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展開例❶❷❸❹

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展開例❶❷❸❹
展開例
春の小川
た か
の
た つ ゆ き
おか
の
ていい ち
文部省唱歌/高野辰之 作詞/岡野貞一 作曲
学 習 目 標
楽譜を見ながら,階名で歌ってみましょう。
楽曲について
大正元年,
「尋常小学唱歌(四)」に掲載された曲である。このときは,“ 春の小川は さ
らさら流る…” で始まる3節までの歌詞で構成されていた。昭和17年の「初等科音楽(一)」
に掲載される際に,“ 春の小川は さらさら行くよ…” と口語体に修正され,同時に3節目
の歌詞がカットされた。その後も一部修正されており,現在歌われている歌詞は昭和22
年「三年生の音楽」に掲載されたものである。
教 材 性
■無理なく階名唱に取り組める親しみやすい旋律
・旋律は4分音符と4分休符だけでできており,さらに,1フレーズ目と2フレーズ目と
4フレーズ目が似た旋律になっているため,子どもたちは無理なく階名唱に取り組むこ
とができる。
・教科書の音符には,あらかじめ白抜きのカタカナで階名が記されているが,同じ旋律が
再び出てきた場合にはそれが省略されている。そのため,段階的に視唱に慣れさせてい
くことができる。
■情景を想像しやすい歌詞
・美しい日本語で身近な春の情景が描かれているため,子どもたち一人一人が歌詞の表す
情景を想像しながら,楽しく歌唱表現に取り組むことができる。
■無理なく歌声づくりに取り組める
・旋律に使われている音は,3
年生の子どもでも無理なく歌唱することができる 1 オク
_
ターブ(ド〜ド)内に収まっており,柔らかな歌声づくりの導入に最適な教材である。
22
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
2
こころのうた
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●曲の感じをつかむ。
・歌詞を音読し,歌詞の表す情景を想像する。
・想像したことを発表し合う。
・指導用 CD を聴き,曲の感じをつかむ。
○春の小川の様子を表す言葉や,“ さらさら
いくよ ” などの言葉に注目し,どのような
情景を表しているのか発表し合う。
◆歌詞の内容に関心をもち,曲のイメージを
膨らませながら聴こうとしている。
【ア 発言内容・行動観察】
●音程や発音の仕方に気をつけて歌詞唱する。
・フレーズごとに範唱を聴いて,模唱する。
・音程や発音の仕方に気をつけて,丁寧に歌
う。
○1フレーズずつ指導者の範唱や指導用CD
を聴き,歌詞の言葉を大切にして丁寧に歌
うことができるようにする。
●音程に気をつけて階名唱する。
・白抜きのカタカナで書かれた階名を手がか
りにして,1フレーズずつ階名唱する。
○段階的に階名の視唱に慣れていくようにす
る。
○2フレーズ目は,1フレーズ目とほぼ同じ
旋律であることを伝える。
○3フレーズ目は,カタカナを手がかりに階
名唱する。
○4フレーズ目は,2フレーズ目と同じフレ
・4つのグループに分かれて,1フレーズず
つ順番に階名唱する。
ーズであることに気付くように促す。
○楽しみながら繰り返して階名唱に取り組む
ことができるように,学級をグループに分
けて順番に1フレーズずつ階名唱する。
◆範唱を聴いたり楽譜を見たりして,音程や
発音の仕方に気をつけて歌っている。
【ウ 演奏聴取】
●曲想にふさわしい歌い方を工夫する。
・旋律の音の動きに気をつけて,滑らかにつ
ながるような歌い方を工夫する。
・工夫した表現を生かして,自然で無理のな
い歌い方に気をつけながら全員で歌う。
○滑らかな旋律線を感じ取って歌うことがで
きるように,旋律の上行と曲の雰囲気の盛
り上がりとの関係を意識するように助言す
る。
○自分の歌声や友達の歌声を聴き,曲想を感
じながら柔らかな歌声に気付くようにする。
◆歌詞の内容や曲想にふさわしい歌い方を工
夫している。
【イ 演奏聴取】
23
展開例
茶つみ
文部省唱歌
学 習 目 標
歌のリズムにのって,明るくのびのびと歌いましょう。
楽曲について
明治45年に,
「尋常小学唱歌(三)
」で発表されて以来,広く愛唱されてきた。昭和17
年の「初等科音楽」で一時姿を消したが,昭和43年の学習指導要領改訂時に歌唱共通教
材として取り上げられた。昭和52年には再び削除され,平成元年の改訂でまた歌唱共通
教材として復活するという経緯をたどった曲である。
歌詞は,爽やかな初夏の頃,茶摘み作業をしている人々の姿が見える茶畑の様子を描い
たものである。この歌詞は,京都宇治田原の民謡「茶摘み歌」の一節 “ 向こうに見えるは
茶摘みじゃないか あかねだすきに菅の笠 ” “ お茶を摘め摘め摘まねばならぬ 摘まにゃ田
原の茶にならぬ ” をもとにつくられたといわれている。
教 材 性
■曲のイメージに合った歌い方の工夫
・茶摘みの風景や季節感を想像することのできる言葉が多く使われた歌詞である。“八十
八夜” “あかねだすき” “すげのかさ”など,子どもたちがふだん用いることのない言葉が
出てくるが,それらの言葉から情景を自由に想像することで,曲に対するイメージを膨
らませることができる。
・初夏のすがすがしい情景を表現するためには,どのような歌い方をすればよいかを考え
ることによって,曲のイメージに合った歌い方を工夫することができる。
■手遊びを活用した楽しい歌唱活動
・旋律は,すべてのフレーズの 1 拍目が4分休符になっている。その4分休符を感じて
歌うために,手遊びなど体の動きを伴った活動を取り入れることで,楽しい歌唱活動に
発展させることができる。
・2人で向かい合って手を打ち合わせたり,輪になって隣の子どもの手を打ったりするな
どの手遊びを通して,友達といっしょに拍の流れを感じ取りながら,旋律の付点のリズ
ムを味わうことができる。
24
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
1
こころのうた
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●曲の感じをつかむ。
・歌詞を音読する。
・“ 八十八夜 ” “ あかねだすき ” などの言葉の
意味を確認し,歌詞をもとに茶つみの様子
を想像して発表する。
・指導用 CD を聴き,曲の感じをつかむ。
○難しい言葉は教科書の注釈や写真を参照し
て意味を理解し,茶摘みの様子を想像する。
◆歌詞の内容に関心をもち,曲のイメージを
膨らませながら聴こうとしている。
【ア 発言内容・行動観察】
●音程や発音の仕方に気をつけて歌う。
・フレーズごとに範唱を聴いて,模唱する。
・旋律のリズムを手拍子で打つ。
・音程や発音の仕方に気をつけて,全体を通
して歌う。
○指導用 CD に合わせて全体を何度か繰り返
して歌うことで,旋律と歌詞を覚えるよう
にしてもよい。
○4フレーズ目の後半以外は2小節単位で同
じリズムが繰り返されていることに気付き,
付点のリズムを感じて歌うように促す。
●歌に合わせて手遊びをする。
・指導者の手の動きをまねて,1人で手遊び
の動作ができるようにする。
・2人で向かい合い,拍の流れを感じ取って
歌いながら手遊びをする。
・手遊びをする人数を増やしていく。
○友達といっしょに歌いながら遊ぶことで拍
の流れを感じ取り,各フレーズの最初の4
分休符のタイミングを合わせるようにする。
◆拍の流れにのって,歌ったり手遊びをした
りしている。
【ウ 演奏聴取】
●曲想にふさわしい歌い方を工夫する。
・付点の音符によるリズミカルな感じや歌詞
の表す情景などから,曲想にふさわしい歌
い方を工夫する。
・工夫した表現を生かして,全員で歌う。
○繰り返し現れる付点4分音符に注目し,付
点のリズムが生み出すよさやおもしろさに
気付いて,はつらつと歌うことができるよ
うに助言する。
◆歌詞の内容やリズムを感じ取り,曲想にふ
さわしい歌い方を工夫している。
【イ 発言内容・演奏聴取】
25
展開例
うさぎ
日本古謡
学 習 目 標
日本に古くからつたわる歌のふんいきを味わいながら歌いましょう。
楽曲について
江戸時代から歌われてきたわらべ歌である。箏曲「姫松小松」などに似ているともいわ
れる。三味線や箏を練習する際の導入曲として用いられることも多い。
明治 25 年,「小学唱歌(二)
」に初めて教材として掲載された。当時は“何見て はねる”
の歌詞が,“何を見て はねる”となっていたが,昭和 16 年,「ウタノホン(下)」で現在の
ような形に改められた。当時の子どもたちが身近な自然環境に親しみをもって,素朴に歌
った心情がよく伝わってくる。
教 材 性
■わらべ歌の旋律が醸し出す味わい
・古くから歌い継がれてきたわらべ歌である。旋律は日本の伝統的な音階でできており,
曲全体から醸し出される,わらべ歌ならではの雰囲気を味わうことができる。
・歌詞は,十五夜(旧暦の 8 月 15 日の夜)の月が,明るく美しく輝いていることを歌っ
たものである。昔の人たちが四季折々のさまざまな自然や情景を詩的な感性で楽しんで
いたことに思いをはせて歌うことができる。
■自然で無理のない声で歌うことができる旋律
・わらべ歌は人が歌って伝えてきたものであるから,もともと無理なく歌える音域ででき
ていることが多い。その特徴を生かし,素朴な歌詞を味わいながら,柔らかな歌声で歌
うことができる。
26
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
1
こころのうた
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●曲の感じをつかむ。
・歌詞を音読する。
・“ 十五夜 ” の言葉の意味を知り,歌詞の表
す情景を想像して発表する。
・指導用 CD を聴き,曲の感じをつかむ。
○ “ 十五夜 ” の意味を説明し,教科書の挿絵
や写真を参照しながら歌詞の表す情景を想
像することができるようにする。
◆歌詞の内容に関心をもち,曲のイメージを
膨らませながら聴こうとしている。
【ア 発言内容・行動観察】
●旋律の音の動きや歌詞に気をつけて歌う。
・フレーズごとに範唱を聴いて,模唱する。
・“ はーーねる ” の部分の旋律の音の動きを
捉える。
・旋律の音の動きや歌詞に気をつけて,全体
を通して歌う。
○簡単な旋律であるが,指導者の範唱をよく
聴いて,音程や歌詞の発音の仕方に気をつ
けて歌うことができるようにする。
○日本の伝統的な音階については諸説あるた
め,ここではこの旋律の音階について理論
的なことは説明せずに,旋律の雰囲気を感
じ取って歌うようにするとよい。
◆範唱を聴き,旋律の雰囲気を味わいながら
歌っている。
【ウ 演奏聴取】
●曲想にふさわしい歌い方を工夫する。
・歌詞の表す情景を想像し,柔らかな歌声に
○歌詞の表す素朴な情景を想像して,自然で
・前半を歌うグループと後半を歌うグループ
○互いの歌い方を聴き合い,歌い方を工夫す
気をつけながら,全体を通して歌う。
に分かれて,交互唱する。
無理のない歌い方で歌うことができるよう
にする。
る際の参考にする。
◆曲想にふさわしい表現で歌っている。
【ウ 演奏聴取】
27
展開例
ふじ山
い わ
や
さ ざ な み
文部省唱歌/巌谷小波 作詞
学 習 目 標
曲の山をかんじとって,のびのびと歌いましょう。
楽譜を見ながら階名でも歌ってみましょう。
楽曲について
この歌詞は,もともと国語の教材として「尋常小学読本」に載っていたものである。こ
れに旋律がつけられて,明治43年,「ふじの山」という曲名で「尋常小学読本唱歌」に掲
載されて歌われ,子どもたちに親しまれるようになった。明治45年,「尋常小学読本唱歌
(二)
」に掲載されたとき「富士山」と漢字表記になった。その後,いったん教科書から姿
を消したが,昭和52年から再び歌唱共通教材曲として取り上げられるようになった。
作詞者の巌谷小波は東京出身。21歳で発表した創作童話「こがね丸」は,初の子ども
向けの読み物として社会的な反響を呼んだ。日本の近代児童文学の父とも呼ばれている。
教 材 性
■富士山の様子を表す歌詞と旋律の動きとの関連
・雄大な富士山の姿が広がりのある旋律で表現されており,歌詞の表す情景と旋律の動き
とが深く関連している。曲想を感じ取ってのびやかに歌唱表現するのに最適な教材であ
る。
・曲想にふさわしい歌い方を工夫するためには,子どもたちに歌声のつくり方を意識させ
る必要がある。この曲は旋律の盛り上がりを感じ取りやすいので,歌声づくりに自然に
取り組みながら歌うことができる。
■階名唱の発展的活動
・3年生では,「ドレミで歌おう」や「春の小川」などを通して階名唱に親しんできた。こ
れらの経験を生かして,あらかじめ音符に階名が記されていない旋律でも階名唱に取り
組むことができる。
・この曲の旋律は,山の形を描くような自然な抑揚でできているため,比較的階名唱しや
すい。また,3フレーズ目には順次進行で1オクターブ上行する部分もあるので,正し
い音程を意識しながら音階を歌うことができる。
28
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
2
こころのうた
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●曲の感じをつかむ。
・歌詞を音読する。
・富士山について知っていることや登山の経
験などを発表する。
・情景を想像しながら指導用 CD を聴き,曲
の感じをつかむ。
○教科書の写真を参照して富士山の雄大な姿
を想像することができるようにする。
◆歌詞の内容に関心をもち,曲のイメージを
膨らませながら聴こうとしている。
【ア 発言内容・行動観察】
●のびやかな響きのある声で旋律を歌う。
・フレーズごとに範唱を聴いて,模唱する。
・音程や声の出し方に気をつけて,響きのあ
る声で歌う。
○指導者の範唱をよく聴いて,音程や声の出
し方などに気をつけて歌うことができるよ
うにする。
○あくびをしたときのように喉を開き,響き
のある声を意識しながら歌うようにする。
◆音程や声の出し方に気をつけ,響きのある
声でのびのびと歌っている。
【ウ 演奏聴取】
●階名視唱に慣れる。
・教科書の楽譜を見て,フレーズごとに階名
○「ドレミで歌おう」や「春の小川」での学習
・4つのグループに分かれ,1フレーズずつ
なくても正しい音程で階名唱できるように
唱する。
順番に階名唱する。
を思い出し,カタカナの階名が記されてい
する。
◆教科書の楽譜を見て,音程に気をつけなが
ら意欲的に階名唱しようとしている。
【ア 演奏観察】
●曲想にふさわしい歌い方を工夫する。
・3フレーズ目から4フレーズ目にかけての
旋律の動きや曲の山を意識して,音の強弱
を工夫する。
・歌詞から雄大な富士山の姿をイメージし,
歌うときの姿勢なども意識しながら歌う。
○歌詞の内容と旋律の動きとの関連を意識し
て,雄大な富士山のイメージを表現するこ
とができるようにする。
○曲想にふさわしい歌唱表現をするために,
姿勢や顔の表情などにも気をつけて歌うよ
うにする。
◆曲の山に向かう3フレーズ目と,そこから
収束していく4フレーズ目の旋律の動きを
感じ取り,歌い方を工夫している。
【イ 演奏聴取】
29
題 材 名
楽譜を読もう
扱い時数の
めやす
5
時間
題材のねらい
●ハ長調の楽譜に親しみ,音程やリズムに気をつけながら階名で視唱したり視奏したりし
て,読譜に慣れるようにする。
題材の意図
この題材では,3年生から指導が始まるハ長調の楽譜の視唱や視奏に,慣れ親しんでい
くことができるように学習を進めていきます。低学年においては,範唱をまねて歌った
り,階名を覚えて楽器を演奏したりするなど,階名模唱や階名暗唱(奏)の活動を重ねて
きました。ここからは,低学年で身につけてきた音程感をさらに高めるとともに,楽譜を
読み取って歌詞や階名で歌ったり,楽器を演奏したりする視唱や視奏の活動を段階的に進
めていくようにします。
学習指導要領との関連
本書 P.12 参照
題材の評価規準例
ア 音楽への関心・意欲・態度
・ハ長調の楽譜に親しみ,視唱や視奏をする学習に進んで取り組もうとしている。
イ 音楽表現の創意工夫
・音の高さや旋律の特徴を感じ取って,それを生かした表現の仕方を工夫している。
ウ 音楽表現の技能
・ハ長調の楽譜を読み取り,音の高さの違いやリズムに気をつけながら階名視唱したり
