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第30回 全国地域保健師学術研究会復命書 所属 嘉島町 早川 真澄

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第30回 全国地域保健師学術研究会復命書 所属 嘉島町 早川 真澄
第30回
全国地域保健師学術研究会復命書
所属
嘉島町
早川
真澄、
益城町
池田
厚子
期日
平成20年10月30日(木)、 10月31日(金)
場所
佐賀市(マリトピア)
研修会復命書
平成20年度全国地域保健師地域学術研修会に出席しましたので、下記のとおり復命し
ます。
(1日目)
1.特別講演
「健康長寿の人づくり、地域づくり」
講師
鎌田
實氏
諏訪中央病院名誉院長
(講師の鎌田先生は長野県の地域医療に長年携わっている先生で、日本のみならずイラ
クでの医療支援にも尽力されている。また執筆活動もされており、著書に「がんばら
ない」「あきらめない」等がある。)
先生の講話は地域での健康づくり活動について焦点を当てた内容であった。
東京出身の先生が長野の病院に就職した当時、長野の脳卒中は県下で2番目に多い県であ
り、国保は破綻寸前であった。その時、地域の保健師に誘われ、
「脳卒中にならないために」
を演題に健康教育を実施した。年80回程公民館で実施したが、1~2年は変わらず、教
育後のお茶うけとして野沢菜がでるような状況であった。しかし地域に出向くことにより
食事に招かれ住民の生活が分かってきた(農業をされている方が多く、食べないと働けな
いというのが現状。塩蔵品の利用も多い。)地域住民の生き方を肯定的にとらえ、継続した
活動を続けていく中で3~4年程して住民の意識が変わってきて、お茶うけが野沢菜から
りんごなどに変わってきた。教室の中では「血管にいいことをしよう」
「繊維を多く取ろう。」
と話し、野菜、魚などをすすめ、地元の特産物の寒天に目をつけ一時期は寒天ブームを引
き起こすきっかけとなった。現在では長野の国保医療費は安くなっている。先生の講話で
心に残っている言葉は、
「まず地域に入って現状を知り、住民が行動変容できるような住民
の心をよさぶる話ができることが大切である。」「人と人とのつながりが命を守る。」「人間
はそんなに簡単には変わらない、でも変わることができる。」「がんばらない。でもあきら
あめない。」である。どれも保健師活動をする上で大切な言葉であり、役に立つ言葉である
よう感じた。先生が言われるようにあたたかな健康づくり活動を目指していけたらと思っ
た。
2.ほっとブレイク
絵本の朗読&ミニコンサート
「次世代につなげよう、たいせつないのち
~絵本「いのちのまつり」
「つながっている」より~」
作者
草場
一壽、
朗読
副田
ひろみ、
歌、演奏
弓削田
健介
「いのちのまつり」「つながっている」2冊の絵本の朗読とミニコンサートがあった。
絵本は、命は先祖から引き継がれる大切なもの、誰ひとりかけても生まれてこないと命
の大切さを訴えるもので、ぜひ子どもも大人も読んで欲しい内容の本だと感じた。朗読
&コンサートでほっと心暖まる時間を過ごした。
3.教育講演Ⅰ
「特定健診・特定保健指導の評価分析」
横浜市立大学医学部
社会予防医学教室
教授
水嶋
春朔氏
(先生は厚生労働省、標準的な健診・保健指導のあり方に関する検討会委員をされて
おり特定健診、保健指導に大きく関っている先生である。
)
まず、特定健診、特定保健指導については、その地域の特性を知るためレセプトデー
タなどから地域の現状を把握し、ターゲットを選択し、ハイリスクアプローチ・ポピュ
レーションアプローチを実施することが大切であること、介護予防も含めた包括的な生
活習慣病対策が重要との話があった。健診に来るべき人が来ていない現状を踏まえ、未
受診者対策や30代の特定健診対象前の人達にアプローチすることも大切とのことであ
った。健診・保健指導事業の評価については、2015年度に2008年度と比較して
糖尿病等の生活習慣有病者・予備軍が25%減少するかを評価するが、評価の枠組みと
