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酸化亜鉛超微粒子の抗菌抗黴防臭効果(PDF:380KB)

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酸化亜鉛超微粒子の抗菌抗黴防臭効果(PDF:380KB)
ADVANCED MATERIAL Technical Report
酸化亜鉛超微粒子の抗菌抗黴防臭効果
はじめに
弊社では従来、酸化亜鉛超微粒子を紫外線遮蔽材として多様な用途に販売してきました
が、この機能に加えて更に抗菌・抗黴・防臭性を有する事を確認いたしました。従来の抗菌・
抗黴・防臭剤の大部分は有機系化合物であり、樹脂からのブリードアウトや効果の持続性等
の点で問題が指摘されることがあり、また人体や食品に接触するような使い方では安全面で
使いにくいものもあったようです。この点、酸化亜鉛超微粒子は樹脂への分散のメカニズムよ
りブリードアウトの問題が無く、また無機化合物なので安定した効果を持続します、更に、酸化
亜鉛は化粧品原料基準や日本薬局方に記載されている原料で、人体に対して安全性の高い
無機物質です。
弊社の酸化亜鉛超微粒子は独自の製法により、非常に微細な粒子径を有するもので表面
積が通常の酸化亜鉛よりはるかに大きいことに起因して、抗菌・抗黴・防臭性が大きくなって
おります、また微細であることから可視光をほとんど吸収することが無く、分散性の高い状態
で使用するならば、透明性を維持する為に素材の元の色調を変化させることが無く、この意味
で汎用性があります。また一部の銀等を用いた無機系の抗菌・抗黴・防臭剤と異なり、経時変
化によって着色すことがないので、使い易いものと言えます。
このように、酸化亜鉛超微粒子はその透明性、無着色性、安全性等の特徴故と広汎な用
途展開が期待できると思われます。
次項より、主に酸化亜鉛超微粒子の粉末の試験データを載せてあります。これより、酸化
亜鉛超微粒子が有効な抗菌・抗黴・防臭性を有する事が確認できました。今後、更に菌種、臭
気源を拡大してデータの収集を継続してゆく予定です。また、酸化亜鉛の塗布フィルムや練り
込みフィルム等の評価試験も、更に追加して行なっております。随時、データがまとまり次第、
御報告させて頂く所存です。
今後とも、弊社酸化亜鉛超微粒子の御愛顧を宜しくお願い致します。
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Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd.
2003.01
ADVANCED MATERIAL Technical Report
試験結果概要
酸化亜鉛の抗菌・抗黴性や防臭効果俸一般に文献等で知られているところですが、弊社
の酸化亜鉛は超微粒子であることより更に大きな効果が確認されております。今回.は酸化亜
鉛超微粒子のこれらの特性の有効性を確認する為の基礎データを主に載せました。比較の
為に、他社の銀糸無機材料の試験を同時に行いました。
抗菌・抗黴性試験は弊社の中央研究所にて試験を行ない、防臭性試験は(財)日本食品分
析センターにて行ないました。
抗菌性では、試験(1)、試験(2)で、ハローテストと最小発育阻止濃度(MIC)により、酸化亜鉛
超微粒子の粉末自体の抗菌性能を見ております。今回、ハローテストでは6 種の菌について
試験を行い、それぞれに阻止円が現れており、M 工C では低濃度での使用において、十分な
優れた抗菌効果が確認されました。特に、銀系の無機抗菌材である他社品A との比較におい
て、酸化亜鉛はハローテストでの阻止円が小さく、MIC ではより強い抗菌性を示しております。
このことより、酸化亜鉛超微粒子が非溶出型の優れた抗菌材で、効果の持続性及び安全性
の点で、優れた材料であることがわかります。
試験(3)、試験(4)には、塗布フィルム、練り込みフィルムにおける、抗菌性試験結果を載せ
てあります。
抗黴性試験(試験(5))ではクロカビに特に有効であり、他の3種のカビにも一定の効果が確
