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コンピュータグラフィックス コンピュータグラフィックス イラストレーション

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コンピュータグラフィックス コンピュータグラフィックス イラストレーション
2009-CG-134 ( 27)
2009/2/17
社団法人 情報処理学会 研究報告
IPSJ SIG Technical Report
コンピュータグラフィックス
イラストレーション教育
-宇都宮メディア・アート専門学校での取り組みを中心とした報告-
横井由美子
宇都宮メディア・アーツ専門学校非常勤講師
概要 デジタルイラストレーション授業とCG体験学習講座についての報告
専門学校における授業では、1年次に基礎として覚えたフォトショップ、イラストレー
タ、ライトウェーブ等のソフトウエアの特性を生かして課題に即したイラストレーション
作品を制作しデジタル表現について学ぶ。CG体験学習では、小学校、PTA文化活動、
特別支援学校の文化部活動、イベント会場などでCGお絵かきや簡単なアニメーション制
作の体験学習をする。
Education of
of Computer Graphic Illustration at Utunomiya Media Arts
Arts school
Yumiko Yokoi
Artss school (PartUtunomiya Media Art
(Part-time lecturer)
The report of digital illustration class and Computer Graphic study through actual experience.
1.はじめに
1.はじめに
専門学校においてCGの授業を受け持ち20年あまりになるが、その間に様々なソフ
トウエアが開発され使用してきた、初期の時代では主にソフトウエアを覚えることに重点
をおいていたが、現在では、PCやソフトウエアの発展にともないソフトウエアの特性を
把握して作品を制作することが主になっている。鉛筆1本で絵が描けるイラストレーショ
ンの世界においてCGを使う有効性は、その利便性、効率化とともに多様な媒体への展開
があるが、新たな表現の発見という点も重要であると感じている。
2.宇都宮メディア・アーツ専門学校
2.宇都宮メディア・アーツ専門学校CG
宇都宮メディア・アーツ専門学校CG科2年デジタルイラストレーション授業の現状
CG科2年デジタルイラストレーション授業の現状
2-1・体制
宇都宮メディア・アーツ専門学校でのデジタルイラストレーションの授業は、小人数1
0~20名に講師1人という体制である。1コマ80分、2コマ 160 分の枠で実習を行っ
ている。学生は、ノート型PC、ペンタブレットを各自所有している。グラフィックソフ
トウエアは、フォトショップ、イラストレータ、ライトウェーブを使用している。1年次
にソフトウエアの使用方法を学び、2年次で課題による作品制作をしている。2年間の仕
上げとして、校外での発表の場(県立総合文化センター)で卒業制作展を開催している。
学生は、デジタルイラストレーションの授業以外に、2年間で、フォトショップ基礎、
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イラストレータ基礎、3Dライトウェーブ基礎、デッサン、造形演習、立体空間アート実
習、手描きイラストレーション実習、映像ファイナルカット・アフターエフェクト実習、
DTP実習、エディトリアル実習、Web ドリームウェバー実習、CG検定対策、色彩検定
対策、文章表現演習を受講している。
卒業後の就職先は、印刷会社、デザイン・広告会社、ゲームソフトウエア会社、屋外デ
ィスプレイ会社等である。
2-2.授業
授業の狙いは、ソフトウエアの特性を把握した作品制作(イメージの視覚化)、自発的学
習による個性の発見である。イラストレーション作品制作の授業であるので、本来は目的
に適した商業デザイン要素が主であるが、個人のオリジナリティを重視した展覧会向けア
ート作品要素も課題に取り入れている。
2-3.課題の設定
CGイラストレーションの課題は、1年間に25回の講義で、5回で1つの課題を終了
するようにしており、卒業制作以外に5課題を設定している。
2-4.授業のポイント
(1)ソフトウエアの主な特性の把握とソフトウエア選び
フォトショップ特性
色調変換、フィルター効果、ペイント、レイヤー効果、合成加
ラスター画像(画素の集まりの絵)
工
イラストレータ特性
点と線で形作られる形態、図形として扱う絵、様々なフォント
ベクター画像(点と線により作られる絵)
アウトライン化
ライトウェーブ3D特性
立体感、質感、3D 世界の構築
(現在、フォトショップ、イラストレータ両ソフトウエアに同様の機能がみられるが、主となる特性をあげた)
以上のことをふまえて自分の制作に適したソフトウエアを選び、作業する。
(2)視覚的な試行の繰り返しによる学習効果と制作
CGの特性である、作業の保存やヒストリー機能、コピーとペーストにより、良いとこ
ろを組み合わせた制作ができる。再生やリスタートが容易であるため、数多くの試行を繰
り返し視覚的に体験でき、改良・発展させることができる。
2-5.作品制作手順
①資料の収集→②案を練る→③ラフスケッチ→④作品に適したソフトウエアの選択→
⑤PC上での制作、スキャナー入力等の操作→⑥プリントアウト
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2-6.制作上の注意点
次の点に注意を促し指導している。
・画像処理効果により安易な達成感を得ないこと
・できるだけ数多くの案を出し取捨選択
・複製が容易であるので、著作権に注意
・プリント出力時の解像度
・常にバックアップをとり、データ消失させないこと
2-7.課題と学生の作品
