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ニュージーランド オークランド大学における英語学習サポート体制
︵♂<♂く≦°αΦ一コ鋤゜凶⊆O評一鋤﹃rα゜帥O°コN︶ 森本 陽子 一三ージーランドオークランド大学における英語学習サポート体制 私は、ニュージーランドにおける在外研究中、同国 三、英語自習センタi。︵≦≦≦.包ω碧bqo江9。&°9ρ 二、単位つきの英語授業の開講 コN︶ 最大の高等教育機関である、オークランド大学︵Uo A︶にしばしば訪ねる機会があった。私はUoAに所 員、そしてスタッフの方々に、大変親切にしていただ 属しているわけではなかったが、いろいろな部署の教 いは九のスコアは大学での勉強で成功する上で、十分 一︶国いZ>テストは、リスニング、ライティング、 な英語力があることを示し、六あるいは七の場合は、 四、通常の授業と英語サポートとの連携 同大の調査によると、三五〇〇〇人の学生のうち 英語力不足ということで、スコアとともに、自習セン いた。本稿では、この紙面をお借りし、UoAにおけ の、なんと約四〇%が、英語を母国語としないと自己 ターや自習教材の使用よる英語力向上のための具体的 ので、一年次の殆んどの学生が受験している。八ある 申告している。UoAでは、これらの学生を次の四点 なアドバイスが付記される。スコアが四、あるいは五 リーディングカの全体及びスキル別のスコアを出すも からサポートしている。 いて、特にご紹介したい。 一、∪冨σqきω鉱o国ロσq房7いきσqロ四σqΦZΦ巴ω﹀ωωΦωωー の場合は、﹁迅速かつ集中的な英語サポートの必要性﹂ る、ユニークかつ革新的な英語学習サポート体制につ ヨΦ葺︵U団いZ>︶による英語ニーズ評価。 一80一 きの英語の授業を受講することが奨励される。 二〇〇二年度の二〇〇〇人の在学生を対象とした調 を意味し、自習のほかに、大学が開講している単位つ 習センターの共同のワークショップなども多く開催さ に行われ、たとえば、学習サポートセンターと英語自 れらのサポート部署間では、職員の交流や異動が盛ん トとの連携が強められ、学生の利用も増えている。そ れている。 査結果によると、なんと四一%の学生が、上記の最低 ピュータ端末があり、一部は、学生同士のグループ学 国いω︾Oには、二一のフラットパネルを備えたコン レベルに属し、中間レベルを入れると、七一%の学生 が何らかの英語力向上の必要性があることになるそう 習も出来るようグループで配置され、また、それとは である。更に、そのわずか五分の一の学生が実際に大 学のサポートを利用しておらず、その多くは授業の受 別に、個人学習や発音練習用に、ハーフオープン形式 学習アドバイス用の個室も用意されている。また、セ のブースも設置されている。また、ワークショップや 講よりも自習のオプションを選んでいる。 H7Φmコσq=°。7﹁①コσq岳σqΦωΦ〒>8ΦωωOΦ耳δ︵国﹁ω>O︶ 語自習センター︶である。これは、大学が運営する施 現在約一四〇〇種の︵主にアカデミックな内 一、英語自習教材の豊富さとその電子化 である。国いω>Oの特徴を三点にまとめると” ンターが擁する教材のオンラインでの使用も一部可能 設であるが、もともと岡oo巳蔓oh>耳ωに属する応用 そこで重要な役目をになっているのが国いω︾O︵英 言語学科によって設立され、現在でも同学科との強い 含む、多くの店舗も含有する、まさにキャンパスの中 リングなどのセンター、およびカフェテリアや本屋を サポート、コンピュータサポート、健康およびカンセ したワークショップなどが、ほぼ毎日開催され 下記のような学習スキルの向上にフォーカス 二、ワークショップと短期コースの開催 ている。 容の︶英語自習教材が備えられ、その大半は、 連携が保たれている。近年、施設が新しく建設された ぎho﹃∋餌自800ヨヨ8ωという、学習サポート、言語 電子化され、コンピュータ上で使用可能となっ 心的な建物の中に移転したことで、より、他のサポー 一81一 習環境 国ピω>Oの特筆すべき特徴は、なんと言ってもその 英語自習センターにおけるコンピュータを利用した学 バックの利用法。 ELE︵曽①o鼠∩いΦ母づぎぴq団昌︿一﹃oコ∋Φ三︶と呼ばれ ている。 ・プレゼンテーション・スキルの練習 る、教材のコンピュータ利用システムであろう。これ ・英作文力を高めるための、仲間同士のフィード ・レポートの推敲の仕方 は、南いω︾Oで開発された革新的なコンピュータプロ 可能になるよう設計されており、キャンパス中、そし グラムで、多くの学生を対象に、英語学習サポートが てまだ限られた場合においてのみではあるが、自宅か 三、学習アドバイス・サービス 学生は、アドバイス・サービスを受けるた らもアクセスが可能である。 ・講義をよりよく聴くためのコツ 専攻する、応用言語学科博士課程所属の大学院 め、専門アドバイザi︵多くは第二言語習得を プログラムには、国いの>Oのスタッフが作成した、 されている。下のスクリーンショットにあるように、 あるいは市販の教材がデジタル化されてインストール 学習計画、適切な教材の選定が行われ、必要で えばライティング︶、サブスキル︵例えば説明文の書 学生は、各自、自分のレベル、学習したいスキル︵例 ことができる。セッションでは、ニーズ分析、 あれば、フォローアップのセッションで、学習 生などである。︶とのセッションの予約を取る の進歩、学習計画の修正などが行われる。最初 き、三回程度対面、あるいはe−メールでのア に切り替えられる。平均的には、学生一人につ 離を置き、最終的にはe−メールでのサポート が経過するにつれ、アドバイザーは学生から距 ノートパッドが備えてあり、デスクトップにそれらを ツールのページには、辞書、ワープロ、百科事典、 関連教材等々を見ることができる。 明、学習上の実用的なアドバイス、同じスキルを扱う き方︶などをもとに検索し、即座に適切な教材のリス トを見ることができる。その上、各教材の詳しい説 のセッションは長いもので四五分程度で、時間 ドバイスセッションが行われている。 一82一 習方法を学ぶ﹂というページには、効果的な語学学習 置きながら学習が出来るように配慮されている。﹁学 法についての詳しい説明が書かれており、関連のワー クシートや、リンクなども掲載されている。 教材へのアクセスの他に、ELEのもうひとつの大 である。学生は、ログイン時に、現在のレベルと達成 きな目的は、学生の自主的な学習をサポートすること したいレベル、どのスキルやサブスキルを学習したい か、などの質問に彼らが答えることにより、ニーズ分 析を行う。この入力情報をもとに、コンピュータが優 どこに困難を覚えるかなどを文章にして入力し、優先 先上位のスキルを割り出す。また、学生は各自弱点、 上位のスキルをいつまでにどのレベルまで向上したい か、そのために、各スキルにつき週何時間の学習が必 要かなどを入力する。ここでELE作成者が特に配慮 したことは、各学生が、自分の学習プロセスについて の自己評価を奨励することだそうである。この実際の 例として、例えば、 スキルと宣言していたのにもかかわらず、あなたの学 ﹁○○さん。あなたはリスニングを優先順位一位の 習履歴を見ると、文法の学習ばかりしているようで 一83一 す。もう一度自分のニーズ分析を見直して、学習の再 計画をすることをお薦めします。﹂ 本稿では、コンピュータ関連のサポート体制のこと を主に書いたが、国いω>Oスタッフの方々の対面で の、非常にサポーティヴな対応ぶりも特筆しておきた 六です。あなたは達成レベルを八と設定しています ﹁○○さん。あなたの現在のリスニングのレベルは があるにもかかわらず、学生達にとってはやはり卒業 で、学習に専念できるのである。ひとつだけ残念に思 ったのは、このように整った学習およびサポート環境 い。そこでは、学生はスタッフとほぼ対等の学習者と というようなプロンプトがプログラムによって出さ れるように工夫がされている。また、学習の時間的な して尊敬を持って扱われ、学生たちも、心地よい環境 が、達成日はすでに四週間後に迫っています。今のぺ も目が行くようで、英語学習を後回しにしてしまう傾 単位がかかってくる英語以外の科目の授業にどうして いる。 側面にも、例えば下記の様なプロンプトが用意されて ースですと、そのときまでにこのレベルに達成するの は困難かと思われます。より多くの時間をこのスキル ートを必要としている学生数の割には、利用者が少な 向があるらしく、冒頭の調査結果に見られる英語サボ く見受けられたことである。この辺は、日本の大学と に費やすことをお薦めします。﹂ 国いω>Oのスタッフからサポートを受けられるように のメディア棟に見られるように、本学の各種自習設備 もちろん、常に対面、あるいはオンラインで はないし、これらのプロンプトは、あくまで﹁奨励﹂ は目覚しい充実振りを近年遂げているが、ソフト面で と言うことだろうか。ともあれ、図書館本館や、和泉 であって﹁命令﹂ではなく、最終判断は学生各自にゆ UoAのような例に学ぶことは非常に多い、と私は深 も共通の、学生の卒業単位優先の学習傾向が見られる だねられる。また、これらの全ての履歴は、カルテの く感じた次第である。 なっており、すべてのやり取りがコンピュータ相手で ように各自の学生ごとに整理され保存されるので、次 ようになっている。 回に学生が利用するときにも、その履歴を活用できる 一84一