認されました。又、同様な試験法で、白癬菌に対しても有効な効果が確認されました。又、MIC
測定結果については、ZnO -100 だけですが併せて載せておきました。
防臭効果試験では、試験(6)の足臭の主原因であるイソ吉草酸において、比較の粒状活性
炭より速やかな消臭効果が確認され、アンモニアに対しても十分な消臭効果があることがわ
かります。又、試験(7)の練り込みフィルムでは、銀系の他社品A との比較試験で、酸化亜鉛
超微粒子の練り込みの方が、速やかな消臭効果を示しております。これは、酸化亜鉛超微粒
子の使用による防臭効果として、臭気発生源である菌の発生を抑え、菌に起因する臭いを防
ぐと共に、アンモニア等の菌によって生み出されたもの以外の臭い成分に対しても、有効であ
ることがわかります。
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(1)酸化亜鉛超微粒子粉末の抗菌性試験(ハローテスト)
試験物質
試験菌
培地
試験法
:
:
:
:
ZnO − 100、ZnO − 200、ZnO − 200 キトサン2%処理
黄色ブドウ球菌、大腸菌、サルモネラ菌、肺炎桿菌、緑膿菌
普通寒天培地、普通ブイヨン培地
試験菌をそれぞれ普通ブイヨン培地中24 時間培養したのち、102 希釈し、各
0.1ml ずつ普通寒天培地に播種した。菌を接種した寒天培地上に被験物質の
周囲にできた阻止帯の幅を測定した。菌を接種した寒天培地上に被験物質を
載せ、48 時間培養したのち、被験物質の周囲にできた阻止帯の幅を測定し
た。
普通寒天培地
肉エキス
ペプトン
NaCl
寒天
pH7.0
普通ブイヨン培地
3g
肉エキス
ペプトン
10g
NaCl
5g
3g
10g
5g
15g
1L
pH7.0
1L
阻止帯(菌が発育していない部分)
被験物質
菌が発育している部分
表1 酸化亜鉛超微粒子の抗菌性試験(ハローテスト)
種類
ZnO-100
ZnO-200
菌類
S.aureus
1.4
0.9
グラム 黄色ブドウ球菌
陽性菌 B.subtilis
6.7
6.7
枯草菌
E.coli
2.0
1.6
大腸菌
Sal.typhi
2.0
1.8
グラム サルモネラ菌
陰性菌 K.pneumo
2.4
1.6
肺炎桿菌
P.aerugi
△
△
緑膿菌
* △ : 阻止帯は認められないが、接触面に菌が生えていない
分類
ZnO-200
キトサン処理
他社品(A)
0.6
3.4
6.0
5.5
1.5
4.2
1.5
3.6
1.5
3.4
△
5.9
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(2)酸化亜鉛超微粒子粉末の抗菌性試験
酸化亜鉛超微粒子の抗菌力を評価する上で、一般細菌について最小発育阻止濃度(MIC)
を測定した。比較の為に、他社の銀系無機抗菌剤についても同時に測定をしました。
試験概要
: 試験菌をそれぞれ普通ブイヨン培地中24 時間培養したのち、102 希釈し、各0
任意濃度に酸化亜鉛超微粒子を添加した培地に、接種用菌液を接種培養後、
発育が阻止される最小濃度をもって最小発育阻止濃度とした。
表2 酸化亜鉛超微粒子の最小発育阻止濃度(MIC)
ZnO-100
ZnO-200
ZnO-200
キトサン処理
他社品(A)
黄色ブドウ球菌
125
125
125
500
枯草菌
62
125
125
500
大腸菌
500
1000
1000
500
サルモネラ菌
500
1000
1000
500
肺炎桿菌
125
250
250
500
>2000
>2000
>2000
500
菌類
緑膿菌
種類
単位 : ppm
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(3)酸化亜鉛超微粒子を塗布したフィルムの抗菌性試験
試験物質
: 塗布フィルム
: 基材
: 塗布法
: 乾燥膜厚
: 塗布サンプル
:
:
:
:
; PET フィルム
; バーコーダー
; 4µm