視奏したりしている。
32
楽譜を読もう
本題材における学習の深まり
扱い
時数
2
時間
楽譜を見ながら階名で歌いましょう。
ドレミで歌おう
歌唱
器楽
音程感を高めるとともに,ハ長調の楽譜を読み取って歌詞や階名で歌ったり,
楽器を演奏したりする視唱や視奏の活動が始まります。この教材は,歌詞にドレ
ミの階名が組み込まれているため,階名唱の体得と確認に適しています。音符を
指さしながら歌うなどして,ハ長調の楽譜に慣れていきましょう。そして,音程
やリズムに気をつけて視唱したり,鍵盤楽器で視奏して音の高さを確かめたりし
ながら活動を展開していきます。
扱い
時数
3
時間
楽譜を見ながら階名で歌ったり,楽器でひいたりしましょう。
海風きって・せんりつづくり
歌唱
器楽
音楽づくり
この教材は,曲の前半と後半の旋律を重ねて演奏するときれいに響き合うよう
につくられた,いわゆるパートナーソングです。前半 ア は歌詞で歌い,後半 イ
は階名で歌ったり楽器で演奏したりします。歌声と楽器の音が重なる響きを楽し
んだり, イ の終わりの2小節を「せんりつづくり」したりする活動を通して,
階名による視唱や視奏に慣れ親しむようにします。
また, ア と イ の旋律の特徴を感じ取って,表現の仕方を工夫しながら演奏す
ることができると,さらによいでしょう。
33
展開例❶❷
題材名
楽譜を読もう
題材の
ねらい
●ハ長調の楽譜に親しみ,音程やリズムに気をつけながら階名で視唱したり
視奏したりして,読譜に慣れるようにする。
教材名
ドレミで歌おう
お
は ら こ う い ち
小原光一 作詞/作曲者不明
学 習 目 標
楽譜を見ながら階名で歌いましょう。
楽曲について
作曲者不明の短い曲にオリジナルの歌詞をつけたもの。歌詞の後半は階名唱になっ
ており,
歌いながら自然に音程感を養うことができる。1小節目と3小節目は低いド,
5小節目は高いドから始まっており,両者の位置を比較して確認しやすい。a4+b4
の一部形式。
教
材
性
■五線上の音符の位置と音の高さが歌詞によってつながる
・歌詞にドレミの階名が組み込まれている旋律を繰り返し視唱することにより,五線
上の音符の位置と音の高さを結び付けながら,階名唱に親しむことができる。
■鍵盤楽器の基本的な運指
・鍵盤楽器で旋律を演奏するときに必要な「指くぐり」や「指またぎ」といった運指が
順次進行の旋律の中に組み込まれている。教科書の写真や指導者の範奏を参考にし
ながら繰り返し演奏し,運指に慣れるようにする。
34
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
2
楽譜を読もう
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●ハ長調の音階に興味・関心をもつ。
・教科書 P.7の楽譜の音符を指さしながら,
○必ず,階名で歌いながら指さしすることを
・破線で書かれているハ長調の音階(ド〜
_
○シから上の音は,音符の棒の向きが下向き
・教科書 P.7の楽譜の音符を指さしながら,
「ひ
○フレーズごとに確認しながら,ゆっくりと
ハ長調の階名と音符の位置を確かめる。
ド)の音を4分音符で書く。
のまる」
「かっこう」
「かえるの がっしょう」
などの既習曲を階名で歌う。
確認する。
になることもおさえるようにする。
階名唱するようにする。
・教科書P.7 の「新しくおぼえること」を見て,
ト音記号と五線,線と間の名前,小節,縦
線,終止線について知る。
・「ドレミで歌おう」の楽譜の中から,ト音
記号や終止線などを見つけて指さす。
◆ハ長調の音階に興味・関心をもち,楽しそ
うに階名唱をしたり,進んで音符を書き込
もうとしたりとしている。
【ア 表情観察・行動観察】
●階名視唱や視奏に慣れる。
・「ドレミで歌おう」の範唱を聴いて,曲の
感じをつかむ。
・フレーズごとに範唱を聴いて,歌詞や階名
で歌う。
・楽譜を指さしながら繰り返し階名唱する。
○黒板に掲示した楽譜を指さしながら,上行
する旋律と下行する旋律を視覚的にも確認
しながら歌うようにする。
・鍵盤ハーモニカなどの鍵盤楽器で演奏する。
○教科書 P.6の写真などを活用して,
「指く
・階名唱するグループと,鍵盤楽器を演奏す
○2人一組みで同様の活動をすることにより,
るグループに分かれて,互いの音を聴き合
いながら演奏する。
ぐり」や「指またぎ」の仕方を指導する。
階名と音の高さの関係をより確かに感じ取
ることができる。
◆階名唱した旋律の動きを確認しながら,運
指に気をつけて鍵盤楽器で演奏している。
【ウ 演奏聴取】
35
展開例❶❷
題材名
題材の
ねらい
教材名
楽譜を読もう
●ハ長調の楽譜に親しみ,音程やリズムに気をつけながら階名で視唱したり
視奏したりして,読譜に慣れるようにする。
海風きって(せんりつづくり)
た か
ぎ
い しけ た ふ ゆ
き
高木あきこ 作詞/石桁冬樹 作曲
学 習 目 標
楽譜を見ながら階名で歌ったり,楽器でひいたりしましょう。
楽曲について
旋律の重なりを学習するためにつくられたオリジナル曲。A(a4+b4) + B(c4+d4)
+ A(a4+b4) の三部形式。はずむようなリズムでつくられた ア の旋律と,のびやかな
リズムでつくられた イ の旋律の対比が明確で,2つの旋律を重ねたときの音楽的な
効果もおもしろい。
教
材
性
■階名唱に慣れる
・ハ長調の音階でつくられており,音域も1オクターブ内であるため,階名唱の活動
には最適である。階名唱は音程感を養うだけでなく,階名で暗唱した旋律を楽器で
演奏することによって,演奏面での負担を軽くすることができる。 イ の旋律はじ
ゅうぶんに階名唱を行ってから楽器の演奏に移るようにしたい。
■パートナーソングの楽しみ
・ ア , イ の旋律を重ねて演奏するときれいに響き合うようにつくられた,いわゆる
パートナーソングである。 ア , イ の旋律を歌ったり,演奏したりできるようにな
ったら,歌と楽器の音の重なり合いを楽しむ活動も展開したい。
■「せんりつづくり」のしやすさ
・「せんりつづくり」
( イ の終わりの2小節)は,限定された音から1つずつ選んで旋
律をつくっていくと,終止感が感じられたり伴奏と響き合ったりするようにつくら
れている。教科書の絵譜を活用しながら,創造的な活動を進めていきたい。
36
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
3
楽譜を読もう
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●楽曲全体の曲想や旋律の特徴を感じ取る。
・指導用 CD を聴く。
○歌う部分 ア(はずむようなリズム)と楽器
・指導用 CD に合わせて, ア の旋律を歌詞唱
○ ア の部分は歌詞唱し, イ の部分は聴く。
・指導者の範唱を聴いて,フレーズごとに模
○はずむようなリズムを生かした範唱を心が
・息つぎ(ブレス)の記号の意味を知る。
○息つぎの記号の前の音を丁寧に歌ってから,
・ ア と イ の旋律を比べて聴く。
する。
唱する。
●ハ長調の楽譜の視唱や視奏に慣れる。
・教科書 P.10の楽譜 イ に階名を書き入れる。
で演奏する部分 イ(のびやかなリズム)が
あることに気付くようにする。
ける。
息つぎをするように指導する。
・ イ の旋律を階名視唱する。
○楽譜を指さしながら,ゆっくりと階名視唱
・階名暗唱した イ の旋律を鍵盤ハーモニカ
○ポジションの移動があるので,フレーズご
などの鍵盤楽器で演奏する。
するようにする。
とに最初の音の指番号を確認する。
◆ イ の旋律を階名視唱したり鍵盤楽器で演
奏したりする学習に進んで取り組もうとし
ている。
【ア 演奏観察】
●伴奏の響きと合う旋律をつくって演奏する。
・ イ の終わりの2小節の旋律をつくって階
○教科書P.11 の例を参考に,絵譜を指しな
・つくった旋律を楽器で演奏する。
○最初の音を決めて,1つずつ右へ進み,最
名唱する。
・つくった旋律をみんなで伴奏と合わせて演
奏して確かめる。
がら「せんりつづくり」の方法を例示する。
後はドかミで終わることを確認する。
◆自分でつくった2小節の旋律を階名唱した
り楽器で演奏したりしている。
【ウ 演奏聴取】
●歌の旋律と楽器の旋律が重なって響き合う
心地よさを感じ取る。
・ ア と イ の旋律を重ねて演奏する。
○ ア と イ の旋律を重ねて演奏し,気付いた
・グループに分かれて,全曲を通して演奏を
○グループの人数は,響きを感じ取れるよう
・グループごとに発表し,互いに聴き合う。
○ イ の終わりの2小節は,前の活動で子ど
・ ア → イ → ア + イ の順に演奏する。
工夫する。
ことなどを発言する時間をもつようにする。
に6〜8人ぐらいがよい。クラスの人数や
子どもの実態に合わせて調整する。
もたちがつくった旋律を生かすようにする。
◆友達の旋律に耳を傾け,旋律が重なる響き
の心地よさを感じ取りながら,歌い方や演
奏の仕方を工夫している。
【イ 行動観察・演奏観察】
37
題 材 名
リコーダーをふこう
扱い時数の
めやす
5
時間
題材のねらい
●リコーダーに親しみながら,その音色を感じ取ったり,基本的な演奏の仕方を身につけ
たりすることができるようにする。
題材の意図
リコーダーの学習は3年生から始まりますが,この題材ではその導入として,楽器の構
え方や運指,息のつかい方などの基本的な演奏の仕方を,ソ〜シの3つの音を使って段階
的に学習していきます。また,子どもたちがリコーダーの演奏に憧れを抱いたり興味・関
心をもったりして,意欲的に学習を進めていくことができるように,鑑賞の活動を通して
リコーダー固有の美しい音色を味わうようにしています。
学習指導要領との関連
本書 P.12 参照
題材の評価規準例
ア 音楽への関心・意欲・態度
・リコーダーの基本的な演奏の仕方を身につけたり音色に気をつけて演奏したりする学
習に進んで取り組もうとしている。
イ 音楽表現の創意工夫
・リコーダーの音色や響きを感じ取り,きれいな音色を求めて音の出し方を工夫してい
る。
ウ 音楽表現の技能
・タンギングや息の強さに気をつけて,きれいな音色でリコーダーを演奏している。
エ 鑑賞の能力
・リコーダーの音色の美しさを感じ取り,演奏のよさに気付いて聴いている。
40
リコーダーをふこう
本題材における学習の深まり
扱い
時数
1
時間
リコーダーに親しみましょう。
小鳥のために
器楽
鑑賞
リコーダーを演奏する前のオリエンテーションとして鑑賞します。この曲は,
リコーダーのみで演奏されており,演奏時間も短いものばかりなので,音楽に集
中して聴きながら,リコーダーの音色や軽やかな音の運びに親しむことができま
す。これから学習するソプラノ リコーダーで演奏されているので,学習意欲を
高めるとともに,リコーダーへの憧れを抱けるようにします。
そして,教科書の写真や指導者の範奏を参考にして,リコーダーの持ち方や構
え方,穴のふさぎ方を学びます。さらに,吹き比べの活動を通して,タンギング
の役割について知り,リコーダーの学習を始めます。
扱い
時数
4
時間
タンギングになれましょう。
練習1〜3
器楽
シ・ラ・ソの3音を使って,
リコーダーの初歩段階の運指やタンギングの仕方,
息の強さを徐々に身につけていきます。
夕やけこやけ/小さな花
器楽
練習1〜3で身につけた運指やタンギングの仕方,息の強さなどに気をつけな
がら,演奏技能の基本を身につけていきます。2曲ともほとんど順次進行の旋律
ですので,運指を確実に覚えるのに適しています。1音ずつ確実に穴をふさぐ感
覚を確かめながら練習を進めましょう。
41
展開例❶❷
題材名
リコーダーをふこう
題材の
ねらい
●リコーダーに親しみながら,その音色を感じ取ったり,基本的な演奏の仕
方を身につけたりすることができるようにする。
教材名
小鳥のために
作曲者不明
学 習 目 標
リコーダーに親しみましょう。
楽曲について
1717年にロンドンで出版された曲集「The Bird Fancyer’s Delight(小鳥愛好家
の楽しみ)
」の中から,「スズメのための曲」「森ヒバリのための曲」「ムクドリのため
の曲」の3曲を鑑賞する。もともとこの曲集は,フラジョレットというリコーダーと
よく似た構造をもつ管楽器のためにつくられたものだが,ここではソプラノ リコー
ダーによる演奏を鑑賞する。
教
材
性
■リコーダーによる愛らしい曲
・いずれもソプラノ リコーダーによる短い曲であり,興味・関心を高める教材とし
て適している。シンプルな演奏であるため,リコーダーの音色や軽やかな音の運び
に親しみをもち,リコーダー学習への動機付けにするためにも,実際に表現活動を
する前に鑑賞しておきたい。
■リコーダー学習の基本
・
「構え方」「穴のふさぎ方」「音の出し方」はいずれも,リコーダー学習の基本的な
部分である。どれかが欠けても上手に演奏することはできないので,丁寧に指導し,
確実に身につけさせるようにしたい。
42
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
1
リコーダーをふこう
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●「小鳥のために」を聴いてリコーダーの音
色に興味をもち,学習意欲を高める。
・鳴き声の小鳥を想像しながら1曲ずつ聴き,
気付いたことを発表し合う。
・3曲を比べて聴く。
○「スズメ」「森ヒバリ」「ムクドリ」のため
に書かれた曲であることをあとで知らせる。
◆リコーダーの音色や軽やかな音の動きを感
じ取り,演奏のよさに気付いて聴いている。
【エ 発言内容・表情観察】
●楽器の構え方や穴のふさぎ方を知り,音の
出し方を工夫する。
・2人一組みになり,姿勢や楽器の構え方を
互いに確認する。
○教科書の写真や説明を参考にして,互いに
チェックする。
〈チェックポイント〉
1. 腕や肩の力を抜いて,背筋をまっすぐに
伸ばす。
2. 唇でマウスピースを軽くはさむ。
3. 左手が上になるように持ち,右手の親指
で楽器を支える。
・穴のふさぎ方を知る。
○指の腹に,穴のあとがつくかどうかを互い
に確認し合うとよい。
〈チェックポイント〉
1. 指を自然に曲げ,隙間ができないように
指の腹でぴったりと押さえる。
2. 指を離すときは,高く上げすぎない。
・シの音で,音の出し方を工夫する。
○シの音で「フー」と「トゥー」を吹き比べ
て,タンギングを体感できるようにする。
○指導者がシの音で細かくタンギングして範
奏し,それを模倣させるようにしてもよい。
〈チェックポイント〉
1. 静かにまっすぐな息を入れる。
2. 舌を上手に使ってタンギングをする。
◆タンギングや息の強さに気をつけて,シの
音の出し方を工夫している。
【イ 演奏観察】
43
展開例❶❷
題材名
リコーダーをふこう
題材の
ねらい
●リコーダーに親しみながら,その音色を感じ取ったり,基本的な演奏の仕
方を身につけたりすることができるようにする。
教材名
練習1〜3
夕やけこやけ
小さな花
わらべ歌
原 由多加 作曲
は ら
ゆ
た
か
学 習 目 標
タンギングになれましょう。
楽曲について
シ・ラ・ソの3音で吹けるリコーダー練習曲群。「夕やけこやけ」「小さな花」は優
しさを連想させるタイトルをもっており,丁寧な息のつかい方や,柔らかいタンギン
グを意識させることができる。
教
材
性
■リコーダー学習の導入
・初めて触れるリコーダーであり,運指のいちばん簡単なシから始まる練習曲である。
ふさぐ穴が増えるにつれて演奏への抵抗感は少なからず出てくるが,息の強さやタ
ンギングなどを丁寧に指導し,確実に身につけさせるようにしたい。
■スムーズな運指とタンギング
・練習1〜3で身につけたことを「夕やけこやけ」「小さな花」の表現活動を通して高
めていく。特に,息の強さやタンギングに気をつけることで表現が豊かになる。ま
た,息つぎの仕方についても気をつけることで,豊かな表現を目指していきたい。
44
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
4
リコーダーをふこう
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●「練習1」のリズムを使ってタンギングに
慣れる。
・ラの運指を確認する。
・練習1のリズムを「ラ」で歌う。
・練習1のリズムを「トゥ」で歌う。
・拍の流れにのって,リコーダーで演奏する。
