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ハワイ調査 - 立教大学
【2004年度調査報告】 ハワイ調査報告 (1)日程:2004年7月22日~29日 (2)調査参加者 :荒野泰典(立教大学)、後藤明(同志社女子大学)、千石英世(立教大学)、弘末雅士(立教大 学)、深津行徳(立教大学)、藤田明良(天理大学)、真栄平房昭(神戸女学院大学)、山浦清(立教大学)、及 川将基(立教大学大学院) 泉千尋(沖縄海洋文化館)、牧野章子(緑政計画研究所) (3)調査報告: 7/22 7/22 成田 21:10 NW022(ノースウエスト航空)-7/22 9:25 7/22 関空 21:00 NW016(ノースウエスト航空)-7/22 10:05 ホノルル着 ホノルル着 11:00 過ぎに合流。タクシーでパゴダホテルへ。 12:00 ハワイ大学。ハミルトン図書館訪問: 4F アジア関連のフロアを中心に視察。 16:00 バスまたはタクシーで宿に戻る。 18:00 夕食(アラモアナ・ショッピングセンター)。 7/23 9:00 ビショップ博物館( Bishop Museum )1889年チャールズ・ビショップ(Charles Bishop)によって妻のパウ アヒ王女への追悼記念として建てられる。ハワイの美術工芸品とパウアヒ(Pauahi)が相続した王家伝来の美 術工芸品を収集するものとして設立された。また、この場所はパウアヒによって建てられたカメハメハ・スクー ルの故地でもあり、ビショップ・ホールはその当時以来残る唯一の建築物でもある。現在は、太平洋域、特 にポリネシアにおける人文・自然分野の世界有数の研究拠点である。 篠遠喜彦先生訪問。 1924年 生まれ。太平洋考古学の大家。その研究と御人柄の一端については荒俣 宏氏との対談『楽園考古学』に垣間みられる。自己紹介の後、科研の趣旨を代表の荒野が説明。キャッス ル館の収蔵庫にて遺物を見せて頂く。鯨の骨を使った武器(パツ patu)、釣針など。篠遠先生の研究室で、 遺物のレプリカを見学。 研究室でみせていただいたレプリカのパツは、1973年フアヒネ島(仏領ポリネシアのソサイエティ諸島の一 つ、タヒチの北西 約170km)のファレという町の近くでバリハイ・ホテルの建設中に出土したもの(発掘は篠遠 先生を中心に行われた)。この発見まで、パツはニュージランドのマオリでしか確認されていなかった。大型 の双胴カヌーの一部の発見とあわせて、ポリネシアにおける人の移動を考える上でも考古学的に貴重な発 - 89 - 見であった。ニュージーランド、マルケサス、ポリネシアの文化の類似性、人の移動を考える上で重要な遺 跡である。 写真(1) ビショップ・ホール前にて篠遠先生と 12:50 昼食後展示を見学。 13:30 まで。 14:30 プランテーション・ビレッジ( Hawaii Plantation Village Waipahu )。 1976 年に構想され 1982 年に完 成し 92 年に一般公開が始められる。ポルトガル、プエルトリコ、日本、フィリピン、韓国、それぞれの家屋に 生活用具などを展示する。 1900-30 年代のプランテーションの居住空間を野外展示に再現。案内は日系2 世の Tak Takamura さん。 19:00 夕食、パゴダホテルのレストランで篠遠先生夫妻をお招きして。 7/24 10:00 イオラニ宮殿( Iolani Palace )日本語ガイドツアーを予約。 カメハメハ大王像。この像は複製で、オリジナルはハワイ島コハラにある。大王の生誕地であるカパアウ (Kapaau)に立っており、ホノルルにある大王像のオリジナル。オリジナルはパリで製作されたが、輸送中に船 がホーン岬付近で沈没してしまう。のちに引揚げられハワイ島のカパアウに建立された。 10:30 ルナリロ王( Lunalilo 1835-74 )の墓、1873年に選挙で選ばれ 6 代目の王となった人物の墓。 