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Kobe University Repository
Kobe University Repository : Thesis
学位論文題目
Title
Comparison of ethical judgments exhibited by clients
and ethics consultants in Japan.(日本の倫理コンサルテ
ーション依頼者と倫理コンサルタントによって示された
倫理的判断の比較検討)
氏名
Author
Nagao, Noriko
専攻分野
Degree
博士(保健学)
学位授与の日付
Date of Degree
2014-09-10
資源タイプ
Resource Type
Thesis or Dissertation / 学位論文
報告番号
Report Number
乙第3260号
URL
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/D2003260
※当コンテンツは神戸大学の学術成果です。無断複製・不正使用等を禁じます。
著作権法で認められている範囲内で、適切にご利用ください。
Create Date: 2017-03-31
(別紙様式 5)
(別紙様式 5)
(氏名:長尾式子
学位論文の内容要旨
氏
(氏名:長尾式子 NO.2)
NO.l
)
名長尾式子
論文題目併国語の場合は,その和訳を備日すること。)
白 m阿1sono
f
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J
:
明 D.
見解は一致しているが、異なる理由、「保留:依頼者からの見解が不明確あるいは、担当チームが
に好ましいと考えられる方針等をその場で
実酎拾助言、診療方針に関する具体的な推奨、倫珊9
J、「その他Iに分類した。また、依頼症例の
決定、依頼者に提示しないこと(以下、保留と記す)
患者の疾患が「腫蕩系Jあるいは「非腫蕩系Jを分類した。患者の意向と担当チームの見解の相違
は、患者の意向に「沿っていたJ
、「反していた」、「本人に判断能力はあるが本人の意向が不明確な
ためどちらともいえなし V、『判断能力なくどちらでもないJに分類した。分類し定量化したデータ
は、単新築計を行った。また、患者の判断能力の有無と依頼文書の判断と回答文書の助言の貝解の
相違については χ二乗検定を行った(p<O
.
0
5
)。
日本の倫理コンサルテーション依頼者と倫理コシサルタントによって示された倫理的判断の
結果:
比較検討
概要
背景:
愚者、家族、代謹人、医療従事者、他の関係者が、ヘルスケアの中で生じた佃臨唱に関する不
CEC) は
、 1
9
8
0年代に1
昧で普及し
安や対立を解消するのを助ける臨床倫理コンサルテーション (
た。病院倫理委員会(阻C) の活動の一つであった四C は、チーム、個人と多様な形式寸子われ
ている。医療従事者が直面する倫甜力問題に怯終末期医療の意思決定や、意識のない患者の治療
方針、意思決鶴訪の有無、代諾者の選定などがある。これらの問題に関して、彼らは訴訟を防ぐ
こと、患者や患者の家族などの代理人の聞で生じる対立の併サや、ジレンマの解消、第三者として
客観的な分析、論点の整理、難しし快断をする際の支援、道徳的に許容される代替療法の同定など
の役割を C配に期待している。医療現場において医療従事者は、倫理的問題を抱えながら判断して
いる。その様な倫理的事断が求められる医療現揚で、医療従事者の判断と、もう一方の倫理コンサ
ルタントの推奨内容は同じ、あるいは異なるのカ元彼らの推奨内容が医療従事者の見解と一致しな
い場合や、患者の意向に反する場合、何を根拠こ両者はそれぞれ潮l
断しているのか。これらについ
てり末だ報告されていな凡そこで本訪問は、我が国のひとつの但C活動において、依頼者(クラ
イエント)とコンサルタントの倫理的判断に相違があるのか、彼らの倫理的判断に影響を与える主
な要因は何なのか、彼らの倫酎包判断の主たる根拠キ哩由は異なるのか、について明らかにするこ
とを目的とした。
方法:
2
揃年¥0月から 2
0
1
1年¥0月末までに依頼を受けた全 6
0症例の依頼文書と回答文書を対象に、
質的内容分析を行った。全 症例中、息者の判断能力の有無や依頼者の判断と助言内容の見解の相
違について分類し、定量化した。ケースごとに依頼文書と回答文書の内容分析を行った。
ω
依頼症例の内容をテーマごとに分類した。そして、依頼文書およて胆答文書から底者の判断能力
の有無について判定した。明確な患者の意向がある、病脚句に判断能力があることを示村報を有
、明らかに病闘句に判断能力を欠く情報がある症例を切断能力なしJ
、
する症例を坤断能力あり J
病齢甘に判断能力を欠く情報がないあるいは不足している症例を「靭断能力有無が不確定(以下、
不確定'
)
J、相談内容に患者の判断能力が関与しなし症例を「関係なしJ と分類し丸
次に、依頼文書から主たる相談一(依駒内容、依頼者の判断の理由として示している文脈を抽出
しコード化を行った。回答文書からは、担当コンサルタント・チーム(以下、担当チーム)の申断
の理由として指名している文脈を抽出しコー阿乙した。回答文書内に、担当チームカヰ目談内容以外
に検討した論点がある場合はそれらも抽出しコード化した。その後、判断や理由に関するコードを
症例ごとに照合し、依頼者と担当チームの見解の相患患者の意向と担当チームの見解の相違を分
類した。
依頼者の医療ケアに関する見解と担当チームの同見解の相違は、「一致l
、「不一致J
、「一部一致:
全 ω例の依頼内容をテーマごとに分類した。最も多かったのは、意思決観色カを欠いた患者の生
死に関わる判断 r
7唱件であった。次いで、患者の治療拒否(当時、意思決定能力のある事前指示の扱
いも含む)が 9件
、 DNAR指示に関する説明と同意の仕方が 3件、病名キ余命告知の是非が 3件で
ω
あったその他、様々なテーマについて依頼されていた。全 例の依頼文書と回答文書から、依頼
症例の患者の判断能力を「あり J
、「なしJ
、「判断能力有無が不確定(以下、不確定と記す)
Jに分類
8(
3
側)件、なG--25 (
41.7".10)件、不布陣=12 (20%)、相談内
した。患者の判断能力「あり Jは 1
容に患者の判断能力が関係しなb可 (83%) であった。cn=唱。)
全 件について、依頼文書の医療ケアに関する見解と回答文書の同見解が一致しているカ密かにつ
ω
、「一部一致j、f
保 留J
、「その他Iに分類した。最も多かったのは、「保留J
いて、「一致j、「不一致l
の2
3件 (383%) であった。次いで「一部一致Jが 1
6件 。6.7%)、「一致Jが 1
0件(16
.
