ス ク に つ いて は , PF I 事 業に お け るリ ス ク 分 担 等に 関 する ガイド ラ イ ン を 参 考に し ます 。 - 68 - ※ 民間事業者の参入の可能性を判断する指標について PFI事業への民間事業者の参入の可能性を判断する指標には,一般的に次のよ うなものがあり,これらが一定の水準以上であることが必要です。同時に融資実行 する金融機関にとっても鍵を握る指標です。 □ IRR(Internal Rate of Return)=「内部収益率」 事 業 の採 算 性 を評 価 す るた め に よく 使 わ れ る 指標 。 投資 が生み 出 す キ ャ ッ シュ フ ロ ーの 現 在 価値 が , 投資 額 す な わち キ ャ ッ シュ ア ウト フ ロー の 現 在価 値 に 等し く な る割 引 率 のこ と 。 資 金調 達 コ ス トを 上 回る 必 要が あ り ます 。 Σ (投 資 額 /(1+r)(n − 1 )) = Σ ( n事業 年 度 のキャ ッシ ュフ ロ ー /(1+r)(n− 1 )) ※ n は 各 事業年 度 上 記 の 場合 に お いて ,r を I RR ( 内部 収益率 ) とす る。 □ EIRR(Equity Internal Rate of Return)=「自己資本内部収益率」 出 資 者が 事 業 に出 資 す るか ど う かの 判 断 指 標 で, 出 資に 対する 採 算 性 を 示 すも の 。 元利 金 返 済後 , 配 当前 の キ ャ ッシ ュ フ ロ ーを キ ャッ シ ュイ ン フ ロー と し ,出 資 金 をキ ャ ッ シュ ア ウ ト フロ ー と し て, 投 資金 額 に対 し て 将来 受 け 取る キ ャ ッシ ュ が 年利 回 り に 換算 し て ど れく ら いに な るの か を 示す も の 。一 般 的 に, 6 ∼ 10% 程 度 な いし は そ れ 以上 と する こ とが 多い。 □ DSCR(Debt Service Coverage Ratio)=いわゆる「元利金返済余裕率」 事 業 から 生 み 出さ れ る 毎年 度 の キャ ッ シ ュ フ ロー が 元利 金を返 済 す る の に 充分 な 水 準か ど う かを 判 断 する 指 標 で あり , 金 融 機関 が 融資 を 決め る 際 , 重 視 さ れ る も の 。 1.0を 下 回 る 年 度 は , 当 該 年 度 に 想 定 さ れ る 元 利 金 返済 前 の キャ ッ シ ュフ ロ ー だけ で は , 元利 金 の 返 済が で きな い こと に な りま す 。 一般 的 に ,1.0∼1.2程 度以 上 が多 いと され てい ま す。 D SC R = (返済 前 キ ャッシ ュ フロー ) /( 借 入金償 還 ) □ LLCR(Loan Life Coverage Ratio) 借 入 期間 に わ たる 元 利 金返 済 前 キャ ッ シ ュ フ ロー の 現在 価値が , 借 入 元 本 の何 倍 に 相当 す る かを 示 す 指標 。 元 利 金返 済 前 キ ャッ シ ュフ ロ ーと は , 事業 に よ って 生 み 出さ れ る 収入 か ら 各 種費 用 及 び 税金 等 を差 し 引い た 後 のキ ャ ッ シュ フ ロ ー( 資 金 の流 出 入 ) であ り , 借 入金 の 元利 金 の返 済 に 充て ら れ る も の。 事 業 会 社の 返 済 能 力 を分 析 す る 指標 と し て , DS CRとともに用いられます。1.0を 下 回 る 場 合 は , 元利 金 返 済 前キ ャ ッシ ュ フ ロ ーだ け で は,借 り 入れ てい る元 本 の返 済が でき ない こ と となり ま す。 一 般 的に , 1.0∼ 1.2程 度以 上が 多い とさ れ てい ます 。 L L CR =Σ (元 利 金返 済 前キャ ッ シュ フロ ー の現 在 価 値)/借入 元 本 - 69 - (2) 議会の 議決 ( 債務 負担 行為 の設 定 ) P F I事 業 は , 複数 年 度 にわ た る こと か ら ,事 業 期 間 全 体の 総 事業 費に つ い て ,議 会の議 決 を得 て, 債 務 負担 行 為 を設定 す る 必要 が あ りま す 。 ア 債 務負 担 行 為 と は , 地 方自 治 法 第214条 「 歳出 予 算 の金 額 , 継 続 費 の 総額 又 は繰越明許費の金額の範囲内におけるものを除くほか,普通地方公共団体が 債務を負担する行為をするには,予算で債務負担行為として定めておかなけ ればならない」の規定に従い,複数年にわたる債務の履行に関して,その期 限 と限 度 を 予算で 定 め て議 会 の 議決を 得 る ことを い います 。 