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【地理カリキュラムデザイン論】

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【地理カリキュラムデザイン論】
【地理カリキュラムデザイン論】
第1回課題の回答
問2①
■ これだけのワザ(ジョークやパフォーマンス)が駆使されているぞ…安藤貴廣
・ヨーロッパの人が何を食べているかという発問の際に実際にフランスパンやワインを取
り出して生徒に見せた。
・混合農業の「混合」という言葉から思いつくことを考えさせた。ミックスジュースなど
・大麦についての雑談。ビールの原料であることなど。
・ライ麦についての雑談。黒パンなど。
・甜菜についての雑談。天才とかけた生徒の発言との対応など。
・「女の子今日えらいおとなしいなー。緊張しとるんか?」というようなおどけた口調で女
子の参加を促していた。
・フランスと日本でのレストランの違い(水が出てくるか出てこないか)の話
・アルプスという言葉から思い浮かべることを生徒に答えさせた。
・アルプスの歌を歌った。
・班ごとに話し合いをさせているときに,
「昨日の道徳でやったことが活かされてないやん。
あなたならどうするってやつ」というジョークを言った。
■ 生徒をひきつけるため,理解を促すため,頭に入れるため…古川花恵
② これらのワザに頼る理由であるが,まず,フランスパンなどの実物を見せることにより,
生徒を惹きつける効果があるからだと考える。また,ジョークや雑談も生徒を話しに惹き
つける。ただ知識を教授する授業では生徒も退屈で飽きてしまう。それを防ぐためにも,
授業を,少しでも生徒にとって,面白く,楽しい授業にするために工夫する必要があるの
であろう。それゆえにこの教師は生徒を授業から離さないよう,授業に惹きつけるよう,
このようなワザに頼ったのであろう。さらに,このワザにより,理解を促すということも
考えられる。実物をみたり,ジョークなどを聞いていたりすると自然と頭に入ってきて,
普通に聞いたことより覚えているということはよくある。
このように授業において生徒を惹きつけたり,理解を促したりするワザは重要であろう。
■ 身近に,盛り上げ,印象付け→暗記しかない授業で効果を発揮…松原千尋
私は 3 つの理由を推測した。
1 つ目は,日本という自分が住んでいる地域と比較することで,ヨーロッパという遠い国を
身近に感じようとしたからである。
この 2 つのワザ共通点として,双方ともに日本と比較していることが挙げられる。前者は
フランスパンの固さからヨーロッパの硬質小麦と日本の軟質小麦が比較されていた。後者
は年間のワインの一人当たりの飲酒量が日本とフランスで比較されていた。つまり,日本
を例に出すことでヨーロッパの農業がどのようなものであるかつかませたかったのではな
いかと思う。
2 つ目は盛り上げ的役目が必要だからということを挙げたい。
この授業は各地域でどのような農業が行われているか知るという典型的な地誌学習の授業
であると思う。そのような授業は単調になりやすく,最初のつかみやノリのよさが大切に
なってくるのではないかと思ったのである。ここでは,フランスパンやワインを見せるこ
とで一気に生徒の関心をつかみ,授業の導入とした。また日本とフランスのワインの飲酒
量比較というおもしろいネタを提供することで子どもたちが受身ではなく自ら考えようと
する場を与えている。このように,ともすると知識の伝達だけで終わってしまうような地
誌学習を避けるためにワザに頼ったのではないかと思う。
3 つ目は間を持たせ,生徒の印象に残るようにするためと考える。
この授業で新しく得た知識は最後の 10 分弱の EC 農業政策を除けば,混合農業,地中海農
業,酪農,移牧の特徴だけである。これをそのまま行えば 30 分近くもの時間はかからない
だろう。だがこの知識はとても重要な地誌の知識であり,そのため生徒の頭に留めるため
にもしっかりと授業をしたい。よってこのようなワザを使い,間を伸ばし,生徒の印象に
残るようにしたのではないかと思う。
この 3 つの理由から考えると,ワザというものは地誌をどのように教えるかによって必要
具合がかわっていくのではないかと思う。生徒にとって暗記としかならないような地誌学
習となった場合,その授業は新鮮さもないし,おもしろさもないものになろう。そのよう
な際効果を発揮するのがワザではなかろうか。しかし,そのワザは授業を導入としてはと
ても大切なものなのかもしれない。生徒の興味を引くこと,生徒を地理の授業にのめりこ
ませることというのは,なかなかできないからだ。
■ 一問一答の事象を問う授業では,頼らざるを得ない…白藤空
②この教師は常識的地域認識形成のための地理教育を展開しており,ヨーロッパ→多様な
農業→混合農業,地中海式農業,酪農・放牧という風に一定の基準に基づいて構成要素に
分割し,一個一個の事象について「混合農業とはどのような農業?」という風に「何」と
問う発問しかできていなかった。
生徒に「なぜ」と問う授業になっていないため,非常に淡白な授業となっており,生徒の
興味をもたせるためには,雑談やジョークに頼らざるを得なかったのだろう。
■ ワザに頼りすぎると,表面的な部分に目を奪われ,思考が深まらない…樺浩美
②このパフォーマンスに頼った理由として,生徒の関心・興味を引くことが簡単に可能に
なるということが挙げられる。実際の物を用意するというパフォーマンスは,毎授業では
可能ではないと考えられる。普段とは異なることをすることで,その中身が伴っていなか
ったとしても,生徒の視線は集めることができるのある。
「ヨーロッパの多様な農業」という単元は,「○○地域では○○が育てられる」という事象
を多く扱わなければならない。この羅列では授業は単調になってしまいがちであり,生徒
