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法人税 (特に税務会計) と企業会計の相互関係

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法人税 (特に税務会計) と企業会計の相互関係
法 人税(特 に税 務会 計)と 企業 会計 の相 互関係(統 合 か別 の 道か ∼)
法 人税(特
に税 務 会 計)と 企 業 会 計 の相 互 関係
(統合 か別 の 道 かr)
川
目
次
田
剛
しか し、 近 年 に お け る商 法 改 正 及 び会 計 ビ ッ グバ ン等 に
よ る企 業会 計 の 激 変 等 に よ り、 両 者 の 間 に微 妙 な き しみ が
は じめ に
生 じ始 め て い る。
1.法
人 税 へ の公 正 妥 当 な会 計 処 理 基 準 規 定 の 導 入
2.そ
の 後 の 流 れ 及 び最 近 生 じて い る問 題 点
(1)リ
ー ス取 引'て
(2)デ
リバ テ ィ ブ 取 引
そ こ で 、 本 稿 で は 、 両 者 の 関 係 に つ い て従 来 の 経 緯:、及
び 最 近 の動 き等 をふ ま え つ つ 、 今 後 に お け る方 向 等 に つ い
若 干 の考 察 を加 えて み る こ とと した い 。
(3)不 良側 観 理1.法
(4)金 庫株
(5)税
効 果会計
(6)株
式交換
人 税 へ の 公 正 妥 当 な会 計 処 理 基 準
規 定 の導 入
法 人 税 は 、 国 税 と し て 国税 が 導 入 さ れ た 明 治32年(1899
(7)'連 結 納 税 制 度 の 採 用
3.法
人 税 と企 業 会 計 との今 後 の 関 係(あ
年)以
るべ き姿 を求 め
来 、 長 い間 、 個 人 所 得 税 と同 じ く財 産 法 的 な 考 え 方
に よ り課 税 標 準 の 計 算 が 行 わ れ て き た。 特 に 、 第 二 次 大 戦
て)前
に お い て は 、 課 税 公 平 等 の 原 則 か ら、 民 商 法 に依 存 した
「権 利 確 定 主 義 」 的 な考 え が そ のベ ー ス と な っ て い た。注2
は じめ に
そ の ため 、所 得 の算 定 に あ た って も、 例 えば 民 法 、 あ る
い は 商 法 な ど法 律 の分 野 で どの よ う に取 り扱 わ れ て い る か
法 人 税 の課 税 標 準 は 、 原 則 と して 各 事 業 年 度 の所 得 で あ
が 、 法 人 の所 得 計 算 に お い て も極 め て重 要 な ポ イ ン トと さ
る(注1>。
そ して 、 その 計 算 は 、企 業 会 計 に よ っ て算 出 され る
れ て き た。
利 益 をベ ー ス と しつ つ 、 それ に所 要 の 調 整 又 は修 正 を加 え
しか し、 第 二 次 大 戦 後 、 公 開企 業 を 中 心 と した会 計処 理
た と こ ろ で 計 算 す る こ と とさ れ て い る。(法 人 税 法21条 、22の
あ り方 につ い て 、 経 済安 定 本 部 を 中心 に議 論 が な され 、
条)注1昭
和27年6月
また 、 各 事 業 年 度 の 収 益 及 び 費 用 、 損 失 の 計 算 に あ た っ
て は 、 「一 般 に 公 正 妥 当 と認 め ら れ る会 計 処 理 の 基 準 」に 従
っ て 計 算 さ れ る こ と とな って い る。(同 法22条 第4項)そ
に は 同本 部 の 企 業 会 計 基 準 審議 会 か ら、「税 法
と企 業 会 計 原 則 との 調 整 に 関 す る意 見 書(小
委 員 会 報 告)」
が 公 表 され た。注3
こ で は 、「企 業 の 損 益 計 算 に お い て 算 定 され る毎 期 の 純
こ の よ うに 、 現 行 の 法 人 税 は、 企 業 会 計 と密 接 な 関 係 を
利 益 と租 税 目的 の ため に 算 定 され る課 税 所 得 との 間 に 差 異
持 つ 形 で 成 り立 っ て い る。 そ の た め 、 法 人税 の 課 税 標 準 を
の 生 じず る こ とは 、 実 際 に お い て は 免 れ な い。」注4としな が
計 算:する会 計 、 い わ ゆ る税 務 会 計 と称 さ れ る分 野 も、 企 業
ら も、「公 正 妥 当 な 会 計 原 則 に従 っ て 算 定 さ れ る企 業 の純 利
会 計 をベ ー ス に しつ つ 、 そ れ を一 部 修 正 す る形 の もの と し
益 」 は 、 「課 税 所 得 の根 幹 」 をな す もの で あ り、 「税 法上 に
て 認 識 され て きた 。
お け る 企 業 の所 得 概 念 」は、 「企 業 の 利益 か ら誘 導 さ れ た も
(注1)そ
の ほか、① 各 連結事 業 年度 の連 結所 得 に対 す る法人税 、② 特定 信託 の所 得 に対 す る法 人税 、③ 退職 年 金等 積立 金 に対 す る法
人税 、④ 清 算所得 に対す る法 人税 が あ る。
注2こ
注3こ
の 調整過 程 は 、法人 税 申告書 別表4及 び別 表5に よって行 わ れて い る。
の 辺の経 過 の詳 細 につ いて は、税 務研 究会 「戦後 法人税 制 史」 が要領 良 くま とめて い る。
注4昭
和26年6月16日 付 、 経済安 定 本部 企業 会計 基 準審議 会(企 業会 計審議 会 の前 身)中 間報告 「税 法 と企 業会 計 原則 との調整 に関
す る意 見書(小 委 員会 報 告)」
(3)MBSReviewNo.
MBSReviewNo.]