イ PFI事業は複数年契約になるため,予算で債務負担行為を設定する必要があり, 議会の議決が必要です。 ウ 債務負担行為の限度額は,特定事業のVFM評価により得られた,建物等の設計, 建設,維持管理,運営に関する費用の総額,つまり県がPFI事業者に支払う見込 の総額となり,現在価値に割り引く前の実際の支払い予定額です。 エ 債務負担行為の期間は,PFI事業の契約期間です。 ※ 債務負担行為の設定期間について 国 の 債 務 負 担 行 為 は 財 政 法 第 15条 の 規 定 に よ り 5 年 以 内 と さ れ て い ま す が , P F I 事 業 に つ い て は , P F I 法 第 68条 の 規 定 に よ り , 30か 年 度 が 上 限 と されて いま す。地方 自 治 法に は 上 限の規 定 は あり ま せ んが,実 際に は, 地 方 自 治 体 の 債 務 負 担 行 為 に つ い て も , 国 の 上 限 に な ら い 30年 を 超 え る 期 間 を 設定す るこ とは な いよ う です。 【留意事項】 ・ 総合評価一般競争入札の場合,債務負担行為は入札公告前に設定する必要があ ります。(プロポーザル方式の場合は,事業者選定後,契約締結までに債務負担行 為を設定します。) ・ 債務負担行為については,債務負担行為を設定した年度内にその債務の原因と なる契約手続きを完了させる必要があります。当該年度内に契約手続きが完了し ない場合には,次年度に再度債務負担行為を行う必要があります。 ・ PFI法に基づいて設定される債務負担行為は,効率的かつ効果的な公共施設 等の整備のために設定されるものであり,「もっぱら財源調達の手段して設定する 債務負担行為」 (昭和47年自治導第139号)には該当しないと解されています。 しかし,この場合においても,財政の健全性を確保する必要があるため,PF I事業における債務負担行為に係る支出のうち,施設整備費や用地取得費に相当 するもの等公債費に準ずるものは,起債制限比率の計算の対象となります。(「 民 間 資 金 等 の 活 用 に よ る 公 共 施 設 等 の 整 備 等 の 促 進 に 関 す る 法 律 ( 平 成 11年 法 律 第117号) に 基 づい て 地方 公共 団 体 が実 施 す る事 業 に 係 る 地方 財 政 措 置 に つ いて」 平成12年3月29日付け自治画第67号自治省財政局長通知) - 70 - 4 民 間事 業 者 の 募集 ・ 選 定段 階 (1) 審査 委 員 会 の開 催 ( 第2 回 ) 審 査 委 員 会 を 開 催し , 入 札 説明 書 , 要 求 水準 書 , 落 札者 決 定 基 準, 契 約 書 案 の 内容 を 確 定す る と とも に , 民間 事業 者 の選 定 方 法 を 決定 し ま す 。 ア PF I 事 業者 選 定 の考 え 方 PFI事業者の公募や選定に当たっては,地方自治法等の現行法制度に従 う ほ か, 次 の 事項 に 留 意し て 実 施す る 必 要 があ り ま す 。 なお,選定に当たって,民間事業者の有する技術及び経営資源,その創意 工夫等が十 分に発 揮され,低廉かつ良好なサービスが 国民に対して提供され るよう,原 則とし て価格及び国民に提供されるサービ スのその他の条件によ り評価を行 うもの とすることが,平成17年8月のP FI法改正により新た に 規 定さ れ ま した 。 ① 「 公 平 性 の 原 則 」 に 従 い , 競 争 性 を 担 保 し つ つ ,「 透 明 性 の 原 則 」 に 基 づ き ,手 続 の 透明 性 を 確保 し た 上で 実 施 す る こと 。 ② できる 限り民 間事業者の創意工夫が発揮されるよ う,サービスの水準を 必要な限度で示し,具体的な仕様は必要最小限にとどめる,いわゆる「性 能 発 注」 と す るこ と 。 なお,事業により,意匠の ような定性的な評価項目を重視する必 要があ る場合には,当該評価項目に係る部分のみを事前に公募等により決定した 上 で ,こ れ を 仕様 と し て提 示 し て行 う こ と も 考え ら れ ま す。 ③ 民間事 業者の 提案準備期間や契約締結に要する期 間などを,十分確保で き る よう 配 慮 する こ と 。 ④ 応 募 す る 民 間 事 業 者 の 負 担 軽 減 に 配 慮 す る こ と 。( 場 合 に よ り , 一 定 の コ ン ペ料 等 を 支払 っ た り, 多 段 階選 抜 を 実 施 する な ど ) - 71 - イ 選定 方 式 PFI法第8条第1項によれば,PFI事業者の選定方法は,公募の方法 等により行 うこと が原則とされており,以下のような 方式が考えられます。 ① 総合 評 価 一般 競 争 入札 地方自治法等の規定に基づき,競争性のある随意契約を採用する必要が 認 め られ な い 場合 , 一 般競 争 入 札に よ る 事 業 者選 定 を 行 いま す 。 一般競争入札においては,民間事業者の有する技術及び経営資源,その 創意工夫等が十分発揮され,低廉かつ良好なサービスが提供されるよう, 価格及びサービスの質その他の条件により選定を行う,いわゆる総合評価 一 般 競争 入 札 方式 を 原 則と し ま す。 その際,民間事業者との意思の疎通を図るための質問・回答等(対話) や,技術提案制度により,民間ノウハウの更なる活用を図る必要がありま す。 ※ 対話について P F I事 業 は ,公 共 施 設 の 管 理者 等 ( 発 注者 ) が サ ー ビス 水 準 を 要求 水 準 書と し て 規定 し , 具 体 的な 仕 様 は 民 間事 業 者 ( 受注 者 ) が 個 別に 提 案 す るい わ ゆ る性 能 発 注 で ある た め , 民 間事 業 者 の 提案 に は 幅 が 生じ る 可 能 性が あ り ます 。 こ の ため , 公 共施 設 の 管 理 者 等は 民 間 事 業者 に 対 し て ニー ズ を 明 確に 伝 え ,応 募 者 から ニ ー ズ に あっ た 提 案 が 提出 さ れ る ため の 工 夫 を する こ と が 求め ら れ るこ と か ら , 実施 方 針 公 表 以降 に お い て, 入 札 又 は 公募 の 際 の 判断 材 料 とな る 事 項に つ い て, 対 話 を 行 うこ と が重 要 とな り ま す。 ※ 技術提案制度について 入 札 段階 に お いて , で き る 限 り民 間 事 業 者の 創 意 工 夫 が発 揮 さ れ るよ う ,「 公 共 工 事 の 品 質 確 保 の 促 進 に 関 す る 法 律 」 に 規 定 さ れ て い る 技 術 提 案 制度 が , PF I 事 業に も 適 用さ れ ま す 。 - 72 - ② 競争 性 の ある 随 意 契約 ( 公 募型 プ ロ ポ ーザ ル 方 式 等 ) 県のみでは,事業目的やニーズを満たすことのできる手法や要求水準等 を設定することが困難であるため,事業スキーム,資金調達スキーム,運 営方法等多面的な観点から幅広い提案を求める必要があり,かつ,地方自 治法等の規定により,随意契約によることができる場合については,企画 競争,公募型プロポーザル等いわゆる競争性のある随意契約によることが 考 え られ ま す 。 公 募 型プ ロ ポ ーザ ル は ,公 募 によ っ て ,民 間 事 業 者 から 提 案 書 を募 集 し , あらかじめ示した評価基準に従って優秀提案書を選定し,その提案書の提 出 者 との 間 で 交渉 を 行 い, 契 約 を締 結 す る も ので す 。 この方式によるメリットとしては,入札方式の場合には,落札後,民間 事業者は,提案書等の変更ができないのに対し,この方式では,民間事業 者 を 決 定 し た 後 も , 変 更 が 可 能 と な る こ と で す 。( 県 の 要 求 水 準 書 等 に つ い て も変 更 可 能) なお,県はWTO政府調達協定の適用団体であることから,随意契約の 可 能 な 範 囲 が ,「 地 方 公 共 団 体 の 物 品 等 又 は 特 定 役 務 の 調 達 手 続 き の 特 例 を 定 める 政 令 」 第 10条 第 1 項に 規 定 さ れて い る ほ か, 地 方 自 治法 施 行 令第 1 67条 の2 第 1 項各 号 の いず れ か の要 件 を 満 た すも の で な けれ ば な りま せ ん 。 そこで,競争性のある随意契約によることとした場合であっても,本指 針で示す基本的考え方や手順等を踏まえ,審査委員会による審査を行うな ど , 透明 性 , 公平 性 , 客観 性 の 確保 に 努 め な けれ ば な り ませ ん 。 ※ 競争的対話方式について 要 求 水準 等 の 作成( 調 整)の ため ,事 業ス キ ー ム,資金 調 達 ス キー ム , 運 営 方法 等 多 面的 な 観 点 か ら幅 広 い 提 案 を求 め る 必 要が あ る 場 合 ,競 争 的 対 話方 式 の 活用 が 考 えら れ ま す。具 体的 には次 の 3 点 が考 え ら れ ます 。 ① 公共施設の管理者等が民間事業者と提案内容の確認・交渉を行 い , その 結 果 に基 づ き 要求 水準 書 等を 作 成 ( 調 整) ② ①の 対 話 終了 後 , 提案 書 の 提出 を要 請 ③ 必要 に 応 じ, 対 話 参加 者 の 絞り 込み ( 3 者程 度) 【留意事項】 P F I 事 業 者 の選 定 方 法 につ い て は , PF I 事 業 実施 プ ロ セ ス に関 す る ガ イド ラ イ ンを 参 考 にし ま す 。 - 73 - 【 総 合評価 一般 競争 入 札と 公募 型プ ロポー ザ ル 方式 の比 較 】 項 契 約 形態 目 総 合 評価 一般 競 争 入札 「 競 争入 札 」 (評価の最も高い事業提案 を行った者を落札者とす る 。) 変 更 不可 性能仕様が容易で,サー ビスの内容等が定期的なも の 評 価 項目 ごとに 数 値化 落札者選定基準の策定, 公表 公 募型プ ロ ポ ーザ ル 方式 「 随意 契 約 」 (評価の最も高い事業提案 を行った者を優先交渉権者 と する 。) 入 札 公告時 の条 件 変更の 余 地あ り 適 し た分野 性能仕様が困難で,サー ビスの内容等が変動的なも の 評 価 基準 評価項目ごとに数値化で きない 項目 があ っ て も可 (ただし,全て数値化して い る場 合 が 多い 。) 審 査 形式等 2人以上の学識経験者の 複数の者からなる審査委 意 見 聴取 が 要件 員 会の 設 置 審 査 基準 数 値 化に よる客 観 的基 準 審査委 員 会の 会議 等 (ただし,審査基準を定め て いる 場 合 が多 い 。) 補 欠 者の設 定 原 則 不可 可 債 務 負担行 為設 定 時期 入 札 公告 前 事業者選定後,契約締結 前 手 続 に要す る期 間 公募型プロボーザル方式 事業者とのやりとりに時 に 比 べ, 比 較的 短 い 。 間を要し,総合評価一般競 争入札方式に比べ,長く時 間 がか か る こと が 多 い 。 - 74 - 【 契 約手続 き のフ ロ ー 図】 < 総 合評価 一般 競 争入 札> < 公 募 型プロ ポ ーザ ル 方 式> ( 債 務 負 担 行 為 設 定 ) 入 札 公 告 手続開始公示(公募) 資 資 格 確 認 申 請 参加資格の確認・通知 入 資 格 審査 ( 事 業計 画 の 概要 に つ いて の 審査も 含 む) 札 格 札 認 申 請 参加資格の確認・通知 提 資格 審査 案 一 次 最 入 確 終 審 査 提 案 二 次 審 査 ( 優 先 交 渉 者 決 定 ) 二段階 審 査を 行う場 合も あ り PFI 事 業 者の 決 定 ,公表 契 約 内 容 交 渉 (債 務負 担行為設定 ) 契 ※ 約 契 約 多 段 階 選抜に つ い て 民間事業者の募集 に当たっては,可能な限 り民間事業者の負担を軽 減するた め,二 段 階 で審 査 を 行うな ど の 多段階 選抜 を行 う こ とも考 えら れま す 。 公募型プロポーザ ル方式による選定の場合 においては,これまでも 二段階審 査は行われてきまし たが,総合評価一般競争 入札においても,資格審 査におい て,事業についての 基本的な考え方,施設の 設計・建設,維持管理及 び運営に ついての考え方,資 金調達及びリスク分担に ついての考え方等を含む 事業計画 の概要について審査 を行い,事業者の絞込み を行うことが可能である ことが示 さ れ て い ま す 。(「 P F I 事 業 に 係 る 民 間 事 業 者 の 選 定 及 び 協 定 締 結 手 続 に つ い て 」 平成15年3月31日付け総行行第43号総務省自治行政局行政課長,総行地第44号総 務省自 治 行 政局 地 域 振興課 長 通 知) - 75 - ※ WT O 政 府調 達 協 定 ① WT O 政 府調 達 協 定と は WTOとは,平成7年 1月1日をもって成立した新しい国 際貿易機関であ る「世界貿易機関」をいい,この世界貿易機関の設立を「世界貿易機関を設 立 す る マ ラ ケ シ ュ 協 定 (「 W T O 協 定 」 と い う 。)」 で 定 め て い ま す 。 こ の W TO協定の附属書4に含まれている政府調達に関する協定を「WTO政府調 達 協 定 」 と い い , 平 成 6 年 4 月 15日 マ ラ ケ シ ュ で 署 名 さ れ , 平 成 8 年 1 月 1 日 か ら適 用 さ れて い ま す。 WTO政府調達協定は ,世界貿易の自由化及び拡大を図り ,世界貿易を規 律する国際的な枠組みを改善することを目的に,協定締結国が,政府調達の 効果的な多角的枠組みの必要性を認め,政府調達に関して,国内業者の保護 及び国内外の業者間の差別を行わず,手続等を透明なものにするなど,相互 主義に基づきこの協定を拡充及び改善し並びに適用範囲を拡大して,この協 定 締 結国 の 拡 大を 図 っ てい く こ とを 目的 と して い ま す 。 この協定は,国,都道 府県が行う一定額以上の全ての物品 と建設工事や設 計 ・ コン サ ル ティ ン グ 業務 な ど 一定 のサ ー ビス の 調 達 に つい て 適 用 され ま す 。 ② WT O 政 府調 達 協 定と P F I事 業 契約 PFI契約は,公共施 設等の建設のみならず,維持管理及 び運営をも内容 とするものです。このため,政府調達協定対象の役務と対象外の役務の双方 を 包 含す る 混 合的 な 契 約と な る 可能 性が 高 くな り ま す 。 こうした混合的な契約 においては,主目的である調達に着 目し,全体を当 該主目的に係る調達として扱うこととされており,主目的が物品等又は協定 の対象である役務の調達契約であって,当該契約の全体の予定価格(主目的 以外の物品等及び役務に係る価額を含む)が適用基準額以上となる場合に, 特 例 政 令 (「 地 方 公 共 団 体 の 物 品 等 又 は 特 定 役 務 の 調 達 手 続 の 特 例 を 定 め る 政 令 」 平 成 7 年 政令 第 372号 ) の 適 用を 受 け る ( 特定 調 達 契 約と い う ) こと と さ れ てい る 点 に留 意 す る必 要 が あり ます 。 ③ 政府 調 達 協定 の 適 用対 象 基 準額 ( 適 用期 間 : 平成 26年 4月 1 日 ∼ 28年 3 月31日 の 間 ) 契 約 内 容 物 品 等の 調 達 契約 準 金 額 2千 7 百 万円 特 定 役務 の う ち建 設 工 事の 調 達 契約 特 定 役務 の う ち建 築 の ため の サ ービ ス , エ ンジ ニ ア リ ン グ ・ サー ビ ス その 他 の 技術 的 サ ービ ス の 調 達契 約 特 定 役務 の う ち上 記 以 外の 調 達 契約 ④ 基 2 0億 2 千 万円 2 億円 2千 7 百 万円 特定 調 達 契約 に 関 する 主 な 制限 ・特定調達契約に係る一般競争入札に参加する者につき,当該入札に参加す る者の事業所の所在地 に関する必要な資格を定めることが できない(特例 政 令 5条)。 ・ 最 低制 限 価 格制 度 の 禁止 ( 特 例政 令9条 ) ・随意契約の要件は,①緊急の場合②競争入札に付し入札者がいないか,再 入札においても落札者 がいない③落札者が契約を結ばない ④芸術品や特許 等調達相手が特定でき る⑤既契約の関連調達の場合などに 限られる(特例 政 令 10条 )。 - 76 - (2) 入札公 告, 民 間事 業者 への 説明 等 の実 施 , 質 問受付 ・ 回答 入 札 につ い て 公 告す る と とも に , 民間 事 業 者か ら 質 問 を 受け 付 け, 疑問 点 を 解 消す る必要 が あり ます 。 ア 総合評価一般競争入札を行うに当たっては,入札に参加する者に必要な資格, 入札の場所及び日時その他入札について必要な事項等を公告するとともに,総合 評価一般競争入札の方法による旨及び総合評価一般競争入札に係る落札者決定基 準についても公告する必要があります。 イ 入札説明書,要求水準書及び契約書案をホームページ等で公表するとともに, 入札に参加しようとする民間事業者に配布します。 ウ 必要に応じて,入札説明会を開催し,民間事業者に対する説明等を行い,公告 した内容に対する疑問点を解消するために,民間事業者から質問,意見を受け付 け,回答を行います。 エ 質問・回答に当たっては,民間事業者が充分な検討が行えるよう入札公告から 質問受付期限までの期間を余裕を持って確保する必要があります。また,県が質 問に対し充分な検討ができるよう質問提出期限から回答までの期間についても同 様の対応が必要です。 オ 質問・回答の方法は,公平性,透明性を確保するため,全て書面で行い,その 内容は民間事業者独自の技術,ノウハウ等に係る事項を除き,原則として全ての 民間事業者に公表することが必要です。 (3) 入札参 加資 格 の確 認 民 間 事業 者 か ら 入札 参 加 資格 確 認 申請 書 の 提出 を 受 け , 資格 審 査を 行い ま す。 民間事業者から,当該事業の入札への参加表明書と資格確認申請書の提出を 受 け 付け ま す。 提出を受けた資格確認申請書をもとに,応募者が,入札説明書に記載してい る 応 募者 と して 備え る べき参 加 資格 要件を 満た して いる ことを 確 認 します 。 資 格不 備 の 場合に は , 失格 と し ます。 資 格審 査 の 結果は , 応 募者 に 通 知する と と もに公 表 します 。 - 77 - (4) 入札 入 札 参 加 資 格 の 確認 を 得 た 民間 事 業 者 か ら, 入 札 書 ,提 案 書 等 を受 け 付 け ます。 入札参加資 格の確 認の通知を受けた応募者から,入札 書,提案書,設計図書 等 の 提出 を 受 け付 け ま す。 応募者の立 会いの もと,入札書の開札を行います。入 札価格が,予定価格を 超 え てい る 場 合に は , 落札 で き ませ ん 。 ※ 予定 価 格 につ い て 通常,予定価格は,現在価値に換算する前の名目値で設定しますが,①PS Cをベースとする手法と,②特定事業選定時のPFIのLCCをベースとする 手法の2通りの考え方があります。どちらの方式を使用すべきかガイドライン 等では明示されておらず,現状では個々の事業ごとに自治体が判断する必要が ありますが,いずれにしても,競争原理の適切な機能と,民間事業者からより 付 加価値 の 高 い 提 案を 得 る た め の環境 の整備 が重要 で す。 (5) 審査 委 員 会 の開 催 ( 第3 回 ) 審 査 委員 会 を 開催 し , 落札 者 決 定 基準 に 従い , 優 秀 提 案 者を 選 定 し ます 。 審査委員会 (第3 回)を開催し,民間事業者からの提 案書について審査しま す。 審査委員会 では, 公平性,透明性,客観性を確保した 中で,入札公告時の落 札者決定基 準に従 って,民間事業者からの提案書 や入札金額について,点数に よ る 総合 評 価 を行 い , 県に と っ て優 秀 な 提 案を し た 者 を 選定 し ま す。 【 総 合評 価 方 式の 比 較 】 除 算 方式 概要 評 価 のポ イ ン ト 加算 方 式 提 案 内 容 の 性 能 点 を 価格 で 割 性能と価格の配分を事前に決 っ て 出 た 点 数 を 総 合 評 価点 と す 定 ・ 公 表 し てお き , そ れ ぞ れ を る 方 式 で , 点 数 が 最 も 高い も の 加 え て 総 合評 価 点 とす る 方 式 。 を 選 定す る 。 [ 総 合評 価 点 =性 能 点 /価 格 ] [ 総 合 評 価点 = 性 能点 + 価格 点] コ ス トパ フ ォ ーマ ン ス 提案 内 容 と審 査 上 の重 点 項 目 メ リ ット コ ス ト ( 単 価 ) 当 た りの 性 能 総合評価点に価格が及ぼす影 の 割 合が 明 確 にな る 。 響 を 調 整 でき る 。 デ メ リッ ト 総 合 評 価 点 は 価 格 に 依存 す る 価格と性能の総合的な評価と と こ ろが 大 き い。 い う 意 味 にお い て 難が あ る 。 「 高 コ ス ト 高 性 能 」 の提 案 と 除算方式に比べ,総合評価点 「 低 コ ス ト 低 性 能 」 の 提案 の 差 に 差 が で にく い 。 別 評 価が 難 し い。 - 78 - (6) 落札者 の決 定 ・公 表 審 査 委員 会 に お ける 審 査 結果 を も とに , 落 札者 を 決 定 し ,そ の 結果 を公 表 し ま す。 事業所管課は,審査委員会における審査結果をもとに,落札者を決定し,そ の 結 果を 速 やか に公 表 します 。 公表に当たっては,公表することにより,民間事業者の権利,競争上の地位その他 正当な利益を害するおそれのある事項を除き,選定過程の透明性を確保するために必要 な資料(審査の経過,審査方法(審査項目と審査基準),審査結果等)を併せて公表し ます。 最終的に,応募者がいない場合,あるいは,VFMの達成が見込めない等の理由に より,当該事業をPFI事業として実施することが適当でないと判断した場合には,落 札者を選定せず,特定事業の選定を取り消すことが必要です。 なお,民間事業者の募集に当たっては,そのような場合があり得ることを募集の際 にあらかじめ明示しておくことが必要です。 特定事業の選定を取り消した場合,判断の透明性を確保するためにその理由を所要 の資料とあわせて,速やかに公表します。 - 79 - 5 契 約 締結 段 階 (1) 契約書 の作 成 事 業 所管 課 は , 選定 事 業 者と 契 約 条件 の 交 渉を 行 い , 契 約書 の 条文 の文 言 を 明 確化 する必 要 があ りま す 。 落 札者 が 決 定した 段 階 で, 契 約 書の詳 細 を 決定し ま す。 契約書の作成に当たっては,事前に公表した契約書案に基づき,契約の細部 の調整を行い ますが,当事者間の権利義 務関係を取り決めるもので すから,で きるだけ曖昧 さを避け,記載内容を具体 的かつ明確に取り決める必 要がありま す。 総合評価一般競争入札の場合では,入札公告時において公表された契約書案 について,事 業者選定後,交渉によりそ の内容を変更することはで きませんの で,契約書案 の内容を変更しない範囲内 で,要求水準を達成するた めの事業の 実施手順や民 間事業者から提案のあった 項目に関する契約の細目な どを交渉す る こ とに な りま す。 また,公募型プロポーザル方式では,条件規定書を補完し,民間事業者の提 案を取り込ん でいくために契約交渉を行 います。