して、「ストラクチャー(構造)・・誰が、どういう体制で(施設、マンパワー数など)」
「プロセス(過程)・・どのように(適切な健診、保健指導など事業サービスの内容)」
「アウトプット(事業実施量)・・どれだけやって」「アウトカム・・その結果どうなった
か(有所見率、罹患率、要介護率など)」「満足度・・(対象者、対象全体の満足度)」があ
ることについて話された。
保健師として、地区診断を的確に行い、本当のターゲットはどこなのか、介入すべきと
きはいつなのか、どう改善したらいいのか、わが町はどうなのかなど考えさせられる講演
であった。
4.シンポジウムⅠ
「食と運動。楽しく目指そうみんなの健康」
○健康に配慮した食の提供
~学校給食やヘルシー弁当の試み~
協同組合クッキングセンター佐賀
○地域に根付いた健康づくり活動
岡田
富規子氏
~佐賀市の健康づくり実践活動より~
佐賀市
○うららかな人づくり・街づくり
健康づくり課
保健師
松本
昌子氏
鳥栖市
~市民と手を取り合った食の楽しみ~
健康増進課
課長
尼寺
はつみ氏
3人のシンポジストからそれぞれの立場での取り組みについて発表があった。
佐賀市では平成20年度より「夏休みラジオ体操に参加して朝ごはんを食べよう。」プロ
ジェクトを展開した結果好評で、夏休み終了後も継続して地域の方が取り組めるようサ
ポートを実施おり、地域の人を引き出し、つなぐ仕掛け作りをするのが、行政の仕事と
の話であった。
(2日目)
午前中
1.研究発表
口演発表
(各自興味がある分科会を選んで参加)
第1~第7までの各分科会に別れての発表(健康づくり、母子保健、感染症、教育、
介護保険、介護予防など)
口演発表71題、示説発表28題、誌上発表17題と、たくさんの発表があり刺激を
うけた時間であった。
母子保健の発表では、産後うつ、保育所等への巡回相談、こんにちはあかちゃん事業
等についての発表を聞いたが、どれも参考になる内容であった。今後の取り組みに活か
していきたい。
・ 高知県室戸市では1歳6ヶ月の時に行なう健診を個人差の影響が少ない1歳9ヶ
月で実施している。また保育所、学校などとも連携し継続的な関りを行なっている。
・ 川崎市中原区では育てにくい(発達障害が疑われる)子どもをもつ母親対して、前
向き子育てプログラム、トリプル P(世界16カ国で実施され成果を上げている。
5回のグループセッション、3回の電話セッション)を実施。結果、母親のストレ
スレベル低下、子育て姿勢改善の結果がでている。
午後
2.シンポジウムⅡ
「今、伝えるべき私たちの保健活動~保健師のベストプラクティスの真髄にせまる」
基調講演講師・コーデネーター
東北大学大学院
教授
平野
かよこ氏
シンポジスト
○都道府県保健師の活動から
青森県
健康福祉部健康福祉政策課総括主幹
梅庭
牧子氏
○市町村保健師としての活動から
愛媛県伊予市社会福祉協議会事務局長
松浦
千枝子氏
○産業保健師としての活動から
福岡県アサヒビール株式会社博多工場保健師
○企業家としての活動から
住徳
松子氏
佐賀県株式会社ライフコンプリート代表取締役
塚原
安紀子氏
演題のベストプラクテスとは最も効果的、効率的な実践方法のことであり、平野先生
の基調講演では保健師活動で大切なことは「みる」「つなぐ」「動かす」ことであり、さ
まざまな人、さまざまな状況をつなぎ、幅広く住民と向き合うことが重要であると話さ
れた。また、シンポジウムでは様々な分野で活躍する保健師から保健活動について発表
があった。なかでも市町村保健師からの活動発表では、
「地域の課題・・地域には必ず(必
要)があり、あらゆるつながりでそれを満たし解決できる」と話され、地域住民と共に
地域の課題に取り組む活動が心に残った。
また、保健師の仕事のチームワークとして「保健師の感性を認め合う」「毎年同じ仕事
をしない」「事業を評価し必ずよりよいものに変えていく」「与えられる仕事やらされる
仕事ではなくやる仕事に」という言葉が印象的だった。
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