アクリル系バインダー(固形分中ZnO 量25%)
アクリル系バインダー(固形分中ZnO 量75%)
塩ビ系バインダー(固形分中ZnO 量25%)
塩ビ系バインダー(固形分中ZnO 量50%)
試験菌
: 黄色ブドウ球菌
培地
: 普通寒天培地、普通ブイヨン培地、リン酸生理援衝液
試験法
: 菌液を普通ブイヨン培地で24時間培養し、リン酸生理援衝液で希釈し試験菌
液とした。栄研スクリューカップ中に4×4cm の塗布フィルムを入れ、これに試
験菌液0.1ml を添加した。添加直後、及び37℃で24Hr 保存後に、無菌生理食
塩水にて洗い出し、その生菌数を測定した。
表3 酸化亜鉛超微粒子の塗布フィルムの抗菌性試験
生菌数(cell/ml)
フィルム
減菌率(%)
未塗布フィルム
(0 H)
1.55×106
未塗布フィルム
(24 H後)
1.96×106
アクリル系 25%
(24 H後)
2.29×104
30.7%
アクリル系 75%
(24 H後)
1.02×102
68.1%
塩ビ系 25%
(24 H後)
3.30×104
28.2%
塩ビ系 50%
(24 H後)
5.10×102
57.0%
※減菌率(%)
=(log 対照の生菌数− log 検体の生菌数)/ log 対照の生菌数* 100
有効 > 26%
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(4)酸化亜鉛超微粒子を練り込んだフィルムの抗菌性試験
LLD − PE(ZnO − 100 3% 添加)
LLD − PE(ZnO − 100 5% 添加)
LLD − PE(無機系他社品A 3% 添加)
試験物質
: 練り込みフィルム
試験菌
: 黄色ブドウ球菌
培地
: 普通寒天培地、普通ブイヨン培地、リン酸生理援衝液
試験法
: 菌液を普通ブイヨン培地で24 時間培養し、リン酸生理援衝液で希釈し、
106cell/mlの試験菌液とした、減菌済みの100ml 三角フラスコに2×2cm の上
記フィルムを10 枚入れ、そこに試験菌液10ml を添加し、27℃で20 時間振盪
後、試験菌液を適宜希釈して生菌数を測定した。
表4 酸化亜鉛超微粒子の練り込みフィルムの抗菌性試験
生菌数(cell/ml)
フィルム
減菌率(%)
LLD-PE (無添加
: 0 H 後)
2.62×106
LLD-PE (無添加
: 24 H 後)
1.98×105
LLD-PE (ZnO
3% : 24 H 後)
4.23×104
12.7%
LLD-PE (ZnO
5% : 24 H 後)
4.13×104
12.9%
LLD-PE (他社品 3% : 24 H 後)
5.18×104
11.0%
※減菌率(%)
=(log 対照の生菌数− log 検体の生菌数)/ log 対照の生菌数* 100
有効 > 26%
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(5)酸化亜鉛超微粒子粉末の抗菌性試験
試験物質
: ZnO − 100、ZnO − 200、ZnO − 200 キトサン2%処理他社品A
試験菌
: クロコウジカビ、クロカビ、ケタマカビ、ツチアオカビ、白蘚菌、カンジタ菌、ビー
ル酵母菌
培地
: ポテトデキストロース寒天培地+ CM、サブロー寒天培地
試験法
: 試験菌をPDA で14 日、前培養し、リン酸生理食塩水(0.02%TWEEN80)に胞子
を懸濁し、胞子懸濁液を作成した。所定の濃度(1%、2.5%、5%、10%)に被験物質
を混和したPDA(又はサブロー寒天培地)に、胞子懸濁液を1エーゼずつ接種し
た。カンジタ菌、ビール酵母菌は3 日後、白癬菌は、7 日後、クロコウジカビ、ク
ロカビ、ケタマカビ、ツチアオカビは3、7、10、14 日後培地上で(表は14 日後)
に観察した。
備考
: 別に、MIC 測定結果を表中( )内に載せてあります。(単位ppm)
表5 酸化亜鉛超微粒子の抗黴性(2.5%濃度)
菌類
Asp. nigger
クロコウジカビ
Clad. cladospo
クロカビ
Cheatomium sp.