・シとソの音でも,ラと同じ手順で行う。
○姿勢や楽器の構え方,運指,タンギングは,
定着するまで繰り返し丁寧に指導する。
○教科書以外のリズムを指導者が示して,そ
れを模倣しながら練習してもよい。
◆リコーダーの演奏の仕方に関心をもち,繰
り返し意欲的に練習している。
【ア 行動観察】
●「練習2」の旋律を使って,息の強さを工
夫する。
・リコーダーで長い音を吹いて,ちょうどよ
い息の強さを探す。
・階名唱をして正しい音程を捉える。
・
「練習2」の旋律をリコーダーで演奏する。
○静かにまっすぐな息を入れるとよいことに
気付くようにする。
○「シは静かに,ラは楽に,ソはそっと吹き
ましょう。
」などと声をかけて,息の強さ
に意識を向けられるようにする。
◆自分の音に耳を傾け,息の強さを工夫して
いる。
【イ 行動観察・演奏観察】
●「練習3」の旋律を使って,運指とタンギ
ングのタイミングを合わせる工夫をする。
・指を動かすタイミングと,階名唱で音程が
○階名唱をしながら,サッと指を動かす練習
・運指とタンギングのタイミングに気をつけ
○タンギングに気を取られてしまうと,乱暴
変わるタイミングを合わせる練習をする。
て,リコーダーを演奏する。
を繰り返すように指示する。
な音になりがちである。
「静かな息で吹き
ましょう。
」などと声をかけて,息を強く
吹きすぎないようにする。
◆長い息のつかい方に気付き,運指とタンギ
ングのタイミングを合わせて演奏できるよ
うに工夫している。
【イ 行動観察・演奏観察】
45
展開例❶❷
●演奏の仕方に気をつけて,
「夕やけこやけ」
をリコーダーで演奏する。
・指導用 CD や指導者の範奏を聴く。
○音色や演奏の仕方に気をつけて聴くように
・静かな息で「トゥ トゥ…」と歌いながら,
○リコーダーの吹き口をあごに当てて,歌い
・拍の流れにのって,階名唱する。
運指とタンギングのタイミングを合わせる
練習をする。
声をかける。
ながら運指の練習をするとよい。
・全曲を通して滑らかに演奏する。
○長い息で演奏するように,繰り返し声をか
・付点4分音符について知る。
○8分音符とセットにすると,2拍分(2分
ける。
音符と同じ)の長さになることを,教科書
P.70で確認する。
◆丁寧な息のつかい方と柔らかなタンギング
で,旋律を滑らかに演奏している。
【ウ 演奏聴取】
●音色に気をつけて,
「小さな花」をリコー
ダーで演奏する。
・指導用 CD や指導者の範奏を聴く。
○音色や演奏の仕方とともに,曲想について
・拍の流れにのって,階名唱(固定ド)
する。
○息つぎの前の音をじゅうぶんにのばしてか
も耳を傾けるように声をかける。
ら,息つぎをするように声をかける。
○ハ長調の楽譜ではないため,「ドレミ」に
・静かな息で「トゥ トゥ…」と歌いながら,
運指とタンギングのタイミングを合わせる
練習をする。
よる音名唱(固定ド唱法)で代用する。
○「優しい気分」を表現することができるよ
うに,息のつかい方と柔らかなタンギング
を確認する。
・曲想を生かして,全曲を通して演奏する。
○「静かな息で吹きましょう。
」などと声を
・付点2分音符について知る。
○4分音符3つ分の長さであることを教科書
かけて,息を強く吹きすぎないようにする。
P.70で確認する。
◆息のつかい方と柔らかなタンギングに気を
つけて,曲想にふさわしい表現で演奏して
いる。
【ウ 演奏聴取】
46
題 材 名
拍のながれにのろう
扱い時数の
めやす
7
時間
題材のねらい
●拍の流れにのって,拍子を感じ取りながら表現したり聴いたりすることができるように
する。
●拍子にのって,きれいな音でリコーダーを演奏することができるようにする。
題材の意図
この題材では,低学年で身につけてきた拍の流れや拍子に対する感覚をより高めていく
ことに重点を置いて学習を進めていきます。2年生で学習した2拍子や3拍子に,新たに
4拍子を加えて,拍の流れを感じ取りながら,歌唱や器楽,鑑賞,および音楽づくりの活
動を展開します。そして,これらの活動を通して新出の楽典事項を学んだり,記譜に慣れ
_ _
親しんだりするとともに,前の題材で学習したリコーダーについても,ソ〜シにドとレの
音を加えた5つの音を使って,さらに慣れ親しむようにします。
学習指導要領との関連
P.12 参照
題材の評価規準例
ア 音楽への関心・意欲・態度
・拍の流れを感じ取りながらいろいろな拍子の音楽を演奏したり,拍の流れにのって音
楽を聴いたり,簡単な旋律をつくったりする学習に進んで取り組もうとしている。
イ 音楽表現の創意工夫
・拍の流れや曲想を感じ取って,それにふさわしい歌い方や楽器の演奏の仕方を工夫した
り,
自分の気に入る簡単な旋律をつくるために音の組み合わせ方を工夫したりしている。
ウ 音楽表現の技能
・いろいろな拍子の拍の流れにのって,曲想にふさわしい表現で歌ったりきれいな音色
でリコーダーを演奏したりしている。
エ 鑑賞の能力
・拍の流れにのって体を動かしたり,二重唱の声の重なりや掛け合いの部分のおもしろ
さを感じ取ったりしながら聴いている。
50
拍のながれにのろう
本題材における学習の深まり
扱い
時数
3
時間
4拍子のながれにのって,えんそうしたりきいたりしましょう。
とどけよう このゆめを
歌唱
器楽
前半は4拍子の軽快な伴奏にのって歌い,後半は主旋律の歌にリコーダーによ
る副次的な旋律を合わせ,流れるような伴奏にのって演奏します。前半と後半の
伴奏の違いを感じ取り,演奏の仕方の工夫へつなげます。
新しい世界
鑑賞
ディズニー映画「アラジン」の中の1曲で,主人公の2人が新しい世界を探そ
うと,魔法のじゅうたんに乗って大空を旅する場面で歌われます。ここでは,拍
の流れを感じ取って聴く活動に加えて,声の掛け合いによるおもしろさや美しい
声の響きに気付いて聴く活動を進めることができます。
扱い
時数
2
時間
いろいろな拍子の曲をふきましょう。
坂 道/雨上がり/白い雲/そよ風
器楽
新しい音の運指を覚え,タンギングや息の強さに気をつけながら,きれいな音
色で演奏するようにします。また,曲によって拍子が違うので,それぞれの拍子
の違いを感じ取りながら拍の流れにのって演奏する学習も進めます。
「そよ風」では,輪奏をしている感覚で,簡単な二重奏を楽しめるようになっ
ていますので,互いのパートの音を聴きながら演奏することも体験できます。
扱い
時数
2
時間
おはやしのせんりつをつくってえんそうしましょう。
せんりつづくり
_
器楽
音楽づくり
_
ラ・ド・レの3つの音を使って,リコーダーを吹きながら自分の気に入ったお
囃子の旋律をつくります。あらかじめ決められた「せんりつをつくるリズム」を
もとに,拍の流れを感じながら自由に音を選んで旋律づくりをすることができる
ようになっています。
また,音楽をつくりながら自分なりの方法で記譜をしておくと,次の時間まで
旋律を覚えていられるうえ,読譜や音符,休符,記号の学習にもつながっていき
ます。子どもたちの実態に応じて,できるかぎり記譜するようにしましょう。
51
展開例❶❷❸❹
題材名
拍のながれにのろう
題材の
ねらい
●拍の流れにのって,拍子を感じ取りながら表現したり聴いたりすることが
できるようにする。
●拍子にのって,きれいな音でリコーダーを演奏することができるようにす
る。
教材名
とどけよう このゆめを
あ んざ い
かおる
は
せ
べ
ま さ と し
安西 薫 作詞/長谷部匡俊 作曲
学 習 目 標
4拍子のながれにのって,えんそうしたりきいたりしましょう。
楽曲について
4拍子の学習に加え,リコーダーと歌唱の融合を目的として作曲されたオリジナル
曲。A(a4+a’4) + B(b4+b’4) の二部形式。歌唱パートは,前半8小節がリズミカル
にはずむ感じ,後半8小節は滑らかな感じになっている。また後半はリコーダーパー
トが加わり,歌詞に登場する “ かぜのうた ” を表現している。
教
材
性
■二部形式を生かした演奏の仕方の工夫
・前半と後半の旋律が対照的な曲想をもっている。また,伴奏からもその違いを感じ
取ることができるので,演奏の仕方の工夫につなげやすい。
■歌とリコーダーの重なり
・後半8小節は,シ・ラ・ソの3音で演奏できるリコーダーパートが加わっている。
リコーダーが加わることで,風が爽やかに吹いている様子を感じ取ることができる。
・互いに聴き合いながら拍子にのって演奏することで,2つの旋律の重なりを感じな
がら,歌声と楽器の音の響き合いを味わうことができる。
52
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
2
拍のながれにのろう
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●曲想を感じ取って歌い方を工夫する。
・指導用 CD を聴いて,気付いたことや感じ
○気付いたことは整理して板書する。
・再度,指導用 CD を聴いて,気付いたこと
全体
取ったことを発表する。
について確かめる。
〈例〉
4拍子 よく似た旋律の繰り返し
前半 後半
・4分の4拍子について知る。
はずむ感じ 流れる感じ
・指導用 CD を聴いて,主旋律を模唱する。
○旋律の繰り返しに気付くことができるよう
・前半と後半の感じの違いについて話し合っ
て確認する。
・前半と後半の歌い方を工夫する。
リコーダーが加わる
にする。
○ピアノ伴奏を聴かせて,伴奏にも違いがあ
ることに気付くようにする。
◆前半と後半の曲想の違いを感じ取り,歌い
方を工夫している。
【イ 演奏聴取】
●4拍子の拍の流れにのり,歌とリコーダー
の旋律を重ねて演奏する。
・リコーダーの音色と旋律に注目して,指導
○4小節の旋律の繰り返しに気付くことがで
・後半のリコーダーパートの旋律を,拍の流
○休符を意識しながらフレーズを大切に歌う
用 CD や指導者の範奏を聴く。
れにのって階名唱(固定ド)する。
きるようにする。
ように促す。ハ長調の楽譜ではないため,
「ド
レミ」による音名唱(固定ド唱法)で代用
する。
・息の強さやタンギングに気をつけて,リコ
○息のつかい方やタンギングについて確認し,
・歌うグループとリコーダーのグループに分
○互いの旋律を聴き合いながら演奏するよう
ーダーで演奏する。
かれて,後半の旋律を重ねて演奏する。
・前半と後半の曲想の変化を意識して,歌と
リコーダーを合わせて演奏する。
丁寧に演奏するように助言する。
に,声をかける。
○聴くグループをつくって,旋律の重なりを
味わうようにしてもよい。
◆4拍子の拍の流れにのり,互いの旋律を聴
き合いながら,歌とリコーダーの旋律を重
ねて演奏している。
【ウ 演奏聴取】
53
展開例❶❷❸❹
題材名
題材の
ねらい
教材名
拍のながれにのろう
●拍の流れにのって,拍子を感じ取りながら表現したり聴いたりすることが
できるようにする。
●拍子にのって,きれいな音でリコーダーを演奏することができるようにす
る。
映画「アラジン」から 新しい世界
ゆ
かわ
ふ じ わ らよ し ぶ み
湯川れい子 日本語詞/アラン メンケン 作曲/藤原嘉文 編曲
学 習 目 標
4拍子のながれにのって,えんそうしたりきいたりしましょう。
楽曲について
1992年に公開されたディズニー映画「アラジン」の中の1曲。主人公のアラジン
とジャスミンが新しい世界を探そうと,魔法のじゅうたんに乗って大空を旅する場面
で歌われる曲で,アカデミー歌曲賞を受賞した。
教
材
性
■4拍子の拍の流れを感じ取る
・すでにこの曲を耳にしたことがある子どももいるはずである。拍の流れを感じ取っ
て,体を動かしながら聴く活動を進めたい。また,シンコペーションによる旋律の
流れから,じゅうたんに乗っている場面が想像しやすくなっている。リズムや拍子
を体で感じながら楽しく鑑賞する学習に適している。
■二重唱の響き
・男声と女声の二重唱になる部分では,2人の声の掛け合いを感じ取りながら,曲の
盛り上がりを楽しむことができる。
・男性と女性が歌っているので,主人公アラジンとジャスミンが歌っている様子を思
い浮かべやすい。
54
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
1
拍のながれにのろう
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●曲想を捉えて聴く。
・歌っている場面を想像しながら聴く。
○歌詞と歌声に関心をもって聴くようにする。
・再度,鑑賞用 CD を聴いて,話し合ったこ
〈例〉
・想像したことや気付いたことを話し合う。
とについて確かめる。
・音楽に合わせて体を動かしながら聴く。
・男声と女声の掛け合いに気をつけて聴く。
○気付いたことなどを整理して板書する。
男声・女声・いっしょに歌う
4拍子
気持ちがよい
○体の動きを通して,拍の流れを感じ取るこ
とができるように留意する。
○男声(アラジン)を聴くグループと女声(ジ
ャスミン)を聴くグループに分かれ,それ
ぞれの声が聴こえたら,挙手したり立ち上
がったりするようにしてもよい。
◆4拍子の拍の流れを感じ取り,男声と女声
の掛け合いのおもしろさに気付いて聴いて
いる。
【エ 行動観察・表情観察】
●楽曲全体にわたる曲想を味わって聴く。
・体を動かしたり,旋律を分担して口ずさん
だりしながら聴く。
・じゅうたんに乗って空を飛んでいる場面を
想像しながら,曲想を味わって聴く。
○2人の声が重なって曲が盛り上がるところ
では,心の中で歌って音楽を聴くようにす
る。
○学習カードなどを準備して,自分の驚きや
感動を紹介する言葉を書き込むようにして
もよい。
◆情景を想像しながら,声の美しさや,声が
重なって曲が盛り上がる気分を楽しんで聴
いている。
【エ 発言内容・行動観察・学習カード】
55
展開例❶❷❸❹
題材名
題材の
ねらい
教材名
拍のながれにのろう
●拍の流れにのって,拍子を感じ取りながら表現したり聴いたりすることが
できるようにする。
●拍子にのって,きれいな音でリコーダーを演奏することができるようにす
る。
坂 道
しか や
み
お
雨上がり
こ
鹿谷美緖子 作曲
さ
い たかあき
佐井孝彰 作曲
白い雲
そよ風
はら
石桁冬樹 作曲
ゆ
た
か
原 由多加 作曲
いしけたふゆ き
学 習 目 標
いろいろな拍子の曲をふきましょう。
楽曲について
_
_
ソ・ラ・シ・ド・レの5つの音で演奏することができる,リコーダーのためのオリ
ジナル練習曲群。これらの練習曲はいろいろな拍子でつくられているので,リコーダ
ーの演奏技能を伸ばしながら,拍や拍子に関する音楽体験を積み重ねることができる。
教
材
性
■「坂道」
_
・順次進行の旋律であるため,新出のドの音が出てきても無理なく演奏することがで
きる。
■「雨上がり」
_ _
・新出のレ・ド,ラの3つの音でつくられている。息の強さやタンギングにも気をつ
けながら,2拍子の拍の流れにのって,きれいな音色で演奏するのに適している。
■「白い雲」
_
・ソ〜レの5つの音でつくられており,6小節目まではほぼ順次進行になっている。
7・8小節は跳躍進行になっているため,段階的に運指の練習を進めることができ
る。これからいろいろな曲に挑戦していくための足掛かりとなる教材である。
■「そよ風」
・初めての二重奏の教材だが,輪奏のような形になっているため,簡単にアンサンブ
ルを楽しむことができる。また二重奏の活動を通して,友達の楽器の音や旋律にも
意識を向けることができる。
56
扱い
時数
2
拍のながれにのろう
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●学習内容
・学習活動
●2拍子の拍の流れにのり,音色に気をつけ
て演奏する。
_
_
・ドの運指を知り,運指を確認しながらドと
シの音でリズム奏をする。
にして,ドとシの音で指導者が即興的なリ
ズムで範奏し,それを模奏するようにする。
_
・
「坂道」を階名唱しながら,運指を確認する。
・
「坂道」を,一つ一つの音を丁寧にリコー
ダーで演奏する。
_
○教科書 P.16の練習1や2のリズムを参考
_
_
ドとシの指の動きを体験させたい。
○「トゥ」で歌いながら運指を確認してもよい。
○1フレーズ(4小節)を一息で吹けるように,
長い息のつかい方を意識するように促す。
・レ
_ の運指を知り,運指を確認しながらレと
○親指の動きを確認するように助言する。
・ラとドの音で,同様にリズム奏をする。
○人さし指の動きを意識させるとよい。
ドの音でリズム奏をする。
_
