Comments
Description
Transcript
1. - 神戸大学MBA
MBAニューズレター No.19 神戸大学大学院経営学研究科 MBA コース 神戸大学大学院経営学研究科MBA MBAコース 2000 年 10 月 27 日発行 神 戸 大 学 大 学 院 経 営 学 研 究 科 〒 657-8501 神戸市灘区六甲台町2-1 TEL:078-881-1212 FAX:078-881-8100 本 号 目 次 1. 1.巻頭言 第3次MBAブームに思う 巻頭言 第3次MBAブームに思う . . . . . 1 ( 春 ・ 秋) 入学生研究成果 2.1 年度生( 秋)入学生研究成果 2. 1 9 9 9 年度生 ( 1 ) マーケティングコース . . . . . 2 組織・ ( 2 ) 組織 ・ 人的資源管理コース . . . . . 3 ( 3 ) 会計コース . . . . . 5 ( 4 ) ファイナンスコース . . . . . 5 3. 2 0 0 0 年度入学者の研究状況 - 在学生からの報告 - . . . . . 6 3.2 4.在学生に聞く 在学生に聞く( 4. 在学生に聞く ( 1 9 9 9 年度生) ( 1 ) マーケティングコース . . . . . 7 組織・ ( 2 ) 組織 ・ 人的資源管理コース . . . . . 8 ( 3 ) 会計コース . . . . . 9 ( 4 ) ファイナンスコース . . . . . 9 .....10 5.2 年度秋入学状況( 日実施). 5. 2 0 0 0 年度秋入学状況 ( 2 0 0 0 年8月 3 0 日実施) 6. 社会人非常勤講師による特別講義 . . . . . 1 1 6.社会人非常勤講師による特別講義 7. 留学 ・ 協定 . . . . . 1 1 7.留学 留学・ 8. 今後の募集 . . . . . 1 2 8.今後の募集 9.ホームページのご案内 9. ホームページのご案内 . . . . . 1 2 1 0 . ワークショップのご案内 . . . . . 1 3 インサイト』定期購読のご案内 1 1 .『 ビ ジ ネ ス ・ インサイト』 定期購読のご案内 . . . . . 1 4 1. 第3次MBAブームに思う 神戸大学大学院経営学研究科研究科長 榊 原 茂 樹 いま日本は第3次のMBA(経営学修士)ブームだそうである。 ビジネスマン向けの経済雑誌ではMBAの 特集が盛んである。 「・・・だそうである。」と無責任な書き方をしたのは、ここ 10 年間MBA教育を実践し てきた我々としては、 ブームの渦中にあるという感覚を全く持ち合わせていないからである。 むしろ、 責任の 重さを痛感している。 ブームと言う言葉は、 “急発展”や“にわか景気”といった訳語、あるいは“○○○”ブームという使わ 1 2 MBAニューズレター No.19 れ方からして、一時的なもの、と言う意味合いが強い(少なくとも筆者には)。確かに我々のMBAスクール でも志願者が急増し、 入学者も大幅に増えている。 これもひとえに現代経営学研究学会のメンバーの皆様のご 支援の賜と感謝申し上げる次第です。 さらに、 我々だけでなく、 他にも社会人を対象とした夜間MBAスクー ル開設が雨後のタケノコのごとく次から次と相次いでいる。 MBAブームが(ⅰ)マネジメントの知識が、従来のように社内教育と実務経験を経て修得できる水準の ものではなくなり、 大学院レベルで教育・修得すべき高等な専門的スキルとなったためであるのか、 あるいは、 (ⅱ) 長引く不況と就業環境の悪化により勤労意識の一時的変化によるものなのかは、 にわかに判断しがたい。 もし後者であれば、 今回のブームも景気回復とともにその消滅が予想されるし、 もし前者であれば、 我々とし ても、 教育内容の質的・量的充実に一層努め、 みなさんのご期待に添えるよう、自己研鑽に努めなければなら ないと、身が引き締まる思いです。 第1次のMBAブームの時は、 男性社員の社費による米国のビジネス・スクールへの派遣、 第2次のMBA ブームは、 特に日本企業では実力を発揮できないと感じた女性によるキャリア・アップのための自費での海外 のビジネス・スクールへの留学、そして、今回の主に自費による国内のビジネス・スクールへの留学、と言っ たように、ブームの中身も変わってきている。にもかかわらず、先日、10年前に私のゼミナールを卒業し大 手商社に就職したN君から、 社費により、 ハーバード大、 スタンフォード大、 コロンビア大といった有名ビジ ネス・スクールの一つに留学することになるので推薦状を書いてほしい、 との依頼があり、 改めて、米国の有 名ビジネス・スクールのブランド力の大きさを思い知らされた。 欧米のビジネス・スクールを選択することにはそうする確固たる理由があるからであろうが、 我々としても、 「○○○の目的のためには、神戸大学のビジネス・スクールでなければ」 といった定評を一日も早く勝ち得た いものである。ブランドの価値は、サービスを提供する側(大学)とサービス需要する側(MBAホルダー) の双方による共同作品であろう。 我々としても一層の内容の充実に取り組んでいく所存です。 皆さんのご支援をお願いいたします。 2. 1 9 9 9 年度生 ( 春 ・ 秋) 入学生研究成果 2.1 年度生( 秋)入学生研究成果 ( 1 ) マーケティングコース 【田村 正紀教授ゼミ】 このゼミは、まず、 「顧客サービス」、 「製品開発チーム」 、 「情報技術」の3チームに分かれてプロジェクト 研究を行うことから始まったが、 この4月からはこれらのプロジェクト研究をベースにした各人の修士論文を 完成するための個別研究に従事した。 最終的には、 7名が次のような題目で修士論文を提出した (表1参照) 。 表1 マーケティングコース(田村 正紀教授ゼミ) の論文テーマ 氏 名 論 題 下山 浩幸 消費財メーカーにおける新製品開発の情報構造 西村 みどり 市場創造型新製品開発におけるマーケティング・リサーチの位置づけ 橋本 徳生 情報開示と環境意識変容−潜在を巡る消費者の態度変容に関する考察− 水野 学 企業における環境マーケティングの意義と役割 望月 敬之 自治体における効率性の研究−情報技術と行政システム 園田 晴彦 松下電器系列店の成長要因と衰退要因に関する考察 原田 みどり サービス・インターフェースの構造と機能展望 いずれの題目も多くの企業や自治体が抱えている重要問題である。 