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いまなぜメタボリック症候群なのか?

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いまなぜメタボリック症候群なのか?
なぜ今、
メタボリック症候群なの
こじまクリニック
小島 章裕
平成22年2月25日(木)
日本人の平均寿命
男
性
79.19
女
性
85.99
2007年度
我が国の平均寿命が延びた原因
社会・保健学的要因
医療学的要因
栄養の改善
乳児死亡率の低下
公衆衛生思想の普及
若年結核死の減少
国民の生活水準の上昇
中高年の脳出血などの諸疾
患の死亡率の低下
主要死因別にみた粗死亡率(人口10万対)の年次推移
癌・動脈硬化などの生活習慣病は増加傾向にある!
厚生労働省:人口動態統計月報年計(概数)の概況
現代人はなぜ、
太るのか?
沖縄クライシス: 長寿国「沖縄」もいまや・・・
食生活の欧米化が真っ先に上陸したことが原因か
昭和40
45
50
0
平均寿命全国順位
3
5
10
15
20
25
9
3
55
2
4
60
1
-1
3
7
平成2
1
2
7
12
17
1
1
1
5
4
6
5
1
3
10
沖縄県の働き盛りの男性の死亡率は全国で最悪!
ファストフード上陸
沖縄: 1950年代
本土: 1970年代
今年は女性も2位に転落
26位
25位
30
沖縄
青森
神奈川
厚生労働省 都道府県別生命表より
日本人の脂質摂取量は、増加傾向
食生活の欧米化に伴い、日本人の脂質摂取量は
適正域を既に上回り、米国人に近づきつつあります。
日米における総摂取エネルギー量に占める脂質の割合(年次推移)
(%)
40
脂肪エネルギー比率
脂質管理など、
食生活の是正が
大切です!
35
30
25
脂肪エネルギー
適正比率
20
15
10
1970
1980
1990
2000 (年)
足達寿ほか:循環器科 57(1):15-20, 2005、NHANES 1971-2000より作図
メタボリックシンドロームとは
肥満が増加する現代の日本
(年齢別の肥満度の推移、BMI:25以上)
(%)
40
20年前(昭和60年)
34.1
男性
31.4
肥満者の割合
30
26.7
28.5
30.7
27.6
26.0
24.4
20
17.7
24.1
21.4
19.8
平成17年
10年前(平成7年)
19.8
19.5
18.3
16.4
13.6
12.8
10
0
20-29歳 30-39歳 40-49歳 50-59歳
60-69歳 70歳以上
厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室「平成17年国民健康・栄養調査結果の概要」
健康診断で、検査値に何らかの異常を
示した人は、約2人に1人!
検査値に異常を示した「有所見者」の割合が、年々増加中。
健康診断 有所見者率
(%)
50 [有所見の定義]
全体
血中脂質値: 220mg/dL以上
血圧値: 140/90mmHg以上
空腹時血糖値: 110mg/dL以上
40
47.3%
有所見者率
血中脂質値
30
29.1%
20
血圧値
11.9%
空腹時血糖値
8.3%
10
0
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003(年)
■全体の有所見には、ほかに聴力、胸部X線、心電図、咯痰、貧血、肝機能、尿検査(糖・蛋白)を含む
国民衛生の動向1994∼2004年、平成16年度労働衛生のしおり p.345より作図
「メタボリックシンドローム」って、なに?
「内臓脂肪の蓄積」を上流にもち、生活習慣病を複数発症した
状態のことを「メタボリックシンドローム」といいます。
生活習慣の偏り
内臓脂肪蓄積
メタボリック症候群は、働き盛りの人々を心血管疾患
代謝異常
から予防するために生まれた概念である
遺伝素因
アディポサイトカイン
分泌異常
糖尿病
高脂血症
高血圧
動脈硬化に基づく「心血管系疾患」
肥満には、2つのタイプがあります
内臓のまわりに
脂肪が蓄積すると?
下腹部、腰まわり、
おしりなどの
皮下に脂肪が蓄積すると?
リンゴ型
洋ナシ型
内臓脂肪型肥満
皮下脂肪型肥満
内臓脂肪と皮下脂肪、どう違うの?
内臓脂肪と皮下脂肪、どう違うの?
内臓脂肪は
皮下脂肪は
溜まりやすいが
燃焼しやすい!
溜まりにくいが
燃焼しにくい!
脂肪細胞からは、
様々な「アディポサイトカイン」が分泌!
