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銀行の商品販売支援システムのポイント - Nomura Research Institute

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銀行の商品販売支援システムのポイント - Nomura Research Institute
システム
銀行の商品販売支援システムのポイント
金融機関、とりわけ銀行の取扱商品の数は、近年、増加の一途にある。銀行の商品販売支
援システムは、商品追加のたびに拡充されてきたが、販売拠点に設置されている端末が望ま
しい姿になっているとは言い難い。本稿では、銀行において求められる商品販売支援システ
ムとはどのようなものであるかを考察する。
業容が急拡大した銀行の抱える課題
ータに比べ、開発期間の短縮、コスト削減、
1990年代前半から始まった金融制度改革、
システム拡張の容易性の面で優れたクライア
いわゆる「日本版金融ビッグバン」は、当初、
ントサーバーシステムをベースにしたダウン
他業態の商品を子会社形態で解禁するもので
サイジング手法を採用してきた。
あったが、近年、金融機関本体における解禁
が本格化している。
しかし、近時、情報量が増大し、システム
が複雑になると、取扱商品が追加されるたび
金融機関のなかでも、とりわけ銀行では取
扱商品が次々と解禁され、銀行の業容拡大は
に随時システムに変更を加えると、かえって
コスト的に高くつく場合が出てきた。
目まぐるしい。1998年に投資信託の窓口販売
このため、実態に合った商品販売支援シス
が解禁になったのを皮切りに、2001年に長期
テムのあり方とはいかなるものか、というこ
火災保険、2002年に個人年金保険、2004年に
とが大きな関心を集めるようになっている。
証券仲介業と、1 年ないし 2 年ご
表1 商品販売支援システムを考える際の3つの軸
とに新商品が追加解禁されてお
①取扱商品の拡大
り、銀行のワンストップサービス
化が加速している。
このように、次々と取扱商品が
追加されるという状況に対して、
銀行は、従来の商品販売支援シス
テムに随時変更を加えることで対
応を行っていった。
多くの銀行は情報の一元化を目
的として、大規模な統合データベ
ースシステムと、簡易なユーザー
インタフェースの顧客管理端末を
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開発したが、その際、従来のホストコンピュ
・預金
・ローン
・公共債
・投資信託
・年金保険
・証券仲介業
・今後販売する商品
②商品ごとの販売支援 ・顧客ごとの残高や取引履歴を見ることができる
・種々の集計ができる
機能の充実
・コンプライアンスのチェックができる
・商品ごとに販売促進情報の提供ができる
③顧客単位のサービス ・顧客単位で商品を一覧できる
機能の充実
・商品をまたがる損益通算などができる
・納税に関連するサービスを提供できる
・顧客のポートフォリオがわかり、組み替えシ
ミュレーションなどができる
※市場情報・ニュースや営業用コンタクト履歴などは②に含まれる場合と③に含ま
れる場合がある。
2005年5月号
レポートに掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。すべての内容は日本の著作権法及び国際条約により保護されています。
Copyright © 2005 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
野村総合研究所
金融システム事業本部
BESTWAY事業部
営業担当課長
野村総合研究所
金融システム事業本部
BESTWAY事業部
営業主任
大澤英季(おおさわひでき)
藤原節夫(ふじわらせつお)
専門は金融機関向け業務改善・システム
提案
専門は金融機関向け業務改善・システム
提案
銀行の商品販売支援システムを考える3つの軸
今日の銀行は、追加商品の解禁時期や戦略
により、商品ごとに販売開始時期が異なると
投資信託
証券仲介業
勘定系
銀行口座
年金保険
損益
いう特殊事情を抱えている。
また、「単に顧客の残高を参照できればよ
いのか、それとも詳細な販売促進情報まで提
営業用コンタクト履歴
市場情報・ニュース
供されるべきか」「コンプライアンス(法令
順守)の点はどうか」、さらに「顧客ごとに
図1 商品販売支援システムの画面例
ポートフォリオに基づくコンサルティングを
ワンストップサービス提供を実現するため
行うことも求められるはずだ」など、論点は
に、アグリゲーション(口座管理)技術を用
枚挙にいとまがない。
いて、各種情報を 1 つの端末に集約して表示
しかしこれらは、「①取扱商品の拡大」「②
する“端末アグリゲーション”の概念を提唱
商品ごとの販売支援機能の充実」「③顧客単
している。これは、口座番号などを入力する
位のサービス機能の充実」という 3 つの軸で
だけで、紐付けされた商品ごとの画面が窓口
整理することができる(表 1 参照)。
などに設置される端末に一度に表示されるイ
ここで最も重要なことは、商品販売側と商
品供給側のどちらがシステムの担い手となる
メージである(図 1 参照)
。
現時点でシステム構築するとすれば、まず、
かである。「①取扱商品の拡大」は、商品販
商品供給側が提供する画面をXML(拡張可
売側が主体的に検討すべきである。「②商品
能なマークアップ言語)ベースで表示するこ
ごとの販売支援機能の充実」は、商品ごとに
とを想定している。これにより、各商品シス
求められる機能が異なることもあり、商品販
テムへの対応が容易になり、また大規模統合
売側のニーズをよく加味した上で商品供給側
データベースを構築することなく、顧客ごと
が主体的に充実していくべきである。「③顧
の情報が参照できるようになる。
客単位のサービス機能の充実」は、商品販売
次に、画面に表示された数値を利用するこ
側で充実すべき機能であり、同業他社との差
とにより、商品をまたがる損益通算やポート
別化を最も意識すべきポイントと言える。
フォリオ作成などに応用が可能となる。投資
“端末アグリゲーション”概念による差別化
野村総合研究所では、銀行の販売拠点での
信託や年金保険などの新しい商品だけでな
く、将来的には、勘定系の画面との接続も視
野に入れることになる。
■
2005年5月号
レポートに掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。すべての内容は日本の著作権法及び国際条約により保護されています。
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