各論文はこれらの論題の問題構造を掘り 下げ、 それをサーベイ、ヒアリング、 ケース研究など多角的な方法を駆使して解明しようとした力作である。 厳しい時間的制約の中で、最善を尽くし、修士論文を完成されたゼミ生諸君は今その達成感に浸っておられ ることと思う。 MBAニューズレター No.19 【高嶋 克義教授ゼミ】 マーケティング・コースの高嶋ゼミに所属する99年度生は、交換留学中の1名を除くほぼ全員(11名)が 8月に修士論文を提出し、審査に合格しました。いずれも鋭い問題意識と論理的な考察、そしてきっちりと した分析を含んだ優れた論文に仕上がっています。その一部はワーキング・ペーパーやビジネス・インサイ トの自由投稿論文として、 読むことができます。 このゼミでは、 研究指導が実質的に今年の1月よりスタートしています。 まず個々の問題意識に従ってネッ トワーク、サービス、営業という三つのグループに分かれ、グループごとに質問票調査と事例分析の2つの 課題に取り組みました。この二つの課題は共同研究として発表してもらうとともに、個々人の修士論文作成 のデータ・ベースになります。それだけにこの共同研究の成否が、研究を進めるうえで、とても重要となり ますので、各グループが一丸となって関連する文献を読み、独自に勉強会を開くなど、積極的に取り組んで いました。 この共同研究を終えたあとは、 個々の修士論文作成に向けて個別の研究テーマに取り組むことになります。 ほぼ一ヶ月に一度、研究の中間報告をしてもらい、研究のペースや方向を調整していき、その合間にも、共 通の参考文献を輪読したり、 研究書の執筆者をゲストに迎えて討議をすすめるというハードなスケジュール をこなしていきました。 これらの一連の研究指導で重視したことは、 複雑な現象を因果関係で捉えたり、 仮説を立てて考えるとい うことです。複雑な現実を少数のキーワードで大ざっぱにくくるだけでは、物事を説明したことにはなりま せん。また予想される多様な要素を列挙するだけでは、問題解決になりません。多様な要素がどのように影 響しているかを一つ一つ検証し、 それらを全体としてどのように統合するかを考えることが重要になります。 つまり「もらさず、もてあまさず」が基本的なスタンスとなります。 このスタンスは、 企業における戦略的な意思決定においても要求されます。 したがってここで質の高い論 文を書くことが、同時に、企業の現場における問題解決能力を養うことにもなります。その意味で、今回の 高いレベルの修士論文が、研究成果として評価されるだけでなく、 企業における個々人の能力や成果に反映 されるものと期待しています。 ( 2) 組織・人的資源管理コース 【加登 豊教授ゼミ】 人は、語れること以上のことを知っている。それだからこそ、暗黙知(tacit knowledge)という言葉が存 在するのである。同じように、人は記述できること以上のことを語ることもできる。これらのことからだけ でも、 記述することの難しさがわかるだろう。 研究テーマのテーマの選択は、 ゼミ生にはそれほど困難なことではない。 豊富な実務経験をもつマネジャー は、問題の本質を見抜く能力を知らず知らずのうちに体得しているからである。そして、論文の結論がどの ようになるかについても、おぼろげながらでもイメージは出来上がっている。言葉、とりわけ日本語という ハイコンテクストの言語(行間で意思を伝えることができる言葉)を上手に使えば、何が問題で何が結論と なるかをそれとなく「語る」ことは難しいことではない。しかし、書くことと語ることは別のものである。 このことに気づいたゼミ生は、そのときから、論文作成の難しさ、言い換えれば、文章で意思を読み手に 伝えることの困難さの前で、 少なくても一度は、 呆然と立ちすくんだはずである。 「思っていることがうまく 書けないのです」 「頭のなかにはちゃんとあるのですが・・・」 「文章と文章がつながらないのです」といっ た声が聞こえ始めるのは、論文執筆が佳境に入ってからのことになる。 雄弁なものが達筆とは限らないので ある。 何度も文章を推敲しても、思いどおりに表現できないという苛立ちは論文の提出期限が近づけば近づ くほど増幅されてくる。もちろん、文章作成だけでなく、 「このテーマについて、いままでの既存文献は網羅 的に読了し、 そのポイントは把握できましたか」 「現時点で、 何がどこまでわかっているのですか」 「この論文 の新規性(uniqueness)はどこにあるのですか」 「引用と自分の文章がはっきり区分できるように」 3 4 MBAニューズレター No.19 「論文は自分のために書くのではなく、その読者のために書いてください」 等々の要望が次々と出されるの で、さらに混乱は増幅したに違いない。 「学者になるために、社会人大学院に来ているのではない」とか「他 の社会人大学院では修士論文は要求されないし、もっといろいろな知識を教えてくれるのに」 と思われた人 も少なくないだろう。 しかし、論文を完成させた者は、書いたこと以上のことを語れるようになっていること、そして、書くこ との大切さを理解されたと思う。 語るときにも、 言葉の大切さを意識するようになったはずである。そして、 文章で意思を伝えることが、 学者だけでなくマネジャーや経営者にとっても、その能力をさらに磨きをかけ る、優れた方法であることにも気づいただろう。また、神戸大学の社会人大学院が、単なるマネジャーの養 成ではなく、多様な分野におけるリーダーの養成を目指していること、そして、修了者は、近い将来の日本 のリーダーとなることが期待されていること、そして、 そのようになる能力の一つが習得できたことを実感 していると思う。 「私のゼミは厳しいですよ」と最初にゼミ生に伝えていたが、 そのことの意味を、 多くの人が実感したに違 いない。今秋、論文を提出して修士号を獲得したものは、ゼミ生 21 名のうちのほぼ半数の 12 名であること がこのことを物語っている。 修了者の氏名と修士号が与えられた論文題目は、 表2にまとめられている。 