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リポート - みずほ総合研究所
リポート 2002 年 11 月 19 日発行 住宅価格の上昇に支えられる 英国経済 本誌に関するお問い合わせは みずほ総合研究所株式会社 調査本部 電話(03)3201-0531 まで。 要旨 1. 英国経済の 2002 年 7∼9 月期の実質 GDP 成長率は前期比 0.7%(前年比 1.7%)とな った。年間の成長率は 1%台半ばが見込まれており、停滞感が強まりつつあるユーロ圏 経済と比べ堅調な推移を続けている。 2. 需要項目別に見ると、固定資本形成と輸出の不振が続く一方で、個人消費が景気のけ ん引役となっている。個人消費が堅調に推移している背景の 1 つとして良好な雇用環 境が挙げられる。非製造業、特にサービス業の雇用が拡大して製造業の雇用削減分を 十分吸収しているほか、政策面からの寄与もあり、10 月の失業率は 3.1%と 27 年ぶり となる低水準を維持している。 3. 住宅価格の上昇が続いている影響も大きい。良好な雇用環境、38 年ぶりの低金利、需 給のアンバランス、住宅投資への信頼などから住宅価格の上昇が続いており、前年比 で見た上昇率は 10 月も 20%を上回った(ハリファックス調査では前年比 30.6%、ネ ーションワイド調査では同 24.0%)。低金利を背景に住宅抵当融資も引き続き活発な 状況にあり、なかでも MEW(住宅抵当融資のうち住宅取得に充てられる部分を除いた もの)の伸びが顕著となっている。MEW は 4∼6 月期には統計開始以来、初めて 100 億ポンドを超え、税引き後所得に対する比率も 90 年代初めの住宅バブル期並みの水準 にまで上昇している。 4. 企業部門と家計部門の二極化が鮮明となるなか、英国中央銀行(イングランド銀行、 BOE)は難しい金融政策運営を余儀なくされている。11 月の金融政策委員会(MPC) では政策金利は据え置かれたが、10 月の MPC 議事録を見ると 3 人の委員が利下げを 支持しており、金融緩和が視野に入りつつあることが分かる。海外景気の低迷と企業 景況感の悪化から BOE が近々利下げに踏み切る可能性も高まっているが、一方では住 宅価格の上昇や内需の過熱に対する懸念は依然として払拭できず、目標を下回って推 移する基礎インフレ率には上昇の兆しが見られ始めている。景気の下ぶれと住宅バブ ルの発生をともに回避すべく、BOE には今後も機動的かつ慎重な政策運営が求められ よう。 (国際調査部 山本 均) 目次 1. はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2. 停滞感を強める企業部門・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 3. 好調を持続する家計部門・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 (1) 良好な雇用環境 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 (2) 住宅価格の上昇 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 (3) 住宅抵当融資・消費者信用の増加 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 4. 物価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 5. 金融政策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 1. はじめに 英国経済の 2002 年 7∼9 月期の実質 GDP 成長率は前期比 0.7%(前年比 1.7%)となり、 4∼6 月期(前期比 0.6%、前年比 1.3%)に続いて景気が概ね堅調に推移していることが示 された。年間の成長率は 1%台半ばが見込まれており、1%割れが確実視されるユーロ圏と の格差は歴然としている。 英国の実質 GDP 成長率を需要項目別に見ると、 固定資本形成と輸出の不振が続く一方で、 堅調に推移する個人消費が景気をけん引していることが分かる(図表 1、2)。 このように停滞感を強める企業部門と好調を持続する家計部門という二重構造が続くな か、英国中央銀行(イングランド銀行、BOE)は難しい金融政策運営を余儀なくされてい る。 以下、最近の英国経済と金融政策の動向について概観したい。 図表 1:実質GDP成長率(前期比) (前 期 比 、 % ) 2.5 実 質 GDP成 長 率 2.0 1.5 外需 1.0 0.5 個人消費 0.0 政府消費 ▲ 0.5 固定資本形成 ▲ 1.0 在庫 ▲ 1.5 97 98 99 00 (注)実質 GDP 成長率の需要項目別寄与度(前期比)。 (出所)英国統計局 1 01 02 図表 2:実質GDP成長率(前年比) (前 年 比 、 % ) 6 実 質 GDP成 長 率 5 4 政府消費 3 2 1 個人消費 0 固定資本形成 ▲ 1 在庫 ▲ 2 外需 ▲ 3 ▲ 4 97 98 99 00 01 02 (注)実質 GDP 成長率の需要項目別寄与度(前年比)。 (出所)英国統計局 2. 停滞感を強める企業部門 2001 年には世界的な情報技術(IT)分野の需要低迷に加え、米国同時多発テロの影響を 受けて海外景気が急激に減速したことから、英国でも企業の生産活動が大きく落ち込んだ。 その後 2002 年の春先には米国を始めとする海外景気の回復期待を背景にいったんは改善に 向かったものの、米国やドイツの景気の先行き不透明感が強まった夏場以降、企業の生産 活動は再び停滞に向かっている。 生産指数を見ると、英国の 9 月の鉱工業生産は前年比▲2.5%と引き続き低調で、前月比 (▲0.3%)でも 8 月に続いて減少した。鉱工業生産のうち、製造業は前月比▲0.4%、前年 比▲2.6%となっている(図表 3)。 2 図表 3:生産動向 (前 年 比 、 % ) 8 6 鉱工業生産 4 2 0 ▲ 2 ▲ 4 ▲ 6 ▲ 8 製造業生産 ▲ 10 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 (出所)英国統計局 英国産業連盟(CBI)の四半期製造業動向調査からは、事業の先行きに対する悲観論が急 激に高まっている様子が窺える。CBI の調査に対し、先行きに「楽観的」と答えた企業の 割合から「悲観的」と回答した企業の割合を差し引いた指数は 10 月には▲19 まで落ち込ん だ。月次の調査を見ても、夏場以降企業の受注判断が悪化傾向に転じているうえ、在庫の 過剰感も強まり始めていることが分かる(図表 4、5)。 図表 4:CBI 企業調査(四半期) (D I) 40 30 20 10 0 ▲ 10 ▲ 20 ▲ 30 ▲ 40 ▲ 50 ▲ 60 ▲ 70 91 92 93 94 95 96 (注)製造業景況感。 (出所)CBI 3 97 98 99 00 01 02 図表 5:CBI 企業調査(月次) (D I) (D I) 20 0 受 注 (左 目 盛 ) 10 5 0 ▲ 10 10 ▲ 20 15 ▲ 30 ▲ 40 20 ▲ 50 25 ▲ 60 完 成 品 在 庫 (右 逆 目 盛 ) ▲ 70 30 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 (注)製造業景況感。 (出所)CBI 3. 好調を持続する家計部門 このように企業部門が停滞感を強めているのとは対照的に、家計部門は好調を維持して いる。 小売売上数量の前年比を見ると、やや鈍化したとはいえ依然 4%台後半の伸びを示してお り(9 月:4.6%)、家計の積極的な消費行動が持続している様子が窺える(図表 6)。 消費者マインドも景気の先行き不透明感の高まりを背景に楽観的な見方がやや後退し始 めているが、過去の水準と比べても概ね良好な水準を維持している(図表 7)。 図表 6:小売売上数量の推移 (前 年 比 、 % ) 8 6 4 2 0 ▲ 2 ▲ 4 91 92 93 94 95 96 97 (出所)英国統計局 4 98 99 00 01 02 図表 7:消費者信頼感の推移 ( D I) 15 10 5 0 ▲ 5 ▲ 10 ▲ 15 ▲ 20 ▲ 25 ▲ 30 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 (出所)GfK (1) 良好な雇用環境 家計の消費行動を支える要因の1つは、良好な雇用環境に求められる。英国の失業率は 93 年以降改善が続いており、現在では 3%台前半まで低下している(10 月:3.1%、図表 8)。 失業率の低下が続いている背景には、①非製造業、特にサービス業の雇用が大きく拡大 し、製造業の雇用削減分を十分に吸収していること、②フルタイム労働者のパートタイム へのシフトが進んでいること、③フルタイム労働者の労働時間短縮により企業側のコスト が削減されていること、などが挙げられる。 図表 8:雇用動向 (万 人 ) (% ) 10 350 300 失 業 率 (右 目 盛 ) 8 250 失 業 者 数 (左 目 盛 ) 200 150 6 4 100 2 50 0 0 91 92 93 94 95 96 97 (出所)英国統計局 5 98 99 00 01 02 政策面でも、失業手当制度が縮小された一方で、職業訓練制度の充実が図られているほ か、業種別最低賃金の廃止、労働組合の弱体化などにより労働市場の柔軟化が進んでいる。 さらに、景気刺激的な財政運営が行われて、公的部門や公共投資関連の建設部門の雇用が 安定的に伸びていることも失業率の低下に寄与している。 ユーロ圏、特にドイツなどでは雇用情勢の悪化が顕著となり、消費者マインドへの悪影 響が指摘されているが、英国では対照的に失業率が 27 年ぶりとなる低水準を維持し、消費 を下支えしている。 (2) 住宅価格の上昇 次に資産価格の動向について見てみると、世界的に株価の下落傾向が続くなか、英国で も株価下落が顕著となっている。