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フクロウに学び、カワセミに近づいた500系新幹線

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フクロウに学び、カワセミに近づいた500系新幹線
「自然に学ぶ」-フクロウに学び
カワセミに近づいた500系新幹線電車ー
平成22年(2010)2月1日(月)まとめ
元JR西日本 技術開発室長&試験実施部長
現(株) 新大阪ステーションストア 監査役
「地球に謙虚に運動」代表
仲津 英治
500系新幹線電車
500系新幹線電車
JR西日本
世界の交通事故死者数
各国の10万人当りの死者数
交通歴史上 最高の安全の金字塔
• 新幹線は昭和39年(1964)開業以来、列車乗車中の旅客
の死傷事故ゼロという輝かしい交通機関史上初の記録を
築き、今も更新中。
• 日本;道路交通事故死者数 5,155人(平成20年中(2008)
事故後24時間以内死亡)
世界統計の事故後1カ月以内の統計に合わせると約
40%増し
・新幹線が無ければ、年間1,800人の死者増(英国エコノミス
ト誌1998.2.21号の推計)。
・自動車王国 米国;年間道路交通事故死者4~5万人 (1
ヶ月以内)
交通機関別エネルギー消費
日本のエネルギー事情
• ほとんど輸入
石油3億kl、他石炭、天然ガス
• 原子力用ウランなども輸入。
• 全体で、96%を輸入
• 自前のエネルギー源;水力発電、
一部バイオ燃料のみ、太陽光発電も漸く拡充
の再ステップの段階。
日本のエネルギーの使われ方
平成16年(2004)総合エネルギー統計
産業別炭酸ガス排出量
交通機関別炭酸ガス比較
日本;世界最大の旅客鉄道王国
•
世界の鉄道旅客の4割は日本
世界全体 16,000万人/日
日本国内 6,400万人 /日
新幹線乗客数;82万人/日
フランスTGV ;20万人/日
新幹線ネットワーク
国土交通省HPより
JR西日本の高速化チャレンジ
• 山陽新幹線で時速350㌔を実現
・平成元年(1989)検討開始
・達成目標年度;平成6年度(1994)
・新大阪ー博多間(556㌔)を2時間10分台で
結ぶ
・最大の課題;騒音、取分け空力音の克服
・試験電車を製作
WIN350-1号車
(JR西日本提供)
WIN350-6号車
(JR西日本提供)
試験電車 WIN350編成
WIN350と共に
試験実施部長時代
日本最高記録達成 時速345.8㌔
平成4年(1992)8月6日
日本最高記録達成記念写真
試験実施部員 平成4年(1992)8月7日
WIN350の編成図(新製時)
(資料 JR西日本)
日本の新幹線環境環境基準
(1975 環境庁)
連続する20本の列車の上位10本の列車の
ピークレベルのパワー平均値
→
線路中心より25m離れて,地上高さ1.5mの
高さで測定
→
70dB(A)以下(住宅地域)
75dB(A)以下(その他地域)
鉄道事業者にとって世界1厳しい環境基準
鉄道の騒音源
新幹線の騒音地上側対策
鉄
道
の
騒
音
源
東
昭
彦
氏
風切音の原因(カルマン渦)
絵図;仲津里美
パンタグラフとカルマン渦
•
(資料 JR西日本)
空力音と集電系音の低減
•
車体空力音∝V6~V7
車両の平滑化 現車試験
窓の無い車――成果:車両窓、
ドアーの平滑化
先頭形状 、断面の縮小、床下平滑化、
車両間対策、ボデイーマウント、車両間幌
• 集電系音∝V7~V8
架線トロリーの交換
パンタカバーの改良、
パンタグラフ減、母線引通し
パンタグラフの革新 翼型パンタグラフ等
パンタカバーの役割
300系新幹線電車パンタカバー
パンタカバーと空力音低減
(東 昭彦氏)
試験パンタカバー
資料 JR西日本
ロングスロープパンタカバー
ロングスロープパンタカバー写真
WIN
350