・「雨上がり」を階名唱しながら,運指を確
認する。
・2拍子の伴奏にのり,
「雨上がり」を演奏
する。
・4分の2拍子について知る。
◆ゆったりとした2拍子の気分を感じ取りな
_ _
がら,ドとレの音に合う息の強さやタンギ
ングの仕方を工夫している。
【イ 演奏聴取・行動観察】
●4拍子の気分を感じ取り,音色に気をつけ
てリコーダーで演奏する。
・
「白い雲」の範奏を聴く。
・「白い雲」を階名唱(固定ド)しながら,運
指を確認する。
・4拍子の拍の流れにのり,2小節をー息で
演奏する。
○ハ長調の楽譜ではないため,「ドレミ」に
よる音名唱(固定ド唱法)で代用する。
_ _
○シ→ソ,ラ→レ,レ→ソの跳躍音程の運指
を確認し,練習するようにする。
○息つぎの前の2分音符を丁寧に吹くように
助言する。
◆フレーズを意識し,自分の音をよく聴きな
がらきれいな音で演奏している。
【ウ 演奏聴取】
●3拍子の気分を感じ取り,音色に気をつけ
てリコーダーで演奏する。
・
「そよ風」の範奏を聴く。
・「そよ風」を階名唱(固定ド)して,リコー
ダー1の旋律の運指を確認する。
・3拍子の拍の流れにのり,リコーダー1の
○3拍子の気分を体で感じながら,旋律を覚
・リコーダー2の旋律を輪奏のように重ねて
○リコーダー2の旋律は,リコーダー1とほ
・4分の3拍子について知る。
◆3拍子の拍の流れにのり,互いの旋律を聴
旋律を演奏する。
演奏する。
えるまでじゅうぶんに練習する。
とんど同じであることに気付くようにする。
きながら演奏している。
【ウ 演奏聴取】
57
展開例❶❷❸❹
拍のながれにのろう
題材名
●拍の流れにのって,拍子を感じ取りながら表現したり聴いたりすることが
できるようにする。
●拍子にのって,きれいな音でリコーダーを演奏することができるようにす
る。
題材の
ねらい
せんりつづくり
教材名
学 習 目 標
おはやしのせんりつをつくってえんそうしましょう。
教材について
_
_
ラ・ド・レの3つの音と,あらかじめ決められたリズムを使って,リコーダーを吹
きながら自分の気に入ったお囃子の旋律をつくる教材である。
また,3年生から学習し始めたリコーダーや記譜に親しむという観点もある。
教
材
性
■3つの音での旋律づくり
_ _
・ラ・ド・レの3つの音を組み合わせるという簡単な旋律づくりである。あらかじめ
決められたリズムに音を当てはめればよいので,初めての旋律づくりに適した教材
である。
■記譜を活用する
・自分がつくった旋律を覚えていられるように記譜をすることは,旋律づくりにおい
て必要なことである。また,記譜を通して,読譜や2分音符,4分音符,4分休符,
ト音記号などの学習をすることもできる。
58
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
_
2
拍のながれにのろう
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
_
●拍の流れにのって,ラ・ド・レの3つの音
でドレミ遊びをする。
・指導者による階名の範唱を聴いて,階名模
唱する。
〈例〉 指導者
T 子ども
C
__
__
_
_
○指導者がラ・ド・レの3つの音でつくった
旋律を階名で歌い,それを子どもがまねる
ようにする。
ラド
_ _レ
_ (はい)→ ラド
_ _レ
_・
○拍の流れにのるために,クラベスなどで拍
打ちをしたり,4拍目で「はい」と掛け声
レ ド レ (はい)→ レ ド レ ・
を入れたりすると効果的である。
○模倣のステップ
T → C 全員
・指導者の範唱と異なる音で旋律をつくって
階名唱する。
T → C1→ T → C2→…
○創作のステップ
T → C 全員(一斉指導では各自の音を聴き
取れないが,必要なステップである。)
〈例〉
指導者
T 子ども
C
__
___
ラド
_ _レ
_ (はい)→ ド
_レ
_レ・
レ ド レ (はい)→ レ ド ラ・
T → C1→ T → C2→…(1人ずつ確実に答
・つくった3音の旋律をリレーしてつなぐ。
◆3つの音でつくる旋律づくりに関心をもち,
えられるようにする。)
T → C1→ C2→ C3→ C4→…
意欲的に取り組もうとしている。
【ア 表情観察・行動観察】
●お囃子の旋律をつくって,リコーダーで演
奏する。
・拍の流れにのり,
「せんりつをつくるリズム」
を手拍子で打つ。
_
・
「せんりつをつくるリズム」に,ラ・ド
・
_
レの3音を当てはめてつくり,それを階名
唱する。
・リコーダーで演奏して確かめる。
・学習カードに書き留める。
・学習カードに書き留めた旋律の中からいく
つか選び,音符や休符を使って五線に書き
写す。
○カタカナで書き込める学習カードを準備し,
リコーダーで演奏できた旋律を書き留めて
いくようにする。
_
_
_
_
ラ ド レ ド レ
○ト音記号や音符,休符の書き方を確認し,
一人一人点検する。
◆3つの音の組み合わせを工夫して,旋律を
つくっている。
【イ 演奏聴取・学習カード】
●お囃子の雰囲気を出して楽しんで演奏する。
・拍の流れにのって,一人一人がつくった旋
律をリコーダーでリレーする。
・和太鼓や小太鼓(響き線なし)でリズム伴
奏を加えて楽しむ。
◆自分がつくった旋律を,拍の流れにのって
リコーダーで演奏している。
【ウ 演奏聴取】
◆旋律のリレーにリズム伴奏を加えて,お囃
子の気分を楽しんで演奏しようとしている。
【ア 行動観察】
59
題 材 名
いろいろな音色をかんじとろう
扱い時数の
めやす
6
時間
題材のねらい
●いろいろな音の特徴や音色の違いを感じ取りながら,想像豊かに聴いたり思いや意図を
もって表現したりすることができるようにする。
●音の特徴や音色の違いを生かして,音色や音量のバランスに気をつけながら,イメージ
に合う音を表現することができるようにする。
題材の意図
この題材では,音楽を構成している音色を取り上げて,これを中心に表現と鑑賞の活動
を進めていきます。これまでに音色をテーマにした学習としては,身近な楽器や身の回り
の物を通して音色の違いを感じ取ったり,音の重ね方による響きの違いに気付いたりしな
がら,表現の仕方を工夫する活動を行ってきました。ここでは,そうした学習経験を踏ま
え,さらに響きの長短などの音の特徴を捉えて,イメージによる自由な音づくりを体験す
るようにします。また,それぞれの金管楽器がもっている固有の音の美しさも味わうよう
にします。
学習指導要領との関連
本書 P.12 参照
題材の評価規準例
ア 音楽への関心・意欲・態度
・楽器の音色や旋律の特徴を感じ取って聴いたり,音をつくって歌に入れて表現したり
する学習に進んで取り組もうとしている。
イ 音楽表現の創意工夫
・音の特徴を感じ取り,自分たちのイメージに合うように音の響きや組み合わせを工夫
している。
ウ 音楽表現の技能
・音の特徴などを生かして,自分たちのイメージに合った「まほうをかける音」を即興的に表
現したり,反復や変化などの音楽の仕組みを生かして,それらを音楽に構成したりしている。
エ 鑑賞の能力
・楽器の音色や旋律の反復などに気をつけて聴き,感じ取ったことを発表するなどして,
楽曲の特徴や演奏のよさに気付いて聴いている。
62
いろいろな音色をかんじとろう
本題材における学習の深まり
扱い
時数
2
時間
トランペットとホルンのひびきに親しみましょう。
トランペットふきの休日/アレグロ
鑑賞
金管楽器の中からトランペットとホルンを取り上げて鑑賞します。旋律が繰り
返される様子に気をつけて聴くようにするとともに,それぞれの楽器の響きに親
しみながら,
楽器のもつ固有の音の美しさや音色の違いを感じ取るようにします。
楽器の形や演奏の仕方などにも着目し,似ているところや違うところに気付くな
どして,興味深く鑑賞できるように進めましょう。また,教科書巻末の鑑賞資料
も活用して,興味・関心を高めるようにするとよいでしょう。
扱い
時数
3
時間
場面に合う音を入れて歌いましょう。
おかしのすきな まほう使い
歌唱
器楽
音楽づくり
親しみのある歌詞の内容なので様子を思い浮かべやすく,楽しんで歌うことが
できます。次の教材と関連させ,歌詞の内容から思い浮かべた様子やイメージを
もとに,音を探したり音を組み合わせたりして,「まほうをかける音」をつくり
ます。そして,つくった「まほうをかける音」を歌に入れて楽しみます。
扱い
時数
1
時間
音のとくちょうをかんじとりましょう。
音づくり
器楽
音楽づくり
音楽室にある楽器の音色を聴き比べることにより,音の長短,高低などを感じ
取るようにします。同じ楽器でも,持ち方や楽器の鳴らし方を変えるとさまざま
な音が出ることを感じ取って,自分たちの「まほうをかける音」づくりに生かす
ようにします。
また「チャレンジ!」として,音楽の仕組みを生かしながら,「まほうをかける
音」を「まほう使いのお話」の音楽づくりへと発展させることができます。
63
展開例❶❷
題材名
題材の
ねらい
教材名
いろいろな音色をかんじとろう
●いろいろな音の特徴や音色の違いを感じ取りながら,想像豊かに聴いたり
思いや意図をもって表現したりすることができるようにする。
●音の特徴や音色の違いを生かして,音色や音量のバランスに気をつけなが
ら,イメージに合う音を表現することができるようにする。
トランペットふきの休日
アンダソン 作曲
アレグロ
モーツァルト 作曲
学 習 目 標
トランペットとホルンのひびきに親しみましょう。
楽曲について
トランペットとホルンの音色を比較鑑賞するための教材群。
「トランペットふきの休日」
アメリカの作曲家ルロイ アンダソン(1908〜1975)の作品。トランペット吹
きの若者が,仕事から解放された休日に,心ゆくまでトランペットを楽しんで吹い
ている様子が描かれている。
「アレグロ」
オーストリアの作曲家モーツァルト(1756〜1791)の作品。ホルンもしくは
バセットホルンのためにつくられたと思われる「12の二重奏曲」の第8曲。
教
材
性
■聴き比べによって音色の違いを感じ取る
・トランペットとホルンの音楽を聴き比べることにより,それぞれの楽器の音色や響
きの違いを感じ取ることができる。
■トランペットの音色の味わい
・
「トランペットふきの休日」の曲の特徴は,3本のトランペットによる美しい響きと,
軽快で歯切れのよい旋律にある。主な旋律を口ずさんだり,演奏のまねをしたりし
ながら聴き,旋律に親しみながらトランペットの音色を味わって聴くことができる。
■ホルンの音色の味わい
・
「アレグロ」はホルン2本で演奏され,柔らかい音色を楽しめる楽曲である。楽器
の大きさや演奏の仕方,音色などをトランペットと比べて鑑賞することができる。
64
●学習内容
・学習活動
●トランペットとホルンの形や音色の違いに
関心をもつ。
・
「トランペットふきの休日」と「アレグロ」
の冒頭部分を聴く。
・気付いたことや感じたことを発表する。
・教科書の写真を見て,それぞれの楽器の違
いを知る。
・再度,音楽の冒頭部分を聴く。
●旋律の繰り返しに気をつけて音楽を聴き,
トランペットの音色を感じ取る。
・「トランペットふきの休日」の冒頭8小節
の旋律を口ずさむ。
・全曲を通して聴き,主な旋律が聴こえたと
ころで挙手をする。
・気付いたことを話し合う。
・友達の発言を確かめて聴く。
●旋律の繰り返しに気をつけて音楽を聴き,
ホルンの音色を感じ取る。
・
「アレグロ」の主な旋律を口ずさむ。
・全曲を通して聴き,主な旋律が聴こえたと
ころで挙手をする。
・気付いたことを話し合う。
・友達の発言を確かめて聴く。
●トランペットとホルンの音色を楽しんで聴
く。
・トランペットとホルンの音色や楽器の構え
方の違いを確認する。
・
「トランペットふきの休日」と「アレグロ」
を全曲を通して聴く。
扱い
時数
2
いろいろな音色をかんじとろう
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
○教科書の写真を見せずに,音に集中して聴
くようにする。
○発表の内容を板書する。
(例 音の高さが
違う,華やかな音と柔らかい音 など)
○管の長さや形,楽器の構え方などに注目し
て,違いに気付くようにする。
◆トランペットとホルンの形や音色の違いに
関心をもち,耳を澄まして聴こうとしている。
【ア 発言内容・行動観察】
○冒頭の主な旋律を口ずさんで,旋律や楽器
の音色の変化を感じ取る手がかりとする。
○挙手させることで,主な旋律を聴き取って
いることを見取る。
○主な旋律が6回出てきたことや,主な旋律
以外の部分でもトランペットが演奏されて
いることに気がつくようにする。
○主な旋律は,リズムを変えたり楽器を変え
たりして繰り返されていることに気付くよ
うにする。
◆主な旋律を手がかりにして,トランペット
の華やかな響きを感じ取って聴いている。
【エ 発言内容・観察行動】
○旋律やホルンの音色の変化を感じ取る手が
かりとして,冒頭の主な旋律を口ずさめる
ようにする。
○挙手させることで,主な旋律の繰り返しに
気付いていることを見取る。
○もう1つの旋律が繰り返されることや,強
弱の変化などの気付きを板書する。
◆旋律の繰り返しやホルンの音色の変化に気
をつけて聴いている。
【エ 発言内容・行動観察】
○教科書の説明文を参考にして,楽器の構え
方や音色の違いを整理する。
◆楽器を演奏するまねをしたり,拍の流れに
のって体を動かしたりしながら,楽しんで
聴いている。
【エ 行動観察・表情観察】
65
展開例❶❷
題材名
題材の
ねらい
教材名
いろいろな音色をかんじとろう
●いろいろな音の特徴や音色の違いを感じ取りながら,想像豊かに聴いたり
思いや意図をもって表現したりすることができるようにする。
●音の特徴や音色の違いを生かして,音色や音量のバランスに気をつけなが
ら,イメージに合う音を表現することができるようにする。
おかしのすきな まほう使い・音づくり
あ き
ば
よ
お おく ま た か
こ
秋葉てる代 作詞/大熊崇子 作曲
学 習 目 標
場面に合う音を入れて歌いましょう。
音のとくちょうをかんじとりましょう。
楽曲について
音楽づくりを目的としたオリジナル曲。魔法使いのユーモラスな様子が,歌と朗読
によって描かれている。朗読の中にある魔法をかける場面で,つくった音を鳴らすこ
とができる。曲は A(a4+b4) + B(c4+c’4) の二部形式を基本としている。
教
材
性
■さまざまな楽器の音の特徴を感じ取る
・まずは,いろいろな身近な楽器を鳴らして音色が違うことに感じ取らせたい。さら
に,同じ楽器でも打つ位置やマレットを変えると,まったく違った音を出すことが
できることに気付かせ,楽器からさまざまな音が出ることを感じ取らせることがで
きる。
■イメージに合った音を即興的に表現する
・楽器の音色の特徴を「長さ」
「音の高さ」といった視点からも捉えて,音を組み合わ
せたり重ねたりして,イメージに合った音を即興的に表現していくようにする。こ
の学習によって「音を聴こうとする態度」を育てることができる。
■総合的に楽しむ音楽表現
・
「おかしのすきな まほう使い」では,自分たちがつくった音以外に,ナレーション
やせりふも入れて音楽表現を楽しむことができる。そこには,歌唱や器楽の活動だ
けでは味わえない楽しさがある。友達と役割を決めて協力し,クラスの音楽をつく
らせたい。
66
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
4
いろいろな音色をかんじとろう
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●曲の感じをつかむ。
(おかしのすきな まほう使い)
・歌詞を読んで様子を思い浮かべる。
・歌詞の様子を思い浮かべながら指導用 CD
○歌詞の拡大コピーを掲示して読むようにす
る。教科書の挿絵も拡大コピーして板書す
ると,より様子を思い浮かべやすくなる。
を聴く。
・範唱を聴き,フレーズごとに歌う。
・リズムや音程に気をつけて歌う。
・ナレーションやせりふを入れて歌う。
○場面を想像しながら楽しんで歌うようにす
る。
◆歌詞の内容や曲想にふさわしい歌い方を工
夫している。
【イ 演奏聴取・行動観察】
●いろいろな楽器を鳴らして,さまざまな音
の出し方を工夫する。
(音づくり)
・トライアングルとカスタネットの音を聴き
比べる。
○教科書 P.28を参考にする。
○響きの長さを線や点で板書して,響きの長
短や音色の違いを感じ取れるようにする。
・トライアングルの持ち方や打つ位置を変え