表2 組織・人的資源管理コース(加登 豊ゼミ) の論文テーマ 氏 名 論 題 飯田 康彦 戦略的意思決定支援の管理会計の日米比較 酒井 正浩 迫まられるキャリア・パラダイムの転換 白石 規哲 田邉 昇 日本の電気通信事業における相互接続と接続料金長距離系事業者を中 心とする接続料金制度変遷と課題 日本企業における選抜型人材育成への取り組みの現状と展望∼日本企 業におけるサクセッション・プランの考察∼ 医療機関におけるリスクマネージメント 田村 公一 グ ロ ー バ ル 提 携 線 略 と 産 業 再 編 成 ― M &A と 医 療 品 産 業 の 今 後 ― 福田 多宏 自動車シュレッダーダストの原価計算 藤井 敏輝 京セラアメーバ経営の研究―京セラアメーバ経営におけるシステムと 理念の分離は可能か― 純粋特殊会社化によるグループ組織戦略・財務戦略の革新 持ち株会 社化は変革のドライバーとなりえるのか 海外子会社経営管理システムの研究―経理部門の内部牽制機能とその 役割― 間接部門のパラダイム転換:事業部門に散財する間接部門の集約・統 合の視点から 多国籍企業の新たなグローバル戦略:企業のコア・ビジネスにおける 国際間の戦略的提携の要諦(自動車部品業界における資本提携の実例 より) 鈴木 徹郎 堀江 弘明 大河内 崇生 野口 雅夫 松本 貴弘 それぞれに優れた論文を書き上げたから、修士号が与えられたのだが、そのうちの数名に関しては、私は まだ彼らの論文に不満がある。それは、能力を十分に発揮する、つまり、極限まで思考することなしに修了 した者がいるからである。スポーツにたとえるなら、死ぬかと思うほどトレーニングをした後、しばらくの 没我状態を経てようやく平静に戻ったときに、 「いい汗をかいたな」という感覚を持ちえた者が、 本当に期待 にこたえてくれたと思うのである。 来年1月の提出に向けて、9名のゼミ生は懸命に思考し、文章の推敲を繰り返している。彼らのほとんど は、 「時間が許すので、もっと深く思考したい」と申し出た者である。それでも、仕事との両立は想像以上に 厳しいはずである。しかし、指導教官としては、 「鬼監督」に徹したいと思う。そして、9名全員が優れた論 文を完成させてくれると期待している。 前回のニューズレターでも書いたように、 99年度生全員の連絡と研究指導のためにメーリングリストが非 常に有用であった。このメーリングリストは、現在も機能しており、ゼミ生相互間の連絡網として活用され ている。 MBAニューズレター No.19 最後になったが、 99年度生の研究指導に当たって、 リサーチアシスタントとして縦横無尽のサポートをし てくれた朴鏡杓氏と松木智子氏に感謝したい。 ( 3 ) 会計コース 【古賀 智敏教授ゼミ】 2000年2月からスタートした社会人MBAも、 終わってみれば瞬く間に駆け抜けていったように思う。 今 回、私のゼミに参加したのは14名。 そのうち9名が修士論文を提出し、 全員が無事合格することができた。 残り5名のうち2名は海外留学等のため論文提出を延期し、 もう3名も納得できる論文作成のため自発的に 今回の提出を見送ったものである。研究テーマは、医薬品の臨床開発のグローバル化戦略から、日本企業の リストラクチャリングや確定拠出型年金導入、 医療リスク管理や地方自治体会計に至るまで、 多種多様であっ た。しかし、いずれも社会人MBAの特権をフルに生かして自社の調査データや事例を駆使して、各自が直 面する課題をテーマに選定し、 論文としてまとめ上げたのはさすがであった。 今回のゼミでは、 朝日・アーサーアンダーセン会計事務所の協力を得て運営できたことは好都合であった。 研究テーマが各自バラバラであり、 かつ、 日本企業が目下直面している最新課題を取り上げるものが多かっ たため、毎月1回程度、第一線で活躍中の会計プロフェッショナルに講演をしてもらったり、アドバイザー として実務サイドから分析の切り口や論点を提示してもらった。日頃、 会社では直にこれらの専門家と接触 し、議論する機会が少ない社会人MBA学生にとっては願ってもない経験になったと思う。ある時は、合宿 の場で、そして、ある時は朝日・アーサーアンダーセン会計事務所まで押しかけて、実務上の生々しい問題 を本音でぶつけ合うことができたのは、 今回の大きな収穫であった。 反面、修士論文の作成にあたっての時間的プレッシャーは予想以上であった。当初、4月中旬の合宿まで には論文テーマを確定し、7月末の完成を目指してスケジュールを組んでいた。しかし、5月の連休明けま でテーマが固まらなかったり、テーマの変更を余儀なくされたものも2∼3名出た。結局、これらの学生は 今回の修士論文提出を見送り、来年1月提出を目指すことになった。今回、修士論文を提出できた学生も尻 に火がついたのは、7月に入ってのことであった。8月の論文締切までは、大学での正規の演習時間では間 に合わず、自宅のファックスは、昼夜を問わず論文原稿の山となった。ファックスのインク切れで慌てたこ ともあった。 脚注や参考文献など論文の形式ルールを理解していない学生も多く、 8月のお盆明けまで論文 指導は続いた。 この6ケ月間、随分と慌ただしい生活ではあったが、また、貴重な経験をさせてもらったと思う。今回の プロジェクト研究では、質が高く、研究意欲に燃えた人材に恵まれたことは、大変幸運であった。修士論文 に合格した9名の論文は、出来れば一冊にまとめ、来春、公刊すべく準備を急いでいる。 ( 4) ファイナンスコース 【高尾 厚教授ゼミ】 平成11年度社会人大学院ファイナンスコース (高尾厚担当) は、 ゼミ構成員3人という少数精鋭の集団であっ た。その分、メンバー同士の相互接触は濃密であった。コースは実質的に本年2月の最終土曜日から3月毎 土曜日全日制の「プロジェクト研究」をもって開始された。 この研究は毎週末の全日をつかった読書会形式で 行われた。底本としてジョン・ハルの『デリバティブ入門』を選び、多様な金融派生商品の一般性と特殊性 とを確認した。その際、時間的制約の回避と気分転換を兼ねて神戸近郊で合同合宿を試みたり、あるいは大 手銀行の専門家を招聘して具体的な通貨オプションの実務を披露してもらった。 今年4月から8月19日まで 毎土曜日全日は「演習」に配当された。この段階になると、各員の問題意識が次第に明確となってきた。具 体的には竹中君は 「DRAM投資におけるリスクヘッジ手法の一考察」、河原君は 「日本におけるクレジットリス ク管理」、福島君は「不動産証券化の可能性をめぐって」というテーマにおのおの絞り込み、修士論文締切日 の8月 20 日を目指して邁進した。