の で あ る こ と を認 め な け れ ば な らな い 。」と して 、 税 法 に お
け る所 得 計 算 の 基 本 概 念 も、 突 極 に お い て一 般 に公 正 妥 当
と認 め られ る会 計 原 則 に 根 拠 を求 め な け れ ば な ら な い 、 と
の 立 場 が 明 らか に され た。
い よ う、 次 の よ うな措 置 を検 討 す るこ とが 必要 であ る。注9」
また 、 そ こで は 、 具 体 的 提 案 と して 、 次 の 様 な提 案 が
な され て い た。
「課 税 所 得 は 、 本 来 、 税 法 、通 達 とい う一 連 の 別 個 の
そ の う え、「商 法 で税 法 と企 業 会 計 原 則 との 調 整 は短 時 日
体 系 の み に よっ て 構 成 され る もの で は な く、 税 法 以 前 の
に は 解 決 が 困 難 で あ るが 、 将 来 と も更 に 関 係 者 間 で実 際 的
概 念 や 原 理 を前 提 と して い る とい わ ね ば な ら な い。 絶 え
調 整 に つ い て研 究 す る よ う求 め た い。」 との 提 案 が な され
ず 流 動 す る社 会 経 済 事 象 を 反 映 す る 課 税 所 得 に つ い て
た 。注5は
、 税 法 独 自の 規 制 の加 え られ るべ き分 野 が 存 在 す る こ
企 業 会 計 原 則 に お け る こ の よ うな 立 場 は 、 商 法 に も徐 々
に 反 映 され る よ うに な っ て い っ た。注6る
よ り も、 適 切 に 運 用 され て い る会 計 慣 行 に ゆ だ ね る こ
他 方 、 法 人 税 法 に お い て は 、 連 年 に わ た る改 正 で制 度 自
体 が 複 雑 化 し、 そ の簡 素 化 を求 め る声 も強 ま っ て い た。
こ の よ うな 流 れ を ふ ま え 、 昭 和41年10月17日
と も当 然 で あ るが 、 税 法 に お い て 完 結 的 に これ を規 制 す
に 公 表 され
た 「税 法 と企 業 会 計 との 調 整 に 関 す る意 見 書(大
との 方 が よ り適 当 と思 わ れ る部 分 が 相 当 多 い 。 こ の よ う
な観 点 を明 らか に す るた め 、 税 法 に お い て 課 税 所 得 は 、
納 税 者 た る企 業 が 継 続 して 運 用 す る健 全 な 会 計 慣 行 に よ
蔵省企 業
っ て計 算 す る旨 の 基 本 規 定 を 設 け る と と もに 、 税 法 に お
会 計 審 議 会 中 間 報 告)」で は 、例 え ば 、 法 人税 法 の 総 則 的 規
い て は 、 企 業 会 計 に 関 す る計 算:原理 規 定 は 除 外 して 、 必
定 と して 、「納 税 者 の 各 事 業 年 度 の 課 税 所 得 は 、納 税 者 が 継
要 最 小 限 度 の税 法 独 自の 計 算 原理 を規 定 す る こ とが適 当
続 的 に健 全 な会 計 慣 行 に よ っ て 企 業 利 益 を算 出 して い る場
で あ る。 な お 、 これ と関 連 して 、納 税 者 が事 前 に定 め た
合 に は、当該企 業利益 に基づ いて計算 す る旨の規定 を設け
会 計 処 理 手 続 に つ い て税 務 当局 に確 認 を求 め 、 こ れ に よ
る こ とが 適 当 で あ る。」 旨の 提 言 が な さ れ た 。注7る
ま た 、 これ と並 行 して 、 税 制 調 査 会 で も、 税 制 簡 素 化 に
向 け た検 討 が 行 わ れ 、 昭 和42年2月
の 答 申 で 次 の 様 な提 言
が な さ れ た。注8そ
会 計 処 理 は税 務 調 査 上 是 認 され る こ と とす る こ とに よ
っ て 、 で き る限 り調 査 上 の 問 題 を少 な くす る 方 法 を研 究
すべ きで あ る。」
の 結 果 、 昭和42年 の 法 人 税 法 改 正 時 に 、 法 人 税 法22
税 制簡 素化 につ いての第一次 答申
条 第4項 に 、 次 の よ うな 規 定 が新 た に 設 け られ る こ と と
第3、 一、1、1(1)(ウ)課
な っ た。
税 所 得 の 計 算 の 弾 力 化 一 商 法 、企
業 の会 計 慣 行 等 との 開 差 の縮 小
「第2項
「税 法 、 通 達 の 規 定 の 下 に 計 算 さ れ る課 税 所 得 と商 法 、
企 業 の会 計 慣 行 等 に 基 づ い て 算 定 され る企 業 利 益 との 問
に規 定 す る 当該 事 業 年 度 の 収 益 の 額 及 び 前 各
号 に掲 げ る額 は 、 一 般 に 公 正 妥 当 と認 め られ る会 計 処 理
の基 準 に 従 っ て 計 算 さ れ る もの とす る。」
/ ﹂
に 開 差 を生 じて い る こ とに 由 来 す る税 制 及 び 税 務 調 査 上
の 複 雑 さ を 減 少 させ る た め 、 税 法 の 課 税 所 得 の 計 算 は 、
で き る限 り商 法や 企 業 の会 計 慣行 等 との 間 に差 異 を生 じな
注5ち
な み に 、 同 意 見 書 で は 、 両 者 の 間 で こ の よ う な 差 異 が 生 ず る の は 、税 法 で は 、租 税 政 策 上 、所 得 で あ っ て も免 税 と さ れ る もの
が あ る こ と、 また 、会 計 上 の 非 所 得 で あ っ て も課 税 さ れ る もの が あ る こ と な ど に よ る も の で あ る と して 、 そ の 差 異 の 諸 原 因 を次 の
6つ に 要 約 し て い る。
①
企 業 の 損 益 計 算 に お い て は 、当 然 総 収 益 を構 成 す る要 素 た る あ る種 の 所 得 項 目が 、租 税 政 策 上 の 理 由 で 課 税 を免 ぜ られ る場 合
が あ る こ と。
②
企 業 の 損 益 計 算 に お い て は 、総 収 益 を構 成 せ ず した が っ て 所 得 と して 計 上 され な い あ る種 の 項 目が 、税 法 上 課 税 の 対 象 と な る