カワイアハオ教会( Kawaiahao Church 通称 The Stone Church )。壁材にサンゴを使用。1842年ホノル ルで最初のプロテスタント教会として建築される。 1837 年まで利用されていた草ぶきの建物に変わるものと して建築された。 弘末雅士氏・牧野章子氏合流。 - 90 - ミッション・ハウス博物館 Mission House Museum 宣教使の到着直後(1821 年)と、 1850 年代、この二点を 軸に展示を構成している。ふたつの模型を中心に写真パネルを展示。 12:30 イオラニ宮殿:1882年、ハワイ王朝7代目のカラカウア王のときに完成。 8 代目王リリウオカラニ女王 が 1891年 に王位継承者となったが、 1893年 に起きたクーデターによって王位を剥奪され、その 2年後に宮 殿正面2階の寝室に8カ月の幽閉の日々を送る。その後、宮殿は臨時政府(1893-1894年)、共和国政府(1 894-1898年)、アメリカ合衆国準州政府(1898-1959年) の行政ビル、1959以降は現在の州庁ビルが隣接の 敷地に完成した1969年まで州庁舎として使われていた。その後、総工費700万ドル以上と9年間の歳月をか けた復元工事が1978年に完了してからは一般公開されていてる。地下には王冠や宝石などを展示したギャ ラリーがある。ここにも鯨の骨を使ったレイ(Lei Niho Palaoa)があった。 13:45 港へ歩いて移動。 Merchant St. Bishop St.を通り、アロハタワーマーケットプレイスへ。昼食:アロハ タワーマーケットプレイス 15:45 ハワイ・マリタイムセンター( Hawaii Maritime Center )。ハワイ、ホノルルと海事関連の展示が中心。 捕鯨関連の展示、ハワイ州立文書館の捕鯨関連の資料を展示(捕鯨船の入港税の記録、上陸記録、領収 書、個人的な購入記録、ハワイ人の死亡届など)、クック関連の展示、ハワイ航路と船旅、ハワイの新聞など についての展示、ハワイ居住民に関する展示などがあった。ザトウクジラの骨格( 体長 13.5メートル)が展 示室中央からつり下げられている。 1986年 にカホオラベ島の沿岸に打ち上げられたもの。日本語の解説テ ープを貸し出してくれる。20世紀の組織的な捕鯨がはじまってから鯨の数が著しく減少したと解説する。 18:30 夕食(韓国料理) 7/25 9:00 10:00 ハワイ真言宗別院 ホテルの近くの真言宗の寺院。 ビショップ・ミュージアム。捕鯨関連展示を中心にじっくりと展示を見る。欧米の捕鯨船の補給基地と して発展したホノルルに関する展示。鯨の骨を利用した装飾品の展示(Lei Niho Palaoa <鯨の歯のレイの 意、首長たちの地位と権威の象徴する装飾品であった。フック状に成形されているのがハワイで特徴的>な ど。ハワイのもののほかに、ニュージーランド、グアム、キリバルなど太平洋周辺の地域で作られた鯨骨製の 武器などが展示されている。 14:00 チャイナタウン。中華街というよりも、ヴェトナム系が多いとのこと。 1800年(明治33)にペストのため に焼き払われており、現在残るのはそれ以降の町並み。 18:00 夕食(深津先生のバーベキューパーティ)。 7/26 10:30 パンチボウル(National Memorial Cemetery of The Pacific)。軍務で死亡した軍人を埋葬する国営 墓地。 第2次世界大戦 、朝鮮戦争に関するパネル展示有り。教会施設は、キリスト教・仏教・ユダヤ教の複 合施設。日系人の墓がかたまっている一角あり。 - 91 - 11:15 王家の墓(ロイヤル・モザリアム Royal Mausoleum)、 Nuuanu St.を北に行ったところにある。1865年 に、イオニラパレスの近くより移される。2代目から5代目までの王の墓、カラカウア、リリウオカラニ、チャール ズ・ビショップ、ジョン・ヤングの墓がある。 