残念なことに、福島君は今回、修士論文の提 5 6 MBAニューズレター No.19 出を断念し、 次回まで延期することになったが、 他の2人は無事に論文審査をパスできた。 それにしても、 日 頃「象牙の塔」に閉じこもりがちな「指導」教官の小生は、各人各様に現場の最新情報を利用しての論文作 成を手伝うことで、逆に社会人大学院生から「指導」されることもあり、猛省することしきりであった。半 年余りの短期間のゼミであったが、 縁あって邂逅した3人の若い学徒の熱心な研究態度は長く筆者の記憶に 留まるであろう。 3. 2 0 0 0 年度入学者の研究状況 - 在学生からの報告 3.2 報告者 :2 0 0 0 年度入学生 伊与田 律子 報告者: 2000 年 4 月に MBA コースに入学し、はや半年が過ぎようとしています。ここでは前期(夏期休業も含む) の平日夜間、 土曜日の集中講義に並行して行われました、 日本経営特殊研究、 通称ミニプロジェクト研究(以 下ミニプロ) についてご紹介させて頂きます。 ミニプロは第2学年から本格的にスタートするプロジェクト研究 (修士論文) の予行演習として位置づ けられた加護野忠男教授による講義であり、与えられたテーマについて5人程度のチームで研究を進め、最 終的に1冊の研究結果報告書をまとめるという形式で行われます。 今回与えられたテーマは 「ユニークなビ ジネスシステムを持つ日本企業」であり、春入学の社会人院生合計52名が全10チームに分かれて各々研究 テーマに取り組みました。 我々が最初にぶつかった大きな壁は、 「どの企業(ビジネスシステム)を取り上げるか」という事です。良 いレポートを作成するためには先ず良い素材に巡り合わなければ、とばかりに「ユニーク、高成長、かつ知 名度が低い」の3拍子揃った企業を求めて、メンバーで手分けしてあらゆる企業の情報を収集し、検討しま した。 「企業選び」の次にぶつかった壁は、 「ミーティング日時の調整」です。幾ら夏休みとは言え、仕事、夏休 みの課題、 家庭サービスなど皆忙しく過ごされており、 各々意識的に時間を捻出しメンバー同士が協力し合 わない限り、 調査はおろか議論も全く進まないような状況でした。 しかし各々の得意分野を活かして上手く 役割を分担し、何とか調査(企業訪問、文献調査、消費者アンケートなど)をこなし、時にはメールで、時には居 酒屋で熱く議論を戦わせながら、 全チームが期限までに研究報告書を提出する事ができました。 今回、ユニークなビジネスシステムを持つ日本企業として取り上げられた10企業(事業)は次の通りです (カッコ内は各チームのサブタイトルです) 。 ワーナーマイカル (日本の映画興行業界を変革するビジネスシステムであるシネマコンプレックスの 先駆者)、株式会社エフピコ(競争優位のサプライチェーンマネジメント) 、スターバックスジャパン (衰退型成熟産業における新たなビジネスシステム) 、株式会社ファミリア (戦略資産のスクラップア ンドビルド) 、ソフトバンク株式会社(タイムマシン経営を主軸とした事業構造の解明)、極東産機 (職人技を科学するグローカルカンパニー)、株式会社マツモトキヨシ (マツキヨは単なるブームか本 物か) 、シートゥネットワーク(加工食品小売のカテゴリーキラー)、株式会社アルメディオ(売上 シェア世界 No.1 のビジネスシステム)、西濃運輸株式会社(3PL と事業展開の可能性) 研究発表会のプレゼンテーションで特に受講者の関心をひいたのは、 加工食品流通業界の通念に風穴を開 け急成長を遂げたシートゥネットワークだったように思います。 何がユニークかと言えば、 独自性の高い調 達方法、商品展開、価格、販売手法によって顧客層や利益を拡大している点です。例えば業界では異例の「加 工食品の現金持ち帰り式倉庫型卸売業」を展開している事、賞味期限切れ間近の商品・死に MBAニューズレター No.19 筋商品・地方有名ブランドなどに限定した品揃えをしている事、また2000年3月度連結ROE 35.54%、ROA 14.8%(日経上場企業ランキング第4位)に見られるような高い収益性などがそうです。同社を研究したチー ムによると、 同社の急成長は上述のような型破りなマーケティング戦略だけでなく、 企業価値およびステー クホルダーの価値向上、外部環境要因の変化に柔軟に対応し、実現化した連続的価値創造、垂直事業システ ム上の機能統合などが複合的に作用した結果であると結論づけていました。 この他、 研究発表会では合計10通りのユニークなビジネスシステムが紹介されましたが、 これらの事例報 告を通じて 「優位性の裏には必ず他社とは差別化されたユニークなビジネスシステムがある」という事、 「優 れたビジネスシステムの多くは外部要因や顧客ニーズの変化を的確に捉える仕組みを有している」という事、 「いずれの業界、 いずれの時代においても唯一普遍的に有効なビジネスモデルなどは存在しない」 という事な どを学ぶ事ができました。 またもう1つの大きな成果としては、 ミニプロを通じて考え方も経歴も異なる方々と共に学び、 互いを理 解し、 効率的なチームを形成して成果を最大化する訓練ができた事が挙げられるでしょう。与えられたテー マについて、各々のメンバーがそれぞれ異なった知識や経験、考え方を有しているからこそ、より客観的で 深く、 新しい洞察ができたのだと思います。 来年4月からプロジェクト研究が本格的にスタートします。楽しみな反面不安もありますが、ミニプロを 通じて習得した知識や経験が必ずや、 我々の大きな支えとなってくれる事でしょう。 4. 在学生に聞く ( 9 9 年度生) 4.在学生に聞く 在学生に聞く( ( 1 ) マーケティングコース 西村みどり(田村 正紀ゼミ) 「修士論文はテーマを狭く深く掘る」 「おざなりな調査を調査と呼んではならない」 「既にあるものに何らか の知識を加えること」 。 私はゼミの初めで先生から頂いた言葉を守れなかったかも知れない。 しかし悪戦苦闘 のゼミでの研究で貴重なものを得たと思う。 ここで反省を含めて振り返ろう。 M1の12月よりグループの共同調査が始動。活動を通じてサーベイ・統計の基礎を学んだ。M2の4月以 降は個人の修士論文に向けての活動と個別指導が始まった。 