場 合 が あ る こ と。
③
収 益 の 年 度 所 属(タ
イ ミ ン グ)に 関 す る判 断 に つ い て 、 企 業 目 的 の た め の 会 計 と、 租 税 目的 の た め の 計 算 との 間 に 差 異 の 生 ず
る場 合 が あ る こ と。す な わ ち 企 業 の 損 益 計 算 上 あ る会 計 期 間 に繰 延 べ ら れ た 収 益 項 目に 関 して 、税 法 上 こ れ と異 な る年 度 所 属 の
解 釈 が成 立 す る場合 であ る。
④
企 業 目的 上 総 収 益 に 負 担 せ しめ るべ き費 用 項 目 を 、 租 税 目的 上 総 収 益 か ら控 除 す る こ と を否 認 す る場 合 が あ る こ と。
⑤
企 業 目的 上 費 用 を 構 成 しな い あ る種 の 項 目 を 、 租 税 目的 上 総 収 益 か ら控 除 す る こ と を是 認 す る 場 合 が あ る こ と。
注6同
前 意見 書 二
注7そ
の 結 果 、 例 え ば 商 法32条 第2項
に 「商 業 帳 簿 の 作 成 に 関 す る規 定 の 解 釈 に つ い て は 「公 正 な る会 計 慣 行 を 勘 酌 す べ し」 と い う
規 定 が 新 た に 設 け られ た。
注8同
意 見書
注9税
制 簡 素 化 に つ い て の 第 一 次 答 申(第3、
MBSReviewNα1(4)
総 論 、一 、1、(3)
税 制 簡 素 化 の た め の 具 体 的 措 置 、一 、1、1、(1)(ウ))
法 人税(特 に税務 会 計)と 企 業会 計 の相 互関 係(統 合 か別 の 道かP)
税 務 サ イ ドの 問 題 意 識 と対 応
2.そ
の 後 の 流 れ 及 び最 近 生 じて い る問
税 務 の 観 点 か らす れ ば 、 リー ス 契 線 こ基 づ い た税 務 処 理
題 点
をそ の ま ま認 め る こ と と した場 合 に は 、 支 払 リー ス料 を操
作 す る こ とに よ り、 資 産 の 借 手 又 は 貸 手 が 利 益 操 作(税
法 人 税 法 に この よ う な規 定 が 設 け られ た こ とに よ り、 課
的 に い え ば所 得 操 作)が
税 所 得 の 計 算 に 関 して は 、 企 業 会 計 の処 理 をベ ー ス に しつ
務
自 由 自在 に で き る結 果 とな っ て し
ま う。
つ 、課 税 の公 平 又 は 課 税 対 策 上 の 必 要 性 等 に よ り規 定 さ れ
例 えば 、 リー ス期 間 を 当該 リー ス資 産 の 耐 用 手 数 よ り も
た別 段 の 定 め が あ る場 合 に の み 所 要 の修 正 が な され る こ と
著 し く短 く設 定 をす る こ とに よ り、 貸 手 は 費 用 の 前倒 し計
とな り、 法 人 の 所 得 計 算 事 務 負 担 が大 幅 に 軽 減 され た。
上 が 可 能 に な る。 他 方 、 貸 手 に と っ て は 、 投 下 資 金 の 早 期
そ して、 法 人 税 の 課 税 所 得 の 計 算 をす る際 、 法 人 の確 定
回 収 が 可 能 とな る。 そ れ に対 し、 リー ス期 間 を法 定 耐 用 年
した 決 算 に 基 づ い て そ れ を計 算 し、 申告 す る 方 式 、 い わ ゆ
数 よ り も著 し く長 く設 定 した 場合 に は 、貸 手 に と って は 、
る確 定 決 算 基 準 方 式 が 定 着 した 。(同 法74条 第1項)注lo通
常 の リー ス料 よ り も安 い料 金 で 当該 資産 の リー ス を受 け
しか し、 確 定 決 算 基 準 に つ い て は 、 課 税 所 得 の 計 算 を 企
る こ とが 可 能 に な る。 ま た、 これ を貸 手 サ イ ドか らみ た場
業 会 計 に依 存 す る とい い な が ら、 実 際 に は 税 務 縦 横 の制 限
合 に は、 所 有 資 産 に つ い て 法 定耐 用 年 数 に よ る償 却 を行 い
が あ る こ とに よ っ て か え っ て 企 業 会 計 の 自主 性 をゆ がめ て
なが ら、 毎 年 受 け取 る リー ス 料 が 少 な くす る こ とが で き る
い るの で は な い か と して、 そ の 改善 を求 め る意 見 が あ
ため 、 結 果 的 に 費用 の 前 倒 し計上 が で き る とい う こ とに な
る。注11る
。 さ らに 、 貸 手 は 、 こ れ らの 資 産 購 入 に 要 す る資 金 を借
他 方 、 税 務 会 計 は 本 来 税 収 の 確 保 を前 提 と した 制 度 で あ
入 金 で まか な う こ とに よ り、 支 払 利 子 に つ い て も損 金 計 上
り、 企 業 会 計 とは そ の 目的 を異 に して い るの で あ る か ら、
が 可 能 に な る。(い わ ゆ る レバ リ ッ ジ)
両 者 に 差 が あ る の は 当 然 で あ り、 両 者 は それ ぞ れ 独 自で あ
こ の よ う に、 リー ス取 引 に つ い て は 、租 税 回避 手 段 と し
っ て 差 し支 え な い し、 も し必 要 で あ れ ば 企 業 会 計 サ イ ドか
て 活 用 され る な ど課 税 上 弊 害 が み ら れ た 。 そ こ で 、 昭 和53
ら歩 み 寄 るべ き で あ る との 意 見 も見 られ る。注12年
に個 別 通 達 に よ り、 耐 用 年 数 よ り も著 し く短 い リー ス期
特 に、両 者 の 考 え 方 に 差 が 生 じて く るの が 、キ ャ ッ シュ ・
間 に よ って い る リー ス取 引 に つ い て一 定 の 規 制 が 加 え られ
フ ロー に対 す る処 理 をめ ぐって で あ る。
た。 す な わ ち、
(1)リ
イ.り 一 ス 期 間 経過 後 に そ の リー ス物 件 を無 償 又 は名 目的
ー ス取 引
その 契 機 と な っ た の が 、 リー ス取 引 に 対 す る取 扱 い で あ