ロング
スロープ
パンタ
カバー
(JR西日本提供)
故矢島誠一さんの試作模型パンタカバー
パンタカバー プール試験
故矢島誠一氏 JR西日本での講義
1993-94の頃
故矢島誠一氏 JR西日本での講義
1993-94の頃
在りし日の矢島誠一氏(左)と
三宅 裕阪大教授
ロングスロープパンタカバーでの
走行試験(平成5年(1993)3.29
資料JR西日本)
パンタカバーの課題
・重量増加
線路を痛め、省エネ・省資源に反する。
・空気流による車体の揺れの誘発→
乗り心地に影響(かなり改善された)
・騒音源になる(かなり改善された)
・トンネル圧力波を発生させる→
トンネルドン問題(かなり改善された)
翼型パンタグラフ
鳥の羽
絵図 仲津里美
フクロウ(狩りのため、静かに飛べる)
フクロウの静穏飛行できる理由
1.凹方物面体の顔面→
顔が集音装置の働き
2.全身に羽毛(綿毛)が多い→
羽ばたき音の吸収
3.初列風切りの最前縁にトゲ状の小渦
発生装置→飛翔音を出さない。
矢島誠一氏 日本野鳥の会大阪支部室内例会と
JR西日本での講義(1990.5~91頃)
フクロウ羽根
(疋田 章二氏提供)
フクロウ羽根セレーション(疋田 章二氏提供)
トラフズク(フクロウの一種)のセレーション
(矢島 誠一氏提供)
フクロウの風洞試験
模型
パンタ
グラフ
矢島氏自作模型
翼型パンタグラフの模型
(資料 JR西日本)
鉄道総研 翼型パンタグラフ模型
(資料 JR西日本)
鉄道総研翼型パンタグラフ模型 傾斜形
(資料 JR西日本)
ジーメーンス社製のパンタグラフ
(資料 JR西日本)
川崎重工製模型パンタグラフ
(資料 JR西日本)
東洋電機製翼型パンタグラフ
(資料 JR西日本)
翼型パンタグラフ 揚力テスト
(全日空整備 宮村 元博氏指導)
翼型パンタグラフと空力委員会メンバー
翼型パンタグラフの集電試験
於 鉄道総研
•
円柱&
楕円柱の
空力音と
空気抵抗
(資料 東昭彦氏)
紡
錘
(絵図
仲津里美)
カツオの上面写真 紡錘型
ア
デ
リ
|
ペ
ン
ギ
ン
紡
錘
型
(仲津里美)
翼型パンタグラフ支柱部の断面:
紡錘型に到達
翼型パンタグラフの性能試験
於 ホンダ試験トラック
•
(資料 JR西日本)
集電試験機でのテスト 於 鉄道総研
•
本線での集電試験と騒音測定
VG(Vortex Generator)無し かなりの騒音
• VG
フクロウのセレーションと空気流
NHK BS 08.2.19 アインシュタインの眼
•
タカとフクロウの空気流の比較
NHK BS 08.2.19 アインシュタインの眼
•
セレーションの機能
・セレーションは小さな渦発生装置
ヴォルテックス ジェネレター
Vortex Generator=VG
・ヴォルテックス ジェネレター
小さな渦が大きな渦の発生を防ぎ、
結果流体抵抗とか騒音を低減する
航空機の
Vortex
Generator
(尾翼)
航空機のVortex Generator
(B737 主翼)
紡錐型支柱の騒音対策
Vortex Generator (資料 東 昭彦氏)
支柱部にスパイラルワイヤー (東 昭彦氏)
風洞の風と支柱部の気流子の動き
(東 昭彦氏)
四角断面Vortex Generator 2列
(東 昭彦氏)
三角形の
Vortex Generator 2列 (東 昭彦氏)
三角形の Vortex Generator (東 昭彦氏)
VGの有無による空気流の比較
NHK BS 08.2.19 アインシュタインの眼
•
ホ
|
ン
部
の
空
力
音
(東
昭彦
氏
提供)
完成した翼型パンタグラフ (JR西日本提供)
500系電車と翼型パンタグラフ
翼型パンタグラフの調整
翼型パンタグラフによる
走行試験編成(平成6年(1994)6.25、資料 JR西日本)
WIN350
(左)と
500系(右)
の
屋根上