13:30 ドール・プランテーション 14:30 プウ・オ・マフカ・ヘイアウ(Pu'u O Mahuka Heia ヘイアウ=ハワイの神殿遺跡)。オハフ島で最大級。 一面パイナップル畑が続く。 1792年、バンクーバー率いるイギリス船ダイダロス号がワイメア沖に停泊した際、水を求めて上陸した 3人の 船員が現地の住民に捕まり、生贄にされている。1965年国定史跡に指定。 写真(2) プウ・オ・マフカ・ヘイアウ 15:30 カフク砂糖工場( Kahuku Sugar Mill ) 16:00 ポリネシアカルチャーセンター( Polynesian Culture Center ) ハワイ、サモア、フィジー、トンガ、マルケサス、ニュージランド、タヒチのビレッジが川に沿って点在してい る。かなり大きな体験型・学習型のアミューズメント施設。 19:00 夕食(ベトナム料理) 7/27 7:00 集合 8:43 ホノルル発(ハワイアン航空 HA520 )→ 9:20 マウイ島カフルイ着 10:30 イオア渓谷( Iao Valley ) カメハメハ1世がマウイ島を征服するときに、大きな戦いの行われた場 所。 11:00 ベイリー・ハウス博物館 ( Bailey House Museum )地元の歴史協会がある。書籍を購入。 12:00 アレキサンダー・アンド・ボールドウィン砂糖博物館 ( Alexander & Baldwin Sugar Museum )プラ ンテーション労働についての展示。日本、中国、韓国、フィリピン、ポルトガル、ロシアなどからの移民あり。 - 92 - 砂糖製造の過程。 12:40 カアナパリ( Kaanapali )のホエーラーズビレッジ( Whalers Village )リゾート地といった風情のなか のショッピングモールのなかに博物館がある。アメリカ式捕鯨の総合的な展示。捕鯨船での生活。捕鯨の寄 港地としてのラハイナ、捕鯨の終焉、写真と実物を使っての展示。スティック状の機械で番号を押して解説 を聞きながら展示を見る。日本語を始め4ヶ国語に対応。 15:30 日系墓地へ。明治末~昭和20年代まで。出身地域は広島、山口、福岡、熊本が多い。 16:30 ラハイナ( Lahaina ) 歴史的景観保存地域になってお り、古い町並みが残る。宿泊した場 所はパイオニアイン。 1900年 創業 の旅館。 付近の史跡;カルタゴ号が停泊し ている辺りやその北側が捕鯨時代 の港。港はすっかりヨットのマリー ナになっていて往時をしのぶよす がは港外に停泊している復元帆船 カルタゴ人二世号 (Carthaginia nII) 。 19世紀 にニューイングラン ドからホーン岬を回って宣教師を太 写真(3) ライハナ港 平洋各地に送った帆船の形式ブリッグ。 1920年ドイツで作られたレプリカ。写真(3)は港の防波堤側からパイ オニア・インと灯台をとったもの。 18:30 夕食 7/28 帰国へ。 カフルイ 10:22 HA145(ハワイアン航空)- 10:56 ホノルル着 7/28 ホノルル 12:30 NW021-成田 7/29 15:30 7/28 ホノルル 14:30 NW015-関空 7/29 18:25 本調査では、とくに以下の方々にお世話になりました。記して感謝申し上げます。 篠遠喜彦先生、ケネス・コロキ氏、トム・カヤ氏 なお本調査で購入した書籍類については、2004年度購入書籍リストを参照のこと。 参考文献 後藤明、松原好次、塩谷亨編著『ハワイ研究への招待――フィールドワークによる新しいハワイ像』、関西 - 93 - 学院大学出版会、二〇〇四年 篠遠喜彦・荒俣宏『楽園考古学』、平凡社、二〇〇〇年(初版一九九四年) 篠遠喜彦・荒俣宏『南海文明グランドクルーズ』、平凡社、二〇〇三年 猿谷要『ハワイ王朝最後の女王』、文芸春秋、二〇〇三年 山中速人『ハワイ』、岩波書店、一九九三年 (文責 - 94 - 及川将基)