な対 価 に よ り賃借 人 に譲 渡 す る こ と と して い る もの に つ
る。 周 知 の よ うに 、 リー ス 取 引 は 、 資 産 を購 入 す る こ とに ・
い て は 、 当該 リー ス物 件 を 引 き渡 した と きに 売 買 が あ っ
代 え て賃 借 し、 資 産 の 借 手 が 貸 手 に賃 借 料 を支 払 う とい う
た もの とみ な す。
形 で成 立 す る。 そ して 、 リー ス期 間 を耐 用 年 数 よ り も短 く
ロ.リ ー ス 期 間 が リー ス物 件 の 耐 用 年 数 よ り も著 し く短 い
し た り長 く した りす る こ とに よ っ て 借 手 又 は 貸 手 の キャ ッ(100分
シ ュ ・フ ロー を 自由 自在 に 変 え る こ とが 可 能 で あ る。
っ て は100分 の50以 下)も の につ い て は 、 契 約 時 に売 買 と
そこで、企業会 計上、 その会計処 理及 び開示 をどの よ う
す れ か リー ス料 の 一 部 を前 払 い 費用 とす る。
に す るか とい う点 で議 論 が あ り、 会 計 士 協 会 か ら意 見書 及
ハ.中
び そ れ をふ ま え た 実 務 指 針 が 公 表 され た。注'3は
注10ち
な み に 、法 人 税 法74条 第2項
の30如 何 、た だ し、耐 用 年 数10年 以 上 の もの に あ
古 資 産 の セ ー ル ス ・ア ン ド ・リー スバ ッ ク につ い て
、譲 渡 は な か っ た もの と して 取 り扱 う。
で は 次 に 様 に規 定 さ れ て い る。「法 人 は 、各 事 業 年 度 終 了 の 日の 翌 日か ら2月 以 内 に 税 務 署 長 に 対
し、 確 定 した 決 算 に 基 づ き 申 告 書 を提 出 し な け れ ば な ら な い 。」(下 線 部 分:川
田強 調)こ こ で い う 「
確 定 決 算 」と は 、 ∴ 般 的 に は 、
そ の 事 業 年 度 の 決 算 につ き、株 主 総 会 の 承 認 、総 社 員 の 同 意 、そ の 他 の 手 続 きに よ る承 認 を受 け た 決 算 を い う もの と解 さ れ て い る。
(個基 本 通 達314)商
洗 で も、会 社 の 取 締 役 は 、決 算 書 等 の 計 算 書 類 を株 主 総 会 に 提 出 して 、 そ の 承 認 を受 け な け れ ば な ら な い と さ
れ て い る。(商 法283条 の12.2項)た
だ 、 実 務 上 に お い て は 、 株 主 総 会 の 承 認 を 経 る こ とな く確 定 申告 書 が 作 成 さ れ 、 提 出 され て
い る例 も 多 い 。 し た が っ て 、 こ れ らの 申告 書 に つ い て も、 税 務 上 は 有 効 と し て 取 り扱 わ れ て い る。
注11例
え ば 、 新 税 法 調 整 意 見 書 で は 、 次 に よ う な提 言 が な さ れ て い る。(同 意 見 書 総 論 、 一 、2.(3))「
税 法 の'各種 の 規 制 は 、 企 業 会
計 を ゆ が め 、 ま た企 業 の 実 体 に 即 応 し な い 結 果 を生 ぜ しめ る の で 、 こ れ を大 幅 に 緩 和 す る こ と と し、可 能 な 限 り課 税 所 得 の 計 算 を
継 続 性 を重 視 した 企 業 の 自主 的 判 断 に 基 づ く適 正 な 会 計 処 理 に ゆ だ ね る こ と とす るの が 適 当 で あ る。」
注12例
えば、 宮 島
注13「
リー ス 取 引 に 係 る会 計 基 準 に 係 る 意 見 書 」(平 成5年6月17日
洋
「税 務 論 か らみ た確 定 決 算 主 義 と 申 告 調 整 主 義 」(租 税 研 究No.528(平
す る実 務 指 針 」(平 成6年1月18日
成5年10月
号 、47頁)〉
企 業 会 計 審 議 会 第 一 部 会)及 び 「リー ス取 引 の 会 計 及 び 開 示 に 関
日本 公 認 会 計 士 協 会)
(5)MBSReviewNo.1
MBSReviewNα1
こ れ に対 し、納 税 者 サ イ ドで は 、 リー ス期 間 を法 定 耐 用
き て し ま うこ とに な る。
年 数 よ り も著 し く長 い期 間 とす る リー ス取 引 を開 発 し、 こ
こ の種 の 取 引 が最 初 に 問 題 と され た の は 、 課 税 の 公 平 を
れ に 対 抗 した 。 そ こ で 、 こ れ に 対 して も、昭 和63年 の通 達
主 目的 とす る税 務 に お い て で あ る。 す な わ ち 、 これ らの 取
につ い て は 、 法 形 成 の いか ん に か か わ らず 実 質 上 同 じ状
に よ り一 定 の 規 制 が 加 え ら れ た 。注14引
しか し、 これ らの 規 制 は 、 い ず れ も通 達 レベ ル に よ る も
況 に あ る もの に つ い て は 同 一 に 取 り扱 うべ し とす る ため 、
税 務 上 統 一 した 取 扱 い を示 す 必 要 が あ っ た。 そ こ で 、 平 成
で 法 的 拘 束 力 を有 す る の か と い う点 に つ いて 疑 問 が 呈 さ れ10年10月30日
付 の い わ ゆ るデ リバ テ ィ ブ取 引 通 達(正 式 名
の で あ っ た。 そ の た め 、 租 税 回 避 防 止 策 と して どの 程 度 ま
て い た。
称 は 「金 融 高値 に 関 す る法 人税 の 取 扱 い に つ い て」)によ り、
そ こ で 、 平 成10年 度 の 税 制 改 正(法 人 税 法施 行 法 令136条
の3)に
次 の よ う な基 本 的 な 方 針 が示 さ れ た。
よ り、 リー ス 取 引 の 規 則 に つ い て 法 的 手 当 て が な
イ.経 済実 態 が 同一 の 取 引 に つ い て は 同 一 の 課 税 を行 う。
さ れ た 。 これ に よ り、 法 令 上 リー ス 取 引 の定 義 が 明 らか に