○持ち方や打つ位置を変えると,響きの長さ
・身近にある楽器の持ち方や鳴らし方を変え
○楽器の種類(木の仲間,金属の仲間,皮が
て出した音を聴く。
て音を確かめる。
や音色が変わることに気付くようにする。
張ってある仲間など)ごとのコーナーに分
けて置き,興味をもったコーナーで音を確
かめられるようにする。
・工夫した音や気に入った音を発表する。
○マレットを変えることによっても音が変わ
・分かったことや感じたこと,気に入った音
◆音の出し方を工夫して,さまざまな音を探
・友達が工夫した音を自分も確かめる。
などをワークシートに記入する。
ることを感じ取らせるようにする。
したり聴き比べたりしている。
【イ 行動観察・発言内容・ワークシート】
●音の組み合わせを工夫して「まほうをかけ
る音」をつくる。
・グループに分かれ,
「まほうをかける音」
に合う楽器を選ぶ。
○音の重なりを考えて,グループは3〜5人
で構成するとよい。
○「まほうをかける音」にふさわしい音を探
し,楽器の音の「高さ」「長さ」「強さ」な
どの違いを生かして,音を組み合わせてい
くようにする。
67
展開例❶❷
・選んだ音を重ねたり,順番を変えたりして
「まほうをかける音」をつくる。
○音を重ねたり鳴らすタイミングをずらした
りして,どの音とどの音が合うか,または,
単独で鳴らしたほうがよいかなど,音を実
際に出しながらつくっていくようにする。
◆自分たちの感じ方を生かし,音の出し方や
組み合わせ方を工夫して,音づくりをして
いる。
【イ 行動観察・演奏聴取】
●グループでつくった「まほうをかける音」
を発表し,友達の工夫のよさに気付く。
(おかしのすきな まほう使い)
・前時に学習した音を出す順番や重ね方を確
認して練習する。
・音色や音の組み合わせに気をつけて発表し,
互いに聴き合う。
・友達の発表を聴いて,よかったことを話し
合う。
○音の出し方や,音を出す順番を確認して,
自分たちのイメージに合った「まほうをか
ける音」を発表するようにする。
○友達の発表を聴いて,自分たちと似ている
ところや違うところを感じ取り,互いの工
夫のよさを認め合うようにする。
◆音の出し方や組み合せ方などを工夫して,
「まほうかける音」をつくって表現している。
【ウ 演奏聴取】
●つくった音を入れて,音楽表現を楽しむ。
・ナレーションやせりふを言う担当を決める。
○活動を記録するために,ビデオなどで撮影
・曲全体を通して歌う。
◆つくった音やナレーションを加えて,表現
・「まほうをかける音」
を鳴らす順番を決める。
してもよい。
することを楽しんでいる。
【ア 演奏聴取・表情観察・行動観察】
●「まほうつかいのお話」に合う音楽をつく
って楽しむ。
(音づくり)
・
「おかしのすきな まほう使い」の歌詞や朗
○「○○○のすきな まほう使い」を考え,
・つくった「まほうをかける音」をもとにし
○教科書 P.29の鳥の吹き出しを参考にして,
読を参考にして,簡単なお話を考える。
て,お話のイメージに合う音楽をつくる。
魔法をかけることに成功したときと失敗し
たときの場面を考えるようにするとよい。
つくった「まほうをかける音」を工夫する
ように促す。
◆つくった音を繰り返したり変化させたりし
て,お話に合う音楽をつくっている。
【ウ 演奏聴取】
68
題 材 名
せんりつのとくちょうをかんじとろう
扱い時数の
めやす
8
時間
題材のねらい
●旋律の特徴を感じ取りながら,想像豊かに聴いたり思いや意図をもって表現したりする
ことができるようにする。
●旋律の特徴を生かして,曲想にふさわしい表現の仕方を工夫しながら演奏することがで
きるようにする。
題材の意図
この題材では,曲想を決定付けている最も重要な要素の一つである旋律に着目し,その
特徴を感じ取ったり,それによって生まれる曲想を捉えたりしながら,表現や鑑賞の活動
を進めていきます。低学年から育ててきた音楽に対する感性を高めるために,中学年では
より具体的に旋律の音の動きやリズムに注目しながら曲想を感じ取り,それにふさわしい
表情豊かな表現の仕方を工夫していくようにします。
学習指導要領との関連
本書 P.12 参照
題材の評価規準例
ア 音楽への関心・意欲・態度
・旋律の特徴を捉えて,楽曲全体にわたる曲想とその変化を感じ取って聴いたり表現に
生かしたりする学習に進んで取り組もうとしている。
イ 音楽表現の創意工夫
・旋律の特徴を感じ取り,曲の山などを生かした表現を工夫するなど,自分の思いや意
図をもって歌い方や楽器の演奏の仕方を工夫している。
ウ 音楽表現の技能
・旋律の特徴や曲想の変化にふさわしい表現で,歌ったり楽器を演奏したりしている。
エ 鑑賞の能力
・旋律の音の動きやリズムに気をつけて聴き,そこから感じ取った曲想とその変化を発
表するなどして,楽曲の特徴や演奏のよさに気付いて聴いている。
72
せんりつのとくちょうをかんじとろう
本題材における学習の深まり
扱い
時数
1
時間
せんりつの音の動きやリズムに気をつけながらききましょう。
メヌエット
鑑賞
穏やかで温かみのある旋律で親しまれているベートーベンの曲を,ここではバ
イオリンの小品として取り上げています。
ア ➡ イ ➡ ア という曲の構成を旋律の音の動きやリズムから感じ取ったり,滑
らかで流れるような ア の部分と軽やかではずむような イ の部分のそれぞれの特
徴を体で感じ取ったりしながら,踊りの音楽の気分を味わって鑑賞します。
扱い
時数
2
時間
せんりつの音の動きやリズムに気をつけながらふきましょう。
山のポルカ
歌唱
器楽
ア の部分は2年生で学習していますが,リコーダーでの演奏は新たな学習意
欲を呼び起こします。さらに, イ の部分が加わり,それぞれの旋律の特徴を感
じ取りながら演奏の仕方を工夫していきます。新しく覚えるリコーダーのファと
ミの運指では,初めて右手を使います。練習時間を確保してリコーダーの演奏に
対する子どもたちの期待をさらに広げましょう。
また階名唱をじゅうぶんに行うことで, イ の部分では合唱の体験をすること
も可能です。
扱い
時数
2
時間
曲の山をかんじとって歌いましょう。
一人の手
歌唱
旋律の音の動きを感じ取って「曲の山」を探っていきます。曲の山に合わせて
強弱の変化などを工夫することで,自分が感じた思いや意図を表現に生かすこと
ができます。また,のびのある美しい声で歌うためには,響きのある声の出し方
を工夫することが大切です。心温まる歌詞を味わうとともに,自分の歌声に気を
つけて歌うようにしましょう。
扱い
時数
3
時間
せんりつのかんじを生かしてえんそうしましょう。
ゆかいな木琴・リズムばんそうづくり
歌唱
器楽
音楽づくり
軽快ではずむような旋律の特徴を生かして演奏の工夫をするなど,楽しく合奏
の活動を進めます。楽器の選択,各パートの音量のバランスなどについて,グル
ープや学級全体で話し合い,自分の役割をじゅうぶん理解しながら,曲想を生か
した合奏をつくり上げましょう。また,旋律の特徴がより生きるように,打楽器
のリズム伴奏を工夫することもできます。
73
展開例❶❷❸❹
題材名
題材の
ねらい
教材名
せんりつのとくちょうをかんじとろう
●旋律の特徴を感じ取りながら,想像豊かに聴いたり思いや意図をもって表
現したりすることができるようにする。
●旋律の特徴を生かして,曲想にふさわしい表現の仕方を工夫しながら演奏
することができるようにする。
メヌエット
ベートーベン 作曲
学 習 目 標
せんりつの音の動きやリズムに気をつけながらききましょう。
楽曲について
ドイツの作曲家ベートーベン(1770 〜 1827)の作品。1796 年にウィーンで出版
された「ピアノのための6つのメヌエット 第2部」の第2曲ト長調である。古くから
バイオリンとピアノのための編曲版が親しまれているが,編曲の経緯は不明である。
メヌエットとは,フランスに起源をもつ3拍子の舞曲である。
教
材
性
■旋律の特徴の感じ取りやすさ
・滑らかで流れるような ア の部分では,バイオリンの美しい音色を感じ取りやすい。
・ イ の部分になると,軽やかではずむような旋律に転じ,曲想が大きく変わったこ
とを実感することができる。
・再び ア の旋律が現れると, イ の部分と比べることにより, ア の旋律の滑らかさな
どの特徴をさらに感じることができるとともに, ア → イ → ア で構成された曲の全
体像をしっかりと捉えることができる。
■体の動きや言葉で表す活動を通して
・3拍子のリズムを感じながら体を動かしたくなる旋律である。 ア と イ の部分で自
然に動きが変わってくることを,子どもの気付きや動きの工夫などとして紹介しな
がら, ア → イ → ア という楽曲の構成を確かめていくことができる。
・子どもたちは, ア の部分に「滑らかな」「すべってるみたい」, イ の部分に「うきう
き」
「ぴょんぴょん」などの言葉を使って,旋律の特徴を表現することが予想される。
このようなつぶやきをもとに,音を言葉で表すなどして,楽曲の特徴や演奏のよさ
に気付いていけるようにしたい。
74
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
1
せんりつのとくちょうをかんじとろう
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●旋律の特徴を感じ取る。
・自由に様子を想像しながら,全体を通して
聴く。
・ ア の旋律を口ずさんで聴く。
・ イ の旋律になるところで挙手する。
・ イ の旋律を口ずさんで聴く。
○自由に様子を想像しながら聴くようにする。
メヌエットは3拍子の踊りの音楽であるこ
とをあらかじめ伝えてから聴いてもよい。
○教科書の絵譜を参考にしながら聴くとよい。
○適宜, ア と イ の部分を取り出して,CD を
再生するようにする。
・ ア と イ の旋律の感じの違いについて,感
○ ア と イ の旋律に分けて,子どもたちの感
・感じ取ったことの理由を音楽を聴いて確か
○教科書 P.33のようなワークシート(本書
じ取ったことを話し合う。
め,ワークシートに記入する。
想を整理しながら板書する。
P.166参照)を準備して,まとめていくよ
うにする。
●楽曲の構成に気をつけて聴く。
・ ア と イ の旋律の特徴に合った体の動きを
○3拍子の気分やリズムの特徴の違いを感じ
・旋律の特徴の違いから, ア → イ → ア とい
〈例〉
工夫しながら音楽を聴く。
う構成になっていることを確かめて,音楽
を聴く。
取って体を動かしている子どもの動きを紹
介する。
ア …滑らかで流れるような感じ
イ …はずむような感じ
◆旋律の特徴や,それが生み出す曲想とその
変化を感じ取って聴く学習に進んで取り組
もうとしている。
【ア 行動観察・発言内容・ワークシート】
●バイオリンの音色の美しさを味わう。
・バイオリンの音色の美しさを味わって聴く。
・曲想の変化に気をつけながら,楽器を演奏
するまねをして聴く。
○教科書の写真や DVD などの視聴覚資料を
参考にする。
○ ア と イ の部分の演奏の仕方の違いに気付き,
それぞれの美しさを味わえるように助言す
る。
◆旋律の特徴に気をつけて聴き,楽器を演奏
するまねをするなどして,楽曲の構成に気
付いて聴いている。
【エ 行動観察】
75
展開例❶❷❸❹
題材名
題材の
ねらい
教材名
せんりつのとくちょうをかんじとろう
●旋律の特徴を感じ取りながら,想像豊かに聴いたり思いや意図をもって表
現したりすることができるようにする。
●旋律の特徴を生かして,曲想にふさわしい表現の仕方を工夫しながら演奏
することができるようにする。
山のポルカ
おか
べ
よ しひ こ
チェコ民謡/岡部栄彦 編曲
学 習 目 標
せんりつの音の動きやリズムに気をつけながらふきましょう。
楽曲について
日本でもよく知られたチェコ民謡。A(a8+a’8) + B(b8+b’8) + A(a8+a’8) の三部
形式。 ア の部分は斉奏, イ の部分は二部合奏に編曲されている。軽快なリズムが楽
二部合奏のハーモニーが美しい イ の部分の対比を感じて演奏したい。
しい ア の部分と,
教
材
性
■旋律の特徴がはっきりとした ア → イ → ア の構成
・軽やかではずむような ア の部分では,8分音符の細かな動きを生かし,はっきり
したタンギングで歯切れのよい演奏をする活動に適している。
・ イ の部分は4分音符と2分音符からなる滑らかで流れるような旋律になり,曲想
の変化を味わうことができる。たっぷりとした呼吸で,フレーズを味わいながら演
奏させたい。
・鑑賞曲「メヌエット」と同じ ア → イ → ア という構成だが,それぞれの旋律の特徴が
異なっていることにも気付かせていきたい。
■リコーダーの新出運指の扱い
・ ア の部分は2年生で学習した旋律のため,階名視唱に取り組みやすい。楽譜と階
名の関係を確かめながら繰り返し階名唱をして,リコーダーの新出運指ファ・ミを
身につけることができる。
・ イ の②のパートは,ミやファの音が連続している。繰り返し練習して,新しい運指
をしっかり身につけられるようにしたい。個人差により音によっては,きちんと穴
をふさぐことが難しい子どももいる。じゅうぶんに時間をかけ,指先の腹で優しく
穴をふさぐことができるよう指導することが大切である。
76
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
2
せんりつのとくちょうをかんじとろう
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●旋律の特徴を感じ取り,楽曲の構成に気付
く。
・指導用 CD の範奏を聴き,感じたことを発
表し合う。
・ ア → イ → ア のそれぞれの特徴を言葉や体
の動きなどで表し,楽曲の構成に気付く。
○旋律の特徴や曲の構成について気付いたこ
とを整理して板書する。
◆旋律の特徴を言葉や体の動きで表し,楽曲
の構成を進んで捉えようとしている。
【ア 発言内容・行動観察】
●運指や音色に気をつけて, イ の旋律をリ
コーダーで演奏する。
・ イ の①と②のパートをそれぞれ階名唱する。
・①と②のパートを重ねて階名唱し,合唱の
体験をする。
○リコーダーの演奏に入る前に,指導者の範
唱に合わせて階名模唱することから始める。
・リコーダーのファとミの運指を知る。
○指先の腹の部分で優しく穴をふさぐことが
・ イ の②のパートをリコーダーで練習する。
○ゆっくりとした速度で行う。
できているか,一人一人確かめる。
○息の強さを意識することができるように,
「温かい息で吹きましょう。」などと声をか
ける。
・息の強さや運指に気をつけて, イ の①の
○子どもどうしでそれぞれの演奏を聴き合い,
・ イ の①と②のパートを合わせて演奏する。
◆運指や息の強さ,タンギングに気をつけて,
パートを練習する。
運指を確かめながら練習するとよい。
イ の旋律をリコーダーで演奏している。
【ウ 演奏聴取】
●旋律の音の動きや曲のまとまりを感じなが
ら,リコーダーの演奏の仕方を工夫する。
・8分音符の細かな動きやタンギングの仕方
○ ア と イ のそれぞれの部分の感じに合わせて,
・息つぎの前の音を丁寧に吹いたり4小節を
○休符やブレス記号の位置を確認し,フレー
を工夫して, ア の旋律を演奏する。
一息で吹いたりすることに気をつけて,
イ の旋律を演奏する。
・2つのグループに分かれて, イ の①と②
のパートを分担し,全体を通して演奏する。
タンギングの仕方を工夫する。
ズを意識するようにする。
○ イ の①と②のパートを交替して,どちら
も経験できるようにする。
◆ ア と イ の旋律の特徴を捉えて,リコーダ
ーの演奏の仕方を工夫している。
【イ 演奏聴取・行動観察】
77
展開例❶❷❸❹
題材名
題材の
ねらい
教材名
せんりつのとくちょうをかんじとろう
●旋律の特徴を感じ取りながら,想像豊かに聴いたり思いや意図をもって表
現したりすることができるようにする。
●旋律の特徴を生かして,曲想にふさわしい表現の仕方を工夫しながら演奏
することができるようにする。
一人の手
ほ ん
だ
る
つ
こ
い いぬ ま の ぶ よ し
本田路津子 日本語詞/ピート シーガー 作曲/飯沼信義 編曲
学 習 目 標
曲の山をかんじとって歌いましょう。
楽曲について
原曲は「One Man’s Hands」というタイトルのアメリカのフォークソング。日本
語の歌詞も原曲の内容に沿ったもので,多くの人が協力すれば大きな力を得ることが
