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発表資料 - 科学技術振興機構
総括 独立行政法人科学技術振興機構運営統括・プログラムディレクター 相 澤 益 男 1 地域創生フォーラム開催の背景 ■地域の現状、課題 人口減少を契機に、「特に若年層の人口減少 流出が地域経済の縮小を呼び、地域経済の 縮小が人口減少を加速させる」等の問題 ■文部科学省の施策・プログラム • 平成18年度~26年度 地域再生人材創出拠点の形成 • 平成25年度~ 地(知)の拠点整備事業(大学COC事業) • 平成27年度~ 地(知)の拠点大学による地方創生推進事業 (COCプラス事業) 2 総括 独立行政法人科学技術振興機構運営統括・プログラムディレクター 相澤益男 地域再生人材創出拠点の形成の成果事例(1) ■U・Iターンによる人口の社会増 (大島商船高等専門学校のプロジェクト実施地域 である周防大島町の例) ・地域資源への気づきの導き ・起業家育成による雇用の創出 ・戦略的広報人材の育成 コミュニティ再生と 人口の社会増 3 総括 独立行政法人科学技術振興機構運営統括・プログラムディレクター 相澤益男 地域再生人材創出拠点の形成の成果事例(2) ■資格制度の創設 長崎大学の「道守」資格が国土交通省所管の民間資格登録制度に登録。 公共工事に関する調査(点検及び診断を含む。)及び設計等に関し、品質の確保 と技術者の育成及び活用の促進を図ることを目的に創設された、「公共工事に関 する調査及び設計等の品質確保に関する技術者資格登録規程(平成26年国土交通 省告示第1107号)」に基づく、技術者資格登録簿に登録(第1回登録:平成27年 1月26日) 国土交通省は、この制度の趣旨を踏まえ、登録された資格の積極的な活用を期待。 また、長崎県における総合評価落札方式においても、以前より「道守」資格の加 点評価がなされている。 4 総括 独立行政法人科学技術振興機構運営統括・プログラムディレクター 相澤益男 地域再生人材創出拠点の形成の成果事例(3) ■地域産業のグローバル化 甲州ワイン EU 向け輸出プロジェクト (山梨県ワイン酒造協同組合) 15 社が参加 和食に合う日本固有品種の 甲州種ワインを輸出 ワイナリーによっては、 独自に甲州種の輸出を 始めたところもあり ボルドー大学ワイン醸造学部 Gilles De Revel教授による 山梨大学での講義 総括 独立行政法人科学技術振興機構運営統括・プログラムディレクター 相澤益男 5 地域創生に向けて再度整理すべき課題 ■これまでの取組における課題 大学のみの活動にとどまり、自治体との連携が不足している取組 地域住民との協働が不足している取組 企業・地域業界団体にその価値が必ずしも理解されていない取組 ■再点検すべき課題 自治体もしくは一部の地域や業界団体等と地域との連接点として大学 が取り組んできたことが、他の地域のステークホルダーから見て真に 理解される取組であったのか 視点の偏りにより地域資源の取り漏らしがなかったか これらを整理して、最適解に近づく取組を行うことが 次期施策の成否に貢献する。 総括 独立行政法人科学技術振興機構運営統括・プログラムディレクター 相澤益男 6 地域創生フォーラムの共通テーマ 地域資源に気づき活用できる ビジネスマインドを有した リーダー人材の掘り起こしと育成 ~若者を魅せる地域づくりの プラットフォームの構築~ 総括 独立行政法人科学技術振興機構運営統括・プログラムディレクター 相澤益男 7 共通テーマに係る6つの課題 ■大学等の機能 (1)知の拠点としての大学等の弱みと強み ■大学等のベーシックな課題 (2)知のプラットフォーム形成に向けての課題は何か ■地域創生に向けての喫緊の課題 (3)地域資源への気付きと魅せ方 (4)取組の域内完結の罠 (5)補助金依存の悪循環 ■地域創生に必須の課題 (6)人材が地域にもたらす価値を人材自身が実感でき、また、 地域のステークホルダーに認知されるよう、見える化すること 8 総括 独立行政法人科学技術振興機構運営統括・プログラムディレクター 相澤益男 (1)知の拠点としての大学等の弱みと強み ■大学等の弱み • 地元との関係性が強く意識されない。 • 大学の地域や民間の課題に対する取組姿勢が、 自治体等の短期的成果主義と相容れない。 ■大学等の強み • 教育研究のノウハウ、成果を活かした「知の拠点」 としてのスキルセットなどを有する。 • 地域における中立性、つまり、各セクターもしくは 組織間の利害から比較的離れた立ち位置から意見や 情報を発信できる。 9 総括 独立行政法人科学技術振興機構運営統括・プログラムディレクター 相澤益男 (2)知のプラットフォーム形成に向けての課題 ■地域ニーズの汲み上げ • 地域セクターの価値基準や文化的背景などを十分 考慮した上で、理解、共感を得られる言葉、 「共通言語」で議論するなど、大学等と地域の ステークホルダーの間に存在する敷居を下げる。 ■リーダーシップの発揮 • 学長や首長は当然のこと、各学部・学科の実施責任 者と各取組に横串を通し 有為に連携させる役割を 担う地域連携の担当の責任者、もしくは、自治体等 との間を取り持てるコーディネータが、連携自治体 内部において牽引役となる者と適切に連携を図る。