ケタマカビ
Trichoderma sp.
ツチアオカビ
Trichophyton
白癬菌
種類
ZnO-100
ZnO-200
ZnO-200
キトサン処理
他社品(A)
±
±
±
-
-
-
±
±
-
±
±
-
-
-
-
±
±
-
-
-
-
±
(>2000)
(2000)
±
(500)
±
(500)
(1000)
Candida albicans
カンジダ菌
Saccha. serevisiae
ビール酵母菌
±
(2000)
(1000)
アオカビ
(>2000)
アカカビ
(>2000)
クモノスカビ
(>2000)
− : カビの発育は認められない。
± : カビの発育は僅かに認められる。
+ : カビの発育が認められる。
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(6)酸化亜鉛超微粒子粉末の脱臭効果試験
① イソ吉草酸での脱臭効果試験
試験物質
: 酸化亜鉛超微粒子 ZnO − 200
対照として粒状活性炭
試薬及び器具
: におい袋((株)アレックス商会)
イソ吉草酸(東京化成工業(株))
ガス検知管((株)ガステック)
試験法
: 試験物質1g をにおい袋(25*25cm)に入れ、ヒートシールを施したのち、窒
素ベースのイソ吉草酸1L(約50ppm)を封入した。これを室温下で放置し、
ガス検知管により、経時的に袋内の残存ガス濃度を測定した。又、試料を
入れずに同様な操作を行い、空試験とした。
55
50
ガス濃度(ppm)
40
25
:ZnO-200
:粒状活性炭
:空試験
23
9
9
7
7
0
40
0
30
6
5
7
60
180
経過時間(min)
図1 酸化亜鉛超微粒子のイソ吉草酸での脱臭効果試験
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(6)酸化亜鉛超微粒子粉末の脱臭効果試験
② アンモニアの脱臭効果試験
試験物質
: 酸化亜鉛超微粒子 ZnO − 200
試薬及び器具
: におい袋((株)アレックス商会)
アンモニア水(小宗化学薬品(株)、特級)
ガス検知管((株)ガステック
試験法
: 試験物質1gをにおい袋(25*25cm)に入れ、ヒートシールを施したのち、窒素
ベースのアンモニア(約500ppm)を封入した。これを室温下で放置し、ガス
検知管により、経時的に袋内の残存ガス濃度を測定した。又、試料を入れ
ずに同様な操作を行い、空試験とした。
500
ガス濃度(ppm)
500
500
400
400
300
300
250
240
200
200
:ZnO-200
:空試験
100
0
0 1
3
24
6
経過時間(Hr)
図2 酸化亜鉛超微粒子のアンモニアでの脱臭効果試験
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(7)酸化亜鉛超微粒子の練り込みフィルムの脱臭効果試験(イソ吉草酸での脱臭効果)
① イソ吉草酸での脱臭効果試験
試験物質
: 酸化亜鉛超微粒子練り込みフィルム
他社品無機系抗菌剤練り込みフィルム
酸化亜鉛超微粒子練り込みフィルム
試薬及び器具
: におい袋((株)アレックス商会)
イソ吉草酸(東京化成工業(株))
ガス検知管((株)ガステック)
試験法
: 試験物質にヒートシールを施し、20*30cm の袋状にした後、窒素ベースの
イソ吉草酸1L(約50ppm)を封入した。これを室温下で放置し、ガス検知管
により、経時的に袋内の残存ガス濃度を測定した。又、におい袋(20*30cm)
を用いて同様な操作を行い、空試験とした。
50
: LLD-PE(ZnO-100 3wt.% 添加)
: LLD-PE(他社品A 3wt.% 添加)
: LLD-PE(無添加)
48
43
42
40
40
ガス濃度(ppm)
35
:PE+ZnO
:PE+他社品
:PE
:空試験
30
23
21
20
17
15
10
10
12
9
5
2
5
0
0
30
3
60
180
360
経過時間(min)
図3 酸化亜鉛超微粒子の練り込みフィルムの脱臭効果試験(イソ吉草酸)
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