7
%
)、「不
)
一 致lが 9件(15%)、「その他Jが 2件 (33%) であった。白同0
次に、見解主主判断能力によって異なるの力検討し丸判断能力を「あり J群 と ほ し ・ 不 確 定1群
の 2群に分け、依頼文書と回答文書の貝解の「一致・一部一致J群と「不一致・保留J群に分け、
χ二乗検定したところ、統計約に有意な差があった。
まず、「不一致l
群 9件のうち、患者の判断能力は「なしJの 7件について、依頼者の判断理由は「事
前指示があるJ
、「本人の意向が不明確I
、「一貫した家族の意向が示されているl
宋されていない」、
『家族の巨腹の期待」、「安全に管理できる手段の適正」、 I
プライパ、ンー保護に対する医療者間の意
、「思者の回復可能性の低さ Jがあった。一方、担当チームの判断理由は「患者の意向が
識の相違l
、「患者の自動、『患者の利益l
、「家族による代諾の適否Jr
患者の意向の推定1
、「回復可能
不明確J
性の低さ J
、「治療に伴う QOLの変化と評価J
、「情報のコントローノレ権J
、「身体拘束の基準Jがあ
った。
また、息者の明確な意向があったが、患者の意向に反していた 3症例に対じて、依頼者は「疾患
末期で終末期であるが否判、緩和台療に関して「患者の希望より優先される可能な緩和方法の櫛サJ
、
、「医療制度上の適応基準Jから患者の意向に反した判断を
がん治療に関して「がん治療の有寄性l
、緩和治療やがん治療の「治
していた。一方、担当チームは、 f
愚者の意向の背景にある理由の尊重l
の指摘J
、「医樹T
為に伴う草l
随と害悪の比較考量j、「医療経営と患者の最善を区
療の目的の明樹ι
別する」ことから患者の意向に反した判断をしていた。
結論:
見解に相違があるのは、依頼症例の患者の判断能力がないあるいは羽院の場合であることが明
らかとなった。また、依頼者とコンサルテーションチームでは、判断を導く根拠付けが異なってい
た。その特徴は、依頼者側は経験的な実践糊裳拠付け、コンサルテーションチーム闘批判的省鱒旬
根拠付けということができた。
(別紙1)
論文審査の結果の要旨
氏
名
長尾式子
α
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f
抽 i
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伊 出 回 出1
元副 b
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帥 組d
抽 i
岱 C
∞sul凶 包 血 均 値L
論文題目
(日本の倫理コンサルテーション依頼者と倫理コンサルタントによって示された倫
理的判断の比較検討)
審査委員
氏
名
区
分
主
査
教授
宮脇郁子
高4 査
教授
宇佐美翼
リ
高
査
教授
山崎康仕
リ
高
査
職
要
名
旨
本研究の目的は、わカ潤の倫理コンサルテーション依頼者と倫理コンサルタントによって示された倫
理的判断の比較検討を行うことである。臨床倫理教育・支援プロジェクトに依頼された全 6
0症例の依頼
文書と回答文書を研究対象とし、患者の判断能力の有無や依頼者の判断と助言内容の見解の相違につい
て分類した。文書は内容分析を行い、患者の判断能力の有無と依頼文書の判断と回答文書の助言の見解
の相違については χ二乗検定を行った。依頼内容で最も多かったのは、意思決定能力を欠いた患者の生
死に関わる判断 2
7件、次いで患者の治療拒否が 9件であった。見解カ洋J
I
断能力によって異なるのカミ検討
した結果、統計約に有意な差があった。依頼文書と回答文書の見解が「不一致jで、患者の判断能力「な
本人の意向力者不明確J r
一貫した家族の意向が示さ
しJ群での依頼者の判断理由は「事前指示がある Jr
れている/示されていないJr
家族の回復の期待Jr
安全に管理できる手段の適E で=あった。一方、担当
チームの判断理由は『患者の意向力主不明確Jr
患者の割高Jr
患者の利益J:
r
家族による代諾の適否J
:r
患
者の意向の推定Jr
回復可能性の低さ Jr
治療に伴う
ω
Lの変化と朝国Jであった。見解に相違があるの
は、依頼症例の患者の判断能力がない、あるいは不確定の場合であることが明らかとなった。また、依
頼者とコンサルテーションチームでは、判断を導く根拠付助演なること刺月らかになった。
以上のととから、わが国の倫理コンサルテーション依頼者と倫理コンサルタントにおける倫理的判断
の特徴が明らかになり、今後の倫理コンサルテーションにおける重要な知見を得たものとして佃直ある
集積であると認める。よって、学位申請者の長尾式子氏は、博士(保健学)の学位を得る資格があると
認める。
-掲載論文:
白m
pariωnof抽 i
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1
知dgmen
包 剖n
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