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繊維向紫外線遮蔽・抗菌防臭用後加工仕上剤(PDF
ADVANCED MATERIAL Technical Report 繊維向 紫外線遮蔽・抗菌防臭用後加工仕上剤 (ZW コ−ト液・ZE コ−ト液) 1.はじめに 住友大阪セメントの、無機系超微粒子をフィラーとする紫外線遮蔽・抗菌防臭用後加工仕 上剤「ZWコート液」・「ZE コート液」は、綿・アクリル・ポリエステル等の天然繊維、合成繊維及 びそれらの混紡繊維を対象として・パディング法・コーティング法等による後仕上加工によって 紫外線遮蔽機能・抗菌防臭機能を同時に付与することのできる仕上剤です。 本仕上剤で処理後の加工布は、優れた紫外線遮蔽効果が得られるのみならず、グラム 陰性菌・陽性菌のどちらの菌に対しても高い抗菌力を示し、又、細菌に起因するさまざまな不 快臭を低減する効果があります。 又、フィラーとして使用されている無機系超微粒子は、後述するように無機化合物なので 人体等に対する安全性に優れており、繊維に安心して御使用頂けます。 2.特長 「ZW コート液」・「ZE コート液」の主な特長は次に示す通りです。 (1)複合機能がある フィラーとして用いられている無機系超微粒子は紫外線遮蔽機能と、抗菌防臭機能を有 しているので、パディング法・コーティング法等を用いて後加工することにより繊維にこれら 両機能を同時に付与することができます。 (2)透明である フィラーが可視光線波長の数十分の1の粒径を有する超微粒子である為、本仕上剤に よって形成される繊維表面のコーティング層は極めて透明性に優れたものとなり、この為本 仕上剤で後処理された布地は、白無地の場合は本来の白さを変らず維持し、又色物の布 地の場合でも、その色合いがほとんど変化することがありません。 (3)安全である 前述したようにフィラーとして用いている無機系超微粒子は化粧品原料基準等をクリア しており、純度に優れたもので(表1参照)、又、急性毒性試験、変異原性試験及び皮膚一次 刺激性試験の結果も表2 に示すように全く問題の無いものとなっています。この為安心して 御利用頂けます。 1 Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd. 2004.10 ADVANCED MATERIAL Technical Report 2.特長 表1. 超微粒子フィラーの純度 項目 規格値 試験方法 (実績例) 鉄(及び重金属類) 0.02%以下 ICP (70ppm, Fe : 6ppm) 鉛 20ppm以下 ICP (ND) 砒素 2ppm以下 ICP (ND) 表2. 超微粒子フィラーの安全性試験結果 急性毒性試験 *1) ラットへの経口投与で、LD50値は2000mg/Kg以上 急性毒性試験 *2) ラットへの経皮投与で、LD50値は2000mg/Kg以上 変異原性試験 *1) 陰性(Ames test) 皮膚一次刺激性試験 *2) ウサギの皮膚への投与で、刺激性なし *1) (財)日本食品分析センターの試験結果 *2) EVIC−CEBA(仏)の試験結果 2 Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd. 2004.10 ADVANCED MATERIAL Technical Report 3.種類と物性 「ZW コート液」・「ZE コート液」の種類を表3 に示します。 表3. 種類と物性 種類 項目 バインダーの有無 ZWコート液 ZW−143 ZEコート液 ZE−143 バインダー含有せず (水分散品) バインダー含有 (アクリル系バインダー) 媒体 商品形態 水 二液 一液タイプ PH 10∼11 イオン性 アニオン 不揮発分 30% 「ZWコート液」はバインダーを含んでいませんので、使用する場合は、耐洗濯性・布地の風 合い等を考慮して、適当なバインダーを選定し併用することが必要です。 一方、「ZE コート液」はアクリル系バインダーが付加されていますので、これを御使用下さ い。また耐洗濯性の向上の為、硬化剤の使用も可能です。 なお、ZE コ−ト液使用の際の標準的な配合は次の通りです。 主剤A(フィラー水分散品) 主剤B(バインダー) 100 重量部 100 重量部 3 Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd. 2004.10 ADVANCED MATERIAL Technical Report 4.