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III-4喫煙

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III-4喫煙
4 喫煙
(1)はじめに
たばこによる健康被害は、国内外の多数の科学的知見により因果関係が確立しています。
具体的には、がん、循環器疾患(脳卒中及び虚血性心疾患等)、COPD※(慢性閉塞性肺疾患)、
糖尿病及び周産期の異常(流産、早産、低出生体重児、死産及び乳児死亡等)の原因になります。
受動喫煙も、虚血性心疾患や肺がんに加え、乳幼児の喘息や呼吸器感染症、SIDS※(乳幼児
突然死症候群)の原因になります。
第 3 章
たばこは、受動喫煙などの短期間の少量の吸入によっても健康被害が生じますが、禁煙するこ
とによる健康改善効果についても明らかにされています。
特に長期の喫煙によってもたらされる肺の炎症性疾患で、咳・痰・息切れを主訴として徐々に
呼吸障害が進行するCOPDは、国民にとって極めて重要な疾患です。新しい疾患名であること
課題別の実態と対策【喫煙】
から十分認知されていませんが、発症予防と進行の阻止は禁煙によって可能であり、早期に禁煙
するほど有効性は高くなります。
このことから、たばこ対策の着実な実行が求められています。
(2)基本的な考え方
たばこ対策は、
「喫煙率の低下」と「受動喫煙への曝露状況の改善」が重要です。
喫煙と受動喫煙は、いずれも多くの疾患の確立した原因であり、その対策により、がん、循環
器疾患、COPD及び糖尿病の予防において、大きな効果が期待できます。そのため、たばこと
健康について正確な知識を普及する必要があります。
(3)現状と目標
ア 成人の喫煙率の減少(喫煙をやめたい人がやめる)
喫煙率の低下は、喫煙による健康被害を確実に減少させる最善の解決策であることから、指
標として重要です。
佐賀市の健診結果から、
成人の喫煙率をみると、
全国と比較して男女とも低く推移しています。
50.0
40.0
30.0
喫煙者の割合の年次推移
(%)
38.2
29.2
23.4
20.0
10.0
0.0
14.6
10.9
5.2
平成21
32.2
32.4
26.5
26.2
19.5
20.1
13.0
13.0
8.4
9.7
4.4
4.1
22
23
佐賀市 男女計
佐賀市 男性
佐賀市 女性
国 男女計
国 男性
国 女性
34.1
25.4
25.2
20.7
12.6
13.0
9.0
4.0
4.7
24
25(年度)
資料:「国民健康・栄養調査」
(厚生労働省)
30代の健診・特定健診問診票による聞き取り
(佐賀市)
70
年代別喫煙率を比較すると、平成25年度では男女共に40歳代が最も高くなっています。
男性の喫煙者の割合の推移
(%)
70.0
60.0
50.0
40.0
50.0
48.5
45.0
40.8
29.2
40.1
20.0
50歳代
60歳代
70歳代
40.3
39.0
41.9
38.6
35.0
22
25.4
25.3
16.9
16.0
15.7
23
25.2
24.7
25(年度)
24
資料:30代の健診・特定健診問診票による聞き取り(佐賀市)
女性の喫煙者の割合の推移
(%)
20.0
18.0
16.0
14.0
12.0
10.0
14.0
11.3
11.7
9.0
10.3
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
3.7
1.8
平成21
4.4
30歳代
40歳代
50歳代
60歳代
70歳代
12.2
11.8
4.1
8.5
7.0
4.0
14.1
10.1
5.5
4.7
3.8
3.0
2.6
1.6
22
13.0
9.2
8.7
5.2
女性計
1.4
23
2.5
1.3
24
1.8
25(年度)
資料:30代の健診・特定健診問診票による聞き取り(佐賀市)
たばこに含まれるニコチンには依存性があり、自分の意思だけでは、やめたくてもやめられ
ないことが多くあります。今後は喫煙をやめたい人に対する禁煙支援と同時に、健診データに