できると呼びかけている。日本でも TV 放送などで広く知られた曲であるが,原曲と
は異なる節回しで歌われることも少なくない。a8+b9の一部形式。
教
材
性
■旋律の音の動きで曲の山を自然に感じ取る
_
・この曲は,ド〜ドまでの1オクターブの中で旋律が動いている。ドから始まった音
_
の高さが徐々に高くなり,3フレーズ目で最高音のドが連続して演奏されたのち,
曲の終わりのドの音まで徐々に下がっていくため,曲全体で旋律がなだらかな山の
形を描いていることを自然に感じ取ることができる。
■歌詞から曲の山を感じ取る
・5節まである歌詞は,2フレーズ目までは1人の弱さやつらさを表し,3フレーズ
目からはみんなの力があれば,それを乗り越えられるという内容である。旋律の音
の動きがもたらす曲の山を,より明確に感じる手助けになっている。
・3フレーズ目は8分音符1つに言葉が2つ当てられており,今までよりも歯切れよ
く歌うことが必要になるので,他のフレーズとの特徴の違いを感じ取りやすい。
■旋律の動きに合わせた歌い方の工夫
・旋律の音の動きに合わせて強さを工夫することで,曲の山を意識して歌うことがで
きる。
・1人が考えた表現の工夫をみんなで表現してみることで,その工夫の意図が伝わっ
たり,曲の山がより明確に表現できたりする。
78
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
2
せんりつのとくちょうをかんじとろう
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●歌詞や旋律の特徴を感じ取る。
・歌詞を音読する。
○前半と後半の歌詞の内容の違いに気付くよ
・指導用 CD の範唱を聴く。
○気持ちがいちばん盛り上がるところに気を
・気持ちの盛り上がりに気をつけて歌う。
●曲の山を感じ取る。
・体の動きを取り入れて階名唱をし,旋律の
音の動きを捉える。
うにする。
つけて聴くようにし,盛り上がったと感じ
たところで手を挙げるようにする。
○階名唱に合わせて手を上下させるなど,体
の動きを取り入れて,視覚的,感覚的に旋
律の音の動きをつかむようにする。
・音符を線で結び,旋律の音の動きを調べる。
○楽譜を拡大コピーしたものを掲示し,線で
・タイについて知る。
○タイが使われている部分を,音の長さやリ
・教科書のコラムを読み,どこが曲の山か話
○適宜,指導用 CD を聴き直したり階名唱し
し合う。
結びながら旋律線の形をみんなで確認する
ようにする。
ズムに気をつけながら実際に歌って確かめ
るようにする。
たりして,旋律の動きの特徴を確認できる
ようにする。
◆旋律の音の動きに気をつけて歌ったり範唱
を聴いたりして,進んで曲の山を捉えよう
としている。
【ア 演奏観察・行動観察・発言内容】
●旋律の動きや曲の山に合った歌い方を工夫
する。
・曲の山を表すための歌い方について話し合
う。
・曲の山を意識して,強さを工夫して歌う。
・歌うグループと聴くグループに分かれ,互
いに演奏を聴き合う。
○曲の山を強く歌ったり,曲の山に向けてだ
んだん強くしていったりするなどの工夫を,
子どもたちの話し合いの中から導き出す。
○1,2フレーズ目は声をよく響かせるよう
にして,のびのある声で歌う。
○3フレーズ目は8分音符1つに言葉が2つ
当てられているので,歯切れよく歌うよう
にする。
○4フレーズ目は音が下行している。中低音
域でも豊かな響きを大切にして歌う。
◆旋律の音の動きを捉えて強弱を工夫し,曲
の山を意識した表現で歌っている。
【ウ 演奏聴取】
79
展開例❶❷❸❹
題材名
題材の
ねらい
教材名
せんりつのとくちょうをかんじとろう
●旋律の特徴を感じ取りながら,想像豊かに聴いたり思いや意図をもって表
現したりすることができるようにする。
●旋律の特徴を生かして,曲想にふさわしい表現の仕方を工夫しながら演奏
することができるようにする。
ゆかいな木琴(リズムばんそうづくり)
こ ばやしじゅん い ち
は ら
ゆ
た
か
小 林 純 一 作詞/作曲者不明/原 由多加 編曲
学 習 目 標
せんりつのかんじを生かしてえんそうしましょう。
楽曲について
主旋律に副次的旋律と低音を加え,易しい合奏の教材として編曲されている。リズ
ム伴奏づくりの活動によって,合奏をさらに充実させることができる。A(a4+a’4) +
B(b4+a’’4) の二部形式。
“ こざるがこざるが ” “ まるきのまるきの ”“ ゆかいなゆかいな ” の各音型が少しずつ
異なっており,簡素な構成の中にも音楽的な展開を感じさせる。
教
材
性
■似た音型の繰り返し
・旋律のほとんどが8分音符でつくられ,音型も似ているという特徴をもつため,ハ
長調の楽譜の視唱や視奏に適している。また,1オクターブの音域でつくられてい
るので,階名唱にも取り組みやすい。
・全体的に似た感じの音型が続くため,小さな変化でも旋律の特徴として感じ取るこ
とができる。例えば,3フレーズ目のエコーの部分は,他にない特徴として子ども
たちの耳に残るだろう。
■既習の技能を生かした楽しい合奏の工夫が可能
_
・リコーダーのパートはソ〜ドの4音でつくられているため,左手のみの運指で演奏
が可能である。これまでの経験を生かすことができる。
・低音パートでは,加線を使った低いソも使われているが,ドとソの2音だけなので,
演奏に無理が生じることはない。
・主旋律の一部分をタイトルにもある木琴で演奏すると,音色とともにゆかいな感じ
を表現することができる。
■合唱奏の楽しみ
・旋律の感じやリズムの特徴を生かし,各パートがそれぞれの音を生かすためのバラ
ンスを考えて工夫しながら,合唱奏をする楽しみを味わうことができる。
・歌詞の特徴から3フレーズ目の強弱を工夫したり,8分音符の歌い方を工夫したり
するなど,拍の流れの中でたくさんの工夫を試みることができる。
80
●学習内容
・学習活動
●曲の感じをつかむ。
・指導用 CD を聴いたり歌詞を音読したりする。
・様子を思い浮かべながら歌詞唱をする。
●拍の流れにのって,主旋律を楽器で演奏する。
・鍵盤楽器1のパートの階名唱をする。
・鍵盤楽器1のパートを鍵盤ハーモニカで演
奏する。
・木琴で■の部分を演奏する。
・鍵盤楽器1のパートを鍵盤ハーモニカと木
琴で合わせて演奏する。
●拍の流れや運指に気をつけて,副次的な旋
律や低音のパートを楽器で演奏する。
・リコーダーのパートを階名唱する。
・リコーダーのパートを演奏する。
・鍵盤楽器2のパートをオルガンで演奏する。
●合奏の表現を工夫する。
・グループに分かれ,担当する楽器を選ぶ。
・拍の流れにのって,合奏の練習をする。
・3フレーズ目の強弱を工夫する。
・リズム伴奏をつくって演奏する。
・グループごとに発表して,聴き合う。
扱い
時数
3
せんりつのとくちょうをかんじとろう
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
○動物のゆかいな様子を感じ取り,楽しく歌
えるようにする。
◆動物の様子を表す歌詞の気分を感じ取って,
楽しく歌おうとしている。
【ア 表情観察・演奏聴取】
○2小節ごとに階名で分担唱することで,負
担を少なくするとよい。また,似た旋律や
リズムの繰り返しなどに気付くようにする。
○フレーズの始めのポジションや指またぎな
どの運指について確認しておくようにする。
○最初に,マレットの持ち方や打ち方を説明
し,はずむような音色で範奏する。
◆拍の流れにのって,主旋律を鍵盤ハーモニ
カや木琴で演奏している。
【ウ 演奏聴取】
○4小節を一息で歌うように促す。
○タンギングに気をつけ,フレーズごとの息
つぎを心がけるように促す。
○拍の流れや運指,ポジションに留意するよ
うに助言する。(教科書 P.38の図参照)
◆拍の流れにのって,副次的な旋律や低音の
パートを演奏している。
【ウ 演奏聴取】
○10名程度のグループをつくり,音量のバ
ランスに配慮することを伝えたうえで,可
能な限り子どもたちの希望に沿ってパート
や楽器を選べるようにする。
○各パートの役割を理解させながら,全体の
バランスにも意識を向けるようにする。
○始めの2小節を弱,次の2小節を強とした
り,1小節ごとに強 ・ 弱 ・ 強 ・ 弱としたり
することが考えられる。
○楽器の音色や組み合わせを考えるように助
言する。また,3フレーズ目のリズムに変
化をつけるように促す。
○2拍子の拍の流れにのり,旋律やリズムの
特徴を生かした合奏になっているかを聴き
合って確かめるようにする。
◆旋律やリズムの特徴を感じ取り,各パート
が生きるような音量のバランスを考えたり,
リズムや強弱の表現を工夫したりしている。
【イ 演奏聴取・行動観察】
81
題 材 名
音の重なりをかんじとろう
扱い時数の
めやす
9
時間
題材のねらい
●旋律や音が重なり合う響きを感じ取りながら,思いや意図をもって表現したり想像豊か
に聴いたりすることができるようにする。
●互いの歌声や楽器の音を聴き合いながら,気持ちを合わせて演奏することができるよう
にする。
題材の意図
歌ったり楽器を演奏したりする活動は,互いの歌声や楽器の音を合わせることによって,
さらにその楽しみを膨らませていくことができます。この題材では,これまでの活動を通
して身につけてきた,自分や友達の歌声,あるいは楽器の音を聴き合いながら,みんなで
合わせて演奏することができる能力をさらに伸ばして,旋律や音が重なり合うきれいな響
きを味わうことができるように学習を進めていきます。学習を展開していくに当たっては,
互いの歌声や楽器の音を聴き合うとともに,拍の流れを感じ取ったり,みんなの気持ちを
合わせたりすることを常に心がけるようにしましょう。
歌唱教材でオスティナートによる二部合唱の旋律の重なり合いを感じ取り,鑑賞教材で
その経験を生かして旋律の重なり合うおもしろさを味わうようにします。また,器楽教材
では,より豊かな響きの合奏になるように演奏の仕方を工夫するようにします。
学習指導要領との関連
本書 P.12 参照
題材の評価規準例
ア 音楽への関心・意欲・態度
・友達の歌声や楽器の音を聴きながらそれに合わせて表現したり,旋律の重なりや繰り
返し,変化に気をつけて聴いたりする学習に進んで取り組もうとしている。
イ 音楽表現の創意工夫
・旋律や音が重なり合う響きを感じ取り,きれいな響きを求めて演奏の仕方を工夫して
いる。
ウ 音楽表現の技能
・友達の歌声や楽器の音を聴き,自分の声や音を合わせながら,拍の流れにのって歌っ
たり楽器を演奏したりしている。
エ 鑑賞の能力
・旋律の重なりや強弱の変化を聴き取り,いろいろな音が重なり合う響きや曲想とその
変化などに気をつけて聴いている。
84
音の重なりをかんじとろう
本題材における学習の深まり
扱い
時数
3
時間
せんりつが重なり合うおもしろさをかんじとりましょう。
歌おう 声高く
歌唱
音が重なり合う響きの美しさを味わうための導入教材です。この教材では主
旋律に,3音によるオスティナート(同型反復)を加えることにより,互いの声
が重なり合うきれいな響きを味わうことができるようになっています。
響きをつくり出すオスティナートの旋律は,教科書P.43 の鑑賞教材に使われ
ている「かねのせんりつ」と同じ音型なので,鑑賞活動と関連させて扱うと効果
的です。
か ね
鑑賞
この曲は戯曲「アルルの女」の付随音楽としてつくられた曲の中の1曲で,
祝祭日の朝を迎えて村の教会の鐘が鳴り響く中,人々が忙しく出入りする場面で
演奏されます。
ここでは旋律の重なりを,鐘の音を模した 3 音の繰り返しと,それにのって
演奏される「もう1つの別の旋律」というような捉え方で聴き,互いの旋律が重
なり合って響くおもしろさや美しさを感じ取る活動を進めていきます。
扱い
時数
2
時間
重なり合う音のひびきを楽しみましょう。
あの雲のように
歌唱
器楽
この教材では,歌声による主旋律と,リコーダーや鍵盤ハーモニカなど身近
な楽器で演奏する副次的な旋律を合わせて,歌声と楽器の美しい響きを体験する
活動を進めていきます。響き合いをいっそう美しいものにするために,教科書の
コラムを参考にしながらきれいな声の出し方に気をつけて練習したり,最終フ
レーズを使って歌声が重なり合う響きを確かめながら二部合唱を体験したりする
ことができるようになっています。
扱い
時数
4
時間
合奏のゆたかなひびきを味わいましょう。
パ フ・リズムばんそうづくり
歌唱
器楽
音楽づくり
いろいろな楽器を使って,より充実した響きを味わいながら合奏活動を楽し
むための教材で,本題材の締めくくりでもあります。これまでの学習で身につけ
てきたことを生かして,
互いの音を聴き合いながら合奏を工夫していきましょう。
また,打楽器のリズム伴奏を工夫して加えることで,より充実した響きを味わう
ことができます。
85
展開例❶❷❸❹
題材名
題材の
ねらい
教材名
音の重なりをかんじとろう
●旋律や音が重なり合う響きを感じ取りながら,思いや意図をもって表現し
たり想像豊かに聴いたりすることができるようにする。
●互いの歌声や楽器の音を聴き合いながら,気持ちを合わせて演奏すること
ができるようにする。
歌おう 声高く
は なおか
めぐみ
は
せ
べ
ま さ と し
花岡 恵 作詞/長谷部匡俊 作曲
学 習 目 標
せんりつが重なり合うおもしろさをかんじとりましょう。
楽曲について
二部合唱の導入と,旋律の重なりの学習を目的として作曲されたオリジナル曲。鑑
賞曲「かね」と同じようなオスティナート(同型反復)が用いられているため,鑑賞と
表現の活動を関連付けて学習することができる。
曲はA
(a4+a’4)+B(b4)+C(c4+c’4)で構成される,中間部が縮小された三部形
式である。
教
材
性
■オスティナートによる易しい旋律
・13 小節目以降,低声部は3音を繰り返す易しいオスティナートでつくられている。
歌詞は,意味のある言葉ではなく“ランランラン”を繰り返しているので,音の重な
りを感じ取ることに集中しやすい。
・オスティナートの音型は,1 小節目と 5 小節目の主旋律にも登場するので,あら
ためて覚える必要がなく,鑑賞曲「かね」を聴くことで,より耳になじむようにな
っている。
■和声的な音の重なり
・17・18 小節目では,主旋律とオスティナートがともに“ランランラン”という歌詞
になっているため,4分音符のリズムで和声的な合唱を体験することができる。
・最後は長3度のハーモニーで曲が締めくくられており,美しい声の響きをつくる学
習に最適である。
86
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
2
音の重なりをかんじとろう
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●曲の感じをつかんで,主旋律を歌う。
・範唱を聴いて曲の感じをつかみ,気付いた
○気付いたことを整理する。
・フレーズごとに範唱を聴いて,模唱しなが
3拍子の曲
・3拍子の気分を感じ取って,主旋律を歌う。
2つの旋律が重なり合っている
ことを発表する。
ら主旋律全体を歌う。
〈例〉
同じ旋律が繰り返されている
◆3拍子の拍の流れにのって,軽やかに歌っ
ている。
【ウ 演奏聴取】
●音程に気をつけて,オスティナートを歌う。
・主旋律とは別の,もう1つの旋律に気をつ
けて範唱を聴く。
・もう1つの旋律について,気付いたことや
感じたことを発表し合う。
・音程や発音などに気をつけながら歌う。
○オスティナートに意識を向けて範唱を聴き,
同じ旋律が何度も繰り返し歌われているこ
とに気付くようにする。
○単純な音や言葉の繰り返しだと乱暴な歌い
方になりやすいので,気をつけて歌うよう
に助言する。
◆それぞれの旋律の特徴を捉えて,歌い方を
工夫している。
【イ 発言内容・演奏観察】
●互いの歌声を聴き合いながら,2つの旋律
を重ねて歌う。
・主旋律を歌うグループとオスティナートを
歌うグループに分かれて,合唱部分を練習
する。
・旋律の重なりを聴くグループをつくり,交
替して聴く。
・互いの歌声を聴き合いながら,全曲を通し
て歌う。
○発音や発声などにも意識を向けて,響きの
ある柔らかい声で歌うようにする。
○2つの旋律の音量的なバランスにも気をつ
けて歌うようにする。
◆互いの歌声を聴き合いながら,旋律が重な
る響きを感じ取って歌っている。
【ウ 演奏聴取】
87
展開例❶❷❸❹
題材名
題材の
ねらい
教材名
音の重なりをかんじとろう
●旋律や音が重なり合う響きを感じ取りながら,思いや意図をもって表現し