代表的な指標 FTSE100 について見ると、最近では 4000 を割り込む局面もあり、年初の水準からおよそ 20%下落している。ピークをつけた 99 年末 の水準と比べるとおよそ 40%の下落となっており、本来ならば株価下落がもたらす消費者 マインドへの悪影響が懸念されても不思議ではない(図表 9)。 図表 9:株価の推移 (IND EX ) 7000 6500 6000 5500 5000 4500 4000 3500 3000 2500 95 96 97 98 99 00 01 02 (注)FTSE100 の推移。 (出所)Bloomberg しかし、株価が下落する一方で住宅価格が大きく上昇しており、現段階では株価下落が 消費者マインドに与えるインパクトが住宅価格上昇によって打ち消されていると想定され る。 住宅価格上昇率の推移を見ると、2001 年以降上昇率が急速に高まっており、現在も勢い が鈍化していないことが見て取れる。住宅金融大手のハリファックスの調査によれば、住 宅価格は 10 月には前月比 4.7%と過去最高の上昇率を記録し、前年比では 30.6%の大幅上 6 昇となった。同じくネーションワイドの調査でも 10 月は前年比 24.0%上昇している(図表 10)。 図表 10:住宅価格の推移 (前 年 比 、 % ) 35 30 25 ネ ー シ ョンワ イド 20 15 10 5 0 ▲ 5 ハ リファックス ▲ 10 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 (注)住宅価格の前年比上昇率。 (出所)ハリファックス、ネーションワイド このように住宅価格が大幅上昇している要因としては、①雇用環境の極めて良好な推移、 ②38 年ぶりの低金利を背景とした住宅金融各社の積極的な貸し出し攻勢、③極端な供給不 足1、④株式市場の不振と資産形成における住宅投資への信頼の高さ2などが挙げられる。 (3) 住宅抵当融資・消費者信用の増加 低金利環境にあって住宅価格が大きく上昇していることから、住宅を担保とした借り入 れが急速に増加している。住宅担保融資は 7 月に過去最高となる 69.7 億ポンドの増加(ネ ット)を記録した後、8 月、9 月もそれぞれ 67.3 億ポンド、68.8 億ポンド増加しており、 依然として過去最高のペースを持続している(図表 11)。 1 2 伝統の重みが好まれる英国ではもともと建物の全面的な建て替えは少ないうえ、規制が厳しく建築許可 に時間が掛かるとされている。こうしたなか住宅開発プロジェクトは極めて低水準で、総世帯数が住宅 数を上回っている。 居住用住宅のキャピタル・ゲインが非課税であること、夫婦間の相続も非課税であること、キャピタル・ ロスは無期限に繰越可能であることなど、税制面での支援策が以前から存在しており、資産形成におけ る住宅投資選好を高める要因となっている。 7 図表 11:住宅抵当融資の月間増加額 (億 ポ ン ド ) 80 70 60 50 40 30 20 10 0 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 (注)個人向け貸し出し(ネット)の月間増加額。 (出所)BOE 住宅抵当融資の増加分(ネット)のうち、住宅資産取得に充てられる部分を除いたもの は Mortgage Equity Withdrawal(MEW)と呼ばれる。BOE の推計によれば、MEW は 2002 年 4∼6 月期に統計開始以来、初めて 100 億ポンドを超えた(105.7 億ポンド)。同 期の住宅抵当融資の増加額は 186.2 億ポンドであったことから、増加額の半分以上は MEW として住宅取得以外に充てられたことが分かる。さらに、MEW の税引き後所得に対する比 率も同期には 5.9%に達しており、90 年代初めの住宅バブル期並みの水準にまで上昇して いる(図表 12)。 図表 12:MEW と税引き後所得に対する比率の推移 (億ポンド) (%) 10 120 税引き後所得に対する比率(右目盛) 100 8 MEW(左目盛) 80 6 60 4 40 20 2 0 0 ▲ 20 -2 ▲ 40 80 82 84 86 88 90 92 (出所)BOE 8 94 96 98 00 02 MEW のうち一部は金融商品での運用や無担保ローンの返済に充当されていると想定さ れるものの、BOE の実証研究によれば MEW と個人消費は相関が高いとされており、MEW の大部分は追加的な消費活動に利用されている可能性が高い。 一方、クレジットカードなど無担保の消費者信用も増加している。消費者信用の月間の 増加額は 8 月、9 月と連続して 20 億ポンドを超えており、こちらからも個人消費の過熱が 窺える(図表 13)。 図表 13:消費者信用の月間増加額 (億 ポ ン ド ) 25 20 15 10 5 0 ▲ 5 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 (注)個人向け貸し出し(ネット)の月間増加額。 (出所)BOE 4. 物価 英国の物価はこれまでのところ安定的に推移している。