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「SECコンクリート」

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「SECコンクリート」
「SECコンクリート」
性能向上のために分割練混ぜをしたコンクリート
1.技術の概要
「SEC(Sand Enveloped with Cement)コンクリート」は、練混ぜ水を分割して投入することによ
り、細骨材の周囲が低水セメント比のセメントペーストによって覆われるように製造するコンクリート
である。「SECコンクリート」の製造フローを下図に示す。これは、細骨材の特性から定まる適量の
一次水(W1)と細骨材、粗骨材を練り混ぜ、次に、セメントを投入して低水セメント比の密実なセメ
ントペーストが細骨材のまわりに付着(造殻)するように練り混ぜた後、所要の流動性を得るための残
余の水と混和剤を投入して練り混ぜる手順を示す。
「SECコンクリート」は、全材料を一括投入して練り混ぜる通常のコンクリート(以下一括練りコ
ンクリートと記す)に比べ、一般のコンクリートとして使用した場合は、ブリーディングが抑制され、
ポンプ圧送性、強度特性が向上する。また、吹付けコンクリートに使用した場合は、はね返り率および
粉じん発生量が低減され、圧縮強度が増大する。
W1
C
W2
S :細骨材
Ad
G :粗骨材
S
C :セメント
W :水
Ad :混和剤
G
一次練り
図―1
二次練り
SECコンクリートの製造フロー
2.審査証明の結果
1)一般コンクリートとしての特性
(1)圧縮強度は一括練りコンクリートに対して5%以上高いことが確認された。
(図-3、図-4参照)
(2)ブリーディング率は一括練りコンクリートに対して40%以上少ないことが確認された。
(図-5参照)
(3)圧送性の評価方法である加圧ブリーディング量は、圧送可能範囲内で一括練りコンクリ
ートより少ないことが確認された。(図-6参照)
(4)凍結融解抵抗性は一括練りコンクリートと同等であることが確認された。
(図-7参照)
2)通常の湿式吹付けコンクリートとしての特性
(1)はね返り率および粉じん発生量が一括練りコンクリートに対して10%以上低減される
ことが確認された。(図-8、図-9参照)
(2)材齢28日コア圧縮強度は一括練りコンクリートに対して10%以上高くなることが確
認された。(図-10参照)
1
3.技術の適用範囲
「SECコンクリート」の製造は,使用する材料の特性に合わせた最適な一次水量による一次練りと
残余の水による二次練りが容易にできるプラントにより、通常の材料の品質管理のもとで行える。
技術の適用範囲は、一般コンクリート工事およびトンネル用吹付け工事に対するコンクリートである。
4.製造設備
「SECコンクリート」の製造設備は、一次水、二次水が設定されて分割練混ぜができ、負荷電流値
が最大となる一次練混ぜに十分対応できる動力を有するミキサが装備された設備であることが必要で
ある。
貯蔵ビン
S
G
C
W
:通常の一
計量器
括練りプラントと異
G
S
C
W1 W2
なる部分
※計量器増設
G
操作盤
※プログラム変更
コンクリートミキサ
セメント
サイロ
※動力UP
ホッパ
混和剤
排 出
図―2
SECコンクリートの製造に対応したプラントの例
5.技術のポイント
「SECコンクリート」は配合されるセメントを有効に分散させ、骨材のまわりに強固に造殻させる
ことが重要であり、そのためには、一次水量を以下の式(1)によって求める。式中のα、β0Hはセメ
ントおよび細骨材の各固有の係数で所定の室内試験に基づき決定される。
α
W1=
βOH
×C+
100
×S・・・・・・・・・・・・・式(1)
100
W1:単位一次水量 (kg/m3)
α :セメントのキャピラリー状態に必要な水セメント比(%)
β0H:細骨材の拘束水率 (%)
C :単位セメント量 (kg/m3)
S :単位細骨材量 (kg/m3)
2
6.図・表
7
100
SEC
90
80
変動係数 (%)
圧縮強度 [N/mm2]
SEC練り
6
一括練り
70
60
50
40
一括練り
5
4
3
2
1
30
20
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
0
4.0
31.3
図−3
図−4
SEC(スランプ18cm)
一括練り(スランプ18cm)
SEC(スランプ10cm)
一括練り(スランプ10cm)
圧縮強度のバラツキ
一括練り
60
40
W/C=50%
目標スランプ10cm
20
0
40
50
60
70
0
80
50
100
図−5
ブリーディング発生状況
図−6
250
26.5
25
90
はね返り率 (%)
相対動弾性係数 (%)
200
加圧ブリーディング
30
100
80
70
SEC
60
150
経過時間( 秒)
水セメント比 (%)
一括練り
23
20
15
10
5
50
0
50
100
150
200
250
300
0
SECコンクリート
凍結融解繰返し数 (サイクル)
図−7
凍結融解試験結果
図−8
11.45
12
一括練りコンクリート
吹付けコンクリートのはね返り率比較
35
30
10
圧縮強度 N/mm2
粉じん量 (mg/m3 )
37.3
SEC
80
脱水量(cc)
ブリーディング率 (%)
圧縮強度特性
100
20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
34.3
水セメント比 (%)
セメント水比C/W [−]
8.46
8
6
4
2
29
25
25
20
15
10
5
0
0
SECコンクリート
図−9
一括練りコンクリート
SEC
吹付けコンクリートの発生粉じん量比較
(無換気)
3
図−10
一括練り
吹付けコンクリートのコア圧縮強度比較
300
7.主な実績
1)青函トンネル建設工事(支保工、吹付け)
昭和55∼60年
2)泊原子力発電所建築工事
昭和60年
3)都立大学新キャンパス建築工事
平成
2年
6)千歳空港コンクリート舗装工事
平成
4年
7)東北新幹線金田一トンネル吹付け工事
平成
6年
8)北海道開発局忠別ダム建設工事
平成
8年
9)圏央道多摩川橋橋梁床版コンクリート工事
平成12年
10)第二東名高速道路静岡第4トンネル吹付け工事
平成15年
11)瑞浪研究坑道吹付け工事
平成17年
12)山梨リニア実験線
平成20年
御坂トンネル吹付け工事
13)富山ラインA−1工区トンネル吹付け工事
平成24年
他
8.技術保有会社
1)石川島建材工業(株)
2)リブコンエンジニアリング(株)
問合せ先:SEC事業部
TEL
03-3257-8011
9.審査証明実施機関
(一財)土木研究センター
10.審査証明年月日
平成15年8月21日
平成20年8月21日
更新
平成25年8月21日
更新
4
FAX 03-3257-8015
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