500系の碍子カバーと翼型パンタグラフ
集電中の翼型パンタグラフ
•
騒音測定
(資料 JR西日本)
新幹線電車騒音波形
(資料 JR西日本)
上下方向の騒音測定 (東 昭彦氏)
トンネルドンの脅威
• トンネル微気圧波の発生
• 山陽新幹線は、51%がトンネル
• 高速の物体が狭い空間に突入→
圧力波が発生→音速で津波のように成長しながら
進行→トンネル出口側でドカンという音とトンネル
微気圧波を発生
・トンネル微気圧波;大気圧の僅か0.1%のオー
ダー
・騒音と低周波圧力振動が人と建物などに伝わる。
トンネル微気圧波の発生原理
トンネル微気圧波
• 列車の断面積とトンネルの断面積の
比 r に逆比例
• 列車速度の三乗に比例
・ 地上の空隙で、ある程度緩和される
dp/dt∝1/r*V3
バラスト(砕石)軌道
(トンネル圧力波をある程度吸収する)
スラブ軌道
(コンクリート板の上にレールを敷く (JR九州の例)
トンネル圧力波を反射する)
トンネル緩衝工 絵図
(中谷 浩二氏提供)
トンネル緩衝工 大平山 その1
トンネル緩衝工 大平山その2
(資料 JR西日本)
各種先頭形状
車両の
先頭
形状の
あるべき
姿
(資料
鉄道総研)
カワセミ
(絵図 仲津里美)
カワセミのダイヴィング (有田 正郎氏提供)
水中のカワセミ
(絵図 仲津 里美)
カワセミの飛出し (有田 正郎氏提供)
列車模型発射実験装置 概観
(鉄道総研 提供)
列車模型発射実験中
(鉄道総研提供)
列車模型発射実験中 (鉄道総研提供)
列車模型(実際の車に相似)
(鉄道総研 提供)
列車先頭部模型(実際の車に相似 (鉄道総研提供) )
断面積の変化率一定の形状
円錐型と回転放物面体の水中落下実験
(朝日放送系 04.3.19 キャノンスペシャル より)
円錐型と回転放物面体の水中落下実験
(朝日放送系 04.3.19 キャノンスペシャル より)
トンネル内列車すれ違い時圧力分布
(スーパーコンピュターシミュレーション
JR西日本提供)
トンネル内列車すれ違い時圧力分布
(スーパーコンピュターシミュレーション
JR西日本提供)
カワセミの頭部骨格標本
(植田 光弘氏提供)
カワセミの
クチバシの
断面相似図
凹円弧菱
断面積
S=b2(4-π)X
断面積の変化率
=一定
500系新幹線電車とカワセミ
(朝日放送系 04.3.19 キャノンスペシャル)
500系模型と風洞試験セッテイング
500系電車
500系電車と各種新幹線車両
(JR西日本 提供)
車
両
の
断
面
積
と
変
化
部
(資料JR
西日本)
500系と冨士山
走行抵抗の減 ;
省エネ性の比較
・先頭形状と円形断面
出力 速度 走行抵抗 消費電力
(新大阪~博多)
出力
最高速度
抵抗
消費電力
• 300系 12,000kw 270Km/h 100% 23,000KWH
• 500系 18,000kw 300Km/h 70% 20,000KWH
• 2万KWHの電気料金≒24万円→お客様20人で回収
走行抵抗と消費電力
(資料 JR西日本)
騒音測定結果
•
車種別騒音レベル
車種
300系
500系
700系
騒音レベル 列車速度
dB(A)
Km/h
75
70
70
248
248
245
(滋賀県環境白書 平成11年版 P239)
高速列車の環境騒音の比較 (資料JR西日本)
軽量化とアルミハネカム(車体側面に活用)
アルミハネカムと車体の軽量化
資料 JR西日本
車体の重量比較
(資料 JR西日本)
自然に学ぶ
◎ 自然は教科書、教師
「工学的創造力を修練するには多くの方法があるであ
ろう。しかし、最良の教科書であり、教師であるのは自然
では無かろうか。自然には、今までの長い歴史が秘められ
ている。永遠は幽玄である。
永遠を生きて来た自然は、幽玄にして強力、確実無比な
存在である。鳥の飛翔、魚の遊泳、野の草の風にたなびく