使用方法 次に「ZW コート液」・「ZE コート液」を用いる際の標準的なパディング処理方法を示します。 ZWコート液・ZEコート液の希釈 布地 添加率は表4参照 パディング 絞り 綿布系絞り率70∼80wt% ポリエステル布系絞り率50∼60wt% 乾燥 100℃×2分 キュアリング 160℃×2分、又は 180℃×1分 表4. 各機能付与の為の標準的な添加率 付与機能 (wt%) 紫外線遮蔽 抗菌防臭 抗菌防臭のみ ZWコート液 2.5∼5.0 1.5∼2.0 ZEコート液 5.0∼20.0 2.5∼3.0 種類 なお、ZE コート液の添加率は主剤A、B 二液の合計の重量での添加率となります。 4 Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd. 2004.10 ADVANCED MATERIAL Technical Report 5.実施例 5-1 紫外線遮蔽機能・抗菌防臭機能の同時付与 <処理条件> ・布地 綿ニット ・仕上げ剤 ZE-143 ・パディング条件 乾燥 パッド → 80wt%絞り 100℃×2分 ・仕上げ剤添加率 5wt%, 10wt%, 20wt% → キュアリング 160℃×2分 分光透過率(%) 30 20 未処理布 10 5wt% 10wt% 20wt% 0 300 350 400 450 500 550 波長(nm) 図1.ZE-143 添加率の分光特性に与える影響 図1より5wt%以上の添加率で、綿布に対し十分な紫外線遮蔽機能を付与することができる ことがわかります。 5 Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd. 2004.10 ADVANCED MATERIAL Technical Report 5.実施例 次にZE − 143 でパディング処理した時の耐洗濯性に関するデータを図2 に示します。 ・洗濯方法 ・洗剤 ・洗剤量 JIS L 027.103号 モノゲンユニ 2g/1 40 10回洗濯品 分光透過率(%) 30 20 10 未洗濯品 0 300 350 450 400 500 550 波長(nm) 図2.ZE-143 処理布の耐洗濯性 (ZE-143 10wt%添加品) 6 Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd. 2004.10 ADVANCED MATERIAL Technical Report 5.実施例 5-2 抗菌防臭機能の付与 <処理条件> ・布地 綿ニット、及びポリエステルトロピカル ・仕上げ剤 ZE-143 ・パディング条件 5-1と同様 ・洗濯方法 5-1と同様 表5. 抗菌性試験(菌数測定法 黄色ブドウ状球菌使用) 布・洗濯条件 綿ニット ポリエステルトロピカル 洗濯前 10回洗濯後 洗濯前 10回洗濯後 2.5 5.5 5.7 5.0 5.3 10.0 5.7 6.0 5.4 5.7 仕上剤添加率(wt%) (注)1)(財)日本紡績検査協会の試験結果 2)表中の数値は菌数増減値差 SEK基準では1.6以上で合格 表5より綿布、ポリエステル布共に2.5wt%以上の添加率で十分な抗菌性能が付与されてお り、10回洗濯後も抗菌性は保持されています。 7 Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd. 2004.10 ADVANCED MATERIAL Technical Report 6.おわりに 本技術資料では主にパディング処理に関し詳しく述べてきましたが「ZWコート液」・「ZEコー ト液」は繊維に対するコーティング処理の為に使用することもできます。 コーティング処理により繊維表面にコーティング層を形成せしめることで、紫外線遮蔽機 能及び抗菌防臭機能の同時付与以外に、繊維の耐光性向上(黄変防止等)、繊維上の染料の 退色防止等を行うことが可能です。 繊維のコーティング処理には、「ZWコート液」・「ZE コート液」以外に弊社の溶剤系コーティ ング液「ZRコート液」・「ZSコート液」を使用することもできます。この件に関し詳しくお知りになり たい場合は、弊社まで資料を御請求下さい。 「ZW コート液」・「ZE コート液」、更には「ZR コート液」・「ZS コート液」の広汎な御利用をお 待ち申し上げております。 (以上) 8 Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd. 2004.10