脂肪細胞からは「アディポサイトカイン」というホルモンが
分泌されており、「善玉」と「悪玉」のものがあります。
善玉
アディポサイトカイン
悪玉
アディポサイトカイン
高脂血症に関与
動脈硬化に関与
アディポネクチン
遊離脂肪酸
分泌
分泌
脂肪
細胞
糖尿病に関与
TNF-α、遊離脂肪酸、レプチン
高血圧に関与
アンジオテンシノーゲン
※「アディポサイトカイン」
動脈硬化に関与
「脂肪」
「生理活性物質」
PAI-1、HB-EGF
内臓脂肪が過剰に蓄積していない標準体型では、
脂肪細胞から「アディポネクチン」が多く分泌!
「アディポネクチン」は、動脈硬化予防効果のある
善玉のアディポサイトカインです。
標準体型の人
アディポネクチン
血管の中では?
内臓脂肪
「アディポネクチン」は
傷ついた血管を修復する
善玉の「アディポネクチン」
が多く分泌
内臓脂肪が蓄積すると、
「アディポネクチン」はどうなるの?
内臓脂肪の蓄積は、善玉の「アディポネクチン」の分泌を減らし、
悪玉のアディポサイトカインの分泌を増やしてしまいます。
内臓脂肪が蓄積した人
アディポネクチン
血管の中では?
内臓脂肪
「アディポネクチン」が減り、悪玉が増えるため
動脈硬化の進行が加速する
善玉の「アディポネクチン」の
分泌が減ってしまう
「メタボリックシンドローム」と
診断される基準値は?
内臓脂肪蓄積
+
2個以上の危険因子
= メタボリックシンドローム
「メタボリックシンドローム」の診断基準
必須項目
3項目中、2項目以上に該当
ウエスト周囲径
●中性脂肪(トリグリセリド)
1
男性
85cm以上
●収縮期血圧
2
女性
90cm以上
かつ/または
●HDL(善玉)コレステロール
+
3
150mg/dL以上
かつ/または
40mg/dL未満
130mmHg以上
●拡張期血圧
85mmHg以上
●空腹時血糖
110mg/dL以上
メタボリックシンドローム診断基準検討委員会:日本内科学会雑誌 94 (4) : 794-809, 2005
メタボリックシンドロームの有無による
心血管事故の累積発生率
(%)
20
た ん の ・
そうべつちょう
端 野 ・ 壮 瞥 町 研 究
累 積 発 生 率
15
対象:高血圧、糖尿病、高脂血症治療を行っていない男性808名
メタボリックシンドローム(+)*
10
5
メタボリックシンドローム(-)
1
2
3
追 跡 期 間
4
5 (年)
*:腹囲(85cm以上),中性脂肪(150mg/dL以上) ,HDLコレステロール(40mg/dL未満) ,
血圧(130/85mmHg以上),空腹時血糖(110mg/dL以上)のうち,
3項目以上を満たすものをメタボリックシンドロームとした
Shimamoto K.: Nippon Rinsho,62/6,1053, 2004.
メタボリックシンドロームとは
日本人男性の4人に1人が
メタボリックシンドローム
40∼74歳男性のうち
メタボリックシンドロームが
強く疑われる人の割合
メタボリック
シンドローム
25.5%
74.5%
厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室「平成17年国民健康・栄養調査結果の概要」より作成
内臓脂肪を減らすには?
内臓脂肪を減らす基本は、まずは「運動療法」!
そして、食事療法も含めた生活習慣の是正が大切です。
まずは
運動で
減らす
食事でも
減らす
運動療法
食事療法
小島1
メタボリック症候群を防ぐ食事
急激な血糖上昇・インスリン分泌を避ける
スライド 29
小島1
小島 章裕, 2010/02/19
身体活動(運動)の効用
•加齢による体力・運動機能の
低下に対する効果
•疾病に対する予防・改善効果
•メタボリック症候群対策には、
中∼高強度の運動が有効
筋力の低下について
•日常生活 のみでは
•寝たっきり になると
•宇宙飛行 では
1年に1% 衰える
2日に1% 衰える
1日に1% 衰える
•衰えが顕著な筋肉は
上肢より下肢
大腿四頭筋
太って損なことは何か?
糖尿病・高血圧 4倍、心臓病 4倍、脂肪肝 12倍、
睡眠時無呼吸症候群 3倍、 胆石 3倍、がん(乳
がん、卵巣がん、子宮がん、胆嚢・胆管がん、腎
臓癌、前立腺がんなど)2∼5倍と起こりやすい。
問題は、病気が起こりやすいことだけではなく、
「あなたの大切な何か」を失うことになる
例:心地良く・快適な時間、空間などがなくなる?
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