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名古屋家庭裁判所
2006・11発行 記 第3号 第2号 事 * 家庭裁判所の仕事-少年部について- * 家裁本庁の各職場から * 特集-管内支部巡り(その2)-一宮支部 * 名 古 屋 家 庭 裁 判 所 委 員 会 だより * ダイヤルインのお知らせ * ご 存 じ で す か ? 裁 判 員 制 度(3 ・・・ 1 ・・・ 2 ・・・ 3~5 ・・・ 6 ・・・ 6 ) ・・・ 7 (名古屋地方・家庭裁判所一宮支部庁舎) 名古屋家庭裁判所 ウェブサイトアドレス http://www.courts.go.jp/ 家庭裁判所の仕事-少年部について- 家庭裁判所(家裁)の仕事には,家庭内の事件や紛争を解決するほかに,家庭の保 護下にある未成年者が非行(概ね成人の犯罪に相当)を犯した場合の処遇をどうする かという職務があります。それを担当する少年部は,非行を犯した少年(少女を含み ます。)が,将来再非行を犯さず,健全に育成することを目指しています。少年部のモ ットーが,「少年に希望(光)を」と言われるのもそのためです。 大人の犯罪は,原則として,犯した罪の大きさに相応した刑罰(懲役,罰金等)が 科せられます。もちろん少年の場合にも,非行の内容や年齢等によって刑罰を科せら れることもありますが,原則として処罰はありません。少年院への収容も,処罰では なく,もはや社会内での更生や指導が困難なことから,施設内で,専門的な指導,教 育すること(だから「処遇」と言います。)がその目的なのです。 少年は,身体も,精神も大人になる発達途上にあります。家裁は,なぜ少年が非行 に陥ったか,そしてその少年が,非行から立ち直って,健全に成長することができる か,できるとしたらどういう処遇をしたらよいかを探求し,最終的な判断をするとこ ろです。それゆえ単に非行の大小や内容だけで処遇を決定するのではなく,少年の過 去から現在までの生いたち,家族の状況,環境,少年の性格,疾患等々,非行に至る あらゆる要因について調査検討します。家裁には,そのための心理学,社会学や教育 学,医学の専門家である調査官や技官(医師)がいます。裁判官は,少年,保護者や 付添人(弁護士等)のほかに,これら調査官,技官の意見を十分に聞いて,少年が二 度と非行に陥らないよう最終判断をします。 だから非行は重大でなくとも,少年が立ち直るための最善の方策として,少年院で の処遇を選択することもあり得ます。しかし,少年の健全な成長,発達の最高の良薬 は,家族,学校,地域社会,職場の愛情であることを決して忘れてはなりません。 名古屋家庭裁判所少年部総括裁判官 に 丹 -1 - わ 羽 ひ 日 で 出 お 夫 家裁本庁の各職場から 家 事 部 平成18年4月1日に施行された障害者自立支援法に関連して, 知的障害児施設等の利用が原則として契約方式によることとなっ たため,全国的にかなりの数の成年後見事件の申立てがなされて います。 名古屋家裁でも本庁・支部合わせて数百件規模の申立てがあり, 本庁においても,集中面接日を複数回設定し,大会議室を利用し て多数の申立人との個別の面接を実施しました。 これまでの成年後見事件の年間申立件数を既に上回る数となっ ていますが,少しでも早く審判をお出しすることができるよう, 各職員とも額に汗して奮闘しています。 少年書記官室では,裁判官,家庭裁判所調査官と一体となって 少年の保護育成に日々努力しています。 少年書記官室 最近では,少年の立ち直りのきっかけをつかむ方法として,少 年,保護者,それに裁判所職員などが一緒になって社会奉仕作業 をするなどの工夫をしたり,被害者への配慮を充実させるため,被害者の方に,被害者 に関する諸制度をお知らせしたり,実情や事件に対する思いをお尋ねしたりするなどの 取組も行っています。 その他,模擬審判などの広報活動にも力を入れています。 家庭裁判所では,非行を犯した少年に対して,同じ過ちをくりか 調査官室 えさないために,家庭裁判所調査官が中心となって,様々な教育的 な働きかけをしています。 一例を紹介しますと,少年や保護者との面接で,少年が犯した行いの悪さや環境上の問 題を振り返らせるほか,少年を保護者とともに老人福祉施設に通わせてお年寄りの介護の 補助をさせたり,地域の清掃を行わせたりしています。また,被害者の立場や気持ちを考 える講習や無免許運転の危険性を学ぶ講習等も行っています。このような働きかけによっ て,少年が自分の行いの社会的な影響を改めて受け止め,人への思いやりの気持ちを持ち, 社会とのつながりを自覚する機会となって,非行からの立ち直りの一助となるようにして います。 -2 -