たり想像豊かに聴いたりすることができるようにする。
●互いの歌声や楽器の音を聴き合いながら,気持ちを合わせて演奏すること
ができるようにする。
「アルルの女」第1組曲から か ね
ビゼー 作曲
学 習 目 標
せんりつが重なり合うおもしろさをかんじとりましょう。
楽曲について
フランスの作曲家ジョルジュ ビゼー(1838 〜 1875)の作品。戯曲「アルルの女」
のために作曲した付随音楽の中から4曲を選んで,ビゼー自身が大編成のオーケスト
ラ用に編曲したものが「アルルの女」第1組曲である。「かね」は劇中,花飾りなどの
準備で忙しい祝祭日の朝の場面で演奏される音楽で,全体に華やいだ気分に満ちあふ
れている。
教
材
性
■旋律の重なり
・曲の出だしから聴こえる3音からなる「かねのせんりつ」と,それに続く「主なせん
りつ」の重なりを聴き取りやすい。
■ ア → イ → ア という曲の構成の分かりやすさ
・
「かねのせんりつ」が聴こえるかどうかだけではなく,旋律や強弱がはっきりと変
化するため,曲の構成を捉えやすい。
88
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
1
音の重なりをかんじとろう
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●曲想の変化を感じ取って聴き,曲の構成に
気付く。
・鑑賞用 CD を聴いて,想像した場面や聴こ
えてきた音などについて発表する。
○発言を整理して板書する。
〈例〉
始め
中
終わり
かねが鳴った
かねがやんだ
かねが鳴った
重なっていた
重なっていた
強い
弱い
強い
はなやか
しずか
はなやか
・発表したことを確かめながら再度聴いて,
曲想が変わったところで合図する。
◆「かねのせんりつ」を手がかりに聴いて曲
想の変化を感じ取り, ア → イ → ア の構成
を捉えて聴いている。
【エ 発言内容・行動観察】
●旋律が重なるおもしろさを感じ取って聴く。
・「かねのせんりつ」を小さな声で口ずさみ
ながら, ア の部分を聴く。
・ ア の「主なせんりつ」と「かねのせんりつ」
が重なっている様子に気をつけて聴く。
○「始め」 ア ,
「中」 イ ,
「終わり」 ア とする。
○3音からなる同型反復の「かねのせんりつ」
を “ ランランラン ” で歌って確認する。
○ ア の「主なせんりつ」が聴こえたら挙手
などで合図するようにする。指揮の動作の
まねなど体の動きを取り入れるときは,3
拍子の気分に合った動きを意識するように
助言する。
○ イ の部分では体の動きを止め,音楽に耳
・聴いて感じたことを発表し合う。
・自分なりの聴き方でゆったりと聴く。
を傾けて聴くようにする。
◆旋律が重なり合うおもしろさや楽器の音色
の美しさを感じ取り,楽しんで聴いている。
【エ 発言内容・行動観察】
89
展開例❶❷❸❹
題材名
題材の
ねらい
教材名
音の重なりをかんじとろう
●旋律や音が重なり合う響きを感じ取りながら,思いや意図をもって表現し
たり想像豊かに聴いたりすることができるようにする。
●互いの歌声や楽器の音を聴き合いながら,気持ちを合わせて演奏すること
ができるようにする。
あの雲のように
ふ りゅう あ き
こ
い いぬ ま の ぶ よ し
芙 龍 明子 作詞/作曲者不明/飯沼信義 編曲
学 習 目 標
重なり合う音のひびきを楽しみましょう。
楽曲について
作曲者不明の愛唱曲。①のパートが主旋律で,②のパートが副次的な旋律である。
2つのパートが3度の音程を中心に重なっているので,歌や楽器を自由に組み合わせ
ても,重なり合う響きを味わいやすい。a8+a’8の一部形式。
教
材
性
■歌声の響きと重なり
・旋律は,ちょうど声の出しやすい音域でつくられているので,曲想を生かして滑ら
かに歌ったり合唱したりするのに最適である。
■旋律の重なりを味わう
・2つのパートは主に3度の重なりで進行しているので,楽器で演奏すれば容易に合
奏や重奏の響きを味わうことができる。
■楽器の組み合わせによる音色の変化を楽しむ
・各パートにさまざまな楽器を選んで響きの違いを味わったり,1回目と2回目で楽
器の組み合わせを変えて演奏することで,音色の変化を味わったりすることができ
る。特に,2,4フレーズ目は,副次的な旋律が主旋律よりも高い音になっている
ため,それぞれの音色を変えたほうが,主旋律を際立たせるうえでも効果的である。
90
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
2
音の重なりをかんじとろう
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●主旋律の歌い方を工夫する。
・3拍子の拍の流れにのって体を揺らしなが
ら,指導用 CD や指導者の範唱を聴く。
・①のパートを歌詞唱する。
・のびのびとした歌声で滑らかに歌う工夫を
する。
○全体の感じを捉えたり,歌声に関心をもっ
たりすることができるように,指導用 CD
を活用するとよい。
◆3拍子の拍の流れにのって,のびのびとし
た歌い方を工夫している。
【イ 演奏観察】
●音色に気をつけて,副次的な旋律を演奏する。
・②のパートの旋律を階名唱(固定ド)して
覚える。
・リコーダーや鍵盤ハーモニカなどで,②の
パートを演奏する。
・息の強さやタンギングに気をつけながら,
きれいな響きの表現を目指して練習する。
○ハ長調の楽譜ではないため,
「ドレミ」に
よる音名唱(固定ド唱法)で代用する。
○歌詞唱のイメージを生かして,滑らかに演
奏できるようにする。
●重なり合う響きを感じて演奏する。
・①と②のパートを合わせて演奏する。
○〈組み合わせの例〉
①歌 ②リコーダー
①リコーダー ②リコーダー など
※①のパートを楽器で演奏する際は,②の
パートの演奏経験を生かして練習すると
・きれいな響きを感じ取りながら演奏できる
ように工夫する。
よい。
○演奏に慣れてきたら,少人数のグループで
の合奏やペアを組んでの重奏などを取り入
れ,互いの音をよく聴き合うようにすると
よい。
○教科書のコラムや挿絵を参考に,発音や発
声などにも意識を向けて,響きのある柔ら
かい声で歌うようにする。
◆拍の流れにのって,美しい音で②のパート
を演奏している。
【ウ 演奏聴取】
・工夫したことを生かして,まとめの演奏を
する。
・最後のフレーズを使って二部合唱する。
◆互いの歌声や楽器の音を聴き合いながら,
重なり合う響きを感じ取って表現している。
【ウ 演奏聴取】
91
展開例❶❷❸❹
題材名
題材の
ねらい
教材名
音の重なりをかんじとろう
●旋律や音が重なり合う響きを感じ取りながら,思いや意図をもって表現し
たり想像豊かに聴いたりすることができるようにする。
●互いの歌声や楽器の音を聴き合いながら,気持ちを合わせて演奏すること
ができるようにする。
パ フ(リズムばんそうづくり)
ふ りゅう あ き こ
うら た けん じ ろう
芙 龍 明子 日本語詞/ピーター ヤーロウ・レナード リプトン 作曲/浦田健次郎 編曲
学 習 目 標
合奏のゆたかなひびきを味わいましょう。
楽曲について
人気フォークグループのピーター ポール アンド マリーによって歌われたヒット曲。
1963年に発表された。原曲の歌詞も日本語の歌詞と同様の内容をもち,魔法の竜パ
フと,少年ジャッキー ペーパーとの心温まる触れ合いを描いている。a8+a’8の一部
形式。
教
材
性
■いろいろな楽器の音の重なり
・親しみやすい主旋律を中心に,副次的な旋律を演奏するパート,響きを支える低音
のパート,リズム伴奏のパートで構成されており,充実した響きを楽しむことがで
きる。
■互いの歌声や楽器の音を聴き合う
・
「リズムばんそうづくり」も含めて,合奏の豊かな響きを体験することができる教
材である。さらに,旋律を担当するパートと打楽器パートの音量的なバランスに気
をつけながら互いの歌声や楽器の音を聴き合って演奏する活動を通して,主旋律を
目立たせる合奏の工夫へとつなげることができる。
92
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
4
音の重なりをかんじとろう
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●曲の感じをつかんで,主旋律を演奏する。
・範唱を聴いて,曲の感じをつかむ。
・リコーダー1のパートを歌詞唱したり,階
○音符を指でなぞりながら,拍の流れにのっ
・リコーダー1のパートをリコーダーや鍵盤
◆拍の流れにのって,主旋律を楽器で演奏し
名唱したりする。
ハーモニカで演奏する。
てゆっくりと階名唱するとよい。
ている。
【ウ 演奏聴取】
●主旋律をよく聴いて,副次的な旋律を演奏
する。
・リコーダー2のパートを階名唱する。
・リコーダーのレとドの運指を知る。
・リコーダー2のパートを楽器で演奏する。
・リコーダー1と2のパートを受け持つグル
ープに分かれて,二部合奏や二重奏をする。
○リコーダーで,ドやレなど低い音を演奏す
るときは,息のつかい方に気をつけて,き
れいな音を出せるように練習する。
○ペアによる二重奏の活動なども加えて,響
きを確かめ合うようにするとよい。
◆リコーダーの二部合奏や二重奏に関心をも
ち,互いの音を聴き合いながら,進んで演
奏しようとしている。
【ア 演奏観察】
●重なり合う音の響きに気をつけて,合奏を
工夫する。
・鉄琴で副次的な旋律を演奏する。
・低音のパートを受け持つ楽器を選んで練習
する。
○鉄琴のパートは,電子オルガンなどでいろ
いろな音色を試してみてもよい。
・リコーダー1と2,鉄琴,低音のパートを
○リコーダーと鉄琴,またはリコーダーと低
・教科書を参考に,リズム伴奏を工夫する。
○手拍子で教科書のリズム伴奏例を確かめ,
・いくつかのグループに分かれて,合奏をま
○一人一人の楽器の音色や表現の仕方,パー
合わせて演奏する。
とめる。
音のパートを組み合わせて練習してもよい。
終わり方なども工夫しておいてから,楽器
を選んで演奏するとよい。
ト間の音量のバランスなど,工夫の観点を
示すようにする。
◆拍の流れにのって互いの音を聴き合いなが
ら,演奏の仕方を工夫している。
【イ 演奏観察・演奏聴取】
●合奏の響きを互いに聴き合う。
・工夫した点などを説明してから演奏を発表
して,互いのグループの成果を聴き合う。
・聴いた感想を発表し合う。
・全員で合奏を楽しむ。
○友達の演奏のよかったところや努力したと
ころなどを見つけて認め合うなどの観点を
示しておくようにする。
◆楽器が重なり合う響きの美しさを感じ取り
ながら,気持ちを合わせて合奏している。
【ウ 演奏聴取】
93
題 材 名
日本の音楽に親しもう
扱い時数の
めやす
2
時間
題材のねらい
●日本の音楽の雰囲気や特徴を感じ取りながら,我が国や郷土の伝統音楽に親しむように
する。
題材の意図
この題材では,我が国を代表するお囃子の中から「祇園囃子」と「神田囃子」を取り上
げて,古くから伝わる日本の伝統音楽に親しみながら,その雰囲気や特徴を感じ取ること
ができるように学習を進めていきます。また,この活動を通して感じたことや気付いたこ
とを発表し合ったり,郷土に伝わる音楽について話し合ったりするようにします。
さらに,巻末の鑑賞資料を参考にしながら,自分たちが身近なところで耳にするお囃子
などについても,どんな音楽があるのか,どんな楽器を使っているのか,どんな特徴があ
るのかなど,みんなで発表し合いながら学習を展開して,我が国や郷土の音楽にいっそう
親しむようにするとよいでしょう。
学習指導要領との関連
P.12 参照
題材の評価規準例
ア 音楽への関心・意欲・態度
・我が国の音楽に親しみ,その音楽のよさを味わって聴く学習に進んで取り組もうとし
ている。
エ 鑑賞の能力
・お囃子のリズムや速度,旋律の特徴,使われている楽器の音色などに気をつけて聴き,
そこから感じ取った曲想の違いを発表するなどして,日本の音楽のよさを味わって聴
いている。
98
日本の音楽に親しもう
本題材における学習の深まり
扱い
時数
2
時間
音楽のとくちょうをかんじとりながら,おはやしをききましょう。
祇園囃子
鑑賞
京都三大祭りの一つでもあり,日本の代表的なお祭りでもある「祇園祭」で演
奏されるお囃子を鑑賞します。
「祇園囃子」は祇園祭の「鉾」
,
「曳き山」と呼ばれる屋台の上で囃されます。
使われる楽器は,鉦,締太鼓,能管の3種類です。大きな鉾や曳き山がゆったり
とかつダイナミックに京都の街を巡行するのにふさわしい速度や3種類の楽器の
演奏を味わって聴きましょう。
祇園囃子のお囃子の旋律は山鉾共通のものもあれば,独自のものもあります。
各山鉾のレパートリーは30〜40曲ほどもあり,太鼓方が演奏する曲を決め,巡
行の間とぎれることなく連続して演奏されます。鑑賞用 CD には,ゆったりと都
大路を巡行するときに演奏されるお囃子の部分が収録されています。
神田囃子
鑑賞
江戸三大祭りの一つとして知られる「神田祭」で演奏される「神田囃子」を鑑賞
します。使われる楽器は,大太鼓,締太鼓,鉦,篠笛の4種類です。大太鼓が1
名,締太鼓が2名,鉦1名,篠笛1名で演奏される五人囃子です。最初は,威勢
のよい調子で篠笛が演奏され,締太鼓が入り,鉦・太鼓も加わります。半ばは,
篠笛を中心に静かな曲となり,最後は最初と同じ曲に戻ります。それぞれの楽器
の演奏のおもしろさやリズムの楽しさ,曲の変化などを味わうことができます。
祇園囃子と聴き比べて,互いの音楽の特徴やよさを味わいながら,親しむよう
にしましょう。
99
展開例❶
題材名
題材の
ねらい
教材名
日本の音楽に親しもう
●日本の音楽の雰囲気や特徴を感じ取りながら,我が国や郷土の伝統音楽に
親しむようにする。
祇園囃子 神田囃子
学 習 目 標
音楽のとくちょうをかんじとりながら,おはやしをききましょう。
楽曲について
音楽の特徴を感じ取りながら比較鑑賞することを通して,郷土の音楽に親しむため
の教材群。
「祇園囃子」
京都の祇園祭で演奏されるお囃子。祇園祭は八坂神社を中心とする祭礼で,「鉾」
「曳き山」と呼ばれる屋台の巡行が中心となる。毎年7月に行われる。
「神田囃子」
東京の神田祭で演奏されるお囃子。神田祭は神田明神の例大祭で,山車や神輿の巡
行が中心となる。毎年5月に行われる。
教
材
性
■日本の祭りと囃子
・ 京都の「祇園囃子」は,鉦8名,締太鼓2名,能管8名で演奏されている。また,
東京の「神田囃子」は大太鼓1名,締太鼓2名,鉦1名,篠笛1名で演奏されてい
る。どのような楽器が使われているかを聴き取ることにより,それぞれのお囃子の
音楽的な特徴を聴き取っていくことができる。
・「祇園囃子」は,能管が旋律的な働きをするのに対して,締太鼓と鉦はそれを支え
るリズムを刻んでおり,おおぜいで調子を合わせて演奏されていることが分かる。
また,掛け声も入り,ゆったりと鉾が進んでいくのにふさわしいお囃子の特徴を感
じ取ることができる。
・「神田囃子」は,五人囃子で演奏されており,それぞれがテンポよく,個性をもっ
て演奏されていく。中間部分では,聴き慣れた旋律が篠笛によってゆったりと演奏
される。また,後半では再び,動きのある最初と同じ演奏が繰り返され,変化を楽
しむこともできる。
■日本のお囃子の特徴とそのおもしろさ
・
「祇園囃子」
「神田囃子」ともに,よく似た打楽器と笛で演奏されているが,演奏人
数や祭りの様子,趣によりそれぞれの個性がある。お囃子のリズムや速度の違い,
100
日本の音楽に親しもう
お囃子の変化,曲の展開の仕方にも気付き,それぞれのお囃子のよさや趣を味わう
ことができる。
・教科書の写真資料や視聴覚教材を使うことにより,2つのお祭りの趣とお囃子の音
楽的な特徴の違いを捉えることができる。
・2つのお囃子を鑑賞することにより,日本の音楽のよさに気付き,自分たちの地域
に伝わるお囃子や音楽に関心をもつことができる。
指導計画
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
2
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●2つのお囃子の特徴をつかむ。
・
「祇園囃子」と「神田囃子」を聴く。
・それぞれのお囃子の冒頭部分を聴いて,演
○必要に応じて,楽器や教科書の写真資料,
・それぞれのお囃子の旋律,リズム,速度な
○ P.102のような鑑賞ノートを準備するとよ