ゼミ仲間のテーマは多様だが発表の度に先生か らは幅広い知識をベースにした含蓄の深いコメントが飛ぶ。社会人ゼミ生は仕事を通じて得た疑問を掘り下 げる為にMBAの門を叩く人が多い。先生はゼミ生の、テーマへの思いを尊重しながら、冒頭にあげた3つ のポイントを満たすことができるように配慮下さった。 私の場合、 テーマが壮大すぎることは明白だったが、 先生は「気の済むまでやらせよう」と思われたのか、統計・哲学・文学・歴史と様々な分野の書物を紹介し てくださった。 「この問題が解決しないならマーケターを続けられない」 と思いつめていたので先生の配慮は ありがたかった。とはいえやはり統計知識や読解能力の不足の為6∼8月は数字と文献に埋もれ、 自分が 「虫」 になった気分だった。 先生、 一般院生の方々のサポートを得、 なんとか論文を提出し合格の通知を得たが、 9 月現在、充実感とともに、何かを成し遂げられなかった悔しさが残る。 研究課題は実務課題と異なり、自分で制御できる。つまり「わかるということはどういうことか」が自分 に委ねられている。 ただし論文として表現するには技能がいる。 今回、 私は説明できる事を書いたものの、 わ かったことを説明しきれなかった。また「まだ解るべきこと」の存在が最後にわかることもある。終わって いないという感覚はその為だろう。 ただ、 「答えが出せなければ辞めよう」と思っていたマーケティングを、今は「答えを探す為に続けたい」と 思っている。 私がMBAで得たものは即効性のある妙薬ではないが、道を自分で切り開いていく方法としての知識と、な によりも「切り開いていくぞ」という気力だと思う。先生のご指導や院生や仲間からの助言や知的刺激、そ 7 8 MBAニューズレター No.19 してインタビューを通して、他企業のマーケターから得た感銘の為だろう。MBAで得た知識・人・未知の 自分との貴重な出会いを大切にし、 今後の自分が伸びることで活かしたいと思う。 中村 恭祐(高嶋 克義ゼミ) 神戸大学大学院経営学研究科に通い始めて1年が経ちました。 わずか1年ですが、 私の中で大きく変わっ たことがあると感じています。 それは経営というものを体系的に思考することができるようになってきたの ではないかと感じられることです。 それはもちろん研究者から見れば未熟なレベルであるには違いありませ んが、 1年前と比べると私の中では大きな変化なのです。それは、 ビジネス書を独学していた時と違って、体 系的に研究の道筋を示して頂いたり、 考えるヒントを示唆して頂いた先生のお蔭に追うところが大いにあり ます。 加護野先生は、 もちろん組織論の大家なのですが、 気さくな人柄と講義中の挿話が面白くて楽しみでした。 たとえば、カマス(魚の名前)の話というのがあります。カマスは肉食ですから、同じ水槽に小魚を入れて おくと、これをカマスは食べてしまいます。そこで透明のアクリル板の仕切りを水槽に入れて、カマスと小 魚を分けてやります。そうするとアクリル板は見えませんから、カマスは小魚に向かって突進しますが、ア クリル板にぶつかるだけで小魚を食べることはできません。 それを繰り返すうちに、カマスは小魚を食べよ うとはしなくなります。そこでその仕切りのアクリル板を外してやるのですが、仕切りがなくなっているの にもかかわらず、 カマスは目の前を泳いでいる小魚を食べようとはしないそうです。 そうなってしまっては、 小魚を食べるように訓練しなおすことはできなくて、 カマスはそのまま飢えて死ぬのだそうです。 そこで、 こ の水槽に新しいカマスを入れてやると、 もちろん新しいカマスは目の前を泳ぐ小魚を食べます。その光景を 繰り返し繰り返し見ていた古いカマスは、 恐る恐る小魚を追い始めるのだそうです。 こういう話を聞きますと、 当社はどうだろうと考えずにはおれません。 当社には古いカマスはいないだろ うか。私自身が古いカマスになっていないだろうか。過去の経験にとらわれてはいないだろうか。そんなこ とを考えていますと、 会社の中で見直すべきことがたくさんあることに気が付きます。 素晴らしい教授陣に支えられ、 また向学心に燃えた沢山の友人に刺激されて、 もっと貪欲に勉強したいと 思っています。 ( 2 ) 組織 ・ 人的資源管理コース 織・ 松本 貴弘(加登 豊ゼミ) 今から振り返ると、 プロジェクト研究開始から演習終了までの加登ゼミの約半年間は本当に短かった。 社 会人学生21名、ゼミと呼ぶにはやや大所帯で、ゼミ生の研究対象も「医薬品メーカーの戦略的提携」 、 「ベン チャー起業家のエスノグラフィー」 「シュレッダーダストの原価計算」 、 「電気通信事業の接続会計」 、 等々、 多 岐な分野に及んでいた。 率直に表現すると、 1つのゼミとして研究活動をシェアリングできるのか、当初はい ささかの疑問があった。 しかし、一旦プロジェクト研究がスタートすると、このような懸念は一気に払拭されていった。そこに現 われた加登ゼミの姿は、研究を成し遂げるという同じ目的を持った、異なるフィールド経験を積んだ21人の 社 会人の集まりであり、 ネットワークの力と知識の交換の場であった。 「そのロジックだったらあの本を読んでは」 、 「その件はうちの部長がエキスパートだからインタビューして みては」 「 、そのモデルについてはうちの会社でも検討している」 、 ゼミのメンバーが集う毎に活発なコミニュ ケーションが学内のみならず学外でも展開されていくのである。 グループセッションでは、ゼミ全員参加により、報告者の研究成果を検討し議論を重ねていった。これを 通じて、様々な研究テーマに対しより深く考え、インサイトを得る機会となり、翻っては、自分の研究活動 に対するベンチマークとなり得た。 加登先生の適切なペース配分とタイムマネジメント、各自に対する要点を得た指導・指摘、そして動機付 けにより、 日に日にゼミ全体がゴールへと突き進んでいった。 MBAニューズレター No.19 もっとも、 全てが順調に進むわけではない。 ゼミ生の多くがその研究過程において経験したであろうが、 深 く調べれば調べるほど、研究すべき領域は広がり、異なる視野、別の角度から議論が沸いてくる。自分の視 点が見えなくなっていく。実際、何人かのゼミ生が研究アプローチの転換を余儀なくされた。いかに自分の 知識が浅いものかを痛感させられた日々でもあった。 ゼミ終了にあたっての感想は、本当の意味での研究、サムシング・ニューの探求は、これから始まるのだ という実感である。