(1)「春のイメージイラストレーション」
春のイメージをイラスト化する。毎年、課題1のテーマ授業の最初の段階で、案を練る
際の発想法として、連想ゲームを皆でするというウォームアップを行っている。テーマに
対して思いつく限りの言葉を学生一人一人から順に聞き、ホワイトボードに板書していく。
例えば、春、暖かい、桜、ピンク、花見…と書き出していく。制作をする前に、多様なイ
メージをもち、その中から各自が選択していくことを学ぶ。皆ですることにより、人それ
ぞれの新たな感性に気づくこともある。テーマにあうイラストレーションを各自、作品に
適したソフトウエアを選択して制作する。
(2)「スケッチからの平面構成
パターン制作」
野菜や日用品などをモチーフにスケッチして見つけ出した形を平面構成し、CGの特性
であるコピーペーストでパターン化した作品を作る。
(3)「文字のイラストレーション」
文字をアウトライン化できるイラストレータの特性を生かし、文字を加工して文字によ
るイラストレーションを作る。
(4)「写真加工イラストレーション」
フォトショップの特性である写真の画像処理加工を生かしてイラストレーションを作る。
様々な加工を試み、最適な状態を選び制作する。
(5)「カレンダーのためのイラストレーション」
カレンダーのためのイラストレーションの制作。作品に適したソフトウエアで制作、ソ
フトウエアの組み合わせは自由とする。絵柄と数字、文字の構成をする。
※年度によっては、CD ジャケット、ポスター、キャラクターデザイン、ストーリーのある
イラストレーション、クリスマスカード、年賀状のイラストレーションなどを入れ変え課
題としている。
※2008年度の課題においては、
(3)文字のイラストレーションは、ことわざ、慣用句、
漢字をテーマに漢字を擬人化した作品を制作した。また、(5)のカレンダーのイラストレー
ションは、年賀状とカレンダーの両方に使用できるイラストレーションを制作した。同じ
題材で、異なった媒体への展開を試みることとなった。
(学生作品参照)
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2-8.評価
評価は、以下の点を基準としている。
*テーマの理解と表現の適合性
*作業過程及びその完成度
*アイディアが新鮮で面白いか
*見易くセンスが良いか
*オリジナリティがあり印象に残るか
*ソフトウエアの特性を生かしているか
講評会は、課題終了ごとに行っている。講評は、たいてい講師側からだけの講評であるが、
学生にプレゼンテーションをさせてからの講評、学生同士で評価を投票してからの講評な
どの形をとる場合もある。
2-9.考察
作品制作の重要事項は、CGによる制作においても同じであると思う。
*資料の収集
した表現
*情報の整理
*デザインとしての見易さ
*訴求力
*課題を理解し適
*新鮮なアイディアとオリジナリティ(作品は、心の反映である)という点が
重要であることを伝えていきたい。自発的・能動的な学びが必要であり、制作には、気づ
きが大切である。CGの利点は、速さ、修正の容易さ、大量生産できることであり、静止
画から動画へ、Web、インタラクティブへと別媒体へ展開できる点にある。静止画CGの制
作を学ぶことを、あらゆるものへと発展させる素とし、基礎となる学習としたい。
2-10.今後
印刷媒体へのイラストレーションとしてだけでなく、CG静止画作品を絵画的な作品と
してみる場合は、出力が画面上かプリントアウトした形態をとるため、素材感が希薄であ
る。プリント紙以外への出力、布、特殊なカンバスや画面のような新たな展開や、挑戦が
望まれる。インターネットの発達により、発表の方法も多様性をもつようになり、発表の
場が広がるとともに、発信も容易となった。個人的にネット上の画廊を持つこともできる
ので、より質の高い作品の発信が望まれる。したがってソフトウエアの特性をとらえて、
CGならではの作品制作をする課題と指導をしていきたい。
3.CG体験学習
3.CG体験学習
CG体験学習は、アニメーションソフトウエアやペイントソフトウエアを使い作品制作
をしてもらう学習である。1~2時間でソフトウエアの簡単な使い方を学び、作品制作を
体験する。
主な使用ソフトウエア:EVA、ペインター
3-1.CG 教室
場所と対象
小学校(生徒体験学習、PTA母親学級)、特別支援学校(文化部活動)、イベント会場
(親子CG教室、CGキッズ教室)
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3-2.ペインター体験学習プログラム
(1)ソフトウエアの使い方の説明
(2)作品制作
ペイントソフトの様々な筆や効果を使い作品を制作することで、新しい表現を体感する。
「サンタの贈り物」
3-3.EVAアニメーション体験学習プログラム
(1)参考アニメーション作品鑑賞
(2)ソフトウエアの使い方の説明
(3)アニメーション作品制作
(4)制作作品の鑑賞
アニメーションを作り出す喜びを体感し、物語性や動きの構成力を養いたい。
「ロボ君」横井直輝
「熱帯魚」高津柊人
3-4.体験学習の効果
ソフトウエアを活用することで、新しい表現手法に出合い、図画工作の得意な生徒は、
より工夫のある作品を制作でき、不得手な生徒は、ソフトウエアの機能に援助されて自分
で作品を作った実感を得ることができる。CG制作体験を通して、発想力、表現力、想像
力を刺激する機会となる。
4.おわりに
CGの新たな表現、ソフトウエアの特性を生かして作り出される絵としての表現・可能
性を探求していき、CGソフトウエアのより良い活用方法を考え、能力を引き出し作品制
作の素地を作る指導を心掛けていきたい。また、CG教育の幅を広げる研究と活動もして
いきたいと思う。
横井由美子
横井由美子:女子美術大学芸術学部産業デザイン科卒業、CG アーティスト、
ディジタル・イメージ会員、現・宇都宮メディア・アーツ専門学校非常勤講師
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