10 総括 独立行政法人科学技術振興機構運営統括・プログラムディレクター 相澤益男 (3)地域資源への気づきと魅せ方 ■大学等の気づき • 大学等アカデミアの特性を活かした、「ソトモノ視点」 をもって地域のモノやコトを観察し、見出す。 ■地域ステークホルダーの見方 • 地域のステークホルダーと資源の価値を分析・評価し、 多面的に地域の「売り」となる資源を明確化し、地域 のステークホルダーと理解、共有する。 ■地域の「売り」の発信と魅せ方 • 大学等が地域の連接点となってネットワークを構築し、 地域が一体となって発信する。また、域外からの意見 を取り入れ域外の者が共感できる形でとして発信する。 11 総括 独立行政法人科学技術振興機構運営統括・プログラムディレクター 相澤益男 (4)取組の域内完結の罠 ■若者の域外からの呼び寄せ • 若者を魅せる大きなポイントは、「面白そう」、 「かっこいい」などという、見せ方やデザインと 言ったソフト面が若者にとっては重要な要素である ことを意識し、このことを地域の主な関係セクター によって共有する。 ■域内への囚われからの脱却 • 大学等の取組の中には、域内での人材確保に囚われて いることが多く、人材を育成する講師等についても、 多様な観点からは適材とは言いがたいケースもあった。 このような状況に陥らないためには、域内に限らない 人的ネットワークの構築が重要。 12 総括 独立行政法人科学技術振興機構運営統括・プログラムディレクター 相澤益男 (5)補助金既存の悪循環 資金スキームづくり • 大学等は、補助金はあくまでも「シードマネー」という 前提に立つべきで、事業を自立、継続するための資金 スキームづくりが不可欠であり、「地域との真の連携が 問われている。」との認識を強く持つ必要がある。 地域連携の深化 • 人材育成の具体的成果を「いかに『見える化』するか」 という点と、プロジェクトを立ち上げる際の関係者を 巻き込むための視点、両方が必要である。なお、芽生え た連携関係を深化させるためには、大学等と地域自治体、 並びに企業・団体等からなる枠組みづくりとして「地域 協議会」などを立ち上げることも肝要である。 13 総括 独立行政法人科学技術振興機構運営統括・プログラムディレクター 相澤益男 (6)地域にもたらす価値の実感・見える化 ■育成人材がビジョンを持てるようにする • 育成人材、若者の域外流出を減らすこと、その対策と して「就業機会の拡大」が喫緊の課題であることを 地域の主な関係セクターによって共有し、その上で、 域外からの人材に対して、自治体中心の地域一体と なった「定住、就農・起業等からなる定着支援」を 展開する。 ■人材の有効性の理解と共感 • 育成人材が、自治体、企業、地域に対してもたらす価 値のイメージを見える化し、地域のステークホルダー にその有効性を広く理解、共感を得る努力を欠かさな いことが求められている。 総括 独立行政法人科学技術振興機構運営統括・プログラムディレクター 相澤益男 14 人材育成に求められる更なる期待 ■次代の人材を育成 • 地域ニーズに応じた人材育成では、必要な基礎知識や技術 を習得するための「基礎講座」と、事業計画の具現化や プロジェクトマネジメントなどを習得する「応用講座」を 設置することが必須だが、今後、高校生等に向けた「育成 講座」を設置し、次代の人材を育成することも肝要。 ■PBLベースの3つのカリキュラム編成 • PBL(problem based learning)をベースとした、上記 3つのカリキュラムを編成し、地域創生を身近に感じられる 学びの場を構築し、若者の資質を伸ばし、育成していくこと が、大学等の重要な役割。 15 総括 独立行政法人科学技術振興機構運営統括・プログラムディレクター 相澤益男 大学等、行政への期待 ■地域創生人材育成の枠組みづくり • • • 大学等は地域のステークホルダーに対し、地域の限界実態 等を直視しつつ、困難な課題を共有した上で、課題解決に 向けて、地域ぐるみの地域創生人材育成の取組の体制整備 を行うことが求められている。 また、地域外の人や企業を巻き込むことは、教育研究の 成果を事業化するに当たって重要な事項であるとともに、 若者、女性等のダイバーシティ確保は、地域創生において 重要な鍵となる。 その際、どれだけ地域外の人や企業を巻き込むことができた かを評価の対象とし、他地域との連携にインセンティブを 与えることも考えられる。 16 総括 独立行政法人科学技術振興機構運営統括・プログラムディレクター 相澤益男 大学等、行政への期待 ■大学等教員のインセンティブ等の向上 • このような高いハードル、大学等に課せられた 課題にとり組むためには、教員をはじめとする 大学等構成員の社会貢献=地域貢献活動に対する インセンティブの付与とモチベーションを維持 することが重要。 • そのため、大学等教員の「社会貢献」の成果に ついて積極的に評価することが重要である。 17 総括 独立行政法人科学技術振興機構運営統括・プログラムディレクター 相澤益男