ただし,選定され なかった他 の民間事業者 との間で不公平な取扱いに ならないよう,条件規定書 で定められ た 基 本的 な 事項 につ い ては, 変 更す べきで はあ りま せん 。 【留意事項】 ・ 総務省からは, 「他の競争参加者が当該落札者よりもより有利な条件や価格を提 示することが明らかに可能となる条件変更を行うことは,競争性確保の観点から は許容できないが,入札前に明示的に確定することができなかった事項について, 入札前に公表した契約書案,入札説明書等の内容について,契約締結時に変更が 一切許されないものではない。」という考え方が示されています。(「 P F I 事 業 に 係 る 民 間 事 業 者 の 選 定 及 び 協 定 締 結 手 続 に つ い て 」 平成15年3月31日付け 総行行第43号総務省自治行政局行政課長,総行地第44号総 務 省 自 治 行 政 局 地 域 振 興 課長通 知) ・ PFI事業の契約締結については,契約に 関するガイドラインを参 考に し ます 。 - 80 - (2) 仮契約 の締 結 ,議 会の 議決 (契 約 事案 ) 施 設 等の 買 入 れ 又は 借 入 れに 要 す る経 費 ( 維持 管 理 , 運 営に 関 する 経費 を 除 く 。) が 5 億 円 以 上 と な る P F I 事 業 に つ い て は , 事 業 所 管 課 と 選 定 事 業 者 と の間 で 仮 契 約を 締 結 し た上 で , PF I 事 業契 約 の 締 結 議案 を 議会 に提 出 し , その 議決を 得 る必 要が あ り ます 。 P F I 法 第 12条 及 び 同 法 施 行 令 の 規 定 に よ り , 県 に お い て は , P F I 契 約 の 予定価格の金 額のうち維持管理,運営等 に要する金額を除いた施設 等の買入れ 又は借入れの 金額が「5億円以上」とな るPFI契約については, あらかじめ 議 会 の議 決 を経 なけ れ ばなり ま せん 。 ま た , P F I 契 約 に 関 す る 議 決 を 経 た 場 合 は , 地 方 自 治 法 第 96条 第 1 項 第 5 号(工事請負 契約)及び第8号(財産の 取得)の規定に基づく議決 は不要とさ れ て いま す。( 自治 省 自治 大臣 官房 企 画室 平 成12年5 月 2日 回 答 ) なお,選定事業者は,仮契約締結前までに,当該PFI事業に関する業務を 目 的 とす る 特定 目的 会 社(S P C) を設立 しま す。 【 PF I 法 】 第12条 ( 地 方公 共 団 体の議 会 の 議決) 地方公共団体は,事業契約でその種類及び金額 について政令で定める基 準に 該当するものを締結する場合には,あらかじめ,議会の議決を経なければなら ない。 【 PF I 法 施行令 】 民 間 資金 等の活 用 によ る公 共 施 設等 の 整 備等の 促 進 に関 す る 法律( 以 下「 法」 と い う 。) 第 12条 に 規 定 す る 政 令 で 定 め る 基 準 は , 契 約 の 種 類 に つ い て は , 次 の表の上覧に定める ものとし,その金額につ いては,その予定価格の 金額(借 入れにあっては,予 定賃借料の総額)が同表 下欄に定める金額を下ら ないこと とする 。 千円 都 道府 県 法 第 二条 第 五項 に規 定 する選 定 事業 者 が 建 設す る 同条 第一 項 に規定 す る公 共 施 設 等( 地 方公 共団 体 の経営 す る企 業 で 地 方公 営 企業 法( 昭 和二十 七 年法 律 第 二 百九 十 二号 )第 四 十条第 一 項の 規 定 の 適用 が ある もの の 業務に 関 する も の を 除く 。)の 買入 れ 又は 借入 れ 5 0 0 ,00 0 地 方 自 治 法 ( 昭 和 22年 法 律 第 67号 ) 第 252条 の 19第 1項 に 規 定 す る 指 定 都 市( 以 下こ の 表 にお い て「 指 定都市 」 と いう 。) 3 0 0 ,00 0 市 (指 定都 市 を除く 。) 1 5 0, 00 0 町村 5 0 ,00 0 ※ この場合におけ る金額は,PFI契約の 予定価格の金額のうち維 持管理, 運 営 等 に 要 す る 金 額 を 除 い た 金 額 に よ り 判 断 す る 。(「 地 方 公 共 団 体 に お け る P F I事 業につ い て」 平成 12年 3月 29日 付け自 治 事 務次 官 通 知) - 81 - (3) 契約の 締結 事 業 所管課 は, 議会 の 議決 後 ,PF I 事業 者と 本 契約を 締 結し ます 。 議会での議決後,PFI事業者(SPC)とPFI事業に係る契約を締結し ます。 