最後にこの場をお借りして、加登先生に心からお礼を申し上げます。アシスタントの朴 さん、松木さん、研究をサポートいただいた教官方、ありがとうございました。貴重な経験をシェアした加 登ゼミの皆様に感謝と、 今後のご活躍を祈念申し上げます。 ( 3 ) 会計コース 木曽 誠一(古賀 智敏ゼミ) 「会計学」 、薬学出身で医薬品の臨床開発を担当している私にとっては最も馴染みの無い学問であった。 授 業などで学んではいたが、実務は全くやっていない。しかしながら、医薬品の研究開発にもプロジェクトマ ネジメントに管理会計的手法が精力的に採り入れられるようになり、 管理会計に対する興味が非常に大きく なっていた。 そして無謀とは思いつつ、 古賀ゼミにお世話になることとなった。 しかし、 その危惧は直ぐに払拭された。 古賀先生は企業に居られたこともあり、 社会人大学院生の強みを最大限生かした形で研究を進めていくよう に指導頂いた。 これは業界活動にも携わり、 業界内での人的ネットワーク構築に力を入れていた私にとって は渡りに船であった。一方、ゼミ生は会計士や税理士、コンサルタントの方が多く、ユニークな人間が揃っ ていた。そのためもあってか、論文課題に対する議論などは「それが判って何になるのか」など強烈なもの が多く、反論に冷や汗をかいていた。また、ゼミ合宿などではとんでもない夜の顔を持っていることが判っ たり、本当に楽しませてもらった。 紆余曲折はあったが、最終的な研究課題は「医薬品の臨床開発におけるグローバル戦略」となった。業界 のネットワークを使い、 メールでのアンケート調査やインタビューなどで非常に多くのデータや情報を入手 することができたのだが、ここで大きな落とし穴があった。 業界の問題解決に目を奪われた私は言わばマニ アックな世界に陥っていたのである。そんな私に先生がぼそりと一言、 「これは業界の人なら理解出来て、 ま た、参考となる資料となるのだろうが、ここは経営学研究科であり、その問題解決にもっと経営学的な視点 を入れないと駄目ですね」 。そこから戦略的な部分として当初より考えていたバーチャル組織の構築をもっと 盛り込んでいくこととした。そうしている内に最後の1週間となり、それはもうドタバタの極致。女房の冷 たい視線や仕打ちも物ともせず、 ひたすたコンピュータに向かった。 最終版が仕上がったのは締め切り前日。 会社を午前半休して、 大学に向かい、 無事教務に提出した時の安堵感と充実感は何とも言えないものがあっ た。思わず、 午後も休んで飲みに行ってしまおうかと思う気持ちを抑えるのが大変だった。 今回無事修了することとなったが、これは終了ではなく、始まりである。ゼミの仲間、同期の仲間、先輩 や後輩、 みんな社会人大学院生という以外にはほとんど共通するものがない仲間との出会いはそれ故にきっ と新しい何かを生み出すことへの始まりなのだろう。だからこれは体験記ではなく、 経過報告書なのです。 ( 4 ) ファイナンスコース 竹中 章(高尾 厚ゼミ) 修士論文審査が終わって早1ヶ月がたとうとするが、 今こうして感想文を書いていると、 社会人大学院に 入学してからの1年半の辛かったことや楽しかったことが走馬灯の如く記憶が鮮明に蘇って来る。 全ては書 き切れないので、 社会人大学院に入って来られる方にお役に立ちそうなことだけを述べたいと思う。 私は、 い わゆるSE(システムエンジニア)として10年以上従事し、AIやオブジェクト指向など、業界では最先端 の開発に携わることができ、大変ではあったが、充実した日々を送ってきた。しかし、管理的な仕事が増え 始めた時に、楽しく仕事をしつつも、各開発者が責任を持ち、かつ、全員の知識をうまく共有させることが 9 10 MBAニューズレター No.19 できるのか、といった問題解決を模索している際、 『知識創造企業』という本に出会った。その以前から、日 経ビジネスやダイヤモンドハーバードビジネス等は読んでいたが、 自分なりに考えをまとめるという作業を 怠っていたため、 自分の知識として身についていないことに気が付き、この状況を何とか打破したいと考え た。仕事も落ち着いていた状態にあり、今しかない、という感じで神戸大学の社会人大学院に行こうと決意 したのが、1998 年の 11 月であった。 (1) 経営学を体系的に学ぶ、 (2) 自分の知らない分野を積極的に取り組む、(3) 他業種の方との交流を通 じ人脈を広げる、を入学時の目標とした。1999年春のミニプロジェクト研究では、議論を通じて一つの結論 に導いていく過程からグループ研究の重要性・有意義さを感じ取るができた。また、グループのメンバーだ けではなく、 別のグループの方々とも交流を深めることができ、 皆でワイワイ言いながらの飲み会も今となっ ては非常に良い思い出である。 春学期は、 とにかく自分の知らないことばかりでやみくもに講義を受けたという感じであったが、 秋学期 は、全ての講義を受講し、1回の講義で何か一つでも新しいことを発見しようと心がけた。受講生の意見が 活発に出る講義とそうでない場合とがあるが、 私は講義中心の授業については自分から発言するように努め、 そこから予想しない方向に議論が展開されたり、非常に有意義な時間を過ごすことができた。 しかし毎日レ ポートに終われ、かなり忙しかったので、無理はしない方が良いと思う。 3月からのプレゼミでは、ハルの『フィナンシャルエンジニアリング』を使ってオプション等の基本を勉 強したが、ファイナンス分野に疎い私には少々手強かった。4月には、都銀の専門家を招いたオプション講 義を開催し、 その準備作業の過程でオプションの概念がおぼろげに理解できるようになった。修士論文につ いては、 最後まであたふたし、 10日間くらい寝たのか寝ていないのかわからないような状況で何とか書き上 げた。修士論文審査ではかなり厳しいコメントが続きめげそうになったが、今後の課題が見えたこと、再度 勉強し直して神戸大学に戻ってきてやろうと決意を新たにした。 指導教官である高尾教官がいつもおっしゃっていたことであるが、 「物事をいかに抽象化することができる か、良い論文、あるいは、良い研究者かどうかは、その辺りのセンスの問題である」という言葉を常に意識 しつつ、 神戸大学で学んだことを今後実社会で活かしていくことが私に与えられた使命である。