BOE はインフレ・ターゲットを 採用しており、モーゲージ金利支払いを除く小売物価指数の上昇率(基礎インフレ率)を 目標レンジから逸脱させないようにしている。 10 月の基礎インフレ率は前年比 2.3%となり、9 か月連続で政策目標である 2.5%を下回 った(図表 14)。世界的な生産コスト抑制や小売業者間の競争により、衣料品、自動車、 家電などの価格がこれまでに大きく低下してきたが、これら製品からの価格下押し圧力は 今後も継続するとみられる。 また、7∼9 月の平均賃金は前年比 3.8%の上昇と、過去の上昇率と比較しても穏やかな 水準にとどまっており、賃金面からの物価上昇圧力はいまだ顕在化していない(図表 15)。 ただし、基礎インフレ率は目標を下回っているとはいえ 9 月、10 月と連続して上昇して おり、今後上昇傾向が持続する兆しも見られ始めている。イラク情勢に対する思惑から原 油価格に引き続き上昇圧力がかかると見込まれるほか、ドイツ東部を今夏襲った洪水の影 響で食料品価格の上昇も予想される。さらに、失業率が低水準にあり労働需給の逼迫感が 強いことから、今後賃金からの物価上昇圧力が高まることも懸念される。 9 図表 14:基礎インフレ率の推移 (前 年 比 、 % ) 3.5 3.0 イ ン フ レ ・タ ー ゲ ッ ト 2.5 2.0 基礎 インフレ率 1.5 1.0 95 96 97 98 99 00 01 02 (注)インフレ・ターゲットは 97 年 5 月に発表され、98 年 6 月より運用開始。 (出所)英国統計局 図表 15:賃金上昇率の推移 (前 年 比 、 % ) 7 6 5 4 3 2 1 0 95 96 97 98 99 00 01 02 (注)全産業ベース。直近 3 か月の平均値。 (出所)英国統計局 BOE も 11 月 13 日に発表した四半期報告書(インフレ報告書)において、基礎インフレ 率が年末までに 2.5%を上回る可能性が高いことを認め、2003 年も年間を通して概ね高水 準で推移すると予測した。このようにインフレ見通しを上方修正したうえで、更にやや上 ぶれのリスクがあると述べている。 10 5. 金融政策 BOE は 11 月 7 日の金融政策委員会(MPC)で政策金利を据え置いた。 前日に米国で 0.5% の利下げが行われたことから、市場では BOE が追随利下げに踏み切るとの見方も強まって いたが、緩和は見送られた。昨年 11 月に 0.5%の利下げを行って以降、今回で 12 か月連続 の据え置き決定となった(図表 16)。 金融政策委員会(MPC)の議事録を見ると、8 月、9 月は全員一致で据え置きを決定して いたものの、10 月は 3 人が利下げを主張し、6 対 3 での据え置き決定となったことが分か る(図表 17)。 図表 16:MPC 採決結果 日時 2001年 9/18 10月 11月 12月 2002年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 決定 緊急利下げ 利下げ 利下げ 据え置き 据え置き 据え置き 据え置き 据え置き 据え置き 据え置き 据え置き 据え置き 据え置き 据え置き 据え置き 変更幅 ▲0.25 ▲0.25 ▲0.50 − − − − − − − − − − − − (%) 金利水準 4.75 4.50 4.00 4.00 4.00 4.00 4.00 4.00 4.00 4.00 4.00 4.00 4.00 4.00 4.00 (出所)BOE 図表 17:MPC 委員別投票動向 2002年1月 2月 ジョージ → → キング → → クレメンティ → → オールソップ → ▲25 バーカー → → ビーン → → ニッケル → → プレンダーリース → → ワドワニ → ▲25 タッカー ベル ラージ 票差 9対0 7対2 結論 据え置き 据え置き 3月 → → → → → → → → → 9対0 据え置き 4月 → → → → → → → → → 9対0 据え置き 5月 → → → → → → → → → 9対0 据え置き 6月 → +25 → → → → → 7月 → +25 → → → → → 8月 → → → → → → → 9月 → → (bp) 10月 → → → → → → ▲25 ▲25 → ▲25 → → → → → → → 7対1 据え置き 8対1 据え置き 9対0 据え置き 8対0 据え置き → → → 6対3 据え置き (注)「+」は利上げ、「▲」は利下げ、「→」は据え置きに投票。数字は利上げ(利下げ)幅。 (出所)BOE 11 10 月の時点で 3 人の委員が利下げに投票したうえ、その後米国やドイツの景気の下ぶれ リスクが一段と高まっていることから、BOE が近々利下げに踏み切る可能性は否定できな い。しかし、一方では金利を引き下げた場合には住宅価格や物価が上昇を続け、消費者の 債務が引き続き増加するとの懸念は強い。 BOE には景気の下ぶれリスクへの配慮が求められると同時に、住宅バブルの未然防止と いう使命も課せられている。BOE は今後も双方のはざまで難しい金融政策運営を余儀なく されよう。 以上 12