原則として,締結した契約は公表することとしますが,公表することにより 民間事業者の 権利,競争上の地位,その 他正当な利益を害するおそ れのある事 項については ,あらかじめ民間事業者と 合意の上,これを除いて公 表します。 なお,PFI事業者(SPC)が,国又は地方公共団体の出資又は拠出に係 る法人(当該 法人の出資又は拠出に係る 法人を含む)である場合に は,県は, 具体的かつ明 確な責任分担の内容を,P FI事業者(SPC)の利 害関係者に 対し明らかに し,透明性を保持するよう ,特段の配慮をする必要が あります。 ※ 直 接 協 定(ダ イ レ クト ア グ リー メント ) の締 結 PFI事業者(S PC)の経営が行き詰ま った場合,県としては事 業破綻の リスクを軽減するこ とを,金融機関としては ,事業破綻時の貸出金の 回収不能 リスクを軽減するこ と等を目的として,県と 金融機関との間で直接協 定を締結 する場 合 が あり ま す 。 県 と 金融 機関と の 間で 締結 さ れ る主 な 事 項は次 の と おり で す 。 ① 民間 事業者 の 事業 実態 や 経 営状 態 等 に関す る 相 互の 通 知 義務 ② 経営 立て直 し に関 する 介 入 権( Step-in-Right) の 認証 ③ スポ ンサー 企 業保 有株 式 の 処分 ④ PF I事業 者 (S PC ) が 有す る 債 権の譲 渡 , 質権 設 定 - 82 - 6 事 業 の実 施 段 階 (1) 事業の 実施 , 事業 の監 視( モニ タ リン グ ) P F I事 業 者 ( SP C ) が事 業 を 実施 し , 事業 所 管 課 は ,事 業 の監 視( モ ニ タ リン グ)を 行 い, サー ビ ス 提供 の 対 価を支 払 っ てい き ま す。 ア 事業 の 実施 契約締結後,PFI事業者(SPC)は契約に基づき事業を実施します。 イ 事業 の 監視 (モ ニ タリン グ ) 事業所管課は,施設の設計,建設,維持管理,運営の各段階において,契 約 に定 め た 範囲内 で , 下記 の よ うな事 業 の モニタ リ ング等 を行 い ま す。 ① P F I 事業者 ( S PC ) に より提 供 さ れる公 共 サービ ス水 準 の 監視 ② PFI事業者(SPC)からの契約の義務履行に係る事業の実施状況報 告の定 期 的 な提出 ③ PFI事業者(SPC)からの公認会計士等による監査を経た財務の状 況についての報告書(PFI事業の実施に影響する可能性のある範囲に限 る。) の 定 期的な 報 告 ④ PFI事業の実施に重大な悪影響を与えるおそれがある事態が発生した ときには,PFI事業者(SPC)に対し報告を求めるとともに,第三者 である 専 門 家によ る 調査の 実 施 と, そ の 調 査報 告 書 の提 出 を求 め るこ と また,モニタリングにより,PFI事業者(SPC)の提供するサービス が,県の要求水準に達しているかどうかを評価,確認し,契約書に定める範 囲 内で , そ の結果 を サ ービ ス 料 に反映 さ せ て,対 価 を支払 いま す 。 ウ リス ク が顕 在化 し た場合 の 対応 事業所管課は,事業期間中に顕在化したリスクについては,契約に従い, 速 やか に 対 処しま す 。 また,契約に記載されていない想定外のリスクが顕在化した場合には,速 やかにPFI事業者(SPC)と協議を行い,対応を検討することが必要で す。 【留意事項】 モニタリングについては,モニタリングに関するガイドラインを参考に し ます 。 - 83 - 7 事 業 の終 了 段 階 (1) 事業の 終了 , 事後 評価 契 約 に定 め る 事 業の 終 了 時期 の 到 来に よ り ,P F I 事 業 が終 了 し, 事業 所 管 課 は, 問題点 や 課題 等に つ い て事 後 評 価を行 い ま す。 ア 事業 の 終了 契約に 定 め る事業 の 終了時 期 の 到来 に よ り ,P F I 事業 は 終了 し ます 。 この際,土地等の明け渡し等あらかじめ契約で定めた資産の取り扱いに関 す る措 置 を ,適切 に 講 じま す 。 イ 事後 評 価 事業所管課は,PFI事業終了時に,発生した問題とその対応方法,県の 事業運営,管理体制の問題点とその改善方法,当初の事業開始時点から変化 し た内 容 等 ,今後 の 課 題等 に つ いて事 後 評 価を行 い ます。 ウ 事業 継 続の 可能 性 検討 契約において,事業終了時の選択肢として事業の継続を定めている場合, P FI 事 業 者との 再 契 約を 行 う ことも 可 能 となり ま す。 その際,新 た に公 募( 公告)を 行うな ど の 様々な 選 択肢が 考 え られる た め, 事業開始前に,あらかじめ契約において,具体的に取り決めておくことが必 要 です 。 - 84 -