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「No.14行政行為について」 [61KB pdfファイル]
◎ぷらっとほ∼む◎ №14 行政行為について 平成24年7月 松原市総務部政策法務課 今回は、行政行為について考えてみましょ う。行政行為が、前回の「法律による行政の 原理」と並んで、行政法において最も重要な 概念の1つと考えられている理由を考えな がら読み進めてください。 1 行政行為とは? 行政行為(行政処分とも言います。)という言葉 からすると、国や自治体等の行政が行う行為の全 てが行政行為であると思われるかもしれません。 しかし、言葉から受ける印象とは違い、行政行為 と呼ばれている行為は、行政が行う行為の中でも 特別なものに限られています。 2 行政行為の意義 「公権力の主体たる国又は公共団体が行う行 為のうち、その行為によって直接国民の権利義務 を形成し又はその範囲を確定することが法律上認 められているもの」。これが判例上用いられている 行政行為の定義です。もちろん、これだけではわ かりにくいので、もう少し噛み砕いて考えてみると、 行政行為の要素としては次の3つがあります。 ①権利義務に影響を与えること、②個別具体 的であること、③一方的であること、です。 ①1つ目は、例えば、廃棄物の処理及び清掃に 関する法律に基づく、一般廃棄物収集運搬業を行 おうとする者に対する許可や許可の取消しを例に すると、それぞれその者が一般廃棄物収集運搬を 行うことができるようになったり、できないようにな ったりするように、行為の相手方の権利義務に影 響を与えることです。同じように一般廃棄物収集 運搬業者に対する行為であっても、いわゆる行政 指導は、それ自体は業者に指導に従う義務を負 わせるものではなく、行政行為には当たりません。 ②2つ目は、例えば法律そのものや、法律に基 づいて策定される基準や計画のように、一般的抽 象的に住民の義務を定めるものとは異なり、通常 はAさんという特定の住民に対して、Bをしなけれ ばならないという特定の義務を負わせるような、個 別具体的なものであるということです。 ③3つ目は、行政行為は、契約のように双方の 意思の合致を要件とするものではなく、行政行為 を行う側の一方的な行為によって効力を発するも のであるということです(本誌№7乃至9参照)。 以上は、行政行為についての典型的な説明な のですが、最近の裁判例においては、これらの要 素を形式的に用いて判断するだけでは必ずしも説 明できない判断が示されていますので、注意が必 要です。 3 行政行為に該当するかどうかで何が変 わるのか? 1つ目は、行政行為には、民間人の行う行為と は異なる特有の効力が認められていることです。 これは、公定力、自力執行力等と呼ばれているも のですが、次回以降、機会があればこれについて 考えてみたいと思います。 2つ目は、行政行為に対して不満を持つ人が、 その効力を争う特別の方法が法律により定められ ていることです。具体的には、行政行為について は行政不服審査法に基づく不服申立や、行政事 件訴訟法に基づく抗告訴訟(行政行為の取消し等 を求める訴え)の提起をすることができます。これ は行政行為に対して不満を持つ人にとって重要で あるだけでなく、行政行為を行う側にとっても重要 です。それは、行政行為を行うに当たってはその 相手方に対して、行政不服審査法に基づく不服申 立や訴訟の提起をすることができることを教示しな ければならないとされているからです。 3つ目は、行政行為についてはそれを行うため の手続の面でも、行政手続法や各自治体の定め る行政手続条例による特別の規律を受けるため、 注意が必要です。 作成者:政策法務課 余川章一郎(弁護士)