ロ.国 際 的 な課 税 との 調 和 を図 る。
され る と と も に 、 そ の う ち 売 買 取 引 と して取 り扱 わ れ る も
ハ .課 税 者 、納 税 者 双 方 に とっ て の 実行 可 能 性 に 配 慮 す る。
の と金 融 取 引 と して 扱 わ れ る もの の 範 囲 が明 確 とな っ た 。
二 .恣 意 的 な期 間損 金 操 作 を排 除 す る。 その 結 果 、 従 来 非
そ の 結 果 、 損 金 処 理 等 の観 点 も あ っ て 、 会 計 処 理 の 面 で も
課 税 と され て い た もの の うち の い くつ か に つ い て 新 た に
こ れ に 準 じた 処 理 が 一 般 化 す る よ うに な っ た。
課 税 対 象 に取 り込 まれ た。
しか し、 会 計 処 理 の オ フバ ラ ン ス処 理 を認 め な い こ と と
しか し、 これ に つ い て も、 通 達 レベ ル で課 税 上 の 取 扱 い
して い る もの に つ い て 、税 務 上 特 段 の処 理 は求 め て い な い 。
を変 更 す る の は 問 題 で あ る との批 判 が あ っ た 。 そ こで 、 平
した が って 、 こ れ らの 点 をめ ぐ って 両 者 間 で 今 後 そ の 取 扱
成11年 の 法 令 改 正 に よ り、 同 通 達 の 内 容 が法 令 に 格 上 げ さ
い に つ い て 再 度 問 題 が 生 じて く る可 能 性 が あ る。
れ た 。注16
な お 、 リー ス 資 産 をめ ぐ って は 、 税 務 上一 括 損 金 算 入 が
認 め られ る少 額 資 産(電
話 ア ダ プ ター)を 利 用 した租 税 回
避 事 例 が あ っ た 。 こ れ に つ い て は 、 会 計 上 は 特 に 問 題 とは
また、 これ と並 行 して、 企 業 会 計 サ イ ドで も、 金 融 商 品
に係 る新 た な会 計 基 準 の 設 定 等 に 向 け て 検 討 が な さ れ 、 そ
の 結 果 が 「金 融 商 品 に係 る会 計 基 準 」と して 公 表 され た。詫17
な らな か っ たが 、 税 務 上 問 題 と さ れ 否 認 され た。注'5こ
(2)デ
の よ うに 、 い くつ か の 問題 点 は生 じて い た もの の 、 こ
リバ テ ィ ブ 取 引
の 辺 ま で の段 階 に お い て は 、 両 者 は そ れ な りに相 互 に 相 手
次 に 出 現 した の が デ リバ テ ィブ 取 引 で あ る。この 取 引 も、
の考 え方 等 を受 け 入 れ る形 で所 要 の 調 整 が な さ れ て い た。
従 来 の 取 得 原 価 主 義 及 び 発 生 主 義 の 概 念 だけ で は 律 し され
しか し、 商 法 改 正 及 び不 良 債 権 処 理 に 代 表 され る よ うに、
ず 、 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロー 的 な考 慮 が 必要 に な っ て くる。
最 近 では 両 者 が それ ぞ れ別 の 道 を歩 み 始 め る よ うに な っ て
デ リバ テ ィブ 取 引 の 特 色 は 、 そ れ が オ フバ ラ ン ス で行 わ
きて い る。
れ る とい う点 で あ る。 例 え ば 、 通 常 の借 入 で あれ ば 、 そ の(3)不
良債権処 理
元 本 額 が バ ラ ン ス シ ー ト上 負 値 と して表 示 され る。 それ に
対 し、 金 利 リス クヘ ッ ジ の た め に行 っ た 金 利 ス ワ ップ 取 引
そ の先 駆 け とな っ た の が 、 不 良債 権 処 理 に か ら む 、債 権
放 棄 と債 務 の 株 式 化(D .ES)及
等 は 、 バ ラ ン ス シー ト上 記 載 さ れ な い。 この よ うな こ とか(DD.S)に
ら、企 業 と し て は 、元 に な る資 金 の 流 れ を変 え る こ とな く、
び一 般 債 務 の劣 後 ロー ン化
対 す る税 務 処 理 と会 計 処 理 の 差 異 の発 生 で あ
る。
リス ク を コ ン トロー ル す る と と もに 、 自由 に キ ャ ッ シュ ・.イ.DebtEquitySwap(D.ES)
フ ロ ー を作 る こ とが 可 能 に な る。
不 良 債 権 処 理 との 関 連 で 注 目 さ れ 、 実 務 上 に お い て も
ま た 、 信 用 リス ク が想 定 元 本 の 一 部 に す ぎ な い ため 、 資
多用 さ れ た 手 法 に 、債 権 を株 式 化 す る手 法(DebtEquity
本 効 率 が 高 く、 少 額 の コ ス トで 大 きな 収 益 を生 む こ とが 可Swap)が
あ る。
能 で あ る。 さ ら に 、 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロー と収 益 又 は 費 用 の
この 手 法 で は、 債 権 者 サ イ ドに とっ て は 、 不 良 債 権 化
発 生 を 自 由 に 調 整 で き る。 そ の た め 、租 税 回避 が 簡 単 に で
した債 権 を貸 倒 損 失 等 の リス ク を表 面 化 させ る こ と な く
注14昭
和63年3月30日
注15少
額 資 産 リー ス 、国 税 不 服 裁 判 所 、平 成6年8月25日
直 法2-7
付 採 決 、平 成5年12月15日
付 採 決(採 決 事 例 集No
288頁)
注16具
体 的 内 容 に つ い て は 、 法 人 税 法6条
注17「
金 融 商 品 に 係 る会 計 基 準 の 設 定 に 関 す る 意 見 書 」(平 成11年1月22日
の6及
「金 融 商 品 に 係 る会 計 基 準 」(平 成11年1月22日
MBSReviewNα1(6)
び7参
照。
、 企 業 会 計 審 議 会)
、 企 業 会 計 審 議 会)
.46、156頁 、及 びNo.47、
法 人税(特 に税務 会 計)と 企 業会 計の 相互 関係(統 合 か別 の道 か?)