基づき、喫煙によるリスクがより高い人への支援が重要です。
イ 未成年者の喫煙率の減少
未成年期からの喫煙は健康的な影響が大きく、かつ成人期を通じた喫煙継続につながりやす
いことから、家庭や学校等での受動喫煙防止対策や未成年者への啓発、指導等による取り組み
を推進します。
71
課題別の実態と対策【喫煙】
平成21
40歳代
25.2
15.3
10.0
0.0
26.2
24.9
18.4
38.2
30歳代
35.8
26.5
27.1
45.0
男性計
第 3 章
30.0
61.0
57.4
■10歳代の喫煙率(国)
指標
目標
10歳代の喫煙率
中学1年男子
女子
高校3年男子
女子
なくす
策定時の現状値
第1回中間評価
第2回中間評価
最終評価
7.5%
3.8%
36.9%
15.6%
3.2%
2.4%
21.7%
9.7%
1.5%
1.1%
12.8%
5.3%
1.6%
0.9%
8.6%
3.8%
厚労科研「未成
年者の喫煙行動
に関する全国調
査」
(箕輪眞澄班)
平成8年度
厚労科研「未成
年者の喫煙及び
飲酒行動に関す
る全国調査」
(林
謙治班)
平成16年度
厚労科研「未成
年者の喫煙・飲
酒状況に関する
実態調査研究」
(大井田隆班)
平成20年度
総合評価
改善した
厚労科研「未成 (目標に達してい
年者の喫煙・飲 ないが改善した)
酒状況に関する
実態調査研究」
(大井田隆班)
平成22年度
第 3 章
資料:厚生労働省「健やか親子21」最終報告書 ウ 妊娠中の喫煙率の減少【再掲:
「次世代の健康」P48】
妊娠中の喫煙は、流産・早産など妊娠合併症のリスクを高めるだけでなく、児の低体重、
出生後のSIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクも高めます。
課題別の実態と対策【喫煙】
このため、妊娠中の喫煙を防止するための取り組みを推進します。
※妊娠中の喫煙に関する統計については、
「次世代の健康」P48に掲載
エ 受動喫煙の機会の減少
受動喫煙の曝露状況の改善により、短期的に急性心筋梗塞や成人及び小児の喘息等の呼吸
器疾患による入院を減少させるなど、受動喫煙防止策は確実な健康改善効果が期待できます。
家庭、職場、飲食店、官公庁、医療施設など主要な曝露源での受動喫煙防止策を推進します。
■禁煙・完全分煙認証施設※数
平成17年度
平成21年度
平成25年度
市
323件
432件
577件
県
963件
1,528件
1,924件
資料:佐賀県健康増進課調べ (4)対策
ア 喫煙のリスクに関する教育・啓発の推進
●COPD に関する知識及びその予防に関する普及啓発
●種々の保健事業の場での禁煙の助言や情報提供(母子健康手帳交付、乳幼児健診・相談及
びがん検診等)
●小・中学生に対する防煙教育の実施(県の方針に基づき実施)
●学校保健・職域への情報提供
●市報・ホームページ・イベント等で喫煙リスクについての情報発信
イ 禁煙支援の推進
●健診の結果に基づいた禁煙支援・禁煙治療への個別指導
●禁煙治療を行う保険適用医療機関等の情報提供
ウ 受動喫煙対策の推進
●不特定多数の人が利用する施設における、禁煙・分煙対策推進のための普及啓発
●路上喫煙禁止区域の広報・周知
72
(5)評価項目
ア 成人の喫煙率の減少
現 状
喫煙率
男性25.2%、女性4.7%(平成25年度)
目 標
減少傾向へ(平成35年度)
データソース
30代の健診・特定健診問診票による聞き取り(佐賀市)
現 状
妊娠中の喫煙率
4.0%(平成25年度)
目 標
減少傾向へ(平成35年度)
プレママアンケート(佐賀市)
課題別の実態と対策【喫煙】
データソース
第 3 章
イ 妊娠中の喫煙率の減少(再掲:
「次世代の健康」P55)
ウ 受動喫煙の機会の減少
現 状
禁煙・完全分煙認証施設数
577件(平成25年度)
目 標
増加傾向へ(平成35年度)
データソース
佐賀県禁煙・完全分煙認証施設数
喫煙コーナー
73
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