・それぞれのお囃子の特徴を話し合う。
◆2つのお囃子の速度やリズムの違いに気付
奏されている楽器を見つける。
どの気付いたことを言葉や図形楽譜で書く。
掲示物などを用意する。
い。
いて聴き,鑑賞ノートに整理している。
【エ 発言内容・行動観察・鑑賞ノート】
●それぞれのお囃子のよさを味わって鑑賞す
る。
・再度,2つのお囃子を比べて聴く。
・お囃子の特徴とお祭りの様子について話し
合い,それぞれのお囃子のよさを味わう。
○教科書の写真資料や映像資料等で2つのお
祭りの様子と音楽の特徴のつながりに気付
き,そのよさを楽しむようにする。
○郷土の音楽にも関心をもち,特徴やそれぞ
れのよさに気付くようにする。
◆それぞれのお祭りの様子やお囃子のよさに
気付いて聴こうとしている。
【ア 発言内容・表情観察・学習ノート】
●自分たちの地域に伝わるお囃子や音楽に関
心をもって鑑賞する。
・自分たちの地域に伝わるお囃子や音楽につ
いて調べて,発表したり鑑賞したりする。
○実態に応じて,祭り囃子,舞,唄,盆踊り
の太鼓など,楽器を含めて紹介する。現地
で録音したものがあったら,それを鑑賞す
るとよい。
◆地域に伝わるお囃子や音楽に関心をもって
聴こうとしている。
【ア 発言内容・行動観察】
101
題 材 名
音楽を楽しもう
扱い時数の
めやす
5
時間
題材のねらい
●今までに学習してきたことを生かして,音楽を表現する楽しさや聴く喜びを味わうこと
ができるようにする。
題材の意図
3年生では,表現と鑑賞のさまざまな活動を通して,拍の流れやリズム,旋律,音色,
音の重なりなどについて学習しながら,音楽的な感性や表現の技能などを伸ばすことを段
階的に進めてきました。3年生最後のこの題材では,これまでの学習のまとめとして,楽
曲全体の曲想を感じ取り,みんなで声や気持ちを合わせて歌ったり,想像豊かに聴いたり
する喜びを味わうことができるように学習を展開していきます。
学習指導要領との関連
本書 P.12 参照
題材の評価規準例
ア 音楽への関心・意欲・態度
・曲想や旋律の特徴を捉えて,みんなと声や音を合わせて表現したり,楽曲全体にわた
る曲想とその変化を感じ取って聴いたりする学習に進んで取り組もうとしている。
イ 音楽表現の創意工夫
・旋律の違いや特徴,重なり方を感じ取って,歌い方や楽器の演奏の仕方を工夫してい
る。
ウ 音楽表現の技能
・友達の歌声や楽器の音を聴き合いながら,自分の声や音を合わせて演奏している。
エ 鑑賞の能力
・旋律の音の動きや速度の変化などを聴き取り,曲想とその変化や,想像した情景を言
葉で表すなどして楽曲のよさを味わって聴いている。
104
音楽を楽しもう
本題材における学習の深まり
扱い
時数
1
時間
みんなで声を合わせて歌いましょう。
きょうりゅうとチャチャチャ
歌唱
軽快なリズムにのって歌える楽しい曲です。前半は8分音符のリズムやシンコ
ペーションにのって言葉を丁寧にはっきりした発音で歌い,音域が広がる後半は
手拍子を入れて楽しく歌いましょう。
また,曲のまとまり(教科書P.56「音楽のしくみ」
)について気付くことで,歌
唱表現の工夫にもつなげることができます。
扱い
時数
2
時間
たがいの声や音をきき合いながらえんそうしましょう。
バード ウォッチング
歌唱
器楽
ア と イ の部分はそれぞれ,旋律やリズムの特徴が対照的につくられています。
ア の部分は,8分休符やシンコペーションを生かした旋律で,バード ウォッチ
ングをしているようなうきうきする気持ち,後半は4分音符や2分音符からなる
旋律で,鳥たちが飛び交っているような滑らかな感じを生かして,表現を工夫し
ていくことができます。
また, ア と イ の旋律を重ねてパートナーソングとして演奏したり,リコーダ
ーと組み合わせたりするなど,旋律の重ね方を工夫して楽しむことができます。
扱い
時数
2
時間
音楽を味わってききましょう。
小犬のワルツ
鑑賞
花のワルツ
鑑賞
ショパンの有名なピアノ曲を鑑賞し,ピアノならではの多彩な音色を味わいま
す。また,この曲は序奏ののち,速い動きの主な旋律に続いて,中間部のゆった
りとした旋律が演奏され,再び始めの速い動きの旋律が演奏されて,和音ととも
に曲が終わるという構成になっています。こうした曲想の対比を味わったり,中
間部のあとに始めの部分が再現されるおもしろさを味わったりします。
また,
「チャレンジ!」として「花のワルツ」を鑑賞します。ワルツと名のつく
曲は数多くあり,3拍子の拍子感もさまざまです。それぞれのワルツの3拍子の
趣を楽しんで聴きましょう。
105
展開例❶❷❸
題材名
題材の
ねらい
教材名
音楽を楽しもう
●今までに学習してきたことを生かして,音楽を表現する楽しさや聴く喜び
を味わうことができるようにする。
きょうりゅうとチャチャチャ
ひ ら
の
ゆ
か
り
か
が
き よ た か
平野祐香里 作詞/加賀清孝 作曲
学 習 目 標
みんなで声を合わせて歌いましょう。
楽曲について
リズミカルで軽快な4拍子の曲である。歌詞も,愉快な恐竜との出会いを子どもの
発想で書かれた楽しいものである。A(a4+a’4) + B(b8+b’8) の B の部分が拡大され
た二部形式と考えることができる。
教
材
性
■リズムを生かした歌い方や発音の工夫
・前半は,eの歯切れのよいリズムやシンコペーションで旋律がつくられている。
“‰そこは”の部分は,‰を意識してリズミカルな歌い方を工夫したり,“あおい” “み
ずうみ”の部分は,シンコペーションの特徴を生かして,言葉を丁寧にはっきりと
歌ったりすると,歌詞のおもしろさを感じ取ることができる。
・リズムにのって歌詞を読んだり,旋律のリズム打ちをしたりすることにより,リズ
ムを生かした表現に結び付けることができる。
・物語性のある歌詞の内容を楽しみながら,はっきりした発音で歌うために,母音は
響きのある声で,子音は「さ行」や「か行」の言葉などを意識することにより,メリ
ハリのある発音で歌うことができる。
■曲想を生かした歌い方
・後半は,q¸ののびやかなリズムと,切れのよい‰e¸という動きに手拍子が加
わり,恐竜に対する思いや気持ちをこめて歌いたい部分である。前半との曲想の違
いを生かした表現の工夫を話し合って進めることができる。
・リズムや言葉を生かした歌い方をいっそう工夫する,前半と後半をグループで分担
して歌う,交互唱して楽しむなど,クラスの実態に応じて工夫の幅を広げていくこ
とができる。
・「音楽のしくみ」(教科書P.56)の学習と関連させて,楽曲の構造を意識しながら歌
い方を工夫することで,今後の学習に生かしていくことができる。
106
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
1
音楽を楽しもう
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●曲の感じをつかむ。
・指導用 CD を聴いて,気付いたことを発表
○旋律やリズムの特徴について発表できるよ
・前半と後半の曲の感じの違いに気付く。
○前半の歯切れのよい部分と,後半ののびや
する。
・指導用 CD に合わせて,
後半の手拍子を打つ。
うに,観点を絞るとよい。
かな部分で曲ができていることに気付くよ
うにする。
○物語性のある歌詞の内容について話し合い,
前半と後半の気持ちの違いにも気付くよう
●リズムや言葉を生かして歌う。
にする。
・歌のリズムどおりに歌詞を音読する。
○フレーズの出だしの読み方や休符に気をつ
・歌詞の内容を生かして,言葉をはっきりと
○母音は口形や唇の動き,子音は息や唇,舌
発音しながら歌う。
けて,いきいきと読むように促す。
の動きを意識して,はっきりした発音にな
るようにする。
〈例〉
“ あるひ ”:口を縦に開けて,言葉の出だし
をそろえよう。
“ そこは ”:‰を意識して,「S」の発音を大
切に歌おう。
◆シンコペーションや丁寧な発音に気をつけ
て,リズムにのった歌い方を工夫している。
【イ 演奏聴取】
●曲想にふさわしい歌い方を工夫する。
・前半と後半をグループで分担して歌う。
・手拍子を入れて,恐竜に対する思いを盛り
上げて歌う。
・ピアノの伴奏を聴きながら,リズムにのっ
て歌う。
・実態に応じて,
「音楽のしくみ」について
調べる。
○恐竜についてのお話や様子が描かれている
前半と,恐竜に対する思いや気持ちを歌っ
ている後半とで,発音やリズム,旋律の歌
い方について話し合い,曲の構成を生かし
た表現になるように助言する。
◆旋律やリズムの特徴を生かして,伴奏にの
って楽しく歌っている。
【ウ 演奏聴取】
107
展開例❶❷❸
題材名
題材の
ねらい
教材名
音楽を楽しもう
●今までに学習してきたことを生かして,音楽を表現する楽しさや聴く喜び
を味わうことができるようにする。
バード ウォッチング
ど
い
たけし
い し け たふ ゆ
き
土肥 武 作詞/石桁冬樹 作曲
学 習 目 標
たがいの声や音をきき合いながらえんそうしましょう。
楽曲について
旋律の重なりの学習を目的として作曲されたオリジナル曲である。A(a4+a’4) +
B(b4+b’4) の二部形式。はずむ感じの旋律 ア と,滑らかな感じの旋律 イ を重ねるこ
とによって,二部合唱の導入にもなる。イ の旋律は順次進行を中心に構成されており,
楽器での演奏も容易である。
教
材
性
■旋律の特徴を捉えた演奏の工夫
・パートナーソングとして演奏を楽しむことができる教材である。
・ ア は,‰q eやeq eなどのシンコペーションや音の跳躍している部分が多く,
イ は,qqqq\h h \
\のリズムを基本とした順次進行の旋律で滑らかな感じに
なっている。躍動感のある楽しい感じの ア と,滑らかで落ち着いた感じの イ を通
して歌ったり,重ねて演奏したりすることで,それぞれの旋律の特徴を生かすこと
の大切さに気付くことができる。
・“バード”の前の‰を生かしたり,“かわのそばの”のシンコペーションをいきいきと
歌うことにより,歌詞の内容をより楽しく味わって歌うことができる。
■旋律の重ね方の工夫
・教科書では, ア を歌で, イ を歌またはリコーダーで演奏することが例示されてい
る。クラスの実態に応じて,クラス全体またはグループに分かれて旋律の重ね方に
ついて話し合い,曲の構成を工夫することができる。工夫した成果を発表し合い,
さらに構成を工夫していく楽しさを共有することもできる。
108
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
2
音楽を楽しもう
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●曲の感じをつかんで歌う。
・指導用CDを聴いて,気付いたことを話し
○旋律やリズムの特徴について発表できるよ
・ ア と イ の曲の感じの違いに気付く。
○前半の歯切れがよく楽しい感じの ア と,
合う。
・歌のリズムどおりに歌詞を音読する。
・ ア と イ を通して歌ったり,重ねて歌った
りする。
うに,観点を絞るとよい。
後半の滑らかで落ち着いた感じの イ で曲
ができていることに気付くようにする。
○シンコペーションが生み出す歯切れのよさ
や,言葉のもつアクセントに気付いて歌う
ようにする。
◆ ア と イ の旋律の特徴にふさわしい歌い方
を工夫している。
【イ 行動観察・演奏聴取】
●歌とリコーダーを重ねて演奏する。
・運指を確かめながら イ を演奏する。
・2組に分かれて, ア を歌で, イ をリコー
ダーで重ねて演奏する。
○タンギングや息つぎに気をつけて,フレー
ズを大切にして演奏する。
◆異なる特徴をもつ旋律を互いに聴き合いな
がら,重ねて演奏している。
【ウ 演奏聴取】
● ア と イ の組み合わせや重ね方を工夫して
演奏する。
・グループに分かれ, ア と イ の組み合わせ
を考えて楽器を選択する。
・互いの音を聴き合いながら,演奏の仕方を
工夫する。
・曲全体の構成(始まり・中・終わり,曲の
山など)を考えて演奏する。
・グループごとに演奏して,互いに聴き合う。
○旋律の特徴の違いや重なり合いのおもしろ
さを味わいながら演奏するようにする。
○ ア , イ のパートの担当や曲の構成の工夫
に気付き,旋律の特徴を生かした演奏のよ
さを味わうように促す。
◆旋律の重ね方や曲の構成を試しながら,演
奏の仕方を工夫している。
【イ 演奏観察・演奏聴取】
109
展開例❶❷❸
題材名
題材の
ねらい
教材名
音楽を楽しもう
●今までに学習してきたことを生かして,音楽を表現する楽しさや聴く喜び
を味わうことができるようにする。
小犬のワルツ
ショパン 作曲
チャイコフスキー 作曲
組曲「くるみわり人形」から 花のワルツ
学 習 目 標
音楽を味わってききましょう。
楽曲について
「小犬のワルツ」
ポーランドの作曲家フレデリク ショパン(1810 〜 1849)の作品。1846 年から
翌年にかけて作曲された。恋人のジョルジュ サンドから,自分のしっぽを追ってぐ
るぐる回り続ける飼い犬の様子を音楽にしてほしいといわれて作曲したというエピソ
ードがある。曲は,めまぐるしく動き回る主要部分と,穏やかな中間部からなる三部
形式で構成されている。
「花のワルツ」
ロシアの作曲家ピョートル チャイコフスキー(1840 〜 1893)の作品。組曲「く
るみ割り人形」の中の1曲。劇中,主人公の少女クララは,ネズミの軍勢と戦うお菓
子の国の王子(くるみ割り人形)を助け,魔法の城へと招かれる。クララを歓迎する
舞踏会(演出によっては結婚式)で,お菓子の国の女王の侍女たちによって華麗に踊
られるのがこの曲である。
教
材
性
■曲の変化を楽しむ
・短い序奏のあと,小犬がくるくると駆け回るような旋律が始まり,続いて,対照的
なゆったりとした旋律が現れるというように,曲想が次々と変わっていく様子を感
じ取りやすい。
・細かな動きの旋律や甘美な中間部の旋律に目が向きがちであるが,その旋律を支え
るワルツの性格を特徴付けている低音の響きにも耳を傾け,ワルツのリズムの動き
を味わうようにしたい。
■ショパンの曲やワルツの曲を楽しむ
・ショパンは多くのピアノ曲を作曲している。また,「ワルツ」と名のつく曲は他の
作曲家の作品にも数多くある。発展的な学習として,それらについても調べたり,
鑑賞したりして音楽を聴くことの楽しさを味わっていきたい。
110
●学習内容
・学習活動
扱い
時数
2
音楽を楽しもう
指導計画
時間
○指導上の手だて
◆具体の評価規準例 【評価方法】
●楽曲全体の曲想を感じ取る。
・「小犬のワルツ」を聴いて,想像した小犬
の様子を発表する。
・発表したことを確かめながら,再度聴く。
○音楽の変化や特徴と,小犬の様子を結び付
けながら鑑賞する。
●旋律の動きや速度の変化が醸し出す曲想の
変化を捉える。
・曲の感じが変わったと思うところで,挙手
をする。
・3つの部分からなっている曲の構成に気付く。
・聴き取った旋律の特徴を学習カードに記入
し,発表し合う。
○想像した小犬の様子を,聴き取った音楽的
な特徴や要素と結び付けて発表できるよう
に助言する。
〈例〉
ようす
始め
中
終わり
かけ回る
ワルツを
踊る
また,
かけ回る
ゆったり
やさしい
始めと同じ
ゆっくり
速い
音楽の
気分 くるくる回る
速さ
速い
●ピアノの音色の美しさを味わいながら聴く。
・旋律の特徴やピアノの音色を味わいながら,
曲全体を通して聴く。
○3つの部分それぞれのピアノの音色の美し
さを味わい,曲想の変化を楽しみながら聴
けるようにする。
◆旋律の動きや速度の変化に気をつけて聴き,
曲想の変化やピアノの音色の美しさを味わ
って聴いている。
【エ 発言内容・行動観察・学習カード】
※以下,各校や児童の実態に応じて取り扱う。
●ショパンのピアノ曲や他の作曲家のワルツ
を鑑賞する。
・ショパンについて調べ,学習カードに書く。
○インターネットや図書室などでショパンの
・他の作曲家が作曲したワルツを聴き,3拍
○チャイコフスキーの「花のワルツ」やヨハ
・ショパンが作曲した曲を聴く。
子の曲のそれぞれの曲想を感じ取る。
人物像や作曲した曲などを調べてもよい。
ン シュトラウスの作曲したワルツなども
鑑賞し,さまざまなワルツの曲想の違いを
楽しめるようにする。
◆作曲家に興味をもち,それぞれの曲の特徴
やよさに気付いて聴く学習に進んで取り組
もうとしている。
【ア 発言内容・行動観察・学習カード】
111
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