有 価 証 券 た る株 式 に転 換 で き る と い う点 で 大 き な メ リ ッ
時 間 が か か りす ぎ た と いう批 判 に もつ なが つた わけ で あ る。
トが あ る。 特 に 、 債 権 額 が 巨額 に の ぼ り、 債 権 者 サ イ ド(4)金
庫株
で債 権 金 額 の 一 部 に つ い て しか放 棄 す る体 力 が な い よ う
な場 合 に は 、 実 質 的 な 「飛 ば し」(損 失 計 上 の先 送 り)が
次 い で 、 会 計 と税 務 の 間 で ね じれ現 象 が 生 じた の が 、 商
法 改 正 、 なか で も金 庫 株 の処 理 をめ ぐっ て で あ る。
可 能 に な る。 この よ うな こ とか ら、 つ い最 近 ま で 、 損 失
平 成13年 の 商 法 改 正 で 、 そ れ ま で例 外 的 に しか 認 め られ
の先 送 り策 と して 、 大 手 金 融 機 関 を始 め 多 くの 債 権 者 の
て い な か っ た 自 己株 の 取 引 が 、 原 則 と し て 自由 に 認 め られ
間 で この 手 法 が 多用 さ れ て き た。注18る
こ とに な っ た。(商 法210条)
他 方 、 債 務 者 に とっ て は 、 返 済 義 務 の あ る債 務 を 自 己
そ れ に と もな い 、 そ れ まで 資産 の部 に 計 上 され て きた 自
資本 に 転 換 で き る 自 己 資 本 比 率 を引 き上 げ る こ とが 可 能
己株 に つ い て は 、 実 質 的 に 資 本 の 払 い戻 しに 当 た る とい う
に な る。特 に、債 務 者 サ イ ドが 時 価 債 務 超 過 状 態 に あ り、
会 計 理 論 上 の 考 え方 に 基 づ き、 商 法 上 も会 計 上 も資 本 の 部
新 規 融 資 を受 け る こ とが 不 可 能 な 状 況 下 に お い て は 、 こ
へ の 計 上 が 義 務 付 け られ る こ とに な っ た 。X19
の 手 法 に よ る メ リッ トは極 め て大 き い。
す な わ ち、 商 法 及 び企 業 会 計上 で は 、 こ の種 の 取 引 を資
さ ら に、 こ の 手 法 は 、 税 務 上 で い う資本 等 取 引 に 該 当
本 等 取 引 と して位 置 付 け た わ け で あ る。 しか し、 税 務 上 に
す る とさ れ て い る。 そ の た め 、 実 質 的 に は 債務 免 除 で あ
お い て は 、こ れ を資 本 等 取 引 と して 扱 っ た場 合 に お い て は、
るに も拘 わ らず 、 当該 転 換 分 に つ い て益 金 計 上 が求 め ら
低 価 買 取 又 は 高価 買 取 に よ り、株 主 と発 行 法 人 又 は 株 主 間
れ ず 、 繰 越 欠 損 が あ る場 合 に は、 そ れ をフ ル に 活 用 で き
で 所 得 移 転 が 可 能 に な っ て し ま う。
る と い う メ リッ トが あ る。
例 え ば 、 親 と子 が 株 式 を所 有 す る 同族 会 社 に お い て 、 親
日.DebtDebtSwap(D.D.S)の
所 有 す る株 式 に つ い て の み低 価 で買 い 入 れ た場 合 に は 、
不 良債 権 処 理 に お け る も うひ とつ の 実 質 先 送 り手 段
は、 通 常 の 債 権 を他 の 債 権 よ り も劣 後 す る 所 に 変 換 す る
親(所 有 株)→
い う名 で 呼 ば れ て い る。 債 権 者
→
子 の 資産 増 加
と
い う形 で 無 税 で 資 産移 転 が 可 能 に な っ て しま う。
手 法 で あ る。 この 手 法 は 、 債 務 と債 務 を交 換 す る こ とか
ら、DebtDebtSwapと
金庫株保有 法人
具 体 的 に は 、 親 と個 が50つ つ 出 資 して 設 立 した 法 人 で 、
資産 額200の 法 人 の 株 式 を親 が50で 法 人 に譲 渡 した とす る。
サ イ ドか らす れ ば 、 不 良債 権 化 して い る貸 付 金 等 を永 久
そ の 結 果 、 当該 法 人 の 株 主 は 子 だ け に な る。1そして 、 こ の
劣 後 ロー ン の 形 に 変 更 す る こ とが 可 能 に な る。 しか も相
手順 を経 る だ け で 親 か ら子 へ の 資 産 移 転 が 可 能 に な る とい
手 方 は 、 当該 変 換 分 の2分
うわ け で あ る。
の1相
当額 は会 計上 自 己 資 本
に組 み 入 れ る こ とが 認 め られ て い る ため 、 自 己 資本 比率
そ の た め 、 税 務 上 に お い て は 、 例 え ば低 価 買 入 れ の 場 合
が ア ップ す る。 し たが っ て この 手 法 も不 良 貸付 先 隠 し と
で あ れ ば 、 買 取 側 の 法 人 に受 贈 益 を認 識 させ る と と もに 、
して 有効 な手 段 で あ る。
売却 側 に対 して もみ な し配 当 及 び 譲 渡 益 課 税 を行 うこ とが
他 方 、 債 務 者 側 に とっ て は 、 劣 後 化 した ロー ン に つ い
て は 返 済 義 務 は 負 う もの の 、 他 の債 務(ロ
ー ン)よ
りも
劣 後 す る ため 、通 常 の債 務 に 比 し その 負 担 は 軽 減 され る。
ま た 、 その2分
の1相
必要 とな って く る。(所 法25条 ① 五 、 描 法37条 の10)
当額 を 自己 資 本 とす る こ とが で き
る た め 、 財 務 状 況 も大 幅 に 改 善 され る。 然 るに 、 こ の分
同 様 に 、個 人 か らの 高 価 買 入 れ の 場 合 に お い て は 、 買 取
法 人 側 に寄 附 金 課 税(法 法37条)、譲 渡 側 に 給 与所 得 課 税(所
法28条)や
⑤
につ い て も税 務 上 に お い て は 、 益 金 計 上 は義 務 付 け られ
譲 渡 所 得 課 税 等 が 必要 に な っ て くる。
税効果 会計
税 効 果 会 計 は、 公 開 会 社 の 平成11年4月1日
以降に開 始
て い な い ため 、所 得課 税 を受 け る こ と もな い。
す る事 業 年 度 か ら強 制 適 用 され て い る制 度 で あ る。注20しか
税 務 と会計 に お け る この よ うな取 扱 いの 差 異 の存 在 は、 持
し、 こ こ で も会 計 と税 務 の処 理 が 異 な る。 しか も、 通 常 の
間 をか け た不 良債 権 の処 理 を可 能 に した 。 そ の 反面 、処 理 に
注18ち
、 企 業 会 計 基 準 委 員 会 実 務 対 応 報 告 第6号)
法 計 算 規 則 第34条 。こ れ を受 け て 、会 計 上 に お いて は つ ぎ に よ り処 理 基 準 が 明 らか に され た 。「自己 株 式 及 び 法 定 準 備 会 の 取 り
崩 し等 に 関 す る会 計 基 準 」(平 成14年2月21日
注20税
お け る 申告 調 整 等 に よ る調 整 もな
な み に 、 会 計 上 の 取 扱 い に つ い て は 、 次 に よ り処 理 さ れ て い た 。 「デ ッハ ・エ ク イ テ ィ ・ス ワ ッ プ の 実 行 時 に お け る債 権 者 側 の
会 計 処 理 に 関 す る実 務 上 の 取 扱 い」(平 成14年10月9日
注19商
差 異 と異 な り、 別 表4に
効 果 会 計 は 、 平 成10年10月30日
、 企 業 会 計 基 準 委 員 会 、 企 業 会 計 基 準 第1号)
付 で 公 表 さ れ た 企 業 会 計 審 議 会 の 「税 効 果 会 計 に 係 る 会 計 基 準 の 設 定 に 関 す る 意 見 書 」 に 基 づ
く もの で あ る 。 こ の 意 見 書 を受 け 、同 年12月21日
付 で 財 務 諸 会 規 則 等 の 一 部 改 正 が 行 わ れ 、公 開 会 社 に つ い て は 平 成11年4月1日
以 降 に 開 始 す る事 業 年 度 か ら 強 制 適 用 と な っ た。 な お 、 平 成10年6月
に 公 表 さ れ.た「商 法 と企 業 会 計 の 調 整 に 関 す る研 究 会 の 報 告
書 」 で は 、 す べ て の 会 社 に お い て これ を適 用 す る こ と が 適 当 で あ る 旨 が 述 べ られ て い る。
(7)MBSReviewNo.1
MBSReviewNo.]