最初に自分 に課した目標は、 ある程度達成できたと満足している。これも素晴らしい教官、 学友の皆様のおかげであり、 感謝したい。 最後ではあるが、 神戸大学という素晴らしい教育の場を活かすも殺すも自分次第なのである。 5. 2 0 0 0 年度秋入学状況 ( 2 0 0 0 年8月 3 0 日実施) 5.2 年度秋入学状況( この度から、 秋の入学入学試験制度が大きく変わりました。 具体的には、 前号でもお伝え致しました通り、 秋(10 月)に入学される方々は、2000 年度生対象のコースに参加していただき、2001 年度秋に修了を目指 すことになりました。このため、平日昼間の授業を履修して単位を取得すること、並びにプロジェクト演習 に先行する形で秋後半から開始することが予定されている事前研究会に参加することが条件となりました。 そ の結果、平成 12 年8月 30 日(水)に行われた、2000 年度生秋入学の試験では受験者9名の中から1名の方 が合格されました。合格者の年齢構成及び所属機関と出身大学は、表3の通りです。 表3 2 0 0 0 年度秋の合格者 (1名) 表3 2 年度秋の合格者( 年齢構成 所属機関 30代 出身大学 非破壊検査(株) 中央大学 MBAニューズレター No.19 6. 社会人非常勤講師による特別講義 経営学部では、昭和62年度から起業のトップ・マネジメントや各界のリーダーをお招きして、様々な業界 に属する起業や各種組織が直面する経営上の先端的問題について講義いただいております。更に、平成10年 度からはMBAコースにおいても開講しています。最近の講義のテーマと担当者(担当グループ)は表4の 通りです。 表4 社会人非常勤講師による講義 平成10年度 エレクトロニクス事業経営論 株式会社シャープ 総合商社経営論 日商岩井株式会社 ベンチャービジネス経営論 パソナ・グループ 日本産業政策特殊研究 通商産業省 平成11年度 プロスポーツ経営論 金光 千尋オリックス野球クラブ常務取締役 エレクトロニクス事業経営論 三洋電機株式会社 新産業創出支援システム論 田中 宏氏ほかVB経営者及びVB支援機関 日本産業政策特殊研究 通商産業省 情報産業特殊研究 株式会社NEC総研 平成12年度 モバイルマルチメディア事業経営論 株式会社NTTドコモ関西 ファッション産業経営論 コンサルティング経営論 尾 原 蓉 子I FI ビジ ネス スク ール 学長 ほか ファッション関連企業 朝 日 監 査 法 人 /ア ー サ ー ア ン ダ ー セ ン コミュニケーション産業論 株式会社電通 7. 留 学 ・ 協 定 神戸大学大学院経営学研究科では、 海外の大学と協定を結び、 学術研究および学生の交流を図っています。 M BAコース在学中に、 次の提携大学院に留学することもできます。 留学先の大学で取得した単位は10単位ま で、本研究科の単位として認定されます。その他にも、神戸大学として大学間で協定を結んでいる海外の大 学もあります。最近の本研究科および経営学部での留学派遣状況は、 表5の通りです。 (学部間協定) アメリカ ワシントン大学大学院経営学研究科 テキサス大学オースティン校大学院経営学研究科 カリフォルニア大学ロサンゼルス校アンダーソン大学院経営学研究科 イギリス マンチェスター大学大学院経営学研究科 フランス エコール・シュペリュール・ド・コメルス・ド・パリ(ESCP) エコール・シュペリュール・ド・コメルス・マルセイユ・プロヴァンス(ESCMP) ドイツ コブレンツ経営管理大学 オーストラリア メルボルン大学経済学部 オーストリア ウィーン経済大学 (大学間協定) アメリカ エモリー大学、コーネル大学 イギリス エッセックス大学、シェフィールド大学、ミドルセックス大学 中国 復旦大学、中南財経大学、北京大学 11 12 MBAニューズレター No.19 表5 経営学研究科 ( 経 営 学 部 ) 協定校留学派遣状況 ( 平 成 1 0 年度∼平成 1 2 年度) 表5 経営学研究科( 年 度 学部/大 一般/社 派 遣 先 期 間 氏 名 学院 会人 平成10年度 学部 一 般 ワシントン大学 H10.9∼H11.3(7ヶ月) 藤井 敬志 大学院 一 般 テキサス大学 H10.9∼12(4ヶ月) 清水 信年 一 般 コブレンツ経営管理大学 H8.9∼H11.8(1年) 前川 夏子 平成11年度 学部 一 般 ワシントン大学 H11.10∼H12.3(6ヶ月) 杉山 すなほ 一 般 ワシントン大学 H11.10∼H12.3(6ヶ月) 永本 真一郎 一 般 メルボルン大学 H12.2∼H12.12(11ヶ月) 小林 愛 大学院 一 般 テキサス大学 H11.8∼12(5ヶ月) 小川 千里 社会人 テキサス大学 H11.8∼12(5ヶ月) 八馬 弘邦 社会人 テキサス大学 H11.8∼12(5ヶ月) 田渕 和昌 社会人 ESCP H11.9∼H12.1(5ヶ月) 竹内 利江 社会人 ESCP H11.9∼H12.8(1年) 西川 英彦 社会人 コブレンツ経営管理大学 H11.9∼12(4ヶ月) 吉川 浩二 社会人 コブレンツ経営管理大学 H11.9∼12(4ヶ月) 伊藤 誉子 平成12年度 学部 一般 ワシントン大学 H12.10∼13.3(6ヶ月) 藤田 恵子 一般 ワシントン大学 H12.10∼13.3(6ヶ月) 川原 哲夫 一般 テキサス大学 H12.8∼12(5ヶ月) 輔田 敏秀 一般 テキサス大学 H12.8∼12(5ヶ月) 北川 奈緒美 大学院 社会人 テキサス大学 H12.8∼12(5ヶ月) 赤井 誠 社会人 テキサス大学 H12.8∼12(5ヶ月) 荒谷 典利 社会人 テキサス大学 H12.8∼12(16ヶ月) 沼間 淳作 社会人 ESCP H12.9∼12(4ヶ月) 野田 亜紀 社会人 メルボルン大学 H13.2∼6(5ヶ月) 小關 貴裕 社会人 コブレンツ経営管理大学 H12.9∼12(4ヶ月) 竹下 智 8. 8 . 今後の募集 2001 年度の募集要項は、11 月中に配布されます。要項を取り寄せられる方は、返信用封筒(角2)に 200 円切手を貼って下記まで送付下さい。尚、詳しい内容は下記まで。 〒 657-8501 神戸市灘区六甲台町2−1 神戸大学大学院経営学研究科 教務掛 TEL:078-803-7258 FAX:078-803-7294 9. ホームページのご案内 9.