の関心も授業中に失われることがあると考えられる。その単調さをなくすためというのも
理由の 1 つであると考える。また,その地域で育てられる○○という作物を頭の中だけで
イメージするのではなく,実物を見ることで,地域名と農業の視覚的なイメージを結びつ
け,記憶にも残りやすくしているのではないかと思う。
以上のような点から,このパフォーマンスに頼ったと考えられるが,生徒たちは,この
パフォーマンスにより,物事の表面的な部分にだけ注目し,「なぜ」「どうして」こうなっ
ているのか,農業の背景など内容的に深い部分まで思考することが少なかったのではない
かと思われる。そのためか,授業が始まったばかりの時間帯は発表者も多かったが,その
後は終盤まで減少傾向である。発言や生徒による思考の時間も少ない。生徒たちの興味を
引くワザは,ただ闇雲に使用すると,逆効果として生徒たちの関心を薄めてしまう傾向が
あると思われる。内容を深めるためのスパイスとして,うまく使用していかなければなら
ないと感じた。
問1
■ 地域事象研究なのだ,なぜなら要素還元的な内容構成だから…末原祐貴
② 世界を自然単位に基づいて分割し,その構成要素の 1 つである西ヨーロッパを題材とし
て取り上げ,この取り上げた地域を更に工業や農業などの構成単位に分割して,小単元を
設定している。1 時間の授業においては先述の構成単位をより詳細に見ていくように授業が
構成されている。この授業においてはヨーロッパを構成している中の 1 つである農業の様
子を細かく見ている。また,指導計画を見てみるとこの分割された構成要素を自然から人
間・文化へという流れに沿って構成要素を組み立てていこうとしているように思える。
一方で,授業の中で取り上げている内容は,混合農業,地中海農業などヨーロッパ全体に
おいて特徴的な地理的事象の 1 つである。このことから,地誌学研究の要素も含んでいる
ように思える。そうなると,この授業は地誌学研究ではないかと言われそうだが,5 時間の
授業のカリキュラムが先程も述べたように地域事象研究の様相を成している。このことか
ら,基本的には地域事象研究ではあるが,所々地誌学研究の特徴が織り込まれていると言
えるのではないだろうか。
■ 農業政策は,科学的なプロセスで考えさせていない…野稲剛
②「ヨーロッパの多様な農業」は,
「常識的地域認識形成のための地理教育」を具体化した
授業であると考えられる。内容は完全に教科書に準拠しており,かつての学習指導要領の
下で行われていた,典型的な「地誌学習」の授業例であろう。あらゆる地域の人々の生活
や産業を網羅的に学び,世界の地域を満遍なく理解することを目標としていると考えられ
る。また,この授業では,ヨーロッパの農業そのものを理解させることが目的であり,研
究の方法を学ぶことが目的ではない。したがって,「地域事象研究法」ではなく,「地域事
象研究」そのものに焦点を当てた授業であろう。
なお,授業の後半では,農業政策について考えさせる場面が見られたが,その解答は教科
書の記述そのものであり,考えるプロセスは,科学的なアプローチではない。したがって,
「科学的地域認識形成のための地理教育」であるとは考え難い。
■ 農業政策も要素の一部,地誌・系統地理の可能性は排除できる…くぬぎ谷丈史
②「ヨーロッパの多様な農業」 は,第 6 講で扱ったカリキュラム類型のうち,地域事象研
究を具体化したものであると私は判断する。
まず,学習指導案の「3.指導計画」を見て分かるように,西ヨーロッパの単元は国境,工
業,農業,人々の暮らしといった要素に分割して授業を行っている。そして,本時はその
うちの農業についての授業である。つまり,この授業はヨーロッパを説明するために分割
した要素のうちの 1 つについての授業だと言えるのである。ここから,この授業が分割し
た要素を記述する地域事象研究の授業だと判断できる。そして,指導者は西ヨーロッパの
農業という要素を更に,混合農業,地中海式農業,酪農・移牧,EC の農業政策という細か
い要素に分けて説明している。
ただし,指導者が「ヨーロッパの特色と言えば混合農業である」と規定し解釈していけば,
この授業は地誌学研究の授業になるかもしれない。また,指導者は授業の終わりに近いと
ころで EC の農業政策はどのようなものなのかについて生徒に話し合わせている。EC の農
業政策を一般化して他の地域に当てはめるという作業をさせれば,(社会研究的な)系統地
理楽学研究的な要素も含まれるということになるであろう。しかしながら,ヨーロッパと
言えば○○である,ヨーロッパでの事象は他地域にも当てはまるという断定をしていると
はいえないので,あくまでも今回は地域事象研究であると捉えるのが妥当であろう。
※ きわめて論理的で分析・判断のプロセスが展開されており,好感がもてます。
第2回課題
Web CT にアクセスして,授業ビデオ「沖縄の産業(亜熱帯の沖縄)
」を視聴しなさい。
※指導案・教材等は,コースパケットの「地理科の授業」に掲載されています。
視聴を踏まえ,以下の問1と問2,いずれか1つを選んで回答しなさい。なお,回答は
WebCT の「課題」にアクセスし,所定のフォームに記入して提出すること。
6 月 6 日(日)9 時締め切り。
問1
「沖縄の産業」は,講義で扱ったカリキュラム類型のうち,どのタイプを具体化した
ものだろう。①類型の名前と,②そのように判断した理由,を説明しなさい。
○ 常識的地域認識形成のための地理教育 … 地域事象研究,地域事象研究法
○ 科学的地域認識形成のための地理教育 … 地誌学研究,系統地理学研究
問2
自分なりに視点を立てて,「沖縄の産業」と「ヨーロッパの多様な農業」を比較し,
「沖縄の産業」の特徴・特色を説明しなさい。
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