され て い な い 。 した が っ て 、 た と え企 業 会 計 士 税 効 果 会 計
な る。
を 導 入 し た と して も、 課 税 所 得 に は何 ら関 係 して こ な い。
た だ し、 親 会 社 が そ の 子 会 社 株 式 の受 入 価 額(取 得 価 額)
例 え ば 、貸 倒 引 当 金 の 繰 入 超 過 等 が100あ っ た場 合 に お い
を子 会 社 とな る会 社 の 法 人 株 式 の 付 して い た 帳 簿 価 額 以 下
て は 、 税 率 が40%と
す る と、 税 効 果 会 計 の 下 で は 、40の 繰
と して い る こ と、 そ の他 の 要 件 を充 たす と きは 、 取 得 した
越 税 金 資産 が 生 じる こ とに な る。 しか し、 税 務 上 に お い て
完 全 親 会 社 株 式 の 取 得 価 額 収 益 を喪 失 した完 全 子 会 社 株 式
は 当期 純 利 益 を増 加 させ る よ うな もの で は な い。 した が っ
の帳 簿価 額(原
て 、 課 税 所 得 の 金 額 に は 、 税 効 果 会 計 の 適 用 を した と して(描
価)と
同額 とす る こ とが 定 め られ て い る。
法67条9)
も 、 し な か っ た と して も、 基 本 的 に は 変 化 し な い。
そ の結 果 、 子 会 社 の 株 式 に は 譲 渡 損益 の発 生 は な か っ た
そ も そ も、 企 業 会 計 及 び 商 法 で この 種 の会 計 制 度 の 導 入
もの とな る。 す な わ ち、 子 会 社 株 式 は 次 の仕 訳 だ け をす れ
が 叫 ば れ る よ うに な っ た の は 、 不 良債 権 の増 加 等 に苦 しむ
ば よ い とい う こ とに な る。
企 業 サ イ ドか ら強 い要 望 が あ った た め で あ る。 そ して 、 そ
完 全 親 会 社 株 式/完 全 子 会 社 株 式(帳 簿 価 額)
の 理 論 的 根 拠 とな っ た の が 、 この 種 の 項 目は 損益 認 識 の タ(6)組
織再 編
イ ミン グの 差 に 伴 う もの で あ り、 将 来 の 利 益 か ら 回収 可 能
平 成12年 の 商 法 改 正 で 組 織 再 編 を 目的 と した会 社 分 割 、
な の だ か ら資 産 性 が あ る と い う考 え方 で あ る。
合 併 制 度 が 創 設 され た 。 こ れ を受 け て、 法 人 税 法 に お い て
しか し、 前 述 した よ うに 、 こ れ ら の処 理 は あ く ま で会 計
も、 組 織 再 編 税 制 が 導 入 され た(商 法408条 以 下)。 そ の 結
上 の もの で あ り、 税 務 的 に は 課 税 所 得 を増 減 させ る性 質 の
果 、税制適格分 割、合併 が行 われた場合 には、被合併 法人
もの で は な い。 こ の よ うな こ とか ら、 法 人 税(税 務 会 計)等
の 有 す る 資産 に つ い て 減 価 引 継 ぎが 認 め られ る よ うに な
に お い て は 、 税 務 会 計 を適 用 して も しな くて も、 課 税 所 得
っ た(法 人 税 法2条
の 金 額 に は 影 響 され な い こ と と して い る。注21他
⑥
十 二 号 、 同 法施 行分4の2(注))。
方 、 企 業 会 計 に お い て は 、 取 得 資 産 は 時価 に よ り記 帳
株 式 交換
さ れ る。 そ こ で 、両 者 の こ の よ うな 差 異 に着 目 し、 企 業 会
次 に 生 じ た両 者 の 乖 離 問 題 は 、 株 式 移 転 及 び 株 式 変 換 を
計 上 は 多額 の 益 出 し を して み て くれ を良 く しな が ら、 税 務
め ぐっ て の それ で あ る。
上 は簿 価 引 継 ぎ を して 課 税 を免 れ る とい う事 例 が頻 発 す る
例 え ば 、 親 会 社 が 自社 株 を 子 会 社 株 式 と交 換 した場 合 、
よ うに な っ て き て い る。
会 計 的 に は 、 資 本 等 取 引 で あ る ため 、 原 則 と して 次 の様 な(注)ち
な み に 、 税 制 適 格 組 織 再 編 とは 、 次 の要 件 を充 足
仕 訳 に な る。*す
る再 編 で あ る。
子会社 株 式
① 株 式 以 外 の 金銭 等 の 交付 が な い こ と
資本 金
② 分 割 型 分 割 に あ っ て は 、 分 割 法 人 の 株 主 の持 株 数
資本 準備 金
株式 交換 交付 金
の 割 合 に 応 じて分 割 承 継 法 人 の株 式 が 交 付 され る も
の であ るこ と
自己株の帳 簿価額
(7)連 結 納 税 制 度 の 採 用
*子 会 社 の 株 主 に とっ て は 、 こ れ と逆 の 仕 訳 とな る。
両 者 間 の ズ レ を さ らに 大 き く した の が 、 法 人 税 に お け る
これ に対 し、 税 務 の処 理 は 原 則 と して 次 の 様 に な る。*連
結 納税 制 度 の 導 入(平
成14年7月)で
あ る。 そ もそ も、
企 業 グル ー プ を 一体 と して み るべ し とい う考 え方 は 、 企 業
子会社 株式
