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ブロードバンドで変わる韓国のe ラーニング事業
12-NRI/p94-95 01.11.29 3:18 PM ページ 114 目次に戻る N E T eラーニングの定義と類型 インターネットの普及に伴い、 企業は知識経営の強化のため、 B U S I N E S S W AT C H ブロードバンドで変わる 韓国の e ラーニング事業 eラーニングへの関心を高めてい る。eラーニングとは、多様なデ ジタル教育コンテンツを活用し、 李 定恩 ネットワークを通じて行う教育で ある。その形態は多様だが、代表 的な例として、①遠隔教育、②コ バンド(高速大容量回線)の環境 ったが、99年からはチャットやメ ンピュータに基づく教育、③ウェ が注目されている。 ールを活用したものが紹介され始 ブに基づく教育――がある。 ①は一般的にビデオを活用した 教育方式であり、②は独立したコ めた。最近では、双方から映像と インターネット環境の変化と 音声を送り、質問と応答、記録・ eラーニング事業 メモ・線引きなどができる精密な ンピュータを通じて教育課程が ブロードバンド先進国の1つで 機能が補完された、双方向のマル 提供されるもので、教材がCD− ある韓国では、11月現在、その利 チメディア・ソリューションも発 ROMの形態で提供され、対面や 用人口が700万人を超えている。 表されている。 通信、メディアの Q&Aにより行 これは総人口の6分の1に相当 eラーニング事業の活性化に われることが多い。③はインター し、1.5世帯に1回線が引き込まれ は、韓国政府が推進している教育 ネットやイントラネットなどを通 ている計算である。 情報化事業も大きな役割を果たし じて教育課程が提供されるものを 韓国企業がeラーニング事業に ている。例えば、政府は小・中・ いう。つまり、教育者と学習者、 本格的に参入したのは1999年以降 高校を対象にした教育情報化事業 学習者と他の学習者の間に双方向 である。すでに1996年から同事業 を進める一方で、サイバー大学の のコミュニケーションが可能なオ は注目されていたが、インフラの 開設をも進めている。2000年に9 ンライン学習体系を指す。 不備のため活性化されなかった。 校の設立が認可され、さらに約10 従来のeラーニングは、主に① だが、インターネット利用者の急 校が開設を準備中である。このサ または②の形態だった。例えば日 増とブロードバンドの拡張により イバー大学への入学競争率は今年 本では、お茶の間留学のNOVAが インターネット環境が大きく改善 3月の場合、平均2∼3倍という 知られているが、これは①の代表 された1999年以降、同事業が活気 高い数値を示している。 例といえる。このようなeラーニ を帯びるようになった。 eラーニング事業の2つの事例 ング事業では、従来の教育以上の 他方、ソリューションの内容に 質を保ちながら、コストを削減す ついてみると、1996年頃にはテキ インターネット環境の変化のな ることが求められているが、この ストやグラフィックなどの単純情 かで、eラーニング事業にも変化 条件を満たすものとしてブロード 報を片方向で提供することが多か がみられる。ここでは2つの成功 94 知的資産創造/2001年 12月号 当レポートに掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。すべての内容は日本の著作権法及び国際条約により保護されています。 Copyright © 2001 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission. 12-NRI/p94-95 01.11.29 3:18 PM ページ 115 株のチャートなどの重要情報とを 図1 「ライブパックス」の専門家講座 同時に見ながら、受講者はチャッ トを通じて質問ができる仕組みに なっている。受講者からの質問に は、専門家が講義の途中に音声で 直接応答したり、他の受講者がチ ャットを通じて応答したりするこ とができる(図1)。 現在、人気のある講座には200 ∼300人が同時接続で参加してい る。また、このような講座は利用 者が自分の都合により、ビデオ・ オンデマンドでも利用できるよう 出所)http://boardb.paxnet.co.kr/LivePax/highlight_list.shtml になっている。 このように韓国におけるeラー 事例を取り上げる。 スタマイズしたコンテンツを企 ニング事業は、ブロードバンドの ①企業対象の教育サイト 画・販売し、ASP(アプリケーシ 普及に伴い、インターネットを利 三星SDSは従来、主に遠隔教育 ョン・サービス・プロバイダー) 用した教育システムに急速に移り を重視してきた。同社はインター サービスや企業向けの受託教育サ つつある。こうした教育システム ネット遠隔教育サイトの「eキャ ービスの提供も図っている。なお、 は、ビジネスサイクルが短縮した ンパス」(www.E-Campus.co.kr) eキャンパスは昨年、20万人の会 ことで、持続的に、しかも迅速に で、情報技術や経営学・語学など 員と215の教育課程を運営し、約 社員教育を行わねばならない近年 の教育コンテンツを提供し、学習 3億円の売上高を記録した。 の企業環境に適合したこともあ 者が学習進行状況を点検、評価で ②証券講座サイト り、今後のeラーニング事業の中 きる教育管理サービスを行ってき 証券情報ポータルサイトのパッ 心になると考えられる。 た。ところが、今年からはウェブ クスネット(www.paxnet.co.kr) に基づく教育、しかもソリューシ が運営している「ライブパック 築と差別化したコンテンツの確保 ョンやインフラ構築までも含む ス」は、専門家による一般人向け とが、eラーニング事業において eラーニング・ポータルサイトを の証券トレード講座で、インター 重要な競争力の要素になると予想 目指している。 ネット放送の形式で、双方向型で される。 例えば、企業顧客を対象に、遠 そのため、独自の専門領域の構 行われている。 隔教育に必要な各種インフラとソ 専門家の動画による投資戦略の リューションを構築する一方、カ 説明とリアルタイムで提供される 李 定恩(イ・ジョンウン) ソウル支店コンサルタント ブロードバンドで変わる韓国の e ラーニング事業 当レポートに掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。すべての内容は日本の著作権法及び国際条約により保護されています。 Copyright © 2001 Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission. 95