ホームページのご案内 •@ 神戸大学大学院経営学研究科のホームページでは、 MBAコースの詳しい内容や各教官の紹介、 シンポジウ ム・ワークショップの開催、発行雑誌のご案内をしています。 また、社会人大学院生の有志が運営するホームページ“MBACafe”は学生同士のコミュニケーショ ンの場として利用されています。アドレスは下記の通りです。 ● 神戸大学大学院経営学研究科ホームページ:http://www.b.kobe-u.ac.jp ● MBAコースホームページ:http://www.b.kobe-u.ac.jp/mba2.htm ● MBACafe: http://www.std.kobe-u.ac.jp/mba/ MBAニューズレター No.19 10. ワークショップのご案内 ●予告 『ビジネス・インサイト』第 32 回ワークショップのご案内 テーマ: 「歴史から見た 21世紀のビジネス環境」 日 時:2000 年 11 月 25 日(土) 13:30 ∼ 17:00 場 所:神戸大学大学院経営学研究科 本館 206 教室 〈ワークショップの趣旨〉 近現代は、ビジネスのグローバル化が進むことにより、経済の分業と統合が展開される一方で、わが国企 業の個性ある経営システムの再構築の重要性もまた指摘されています。 『ビジネス・インサイト』の第32回ワークショップでは、それが20世紀の末尾を飾るものとなることをふ まえ、これまでのワークショップの企画とは少し方向を変えて、主として歴史的な視点から、現代のビジネ ス環境を理解し、 その将来を展望する一助とすることを目的としています。 具体的には、 以下の三つのトピックスに焦点をしぼり、3名のパネリストによる報告とそれ に対する質疑を介して、歴史的視点から検討を進めたいと考えております。 (1) グローバルな社会経済の形成とそこにおける日本の位置を、 アジアと欧米との関連で捉えること (2) 近代のグロ−バル経済を形成する中心的担い手であった、ビッグ・ビジネスの戦略と組織の進化を 説明すること (3) 19世紀以降のグローバルビジネスの形成と発展における日本企業のグローバル化の歩みとともに、 外国企業の日本進出についても理解を深めること 過去は現在の中に抱懐される一方で,未来は現在の中に抱懐されています。第32回ワークショップは、世 紀の転換期に生きているわれわれの現在を発生史的に捉え、過去をより深く理解するとともに、 それに基づ いて未来を洞察してみようとする試みであります。 会員の皆様方の多数のご参加を期待いたしております。 <プログラム>(予定) 13:30 ∼ 14:30 報 告① 川勝 平太氏(国際日本文化研究センター 教 授) 14:30 ∼ 14:40 [質 疑①] 14:40 ∼ 15:10 (コーヒー・ブレイク) 15:10 ∼ 15:55 報 告② 曳野 孝氏(京都大学大学院経済学研究科 助教授) 15:55 ∼ 16:05 [質 疑②] 16:05∼16:50 報 告③ 桑原 哲也 (神戸大学大学院経営学研究科 教 授) < 司 会:中野 常男 (神戸大学大学院経営学研究科 教 授)> 上記のワークショップに参加ご希望の方は、ファックスにてお申し込み下さい。個人会員は2名様、法人会 員は10名様まで会員料金でご参加いただけます。参加費は当日会場にてお支払い下さい。詳しくは神戸大学 大学院経営学研究科 第二研究助成室気付 現代経営学研究学会までお問い合わせ下さい。 13 14 MBAニューズレター No.19 11. ビジネス ・インサイト購読のご案内 11.ビジネス ビジネス・ 季刊ビジネス ・インサイト 季刊ビジネス・ 現代経営学研究学会は、1993年に神戸大学経営学部が中心となって設立されました。この学会 は、通常の学会とは違い、大学とビジネス界との接点になろうとしたものです。この学会を通じ て、大学での研究成果を社会に還元し、ビジネス界の問題を大学の研究にフィードバックするこ とができればと希望しております。このためのコミュニケーション手段として、季刊『ビジネス・ インサイト』を刊行しています。3月末、6月末、9月末、12 月末というペースで刊行されます。 『ビジネス・インサイト』は、これまで日本の大学が発行してきた雑誌とは異なり、ビジネス マンを読者としたもので、 ビジネスの世界と大学のコミュニケーション手段としての役割を果た そうとするものです。本誌は、 ビジネスエリートになろうとしている人々を読者としております。 このような読者に、ビジネスの本質的な問題について、大きく、深く考えていただくことができ るような題材を提供したいと考えております。 本雑誌の名称のなかで、インサイト(insight)とは、洞察あるいは洞察力を意味します。身近 な問題を、長い歴史的視点からとらえ直す。より大きな文脈のなかから問題を見据える。問題を 表層だけでなく、深く掘り下げて考える。こうしたことを通じてビジネスの問題について、新し い洞察を生み出していただこうというのが、この雑誌の狙いです。学者の論文になりがちな難解 な表現を避け、できる限り平易な表現を思考していきます。また、読者とのコミュニケーション にも力点をおきます。なお、本誌は書店では販売されません。 購読会員の特典 ● 個人購読者、法人購読者とも、現代経営学研究学会の会員として登録され、学会のシンポジウム、 講演会、ワークショップへ会員価格で(個人購読は2名、法人購読は 10 名まで)参加することが できます。 (シンポジウムは年1∼2回、ワークショップは年4回程度開催されます。) ● 毎年発行される神戸大学院経営学研究科のディスカッションペーパーを郵送料プラス実費の ご負担で入手することができます。 購読料 ● 個人購読 年間購読料 20,000 円 ● 法人購読 年間購読料 90,000 円 (『ビジネス・インサイト』を1号につき5部送らせていただきます。 ) 詳しいお問い合わせ、お申し込みは下記の現代経営学研究学会事務局までお問い合わせ下さい。 〒 657-8501 神戸市灘区六甲台町2−1 神戸大学大学院経営学研究科 第2研究助成室気付 現代経営学研究学会 FAX: 078-882-7148 TEL: 078-803-6952(ダイヤル・イン) E-mail: [email protected]