資本金
資本積 立金
会 計 に お い て発 達 し た ア イデ ア で あ る。
株 式交換 交付金
株 式交換 資産 の帳簿価 額
の 対 象 を100%子
株 式交換 資産 の譲 渡損益
結 果 、連 結 財 務 諸 表 で い う連 結 対 象 会 社 とそ の範 囲 を大 き
自己株式 の帳簿価 額
く異 に して い る。 こ れ は 、 そ の 対 象 を外 国 法 人 まで 拡 大 し
しか し、 我 が 国 に お い て 導 入 され た 連 結 納 税 制 度 は 、 そ
会 社 で あ る 内 国 法 人 に 限定 し て い る。そ の
た場 合 に は 、 連 結 納 税 制 度 の 導 入 の結 果 、 本 来 国 内 に と ど
*こ の場 合 も子 会 社 の 株 主 に と っ て は
注21た
注22「
、 こ れ と逆 の 仕 訳 と
だ し 、 企 業 会 計 と一 致 さ せ る た め 、 法 人 税 申 告 書 の 別 表4及
ま るべ き所 得(及
び 別 表5で
固 定 資 産 の 減 税 に 係 る会 計 基 準 の 設 定 に 関 す る 意 見 書 」(平 成14年8月9日
び そ れ らの所 得 に対 して 課 され る税)が
そ の 調 整 が 図 られ て い る。
、 企 業 会 計 審 議 会)
「固 定 資 産 の 減 損 に 係 る会 計 基 準 」(同 上)
「固 定 資 産 の 減 損 に 係 る会 計 基 準 の 適 用 指 針 」(平 成15年10月31日
MBSReviewNo.1(8)
、 企 業 会 計 基 準 委 員 会 、 企 業 会 計 基 準 準 備 指 針 第6号)
法 人税(特 に税務 会 計)と 企業 会計 の相 互関係(統 合 か別 の道 か2)
国 外 に 流 出 して しま う と い うこ と を考:えれ ば 当然 の 処 置 で
あ る。
た だ 、 これ に よ っ て 企 業 会 計 と税 務 に基 本 的 な差 異 が 生
じる結 果 とな った こ とは 間 違 い な い事 実 で あ る。
(8)減
損会計
国 際会 計 基 準 に おけ る大 き な 流 れ をふ ま え、 企 業 会 計 の
分 野 に お い て は 、 平 成18年3月
期 か ら減 損 会 計 が適 用 とさ
れ る予 定 とな つ そ い る。注22その 結 果 、 そ れ らの 減 損 処 理 が
税 務 上 損 金 と して 認 め られ るか 否 か に 拘 わ らず 、 減 損処 理
を しな け れ ば な ら な くな る。 他 方 、税 務 に お い て は 資 産 の
評 価 損 を計 上 した と して も、 そ れ が 災 害 に よ る減 損 等 で あ
る場 合 な ど を 除 き、 原 則 と して損 金 算 入 は 認 め られ て い な
い。(法 人税 法33条)
そ の結 果 、 こ こ で も会 計 と税 務 が不 一 致 と な っ て し ま う
自体 が生 じる こ と とな っ た 。
3.法
人 税 と企 業 会 計 との今 後 の 関 係
(あ るべ き姿 を求 め て)
そ れ で は 、 今 後 両 者 は どの よ うな 関 係 に変 わ っ て い くの
で あ ろ うか 。 また 、 ど の よ う な関 係 が 望 ま れ る の で あ ろ う
か。
戦 後20年 の 歩 み の よ うに 、 今 後 両 者 を再 び 歩 み 寄 らせ る
の で あ ろ うか 。 そ れ と も米 国 な ど の よ うに 、両 者 は 完全 に
別 の 道 を歩 む もの と考 え るべ き な の で あ ろ うか 。 最 近 の 動
き を み て み る と、 両 者 は徐 々 に で は あ るが 、』独 自の 道 を歩
み つ つ あ る よ うに み え る。
しか し、 こ れ ま での 長 い 歴 史 を ふ りか え っ て み れ ば 、 米
国 の よ うに 両 者 が 完 全 に別 の 道 を 歩 む とは考 え に くい 。 米
国 流 の 流 れ は 、突 極 的 に現 行 の 確 定 決 算zの
放 棄iにもつ
な が りか ね な い。 それ は 、最 近 に お け るエ ン ロ ン問 題 に 代
表 さ れ る様 な税 務 と会 計 の 完 全 分 離 を利 用 した 不 正 事 案 の
発 達 か らみ て も好 ま しい こ と で は な い 。 した が って 、 あ る
べ き方 向 と して は 、 現 行 の確 定 決 算 をベ ー ス に しつ つ 、 例
え ば 、 減 損 会 計 の よ うに企 業 会 計 の 中 で 新 た に ス タ ー トし
た 制 度 に つ い て は 、 公 平 性 と い う税 務 の 基 本 ス タ ン ス か ら
会 計 分 野 に お け る成 熟 度 をみ っ つ 、 課 税 上 弊 害 が な い と認
め ら れ た 段 階 に お いて 税 務 に 取 り入 れ て い く と い う方 向 が
望 ま しい 。
そ の 意 味 で も、 か つ て行 わ れ て い た 「税 法 と会 計 の調 整
に 関 す る意 見 書 」 の よ うな 形 での 両 者 サ イ ドの 意 見 交 換 が
望 ま れ る。
(9)MBSReviewNo.]
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