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ふかみずくん - パディ研究所
棚田における「ふかみずくん」水管理の実験結果 パディ研究所 2007年1月16日 実験1 スライド管を下げた場合の流量と水深 「ふかみずくん」を下げた場合の流量と水深(200の下端よりの水深cm) 14 12 水深cm 10 8 6 4 2 0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 流量リットル/sec 1 流量と管内の水深の関係は 流量 20リットル/secでは 水位差20cmで 30リットル/secでは 水位差40cmで流れる。 以上の実験の結果、上記水位差+延長分の水位ロス以上の落差があれば、解放状態では流 れる。 実験2 水位を田面+10cmに設定した場合の流量と越流水深 「ふかみずくん」の下端を解放状態にした場合 ふかみずくんの越流水深と流量(水深+10cm 下部解放) 25 越流水深(cm) 20 15 10 5 0 0 2 4 6 8 10 12 14 16 流量(リットル/秒) 2 実験3 下端にエルボと単管を接続し単管を水没させた場合。 ふかみずくんの流量と越流水深(田面+10cmの場合) 25 越流水深(cm) 20 15 10 5 0 0 2 4 6 8 流量(リットル/sec) 10 12 14 実験2と実験3では、0~4リットル/secは安定した流れである。4~8リットル/se cの間は、引き込まれた空気が、間欠的に水を押し戻して(右図)流水阻害が発生した。 下流側の水深により流量も変わる。水位調整可能な最大流量は8リットル程度と考えられ る。 3 実験4 下流側水深(H)と越流水深(流量6リットル/sec) ふかみずくん下流水深と越流水深 80 70 越流水深(mm) 60 50 40 30 20 10 0 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 下流水深(パイプ上面よりcm) 下図は4リットル/secの状態であり、安定して流れている。下流側水位(H)による越 流水深の変化もない。越流水深は35mm。 4 実験5 水田の落差と流量について 左の写真のように、下流側を引き上げても、 流れに支障は出なかった。 実験6 空気の混入について 次に、上図のような試験装置を作り、上段のふかみずくんで発生した泡(空気)が下段の 「ふかみずくん」に及ぼす影響を調査した。結果、次ページ写真のように空気塊が流れを 乱した。 5 乱した。また、内筒が揺すられて落下した。 空気塊による定流の破壊状況 実験7 急傾斜地に於ける実験 ←ポンプ、流量計 高低差5m、水平部15m 減勢工はつけない 6 ① 通気スタンド 4リットル/sec時には、空気魂が流れて来るが、通気スタンドをつければ正常に流れる。 ②急傾斜区間の始点に通気孔が必要ではとの懸念から、以下の実験を行った。 どの程度の負圧が発生するか、クリーニング用の薄いフィルムで蓋をして、最大20リッ トル/secまでの流量を流してみたが、フィルムは破れることもなかった。また、通気管 をキャップした状態と解放した状態で、下流側の「ふかみずくん」への空気混入率に変化 は観測されなかった。 7 水位調整管を上げた状態での、20 リットル/sec流した状態 通気スタンドは機能不足である。 空気を全く入れず、水位調整管を上 げて14リットル/sec流した状態。 水位調整管が水の重み及び振動で下 がるので、固定して実験した。 以上の実験の結果、水位調整管を下げた状態では20~30リットルの通水能力があるが、 水位調整管を上げて、水位調整中の場合には8リットル/sec程度の通水能力しかないこ とから、大雨時の排水は別途考慮しなければならない。 8 実験8、通気スタンドの性能実験 9リットル/secチーズ200 20リットル/sec チーズ200 15リットル/sec チーズ200 25リットル/sec チーズ200 以上の実験の結果 チーズ200では 同様にチーズ150 15リットル/secまでの通気能力が確認できた。 では10リットル/secまでの通気能力が確認できた。 圃場に於ける実験の結果 4リットル/sec程度の流量であれ ば、用水調節器が通気スタンドの役 割をしていることがわかった。 9 実験の結果 ① 水位調整管を下げた状態で水を流す場合は、20cmの水位差で20リットル/sec・ 40cmの水位差で30リットル/sec流れる。 それに、水平部のロス分(20リットル/secでは約1/100の勾配・30リットル では約1/50の勾配を加えた落差があれば当該流量は流れる。 (代掻き時や排水時の流 量) ② 管理期の流量は最大4リットル/sec以内で行う。この場合の越流水深は35mmであ り、下流側の水位、田差等に影響を受けない安定した流れである。 この場合でも、日減水深20mmの圃場に於いては、0.004×86,400÷0. 02(m)=1.7ha、日減水深25mmでは1.4haの潅漑が可能である。 代掻き時は、上記のように最大20~30リットル/sec流れることから、流量的には 問題ない。 調整可能水深と越流水深 4 3.5 越流水深(cm) 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 流量(リットル/sec) ③ 最小田面差を30cm以上とすれば、以下のような操作を年に数回行うことにより、流 速1.1m以上の最大流量が確保できることから、泥吐は不要である。 (例えば、上流側の「ふかみずくん」に一時貯留して水位を上げてから、一挙に放流す る。もちろん、下流側の「ふかみずくん」は下げておく。 ④ 急傾斜地においても、減勢工、通気孔は不要である。 ⑤ 「ふかみずくん」の上部にΦ10mm程度の通気穴を開ける。 ⑥ 4リットル/sec以下の流量の場合は、水田への取水口が通気スタンドの役目を果たす ことから、通気スタンドは別途設ける必要はない。 ⑦ 大雨時の落水工は別途設ける。 10 ⑧ 取水工の取水流量が目で見えるように「ふかみずくん」を設置し、水位調整管の取っ手 に目盛りを取り付ける。(別売) → ⑨ 用水調節器は常に開けておくことを基本に水管理する。除草剤散布時等で閉めるときは、 「ふかみずくん」の水位調整管も下げる。(大量の水が流れて来る可能性がある場合) 棚田用「ふかみずくん」のメリット ① 水位が自由に設定でき、一度セットしたら水の見回り不要。 ② 農道側(用水側)のみで殆どの水管理が可能である。 ③ 暗渠排水も含め、水の有効利用が可能。ライン途中の水源も取り込むことができる。 ④ 水路をパイプライン化により、草刈り、泥上げの作業から解放される。つぶれ地も少な い。 ⑤ かけ流し潅漑による無効放流が少なくなり、環境保全が図れる。 ⑥ 用水路からの漏水がなく、水田が乾きやすい。 従来の水路(右写真)水路の草刈り、泥上げ必要、水田もぬかるんでいる。 「ふかみずくん」圃場(左写真)水路の管理不要、水田も乾いている。 11