風情、樹の幹と枝および、葉の茂みの調和、いずれも自然
の恵みによる生育の過程の表象である。
一木一草、一鳥一魚、みなわれわれの輝ける永遠の教師
であろう。 《飛行機設計論の巻頭言》
(昭和43年刊、山名正夫、中口 寛共著)
野鳥の様々の形と機能(薮内 正幸氏作品
野鳥の図鑑 福音館書店)
ペリカンと水中翼船
ツバメの尾翼と双尾翼機 (絵:仲津里美)
ムクドリと三角翼機 (絵:仲津里美)
初列風切りとウィングレット
丹頂鶴とB737 (絵図 仲津里美)
チュウヒ(鷹の仲間)の滑空飛翔姿と
ボーイング787
湾曲する翼 (絵図 仲津里美)
500系で実現した技術 プラグドアー
(JR西日本 提供)
•
500系で実現した技術 プラグドアー
(JR西日本 提供)
•
ボデイーマウント構造 (JR西日本 提供)
500系の営業運転の変遷と予定
第1段階 平成9年(1997)3月22日(土)
営業開始; 500系のぞみ 新大阪~博多間1往復
時間短縮効果;2時間32分から2時間17分
第2段階 平成9年11月29日 東京乗り入れ
東京ー博多間3往復(4時間49分)
新大阪ー博多1往復
第3段階 平成11年(1999)3月13日
東京ー博多間7往復 新大阪ー博多1往復
500系の営業運転の変遷と予定
第4段階 平成20年(2008)3月15日
(07-10から減便開始)
東京ー博多間2往復へ減 N700系へ置換
第5段階 平成22年(2010)3月1日
のぞみオールN700系化
8両の9編成に改造してこだま号として転用
8両に短編成化した500系
700系レールスター
(資料 JR西日本)
東北
新幹線
E2
「はやて号」
(JR東日本HPより)
• 「はやて」走
行写真
1.jpeg
「E2 はやて」 東京駅にて
• E
2
は
や
て
東
京
駅
に
て
.
E2 新型パンタグラフ
E2 新型パンタ支持碍子
N700系新幹線電車
(東海道・山陽)
N700系新幹線電車(傾斜制御可)
(JR西日本HPより)
N700系とZ型パンタグラフ
N700系
電車
の
車間幌
0、100、300、500、700&N700系等の
新幹線電車群 博多総合車輌所 07.11
500系と 博多駅にて
ウイン三五〇に捧げる その一
平成八年五月(一九九六)
仲津 英治 作
満天の星の光を受けて
月光の地の霜に浮かぶ
白き黎明に淡く光りて
日輪高きに光彩放つ
雨露風雪を越え行きて
紫龍たる汝走り続けること 四星霜
その道程(みちのり)実に 三十五万有余キロ
汝の姿に幾多の叡智を見
汝の満身に
我等が試みの跡を見ゆ
ウイン三五〇に捧げる その二
幾多の心血が注がれたる
幾多の腕(かいな)が工(たくみ)為したる跡
図り 作り
設け 修し
測定(はか)り そして 分析(わけ)る
さらに次なる試みへ
はたまた地にありて
備える人 測る人あり
暑さを厭わず 寒さを厭わず
汝が走りを迎えたり
汝が走れる中に 自然に学べる姿を見る
汝が働き次世代(いのち)を伝う
ウイン三五〇に捧げる その三
その名ぞ五〇〇系
より静かに
より快く
より優しく
また実りの限り ここに極みて
人を和しぬ
ウイン三五〇 汝 その役割果せり
我等が誇りの原点(みなもと)なり
静かにその勇姿を留めよ。
環境NPOの主宰、参画
• 「地球に謙虚に」運動代表
•
エコネット近畿 副理事長
ソーラーおおつ 常任理事
気候ネットワーク
びわ湖自然環境ネットワーク
びわこEMラブ
自然エネルギー推進市民フォーラム
(財)日本野鳥の会本部、京都支部
もったいない学会 各会員
福澤育林会 評議員
URL
http://www5f.biglobe.ne.jp/~kenkyoni/index.html
ご訪問有難うございました。
平成22年(2010)2月吉日
仲津 英治
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